162 絶望と後悔と懺悔と
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─ 波羅宿 ─
[某日──。
帝都に吸血鬼の侵入ありとの報告が入り、 偵察隊の調査により吸血鬼二匹の姿が確認された。
数の多寡と敵の実力を鑑み、 派遣されたのは絢矢を含む孤児院組。
判断したのはジャニスか安吾か──。 サポートに、どちらか──あるいは二人とも 付いて来ていたかもしれない。]
(416) 2014/02/09(Sun) 21時半頃
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本当、昔っから、お前の小言にゃ敵わねェよ。 [お手上げのポーズを取ってみせてから、表情を引き締める] 今は、未だ、この戦い方を変えるって……約束はできねえ。 けどな、お前の言葉はきっちり胸に仕舞っとく。 勿論、命を粗末にするつもりはねえさ。 ――俺が言えるのはこれだけだ。
[感謝と侘びとを込めて、頭を下げた]
……だから、お前も死に急ぐな。生きて帰れ。 そうじゃねえと、約束する相手がいなくなっちまうからな。
[にぃ、と口の端を吊り上げてみせた*]
(417) 2014/02/09(Sun) 21時半頃
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ターゲット確認。 一匹はスクランブル交差点内にいる。
もう一匹は──上。
[建物の陰から状況を窺っていた絢矢の視線が 109ビルの屋上を見る。
身に付けているのは既に着慣れた烏羽の小袖。 袖に淡い桜の花弁散るそれは実戦用にと誂えたもの。
周と並ぶと、夜桜が軍服の スタンダードであるかのようにも見える。]
下はまだ若い個体。 恐らくは上の一匹がリーダー格。
叩くなら先に若い個体から 一気に囲んで──潰す。
(418) 2014/02/09(Sun) 21時半頃
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― むかしのはなし:背中越しの声 ―
[待てと言われて待つ人がいるかー! >>390 僕は部屋に駆け込むとベッドにうつぶせになって悔し紛れに枕を叩く。ノックの音がするまで何度かそうしてた]
……。いいよ。
[別に泣いちゃってひどい顔になってるわけでもないし。>>391 だけど気まずくて、アマネにーさんに返事をするためだけにあげていた顔を、 ドアの開く音が聞こえた途端にまた枕に押しつけて。
そのままアマネにーさんの話を聞く。 背中の上から声が降ってくるみたい。 僕はちゃんと聞いていたから話の合間にうなずくことができた。 今すぐじゃなくていいって言ってくれたから、僕は落ち着けたんだよ]
(419) 2014/02/09(Sun) 21時半頃
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それ、と…?
[声の向きが変わった。出て行くのかな]
…、……!? あ、アマネにーさんっ、
[僕は背中を向けてたアマネにーさんを呼び止める。>>292 我ながらいつ飛び起きたんだろうって思う。とにかくアマネにーさんをちゃんと見て]
ぼ、僕みたいな物好きで、いいならいつでも…、いる、よ。
[変なことじゃなくて特別なことって言われたみたいで、嬉しかったんだ]
(420) 2014/02/09(Sun) 21時半頃
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[陽が沈みまた昇り、落ち着いた頃に僕はまたアマネにーさんのところに来た。
アマネにーさんだけが痛いのは嫌。 にーさんは自分で思ってるほどここで嫌われてないと思う。 だからあんまり無理しないで。
つっかえつっかえ主張したのはそんなこと。二つ目はアヤとマドカを見て思ったことだから現実と違うかもしれない。 僕が部屋に駆け込んじゃった理由はその中にはなかったんだけど、 責める気のなかった僕は何も言わなかったんだ**]
(421) 2014/02/09(Sun) 21時半頃
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―波羅宿―
向こうさんが此方に気付いた様子は?
[経験を積む為に派遣された実戦の場。 隣に並び立つ観測役の絢矢に問う。
彼女は戦士になってから、随分と変わってしまった。 そんな絢矢を、戦う機械のようだと称する者もいたかも知れない。 けれど、その心の優しさは変わってはいないことを周は知っている]
(422) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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[交差点の中央で辺りを見回しているのは 白い長髪に紅の眼の少女。 周囲に獲物の姿がないことに苛立っている様子。
先遣隊の指示で波羅宿からは既に人払いが済んでいる。 屋上の個体は赤毛に眼帯の男。]
多分──気付いてる。 だけど恐らく、あれは監視役も兼ねてるから すぐには攻撃して来ない。
念のため目を離さないで。
北と南に分かれて挟撃だ。 ボクは──北から行く。
[周の問いに瞬時に答えを返す。]
(423) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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[サミュエルのように素早く走れる足はない。 周のような変幻自在の動きを可能にする筋力もない。
体力もリーチも兄達に劣る絢矢が選んだのは 足りない武力を智で補う方法だった。
修練の合間に戦術書を読み、 先輩隊員に実戦さながらの訓練を頼み 兄妹達と幾度も模擬戦を重ねて動きを叩き込んだ。]
(424) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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アヤワスカは、白い方は気付いてない──と追加報告。
2014/02/09(Sun) 22時頃
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……分かった。初撃は任せろ。 俺は南側から回って、其方に追い込む。 トドメは北側組に任せる。 [絢矢の指示>>423に従い、南側に回り込んだ]
(425) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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[周はいつだって自ら先陣を切ってゆく。 敵の視線を引き付け攻撃を集め、 後方が戦いやすい陣形へと導く。
最も命を落としやすい危険な役目を 彼は進んで引き受ける。
けれど──絢矢は黙って頷いて、北へと走り出す。 南へ向かう周の姿は見ずとも動きはわかる。
昔のように服の裾を握って 後をついてゆくことはなくなっても 絢矢の周に対する信頼は変わってはいない。]
(426) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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― 波羅宿 ―
[昔と変わらないでいてほしいと思っていても、 人というのは何かしら、変わっていく。 でもそれは、確かに成長という証でもあり、 時間の流れは、あるのだと思う。
作戦の指示を出す絢矢に思うのは、 何よりも成長だった。 あの外に出たがらず、みんなの帰りを願っていた小さな少女は、 今は外できっちりその足を地面につけている]
――……
[それもひとつの寂しさという、そんなセンチメンタルはおいて]
(427) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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サミュエルは、サミュエル自身も 奇数:北側 偶数:南側へ 6(0..100)x1
2014/02/09(Sun) 22時頃
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―波羅宿―
[8公像のある広場に立ち、長ドスを抜き放つ]
帝都守護隊、南方 周、――推して参る!
[名乗りをあげ獲物を気を引くや、地を蹴り猛然と駆け出す。 サミュエルほどの達人ではないが、脚力に任せた踏み込みで一挙に敵との距離を詰める。
――閃。
長ドスが陽光を受け、妖しく煌いた。 白紙紅眼の少女は慌てて飛び退り、左腕と引き換えに致命的な一撃を避けた]
(428) 2014/02/09(Sun) 22時頃
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[南に向かって進んでいく周の後ろについて、サミュエルも進む。 少人数のチーム編成だ。
あれからも、ともかく、戦うスタイルは変えない周。 ただ、言葉は心に刻んでくれていることはわかる。
だから、自身も自身の仕事をするまでだ]
(429) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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― きおく ― [手慰みのように鶴を折る、 ふうせんうさぎ、飾り箱、金魚に 風車 どれも難しいものではない。
小さな子供たちと一緒に綺麗な包み紙で折っていた。 キャロラインほど器用ではなかったから、 あまり綺麗なものは出来なかったけれど。
小さな子たちが喜んでくれるのが、嬉しかった]
(430) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[隻眼の吸血鬼は109ビルの上から にやついた表情で地上を見下ろし、
9……8……7……とカウントを始めた。
南から複数の帝都守護部隊が現れるのを見ても 余裕の表情は崩れない。]
───、
[北の路地へ素早く移動しながら、 絢矢は109の屋上から目を離さない。]
(431) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[首を落とすつもりで撃ち込んだ初撃を避けられても、周は慌てない。
すぐ後ろを駆けるサミュエル。北側に向かった絢矢達。 共に戦う仲間を信頼しているからだ。
先陣を切るスタイルは変えるつもりはないが、自分の命の変わりに、仲間への信頼を掛札にして戦うことが、サミュエルの言葉への答えだった]
(432) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[名乗りを上げる周の声が波羅宿の空気を震撼させる。 表情は変えずとも、奮い立つものがある。
屋敷の外へ出ては行けないという、 父の言葉を鵜呑みにしていた童女はもういない。 黒鉄の門の中で少女を守ってくれていた家はもうない。
絢矢は──いくらかの人間らしさを犠牲にして 自らの足で竹垣の外へと歩み出した。]
(433) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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>>728
フン、相変わらずカッコつけやがって、タコ
[派手な周の名乗りを聞きながら、 それでも、今度は口端、あがっていた。
そして、周の影として、その背後の援護に回る]
(434) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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―『希望』―
あんごおにーたん。
『れい』って、どんな漢字があるの?
[孤児院に来たばかりの男児には、問われても答える名前がなかった。言葉を失い、記憶を失い、瞳からも生気を失っていた。
自分の名前を決めようと思い立ったのは、孤児院での生活に慣れて言葉を話せるようになってから。 『いる』にしようか、それとも『れいる』にしようか。迷いあぐねている時に、安吾の姿を見かけた。
今日もまた子供たちに文字を、漢字を教えている。だから尋ねて、『零』を選んだ。]
(435) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[安吾のしてきた事をひとつ、引き継いだ。書き散らした半紙の、広告の裏の。楽しげな声。]
……リッキィのその願いは叶うよ。 絢矢は外に出るのを渋る――というか、誰かの『おかえり』を待ってるから。
うん、リッキィに叶えて欲しい。願っていて欲しい。俺も願えば足りるよ。
君は――…『希望』だから。
(436) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[君は、君達は。 自分以外の家族を差す。零瑠の願いは自己の過去に向けられたものだから。希望になり得るのは、そう、リカルダのような子。
明之進が2枚の『希望』を重ねる。]
……明の、希望は何だろうね?
[手習いの字の様に。 増えていけば良いのに。]
(437) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[『希望』『希望』『希望』。
重ね連なる文字の中に、1枚だけ、
『冀望』が―――…。**]
(438) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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─回想・帝都守護部隊隊員養成所─
[新たな子どもたちを入隊させた後、 怪我からのリハビリと後輩育成に追われていた。 そんなある日、訓練の後にも居残っている姿を見つけた]
一人で無理をしても良くはならない。 それはただの感情の発散だろう?
[いくら人手が足りないと言えど、 無理を重ねる子供を放置するほど非情ではない]
君たちが成長すればするほど、有益であるからにして 迷惑だとは思わないな、私は。
(439) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[少しキツかろうがすっぱりと切り捨ててしまう口調、 まだ重荷なのかもしれないがそれでも訓練生は 同じ隊員の一人なのだ]
私は普段剣は使わないのだけどね。 安吾の方がもっと上手いよ?
[前置きでハードルを下げてから模擬刀を手に 本当に基礎の部分を周へ示した。 あとは請われれば何度でも、時に刃さえ交えて 雛が羽化するまでの時間を共に過ごす。
きょうだいの一員に、少しでも近づけたかなと思いながら*]
(440) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[自分一人で戦況を決定付けようとするような無理はしない]
噛み殺せ、『夜刀』!!
[号令一宣、長ドスの刃は凶暴な光放つ鞭剣となり、距離を開けようとした 白髪紅眼の少女の足元を襲う。
合図などいらない。 黙っていても、サミュエルは連携してくれるはずだ]
(441) 2014/02/09(Sun) 23時頃
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サミュエルは、指示通りの仕事をこなすつもり*
2014/02/09(Sun) 23時頃
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― 現実 ―
[世話をする者の居なくなった桜の木々は、雷で焼かれたり強い風で枝が折れたり病にかかったりと、ほとんどが枯れてしまった。
そうして、年々桜花の量が減っていく。
菖蒲の花は、背丈の長い草に日光を阻まれ、小さな花を咲かすしかない。
そうして、年々咲く花の数が減っていく。
この屋敷に住む者が『桜庭』と呼ばれていたことを、今も知る人は―――減っていく。**]
(442) 2014/02/09(Sun) 23時頃
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[周の鞭剣とサミュエルの九節鞭が、交互に煌くたびに 少女吸血鬼は北側で待ち伏せる絢矢達の元へ追い込まれていく]
――後は、任せたぞ。
(443) 2014/02/09(Sun) 23時頃
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―むかしばなし―
[>>419リカルダが話しを聞いてくれたことに、とにかく安堵する。 去り際、呼び止められ振り向けば、いつの間にかベッドから跳び出していた彼女に、真摯な視線>>420を向けられる]
そっか、ありがとな。
[「いつでも…、いる、よ」 どこか恥ずかしそうに告げられる、そんな言葉に口元が綻んだ]
(444) 2014/02/09(Sun) 23時頃
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[>>421次の日の夜、リカルダがやってきて、つっかえつっかえ主張する言葉を頭の中で組み立てる。 彼女は自分が甘えたかったのではなくて、周を心配していたのだと]
……なるほどな。 確かに、お前が怒るのは当然だ。
すまなかった。
[真剣な表情で頭を下げた。 ――いつか周が、リカルダの胸の裡に秘められた本当の理由を、知ることはあるのだろうか*]
(445) 2014/02/09(Sun) 23時頃
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