103 善と悪の果実
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─広間─
[パーティーの開始を告げる場には、少々出遅れたようだった。 感嘆の声や、所々、小さな拍手の余韻が引いて行く中、広間の扉からは遠い壇上に目をやる。 輝く金色が見えた。
少なくとも人々の噂に登るその姿に、男も興味が無い訳では無い。 人の間を縫うように脚を運びながら広間の中央へと近づいて行く。
と、行く手に見覚えのある姿を見つけて立ち止まる。>>16 その傍らに、白いフード姿。 男は、眉を顰めた。
言葉を交わしているらしい2人の様子を暫く眺めていたが。 一旦、やり過ごす事にして脚を向ける先を変えた。
パーティーは、まだ長い。 今宵の一世一代の見世物を見逃す心配は無いだろう。]
(22) 2012/09/24(Mon) 12時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 12時半頃
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[>>18刺青の男の声が聞こえたのか、]
今は音が出なくても いつかその声を聴く方法が見つかると信じています…
[だから、そんな事は考えない と言いたげに 視線は果実から逸らさぬまま独白する。 誰に聞かすともなく呟いた言葉は、 周囲の音に掻き消されてしまいそうな程小さなものだった。]
(23) 2012/09/24(Mon) 12時半頃
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―回想―
ええと、ごきげんよう。
「機械が回す飲み物を眺めていれば 背後より声を掛けられて>>3ゆっくり振り向く]
美声ですね。
[振り向いた先には黒いロングドレスを纏った女性。 耳に心地良い声に相応の、 美しい容姿を備えているように感じた。 おそらく招待客の一人だと当りをつけて]
(24) 2012/09/24(Mon) 13時頃
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ええ、この機械を見つけたらつい使ってみたくなって。 じっと眺めてたんだけど、貴女もこういったものに興味が? っと、招待客の方だよね。自分はオスカーと言います。
[礼儀というものは、付け焼刃ではやはり問題だ。 同じ招待客だと疑われないよう なるべく丁寧な口調で自己紹介を行ってから 名前などを伺う会話をする暇はあっただろうか。 兎も角、使用人の案内に従って大広間へ足を踏み入れた**]
(25) 2012/09/24(Mon) 13時頃
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― 宴の始まる前 ―
[解かれた手の中、首の落ちた花が再び息を吹き返すが如く、ブロンドに赤が、舞い戻る。 触れる指は細く、少女のそれとは大きく違っていた。瞳を伏せ、動かぬよう息を細く吐いた]
ありがとうございます
[微笑みには視線を合わせ、礼をすれば、一度口を引き結び、名を返す]
ポーチュラカ・ブロワと申します コリーン姉様ってお呼びしてもよろしいかしら
(26) 2012/09/24(Mon) 13時頃
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― 大広間へ ―
[広間に向かう途中、薄汚い子供と目が合った。 まだ小さいのに、と。 おそらくこの屋敷の中で一番身長の低い少女は思う。 もう子供ではないという自負を持って、少年の礼に、少しだけ膝を屈め挨拶を返した]
大広間はさぞかし…
[煌びやかなのでしょうね、続く言葉は飲み込まれ 開いたままの口を左手で慌てて隠した]
(27) 2012/09/24(Mon) 13時半頃
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[人の間を進む中、一人の男の姿が目に止まる。>>19 黒い礼服姿、真鍮製のオペラグラスを手に、遠い金の果実を眺める横顔。
先刻、この男に向けられた嫌悪、もしくは、警戒。 暗く冷たい視線を思い出した。
―― 夕闇伯。
その名は、警官であれば大抵の者は知っている。 つまりは、互いに疎ましい間柄ということだ。 彼の横を通り過ぎようとして、ふと、その呟きが耳に届く。>>20]
―― 手に取られてみたい、とお思いですか? 流石に、この警備だと難しそうだが。
[すれ違い様、彼の耳元に囁くように言う。 伯爵がこちらを向けば、薄い笑みを浮かべて見せてから。 目礼をした後に、その場を去っただろう。]
(28) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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[広間を出たものか一時、悩んだところで。 一際目を引く、黒いドレス姿の女が目に止まった。>>23 屋敷を訪れた際に挨拶を交わした事を思い出す。
その傍らにある、小さな人影。 立ち姿から育ちの良さが判る少女だ。 見ている間、二人が会話を交わす様もあったかも知れない。
ちらりと先程の刺青の方を向く。 少し考えてから、通りかかった使用人を呼び止める。]
ノンアルコールを二つ。それと女性向きのカクテルを。
(29) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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[先程の2人が知り合いなのであれば、様子は見ておきたかった。 金と時間を持て余しているだけの放蕩息子だけであれば、さほど気にとめる事もなかっただろうが。
腕にかけたコートを持ち直し、女と少女の傍へと向かう。]
―― 失礼。淑女様方。
[声をかけ、こちらを向く目があれば一礼した後、穏やかな笑みを作る。]
もうご覧になられましたか? 黄金の林檎は。
(30) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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― 大広間 ―
[後ろで閉じられた扉。演出だろうと気にもとめず、その場に集う大多数の人と同じように、少女の視線は壇上へと吸い寄せられる]
お姉様………綺麗
[ほお、というため息と潤む瞳は女主人と ――そして、禁断の果実へと向けられる]
(31) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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…御機嫌よう、ミスター
[礼を返し、微笑と共に首をかしげた]
遠くからじゃ良く見せませんわね
[叶うならば手にとって 誰も聞いたことがないという、その音色を響かせてみたいと、口にすることはなくとも、その想いは多かれ少なかれ広間に集う者の心にあるだろうが]
(32) 2012/09/24(Mon) 14時半頃
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[首を傾げる少女の言葉に、小さく息を漏らして笑う。]
…もう少し近くに行ければいいのですがね。 この人では。
[言いながら周囲を見渡す。
焦がれるように先程まで黄金の果実を見つめていた女。>>21 それから、見上げてくる少女の顔。二人を交互に見る。]
まぁ、始まったばかりだ。 いずれ、近くで見るチャンスもあるでしょう。
[程無くして使用人が運んできた飲み物を受け取る。 中身を聞いてから、二人へと促す。]
アールグレイアイスティ。いかがです?
[少女にグラスを差出しつつ笑む。 黒ドレスの彼女には、細身のカクテルグラスを勧めた。]
(33) 2012/09/24(Mon) 14時半頃
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[林檎に引き寄せられていくコリーンについていったものの、それでも前へ進むのには限度があって]
皆…同じものを見てるのが少し怖いわ
[同じものを見て、 同じ想いを抱くかは、わからねども]
ありがとう 少し喉が渇いていたの
[受け取って、言葉と同時に急速に乾いていった喉を潤した。きらきらと光る空気は紙吹雪の名残か。 背を追うこともできなかった、グロリアの消えたおくの扉をちらりと見やる]
(34) 2012/09/24(Mon) 14時半頃
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[>>28 手を伸ばせば届く場所にある果実を眺める もどかしさのある蜜月の時間は、 煙草のにおいと男の声に遮られる。
敢えて、声をかけてきた。 囁くような声の方を、鋭さ帯びた切れ長の眼で流し見る。そこに笑みはない。]
―――、……美しいものを手に入れたい。 自然な感情であると思うがね。
無論ただの、……戯言であるよ……。 嗚呼……よもやこんな席では職業病は出すまいな?
[貴婦人が持つ扇のように 口元をオペラグラスが半分隠す。
対する男は薄笑みを浮かべている。 立ち去る背へ、暫し意図を考えるように視線を向けたまま。彼が身を持ち崩しているとまでは夕闇伯の知るところではないゆえに――だ。]
(35) 2012/09/24(Mon) 14時半頃
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[しかし、戯言と謂った。
―――果たしてそれは、真に本心であると謂えるのか?]
(36) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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[怖い、と言う少女の言葉。>>34 その幼さの残る面差しを暫し見つめる。 ここに渦巻いているであろう、羨望や欲を遠からず感じとっているのだろうか。 世に疎いであろうと思われる裕福な家の子供にしては、その視線は多感なようだ。
飲み物の礼を言われれば、軽く頭を下げる。]
それは良かった。 ああ…、申し遅れまして。 私は、ジェフ・エイムズと申します。 お二人は、ご同伴で?
[主には、少女に向けた問い。 貴族の幼い娘が、よもや一人でこのような場所に居る事もなかろう。 少女の大きな目が遠くの扉を追う先へ、男も目を向けたが。 彼女が探していたものには気づかぬまま。]
(37) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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……、――
[――あの、果実の輝きにあてられたのかも知れぬ、 と、オペラグラスを再び眼に当てることは今は控え、 テーブルからグラスをひとつ手に取った。 やはり、酒ではない。
警官は歌姫と少女の方へと向かったようだ。 一瞥するのは、やはりこの場の“異質”が気にかかるためであった。
>>11 人の合間からトニーと、 挙動不審であった男の二人連れを見つけると、 何の気まぐれか、――或いはこどもの足首に見えるプレート故か、緩やかに歩み寄って声をかける。]
……見えているかね?見るならば近くがよかろうよ。 ところで……彼が連れかね?
[と、トニーが服の端を握っている相手を、流し見た。]
(38) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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[その途中、先程すれ違った伯爵の姿が目に入った。
―― 戯言。
隠された口元は、何を浮かべていたのだろうか。>>35 こちらの挑発に、狼狽える事さえなかった切れ長の目がちらりと脳裏に過る。
その場所を離れて行く黒い礼服の後ろ姿から目を逸らし。>>38 冷えたグラスを傾け、強い酒をあおったせいで微かに熱く感じる喉を潤した。]
(39) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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ポーチュラカ・ブロワと申します
[ブロワの名はどの世界まで届いているのか。 事業が失敗してから暫くは続いていた裕福な暮らし。その元手がどこにあったのか、父が何をしていたのか――]
いいえ、先ほどお会いしましたの
[姉様、と呼ぶのを許されていれば つけてくれたの、と髪飾りを見せる時に甘い声で名を読んだだろう。 ジェフが貴族ではないことには感づいても、さすがにそれ以上のことはわからず、自分のそれよりも少し色の薄い金を、光を反射する瞳で見つめていた]
(40) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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[少女の口から出た、ブロワという家名には少しばかり覚えがあった。 かつては事業家としても名を馳せていた貴族の名だ。 当家の夫人が他界した後は、事業に失敗し家名も落ちぶれ、社交界から姿を消しているとも聞いたが。
会ったばかりだと話す少女が、少し甘えるような目で黒いドレスの女を見上げる様を見つめる。]
そうでしたか。 やはり、女性同士であれば打ち解けられるのもお早いようで。
[言いながら少女に微笑みかけ。 ふと、見上げてくる目に気がついたように瞬く。 そして笑顔に戻った。]
私も招待客ですよ。 身なりがこうな物で、仕事でいるのだろうと思われる方も居るようだが。
[無粋な気もし、自らの職業まで口にするには至らなかった。]
(41) 2012/09/24(Mon) 16時頃
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お仕事?
[思いもよらないことを言われた、と 可笑しそうに肩を揺らせばグラスの中アイスティーも揺れる]
ジェフ様は何をなさって暮らしているのかしら
[直球な言葉も子供ならば許されるだろうと思ってのこと]
(42) 2012/09/24(Mon) 16時頃
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[自分の物言いに笑われてしまったと思えば、困った様に首を傾けて見せ。 率直な問いを投げられれば、隠す事も無いと答える。]
警官です。 以前、こちらのお屋敷の警護にあたらせて頂いた事がありまして。
[言った後、グラスを傾ける。 アイスティは残り少なくなろうとしていた。]
(43) 2012/09/24(Mon) 16時半頃
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―邸内・大広間―
夕闇伯、どうも先程は。
[舞い散る紙吹雪もおさまったころ、やってくるのは夕闇の伯爵。 先は会話も軽くしか交わさず、非礼を詫びるように頭を下げた。 半ば無理矢理連れて来る形になったともとれる男を見上げ。 少し、思案する。
名前は適当に合わせられたとて、詳細を知らぬ男の連れと語るか…。 しかし、ジェフ殿には既に顔見知りでないと知れている。 足の銀を微かに鳴らし、口を開いた。]
いえ、先程お会いしたばかりです。 僕が迷子になってはいけないと、こうして下さっているのですよ。 小さな僕には、とても有り難いです。
[笑みは両方へと向けて。]
(44) 2012/09/24(Mon) 16時半頃
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あら、
[それはおそらく予想してしかるべき職業だったろうが、少女にとっては瞳をめいっぱい開くのに価することだった]
………そう
[瞳の色を隠すように、アイスティーを傾ける]
面白いお仕事でしょうね 私も早く働きたいのよ
[取り戻した子供らしさを誇張するように、すれ違う使用人に空になったグラスを預けると、両手を組み合わせる]
(45) 2012/09/24(Mon) 17時頃
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…僕が近づくと、果実が汚れてしまう気がするのです。
[ふと僕は自分の手に視線を落とす。 それは大人と繋いだ方の。]
それにあんなに高い壇上だと、僕は近付いた方が見えません。 残念ですが、遠くから見つめるのがお似合いでしょう。
[困ったような笑顔を、今度は夕闇伯に向けた**]
(46) 2012/09/24(Mon) 17時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 17時頃
ポーチュラカは、冷えた手で口元を隠し笑った――**
2012/09/24(Mon) 17時頃
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[返ってきたのは素直な反応。>>45 それがどういった意図であるかは汲めぬまま笑みを見せ。]
面白いかと言うと…まぁ、どうでしょうね。 お仕事、ですか? [少女の暮らしぶりまでは解らないが。 貴族の娘が口から出るとなると訝しむ程ではあっただろう。 しかし、深くは触れず。]
まぁ、警官だけは。 よした方がいいかも知れません。
[そう言いながら自分のグラスも使用人の盆に返す。]
(47) 2012/09/24(Mon) 17時頃
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少々、煙草を。 淑女の前では失礼に当たりますからな。 それでは。
[少女と女に一礼すると、その場を後にする。 広間内を見渡し幾つかの顔を認めた後。 壁際のサイドテーブルの横に移動すると、煙草の煙をくゆらせ始めた。**]
(48) 2012/09/24(Mon) 17時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 17時頃
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―大広間にて>>44>>46―
[やはり年齢には似つかわしくない落ち着きをもってトニーは答える。 先ほどのことは別段気にしていないことを 態度で示しつつ、笑む少年と、男を見た。]
……そうであったか。面倒見のよい事だな。
[とらえ様よっては含みを持たせたように聞こえる口調だった。 少しの間、男の方を静かに見つめる。]
(49) 2012/09/24(Mon) 18時頃
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――汚れる?
[トニーの答えを繰り返した。 少年は手を見る。小さく銀のプレートが鳴る音がした。]
ふ、随分と気を遣う。 ……そうそう禁断の果実は汚れはすまいよ。 そも、汚れていないものがあるかね……?
[この街に、この世界に――と、夕闇伯は可笑しそうに謂う。]
殊勝なことだな。 とはいえ身の丈を弁えるのも……長生きするには必要か
[そうして、低く笑ったのである。]
(50) 2012/09/24(Mon) 18時頃
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――>>8回想・エントランスホールより――
[シャンデリアの硝子は、まるで万華鏡のように 邸内のあらゆる美しい調度品や明かりを反射し、輝く。 そこに一色異彩を放つのは 草臥れた色、青白い顔を歪めた、男の姿だけ。
その硝子の彩にまた一点、色が加わる。 浅黒い肌に煤の色。掛けられた声に視線が吸い寄せられ、下がる。ハンカチで口許を押さえているとは言え、目の色を、瞬時に取り繕えなかったのは。 使用人の子供だろうと、間違った見当に油断してのこと。]
……、迷子かい? 坊や。
[柔らかく首を傾いだ、その後に。]
(51) 2012/09/24(Mon) 20時頃
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