36 森の中の小さな村【言い換え無し】
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―現在―
[何が起こったのか、よく覚えていない。 目下にあるのは、己の無残な死体]
……え?
[眩暈。揺らぐ存在、揺らぐ意識。 何が起こっているのか、認識できないまま、少女の残留思念は生者の気配―――集会場へと引き寄せられた]
(+5) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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[男は、刺されたかのように、ぐっと息を呑んでいた。 ホリーの遺体に近づくと、直ぐ傍の地面に膝をつく。 無残な傷口を指で撫ぜながら、声を刻んで呼吸した]
だから言ったじゃないか。 見たくない。
[寄る辺のない少女が時折覗かせていた表情は 神に縋るその姿は、決して忘れられないものだった。 予期せぬ死に、狼狽するしかなかったのは、 少女と同じ無力感に、かつて自らも捕らわれていたせいだった]
(22) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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[重たい溜息を吐き出した]
わかっている。わかっている。 それくらい、私だって、俺だって承知していた。 嫌がられても、泣かれても、いや、力ずくで制しても。
[ぎりと軋む音が鳴るほどに、強く奥歯を噛み締める]
天国の門をあける鍵は、やはり永遠に失われていた。 もがくほどに救いはなかった。
生きるとは、そういうことだ。 肉体は朽ちていく。魂だって覚束なくなる。
[長い間、ずっとそうしていただろう]
(23) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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“女の第六感”を信じていただければ、それが一番早いのですけどね。
[スティーブンの笑みを映すように微笑んで、首を傾げる。 スカートのポケットに手を入れて、中からマッチ箱を取り出した]
信用しなくても構いませんから、協力していただけませんか? 女手ひとつでは分が悪すぎます。
(24) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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死ぬことが、そんなに怖いか。
[そう自問すれば、否とは言えない自分がいた]
まだ死にたくないと思う。 怖いからだ。死ねばどうなるのか、わからないからだ。
[生者の宿命を呪う様に、左の拳を握りこむ。 動かない右の肩からは、怨嗟の囁きが聴こえる気がした]
生きたい。
[浅ましく漏れ出る心根。頬を緩めて苦笑する。 指を失った左手の甲で、ホリーの頬をそっと撫でると 空へ立ち上る炊煙に、ちらりと群青色の瞳を向けた]
(25) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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行くか。サイラス。
[少し離れた場所に立つサイラスと目が合えば、 そう言って、鮮やかな笑みと共に肩を竦めた。 不自由な左手で指差すのは、空に映る診療所の煙]
(26) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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……何をするつもりなんだい?
[ 喉の奥で呻くような声。無意識に皺寄る眉間。 一人の大の男が、目の前の女性の雰囲気に気圧されていた ]
チャールズが人狼だという証拠でも見つけたと? そういうこと?
(27) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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[かける言葉は見つからず、ただ彼の行動を待った。 顔の向くほうへと目を向ける前に、チャールズの視線とかち合う。 名を呼ばれ、示された方向へと視線を向けると、あぁ。と、得心したような声が零れた。]
あそこに居るのか。 行かないわけには――。
[ふっと息を吐いて、言葉を止める。 何をするのか、それは理解しているから、力のない声で呟いた]
人間か人狼か、一発でわかりゃいいのになぁ…。 チャールズ司祭も、行くんだろう。あそこに、――誰かを殺しに。
(28) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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そうです、と言っても、どうせ信じてくださらないのでしょう? 客観的には何も、証明なんて出来ませんもの。
[入り口にあるランタンに近づいて、マッチを擦る。 三度目でようやく火が灯った]
それでは質問を変えます。 私は先生が人狼だと思っています。 そう言ったら、先生は私のことを殺しますか?
[光を放つランタンを掲げ持ってから、その手の力を抜いた。 ガシャンという鈍い音が床で散った]
(29) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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まあ、そんな都合のいい判別手段などないだろう? 神ならぬ身の我々にはどうすることも出来ん。
[サイラスの反応を見て、指を下ろすと苦く笑う]
薬、ありがとう。 まだ痛いが、君の名誉のために言っておこう。 ちゃんと効いている。サイラスはいい調剤師だ。
[軟膏の礼を言うと、とんとんと指で肩を叩く。 そして、表情を徐々に鋭く絞っていきながら答えた]
ああ、殺しに行かないと生き延びれないからな。 現実逃避者に、現実を突きつけに。
(30) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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[集会場にいた意識は、生者の気配を追うように再び自分の無残な遺骸の元へと流れゆく。 >>23 傍らに立つ儚く揺らぐ大きな黒衣の背を見つけ、そっと寄り添う。 死に際に握りしめていたひしゃげたロザリオは、今は無い]
………死ぬって案外、あっけないものだわ
[死に際の記憶がゆらゆらと覚束無い、実感の伴わない呟き。 薄れて行く自分の存在。意識。 そして生きている人に忘れられた時、本当に自分はこの世から消滅するのだろう、そんなことを漠然と思う。]
神様は傍に居て呉れないかもしれないけど、 貴方が人狼でないのなら、 誰かと共にいることはできるのかもしれないわ。
(+6) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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…生きているうちに気づけばよかったな。
[ただ当たり前のように過ごしてきた日常の尊さに、初めて気がついたのは、惨劇で全てを失った後だった]
(+7) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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パピヨンさんが本当に判別できてんのかもわからないけど、そうやって自分がわかると思っていられるんなら、それが一番いいよなぁ。 ……神、ねぇ。
[ゆるく、口許に笑みを作った。さすがに聖職者の前では否定の言葉は出ない。 しかし、続く褒め言葉に、きょとんとして。]
司祭、あんたいきなり何言い出すんだ。 ったりまえだろ。しっかり修行した薬屋なめんな。 ――まぁ、痛いんなら無理しすぎないで、大人しくしてればいいさ。
[肩を見やって、溜息一つ。 そうして続く言葉に、表情に、煙の昇る方向を見て、]
……まぁ、全部はそっちで決めようか。 どうせ皆、人殺しだ。
(31) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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サイラスは、チャールズの示した、煙のあがる方向へと足を向けた。
2010/11/22(Mon) 23時半頃
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[ 女性の言葉に思わず俯く。 コップの中身をすすった時、耳に届く思わぬ言葉。 表情を失った顔で、錆びついたかのような鈍い動きでパピヨンへと振り向いた時、ランタンが床に落ちるのが見えた ]
っちょっ…! な、何をするんだ!
(32) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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スティーブンは、慌てたせいでコップのぬるい白湯を取りこぼしてしまった
2010/11/23(Tue) 00時頃
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どうして、私じゃなくてホリーだったのか、それがわからないんです。 なぜ私は生かされているのでしょう。
[床が焼ける臭いが立ち上る。 ポケットに右手を入れて、そのままゆっくりと近づいて行った]
……先生、どういう、おつもりですか?
(33) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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パピヨンか。どうだろうな。
[ホリーが人狼に襲撃された以上、 自らの考えを述べる必要は、もう感じなかった。 わからない、そういった風に首を振ると、 サイラスと歩を同じくして、診療所の方向へ進む]
確かに。司祭の役目を果たせない私とは違うようだ。 今度は、何か温まるものでも頼もうか。生姜とか。 ………私の好物だぞ、薬屋。
[それきり口を噤んでいたが、人殺し、の部分にぴくり]
違いない。 誰も殺してないやつは、生き残ってないだろう。
(34) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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お、お湯があったはず……いや、ダメだあれは油だからっ! あああ、もう、何を、何がしたいんだ君は!
[ 慌てて立ち上がり下手糞な舞を舞うようにおたつきまわった。 背広を脱ぎ必死の形相で床の火に叩きつける ]
人狼だとか人間だとか、そんなことより先に消火だろう! 手伝って!早く!
(35) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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本人にしちゃ楽だろうなぁ、と思うんだが。
[頬をぽりぽりとかいて、溜息。 無いもの強請りだとは思うが、と呟いて。 ――まさか道中、火事の危険だなんて考えなかったし、怪我もあって歩はさほど早くない]
あんたは十分司祭の役目を果たしてると思ってたけどなぁ。 ……生姜は薬と違うだろう。 そういうのは自分で育てればいいじゃないか。 指がなくても、出きるだろう。
唯一の子供も、死んだからなぁ。
[ゆっくりとはいっても、道を行けば、煙の色が変わっているのも見てとれる。 なんだあれ、と眉を寄せて。]
(36) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[慌てふためく医師の姿に、肩の力が抜けた。 首をふるふる振って、ポケットの中からナイフを取り出す]
ダメですよ先生。 全部燃やそうとしているんですから。
[背後から覆いかぶさるように飛び掛って、スティーブンの喉元にナイフを押し付けた]
(37) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[集会所の傍を通れば、無残になった少女の姿。 誰が食われたかは知っていたが、それでも無残な姿には心が痛む。
何かが聞こえたかのように、すっと振り向いた。 声の聞こえる方を見つめる。視線の先には、白い煙が立ち昇る診療所]
(+8) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[ 急所を狙うナイフの出現に思わず動きを止めた。 しかし熱は広がり足元から迫ってくる。 ナイフをつかむ腕を両手で掴んで力を込めれば、男と女の力の違いは歴然。もたつきながらでもナイフを少し遠ざけることは出来る ]
……君も、おかしくなってしまったのかい? 僕が、人狼だっていう証拠は、一体どこに、あるんっ…だ!?
[ 腕を捻ってナイフを落とさせようと試みる ]
(38) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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『人を裁くな。 自分が裁かれないためである。』
[聖書の一節を唇に乗せる]
……自分以外誰もいなくなったら 誰にも裁かれないわね。
[眩しい光―――それは、立ち上る炎。 気がつけば、診療所の近くに浮いていた]
(+9) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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誰かの性が見えるのだ。否応無しに。 私やサイラスならともかく、重荷に思う者は居るだろう。
[透徹な瞳の光を湛えて、サイラスの横顔を眺める]
そうか? なら薦めに従い植えるとしようか。 また聖書を持つには、生憎と指が足りないからな。 ホリー………。そしてノーリーン。
[静かな諧謔に逃げると、死せる者の名前を呼ぶ。 道を進めば、サイラスが見たのと同じ光景を眼にする]
(39) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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まさか、こんなに減った人数で、火事か?
[顔を見合わせると、駆け出すように促して。 自らは傷を負っている肩を庇いながら、 やがて診療所のドアに取り付くだろう]
開けるぞ。
[覚悟を確かめるように、サイラスを見つめた]
(40) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[残ってた躊躇が邪魔をして、殺すことは叶わぬままにナイフが手から零れ落ちる]
証明? 簡単ですよ。このまま朝まで二人で居ればいいんです。 私が襲われれば先生が、サイラスさんが襲われればチャールズさんが人狼です。 でも、そういうことではありませんよね。
[震える声でそう言って、羽交い絞めにしたスティーブンの足元を払った]
(41) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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『人の罪を許せば、また汝も許されるだろう。』 『人を赦せ、然らば汝らも赦されん。』
きっとできると思っていた、そんな頃があったわ。 言うほど、簡単じゃないのね。
嗚呼、人じゃないから―――関係ないのかしら。
[揺らぐ熱気の中、もつれる告発者と被告を見て無感動に呟く。 断片的に蘇る、死の記憶は―――彼の顔を写したか]
パパをママを、お兄ちゃんを、…私を殺したヤツを許すことなんか、できない。 ……でも。なんだか、もう、どうでもいいような気もするの。
[希薄になった存在感がそう思わせるのか。薄れて行く思い、記憶は、ぼんやりとしていく]
(+10) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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パピヨンは、物音にドアを見やり、「助けて!」と声を荒げる。
2010/11/23(Tue) 00時半頃
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そうだろうなぁ… 前の事件のときも、そんなことを誰か言っていた気がする。
[昔を思い返して。 植える、というのにはそれがいいなんて軽く返す。
促されて頷いて、チャールズと共に診療所の扉へと。 怪我はだいぶ癒えていても、司祭の様子を少し気遣って。 開ける、というのには、あぁと頷いて。]
火がまわってこなきゃいいけど。
[と、中から助けを求める声――。 はっとして、早く開けようと、手をのばし]
(42) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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[ 視界が少しずつ赤くなっていく中、床に落ちたナイフの重い音がする ]
何を言ってるんだ!? 火をつけておいてこのまま朝までなんて、蒸し焼きで二つの遺体が出来上がるのが落ちだろう! 僕は死にたくないよ!君のような狂信者と一緒にしないでくれ!
[ 床に落ちたナイフを蹴りつけようとして間に合わず足を払われ、姿勢を崩して尻餅をつく ]
(43) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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スティーブンは、ハッと扉を見た。眼鏡を落としてしまってよくわからない
2010/11/23(Tue) 01時頃
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[パピヨンの悲鳴が聞こえた。 はっと手を伸ばすサイラスと共に、ドアを開け放つ]
…………!?
[鼻をつく異臭と熱気に肌を炙られて。 僅かな煙の幕の向こう側、瞳に飛び込んできた光景は、 スティーブンがパピヨンに羽交い絞めにされている姿だった]
(44) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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サイラスは、煙の向こうに、思わず、ぽかん、としてしまった。
2010/11/23(Tue) 01時頃
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[けほけほと咳き込む目元には涙がにじむ。 サイラスとチャールズを見やって、笑みを浮かべた]
私が火を放ったわ。 加勢する? それとも、私を殺す? お好きになさって。
(45) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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