168 LOVEorDEATH2〜死者は愛を知りたいようです
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サミュエルに1人が投票した。
ヘクターに6人が投票した。
ヘクターは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
マユミが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ミルフィ、サミュエル、ススム、アイリス、カミジャーの5名。
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…本田さんは。
[びり、と指先が痺れるみたいに疼く。誤魔化すみたいに彼女の方を振り仰いだ。]
どんな風に過ごしてた? なりたいものとか、好きなこととか。 学校のこと、とか──ああ、最初の日に着てた制服。見たことある。 住んでるとこも、そんなに遠くないのかもね。俺たち。
[学校、そう口にして、少し苦しくなる。進村も、同じところの生徒だろうか。ちらりと浮かんだ思考が、表情に出る前に頭の片隅に追いやった。
ベッドについていた頬杖を解いて、腰を上げた。隣りに座ると、さっきより距離が近くなる。マズいなあ、なんてのんびりと考えた。
本当に会話自体は他愛ない事ばかりなのに、時折彼女は酷く楽しそうに笑う。>>4:95 そうして、思い出したように目を逸らして髪を弄った。 気の強そうな、ツンとしたその目元が緩むと、ちょっと表現が難しいくらいに愛らしい。そう思うのが、本田の元々の整った顔立ちのせいだけではないのに、もうとっくに気付いてしまってる。]
(0) 2014/03/25(Tue) 02時頃
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[ベッドに付いた片手に体重を乗せた。ぎし、とスプリングが鳴る。身体が彼女の側に傾いで、もう肩同士が触れそうな程、近く。
いつだったんだろう。どのタイミングだろう。何がきっかけで? 分からない。 けれど、あのかみさまの部屋に行った時に他の誰かと話す彼女を見た時にこの部屋の前で彼女の髪に触れた時に淹れてくれた珈琲を受け取った時に途切れ途切れの小さなお礼を聞いた時に──皆の輪に混じらず、独りで膝を抱えて座っていた彼女を見た時に。
たぶん、もう、始まってしまっていたのだ。]
(マズいなあ、これ、ほんとに)
[急激に近付いた距離に、本田は驚いた顔をしただろうか。 伸ばした指が、手のひらが、彼女の頬の温度を感じるくらいギリギリの距離を掠めて──その長い髪を、つ、と梳く。 間違いなく自分の身体は触れるのを怖がっているのに、止まってくれない。]
(どうしよっか。ね、)
[彼女の息が震えた気がした。 心臓が、握り潰されるんじゃないかってくらいに、鳴く。
──ああ、これは、]**
(1) 2014/03/25(Tue) 02時頃
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[──これはきっと、恋になる。]
(2) 2014/03/25(Tue) 02時頃
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― 少し戻って、お風呂 ― [それは鼻歌混じりの早川が入ってくる少し前のこと。 槇村が風呂へと入ってくれば、ばしゃばしゃと犬かき(?)をしながら湯船に浮かぶ妙なUMGの姿が見えただろう。]
おっきいお風呂って気持ちいいよねぇ〜〜♬
[湯の跳ねる音と声は、愉しそうに浴室に反響する。 やがて彼が湯船に浸かってきたらなら、すいーっとそちらに泳いで近づいていく。]
ミー、ユーに伝言預かってるの♬
先にいってる。 戻ったら、俺のデスクに来い。 ここでの無礼講はそこでみっちりお仕置きするから ―― ってさ♫
[誰から、とは言わず。言葉だけを伝えて。 早川が入ってくる頃には、湯船から生き物の姿は消えていた。**]
(3) 2014/03/25(Tue) 03時半頃
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『…と思う。』
[そう表現した彼>>113に、なんだろう、不器用さ、と表現すべきだろうか、そんなものを感じて、何だかそれが妙に好ましく写る。 多分、なんとなく、なんとなく、なんだけど…]
(…とうさんに、似てるんだ。)
[どこが、と言われると困ってしまう、言うほど似てないのかもしれない。 けれど、そう思った瞬間、何だか嬉しくなってしまって。 あぁなんだろう、もう意味が分からない。 意味が分からないけど、不快じゃない。 むしろ…何故だか、心地良い。 あたしはぬいぐるみをぎゅうぎゅうに抱きしめて半分顔を隠しながら笑う。]
槇村さん、どんな絵、描くんだろ。
[見たい…な。 まるで独り言のように付け足された呟きは、聞えてしまったろうか。]
(4) 2014/03/25(Tue) 10時頃
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ミルフィは、>>
2014/03/25(Tue) 10時頃
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『…本田さんは。』
[こちらに質問を向けられれば>>0、不細工なうさぎを抱えなおして一つ一つ答えを返す。]
普通の、高校生してたよ。 毎日学校行って。授業受けて、お弁当食べて。 また授業受けて、放課後は、ファミレスとか、甲斐田くんのお店とか。 友達とだらだらだべったりするんだけど。
[ここに来て、あっさりと消えてしまった日常。そこにいた顔が、声が、ちょっとだけ、懐かしいかもしれない。]
あたしね、ミルとか、ミルフィとか、呼ばれてたの。 美千代って名前、イマドキちょっと古いのかもね。可愛いあだ名、つけてあげる、だって。
[その声には、少しだけ、不満そうな色が混ざっていたかもしれない。あたしは、あたしの名前が好きだったから。]
美千代ってね、ずーっとずっと、美しくあれ、って、かあさんが付けてくれた名前なの。 美しく、っていうのはね、心身ともに健康で、まっすぐであること、なんだって。
[かあさんがつけてくれた、大切な大切な名前。そこに込められた思いが、願いが、とてもとても、やさしくて…あたしはふふ、と小さく笑った。]
(5) 2014/03/25(Tue) 10時半頃
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だからね。 あたし、とうさんみたいになりたいの。
[かあさんの思う、まっすぐさは、多分とうさんだ。単純なあたしはそう思う。 だって、かあさんが、一番好きだって、選んだ人だもの。 かあさんの思う理想が、そこにあるに決まってる。 だから。]
あたし、警察官になりたかったんだー とうさんには、やめなさい、って言われちゃったけど。
[むう、と膨れて見せる。 思えばあれは、温厚なとうさんが、あたしにたいして禁止の言葉を口にした、最初で最後だったかもしれない。 そんなことを思い出して、机の上の写真たてを、ちらりと眺めやった。 ふと、移した視線の外側、ベッドの傍らに、自分の物ではない重みがかかる。 自然、あたしはそちらを振り返ると、先より近い距離に彼の姿。]
(6) 2014/03/25(Tue) 10時半頃
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…学校、は、家から、ちょっと、離れてる…ん、だけど。
[思わず視線を手元に落としながら、無理やり言葉を続ける。 ドッドッと胸をたたく心臓が、煩い…むしろ、痛い。 胸が苦しい、一瞬また発作かと思うけれど、呼吸は多分できてる…どっちにしろ体動かない。 かといって離れたいわけでも無い、むしろもっと近づき… そこまで考えて、かぁぁと耳まで熱くなった。]
え、えと、ほら、あたしの最寄駅、事件のあったとこだけど、学校から5駅くらい離れてるでしょ、電車乗っちゃえば15分もかからないかなくらいなんだけどさ、他の子もうちょっと学校に近いから、休日遊びに行くのとかも結構面倒で…
[まるで何かをごまかすように、あたしは喋り続けるけれど、何をしゃべってるのかよくわからない。声もところどころ震えてどうしよう、他に、話題、えっと]
(7) 2014/03/25(Tue) 10時半頃
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あ、あの…!
[ぎしり。 間近で鳴るスプリングの音、振り向いた距離が、あんまりにも近くて。 そのまま言葉は喉に張り付いてしまう。 息をするのも忘れそうな程の沈黙と緊張の中、あたしは身じろき一つできずに固まる。
近づいてくる指先に、手のひらに、あたしは身を固くしたまま、思わずぎゅっと目をつぶってしまう。 赤くなった頬は、もう酒のせいだと誤魔化すことはできない。 つ、と髪を梳かれた感触に、あたしは。]
槇村、さん…
[そんなんされたらあたし、貴方の事、好きになっちゃうよ。
このラブゲームにおいては酷く場違いかもしれない言葉を、泣きそうになりながら呟くのだった。]
(8) 2014/03/25(Tue) 11時頃
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──ほんと? じゃあ、つけ込んじゃおうかな。
[好きになっちゃうよ。泣きそうな声で言った彼女に、冗談めかして笑う。 言いながら柔らかい髪を何度かゆっくりと梳いた。指の間をすり抜ける髪は少しだけ冷たくて、時折本田の肌の温度だけを手のひらが掠めていく。
真っ赤になって目を瞑ってしまった彼女の肩が、声が、震えている。 それが、怯えからくるものじゃないのがもう分かってしまったから、簡単に逃がしてあげる気にもならなくて。 俯いた本田に額を寄せる。互いの前髪が触れ合うくらい近く。 彼女が目を開けたなら、きっと次は逸らさない。]
(9) 2014/03/25(Tue) 19時半頃
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教えてよ。本田さんのこと、もっと知りたい。 何が好きとか、何をしたら喜ぶとか、どんな風に人を好きになるとか、……どうしたら、
[俺のこと、好きになってくれるんだろう、とか。
自分の声が震えたのが分かった。 顔も、心臓も、もう全部が痛いくらい熱い。 「恋煩い」なんて、なんじゃそりゃって思ってたけど。こんなに、こんなに、痛くて、息が苦しくて、訳が分からなくなるようなものなのか。
熱に浮かされたような頭で、それでも彼女との距離はあと数センチ。 言わなきゃ。 手のひらに汗が滲む。伝えなくてはいけない。彼女の心を望むなら、自分がその肌を恐れている事を。 言わなきゃ。目を開けた彼女が、逸らさずにいてくれたなら、必ず。]**
(10) 2014/03/25(Tue) 19時半頃
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― リビング ― [まだ、白石や早川がアチチになる前のことだったのだろうか? ちょうど、進村が鼻歌混じり、コーヒーを口に含んでいた頃。(>>4:88) 呼びかける声に呼応するように、ぐってりとソファーに横たわる妙な生き物の姿があった。]
ふぅん? ミーは、いろんなことを知ってるけど ユーの感覚まではわからないんだよね♫
ねぇねぇ今どんな気持ち? 愉しい?うれしい?おもしろい?
[ふぅと息を吐き出す進村の顔を、覗き込むように尋ねかけた。**]
(11) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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[それから、しばらく時を置いて。 早川と、白石の姿が扉の向こう側へと消えてゆけば、また二つの扉がすぅーと消えてゆく。
――――残る扉は、4つだけ。
リビングは、元から狭いわけではないけれど、今では随分と広く思える。]
(12) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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……だから、何だと言うの? 馬鹿な女だと笑いにでも来たわけ?
[ベッドから半身を起こすと、発言の源>>4:71を睨みつけた。 思ったより剣呑な声が出た。それは彼女が今まで見せた事のない激情。 これ以上自分を嘲るような発言をするなら叩きだそうと思っていたが――]
……。は?
[続けて始まった言葉>>4:80は唐突に別の話題に移る。 今までの会話とどこが繋がるかがさっぱりわからない。 だが、だからこそ頭が冷えた]
(13) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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(この子はいったい――)
[どういう感情を持って、どういう行動をしているのか。 今の発言と言いさっきの行動と言い――全く繋がらない]
(一緒に、ね……)
[彼の発言>>4:83>>4:84は一見繋がっているように見えるが、よくよく考えればおかしい。 何故なら座して死を待つだけなら、こんな風に他者との繋がりを求める必要はまったくない。ただ独り誰とも関わらずに籠って、朽ち果てるのを待つだけだ。 介入してくる他者が居るならば牽制としてはあり得ても、こんな風に部屋まで訊ねてまで釘を刺す事ではない。藪蛇と言う言葉もある。関わろうとしない人間なら関わらなければいいのだ。 よって、彼の上面の言葉だけを聞いても意味がない。 考えねばならないのは"本当は彼は何をこちらに伝えたいのか"]
(14) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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『焦がれるほどに望めば望むほど、その望みは手をすり抜ける』
『まともな恋愛ができない自分の生まれた星を呪うことも――』
『――他人に期待して失望することもない』
[はた、と気づいた。そうか、彼は――]
……良いわよ。それを貴方が望むなら。
[認められたいのだ、誰かに。 そう思ったら、思わず笑みがこぼれる。彼の瞳の輝きが増したような気がした]
貴方の逝く道、最後の最期まで―― 共に舞ってあげるわ。
[鼻歌交じりに部屋を後にする進村>>4:88は、気づかない。 ただの一つも"ここで果てる事を肯定されていない"事に]
(15) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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……さて。 見てたんでしょ、貴方。 ちょっと出て来なさい、話したい事があるわ。
[進村が出て行った背を見送り、足音が離れた所で声をかける。 こんなイベントを彼が見逃すはずはない。そんな確信があったのだ。だからこそ彼を呼びつける]
(16) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 01時半頃
― とある、バーにて ―
[カウンターに座る男女。
親しそうだけれど、会話はどこか拙いのだろうか。
それを見守るマスターが妙にそわそわとしているようだ。
その、バーの、天井に。
まるでコウモリのようにぶら下がる、赤い鳥の姿があることにはマスターも、店のものも、誰ひとりとして気づかないでいた。
二人の会話を聞いていたらしい鳥は、翼をまるで手のように動かし自分の頭にあてて、あちゃーという仕草。
マスターと動きがシンクロしていたが(>>+4:79)、それすらも、誰にも気づかれず。
とうとうマスターが気をきかせてだした酒に、くすくすと愉しそうに笑いながら、今しばらくは、そのままで。
彼らを見守っていただろう。]
受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 01時半頃
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― 須藤の部屋 ―
はぁい♪ 呼んだ?
[須藤が虚空へ向け呼びかければ、彼女の足元から声を返す。 彼女が下をみれば、ちょこんと座る赤い毛むくじゃらの姿があったろう。]
用事があったら部屋にきてね♫ って言ったのにー。 ユー、神使いが荒いね♪
[まあ、ばっちり見てはいたのだけれども。]
(17) 2014/03/26(Wed) 01時半頃
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『じゃあ、つけ込んじゃおうかな。』
[そう言って笑う声が、優しく髪を梳く指が、頬に触れそうで触れない掌が、あたしを優しく追いつめる。 緊張して、痛い位に心臓が脈打っていて、それなのに、嫌じゃない。 その意味に、あたしはとっくに気づいてる。
ふと、近くなった吐息に、あたしははっと息を飲んだ。 そして。]
ッ…!
[反射的に開いた瞼の先、数センチ。 正面からこちらを見つめる視線に出会えば、それに絡め取られたように、もう逸らすことなんかできない。
時が、止まったような刹那。]
(18) 2014/03/26(Wed) 05時半頃
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『教えてよ。本田さんのこと、もっと知りたい。』
[紡がれた言葉が揺れたのが分かる。 見れば真っ赤になってるのはあたしだけじゃない。 彼だって… 凄く、緊張してるんだ。 自然、笑みが零れる]
あたし、だって… 初めて、だし、こんなの…
[だから、問われたところで簡単に答えることはできない。 けれど。 応えたい、と思う。
あたしは寄せられた掌に、良く懐いた猫のように、するりと頬を摺り寄せようとした。]
(19) 2014/03/26(Wed) 05時半頃
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―リビング―
『愉しい?うれしい?おもしろい?』>>11
[ぐってりとソファに横たわり、所有権を主張するように身体を投げ出している自称・神様が真墨に問いを投げる。 覗きこむように尋ねられたそれは、心の中まで覗きこまれるようで。 普段の真墨なら嫌な気の一つもしただろうが。この瞬間においては気付かない。]
…………え…?
[まるで、奇妙な生き物にでも出会ったかのような声が出た。]
たの…しい? うれしい…? お…おもしろい?
これが?
(20) 2014/03/26(Wed) 07時半頃
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[考えてみれば、須藤と会話した後から何かが自分の中から変わってしまった。 長らく乾いていた砂漠に水が染み込むような。 使われていなかった回廊に光が差し込んだ時のような。]
………はは、あはは♪
[真墨が、歯を見せて―――笑った。 それは、おそらく目の前にいる神様しか見ていないかもしれないけれど。]
そうだね、ボクは今、楽しいよ。 なんでだか知らないけど、あの女(ひと)と会話をした後から、 楽しくてしょうがない。
[ともすれば、また須藤と会話をしたくなるような衝動を抑えきれない。心が浮ついて―――楽しくてしょうがない。 それを、その心の動きを真墨は自覚した。]
ああ……こんなにコーヒーが美味しいなんて初めてだ。
[そばにいた天使に空のコーヒーカップを預け、赤く毛深い頭を一撫でして。真墨はリビングから自室へ姿を消した。**]
(21) 2014/03/26(Wed) 07時半頃
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──……っ、
[視線を合わせた本田が、触れそうな右手に頬を寄せてくる。 手のひらがその感触を捉えた。滑らかで、温かい彼女の肌。 ほんの一瞬で愛おしさがこみ上げるのに、脳のエラーが肩を揺らす。離すな。絶対に払いのけるな。逃げたくなる身体を、意思で押さえ付けた。 そのまま、ゆっくり息をして、困ったように笑う。]
ごめ、んね、…すごく、情けない話しなんだけど。これが限界なんだ。俺
[震える手でゆっくり、ゆっくり、彼女の頬を撫でる。 それから慎重に手を離した。 視界が滲みそうになるけれど、それはきっと恐怖のせいだけじゃい。だから、言わなきゃ。]
高いところが駄目、とか、尖ったものが怖い、とか。 恐怖症?そういうのの一種らしいんだけど…俺ね、人に、触れないんだ。 俺自身の意思じゃなく、身体が勝手に怖がってて。──今だって。
[本田さんに触れて、こんなに嬉しいのに。 堪えきれなかった雫が、ぽた、と落ちる。 幻滅されてしまうだろうか。こんな自分は。手を繋ぐ事もできない、情けない自分は。]**
(22) 2014/03/26(Wed) 11時頃
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[暖かい掌が、頬に触れる。 その温もりが、堪らなく嬉しい。 けれど、束の間の後。 あたしは彼の瞳に浮かぶ動揺に気付く。 それは、照れとか悦びとかまして欲情なんかでもなく。 その正体は、彼自身から語られる。]
触れ…られない…
[ゆっくりと繰り返したそれは、一瞬では受け入れられるものではない。 高所恐怖症、先端恐怖症なんてものは有名だ。 でも、彼の言うそれは、多分潔癖症なんかとも違うそれで。 けれどもぽたりと落ちた滴に、そんなものはどうでもよくなってしまった。 思わず伸ばしかけた手が、ぴたりと止まる。 …どうしよう。]
(23) 2014/03/26(Wed) 14時頃
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[あたしは少し迷った後で、机の上からティッシュボックスを取り上げて差し出すにとどめた。]
…そっかぁ。 残念だな。槇村さんに触れないの。
[強引に作った明るい声は、ちょっと不自然だったろうか。 もっと上手に、できればいいんだけど。 消沈した様子の彼を、どうしたら元気づけられるんだろう。 触れないって、もどかしいな。 そう思って、あぁもしかしたら、彼も同じなのかもしれない、と思った。]
…ふふ。
[場違いに零れた笑いに、彼は驚いたかもしれない。 彼が目をあげたならば、その目をしっかりと見返して笑って見せたことだろう。 こちらを見てくれなかったとしても、あたしは彼の方を見やる。 さっきよりは、自然な笑みが浮かぶ。]
(24) 2014/03/26(Wed) 14時頃
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…あのね。 こんなこと、思うの、不謹慎なのかもしれないんだけど。 あたし、嬉しいの。
[嬉しい、の理由は何だろう。 答は直ぐに見つかる。]
触れない槇村さんが、あたしに触りたいって思ってくれたって、 多分、すっごく特別な事なんじゃないかなって。
[期待しちゃって、いいかな。 問いかけに、彼はどんな返事をくれるんだろうか。 仮に、それがさほど特別な事じゃなかったとしても… 今こうやって悩んでくれる、そのことだけでも、あたしは十分に嬉しかったのだと思うけれど。*]
(25) 2014/03/26(Wed) 14時半頃
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『…そっかあ。残念だな。槇村さんに触れないの。』
[少しだけ無理をしたような明るい声と、目の前に差し出されたティッシュの箱。ありがと、とくぐもった声で言って、二、三枚拝借した。 涙(ついでに鼻水も)を拭って、本田を見る。 彼女は笑っていた。思わず、といった風に漏れた笑い声に、訳が分からずきょとんとする。笑みの形に緩んだ双眸は、確かにこちらを見ていて。それだけで、何も考えられなくなる。 身体に残る震えなんて何処かへ行ってしまった。]
『あたし、嬉しいの』
[言葉をくれる形の良い唇が、澄んだ声が、猫みたいな瞳が]
『多分、すっごく』
[ああ、]
『特別な事なんじゃないかなって、』
[好きだ。
好きだ。好きだ。好きだ。きみが、こんなに。]
(26) 2014/03/26(Wed) 15時頃
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[腕を掴んで、引き寄せた。 ベッドのスプリングが軋む。本田はなにか言っただろうか。お構い無しに抱き締める。 彼女の長い髪に阻まれて、剥き出しの首筋同士が触れることもない。触れたって、この際構うものか。 華奢な背中に手を回して、もっと、もっと近くに。]
ああ、畜生、俺カッコ悪いなあ。 ごめんね、涙脆いしこんなんだし、ほんと全然格好良いとこないんだけど。 …生まれてはじめてなんだ。はじめて、自分から、触れたいって、
[語尾が震えて消える。 死んでから泣いてばかりだなあ、と頭の隅でぼんやり考えた。
期待しちゃって、いいかな。そんな風に言った彼女の「期待」は、言うまでもなくど真ん中な訳で。]
本田さん。……好きだよ。
[腕の中のその人に、間違いなく届くように、告げた。]*
(27) 2014/03/26(Wed) 17時半頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 20時頃
受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 23時頃
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……想像以上に変な登場の仕方ね。
[自分が寝そべっていたベッドの下から現れた毛むくじゃら>>17に呆れたように声をかける。 座り込んでいたベッドから立ち上がると、わっしゃわっしゃともこもこを触って]
立っているものは神でも使え、よ。 で。聞きたい事があるわ。
[神使いが荒いと言われれば、そんな軽口を返し――本題に移る]
あの時は状況に混乱してて頭働かなかったけど……いくつか、確認したいことがあるのよ。 まず一つ目。ずるはいけませんと言うけど、どこまでがずるなのかはっきり言わなかったわよね。 初日のあの二人みたいに打算だけでは駄目なんだろうけど、その打算がどこまでNGと取られるのかしら。
[ごく僅かにでも含まれてたらという基準なら、最後に残った二人は絶対に戻る事が出来ないではないか。 そう訊ねる彼女は、まだ愛を知らない。打算の一切ない愛という純粋なものが誰にでもあると信じているかのように]
(28) 2014/03/26(Wed) 23時頃
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二つ目。こっちの方が大事なのだけど。 ――私達10人の選定基準って、何かしら。
[同じ日に死んだという説明だけでは納得しない。一日に死ぬ人間が一体この地球にどれだけ居ると思うのか。 そこには何か別の『共通点』があるはず。内容までは判らないが、何かしらそう言ったものがあると確信していた]
(29) 2014/03/26(Wed) 23時頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 23時半頃
受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 23時半頃
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―自室―
[部屋の中で、真墨は考える。 今までこんな感情を覚えたことはなかった。 そもそも、これほどまでに感情の高鳴りを覚えることも無かった。]
(どうしてだろう…? カミサマさんは、『楽しい』と表現した。これは『楽しい』感情なんだろうか。 今まで体験したことがないだけで、これは『楽しい』なのか。)
[だが、その変化は何が原因なのか。 それは、彼女が自分と共に過ごしてくれると約束してくれたから? それは、自分なんかと一緒にいてくれる存在が居ると分かったから? それは、彼女と話したことで自分が救われたような―――気がしたから。]
聞いたら…分かるかな…?
[思い出したのは、年の近い、伝言を頼もうとした少女のことで。 思い描いた人物を探す為に、自室を出てリビングへと足を踏み入れる。 その時にはすでに彼女がこの空間を去った後だったかもしれないけれど。]
(30) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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─ちょっと先・露天風呂─
『おっきいお風呂って気持ちいいよねぇ〜〜♬』
[早川と遭遇する、少し前。 露天風呂の洗い場で熱めのシャワーを浴びていると、浴槽の方から響く水を蹴る音と間延びした声。>>3
ん、と首を巡らすと、案の定そこには湯船で犬かきする謎の生き物の姿があった。
かみさまってお風呂はいるんだねえ、なんて感心しつつ同じ湯船に浸かると、赤毛の獣はすいすいとこちらに泳いできて。]
『ミー、ユーに伝言預かってるの♬』
[そうして、名前を添えずに告げられたメッセージ。 ふぅん、と呟いて、両手を上手く組んで水鉄砲を発射した。飛んでいったお湯が、ぱしゃんと水面で跳ねる。少し離れた位置に浮かぶアヒルの玩具には当たらなかった。]
(31) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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個室の扉がまた二つ、消えていたのには気付いていて。 誰の部屋だったのかは、直ぐに分かった。]
知らねぇつうの。 無礼講の意味分かってんのかよ。
[誰に宛てる訳でもなく。 気付けば赤い獣はとうに失せていて、見上げた視界には、一面の花霞。
ふ、とひとつ息を吐き、両手を構えた。 片目を瞑って、狙いを定める。3。2。1。]
お幸せに──幸せついでに、記憶を失えぃっ
[発射。 ちょうど頭に水の噴射を受けた黄色いアヒルは、ちゃぷんと湯の中に沈んで。 直ぐに再浮上したそれに、一人声をあげて笑った。]*
(32) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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[ふいに捕まれる腕、同時に強い力で引かれ、驚くより先に抱きしめられていて。>>27]
ぇッ
[触れられないと言ったこの人に、抱きしめられている事態に一瞬理解が追いつかず。 背中に回される腕に、重なる鼓動に息をひそめ。]
『…生まれてはじめてなんだ。はじめて、自分から、触れたいって』
[その告白に、胸の奥が震えたようだった。 紡がれる言葉の端が震えていて、あぁきっと、この人はまた鳴いているんだろうと思う。 恐る恐る持ち上げた手が、抱きしめるその人の服の端をきゅぅと握りしめ。 好きだよ。 確かに囁かれた言葉に、酷く満たされたようだった。 好きな人に好かれるというのは、こんなにも。]
…ありがとう、槇村さん。 あたしも、貴方の事。
[返した同じ言葉が、吐息に震えた気がした。]
(33) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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―突撃、神様のお部屋―
[あたしがその部屋へと向かった時、誰にも出くわさなかったのはある意味奇跡だったかもしれないし、そうなるべくしてなったのかもしれない。 その部屋の戸をたたけば中からきっと返事が得られたことだろう。入った部屋の中、カミサマがいれば、あたしはその姿を正面から見据えた。]
…見せてもらいたいものがあるの。
[カミサマはどんな反応をしただろうか。是の返事をもらえば、あたしはそれを口にする。]
今現在の、あたしの友達の様子を見せて。
[手段はなんだったろうか。映し出される映像を、あたしは暫く眺める。 それはあたしの通っていた教室。あたしの座ってた机には、一輪挿しに生けられた花。それをスルーして、教室を眺める。 普通に授業の進む教室、しかしある意味予想通り、姿の見えないその姿に、あたしは眉を寄せる。]
…場所、変えてもらえるかしら。 るりの、部屋に。
(34) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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[カミサマは見せてくれただろうか。 もしも見せてくれたのであれば、締め切られた真っ暗な部屋の中、ベッドの上で膝を抱え、毛布を頭からかぶったまま虚空を眺めている彼女の姿が映ったことだろう。 それの意味することは何か。正確なことまでは分からない。 あくまで憶測でしかない。けれど。
彼女がこうなっているのは、あたしが殺されたせいでは、無いはずだ。]
…ありがと、カミサマ。 やっぱり、やっておかないといけないこと、あるみたい。
[あたしはそのひょうきんな顔をしたカミサマに、軽く笑んでみせる。 くるりと踵を返すと、その部屋を後にするのだった。]
(35) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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[それから、本田と色々な話をして(離れた後は物凄く恥ずかしかった)、自室へ戻った。彼女には少し眠った方がいいと言い含めて、それから、あとで迎えに行く、とも。
一人の部屋にいると、気恥ずかしさと、嬉しさと、──なにか、小さなトゲのようなものが、喉の奥につかえて。 ここにきてからまともに睡眠をとっていないのに、眠る気にはならなかった。]
────バタフライエフェクト。
[いつか赤い獣が言った言葉を反芻する。 本田の部屋を出てからエンジェルさいとうに頼んで、現世の新聞を貰った。あるのか分からない脳に何度も何度も刻み付けるように読んだ記事は、自分の死亡記事と本田の死亡記事。
帰れたとしても、このふたつを回避しなくちゃいけない。 簡単な事だ。二人とも帰り道を変えればいいだけ。 難しい事はない、けれど。]
(36) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/27(Thu) 00時頃
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―先輩と遭遇―
[それはどのタイミング、どの場所だっただろうか。 あたしが先輩を見つけたのか、先輩があたしを見つけたのか。 先に口を開いたのは、どちらだったろうか。]
…先輩。
[先輩の表情に宿る何かに、違和感…というにはあまりにも小さな、何かの変化を感じて。その正体に思い至らないままに、あたしは先輩に尋ねる。]
帰ること、できそうですか?
[先輩は、一体どんな返事を返してきただろうか。 それがどんな答えだったとしても、あたしは先輩になんとしてでも帰ってもらわねばならなかった。]
(37) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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帰り道をかえて。神社の前に行かない。 そうすれば、もっかい死ぬ事はないんだろ──あの子を見殺しにすれば。
[ぎ、と奥歯が鳴る。 思い出してしまった。自分は、子供を庇って事故にあったのだ。 そしてその事故の三日後の記事には──「意識不明の子供、本日未明死亡」の文字。]
あと五秒、早ければ…
[どうなっていただろうね? かみさまを名乗る獣の言葉の意味を、今更噛み締める。 そこに戻れば、同じ死が待っている可能性もあるのだろう。本田との未来を望むなら、見ないふりをすればいいのだ。でも。でも。]
……ぶざけんな。
[一瞬、家族や早川の顔が過る。 親が子供のもとに帰るべきであるように。子供も、ちゃんと帰るべきなのだ。]
(38) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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[カミサマとの話を終えると、そっと部屋を出た。 見渡せば随分扉の数が減っている。4枚まで減っている扉は―― すぐに2枚まで減るのだろう。妙な確信があった]
そうと決まれば…… 閉じこもってるヒマは、なさそうね。
[彼の鍵穴は見つけた。 あとは、彼に合うカギを探すだけ――それが一番難しいことだった。
何故なら自分は、年下と話をした事がほとんどないのだ。
今まで付き合ってきた男性は全て同い年か年上。 言い寄って来た男性の中に年下が居たのは学生時代だけだったし、社会人になってから学生と話をした事などなかった。 話題に出来る事など思いつかない。思わず額に手を当てて考え込む]
(39) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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(相手が学生じゃお酒の力にも頼れないしね……)
[自分の口を軽くする酒の力も、今度ばかりは使えない。 鍵を探すにしても、とっかかりがなければかなり難しくなる。 しかも相手は『死のうとしている』相手なのだ、一筋縄ではいかない]
……大分追い詰められてるわね、私。
[呟いたその言葉は別の意味にも聞こえ。 まだそんな歳じゃないと自問自答しながら、リビングのソファに座りこんだ]
(40) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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[もしも、先輩に尋ねられたのであれば>>30。 あたしは暫く悩んだ後で、こう答える。]
…なんだ、先輩。 好きなヒト、いるんじゃないですか。
[そう言って、にっこりと笑う。 本当の所は、分からない。先輩のその感情が、何と名のつく物なのかは知らない。 けれど、あたしはそれが、好意であったとしても違ったとしても、好意だと先輩が認識すれば良いと思う。 それは浅はかな考えだったろうか? 理論なんて無茶苦茶だっていい。 ただ、先輩が、その人を、好きだと思い込めば。 そして、残されたその人…須藤さんだろう…が、よほど死にたがりだとか、先輩を毛嫌いしているとかでなければ。 先輩が生き返れる可能性は、十分にある。]
(41) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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[何となく息が詰まって、突き当たりの白い壁を見る。 春から住む筈の部屋は、この位置が全面ガラス窓。天気の良い日には、空がよく見える──、
衝動的に立ち上がってクロゼットを漁る。 きちんと収納された、滅多に日の目を見ないカラースプレーの缶。 引っつかんで、白い壁を塗り潰す。青、碧、蒼、葵、あお。重ねて重ねて重ねて──白と灰を足して。]
…っは。すっきりした。
[塗り潰された壁には、吹き抜けの蒼穹。突貫で描かれた空の前で、短く息を吐く。やがて、汚れた手で机の引き出しを開けた。]
『ちゃんと守ってやんな』
[写真を見れば、父の声が蘇る。父のようには出来ないけれど。それでも、自分のやり方で。]
だよな、とうさん。
[強く頷いて。部屋を後にした。]*
(42) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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―リビング―
[聞いてみよう、と考えていた矢先の邂逅だった。 無論、邂逅というにはこの空間は狭すぎて、単なる偶然の範疇なのだろうけれど。 初めて会った時よりは幾分朗らかに、しかしどこか危うげな真墨の様子に本田はどう反応しただろうか。]
本田さん。聞きたいことがあったんだ。
『帰ること、できそうですか?』>>37
[挨拶代わりの言葉に返されたその返答は、真剣さを帯びていて。 真墨の表情が、さっと元来の表情に戻る。 それは―――既に、手放したハズの権利で。]
帰りたく、ないな。 一緒に過ごしたい人がいるんだ。 もっと話していたくて、色んな表情が見てみたくて。 その人と会話をしてると―――心が浮足立つ。 その人と、ここで、一緒に過ごしたくて…
(43) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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――― 一緒に、消えてなくなりたい。
[それは、やはり歪んだ願望で。]
(44) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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[その問いかけと返答とはまた別に。]
ねぇ、先輩。 どうか、どうか、生き返ってくださいね。
[そう、念を押してくり返すあたしに、先輩はどんな顔をするだろうか。怪訝な顔だろうか。合点の行った顔だろうか。それとも、まったくの無表情だろうか。 どんな顔をされても、関係ない。]
先輩、多分、るりの目の前で死んだんでしょう。
[それは、厳密には少し違うのだけれど。 否定を得ても、得なくても、あたしは続けるだろう。]
あの子、その状態で好きな人が死んで、それで忘れられるほど、器用じゃないから。
[間違いなく、自分が好きな人を殺してしまったのだと思い込んでいる。 どんなにアレは事故だ、自殺だと言われていたとしても。 それを聞けるだけの余裕は、あの子には無い。むしろ。 何も聞えないのかもしれない。 先輩が興味を示せば、カミサマに見せてもらうと良いとコメントを付けたことだろう。]
(45) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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[全くそんなものに興味を示さなかったとしたら…]
先輩が生き返ることは、あの子を救うと思うんです。 馬鹿な子だけど、悪い子ではないから…
[どうか、あの子を助けて。先輩が死んだという事実を、無かった事にして。 そう、懇願するように言葉を紡いだことだろう。
実際あたしが望むのはそこだった。 先輩自身がどうこうという点ではない辺り、あたしも相当自己中かもしれない。]
(46) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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ねえ、ボクは今どんな気持ちなんだろうか。 カミサマさんにも、ボクの気持ちだけは分からないと言われてしまってね。 相談できるのが本田さんしかいなくって―――
[しばらく真墨の言葉に悩んでいた目の前の少女は、不意に顔を上げて、ニッコリと笑った。]
『…なんだ、先輩。 好きなヒト、いるんじゃないですか。』>>41
[放られたボールを、キャッチすることなく見送るように。 その言葉が、耳に届いたものの脳内を滑り落ちて行く。]
……ス、キ?
[スキナヒト…好きとは、つまり好きという感情のことで。]
はは、いやいやまさか。 そんなこと―――あるわけないじゃないか。
[その言葉は、どこか空々しく。]
(47) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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──現在──
[こん、と軽いノックの音を響かせて、本田の部屋の扉を叩く。 応答があれば、彼女が出てくるのを待たずに開けただろう。
顔をみたらまた笑ってくれるだろうか。 自分は照れ臭いけれど。でも、きっと口元が緩んでしまう。
そばに来てくれる彼女に笑いかけて。 手を繋ぐ代わりみたいに、その髪をひと筋掬う。]
ね、本田さん。帰ろ。
[俺といっしょに。 指先に絡めた明るい色の髪に、そっと唇を押し当てて、言った。]
(48) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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―自室―
[迎えに行く、そう言われて。>>36 用事を終えたあたしは、部屋で待つ。 ベッドに腰掛けて、机の上の写真を手に取り。 そっと撫でる。
とうさん、あたし、帰るよ。 好きな人と一緒に、帰るよ。 今度はちゃんと、電話するよ。 だから、迎えに来てね。
落ち着かないままに、そんなことを思いつつ。 ここで出会った人たちの事、思い返していた。
そして。]
(49) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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…はぁい!
[ノックに応えるように、返事をして、立ち上がる。 手にしていた写真たては、机に戻した。 開かれた扉の向こう、大好きな貴方がいて。 しぜん、口元が綻ぶように、笑みが浮かんだ。
た、と駆け寄ったあたしの髪を、掬い上げる指先が。 やっぱり綺麗で、好きだなぁと思う。
…あの指を、いつか触れる時は来るだろうか。 やっぱりちらりと、そんなことを思ってしまうけれど。 今はそっと胸にしまっておこう。]
うん!
[帰ろうと贈られた優しい口づけに、くすぐったいような心持でくすくすと笑い。]
(50) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2014/03/27(Thu) 01時頃
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ね、槇村さん。
[自分より高いその人の目を見上げ、あたしは歌うように言う。]
もしかしたら、ここでの記憶、もってけないかもしれないでしょう。 でもね。 あたし、あんまり嫌じゃないの。
[踊るように紡ぎあげた言葉に、彼はどんな反応を返すだろう。 けれど、彼の表情が変わる前に、あたしは言葉をつづけた。]
だってね、あたし、貴方の事もう一回、好きになる自信あるもの! きっとまた、出会う機会もあるでしょう。 そしたらね、また、貴方に恋するの。 もう一回なんて、ケチな事言わない。 何度でも、何度でも!
[こんな幸せな気分になれるなら、それも悪くないなんて思ってしまうあたり、あたしはまだまだ子供かもしれない。]
(51) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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[二人で他愛ない話をしながら、共有スペースまで歩く。 話題は帰ったらあれがしたい、ここに行きたい、なんてまだ見ぬ未来の話だったかもしれない。
青い扉の前に揃って立てば、居るのが当然のような顔をしたかみさまと行き会う。 お世話になりました、律儀に頭を下げて。思い出したように手の中の小さなものを、赤い獣の前に置いた。]
こっちのものは持って行けないんだよね。 これ、かみさまにあげる。
[いつかの石粉粘土を着彩した、ミニチュアの「かみさま」が鎮座する。我ながら良い出来。にや、と笑って軽く手を振った。]
(52) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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だって、そんなの…ボクは…
[イヤイヤと、駄々っ子のように首を振る真墨へとさらに本田は言葉を重ね。>>45 生き返ってくれ、と頼まれる。 それはつまり、誰かを好きになれということで。 その瞬間に、須藤の顔が浮かんだのは―――気のせいだと、真墨は否定する。]
『先輩、多分、るりの目の前で死んだんでしょう。』
[そして、生前身を挺して庇った後輩の話になれば。]
それは…厳密には、違うけど… どうして、それをあの子が気にするのさ…
[現状を、自称・神様に見せてもらうといいと言われてしまい。 そんなものを今更見たところで、どうなるというのだろうか。 真墨は、最早生き返ることへの魅力など感じていなかった。]
ボクは、生き返るつもりはないよ。 だから、もう、どうでもいいことだよ。
(53) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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──俺も。
[何度でも。そういった彼女に笑み崩れる。 大丈夫。俺もだよ。死ぬ時には、一度でいいと思った。それが最後で構わないと。でも、そうだ、どうせ望みが叶ったのならば。]
何回だって君に恋をするよ。 生きてたって、死んだって、忘れたって。何度でも。 一回なんかじゃ足りないって、思い知ったから。だから。
[笑ったまま、青い扉のノブを回す。すんなりと開いたその前で彼女を振り返って。──手を、伸ばした。]
一緒に、生きよう。本田さん。
(54) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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[生き返ることで、『るり』は救われる。 そんな風に、本田が口にすれば。 こんな自分が誰かを救えるわけがないと、否定するだろう。]
アレは…彼女のせいじゃない。 彼女が怪我をするのを、代わりにボクが肩代わりしただけで… ボクに、誰かを救うことなんて―――できるわけ無いじゃないか。
[善いも悪いも分からない進村 真墨が。 あの瞬間(>>0:97)、自分の危機も顧みずに後輩のことを守ったのは。 それは、目の前の後輩を、怪我から『救いたかった』からではないのか。]
[人として、当たり前なように。]
(55) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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[共有スペースに差し掛かった所。 そこに須藤さんの姿を見つけ、ついと近寄る。]
あの…須藤さん。先輩の事…
[よろしくおねがいします、と頭を下げる。 頭を下げられた方も困ってしまうだろう、とおもうのだけれど。今のあたしには、こうするしかなくて。]
…先輩、何だか変な人だけど。 決して、悪気があるわけじゃないと思うんです。 ただ…
[あたしは少しだけ、悩んで。]
やっぱり、変なヒトですよね。 一緒に過ごしたい、話したい、いろんな表情が見たい、 そこまで言って、好きとは違うなんて言うんですもの。
[多分、付ける名前が違うだけなのに、と。 あたしの感じた違和感のようなものは、彼女に届いただろうか。]
(56) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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[伸ばした手に、彼女の手が重なって。 きっと二人は扉の向こうへ行ける。また、巡り合う。
──死者は、愛を知ったのだから。]*
(57) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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[開いた扉の前、一緒に生きよう、と言われれば。]
はい!
[差し出された手、今だけは、取っても良いかな、と思ってそっと自分の手を重ねたのだった。]
(58) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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