25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[沈黙。 知っている声だった。]
……鵠。
[ぽつり、と呟くように名が落ちる]
(+30) 2010/08/07(Sat) 12時頃
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種を。 それは、困りましたね。
身をもたぬここでは、些か感情が出やすいのかも知れぬ。 お前だが誰ぞと契ってきたなど。
私の身に宿して欲しかった。
[見下ろす眼に僅か燃ゆる嫉妬。 死した身ではそれは叶わぬことだと、思えばそれもやがて鎮まる]
…ですが。 お前の生きた証が残るのなら、私はそれでも良いと、思う。
(+31) 2010/08/07(Sat) 12時頃
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鵠。
やはりか。 何故、貴方がここに。 疑いでも向けられましたか。
[冬を抱いていた腕を解く。けれども肩に手は乗せたままで]
もう、言うても遅いことか。
(+32) 2010/08/07(Sat) 12時頃
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私が居らずとも 私の子が
次の代へ、其の次へ
望みはひとつ 願いはひとつ
肉を喰らって血を啜り 人の身に種を植え付けて
――――幾日かけても 幾年かけても
必ず果たす 不条理なこの世を壊す為
(+33) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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[主の瞳に灯ったいろ。 見詰めた花が満足気に笑みを浮かべて、詠った]
……主さまの背がもう少し低ければ 私にも襲えたやも。
主さまは 現世に残すもの有りや?
[擁かれていた腕が解かれ、それでも傍は離れない。 肩に乗った手に首傾けて、名乗った方へと名を告げる]
(+34) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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私はイビセラ、ロビン
ひとつ目論見叶ったと謂うてみよう 主さま居らねば 喰らうは高嶺の華ひとつと
……そう謂う案もあった故
(+35) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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現世に残すもの… 残さずとも良いと、思っていたから。 何も。
背など、横になれば関係ないように思うのですが。
[花を見下ろして、少しばかり考える。 肩に置いた手で、首筋へと触れる。
目論見を語る言葉に触れた指に少し力が篭る]
その案が通らず、良かったと。
――ロビン。
[欲しているのは自分かと、裡に篭る思いに片方の手を自身の胸に当てた]
(+36) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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…――――白鳥は、
伝承から 逃れられなかった、らしい。
[さらり、と 黒髪が流れ俯いた。 言葉少なだった鵠はしかし ――イビセラの言葉に目を見開き、紫苑色で、睨む]
(+37) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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そう、――睨まれますな。
それが病からか本心ゆえかは別として。 いま現には高嶺様は生きていらっしゃるのだから。
それよりも。 いまだ残る獣にかからぬかの方が心配でしょう。
(+38) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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何も……? 血の繋がりもあったでしょうに
……背は、そうやもしれません 実の所 唆しも後押ししていましたが。
[首筋触れた指、促されたように顔を上げた。 それから、白い鳥に視線を流し]
案はどの道先送り 先ずは忌わしき使者の片割れをと ……謂うてあったのを
二人に独断で 私が主さまを。
(+39) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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高嶺さまには、 選んだ花の一輪散ったさまを 見せ付けて
そう煽ったのはかの人
私は其れに乗っただけ 其の後どうする気かまでは知らねども 嗚呼、元は花故に
人を誘い捕らえる術は 芽吹いたばかりの私とは、比べようも無い
今も ……声が
(+40) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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…―――――
[睨んでいた眼が、 一瞬、揺れた]
霞月夜 か
それは……―――
[りん、と鈴が鳴る]
(+41) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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……髪を同じに結えば良いと かの人に。
[鈴の音にそうと取れる答え]
ボクの、巣箱から 雛鳥を浚っていった月は 私の花開くを待っていてくれたひと
真意は知らぬが 彼も、彼も
望みは望んだ数だけ 願いは願った数だけ 手に入れる
(+42) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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血など。 今の世にはさほど重要ではありはせぬ。
それに、どちらにしても残せなかったのですから。
[父はどうであろうか。 自分が亡くなれば、又新しい子を作るのかも知れずと]
元は花、霞の方か。 あの方は――。
[夢で契った相手。夢と思えばこそ。あれはただ一度だけのもの]
(+43) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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嗚呼、そうだ ひとはもう 血を受け継ぐものでは、ありませんでしたね。
今の世ならばこそ 私の血は必ず、後へ残さねば
[霞の。 主の口から出た言葉に、淡い笑みを浮かべた。 冷たい色の瞳が見上げる]
……その霞の方が 良い体つきと、褒めていらっしゃいましたよ?
[そう謂って、視線を外す]
(+44) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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知って、いらしましたか。
褒めてくださったのならそれは嬉しいことでしょう。
花は花主だけのものですが、花主は、一人の花のものではなく。 けれど今は。
私にはお前しか映らぬと言うのに。
[はずされた視線を追う]
(+45) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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何故、…そんなことを。
[怪訝そうに ロビン、を、イビセラを、見た。 髪結いを叱られた、なのに]
もう 届かない
[唇を噛んで、俯いた。]
――――、朧様…
(+46) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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…かげつ…
[自分を抱くようにしながら、俯いた。]
(+47) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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誑かしてはと、煽ってくれたものですから。 ただ 私は未だ、人食いの花としては未熟もの すっかり主さまのもと根付いてしまいました。
……花主は一人の花のものでなく けれど今は、主さまには私だけ
[外した視線は白い鳥に]
もう、届かない? これまでも 届いていたとでも、思うの?
さあ……何故そんな事をしたのか 総てはあの方の手の内やも
(+48) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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[風が運ぶ囀り]
ボクは、
[戀は糸と言うと心で出来ているのだと 柔らかくも切ないその言葉に 憧れていた遠い記憶]
失せもの探して 声を裂く いとしや、いとし 我が吾子は
――…そら、其処にいるよ。
[登る声は拾えども 冬の声は届かない]
(+49) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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[――――りん。
微かな鈴の音を立てて 顔を上げる。]
…―――届いていたなどと 思っては、いない。 死しては 手、伸ばすも 叶わぬ …
(+50) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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説法師 法泉は、執事見習い ロビンのただ傍に立ち、あちらを*見やる*
2010/08/07(Sat) 14時半頃
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望みはひとつ 願いはひとつ
二つ心抱いたなら――
[薄い唇から、うたを零すは主持つ花]
ふぅん 飛ぶ白鳥すら あの高い嶺には届かないんだ。
[複雑な色帯びて呟くのは冬の蕾]
誰なら、届いたんだろうね。
(+51) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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[傍らにある法泉の 手を取り指を絡めて寄り添う。
遠く、現世を見遣る瞳は雪空の色 何時しか、気付けば其処にあるべきレンズが無かった**]
(+52) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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……わからない。 ……死者にはもう、遠いことだ。
[俯いて、思うは何か。]
――――― …
[言葉は、少なく。 もののためしか、 高い位置で自分の髪を結い上げる。
鈴が、鳴る]
(+53) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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呉服問屋 藤之助は、現世と常世の狭間を見る。
2010/08/07(Sat) 16時頃
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似ないね。 ……そうしても、白い鳥は変わらない
[鈴の音に、思うた事そのままひとつ。 見遣る先 広がる不信]
(+54) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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…―――― そうか
[手を話せば、 まとめていただけの髪は するりとほどけた。]
…そう、変わるはずも ない な
(+55) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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変わりたかった?
[僅かに、首を傾ぐ。 レンズ無くとも、瞳は焦点を定めて]
(+56) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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……―――
…己は、己であろうと。
[一度だけ視線を合わせる。 それから、誰かを探すようにさまよう]
(+57) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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死してなお? 己とは存外にあやふやなものだよ。 ……死者の先輩として言っておくけど。
[硬質な声音。 冬の蕾は咲かぬまま、一夜先に此処にあり]
ふたつ心生まれれば 身はひとつ 引き裂かれ
望み叶わず、破れ散る
[散った花が詠う]
(+58) 2010/08/07(Sat) 17時頃
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――――っ、……
[眉を寄せた。 紫苑色がつり上がる。]
ふたり、 いたのか。 ひとつの、からだに。
…そんなことが……
(+59) 2010/08/07(Sat) 17時半頃
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