226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】
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『 何をしているのかしら、酔っ払い共 』
[ケイトリンが眼鏡を光らせて立っていた。 朧な記憶は矢張り"私"のもの。 ケイトリンと仲がよかったのは、"私"のほうだった。 無表情なようでいて、よく人を気にかけていた。…特に、キルロイを。 図書室で居眠りをしていたら怒られる、なんてこともあったっけ。図書館の中でケイトリンを見かけることは少なくなかった。
キルロイの気持ちは直接本人から聞いたけれど、ケイトリンはキルロイのことをどう思っていたのだろう。 今となっては知るすべはないが、…せめて、何時か会うことが出来ればいいと思う。 それが何を意味するか知らないわけではない。それでも、そう、思う。
――…ケイトリンをそっと心の中から消した。
さようなら。無表情の下に宝石箱を抱いていた人。]
(130) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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『 シー兄ちゃんは立派な"兄ちゃん"だよ。 』
[思い出す弟分の顔はずっと昔のもので。 最初のうちは兄ちゃんなんてガラじゃねぇよと言ってもいたものだったけれど、気付けば本当の弟のように可愛がっていた。 たまに、…実の弟の面影を重ねたりもしていたのはシーシャだけの秘密だけれど。
気持ちが表情になりやすいキルロイ。 ケイトリンがいなくなってしまったことで、寂しさに囚われてしまっていた。 何時か乗り越えていければいいとシーシャは思う。 ――そして、シーシャのことも忘れてしまえるよう、願う。 道の先に光が無くとも闇は無ければいいと、そう思う。
――…キルロイをそっと心の中から消した。
さようなら。誰よりも優しくて愛おしい俺の弟。]
(131) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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シーシャは、ふと、遠い目をした。
2015/06/14(Sun) 21時半頃
ヒナコは、シーシャの歌を、歌い続けている。
2015/06/14(Sun) 21時半頃
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『 せっかくだから、お茶でも飲んでいく? 』
[メルヤが澄まし顔でシーシャを誘う。 何時も何時も澄まし顔の癖に、慕っていたピエロがいなくなったときは酷く泣いていた。 自分のことを放り出して他の誰かのことにばかりかまけているような奴だった。
どういうわけかバナナが好きで最後の置き土産もバナナだった。 トレイルと喧嘩している様子を見かけたこともあったろうか。 人の心配が好きなお節介焼きだった。シーシャは、嫌いではなかった。
――…メルヤをそっと心の中から消した。
さようなら。誰よりも"家族"のことを想っていた人。]
(132) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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『 その時まで……ちゃんと預かってるよ。 』
[ヒナコの笑顔。 涙で目を腫らしながらも、約束を交わした時の笑顔は何よりも綺麗だった。 どんな花より、どんな蝶よりも綺麗だった。]
( だ い す き で し た )
[口だけで綴られた言葉の意味を知る者はシーシャしかいない。 確かに約束は果たされた。忘れないよ。その言葉を、「ヒナコ」の笑顔を、シーシャは忘れない。 柔らかい春の日差しのような笑顔が好きだった。
――…ヒナコをそっと心の中から消した。
さようなら。俺の瞳に最後に咲いた花。]
(133) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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[他にも過ぎていく思いがある。 体から花を咲かせたオーレリア。 飴が好きだったニコラス。 それと、それよりもずっとずっと昔にいなくなった人たち。
ラベンダーの香り、バラの花。 そして、騒々しいピエロの顔さえも、流れて、流れて、消えていく。
失くしたくないと思う。 今までの自分を、シーシャを。"俺"を。
絵本を抱えたまま、ひらりと柵を掴んで向こう側へと降りる。 一歩、二歩と歩けば下へ無限に続く緑色と、白色の上にシーシャはいる。
キルロイやオスカーがここへ来なければいいとそれだけを思う。 シーシャは、暫く、そのまま吹き上げる風に身を任せていた。*]
(134) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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ふふ、貴方の大切な子をこれ以上虐める気はないわよ
[揶揄を1つだけ落とせば...はこれ以上何も云わないと肩をすくめた>>+133 彼の忠告した事には、気をつけるわと告げるものの ...は忠告を聞くつもりは微塵もなかったのであった 無理をしてでも抗うと、決めたから
心を剥離するというのは、他者から見て奇異に映るものだ 多かれ少なかれ、その人が持つ本来の多様性を排除しているからだろう
それは多分、記憶を何も零す事がないようにと 自分が気を張り詰めていたからかもしれない]
(+137) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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[身震いをする彼に、差し出すブランケットがないのが酷くもどかしい]
さぁね。其れを決めるのは貴方自身 私は神様じゃないし母親でもないから貴方にこうした方がいいというアドバイスは 正直、できかねる とはいえ私の一意見としては ――捨てるのは簡単でも、拾うのは難しいわと
想像力に関しては私、文学少女でしたもの
[悪戯めいた笑みを見れば、表情筋動かして精一杯口角をあげた]
(+138) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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あら、男からみても女の子は夢見る少女の時もある 若しくは母の様に力強い時もある 人次第、受け取り手次第
[彼がこれ以上立ち入らせないようにしている様子はわかった だから私は、その線引きを受け入れ其れ以上は踏み込まない
無暗に暴く事が、その人のためになるわけではないから
無理をしすぎるなと言った直後に寝台に突っ伏した彼はそのまま夢の中]
(+139) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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無理をしてるのは貴方じゃないの、まったくもう
[車椅子を操り、...は毛布をそっと彼にかける そのままその部屋を辞して向かうのは自分の部屋
殺風景な部屋。でも其処には手すりがある ″歩行訓練用の手すり″が それが...にとっては此処が終末病棟(ホスピス)ではなく 回復病棟(リハビリテーション)であるとそう思える僅かな希望の残渣であった]
(+140) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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――私、諦めないわ 見ててキルロイ。みてて、皆 私は、だれよりも、自由になる。なってみせる
[手すりをとれば再開する、両の脚で歩く事 滲む汗すら気合いで飛ばし 私はあるく、あるく、あるく
いつか病棟を抜け出して、貴方に会いに行く 貴方の絵に描かれている様な青い空を見に行くの その願いをかなえる為には安楽にしてなんて、いられない]
貴方に、あいたい
[願いは唯、其れだけ*]
(+141) 2015/06/14(Sun) 21時半頃
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[ヒナコは遠い所に行ってしまった。 それはあまりに呆気なく、あまりに壮絶な最後だった。
後に残されたシーシャに、かけるべき言葉が見当たらない。 何を言っても、違う気がした。 そして蝶の歌った詩が真実なら、彼もまた]
シー兄ちゃん。 要らないなら燃やしても捨てても良いよ。
これ、あげる。
[不躾に、押し付けるように相手に手渡した絵日記。 これは自分が持っている為に描いたものではないから。 最後の頁に渡せなかった文通の返事を挟み込んだ。 ――二本の足で、地面を駆け回るヒナコの絵]
(135) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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―中庭―
[シーシャも立ち去ってしまった後、中庭のベンチに腰かけて]
………良い天気だなぁ。
[穏やかな風が吹き抜けていく。 紫苑が微かに香っている。 静かな昼下がり。
何処までも青い空を見つめていた]
(136) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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キルロイは、シーシャが今何処にいるのか、知る術もなく。**
2015/06/14(Sun) 22時頃
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―夢と幻と現の境―
Thou'lt come no more; 《もうおまえは戻っては来ない》
Never, never, never, never, never. 《二度と、二度と、二度と、二度と、二度と》
意識を手放せば此処に訪れるであろうと思っていた情景とは違った。
ありふれた日常の中。”連れて行かれた”みんなの幸せそうな光景。いつも幻に見る人達。 内に秘めた悲哀。慟哭。未練。特別な相手の傷跡になりたくなかった人が、時折。ほんの時折、僕にだけ遺していったもの。
悲しかったのだろう。辛かったのだろう。同調程度で共感ではなくとも、最後の心を零したことで少しでも救われたならと、祈っていた。
誰の特別になるでもなく、誰かの特別になるでもなく――。
その立ち位置を自ら望んだ。気付いていても気付かぬ振り。不干渉。誰にも踏み込まず踏み込ませない。
(+142) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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―夢と幻と現の境―
伝えたい。 伝えたくない。 だけどどこかに遺して置きたい。 その想いを伝えるのに、僕は打って付けの人材だったのだろう。
けれども、僕もひとりの人間で。 僕にだけ打ち明けたひと達。その全てを抱え込む。
日に幾度も記憶を鮮明に蘇らせ、潰されそうになるような気持ちに駆られることもあった。
(+143) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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―夢と幻と現の境―
想いは、重みだ。重く圧し掛かるものを、捨てきれず。そっと僕にだけ遺していったものを、誰かに伝えることはその想いを踏みにじるも同然であったため口には出来ない。
彼女の、彼の、運命に人知れず憂いを憶えれば胸に遺った想いがまた蘇る。 そうして僕は思い出す。
他には誰もいない食堂の斜め向かい。夜の中庭。静寂が支配する、部屋の中。 僕は何も言わなかった。ただそこに居た。そこに彼がいたのは、何故だったのだろう。
気付いていたのだろうね。君は。どんな時でも突っ伏して顔を隠していた僕に、時折気紛れに頭を撫でる。
声をあげて泣くことこそ、無かった。顔をあげないまま、ただ静かに涙する。
どちらも言葉は交わさなかったように思う。
(+144) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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―夢と幻と現の境―
まるで映写機のフィルムをまわすように、突然目の前の光景が変わった。
――中庭の樹の下で、幼い子どもが蹲って泣いている。 思えばこの頃から泣き方は変わっていないのだろう。我ながら可愛げがない。
「いい加減寒いから……こっちに来てくれないかな?」
頭の上にまで雪を積もってきている。幼い自分自身に声を掛ける。現実に厚着をしても、幼い自分がここで蹲ったままでは何の意味も成さないだろう。
――”……ネイサン”
自分の存在などまるっきり入ってないかのように、慕っていたピエロの彼の名を呼ぶ。その死を知った衝撃で、《幻》に囚われてしまった。弱さに付け込まれた。 そうは知っても、そこまでわかっても。自分の心を持て余す。いつも、どうやって宥めていただろうか。
「彼は死んだんだよ。でも、僕は生きている。どうしようもないことに。……そこで泣いていたって」
ぽつり。蹲ったままの筈の幼い自分の聲は、内側から響くように明瞭にきこえる。
(+145) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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―夢と幻と現の境―
”ぼくが、ワガママいってるんじゃない。”僕”がぼくを受け入れてくれないから、ここにいるのに”
突き付けられた真実に、視界が歪んだ。《幻》に取り込まれたと思い込もうとしていたその心は、違う。 幻覚症状が内に広がりそれを利用して、置き去りにした。――深層意識の無意識で必要のない”心”を殺すため。
おそるおそる。触れた子どもは冷え切っていた。触れた先から溢れ出たのは、切り捨てようとした心の部分の激情。
おのれ自身への呻き、悲しみ、嘆きの心を、殺すべく貫いたのだ。
その奥にはおのれが抱くかすかな切なさ。空っぽだった望みを置く場所。僅かな未練。幼い自分が象徴しているのは、そういった自らへの感情。
(……ああ)
道理で、と思う。道理で思い通りにならない。おのれの感情ほど儘ならないものはない。 小さく小さく蹲ったままの子どもが、かすかに名を呼ぶ。
その名を耳にして、ひどく冷ややかなものに支配された。
(+146) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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―夢と幻と現の境―
僕は”きみ(ココロ)”よりも誰かの望みの方が大事だ。
中庭に、池があったなら放り込んだだろう。 無感情に。自らを労るような想いはすべて、この幼い姿をした自分の中だから。
容赦もなく、投げ捨てただろう。
――でもそのことで。 誰かが傷付くのを見るのは嫌だな、という躊躇いが生じる。
言葉通り
文字通り 自らに対する心はそこにしか無いから
――僕のことなど、どうでも良かった。
(+147) 2015/06/14(Sun) 22時頃
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― 少し前、中庭で ―
[不意に声をかけられて、シーシャの肩が揺れる。>>135 振り向く前に目を乱暴に擦って平静を装った。]
…あげるって、……コレは?
[半ば押し付けられた形でシーシャの手元に渡ったのは日記のような体裁の何か。 片手でぺらぺらと捲れば中身は絵日記のようだった。]
………………。
[中身を詳しく確認する暇はないけれど、返してしまおうかと腕を上げかけた。…けれど、結局は受け取り、その場を辞する。]
(137) 2015/06/14(Sun) 22時半頃
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――――……じゃあな。
[通り抜け際、ぽん、と軽く伸ばした腕でキルロイの頭へ触れて直ぐに離し、その手をひらひらと振って中庭を後にした。*]
(138) 2015/06/14(Sun) 22時半頃
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[それから、建物の中へ戻った青年は近くの食堂まで歩いていくと、筆記用具と紙を借り、何事かを走り書いて絵日記に挟み、食堂を後にする。
屋上へ行くまでに捲るのは手にした絵日記のほう。 歩きながら読み、時には柱にぶつかり、いてっ、などと声を上げながらもその足は廊下を進み、階段を昇り、やがて目的の場所へ到達する。
その間に目を通した絵日記には、歪ながらも描き主の想いの残された絵が並んでいた。 シーシャはそれを見て、少しだけ泣いた。*]
(139) 2015/06/14(Sun) 22時半頃
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……そうだね、ここにあるだけで十分だろう。 彼の代わりに、この子が種を飛ばすだろう。
スタッフ達だって、ただ咲いている花を無碍に引き抜いたりはしないだろうしね。
[灰色の青年の視線>>90につられるように、そよそよと揺れる花を見つめて答える。
もう決して外に出ることの叶わぬだろう彼の代わりに、どこかへ種を飛ばせばいいと、そんなことを思っている。]
(140) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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[灰色の青年と話している間に、キルロイも中庭に出てきていたようだ。 驚いたような声>>84が聞こえて振り返る。]
……やぁ、おはよう。 キルロイは一団と背が高くなったね。
[正反対のことを言って笑う。]
あぁ、トレイルに頼まれてね。 忘れないうちに、移植しておこうと思って。 強い植物だからね、きっと殖えるよ。
[兄ちゃんの>>85、という呼び方にきっと彼らは親しかったのだろうと思う。 彼はトレイルが運ばれたことを知っているだろうか。]
(141) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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―トレイルの部屋―
[寝起きはやはり最悪だった。真冬の夜に置き去りにしてきたままだから、凍えるような体温も戻らない。 ふるり。体を震わせれば頭を振った。
おのれ自身の心ほど、儘ならないものはない。殺そうとして、でも死にたくない。剥離しかけているのか背反している。]
タルト…の、様子を見に行かなきゃ。
[節々が痛い。寒気というには生易しい凍えそうな冷気を感じる。ろくに治療を受けていない背と、擦りむけた手。 メルヤはおのれの怪我を確かめながらも、脳裏の奥に追いやった。
トレイルの部屋で、手品に使えそうなものを物色する。花を毟るわけにはさすがにいかないだろう。ティッシュで小さな花を作るのせいぜいだった。 ノートの切れ端を使っての紙吹雪も白一色ではやや味気ないが材料不足だ]
(+148) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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[──そして少女は舞台を降りる>>102。
彼女は手に持っていた絵本を閉じて、持っていた便箋を手放す。 ちぎれた羽のように舞ったそれを見送って、キルロイがそれを拾い上げる姿を見る。
建物の中からばたばたと音がする。
灰色の青年がふらり少女に歩み寄る>>106。
──迎えが来たなと思いながら、この少女を が見たら悲しむだろうか、とちらり思う。 あの子を示す名前は忘れてしまったけれど、別れが嫌だと泣いていたあの子。 それとも、再会を喜ぶのだろうか。]
(142) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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[青年と少女がどんな言葉を交わしたかは知れない。 ただ、少しだけ距離の近い動作に、仲はよかったのだろうか、と思うだけ。
狭い小さな世界の中、僅かでも心通わせられる相手がいたならそれは喜ぶべきことだろう──その分、別れは辛いけれど。
青年と離れ、踊るように彼女は中庭を抜けようとする。 その姿は蒼い翅をした蝶そのもので。
──だから、彼女を連れに来たスタッフ>>116達が、どこか蟻のように見えたのも仕方のないことだろう。
連れられていく少女の歌が、耳の底にしばらく残った*]
(143) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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[手にしていたノートの、使われていないページで封筒を作る。その中にメルヤとナナオの部屋の場所を記した1階の見取り図を入れる。
ふと。裏表紙を捲る。
『誰が忘れてしまっても 私だけは忘れない。』
これは自分が持つべきものではなかった、気がする。あの日、シーシャはゴミと言っていたから処分するつもりだったのだろう。
今頃、彼はどうしているのか。思いも寄らない。
ただ。溢れるような繊細な想いが、胸を打つ。寒々しさが増したのは、何故だったのかはわからないままだった*]
(+149) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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── それから ──
[いくつもの鉢を運び出して、植え替え作業が終わったのは午後も遅くなってから。
何度かスタッフ達に見とがめられはしたが、逆に朽ち八丁で丸め込んで花を植える許可を事後承諾でとりつけた。
これでとある男の思い入れは、この病院の庭で長くあり続けてくれるだろう。
作業が終わればさすがに暑い。 ふうと額の汗を拭って、その辺の水道で顔を洗う。
こぼれ落ちる水はキラキラと透明で、何だかまるで始めて触れるもののようだった。
……それは、感覚の記憶のいくつかが消えていたと言うことを示している。]
……せめて、皆を見送れるといいが。
[それに気付いて、ぽつりと零した。]
(144) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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[『部屋から出れば、きっと会えるよ』――そうしたメッセージと共に、仕掛けの封筒を作った。
もうひとつ思い至って、仕掛けの入った封筒を作る。使うかどうかは、後で判断すればいい。 メッセージカードにはたった一言だけ添えて。
二通の封筒を持ち歩く。
起き上がろうとし、金属質な鎖の音がして――手錠と足枷の存在を想いだした。
タルトに見せるものでもない。そう思い、トレイルの部屋に投げ捨てた
節々の痛みに顔を歪める。シーシャに貰った鎮痛剤を無造作に3錠ほど取り出し早朝と同じように水も無く飲み干す。
がリッ。間違えて錠剤を噛んだ時、苦味が口の中に広がった*]
(+150) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/14(Sun) 23時頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/14(Sun) 23時頃
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[誰かを後に残して消えるのは辛いだろうと思う。 思うけれど、自分は一度もその立場になったことはなくて、常に残される方の哀惜を担う方だった。
誰かがいなくなった後にぽっかりと空く穴を埋めなくてもいいと、気がついたのはいつのことだっただろうか。 時折素の穴が開いていたことを見つけて、かつてそこにいた人を懐かしむのが、老人の見送り方だった。
忘れてしまえばそこで終わりになるけれど。 それはそれで仕方のないことだと思うのは、責められることではないはずだ。
……そうやって見送ってきた相手はもう、何人になっただろうか。 ふっとそんなことを思った。]
(145) 2015/06/14(Sun) 23時頃
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