233 逢魔時の喫茶店
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―夢―
―――、……
[黒い獏から、遠くを歩く男女の背に顔を向けた。遠い、とおいな。親友(あいつ)は、何にも知らないのだ。しあわせそう。 唇を引き結ぶ。 なんだろう。 なんと、言おう。]
……大切だけど、 悪夢でもある、か な
……俺の中で、だけ。
(+30) 2015/08/09(Sun) 14時頃
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[ぱたん、ぱたん、左右に揺れる尾は おれの意思と関係なく揺れるので、始末に悪い。
夕陽が落とす影の下。 立ち上がるのが億劫なわけではない――― が 起き上がらず、のったり 5M近い高さからリツ>>+29を見下ろす。]
うん………
[よいしょ、まあるく腰を折り曲げる。 短い足の裏を、ぽふん、リツの頭にタッチ。]
届いた。
[しかし、バランスが取り辛い、全体的に震えている。]
(+31) 2015/08/09(Sun) 14時頃
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[夕陽に向かって歩く二人の影は 遠いのに、距離は開くはずなのに、消えない。 此処は夢のなかだから。
しあわせそうな様子は、背中を見ても、分かる。]
遠くに行ってしまうから、? それとも、一緒に居られないからか。 …… ああいう、風に。
[どちらが、その大切な背中なのか。 確かめるように、黒い目は、まるまる、眺めて。]
うん。
でも、大切な悪夢なら、あの日に食わなくて良かった。
(+32) 2015/08/09(Sun) 14時頃
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[ぽふ、と>>+31触れた足の裏、 頭を撫でるように触れてくる]
……転げるなよ?
[そ、と。撫でてみる。 うん、なかなかの毛並み。
――店で、エフは聞く、と 言ってくれたから。 俺は、いままでろくに開いたことのない思い出の蓋をじわじわと、開けた]
……俺、 仲いいやつがいて ……そいつに、彼女ができた
そのときのこと、夢に見てる
(+33) 2015/08/09(Sun) 14時半頃
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[掌、と呼ぶより、前足と呼んだ方が良い。 重心を傾けるのも難しくて ぽん、ぽん、二度リツ>>+33に触れて、離れた。
身体を起こすとそのまま引っ繰り返りそうだ。]
………
[転びそうなので返事をしない、素直なおれなので。 撫でる指が心地よくて バランスも取れなくて、前後にゆらゆら揺れる。
――― それから、身体に比べれば小さな耳を ぴくぴく揺らして、彼のはなしに耳を傾けた。]
うん。 …… 何時のはなしから、繰り返し、見てる?
あんたは、寂しくてああいう顔をしていたのか。
(+34) 2015/08/09(Sun) 15時頃
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[返事がない。大丈夫じゃないのか。 ゆらゆらゆれる。そっと支えるように 手を添えたまま。]
――、そう だな
遠くに、 行かれたみたいな。 気持ちに、なった
半年―――いや、もう、ちょっと前か。
[自分の頬に片手を当て、それから胸の前に滑らせて、服を握り締める。]
(+35) 2015/08/09(Sun) 15時半頃
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……情けない顔、してたか
[じわじわと、喉の奥が痛むような感覚。]
さみしい――くるしい。
なんか、どうしようも、なくて。 いまだに、こうして夢に見る。
[俯く。ああ、バーじゃ耐えたのに、泣きそうだ。]
……食べなくて、よかった、っていったけど あんたに食べてもらえたら、 見なくて、すむようになるのかな……
(+36) 2015/08/09(Sun) 15時半頃
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[前後する身体を腕に支えられて 巨体のくせに、体重を、感じさせない、夢だから。
何処か首だか分からない首を傾ぎ リツ>>+35に目を落とす。辛そうにも見える、仕草。 眇めた視界に見えるのは、主に頭上だ。]
そういう感覚は、おれも、分かる。 寂しい……… ような気持ちだな。 うん。
[頷き、]
半年。 …… も、ずっと、見てたのか、あんたは。
[人間の半年は短くもない、と、分かるので すこしおれまで寂しくなって、表情を歪めた。 分かり辛い。]
(+37) 2015/08/09(Sun) 15時半頃
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してた。
[隠れていたから、背中ばかり見ていたが。 夢に生きる以上、なんとなく、理解る。 ――― そういうもんだ。]
いまも、苦しい?
[尋ねる声は、囁くくらいの、温度。 鼻先を額の辺り、狙って、押し付ける。 泣きそうな気がして、撫でるんだか、そんな、ぐりぐり。]
これは、リツの夢だから、なあ。 あんたが辛いままだったら 食っても、…… 夢を見たことを忘れる、だけだな。
おれは、あんたが辛くなくなれば良いと、おもう。
(+38) 2015/08/09(Sun) 16時頃
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……ん
[>>+37わかる、と言ってくれることに 変な話、安心する。 大きいのに、夢の中だからか ふわふわと、雲のように軽いおおきな獏]
みてた
――最初のころより、随分、ましになったけど
[仰ぎ見る獏は わかりづらいながらも つらそうな顔をしているように見えた。]
……もう過ぎたことなのに 俺が女々しいだけなんだ
(+39) 2015/08/09(Sun) 16時頃
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[黄昏の向こう、親友に向けてたのは こい、だったのだきっと。 気づいたときには何もかも手遅れの。]
――そか
[はっきり言ってくれるから、>>+38 いっそ、たすかる。 ぐりぐりと寄せられる鼻先、夢の中だからと言い訳して自分も摺り寄せた。震えた息と一緒に、目じりから涙が伝ったのが、わかる]
……――、忘れるだけか それじゃ、いみ、ないな
[ごく微か、苦笑気味。小さく、息を吸う。]
(+40) 2015/08/09(Sun) 16時頃
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[店内はいつもより隙間があった。
優しい悪魔が、新米魔術師のために。 或いは親交の厚い店員の、特別な一夜の為に。
早速、無償で働いてくれたお陰、>>5 だとは気づかぬまま。
これくらいなら、休んで問題なかったかと。 密かに安堵の息を吐く。]*
(+41) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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――つらくなくなる、……か
[額に押し付けられる鼻先、撫でながら 意を決するまでの 長い間のあと]
……、――あんたと、いると ……うれしい
[ぽつりと、俺は。 正直なきもちを、 告げる]
たぶん、 つらいことも、 少しずつ、忘れられる、気がする くらい
(+42) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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[人間の感覚と差異があれど 理解は出来る、と言う感覚は、伝わったか。
短いいらえに安堵を覚えて ゆら、ゆら、揺れて、リツ>>+39に支えられる獏。 瞬きは、ゆるい、未知ではない感覚よりも 彼が辛そうにしている方が、苦く、感じて。]
過ぎたことでも、それも、大切だったんだろ。 あんた、悪夢でも、大切だったって、言ったな。 その、……… 友達のこと。
忘れたら、あんたじゃなくなる、と、思う。
(+43) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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なん、だけど
その
[そこまで言って 恥ずかしくなった。俯いたまま顔を上げられない]
(+44) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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だから、覚えていれば、良い。 ……… どっちにしろ、おれにそれは、食えない。
[黄昏の向こう側に進んでいく背中。 相変わらず消えない背中を 隠すみたく、ずんぐり、姿勢を、傾けた。
影が、深く、長く、伸びる。]
その上で、
[視界で、涙が零れた。 夢でも、確かにそれは、黄昏色を映して きらきら光るその筋に、鼻先を押し付ける。 拭う、溢した苦笑いごと。]
(+45) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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おれの方、見てろ。
[喫茶店で、そう、口にしたのはトレイルだったか。 ことばの矛先もまるで違うけれど 此処で借りるのは、ズルじゃあないと、良い。
うれしい>>+42 そう告げるリツに、重ねるかたち。]
うん。
[正直なことばが、羞恥心か、何か 消えそうになるまで、小さな耳で、聞いて。]
(+46) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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そりゃあ
嬉しいが増える方が、良いねえ。
[ふ、は、洩れる、笑み声、獏から。 苦くした表情が緩むのを、感じた。]
おれも、あんたと居ると、楽しい。 辛そうに見えるのは、辛い。
……… だから、おれの方を見ていれば、良いな。
[そう、ことばを重ねて、しかし 獏の身体は矢張り、腕が短くで、リツの顔>>+44を 上げさせるには、至らないのだった。]
(+47) 2015/08/09(Sun) 16時半頃
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[獏は、身体を擡げて、リツの身体に身を寄せた。
腕は届かないが、―――口も、ことばも届くから 良いか、と、うれしく、笑い声を溢して。 起きるまで、起きても、このままで居る心算で**]
(+48) 2015/08/09(Sun) 17時頃
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地下軌道 エフは、メモを貼った。
2015/08/09(Sun) 17時頃
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[夏の空は、冬より低い位置に、蒼が広がる。 率直な問いは、湖水を閉じ込めた彼の瞼を振動 隣に居る彼まで影を伸ばし、意向を待つ最中
―――… 一向に返事が来ないと>>+21 僅かばかりの驚愕に、彼を盗み見る
それを大義名分に ずっと、指を繋いだ侭と、申した筈 悩ませる意地の悪い質問だった自覚在れ]
(+49) 2015/08/09(Sun) 19時頃
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[ただ瞳に映した 曰く初心を見せる横顔に、間を置いた。
離す理由の欠如した指から伝わる 上がり始めた彼の体温は 昼間で知った温いものより、肌に馴染み]
―――何時か離すのが、 惜しい…な。
[それに今宵は少し危険な薫りが、孕んだ空気。 トレイルに不和無く、此処で出逢う夢夜を呉れた 満月の悪魔に、宛ら心中で礼を述べ>>5
ふ、と息を付き>>+22強弱見せる彼の指を愉しむ 何時人が訪れるとも知れぬ、路地裏で勤しむ密事]
(+50) 2015/08/09(Sun) 19時頃
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[肉球或る猫の足音より 静かに歩むは、時間稼ぎ
本末転倒に。新鮮な笑みを見せる彼を このまま浚う事も、一瞬浮かんでいた故 目的地に誘えば、離そうとした手を引き止めたのは 黒髪を掴む彼の指]
――― …………、
[>>+23>>+24 何方かを出は無く、自分自身を 求めて貰えることが、受け入れられることが。 こんなに喜ばしいなんて、初めて識れた。 それから]
(+51) 2015/08/09(Sun) 19時頃
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――……名前 、 奥の席でも、読んでくれる?
[トレイルの弱々しい声に、隠れた主張に弦月を描く唇。 彼の恥辱を理解しながらも、繋げた瞳は誘う色。 己の稚気を受け入れるよう、捏ねる駄々は稚く。
離れていく指を追うよう 頭部から毛先まで、銀色が髪上を走った]
(+52) 2015/08/09(Sun) 19時頃
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[開いた夜の扉、トレイルの後に続いて侵入 近くに店員、または店主が居れば、簡素に]
とりあえず酒に合う つまみ。 トレイルも口にできるモノを。
[寝癖の残った彼の襟元を見つめて銀糸を揺らし 着いた奥のテーブルに腰かける前に 指を名残惜しく離そうとしながら]
仕事以外で、此処に来ることは稀だろう ……… 緊張するものか
[スーツケースを机下に仕舞い 漆黒に似た双眸は、ジッと、間近から彼の顔貌を覗いていた。]
(+53) 2015/08/09(Sun) 19時頃
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―夢― ……、――
[ゆらゆら、ゆれる獏。>>+43 なんだか、揺りかごみたいだ。 手のひらでゆっくり撫でる]
――、ん。
[大切だった。 そう、大切。きっと今も。]
……うん
[>>+46 涙声になるのがわかる。 黒くて長い獏の鼻顔を埋めるような、ありさま]
(+54) 2015/08/09(Sun) 20時頃
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[長く長く伸びる影。 >>+45 包まれる心地がして、 ほっと、する。あたたかい。]
―――、エフ……
[見てろ、なんて、>>+46。 ずるい。涙が溢れてしまう。]
(+55) 2015/08/09(Sun) 20時頃
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――……――っ
[>>+47 促され、少しのためらい。 そろりと、見上げる。 つぶらな目が俺をみている。 押し付けられた鼻先、抱きしめた。]
……、見る。 ―――あんたの方、……だから
[あんたも。見ててほしい。 小さいわがままは、抱きしめた鼻先に行きと一緒にとけた。 気づくのが遅すぎた知られざる恋は、顧みられることなく朽ちたから。]
(+56) 2015/08/09(Sun) 20時頃
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―自室>>+48―
[――どれくらいか。 夢の中の黄昏のゆるやかに、 明けるころ。
現実の、ベッドの上でも、 泣いていた。]
……ぁ、…
[ぼんやりと目を開いたとき。 エフの腕を強く抱きしめていたのに気づいて、幾度目かの羞恥におそわれたのだった**]
(+57) 2015/08/09(Sun) 20時頃
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[身体の一部を繋ぎ、 歩く足並みは微妙にそろわない。 ずれる度に揃えようとして、次第と速度を落とす。>>+51
最後にこうして歩いた相手は養父で、 その時のトレイルは今よりずっと小さかった。
庇護を受けるのでなく。導かれるのでもなく。 少しでも近くで、触れたい衝動。 触れたら、離れがたくなる願望。>>+50 混ざる体温に、感情も共有されたのだろうか。 囁きに頷くかわり、指先に力を込める。
いつかの、エフとリツの姿が重なった。 彼らもこんな気持ちだったのかもしれない。]
(+58) 2015/08/09(Sun) 21時頃
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――…用事が、あったらね
[名前を。呼んだだけで。 そんな反応みせるなんて、ずるい。>>+52 店の中だけでいいの? とか そもそもどうして、という疑問は音にならない。
タネも、仕掛けもなく黒から銀への変化に見惚れて、 誘うような瞳に吸い寄せられて、 紡ぐ言葉を瞬間失ってしまったようだ。
結果、可愛いおねだりには態とそっけなく返し。 それでも繋がりは解かずに扉に手をかける。
そうでもしないと衝動にまかせ、 何もかも放りだしここでないどこかへ 駆け出してしまいそうで。]
(+59) 2015/08/09(Sun) 21時頃
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