126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜
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『とても心優しい人達の祈りが起こした奇跡なんでしょう?』
『私も奇跡を起こせる程、 優しくて強くて、綺麗な人になりたい』
[そう言った彼女が何より綺麗で、 優しいと思う様になるのに時間は掛からなかった。
一時の思い出として、心の内に仕舞っておくつもりだったのに。 魔物の討伐が終わり、礼と共に離れようとした俺から、 彼女は離れようとしなかった。
魔物を喰らったばかりの黒い右手を掴んで]
(81) 2013/06/18(Tue) 01時頃
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『あなたの手はとても優しい』
[そう言ってくれた彼女。
初めて…人前で泣いた。 止めどなく……それこそ雨止まぬ村の伝承ほどに。
いつか、彼女が見たいと言った村に行こうと誓ったけれど。 アヴァロンの調査で次第を知れば、それを叶える事は躊躇われた。
だがそれすらも後悔する事になった]
(82) 2013/06/18(Tue) 01時頃
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[俺がその次に泣いたのは。 彼女の首が落ちた時。
人型魔物の討伐に、俺を案じた彼女が付いて来てしまっていた。 そして俺が不利に見えたのだろう。 彼女が魔物の前に飛び出して。
それきり。
覚えているのは無残な魔物の遺骸と、首の無い彼女と。 無力を嘆く俺と。
空に浮かぶ『聖杯』だけ]
(83) 2013/06/18(Tue) 01時頃
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……ここが…お前の来たがった場所だ。
[あれから……何度も何度もこの場所に足を運んでいた。 彼女が信じた奇跡など何処にもない。 命の気配も無い、死の世界。 それでも彼女が夢見た場所なら。
俺はどれだけ遠くで任務を果たしても……、 必ずここに戻って来ていた。
それが「塒」と間違われる事になっていても。
俺にとっては大事な大事な場所だった*]
(84) 2013/06/18(Tue) 01時頃
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[>>77自分の斬撃は躱されて、ヴェラの頭蓋を掠めたのみ。 けれど頭部を切り裂いた毛皮。 焼け焦げたような跡まであるそれは、確実に消耗している事を思わせて。
…同じのを使い過ぎなんだって。
ちらりとそんな事が頭を掠めたが、言葉にはしない。
>>78衝撃波は、彼の突撃を弱める効果を成したか。 けれど矢のように飛び込んできたヴェラの身体は減速しつつも。
フォシャールを振るった直後で上半身のガードが空いた魔物に、届く。 それはこの村に着く前に再会した時>>0:124とそう離れていない位置か。]
(85) 2013/06/18(Tue) 01時頃
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[掻い潜り、掻い潜り、やっと辿りついたイアンの胸>>85。 両の前足が、その場所についたのは、頭部を薙ぎられていた故か。 牙をあてることも叶わず、肉球は堅牢な鎧を叩いたのみ。 ほんの刹那去来するは、雨の森で、びしょびしょになってはしゃいだ記憶>>0:114>>0:124]
……馬鹿もの。倒れろ。
[魔法がほどけ、鎧についた両手が離れ、頭から血を吹きながら、落下する。 無理だ。と警鐘がなる。情が残るなどというものでは、決してない。 そんなわけでは、決してなく……。 もう一度、今と同じだけの力を解放すれば、供物が朽ちると察したため。 仮にこの場で解放させようにも、狼にはこんな密着した場所から、戦い技などありはしない]
(86) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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叶うなら。 せめて、私の手で殺してやりたかったんだがな……。
[流れる血で右目が潰れ、残る眼で見上げて、呟いた。 表情の汲みとれない、魔物の顔を見つめ。
それはもう、おそらくは叶わない。
ならば……着地と同時に身をひるがえし、人の姿のまま、彼の背後、その奥へと走りだそうとした。 そこで死の淵を彷徨っているであろう、ツェツィーリヤのもとを目指して]
(87) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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− 現在・広場 −
[何度も訪れたが、実際に紅い雨に打たれるのは初めてだった。
誰が何に対して泣いているのだろう。
間違っていると言われても、もう遅いのに]
ソフィア…怖いなら…誘き寄せるだけでも…。 頼まれてくれないか?
[判断材料の少ない中、 熟考の時間を与えまいと言葉を重ねたが。 俺の次の行動は全て、ソフィアの返答次第**]
(88) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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[回復し始めたホレーショーを見て、ソフィアの気持ちもだいぶ解れてきた。 素手で魔物を相手にできる、などという冗談>>72にはくすくすと笑いながら、]
…もう。やめてくださいよ、 実際に持ち上げられるなんて思ってませんって。
[しかし、顔を見ればその目は笑っていなくて。 続く言葉に、一気に現実に引き戻される。]
ヤニクさんと、コリーンさんが…
[名を聞き、瞠目する。 先ほど過った、嫌な予感>>51。 思い返されるのは、ここまでの彼らの言動…]
(89) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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[コリーンは言った。『私が対象なら。一人になったところを、順番に殺していく。』>>1:117と。
その後、廃屋の外へ出て、事実上一人になったホレーショー>>1:105
魔物の群れの中を、ホレーショーを探して単身駆け抜けていったコリーン>>2:16。
あれほどの魔物の中に飛び出していったにも関わらず、再び出会った時には彼女はほとんど怪我もしていなかったようで>>2:55
ホレーショーを探しに行ったはずなのに、彼を連れもせず、今度はヴェスパタインに会いに行くと言ったのだ>>2:79。]
(90) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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[…もしかして、あの時既に。 ホレーショーはコリーンに攻撃されていたのではないだろうか。
コリーンとホレーショーは仲が良さそうに見え>>1:125、 不意を突くことは可能そうに思えた。]
(91) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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[一方、ヴェスパタインに良い感情を持っていないように見えたヤニク>>1:93
治療を終えた後も、彼の名を呟いていて>>2:100
コリーンと共に、ヴェスパタインの死体があったという>>2:173崩れかけた小屋へと向かって行ったではないか。]
[別れた後、二人は ……ヴェスパタインを『殺害』したのではないのか…?]
(92) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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[ソフィアは、ヴェスパタインがいつ死んだのかを知らず、 また、ホレーショーがヴェラと行動を共にしていたことも、 崩れかけた小屋でコリーンやヤニクと出会っていたことも知らなかった。
だから。 自分の知ってる情報を繋ぎ合わせて、そう結論付けた。
ホレーショーは、二人に襲われて、ここまで逃げてきたのだと。]
(93) 2013/06/18(Tue) 01時半頃
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―…っ。
[>>86がら空きの上半身。 喉笛を食いちぎられる事も覚悟していた。 けれどヴェラが到達したのは、再会の時と殆ど同じ位置。 痛みはなかったが、まるで何かで傷つけられたかのように動けない。]
…っ…。 ヴェラさ…。
[魔法が解除されて人間に戻るヴェラ。 鎧についた両手が離れ、頭から血を吹き出しながら彼が落ちていくのを、感情の分かりづらい顔で茫然と見ていた。
手を差し伸べる事は出来ない。 ―彼も、望んでいないだろう。]
(94) 2013/06/18(Tue) 02時頃
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[―ヴェスパタインと殆ど同じ事>>1:140を口にするヴェラ。 ガツンと頭を鈍器で殴られたような衝撃を受け。
>>87痛々しいその姿。 今なら止めを刺せるかもしれないのというのに、咄嗟に動く事が出来ない。
そして、ツェツィーリヤの元へと走っていく彼を止める事もなく。 その後ろ姿を見送っていた。**]
(95) 2013/06/18(Tue) 02時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2013/06/18(Tue) 02時頃
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[イアンの喉笛に辿りつけなかったのは、あくまでそこで力の限界に達したため。 打ちつけた肉球も、精一杯攻撃の意図を込めたもの。 巨大な肉体の傍を落下しながら見上げた顔は、魔物と魔法使いとして再会した時から同様、感情の読みとれないものではあった>>94が。 名前を呼んだ彼の声を耳にして、見つめていた視線>>87をふいとそらした。
一方的な思いであれど、あわせる顔がない。 望んだ願い>>87は、もう叶わない。
そう察した瞬間、ヴェラは一方の手としてではなく、1人の魔法使いとして駆ける。 望んだ願いは放棄して。どんな手を使っても魔物の殺害を担う、1人の魔法使いとして。
警戒するは背後からの攻撃。 食らっても構わないとは思っていた。最後の瞬間に、自分の右手さえ届けばいいと。 ただ、少なくともしばらくの間は襲い来る気配もなく。 死に瀕したもう1人の魔法使いのもとへと、辿りついた]
(96) 2013/06/18(Tue) 02時半頃
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[ツェツィーリヤ。お前の名前>>0:179。 ちゃんと、覚えている、ぞ。
斬り伏せられた彼女>>2:201に、無言のままに呼びかける。 おそらく、通じることはないとは思うも、その右手を彼女にかざしながら。
私は強い。が、この魔物の殺害は、私だけでは無理だ。 だから……不躾ですまんが、共に戦って欲しい。
ヴェラが思うは、先ほど思案した『2つの選択肢』>>40。 『生贄』か、『救済』か? ……いいや、違う。
『贄として喰らいつき、その全てを我が糧とする』か]
(97) 2013/06/18(Tue) 02時半頃
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[少々獣臭い前足だが、そこは我慢してくれ。 お前の力の全てを、ここで解放させてもらうぞ。
『贄として喰らいつき、その全てを我が糧とする』か ……魂は右手に収めど、『その人物そのものから、全ての力を引き出す』か。
選んだのは、『生贄』。
ツェツィーリヤを供物とした、『 生 贄 魔 法 』の発動]
(98) 2013/06/18(Tue) 02時半頃
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[『生贄』を実行する右手に力を込める。 応じるように、ツェツィーリヤの体が中空へと浮き上がる。
赤い雨を一身に受け、立ち上がるように地から足が離れて行き。 やがて、僅かに地から浮いたまま、かつて微笑みを浮かべていた魔法使いの体が激しく痙攣し始める]
イアン。
[確実に魂を捉えていることを察知すると。 背後にいるであろうイアンに向かって、一声告げた]
……すまん。
[魔法を発動のトリガーとして、多くの魂を啜った右手が、力強く閉ざされた**]
(99) 2013/06/18(Tue) 02時半頃
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風来坊 ヴェラは、メモを貼った。
2013/06/18(Tue) 03時頃
風来坊 ヴェラは、メモを貼った。
2013/06/18(Tue) 03時頃
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[ヤニクは何と答えたか。>>79 外へ出るとしても、もう少し留まるとしても。]
手、貸してくれる?
[そう言って、再びスカートの裾を細く裂く。 残りの長さ? 大丈夫大丈夫。
貸してもらえたなら、傷だらけの手、血をそっと拭ってから、破いたものを巻きつける。 手を使うのに邪魔にならない様に、けれども少し厚目に。 それは簡易治療であり、そして、今後魔法を使用する際に、緩衝材として少しでもダメージを和らげられればと。**]
(100) 2013/06/18(Tue) 05時頃
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…ん。探さねーと。
あと、ホレーショーもだし、 ソフィアとか、誰かと一緒なら安心なんだけど…… [其処まで、考えて]
魔物、誰なんだろ。 ……あんたじゃなさそーだってのは、分かったけど。
[手を貸してと言われてとっさに出すのは、無傷の左手]
え?あ?違う?…こっち?? あー、平気だって、マジで………
いや、その、すんません。
[誤魔化しきれず、渋々受ける手当て]
んじゃ、行こうぜ?
(101) 2013/06/18(Tue) 10時頃
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…あァ。
[ツェツィーリヤに向かって右手を翳すヴェラを見て、彼女を糧にするのだろう、と思った。 それを許すな、奪い返せ、と右手が訴えるが、身体は思うように動かない。
>>98>>99―しかし、巨大な魔法が発動する気配。 ツェツィーリヤの身体が立ち上がるように宙を浮けば、はっとしたように全身を強張らせる。]
―…ッ。
[痙攣する彼女の身体は、間もなく魔法が発動するのを予期させ。 やはり先に魂を宿しておくべきだった、と魔物の本能で、ぎり、と歯噛みする。**]
(102) 2013/06/18(Tue) 11時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2013/06/18(Tue) 11時半頃
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ホレーショー? ……心配なのね。
[『みんな』と括らず、個別に口にされた名>>101、案じる言葉に、緩く笑む。 続く言葉には、ふるりと首を振って。]
分からない。 ……。そうなの?
[あんたじゃなさそう、と聞けば、少し目を丸くするけれど。]
(103) 2013/06/18(Tue) 15時半頃
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うん。私も、ヤニクは違うと思う……。 [そうして、手を貸してと言って差し出した左手のひらに、差し出されたのは同じく左手。 また、目を丸くして。]
これじゃ、握手もできないわ。
[小さく笑いながら、右手の方だと言い直せば、手早く処置をして。 行こうという言葉に]
ん。
[こくりと、小さく頷いた。*]
(104) 2013/06/18(Tue) 15時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2013/06/18(Tue) 17時頃
風来坊 ヴェラは、メモを貼った。
2013/06/18(Tue) 18時頃
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[狼の生態を知っているだろうか。 狼は通常、社会的な群れ(パック)を組み、強いものも弱いものも隔たりなく、互いに力を補いあいながら生活している。 共に狩りをし、外敵を遠ざけ、次なる世代を育みながら。 これだけを取り上げるならば、なんと仲睦まじい集団>>2:149なのかと思われてしまうかもしれない。
だが、野生は過酷だ。これは表層の一側面に過ぎない。
群れについてこれないものが現われたなら、ぎりぎりまでは見守れど、やがては諦め見捨て去る。 群れの調和を乱すものが現われたなら、集団で追いたて、別離させる。 一匹狼と化してしまえば、極端に寿命が縮まるだろうことを、知った上で。 そして、群れが己を養いきれぬと察したならば、自ら離れてその道を選ぶ。
生へのベクトルは、常に群れを維持するため、群れを維持するため。 個ではなく、例え心と違えども……集団を、重んじて]
(105) 2013/06/18(Tue) 19時半頃
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―現在/ツェツィーリヤの力の解放―
[右手で捕えるは、ツェツィーリヤの魂>>99か。 それは感覚的なものであり、描ける類ではなかったかもしれないが。 強いてあげるなら、生命が集約された光体を、その手の中に捕えているイメージ。 それを握りつぶした時が、彼女の肉体から魂が、完全に切り離される時となることだろう。
使わせてもらうぞ。
背後にいるイアンを振り返り、視線は強張ったように感じる巨大な体>>102へと向けられている。 しかし、無言で語りかけた相手は、手の内に捕えただろう、ツェツィーリヤの魂。 これから、魂を奪い去る。 狼の習性と違わず、群れを維持するために、個を切り捨てて。 これまでと同じだ。疑わし、疑わしくないとは別にして、たとえ相手が誰>>2:181であろうと、群れを守るために排除する>>1:111と、決意していた思考と同じ。 恩義>>10や、親類への情>>50。誰かに対する潰えぬ記憶>>82などと比べれば。 それはひどく人間味のない、下等で獣臭い思考と思われるかもしれないが]
(106) 2013/06/18(Tue) 19時半頃
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[手のうちで感じるのは、ばちり、ばちりと爆ぜる稲妻の胎動。 共鳴するかのごとく、雨雲に覆われた空が、ちかり、ちかりと瞬きだす。
雨と共に弱弱しく落ちてくるのは、ぱちっ、とようやく耳に届くほどの、か細い雷筋。 ぱちっ、ぱちっ、と幾筋も。 ツェツィーリヤを中心として。囲む森を丸ごと包み込むほどの、広範囲の内側で。
水に溢れた地上に落ちるたび、ぱちっ、と音を立てて爆ぜる雷光。 それを、「使わせてもらう」への是の返答なのだと、感じるほど傲慢ではない。 己はただ、これから獣臭い思考のままに、ツェツィーリヤの命を喰らうだけだ。
ただ、同時にこの想いが固まっていくのは、ヴェラがなおも魔法使いであり、人間である証左だろうか。 「ツェツィーリヤ」と、血濡れた顔でようやくはっきり名をあげて。 彼女の姿は見ぬままに、迷いなく、宣言した]
(107) 2013/06/18(Tue) 19時半頃
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お前の魂、私が引き継ぐ。
[これから行う行動の結末。それは、仮に脳で感じていなくても、この状況を彼女が感じていれば、察することができる内容だろう。 だから、本当に告げたかった言葉は、その後に続くこと。 人型魔物の一撃で吹き飛ばされる小さな体は、強いとは言えないのかもしれない。 大言を吐きながらも望みを達せられない>>87力の無さも、強いとは言えないのかもしれない、けれど]
私は強い。だから、決してそれを無駄にはしない。
[そうであり続けると示すことが、ヴェラにとっては人である矜持。 背負い方や、行動の起こし方は、人それぞれ違う>>47だろうが。 相手の真意は分からなくても、それが慰めになるかどうかも分からなくても。 狼では認識できない『魂』>>2:143にとって、ヴェラが強くあり続けていることが、せめてもの慰めになる>>1:138だろう、と信じて]
(108) 2013/06/18(Tue) 19時半頃
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……すまん。>>99
[イアンにそう告げる手の中で、雷の力が増幅される。 これは、ツェツィーリヤが魂に秘められていた何かが、具現化したものなのか。 それともただ、彼女が最後に愛用していた供物が、雷の力を帯びていたからだけなのか。
手の中で感じる力の増幅とあわさって、宙に浮くツェツィーリヤの体が、球体の光に覆われていく。 その表面に、いくつも放電の筋を従えて。 その姿はさながら、赤い雨にもかき消せない、雷《イカズチ》を纏った聖女のごとく。
後方より感じる、絶大な魔力。 その明りは、頭の一部を欠損したヴェラを、明るく激しく照らしている。
もはやイアンを自らの手で、彼が目にしてきたヴェラのやり方で、殺してやることは叶わないだろう。 「だがな」続けた言葉の後で、蓄積された魔力を開放すべく、右手を力強く握りしめた。 それすらも、実際には叶うかどうかは分からないけれど……]
(109) 2013/06/18(Tue) 19時半頃
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せめて、お前の魂を引き継ぐぐらいのことは、やってやる。
[ツェツィーリヤの体を覆っていた球体が、火柱のように天へと昇る。 稲妻の力を携えて、降り注ぐ雨を貫いて。 雨雲の腹に突き刺さり、隠された太陽が姿を現したがごとく、暗い空を瞬かせ……。
光体も、生命も失ったツェツィーリヤの体が、ぬかるみの大地に倒れ伏すと同時に。 『一柱へと収束された巨大な雷《イカズチ》』が、地上を撃ち抜いた。 地を震わすほどの、轟雷と共に。
振り落ちる先は、魔物と化したイアンの体か。
イアンはどう反応するのか。 ともあれ、繰り出した生贄魔法の結末は、必ず見届けるつもりだ。 仮にそれが、何らかの理由により、我が身を撃ち砕く結果になったとしても**]
(110) 2013/06/18(Tue) 19時半頃
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