276 ─五月、薔薇の木の下で。
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俺は、痛いことからも、逃げないから。 向き合うから、どうか。 一度だめだったからって伸ばす腕を諦めないで。 ひとりに、しないであげて。
自分に嘘をついて、自分を傷つけないで。
[ 果たしてこの言葉のどのくらいが 彼に触れられたのかどうかは分からない。 ]
(162) 2018/05/22(Tue) 05時半頃
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[ 対話しながら思い出すあの場のやりとり>>110>>115 思い出しても今更どうすれば良いのか、 分からない。
この狂おしい程の痛みが何なのかも、 理解できなかった。 だが、振り返れば咄嗟に逃げた自分は 何一つ確かめていなかった。 ]
(163) 2018/05/22(Tue) 05時半頃
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[ イアンの言う通り、刺さらなければ 分からないことだらけ。 何を確かめるのだろうなんて今更思うが、 自覚し得ない心をまず理解したいとは思う。
でもまずは、立ち去る前に笑った。 泣き腫らした瞼は重たかったが、 気にせず口角を上げた。 ]
せんぱいの事が好きだから、 俺は傍に行かない。 だってせんぱいには追いかける脚がある。 伸ばす腕がある。名前を呼ぶ口がある。
(164) 2018/05/22(Tue) 05時半頃
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…………本当に会いたい人がいるのに、 俺は必要ないでしょう?
[ その場限りの寂しさを埋めたところで それが本当に欲しいものでなければ、 満たされる事などない。 ]
それに、汚した誰かが傷ついてるのなら それをまた癒せるのもせんぱいだけだから。 本当に悪いと思っているなら逃げないで。
(165) 2018/05/22(Tue) 05時半頃
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誰もせんぱいを置いて行ってないよ。 ただ、せんぱいが立ち止まっているだけ。
[ 彼とは違い分かりきったような言葉を告げた。 採点もせず歩き出せば薔薇の香りが鼻先を掠めて。 後ろ髪を引かれるような想いを抱きながらも足を動かした。 色々思う事はあったが今は無性にピアノを弾きたい。
昔棄てた筈の、唯一好きだった、ピアノを誰かと。 ]**
(166) 2018/05/22(Tue) 05時半頃
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[ 足音が、声に変わる(>>140>>144)。 ぐり、と首を捻ってそちらを向いた。 ]
こんば、ん? あら、かわいこちゃん連れて。 ケヴィンもやるねぇ。
[ 曖昧な挨拶の途中にからかうような声。 もう、いつものそれと変わらないそれだった。 正しい顔をした、人の子の声が、俺に落ちる。 ]
水かぁ、そうね。 あるにこしたこたねーけど。
[ 欲しいのは、そんなものではなかったけれど。 ]**
(167) 2018/05/22(Tue) 08時頃
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そう。それが君の選択か。
[さてはて。何が切っ掛けになったのやら 幼子じみた否定が返った時>>159予兆はあったのだろう。 俺の本当を笑った口が、紡いだ言葉。>>160 彼自身に向けていると、すぐに察する 蝶は食虫植物から逃れた。なるほど、清く正しい。]
騙す?自分を受け入れるべきなのは、君だと思うよ。
[理解し難い。>>161 俺はちゃんとこの気持ちも、欲望も受け止めている。 彼から見た俺はどんな姿をしているのだろう。 分からないから、自分ではなく彼のことを考えた。]
(168) 2018/05/22(Tue) 08時半頃
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それこそ、知ったような口だ。 何もかも、最初から駄目だった。
[俺が満たされて眠らない理由。 衝動が求めているものは、 決して手が届かないところにあった。 隣にいてくれる子も今は遠いところ。 一時の触れ合いをくれる誰かがいなければ、眠れない
誠実で真っ直ぐな言葉に>>162否定ばかり返す 薔薇の香りの中には彼が知らない色んなものがある。 でも、刺さることもそれなりに言われたから、 立場が入れ替わったように反論したのだろう。]
(169) 2018/05/22(Tue) 08時半頃
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残念だなぁ、本当に残念だよ。 好きなら隣にくらい座ってくれてもいいのに。
[何も犯す気なんてなかったのに。 泣いた後の笑みは>>164正常な人間のもの、
俺は、少なくとも今は聴き続けるのだろう。 呪いのような声を、ひとり。 夜はまだ終わらない。 呪われた者たちが眠らなければ、きっと。]
ちょっと、今の君が怖いな。
[なんでだろうな、全て知られているような錯覚。>>165 ]
(170) 2018/05/22(Tue) 08時半頃
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全て、終わったことだよ。 少なくとも彼のことはね。
[モリスに関しては正しい。 もしかしたら、時間が経って後悔しているかもしれない。 彼にもう一度謝罪する必要も、あるのだろう。 だけど、ヴェルツには“誰か”が水を与える。]
そうかな、 ……自分ではよく分からないな。
[歩き出した背後、香りの共に呟きが落ちる。 最後くらいは素直に受け入れておく。 歩き出す方法は、なんなのだろう。ふと考えてみた。]
(171) 2018/05/22(Tue) 08時半頃
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上手くいくといいね。
[呼び掛けは純粋な気持ち 確かに先輩としてだけの感情だったから。 彼>>166を追い掛けていく香りは無意識のもの。 誘う気持ちなんてありはしない。
ひとりになったその場所で 人にも薔薇にも届かない独り言が落ちた。 ]**
(172) 2018/05/22(Tue) 08時半頃
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――春の日に――
[続く夢は霞んで、とある一日の出来事をぼんやりとリフレインする。 >>+12今から辿って一月もしない頃の話だ。 鳥の羽が小さな珠を抱くような細工をひとつ、中庭に落とした。 小さな不運だった。手が滑って、風が吹いて。 いつも通り執着などないはずで、このまま捨て置くことも考えたが、何故だかその日は拾いに行こうと思って、庭で彼に出会った。 あの頃は名前も知らず、どころか顔を合わせるのすら数えるほどでしかなくて、呼びかけることも出来ずに一度、おろ、と戸惑って。]
――欲しいなら、あげるよ。
[そんなふうに、きっと的はずれなことを言ったんだったか*]
(+14) 2018/05/22(Tue) 09時頃
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[すぐ傍で眠りに落ちた誰かが、その相手と知るすべはない。 ない、けれど、或いは。 夢の中ならば、薔薇がいたずらに邂逅を許すやも、しれず――**]
(+15) 2018/05/22(Tue) 09時頃
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[きっと抱え続けていたのは、子供じみた反発。 脅えているのは、自分が抱いてしまったものを認めること、そして相手も―――ということを知ってしまうこと。
それ故に「欲しくない」と思い続けてきた相手が、けれど本当に離れていった時、感じたのは「つまらない」なんて寂しさよりも、ずっと――]
(173) 2018/05/22(Tue) 10時頃
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[薔薇香る中でもぼんやりと口の中に漂うのは、煙っぽい苦さと甘ったるさの色。まだ食べていない筈のベリーとバターの匂い>>3:42が、喉の奥まで染みつくようだった。
もう身体に掛かっていない筈の重みも痛みも、冷たさも、未だ意識にこびりついている。耳の奥では未だに、低い声色の記憶が鳴り響いている。 叩きつけられた衝動に、ろくな抵抗一つもできずに――]
(174) 2018/05/22(Tue) 10時頃
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[これが、大人になろうとした筈の「僕」の有様だ。]
(僕は、惨めだ)
(僕は、こんな僕でしか、ないのか)
[充血している目に、更に涙が滲む。]
(175) 2018/05/22(Tue) 10時頃
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[身体を起こすこともできず、生乾きの結われていない長髪をソファの上に広げたまま。 談話室にあらわれたピスティオ>>151に、顔を向けるだけの気力も無かった。あからさまな「げえっ」の一声はきちんと聞こえていたが、それでもマークはここを離れようとは思わない。]
やっぱり、僕のこと、嫌いなんですね。 ごめんなさい。僕が居るの、暫く我慢して貰えますか。
[そう口にした時には、薄らと安堵の笑みすら浮かんでしまっていた。 掛けられた声から受けた嫌悪が、まるで、こんな夜でも特に変わりないピスティオの姿をあらわすようにも聞こえたから**]
(176) 2018/05/22(Tue) 10時頃
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――――― 聖書には"あい"の定義が記されている。 美しいアガペーの言葉だ。 ねたまず、謹み深く、高慢にならず、 ……けして絶える事がないと、
"賜物"だって"あい"がなきゃあ意味がないらしいぞ。
[ 手を引く彼には、唐突な言葉に聞こえただろう。 聖パウロの愛の讃歌は結婚式の常套句だ。 その間、茶は射干玉から逸れることはなく、 ――― 寧ろ鋭い光さえ覗かせて 紅く、紅く 輝る。]
(177) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―――― ロビン。
[ ……薔薇が、何を選ぼうと 末端はただ、飢えてしまうから
下腹の熱は理性を苛みつつあったし、 押し倒さんばかりの欲求は 当然のように あったけれど 絞り出すような声で彼の名前を呼べば、 右の指先が伸び、 唇へ到達する。]
(178) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―――― キスを、させていただいても?
[彼が、同じく彼の同級から、 同じような頼まれごとをしたことはさすがに知らないが、 ――― 許しを求めただけ、懸命な態度だ。
それだけの欲が、 茶の瞳には揺れている**]
(179) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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[ここには誰も来ない。 俺が歩き出さないのだから、そうなる。
悲しんでいる自分を受け入れるとは、 自分自身の心を騙すとは、 伸ばす腕を諦めないでとは、
ああ、出来が悪いから、今やっと理解する。]
立ち止まっている、なあ。
[過剰な水は器官を詰まらせそうだ。 毒のような響きが聞え続ける。]
(180) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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[酷いことをしたな。 同じ気持ちだと分かって、 彼にだけ歩いて行けとおざなりに背中を押した。
《あの時》から、自分自身は動かないままだというのに。
自分を認めるようなことを、きっと何気なく>>0:288 それでもあの時だ。遠くから見つめて、育んだ植物が 花を付けたと理解したのは。]
(181) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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イアンは、手の中で魚が潰された*
2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―談話室― [他に誰もいなかったらしい部屋には 自分の声がよく響いて本人まで届いたようだ]
…………嫌いには嫌いだけどな。 具合悪いンなら部屋か医務室いけよ。 引きずっていってやろうか。
つうかお前も眠いのか?
[花の香りで熱が暴走しそうになることはあれど 具合が悪い感じも無い現在 ソファから動こうとしない姿を見て 流石に見捨ててはゆけないと思う]
(182) 2018/05/22(Tue) 11時頃
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なんでだ、ヒューもだしモリスも居た。 ロビンはまあ普通だったけど…… ケヴィン先輩もなんかおかしかったな。
お前今ここで、何起きてるかわかるか。 普段と違うなーとかそんなんでもいいけど。
[目の前の相手も普段とは違うようだが そんなことはまあさておき 優雅に紅茶を入れる作法なんて知らないし これまでは誰かが入れてくれるのを甘受していたので 飲み物を得るのにも四苦八苦**]
(183) 2018/05/22(Tue) 11時頃
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[かわいこちゃんとは、また古い。 思ったけれど言わないのは後輩なりの気遣い。>>167
口振りから、水を欲していないのは知れた。 それなら、何を欲しがっているのか。]
薔薇に、直接聞く……?
[屋内でケヴィンの発した言葉。>>133 その後に連れてこられたのがこの先輩の前で。ケヴィンは水がいるか、欲しいものを尋ねて。
もしかして、薔薇というのは、いつも薔薇に囲まれているこの人のことを指していたのだろうか、と思い至る。]
(184) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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はい。
[謎解きを考えていると、名を呼ばれて返事を返す。やけに余裕のない声だ、と感じたのも束の間、唇に触れられる。>>178]
……はい?
[同じ言葉で聞き返した。>>179 どうしてそうなった。 なんだ、今日はキス日和なのか。 太陽出てないけど。]
えっ……と。
[本日二度目だと驚きも少し減った。少しだけ。しかし、触れられた箇所から推測するに、額やら手やらではなさそうだ。]
(185) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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あの、どうして……
[即断らなかったのは友人との間でのキスは挨拶くらいの物なのだろうか、とピスティオとの先の経験もあったから。
子供の頃、親しくなった友達を独占しようと、距離を縮めすぎて依存するような形になってしまい、嫌われた……なんて失敗をして以来、自分から積極的に人と関わるのは控えていて。
結果、人との適切な距離感が、さらにわからなくなった。 実にむずかしい。数学より。
ただ、はいどうぞとすぐに許可は出せずとも、行為そのものの否定をしない程度にはケヴィンのことは慕っていたのだ。]
…………。
[揺れる茶の瞳を見つめ返せば、反らすことが出来なくなった**]
(186) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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[ きっと今日はキス日和なんだ。 だって、 そう 月が、赦してくれる。
戸惑う言葉に、 不思議と罪悪の心はなく、 ( ――――― この体格の差に、) ( 業、 は 感じつつも、) 今日ばかりは 倫理も、 背徳心にも、目を背けて、]
(187) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ 右の指先が滑り降り、 顎に添えられ、 否定の無いその唇を、 真赤の舌が、這う。
甘い言葉ひとつもなく、柔く食み、 深く、 深く、
───── 薔薇に見せつけるような、其れ。]
(188) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ ぞわ、 と 逆立つような其れが、 "している側"だというのに、 余裕も、理性も、 音をたてて削っていく。
絵画のような美しさは、きっと 無い。 覆うようなふたりの 差と、 呼吸の間も惜しむような 其は、
片方が 獣 であると言われても、 けして否定はできないもの。]
(189) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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