315 【La Mettrie〜存在という機械が止まる時】
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[ラルフお兄ちゃんと中庭に戻ってくると フェルゼお兄ちゃんがいた。 どんなふうに話しかけたらいいのか分からなくて]
……ロイエお姉ちゃんも、いた。 静かに寝てるみたいだった。
[自分のつま先に向かって話しかけた。 丁寧に弔ってくれたフェルゼお兄ちゃんにも、 聞えるぐらいの大きな声で。]
(29) 2023/01/05(Thu) 22時半頃
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[ラルフお兄ちゃんの提案に>>13 スープを食べなきゃ、って頭では思った。 マーゴお姉ちゃんが一生懸命作ってくれたスープ。 最期まで、目の前に迫った死よりも やせっぽちなおれのことを心配していた。 死後の世界があるのかは分からないけれど もしもマーゴお姉ちゃんの魂が まだ辺りを彷徨っているとすれば しっかり食べて、おれが元気になるのを 望んでいるだろう。
だけど、頭では分かっていても 体はしばらくの間ついてこなさそうだ。 とても喉を通るとは思えなかったから 返事はしなかった。
ラルフお兄ちゃんが厨房に行ったなら ついて行きこそしただろうけれど、 どうだっただろうか。]
(30) 2023/01/05(Thu) 22時半頃
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[だけどその場では、 代わりに、別のことを聞いた。]
ロイエお姉ちゃんも、 マーゴお姉ちゃんも死んじゃった。 ミタシュはいなくなっちゃったし、 ジャーディンさんも、いない。
[それから、フェルゼお兄ちゃんの方を ちらりと伺って、聞こえないように声を潜めた。]
フェルゼお兄ちゃんまで 怖いこと>>18言ってる。
……ラルフお兄ちゃんは、 おれを置いて死なないよね?
[どんな返事をもらったところで 安心できないかもしれない。 それでも、聞かずにはいられなかったんだ。]*
(31) 2023/01/05(Thu) 22時半頃
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掃除夫 ラルフは、メモを貼った。
2023/01/05(Thu) 23時頃
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>>+22 『生命の導き』は、…死んだ人を生き返らせる力まではない、みたいですね。
[いつか自分にも『死』がやってくるとは思っていたけれど、 まさかあんなに唐突にやってくるとは思ってはいなかった。]
フェルゼは… こうやって沢山の死を見送ってきたんですね。
[そう考えると、彼の反応もわかるような気がした。 どのくらい長い時間、彼は、一人で ―― あるいは、エンジェルシイラと共に、人を見送ってきたのだろうか。
その長い時間を想うと、―― 胸が痛む。]
(+26) 2023/01/05(Thu) 23時頃
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>>+23 そうですね、マリオは、泣かなかったかもしれません。 でも、誰かの命と引き換えに生きながらえたくはなかったかな。
[自分でよかったと、そう思ってしまったのだ。
此処に来るまでの道のりも、この廃墟の中でさえも、 汚染された植物と生き物で満ち溢れている。 水もどれだけもつのかわからない。 けれども、生き残った人たちに幸いがあって欲しいと思ったのだ。
マリオが大きくなったら、きっと美人になるし。 それを見届けられないのは少し寂しいと思ったけれど、 口には出せないで曖昧に笑って見せた]
ええ、きっと。 柔軟な子だから、きっとすぐに懐いてくれますよ。
[あの時のジャーディンさん、本当に怖かったですもんね、と、少しだけ意地悪を言ってみたり、した]
(+27) 2023/01/05(Thu) 23時頃
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>>24 [笑われたことで恥ずかしくなって、慌てて目を伏せ、髪を手櫛で整える。 そんな風に言ってもらったこともなかったから、どうしていいのかわからなくなる。
口さがない人々に、妹と比べられることも多くて、自分の容姿も好きではなかった。 太陽までも惹きつける夏の花のように明るい妹は、本当に愛らしかったから。
なのに、眉間をつつかれて、さらに言葉を掛けられれば、真っ赤になって俯いてしまうことでしょう。
蔦から解放されたジャーディンさんは、陽気な性質を取り戻したようだ。元々は明るい、人好きのする青年だったのだろう。
つつかれたところを抑えると、考えるふりをして、口をへの字に曲げた]*
(+28) 2023/01/05(Thu) 23時頃
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──回想・厨房にて──
[スープを取りに厨房に向かうと、 ついて来たマリオが話しかけてきた。>>31 少し冷めたスープを盛る自分の手に 震えが来ていないことを確認しながら、 ぼそぼそと低い声で答える。]
──ああ。 そうだな。
[毒見をし過ぎたせいなのか、 やや視界が暗い。 ここまで生き残ってしまったが、 もう、いいんじゃないか?──]
(32) 2023/01/05(Thu) 23時半頃
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[もう生きてる理由なんて──、
絶望感と戦いながら、傍らのマリオを見た。 不安そうに見上げる顔。>>31 それまでになく近くでじっと覗き込むと、 澄んだ子供の瞳がそこにあった。
不安混じりだけど、 希望を捨てたくない眼。 遠い昔、望遠鏡で覗き見た遠い星のような 潤んだ光──
昼も夜も薄暗い、奇形生物だらけの世界で それは唯一守らなければならないものにさえ 思えた。]
──マリオ…
(33) 2023/01/05(Thu) 23時半頃
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……大丈夫。 俺はしぶといんだよ。
[3つの皿を器用に腕に乗せて、卓へ運ぶ。 ずっと立ち尽くしていたフェルゼに声をかけた。]
フェル…
[彼の顔を真っ直ぐ見たのは初めてだっただろうか? 白い眼差しの奥に、何か小さなものが回っている。 ──歯車だった。
彼は、時計塔のように、体内に歯車を飼っていた]
(34) 2023/01/05(Thu) 23時半頃
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[自分の身体が運ばれていくのを、>>11 横たえられてシーツをかけてもらうのを、>>27 不思議な気持ちで見ていた。
自分はここにいるのに、そちらはただの抜け殻なのに。
自分の残したものが迷惑をかけているのを見ると なんだかとても申し訳ない気持ちになった。]
[誘われるままに厨房へついていく。ラルフにもマリオにも、フェルゼにも、私たちは見えないのだろうけれど。
空いている椅子に座って、まだ生きている人たちの様子を見守る。 願わくば、この優しい人たちの行く末が明るいものでありますように、と祈らずにはいられなかった]
(+29) 2023/01/05(Thu) 23時半頃
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キュオオオーーーン
[どこかでエンジェルシイラの声がする。 思わず後ずさり、マリオが居れば手を取った。
先程のフェルゼの言葉が頭に響く。 "なんだか、もう、終わりという感じがしています。"]
フェルゼ……お前は… ……そうか。
(35) 2023/01/05(Thu) 23時半頃
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ラルフは、最後に何を見ただろうか?*
2023/01/05(Thu) 23時半頃
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[フェルゼの白い白い眼の中で 歯車がぎりりと回る音が
何か、恐ろしいものの予兆の様に 周囲に、響いた]*
(+30) 2023/01/06(Fri) 00時頃
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掃除夫 ラルフは、メモを貼った。
2023/01/06(Fri) 00時頃
ジャーディンは、エンジェルシイラの咆哮が、世界の軋みのように聞こえた*
2023/01/06(Fri) 00時頃
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