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麻雀に9人が投票した。
セシルに1人が投票した。
麻雀は村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
サミュエルが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、スティーブン、ペラジー、ジリヤ、ヤニク、セシル、ズリエル、シーシャ、クリスマスの8名。
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[昼下がりに差し掛かり始めた陽光が廊下を四角く照らす。 男は、約束を果たそうと食堂に行く時と同じ道を戻っていた。
四角い光は、やはり何処か人が創り出したものなのだろう。 思い出したのはサナトリウムに色を運ぶ画家の存在。]
(……そういえば、最近麻雀の姿を見てないなぁ)
[鮮やかな色彩。 彼が感じている世界。 サミュエルの所を訪れた後、寄ってみようか。なんて考えて。
音楽に、思いを馳せる。 彼の鳴らすギターはどんな音だったか。 今頃、ピックを構えて弦を弾いたりしているのだろうか。 ……彼のギターは、とっくに錆びているのに。*]
(0) 2014/09/07(Sun) 00時頃
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[時々、口を付いて出る。 時々、不意に滲み出す…嫌な、もの。 一瞬見せた、怯えた様子に血の気が引く思いだったのだけれど。 その反応を見せた目の前の少女は、何も見ていなかったの様に笑っている。 少し煌めく様な力を失っているのは、無理して笑っているのだろうか。]
…シーシャさん……ああ、確かに… 強い味の、方が、好きそうな、感じ……
[忘れない、と豪語するミシンの向こう側の男。 此の様な『忘れ難い味』の方が、彼にとっては丁度良いのかも、と考えると何やらしっくり来てしまう。 だから彼は怯まなかったのだろうか、己の厳つい顔を見ても。]
(1) 2014/09/07(Sun) 00時半頃
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―回想•食堂―
[急に咲いて、散って–––––––––– ぷつり、ぷつりと、途切れ途切れの言葉>>3:17を繋ぎ合わせれば、何故か思い浮かんだのは、かつての自身が経験した情景。 微睡む頭、咲いて、切り落として。
手品を見せた相手の反応は、まるで子供のよう。 目を丸くする相手尻目に甘いコーヒーが喉を通る。 砂糖を出した辺りを指を沿わせて確認する手は、無骨であるはずなのに…空目したのは、つるんとした肌の子供の手。 それは、遠くから聞こえた少女>>3:27の声も相まったからかもしれない。 ……「クマ」って、此方の隣人のことかな。
「手品か」と、それを真似してパンを捏ねる様子を見ても、その場は微笑むだけ。]
……君が、今持っている物は…何物か…
[小さな声は少し自嘲を含んでいた。 相手には、聞こえていないかもしれない。]
(2) 2014/09/07(Sun) 00時半頃
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[相手が立ち上がったのはその後のことだろうか。 顔だけをクマのような相手に向けると、首を傾げている。]
ふふ、冗談だよ。
[そうしてスティーブン>>3:52>>3:53に向き直る。自分も彼と共に病室に向かう用事があることを思いつけば、急いで立ち上がって 話の片手間に包んだ余りのビスケットを袖の中にしまい込む。
差し出された手には最初、キョトンとした表情を向けただろう。 しかしすぐに、その手を取ろうとして…自分の持ち物のことを思い出し、音を創り出す箱のベルトを肩に掛けようとすると、不思議と軽く、温かい>>3:82。 礼を述べてから、自身の名を確認されれば]
そう、ヤニク。よかったら覚えて貰える? 君とはまた、話したいから。 ……あ、あと「さん」はいらない。 たぶん、君の方が歳上だ。
[ペラリとめくった赤いパーカーの下。洗い過ぎてクタクタになったカッターシャツに、消えかけの油性ペンで書かれた『YANICK』のスペル。 それは、相手の腹に書かれた文字体と似ているだろう。 "よろしく、ズリエル"]
(3) 2014/09/07(Sun) 00時半頃
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[その後、三人で食堂の入り口に向かおうとすれば、ズリエルは少女と話をし始めただろうか>>95。 そうなれば「自分は約束があるから」とその場を一人離れて先を急いだだろう。 遠くで手を振っている、日頃から研究熱心な男性>>112を視界に収めたのでヒラリと手を振りながら、
約束をした彼の所に向かう足取りは、いつも通り。*]
(4) 2014/09/07(Sun) 00時半頃
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[受け取られたパンの耳。それを見て少しだけ安心した。 だが優しい、とかけられた声はちくちくと肌に刺さる心地で頭を掻き、誤摩化す。]
そんな、こと…無い。
[そう、濁す。 身体には自分の知らない古傷が多く刻まれている事を知っている。 自然に負傷するにはおかしい場所にも。千切れかけた物を、無理矢理繋ぎ合わせた古い縫合痕も。 味を誤摩化す様に、嫌な物を誤摩化す様に、自分もパンの耳を千切って口に突っ込んだ。]
……やさしいのは…ペラジーさん、じゃないですか。
[怒らず。嘆かず… 怯えたにも関わらず、逃げ出さない。 それはきっと優しいからなのだ、と。 生まれた違和感に、漠然とした結論を縫い付けた。
………そうだ、優しいから。 少しばかり残された、少ない朝食のトレイ。 乾いた立方体や散乱したパン屑をマグにまとめて、片付けながら、彼女の胸元の黒を眺める。]
(5) 2014/09/07(Sun) 00時半頃
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『 ────あんたのせいだよ。 』
(うん。それでいいよ。それでいいから、)
(6) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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────────、…ッ
[白い天井。 目覚めたそこは、診察室のベッドだった。
気怠い身体を無理矢理に起こす。 どの位時間が経ったのだろう。
彼は、サミュエルは。どうなったのだろう。]
……ぁ?、……邪魔くせ……
[腕を動かした折、服の内側に違和感。袖を捲ると肘から二の腕の外側に沿って、ほの白い花が無数に纏い付く。
ボタンを外してシャツから片腕を引き抜いた。露わになった青白い肌に、こびり付くように花弁がめり込んでいる。 まるで、途中で成長を止めたような。]
(7) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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痛、…
[首筋に些細な違和感。 花を毟った傷とは違う、そこに指を這わせばぴったりと貼られたテープ剤の感触。 以前にもあった。鎮静剤を打たれたのだろうとあたりを付ける。
何度目かの溜息を吐いて、再びごろりと横になった。 医師が此処に居ないのは。きっと彼を──安置するためだろう。]
………、ィ……
[喉元を競り上がってくる感覚に、腕を瞼に乗せて蓋をする。 腕の花たちがざわめく気がして。溢れそうになる感情を飲み込んだ。
泣いちゃいけない。 まるで涙に誘われるように、それは背後から伸びて来て。 まるで慰めでもするように、この胸の痛みすら、いとも簡単に奪い去ってしまうのだ。
だから、これ以上泣く訳にはいかない。──彼を失くした痛みを、忘れない為に。]
(8) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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シーシャはね。かっこいいんだ。 いつも頑張ってるし、いつもあたしに、色々してくれるの。
[相手がシーシャの事を語る>>1のを聞けば嬉しそうに言う。 …実際の所は、色んな悪戯だったりするのだが。悪戯されたなんて夢にも思わないし。相手をしてくれるのが嬉しかったから。]
……やさしい、かー。 そうなのかな。うん。そっか…ありがとう、ズリエル!
[優しい。>>5そんな言葉さえ。疑いなく飲み込む。嬉しい。]
(9) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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[ズリエルがトレイを片付け始めたのを見て手伝おうとも思ったが、手を出す余地もなさそうだったので。 ただ、何かを伝えるように、そっと、その手に手を添えて。]
…これから、よろしくね。仲良くしようね。
ここのおうち、色んな所があるから。いっしょに遊んだりも出来るよ。 そうそう。絵を描くおじいさんもいるんだ。
だから。きっと、ズリエルも、楽しく過ごせると思うんだ。
じゃあ、あたし、行くね。またお話ししよう?
[そう言って。そっと手を離して。手を振りながら、食堂を後にした。]
(10) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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[―――そのとき、右目から、またひとつ。]
(11) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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[花が 芽吹いた。
それは 紫色の。]
……じゃまっけ。…でも。
ちょっと きもちいい。
[そこにはもう、花に侵される事を恐れる声はなかった。]
(12) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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―麻雀の部屋―
[『どうぞ、開いてるよ。』>>2:156 そう言葉が返ってすぐ、動くような物音がして。
…きっと彼自ら、この扉を開けてくれるのだろう。 そうであれば、自分から開けて入るような無粋な真似はしない。]
……………。
[しかし待てど待てど、その扉が開かれることはなく。 気付けば物音一つない静寂。]
(13) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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………。マーチェ?
[終にはその扉に手をかけて。
ふわり、風をはらんで膨らむカーテン。 開け放たれた窓から扉へ、刹那吹き抜ける白。>>2:160 反射で思わず瞳を閉じれば、ほのかな甘さが頬を過ぎ逝く。]
(14) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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[ゆっくりと目を開き、そこに見つけたものは――]
少し。…遅かったかな。
[ ――輪郭のみ描かれたキャンバスと。 その縁を飾る、年季の入ったような枯れ木と。]
………マーチェ。
(15) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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[大切そうに絵を抱え、それは静かに花々の祝福を受けている。 その優しい時間を壊さぬよう。
――― そっと、そっと、その名を呼んだ。]
(16) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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[風に乗って鼻腔を擽る甘やかな香りは、何故か”初恋”に似ていて。 派手すぎない黄色の花弁は、”謙虚”な彼を彷彿とさせる。
…伸ばした腕は、届いただろうか。この絵の先に。
――届いたと、信じたい。 だってこんなにも、穏やかな終わりを迎えたのだから。]
(17) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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あぁ。いいなぁ。
[静かに屈み、蔓の巻き付く枝木に触れ。]
マーチェ。僕も最期は、貴方のように――
[忘れて、忘れて。そしていつか、辿り着けるだろうか。]
[ふと左腕の白衣を捲れば、新たに芽吹いた花を見つけ。 センニチコウ。それを切り取り、彼に手向けた。]
次は、青がいいんです。 だからこれはきっと、貴方のために咲いた花だ。 …貴方の絵と同じ、色褪せずに残るもの。
(18) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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[部屋の片隅に立てかけられた紫。>>2:132 そこに”顔”はなかったけれど、それが自身と知ることはできて。]
ふふふ。 ありがとう、マーチェ。 ちゃんと注文通りですよ。実に僕らしい。>>1:92 これ、もらっていくよ。…大切にしますから。
[“顔”がないのは、偽善で誤魔化す自分の本質だとも思うから。 これを描いた彼にそのつもりはなかろうけども。それでも。]
(19) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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―診察室―
…先生。おられますか。
[麻雀の部屋を後にして。 彼の変化を伝えようと、スティーブンの元を訪ねる。
さて、部屋には誰がいただろう。 誰もいなければ、医師を探して外に出る。 医師でなく、患者の誰かが居たとしたら―― ――話しかけるかは、相手の反応次第だけれど。]**
(20) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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[ぶらぶらと、目的もなく廊下を歩く。 そうしていればきっと誰か親しい人に出会える。 そんな風に思って。]
………大丈夫。
[誰ともなく呟く。 小さな花が緩やかな速度で…腕に、咲いて行くのを感じていた。 小さな記憶がぽつぽつと、零れる。 …なんで、歩いているんだっけ。
でも、大丈夫。 こうしてれば、大丈夫。**]
(21) 2014/09/07(Sun) 01時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 02時頃
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–––––––サミュエル、お待たせ。
[コン。コン。 空箱を叩くようなノックを数回繰り返す。]
………、サミュエぇル!入っちゃうよ!
[もしかしたら、いつものようにイヤホンで音楽を聴いているのかもしれない。 一際大きな声で呼び掛けてから、扉に手をかけた。 しかし、扉の先には、主が不在の雑然とした空間が広がっているだけで。
約束を……忘れてしまったのかな? 部屋を見回す。 一際目を引く、弦が錆びて、埃を被ったストラトギターが一本。]
…………あぁ、ごめんよ…君に嘘を吐いちゃった…
[本当は、君と演奏をしたことなんてなかった。 君の奏でる音を聴いたことなんてなかったんだ。]
(22) 2014/09/07(Sun) 02時半頃
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[それでも、このギターは埃をかぶってもなお、音を鳴らしてもらうのを待ち望んでいるようだ。 空っぽの袖だけを振り回して、埃を綺麗にはたいてやる。]
新しい弦と…ペンチ、あとアンプ…は、高望みか
[右手の人差し指で弦を弾くと、朧げで戸惑うような音色が響く。 ……そうだね、君の音はこれじゃないんだろう。 夏の暑さも、照りつく陽射しも切り裂くような。 心臓を直接鷲掴むような。 音色。
弦を張り替えれば、眠りから覚めてくれるだろうか。*]
(23) 2014/09/07(Sun) 02時半頃
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『 バイバイ、
シーシャ。 』
[そう言った彼は。確かに、笑ったのだ。]
(24) 2014/09/07(Sun) 04時頃
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─少し前・彼と花と青年と─ あ────、あ、ァ、──────ッ!!!!
[叫ぶ。さけぶ。目の前の光景に。撒き散らすような芳香に。けれど喉はただひゅうひゅうと鳴って、声になんか成らない。ぼたぼたと落ちる雫だけが、無性に熱かった。
厭だ。いやだ。助けて。治して。センセイ、お願い。いやなんだ。こんなの。こんなのは、もう。 肺に吸い込んだ空気は、それすら花の香りに侵されて。力の抜けた身体を支えながら、気が触れたみたいに泣き叫んだ。
傍に、医師は居ただろうか。よく覚えていない。 誰かが誰かを呼ぶ声。ばたばたと騒がしい人の足音。勝手に震える肩を、強い力で掴まれた気がする。思い切り振り払うと、直ぐに後ろから羽交い締めにされた。
何人かに抱え込まれて、そこに居た彼の姿が、温度が、引き剥がされる。それが怖くて、どうしようもなく哀しくて、駄々を捏ねるみたいに暴れて──伸ばしたその手に。ざわりと、走る違和感。]
(25) 2014/09/07(Sun) 04時頃
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『 』
『 』
[慰めるように。抱き締めるように。背後から肩を腕を走る、甘い抱擁。白い花びらが、舞って、散って。目を見開く。上がった悲鳴は、自分のものか、他の誰かか。]
やめろ……煩えんだよ!黙れ、ッ!……っ、アイツを、
[叫んで毟り取る。引き千切った後から、零れ落ちる赤い滴と噎せ返るような花の香りが舞って。 床に押さえ付けられた。首筋を剥き出しにされる感覚。錯乱した意識は、最早何に抵抗しているのすら分からない。懇願に近い拒絶が、喉を割る。やめてくれ、]
アイツを、オレの中から、連れてくのは───
[ぶつん。
痛覚に信号が走って、唐突に意識が沈んでゆく。それきりどうなったのか覚えてはいない。 ただ、両腕に咲いた白い花達だけが、さやさやと甘い匂いを放って揺れていた。 ──泣かないで。かわいそうなシーシャ。まるでそう言いたげに。]**
(26) 2014/09/07(Sun) 04時頃
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─回想・黄色─
[無邪気にシーシャをかっこいい、と語る少女。 ありがとう、と屈託なく笑う少女。とても、自然な。 そっと重ねられた手は、幼児の物ではないが自分に比べれば小さい。 甲には鮮やかな青が揺れている。この人も孰れは包まれるのだろうか。 この人も孰れは花として落ちるのだろうか。無くなった袖の中の質量。 それでも是程までに、無邪気で居るのか。 空元気、なのか。判別は付かないけれど。
…きっと前者だ。優しいから、自分の花にも優しいのだ。 胸元の黒も艶やかだ。ひょっとしたら、それの為に日光浴でもしているのかもしれない。]
よろ……し、く、うん。よろしく。 ……どんな絵を描く、人、だろ。 おうち、…ん。またね、ペラジーさん。
[去って行く姿に此方も緩く、手を振って。 トレイを返却し、スタッフにごちそうさまでしたと声をかける。]
(27) 2014/09/07(Sun) 11時半頃
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じゃあ…あの。案…内…? お願い、します。
[待ってくれていたであろう、スティーブンに礼を1つして。 彼の後に続き、自分も食堂を出た。
滑り台の上にペラジーが居る。 明日は『ちょうどここ』で待ち合わせだ、と笑って。 広い斜面の中腹より上に、飴を手で軽く押し付けている。
記憶の空白を埋めるまたひとつ。 そうやって繋ぎ止めようとする間にも、肺の中で花弁を開くまたひとつ。*]
(28) 2014/09/07(Sun) 11時半頃
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─屋上─ [中庭の部分にだけ、ぽっかりと四角い穴を開けた屋上。 床に嵌め込まれたガラス板は、天窓だろう。 周囲はしっかりとした金網で囲われているが、本当に『これ』は白い巨大な箱の様だ。 その白い箱の上の片隅、庇の付いたベンチ。 手前に撒き散らされたコーンフレークの欠片を啄む、まだら模様の鳩達。
男は微かに絵の具で汚れたベンチに座り込んでいる。 タオルを頭に被り、足を投げ出して。 隣にスリッパが、背もたれに立てかける様に置いてある。
あの後のこと。 暫くスリッパを眺めていると急に、傍をスタッフか医師かがまるで縞馬の様に駆け抜けて行って。 『蕾の足の男』が消えた角に飛び込む。1人、2人、3人。 自分の身体と壁の隙間をすり抜けて。がちゃがちゃと鳴った音は、薬箱? 悲痛な、胸を射られた猛禽の様な叫び声が、向こう側から、する。 がちゃがちゃ。怒声。叫び声。誰かを呼ぶ声。床が鳴る。壁にぶつかる打撲音。
––––––––腹の皮膚が、突っ張る。]
(29) 2014/09/07(Sun) 12時頃
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[気付けば真逆の方向に、駆け出していた。 出来るだけ遠くに、行かなくちゃいけない、気がして。 誰かとすれ違ったなら、その人物は必死の、何かに追われているかの様な形相で。 そして妙にこなれた様なフォルムで駆け抜ける姿を捉えていたかもしれない。
階段を一気に上がり、踊り場の消火器を蹴っ飛ばし。 屋上のベンチに辿り着いた大熊の胸板は、肩は、未だに微かに上下している。 名前の書かれたシャツは汗でぐっしょりと濡れ。両脚はひりひり痛んで暫く歩けそうにない。 肺に、横隔膜に、きっと心臓にも。咲いているのだから、 その働きが阻害されている状態で急に…それも食後に激しい運動をした様な物。 身体には相当な負担がかかった筈だ。]
…大丈夫、だったの、かな。
[あの蕾の男は。 今にも風に倒れそうな笑み。あんな顔で笑う人間を見た記憶は、今残っている記憶の中には少なくとも無い。 何が起きていたのだろう。今となっては分かる訳も無い。 目を閉じて、怠い全身を休ませる。鳥と鳥とが、嘴を、羽をぶつけ合う微かな音。]
(30) 2014/09/07(Sun) 12時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 13時頃
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[蕾の消えた、角の向こう側。 怖かった? いいや…『まずい』と思ったんだ。 あの時の僕は、俺は…俺? 違う。僕は、僕でしょう?]
なにもの、か……もって、いる、もの……
[寝言の様に、呟いた言葉は無意識の物だっただろうか。 新たに鳩が飛んで来た。袋の中に残っていたフレークに、頭を突っ込んで。 鳩は喰らう。何の遠慮も無く。群がって、まだらとまだらがまざりあってもまだらのまま。
屋上には相変わらず鳩の鳴き声。 ベンチの上ではぐったりと、大男が、眠っていた。**]
(31) 2014/09/07(Sun) 13時頃
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-少しだけ前・ズリエルと-
―――こちらに行けば中庭。あと、あっちは―――
[自分よりも体躯の大きな彼に対して、柔らかく少年に説明するように指を指し示す。 案内図の場所も丁寧に示した。]
本を読むなら、図書室がここにある。 何かもし必要なものがあれば、この右に備品庫がある―――
[記憶を喪失するという病気の特性上、このサナトリウムは随所に案内看板が備え付けられている。 それの追い方を丁寧に伝えながら少し歩く。]
―――そして、ここが君の部屋。
[そう言ってドアに取り付けられたネームプレートを指し示せば、少年はアルファベットを丁寧に指で追った。>>125 安堵するような声に、ふっと笑いをこぼし、彼が部屋に入るのを確認した。]
(32) 2014/09/07(Sun) 17時半頃
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-廊下-
[身体を支える肩にかかるサミュエルの重みは次第に増え――それは彼の中の急速な開花を示していた。
途中で、ズリエルが履物を差し出す。が。]
―――。
[履けそうにない、という言葉>>2:134にその足先を見やれば、そこにはすでに。 ズリエルには微笑みで返し、半ば体を抱えるようにして廊下の曲がり角を曲がった。
鼻腔をくすぐるのは青い草の香り。]
(33) 2014/09/07(Sun) 18時頃
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[慟哭する声は、もはや遠く。
花の香りは強く。
シーシャがつかみかかろうとして、とっさに体を挟もうとするが、間に合わず。]
――っ!!
[サミュエルの体から、糸が切れたように力が抜けた。
声にならない声で叫ぶシーシャ。
男はそんな中でも冷静にスタッフを呼ぶ。 まるで子供のように泣きわめくシーシャは、いつものあの表情ではなかった。]
(34) 2014/09/07(Sun) 18時頃
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[サミュエルの体を一旦スタッフに預け、シーシャの腕を強くつかむ。]
シーシャ、落ち着け。シーシャ。
[それでも青年は腕の中でもがく。もがく。もがく。
スタッフの一人が見かねて鎮静剤を投与すれば、彼もその意識を闇に溶かした。]
――――診察室へ、お願いします。
[スタッフへの指示は思ったよりも湿り気を帯びた声だった。]
(35) 2014/09/07(Sun) 18時頃
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-喧騒のあと-
[サミュエルに声をかけ、その体を彼の自室へ―――ベッドへ横たえる。
錆びたギターの弦が音を立てた気がした。
主のいないギターにそっと触れる。
さわり、と今度は、花たちが揺れた気がした。]*
(36) 2014/09/07(Sun) 18時頃
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[男は―――覚え続ける。
失われた記憶を、彼らを、覚え続けることが、男の、仕事。
しばし揺れる花とその香りに包まれ立ち尽くしていた男は、ふいに手のひらを見る。 いつの間にか握りしめていた拳にはうっすらと血がにじんでいた。
後悔の言葉が口を衝きそうになり、そのままこらえる。 それは自分の仕事ではない。
そう言い聞かせて、男は病室を後にし、診療室へと向かった。]**
(37) 2014/09/07(Sun) 18時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 19時頃
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―診察室―
[診察室には、誰もいないのだろうか。 部屋の奥、カーテンで仕切られた区画にそっと手をかけて。
見つけたのは――腕で目元を覆い耐えるような様子の男を一人。>>8 真っ白なベッドに横たわるシーシャは、覗く視線に気付いただろうか。
どちらにしろ、彼がここに寝かされているということは…そういうこと、だから。 こちらからは声をかけるずカーテンを閉じ、診察台近くの椅子に座った。]
(38) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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Are you going to Scarborough Fair…? (スカーバラの市へ行くのかい?) Parsley, sage, rosemary and thyme… (パセリ、セージ、ローズマリーにタイム…)
Remember me to one who lives there… (嗚呼、それなら。そこに住むあの子に伝えてくれ…) For she once was a true love of mine…… (彼女はかつての、僕の恋人なんだ…)
[口遊むのは、とある国の伝統的なバラード。 誰に聴かせるでもなく、ただただ呟くように。]
(39) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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Tell her to make me a cambric shirt, (白麻のシャツを、作るように伝えてほしい) Parsley, sage, rosemary and thyme… (パセリ、セージ、ローズマリーにタイム…)
Without no seam nor fine needlework, (針仕事もなしで。そう、縫い目のないものを) And then she'll be a true love of mine… (それができたなら、君は僕の真の恋人だと…)
[それは到底、叶わぬ願い。 別れた彼女に、こうして無理難題を押し付けて。 この歌の男は一体、何を望むというのだろう。]
(40) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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[無理難題を尋ねる男に、彼女は問い返す。
失った記憶を全て、見つけるように伝えて。 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。 過ぎ去りし日々と。これから迎える未来の。
それができたなら、貴方は私の真の恋人だと―――]*
(41) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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―回想・タイムの記憶―
……君のその、左腕。 切ってしまったのかい?
[背後から、唐突に。 隻腕の男に声をかけた。]
勿体ないよ。 せっかく咲いたのに、落としてしまうなんて。
僕なんてほら、この通り。 今は、左手に紫の花束を作る実験をしているんだけど。 ここに来て随分経つのになぁ… まばらに生えてばかりで、なかなか綺麗に咲かなくて。
(42) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 21時頃
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[色々と言い訳しているが、私は知っている。 こいつには腕を切り離す”勇気”がないことを。
腕を切り離す痛みに、彼は耐えられない。 痛いのは嫌なのだと。…散々人にやってきたことなのに。 辛いことから逃げたいと。…『生える』腕を免罪符にして。
――身も、心も。 これを切り離すことを良しとはしないだろう…。]*
(43) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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―回想・ローズマリーの記憶―
[デリカシーの無い人。 一言で表すなら、そんなところかしら? ――妙齢の女性の寝室に、無断で入ったりして!>>2:50]
やぁ、はじめまして。 美人の金糸雀さん。お邪魔しているよ。
……え?何? 怒ってるのかい? 一体どうしt…
[『パンッ!!』
…そりゃそうでしょう。 勝手に部屋に入って、"記憶”を覗き見て。 平手打ちを喰らっても仕方がないわよね。]
(44) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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[けれど。 一瞬驚いたような顔をしたくせに、この男ときたら。]
うん、そうだね。 日記に残された記憶は、筆者そのものだと僕も思う。 いや、だから君のことをもっと知りたいと思、 …って、わかった!わかった! えぇ?そんなにダメなことだったかな…? いいじゃないか、少しくらい。どうせ忘れるのに――
[それは、あの子の大切なもの。”変わらぬ愛の心”。
貴方の本質は、全てを知り、暴こうとするのでしょうけれど。 誰にも見せず、秘めたい想いがあることも知りなさいな。 誰しも持つ、大切なものよ。
――たとえいつか、忘れてしまうのだとしても。]*
(45) 2014/09/07(Sun) 21時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 21時半頃
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─診察室─
[誰かが扉を開く。 聞き慣れたスティーブンの、落ち着いた重みのある音とは違う足音。 カーテンを少しだけ開く気配がして。 直ぐに閉じられたその向こうから、静かな歌声。>>39]
────……
[少しだけ身じろぎをして、黙って聴き入っていた。 合間あいまに、うとうとと微睡む。それは、終わってしまった恋を、取り戻せない時間を、修復できない関係を。嘆く二人の唄で。
頭の中、重ねられた膨大なフィルムの、どこか片隅をちりちりと灼いた。]
(46) 2014/09/07(Sun) 21時半頃
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…──If you say that you can't, then I shall reply,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
……Oh, Let me know that at least you will try,
Or you'll never be a true love of mine.
[薄い唇が、カーテン越しに同じ節を紡ぐ。 けれどもしかしたら、そこに込められた意味は、随分と違うかもしれなくて。]
…──不可能だろうが、妄言だろうが。なんもしねえよりはマシなんだよ。笑いたきゃ笑え、クソ野郎。
[それは彼が、この忘却の箱の中で何度も何度もなんども繰り返してきた、矛盾を孕む誓いのようで。 空気を揺らした声に滲むのは、自嘲と、笑える程に一途な決意。]
(47) 2014/09/07(Sun) 21時半頃
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( 「オレは」、「ひとりも」、「忘れてない」 )
[それは、思い出を糧に育つ花に冒された青年の、たったひとつだけ残った誓い。]*
(48) 2014/09/07(Sun) 22時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 22時頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 22時頃
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-診察室-
[扉を開けて、そして少しだけ面食らう。 最初に目に入ったのは、自分が想定していたのとは別の人物で。]
―――セシル、何かあったかい?
[もともと自分と同じく医学の道にいた男。彼自身はその経験からか、己の体を傷つけたりといった行動は少ない。 だから、たいてい彼がここに来るときは彼以外の誰かに「何か」があった時で。
白いカーテンの揺れる先、シーシャも見える。彼の様子は、表情はどうだったか。]
(49) 2014/09/07(Sun) 22時半頃
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―回想・タイムの記憶―
[ 「切ってしまったのかい?」
背後から聞こえた声に、思わず周囲をキョトキョト見渡す、どうやら男に尋ねているようだ。
彼>>12に出会ったのは腕を切り落として間も無い頃だっただろうか。 切り傷を指でなぞるような質問に苦笑しながら、振り返る。
なるほど、彼の左腕にはこれからブーケになるであろう紫色の花が蔓延っていた。]
(50) 2014/09/07(Sun) 22時半頃
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……、 腕から花が生えた時は、花束を作るなんていう発想は…無かったかなぁ。
実験って、花の生える位置の調整をしたりするのかい?……よく分からないけれど。 確かに、君の腕の花はまだ穴ぼこだらけだね。 でも、いずれ、
[いずれ、その花は、人の意思に関係なく身体中を覆うのだろう?
開けた口を、静かに閉じた。]
…………………ブーケが出来たら、その左腕をどうするの?
[今はまだある左腕の役目を終えた時、彼の身体の一部の行方は。
途端、彼の左腕に咲く花が根無し草のように見えてしまって。]
(51) 2014/09/07(Sun) 22時半頃
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[昼下がりの陽の射す書庫は 予想通り誰もおらずしんと静まり返っていた
途中、見知ったはずの誰かと すれ違ったのなら、いつもと同じように
『御機嫌よう』
そう告げて、その場を去っただろう 涙零れる目元を見せないように
朝のようにソファに腰をおろし ぼんやりと、窓の外の空を眺めていた]
(52) 2014/09/07(Sun) 22時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 22時半頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 22時半頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 23時頃
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―回想・セージの記憶―
[あの日のことは、よく覚えていますよ。 ずっと辛い環境で”耐えて”きた少女の話を聞いて。 彼は罪悪感に苛まれ、軽率な嘘を吐きました。]
…ねぇ、ペラジー。 僕の秘密を一つ、教えてあげるよ。
実は、僕はね… ―――君の”お兄ちゃん”なのさ。
きっと覚えていないだろうけれど、 君がうんと幼い時に、僕は家を出てしまったから……
(53) 2014/09/07(Sun) 23時頃
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……ずっと、遠くにいてごめんよ。 でも。もう、大丈夫だから。
これからはここで、ずっと一緒に暮らせるし きっと、楽しい毎日が待っているよ。
[彼が今まで、身寄りのない貧困層の人々にしてきた『酷いこと』。 これはその罪悪感を埋めるための、自己満足に過ぎなかったのでしょうけれど。 ……人の心を利用して、なんたる偽善。
嗚呼、けれど。 彼にも、あったのかもしれませんね。 ――“幸福な家庭”を、望む心が。]*
(54) 2014/09/07(Sun) 23時頃
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―回想・パセリの記憶―
[――あぁ!そうさ。 あの日、彼は”祝杯”を上げた。文字どおりね。 それを僕は、彼の左手から眺めていた。]
…これで。これで、やっと! 僕は解放される。この苦しみから、解放されるんだ…
もう、誰かを使って実験する必要なんてない。 僕自身が、被験者なんだ。 なんだってできる。きっと役に立つデータが取れる。
……それに。 それに、忘れることができる。いずれ何もかも忘れるんだ。 これまでのことを、全部。
今まで発症者達にしてきた酷い実験を、全部、全部―――
(55) 2014/09/07(Sun) 23時頃
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[手元のワインより、歓喜による酔いの方が強いようだった。 まぁ確かに”苦味を消し”て、”お祭り気分”にさせるのがパセリの役目ではあるけどね。 こんな皮肉なことがあるかい?最初に芽吹いたことを呪ってしまうよ。]
―――もしもし。 そちらのサナトリウムで現在、患者の受け入れは可能ですか…。 えぇ、はい、そうです。勿忘草病です。大至急手配して欲しいのですが。
担当医の…スティーブン先生、ですね。 よろしくお願いいたします。
…あぁ、すみません。発症者は、僕自身です。 いえ、容体は悪くないのですが、早く安定した環境に身を置きたい。 色々と、やりたいことがあるのです。 条件を統一しなければ良いデータが…
[電話越しに話していたのは、行き先と定めたサナトリウムの医師のようだ。 たぶん、優しい人。そんな声が、受話器から漏れていた。]*
(56) 2014/09/07(Sun) 23時頃
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[今の彼はもう、 この日々のことを断片的にしか覚えていないけれど。
代わりに、僕たちが覚えているよ。 だってこの記憶が、僕たちの糧だから――…]*
(57) 2014/09/07(Sun) 23時頃
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―診察室―
[歌を歌いながら。記憶の断片を繋ぎ合わせ。 パセリにセージ、ローズマリー。それからタイム。 ―― さて、何の記憶だっただろう。
そうして最後の一節かかる頃、重なる歌声に気付いて>>47]
ふふふ、怒れる子猫ちゃん。起きてたのかい? 君も、知ってるんだね。この曲を。
でも… もしかして、気に入らなかったかな?
[悪態には軽く肩を竦め、気にした風もなく。]
(58) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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たしかに君の言う通りだ。 不可能だろうと、妄言だろうと。 …何もしないよりは、マシなんだろうね。
でないと彼女の愛は得られない。 何かを手にしようとするならば、努力はいつだって必要なものさ。
僕も、僕なりに努力しているよ。 まぁそれも…なかなかに難題なのだけどね。
[――そう、ただそれは君と違って。 主に『忘れる』方向へ向けられているのだけれど。]*
シーシャ。君は…
――"花"は、嫌いかな?
(59) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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[はらり。はらり。 舞い落ちるのは小さなはなびら。 左腕に芽吹き 開いては 散る。
些末な記憶・あるいは・短い記憶。
何を目的に歩いているのか、わからない。 目的があったかも、解らない。 だけど、気持ちは晴れやか。
思い出の中を 少女は 歩く。 ]
(60) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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―回想・セージの記憶・少女―
[その『秘密』を聞いたとき。 少女は目を丸くして、言った]
…お兄ちゃん。 知らなかった――セシルがあたしのお兄ちゃんだった、なんて。
うん、覚えてない。覚えてないけど…
もう、忘れないよ。
[告げられた事は全て事実として少女に残る。胸の黒い花が揺れる。]
(61) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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……うん。…うん。 さみしかった。さみしかったんだよ、あたし。
[『兄』に抱きついて、少女は泣いた。 思い出を歩きながら少女は思う。
なんであたしは、泣いたんだろう。 でも ちゃんと覚えてるから いいか。]
うん。毎日…楽しい。良かった。…良かったあ。 ……ずっといっしょだね …セシ、…おにい…ちゃん。
[そう言って。少女は目に涙を浮かべたまま笑った。*]
(62) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 23時半頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/07(Sun) 23時半頃
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……曲が、っつーかテメエが気に食わねー。
[相も変わらず戯けた調子のセシルに、うんざりと返事を返す。 この。この、研究者崩れ(確か)の、芝居がかった男との会話は、必要以上に体力を消耗する。実際に削れているのはおそらく精神力だが。]
何度も言うが子猫ちゃんはやめろ。 あと出来れば普通に喋れ、…内容以前に苛つくから。
[セシルはおそらく普通に喋っているのだろうが。 青年の耳には、まるきり茶化しているように聞こえるその軽やかな口調。
カーテンを開ける気にならず、互いの姿は見えねど、同じように肩を竦める。]
(63) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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[君は。“花”は嫌いかな?
問われれば、ぐ、と奥歯が沈む。 目の奥に焼き付いた映像。ちらちらと過る。廊下を曲がって。立ち尽くす姿と。揺れる花の芳香。笑ったその、顔。]
─────── きらい、だ。
[微かに混じった動揺に、彼自身気付いたかどうか。]*
(64) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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[新たな蕾が現れた青年 空は彼が揺らした花の色そのまま
きっと、その花が育ち切ってしまえば 彼という"人間"は空に溶けてしまうのだ
"雪の女王様"が雪と混じり合ったように
サナトリウムに来る前のこと 特に"家族や周囲の人物"への欠落が多いのだが
この病に関することと知識に相当する事柄は スティーブンが驚くほどしっかり覚えていて
ここでも、やはり自分は眺める者であり ただのお人形さんなのだと痛感せずにはいられない]
(65) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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ジリヤは、セシルからもらったスイトピーを見つめた
2014/09/08(Mon) 00時頃
セシルは、どこかでスイートピーが揺れた気がして。小さく微笑んだ。
2014/09/08(Mon) 00時頃
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おかしいなぁ。何か嫌われることをしたかな。 ……あ、なるほど。子猫ちゃんがダメだった?>>63
――だって君、 よくあちこち引っ掻いたり、悪戯したり、してるじゃないか…
この口調については、もう癖だからなぁ。 そういう記憶なのさ。きっと最後まで忘れないよ。 でも気になるようなら、謝ろう。申し訳ない。
[悪びれた様子もなく、くつくつと笑う。 が、そこでふと、思案する。]
(66) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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ふーむ。そうか。『内容以前に』、ねぇ。 …ということは少なからず、 口調だけでなく、内容にも要因があるわけだ……
[彼に嫌われる話題。思い当たるものと言えば。
――そうして浮かんだのが、この質問。>>59]
(67) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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ジリヤは、セシルからスイトピーをもらった時のことを"思い出す"
2014/09/08(Mon) 00時頃
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……そう。 やっぱり、嫌いなんだね。
残念だな。 こんなに綺麗に、一生懸命咲いているのに。 毟ったりしたら可哀想だ。 …そうは思わない?
僕は、好きなんだけど。 ――だってこれは、僕らの記憶の分身じゃないか。
[揺れるシーシャの声。>>64 嫌い。嫌い。嫌い。――そう聞こえてしまう。]*
(68) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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―廊下―
[サミュエルの部屋から備品室に向かう最中、見知った少女の後姿>>21>>60を見掛ける。
過去に何度か挨拶代わりの手品を見せた事があっただろうか。 その時の反応は、男の頭の中にまだ残っている。感受性豊かな少女の反応。 男がかつて、尊んでいた物。 さぁ、少しだけ…かつてステージのスポットライトを思い出そう。
後ろから覗き込むようにして、微笑む。]
こんにちは、ペラジー。 食堂の時はすれ違ってしまってよく分からなかったけれど、やっぱり今日も綺麗だね。
[花ではなく、少女に対して贈る言葉。
年齢よりも純粋であどけない少女に対しても、男は女性としての対応を忘れない。 それはサナトリウムに来てから、誰かこの少女に"女性"を教えてくれる人はいないのではないだろうかという…ちょっとしたお節介だった。]
(69) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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そうだ、ちょうど君に渡したい物があるだけれど……今、お時間は大丈夫?
(70) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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…妖精、なんかじゃない
[挟むための「物語」は手元になく 未だ手放せない紫色の花を見つめながらつぶやく
妖精というのは、きっと恋のように もっと、キラキラふわふわした可愛らしいもの 自分がそういったものではないのは知っている
『頭でっかちで可愛げがない』 『泣きも笑いも怒りもしないお人形』 『口答えだけは一人前の減らず口』
それを誰かにいわれた記憶が微かにある 誰がいったのかは、すでに忘却の彼方だが
だから、違うに決まっている もっと、邪悪で穢れた罪深い者なのだと*]
(71) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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[声をかけられ、足を止める。 不意打ちのようにかけられた『綺麗』という言葉>>69に、顔が熱くなって思わず俯いた]
あ、あ、あ、あり、が、と… こんにち、は、ヤニク。
[片目の視界に映る微笑みを直視するのが恥ずかしい。 不思議な事が出来るのはすごいし、好きだけれど。]
え…っと。時間ならあるよ。 ……渡したいものって?
[やっとの事で正面から向き合って。 その時には既に左腕の小さい花は散って。 少女の目の前は今この時だけ、になる。
傾げる首に併せて、右目の赤い花が揺れた]
(72) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/08(Mon) 00時半頃
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一生懸命?可哀想? ……頭沸いてんのかテメエは。
[ぎり、と歯が鳴る。
『忘れたくなかった』、そう言った彼の、声が、顔が。瞬きのたびにちらついて。 立ち上がって、乱暴にカーテンを引く。肌蹴たシャツに手を差し入れ、腕の花をセシルの目前で。引き千切った。]
(73) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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テメエは知ってんのかよ。アイツがすげー嬉しそうにギター鳴らしてたの。忘れたコード思い出そうと必死だったの。 なんも出来なくなって、諦めて、棄てたフリして、それでも、本当は、本当はなんにも諦め切れてなんかなかったの。
知らねえんだろ、なあ。かわいそう?コレが? だったらオレらはなんなんだよ。 普通に生きたいだけだろ。こんなモンの養分になって、死ぬまで箱の中に居るオレらは、アイツは、
[テメエは。『一生懸命』じゃ、『可哀想』じゃねえのかよ。
目の前まで詰め寄り、男の胸元に白い花弁を投げつける。 急激に上がった血圧に、視界がチカチカと明滅する。直ぐ近くに、スティーブンが走り寄るのが分かった。
眩む視界で睨み向ける。 赤い瞳は、その光景すらもまた、カシャリとシャッターを切るのだった。]*
(74) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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[目の前で揺れる、赤。
世間話を切り出そうとした時には気がつかなかった。 赤は、彼女>>72の、右目からだということ。 よく見れば、リノリウムの床に散っていた花びらの終着点は目の前の彼女だということも。
多感な少女の反応を微笑ましく見ていた男の顔から笑みが消える。]
ペラジー……これは…?
[背を低くする。肩に掛けた箱がギシリと泣いた。 彼女の目から零れそうな花をそっと撫でる指。
女の子、なのになぁ。]
…………痛くないのかい?
[渡したいもののことなど、些細に思える。 目を細めて、どこか悲痛そうな表情のまま問いかけた。]
(75) 2014/09/08(Mon) 01時頃
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[男の顔から笑みが消えたのを見て、不思議そうに顔を傾げる。 目に咲く赤を撫でられ、問いかけられる>>75]
……えーっと……花? えへへ、あたし、お兄ちゃんみたいにお花の名前、詳しくないから…
[詳しい、詳しくない以前に、見えていないのだが。]
痛くないよ? …ヤニク?……どうしたの?なんだか、
[なんだか、…なんだろう。その表情が含む意味が解らなくて。]
……痛いところ、あるの?
[そう、まるで鸚鵡返しのように問いかけた]
(76) 2014/09/08(Mon) 01時頃
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[突如、強い力で引き開けられたカーテン。 見せつけるように、目の前で引きちぎられる白い花々。>>73 どうやらいつにも増して、虫の居所が悪いらしい。]
……あぁ、また。 君はそうやって。 すみません、先生。診察室を荒らしてしまって。
何か、というより。 見た通りなのですけれどね…。
[それはちょうど、待ち人の来たタイミングだったから。 問いかけ>>49には、状況を指し示して答えとした。]
(77) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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[スティーブンがシーシャに駆け寄る間に、 投げつけられた花と言葉の切片を大切に拾い集め、ゆっくりと立ち上がる。 真っ白で純粋な、彼の記憶を失くしてしまわないように。 彼の大切な友人の、その想い出を聞き逃さないように。
――サミュエル。 …そうか。きっと君も、もう。]
彼のことも。彼の大切にしてたものも。 僕は知ってるし、けれど知らないとも言えるんだろう。 君がそう言うのなら、きっとサミュエルはそうだった。
…サミュエルも。彼もよく、花を潰してたっけ。
[物言わぬ植物となった彼を想って数瞬、小さく目を瞑る。]
(78) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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君の言う通り。…そう、普通に生きたいだけだ。 ――僕らも、彼らも。きっとそれは、同じこと。
彼らに罪があると、誰が決めたんだい? わからないことの多い病気なのに。どうして。
ただそこに偶然、『生まれた』だけじゃないか。
[激昂する男に対して。静かに、淡々と自分の見解を告げる。]
(79) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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花が咲くから、記憶を失うのか? 記憶を失うから、花が咲くのか?
……もし、 僕たちが"際限なく記憶を失う病"に罹っていたとして。
その永遠に失われゆく記憶を、 この花々達が、懸命に留めようとしてくれているのだとしたら。 何らかの形に残そうと、僕らのために咲いているのだとしたら?
感情だって、そうじゃないか。 ――心に『芽生える』って、言うだろう?
潜在的に、僕らの中に『いる』のかもしれない。 見えない"花"が―― それが。記憶として、外に芽生えただけかもしれない。
(80) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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……ただ、ちょっと。不器用なだけなんだ。 加減がわからないんだよ。 だから、こちらが上手く付き合ってあげなきゃ。
僕らの"忘れる"病は、治らない。 だったら。受け入れてあげたっていいじゃないか。 そこに懸命に咲いてるのは、失った僕らの記憶そのものだ。
――だから。僕は大切にしたい。 咲いた記憶も、まだ咲いてない記憶も。
(81) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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[くるり、そのまま踵を返す。 扉を開ける前、最後にもう一度だけ振り向いて]
……でもね、シーシャ。
君の考えは、否定しないよ。 君は君の、正しいと思う道を進めばいいと 僕は思う。
この運命に、最後まで抗ったっていい。 …僕には決して、選べない道だけれど。
君なら。 君なら、或いは―――
[――――無理難題を乗り越えて。 …認めてもらえるかもしれないね。真の恋人に。]*
(82) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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あぁ、先生。 すみません、お伝えするのが遅くなったのですが。
マーチェの部屋に、行ってあげてください。 ……彼らしく優しい、甘い香りのする、綺麗な黄色ですよ。
[右腕に抱えたの紫のキャンバスをひょいと示して。 皆まで言わずとも、きっと伝わるだろう。
シーシャは何か言っただろうか。 しかしそれを聞いたとて、振り返ることはせず。
そのまま、診察室を後にした。]**
(83) 2014/09/08(Mon) 01時半頃
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[花の種類が何かを聞きたい訳では無かった。 少女の右目に咲いたのは彼女>>76のにとっての"何"であるのか、それだけが。 でも、聞けるはずがない。だって…… こだまとして返ってきた問い掛けでようやく我に返った。 どうして彼女よりも、自分が痛そうな顔をしているのだろう…お門違いだ。 返事をする前に、いつも通りに微笑む。]
ううん、何処も痛い所は無いさ。 そっか、花の種類は…僕も詳しくないから、教えてあげることは出来ないや…ごめんね
[花を撫でていた指を彼女の視界の外で動かす。 それは、これから見せる魔法の準備。]
僕は君の花の種類は分からないけれど…
[相手の左目の前に手を翳す。 大袈裟にクルリ。一回転。 そしたら、どこから出てきたのかナプキンに包まれたビスケットが二枚差し出されていただろう。]
君の花からお菓子を摘むのは得意みたい。
(84) 2014/09/08(Mon) 02時頃
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―回想・サミュエルの部屋―
[錆びたギターから目を離せば、再び部屋の中に視線を巡らせた。]
(新しい弦、ないかな)
[あるのは、適当な家財とギター。 人の部屋に入ると、無意識にアルバムや手紙の類を探してしまうのは我ながら悪い癖だと思う。 彼の部屋に、それらしいものは無かった。]
……自分から捨てたのか…
[思い出すのが辛かった? 覚えていたことを忘れたと自覚するのが怖かった? 男も恐れる疑問を、他の誰かに問う事は出来ない。 "無い"という事実は、目の前に存在している事象以上に心に響く。 何と無く重い心持ちで備品室へと向かう。
しかし、次にこの部屋を訪れる際、ベッドの上に"有る"であろう花を見れば、男は…*]
(85) 2014/09/08(Mon) 02時頃
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―廊下―
[誰もいないリノリウムの床に、壁に、一つの足音が響く。 無意識に唇が紡ぐのは、書庫で聞いた妖精の歌>>1:38。]
Parsley, sage, rosemary and thyme…
[繰り返すフレーズ。 何度も。何度も何度も。何度も――……]
(86) 2014/09/08(Mon) 02時頃
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―回想・タイムの記憶―
ううーん、そうだね。 実は、腕とか肩にも、花は生えてくるんだけど。 左手に生まれた紫の花だけを残して、 他は切って鉢に植え換えてみたり。 毎日を楽しく過ごして、悲しい記憶が消えるよう願ってみたり。
…まぁ、どうしたら効果が出るのかわからないから、 色々とね、試行錯誤中なのさ。
[興味を持ってもらえたことが嬉しかったんだろう。いつもより饒舌だ。>>51 そのまま上機嫌で語り続ける。…どうせ自分を誤魔化すためだろうが。]
(87) 2014/09/08(Mon) 02時頃
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ブーケができたら? マーチェに、絵を描いてもらおうかな。 女の子にウェディングドレスを着せて、結婚式の真似事をしてもいい。 なかなか面白いだろう?ここじゃ、そうそうないことだし。
それが終わったら、次は青だ。 手首からこの辺まで、全部青色。 その時までに『生やす』コツを掴めていればいいな。
で、次は、緑、黄、橙、赤…って。 ――虹色の縞の、花壇にするつもりだよ。
[可笑しいかな?…そう訊ねるように、笑いかける。
…こいつは、道化だった。可笑しいくらいが、ちょうどいいと。 それで誰かが笑えばいいと、そう思っているようだった。]**
(88) 2014/09/08(Mon) 02時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2014/09/08(Mon) 02時頃
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[痛い所はない。その答>>84で、にこりと、いつもの笑みを向ける。]
良かった。ヤニクが痛いのは… 、やだな。
[ぽっかりと空いた感情の空白。それが望ましくないという事だけは覚えている。]
ううん。お兄ちゃんに聞いてみる……、 ……… ……わあっ。
[彼の謝罪に、そんな風に答えながら、左眼の前にやってきた手を不思議そうに見つめて。続けて見せられた魔法に、ぱあっと表情が明るさを増す。]
すごい、ヤニクこんなこともできちゃうんだ! えへへ、そしたらヤニクが一緒ならいっぱいお菓子食べられちゃうね。
[ぱちぱちと手を叩いた後に、差し出されたそれをそっと受け取る。]
ありがとう、ヤニク。
(89) 2014/09/08(Mon) 02時半頃
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[どれくらい前のことだろう ここへ来るきっかけとなったのは
雪が世界を支配する季節だったか 街の市へひとり買い出しに出た寒い朝のこと
そこで父の同僚と名乗る人物と遭遇し 父が休暇が明けても無断欠勤してるのだが 「お父さんは息災か?」と問われた返事からだった
『…誰ですか、それ?』
ここしばらく家の中の風通しがいい そんなことを薄っすら思ってはいたが 実際に当時、家の中にいたのは自分と すでに年老いてしまった雄の黒猫一匹だけだった]
(90) 2014/09/08(Mon) 03時半頃
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[ようやく見れた、いつも通りの彼女の笑顔>>89。 安心出来る筈なのに妙なシコリが残るのは、どうしてだろう。 やはり右目の花のせいか。
胸に小さなわだかまりを感じながらも自分の手品で表情が明るくなったのを見れば、一時は気持ちが紛れる。 拍手の音に心底嬉しそうに破顔して]
優しいお嬢さんの為なら、お菓子なんていくらでも。 さて、僕はそろそろ––––––––
[立ち上がってベルトを提げ直したところで再び頭をもたげる不安。]
………右目のこと、スティーブン先生に伝えておこうか? 診察室に行くなら、僕も付き添うけれど
[右目以上に相手の病状が進行している事には気が付かないまま、手は所在なく宙を彷徨って。**]
(91) 2014/09/08(Mon) 03時半頃
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[長らく病に伏せていたはずの母も 吹雪の夜に姿を見せなくなって以来 「いないものと思え」ということにされていた
彼女が病に斃れてから 学業の傍ら家事をこなしていたのもあって 生活に大きな変化はなかった
ほんの少し、風通しがよくなった 生意気な生きる価値のない女がいなくて清々する
すでに記憶から消された誰かは そんなことをいって 家の中を我が物顔でのさばっていたような──]
(92) 2014/09/08(Mon) 03時半頃
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[その頃から、自分の中には何かが巣食い 左手首に花咲く兆しがあったのだろう 以来、母のこともすっかり忘れてしまった
どういう風の吹き回しがあったのか 庭の片隅に突如、ガラス張りの小さな温室が建ち 真っ白な枯れない薔薇が植えられたのもその時期で
純白な花弁はまるで雪のよう それを雪の女王様と密かに呼んでいた
否、それは欠落した記憶を埋めるための 物語なのかも知れない
雪に溶けた雪の女王様の物語も スティーブンにはここへ来てすぐに話したような]
(93) 2014/09/08(Mon) 04時頃
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[男が破顔する>>91のを見れば、少女もより一層嬉しそうに笑う。 このお菓子は誰と食べよう、なんて考えながら、ポケットに入れる。 ポケットに、入れた。ポ ッ に た。
そろそろ、という言葉に、またね、と手を振りかけて。
投げかけられた提案に、思案する。]
ん。……お花。見てもらった方が、いいのかな。 見てもらった方が、いいんだよね。 じゃあ、ヤニクと一緒に行く。
[恐怖はない。それでも、きっと、ヤニクは必要だと思ったからそれを言ったのだろう、と。どこか、何か気にしているような彼の様子を信じる。 ―――そんな、思考も 霧散して。
彼と共に診察室へと歩き始めたならば。 …少しの後に。こう、口にしただろう。
「あたしたち、どこへ行くんだろ?」…と。**]
(94) 2014/09/08(Mon) 04時頃
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青い薔薇は散ってしまいました 薄桃色の薔薇は枯れてしまいました 黒い薔薇は根腐れをして
今は…新しく生えた蔓からこの蕾が
[スティーブンと初めて会った当時 自分の左手首の症状について聞かれて しっかりとそれだけは答えたはずだった
病のことさえ隠し通せたならば 無事に望む上の学校へ進学出来たのだが 手首に絡まるこの蔓と身辺調査があったため ここへ来ることになったのだった
姿も記憶からも消えたはずの誰かは どこまでも、自分の行く手を阻むらしい 忘れられたはずなのに、その影だけは存在してる*]
(95) 2014/09/08(Mon) 04時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/08(Mon) 04時半頃
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『 僕らも彼らも。きっとそれは同じ 』 『 ただそこに、偶然、生まれた 』 『 花が咲くから記憶を 』 『 記憶を喪うから花が 』 『 僕らのために── 』
『 咲いているのだとしたら? 』
[違う。ちがう。だったらなんで。なんでこんなに。]
(96) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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『 な か な い で 』
(97) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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─診察室─
「目の前の男がいつになく真摯な眼差して語るのを、奥歯を噛み締めたまま聞いていた。>>80
いつもいつも会話をしては平行線で、軽口の応酬だけが糸口だったセシルの、こんな表情を見たことはあったろうか。シャッターが、またカシャリと鳴る。
彼が語り終わり、立ち上がる頃にはきつく拳を握り締めたまま視線は床に。血の気の引いた顔を男から背けて。小刻みな息が漏れる。
セシルはそのまますれ違い、一度だけ振り向いてから、出て行った。>>82 君なら、或いは。残された音だけが室内に反響する。]
(98) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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……ちがう……
[力無い否定の言葉が宙を彷徨った。 眩暈。膝を折る。両手で自分の肩を抱いた。さわさわと、白い花が指に絡まって。握り締めれば、追い掛けるような甘い芳香。
両の手のひらで、くしゃりと歪んだ花びらごと目を覆った。 ちくちくと男の言った仮説が刺さる。花が咲くたび耳奥で鳴る幻聴。なかないで、と囁くその。
『咲いた花が思い出そのものなら』──セシルの声を振り払うみたいに頭を振った。ちがう。そんなはずない。だったら、なんで。]
…────なんでこんなに、キレイなんだよ…
[泣き声みたいな音は、花の芳香に溶けて消えた。]**
(99) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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[ビニル傘。] [褐色の肌。] [警棒と怒鳴り声。]
––––––…。
[チワワの遠吠え。] [角の向こう。] [雨。]
…ぼく、は……
[金網が無い。] [壁にぶつかる打撲音。] [飴。]
…………どう、いう…
(100) 2014/09/08(Mon) 13時半頃
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[–––––ばつん。
パック飲料を踏み弾けさせた様な音がして––––目を覚ます。 左肩に何かばさばさと邪魔な物。手で探ればそれは呆気なく落ちた。]
何、これ。
[花弁。百合類と似た大きな…… だが、魚のヒレに近い、筋を持った半透明。 黒いぶつぶつとした斑が微かに入っていた。 咲いた傷口からは血が滲んでいる。 身体から分離した5枚の花弁を眺める顔は、少し複雑。]
………何の記憶…だろ。
[明るい記憶は明るい色に。 哀しい記憶は哀しい色に。 濁った色はきっと、ロクな記憶じゃあない。 じゃあこれは何だ。床からはがした粘着テープ、みたいなこれは。 まじまじ眺める花弁が風に揺れる。己が外に居る事を悟る]
(101) 2014/09/08(Mon) 13時半頃
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[只でさえ量のあまり無い記憶を、眠気の残る頭で手繰る。 きちんと残っている、断片と断片を繋ぎ合わせながら。
飴。優しい子。ペラジーさん。滑り台。待ち合わせ。 パンの耳。間違ってる。フレーク。ペン。 ミシンの向こう。扉の前。シーシャさん。 手を握る。先生。案内板。角を右に。図書室。 僕と同じ、名前のシャツ。ヤニクさ…ヤニク。 角砂糖。割られるピーマン。 左袖。魔法使い。赤い光と『魔法使い』の腕。
順番が間違っている気がする。丁寧に整理する。 『記憶』が正しい関連性を得る。流れを復活させる。 そうだ、朝ご飯が、遅くて。食べきれない、昼食を鳥にあげに来た。けど…]
屋上…中庭の方が、近い、のに……
[スティーブンに促され、覚えようと凝視した、案内図。 自室から余り距離は無い中庭に何故行かなかったのだろう? 中庭の方が陰は多いのに。日光は余り浴びると、ふらつくのに。]
(102) 2014/09/08(Mon) 13時半頃
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[ベンチを見下ろす。 包んで来た食事はもう残っていないが。 あれ、と首を傾げた。
片方だけのスリッパ。誰の物だろ…随分使い古されている。 持ち上げて、縫い目を撫でる。思い出す。 これの持ち主は、苦笑いをしていた。 ……大きな蕾が、足首に。]
…預かったんだっけ?
[『ばつん』。 絶たれた様に…記憶が喪失している。 何処でそのやり取りをしたのか。いつの事だったか。 思い出す事が、出来なかった。辛うじて思い出したのは、先生の微笑み。]
…傍に、先生が居たかな。 この人の居場所…聞こう。あと、は…
[手元で花弁が揺れる。乾いた音だ。薄い、花弁だ。]
(103) 2014/09/08(Mon) 14時頃
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[もう一度、備品室に行こうか。 先に先生を探しに行こうか。 決めあぐねるが、少しの肌寒さを感じて荷物を纏めると、 足早に屋上の扉へ向かうと階段を降りた。 ズボンやシャツが僅かに湿っていて、風が吹く度に寒い。通り雨でも降ったのだろうか?
屋上にはもう、鳩の一羽も居ない。 フレークの一欠片も、残っちゃあいない。
スリッパを右手に、花弁と手提げを左手に。階段を降りる。 踊り場で消化器が倒れているのを見つけて、 危ないなあ、なんて呟きながら。 腰をかがめて元の位置に戻した。]**
(104) 2014/09/08(Mon) 14時頃
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[相手がポケットにビスケットを仕舞うのを見届ける。 診察室へ向かうのを促したのはその後のことだったか。 診察室行きを承諾してくれた相手に、内心胸を撫で下ろした。]
患者の経過を一番把握しているのは、先生だからね。 見せるに越したことはないよ、きっと。
[そのまま二人して診察室へと爪先を揃えただろうを 少女は右、男は少女に歩を合わせて左を歩きながら。
道中、珍しく口数少なになりながら少女の右目をチラチラと見る。 暫くして、相手の口から出た言葉>>94に、時が止まった。
どうにかすぐに歩き出して、口元も笑おうと努めていたけれど。]
……僕らは今から診察室に行くんだよ、ペラジー。 君の右目の花をスティーブン先生に診てもらう為に。
(105) 2014/09/08(Mon) 18時頃
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迷いそうなら、診察室まで手でも繋ごうか。
[何だか無償に恐ろしくなって、男は少女に手を伸ばす。 掴んでくれたのなら、決して離れないようにキツく握り締めて、少しだけ少女の先を歩いただろう。
(Parsley, sage, rosemary and thyme…)
どこかから歌>>86が聞こえた。 勇気にも行動力にも真実を見出せなかった男は、ただ、少女に手を投げ出した。]
(106) 2014/09/08(Mon) 18時頃
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―回想・タイムの記憶―
[彼>>87>>88の口調は快活で、彼自身を蝕む病に対して敵意も辟易も感じていないように見えた。 …可笑しな人だ。 話を聞きながら、ふと笑う。]
ブーケに、ウエディングドレスか…素晴らしいね。 式の時には、僕の分も一席用意しておいてくれよ。 紫の花に白が映えて、ああ…マーチェならきっと最高の1枚を描いてくれるだろう。
[彼は言う。 次は青だと、虹色の花壇にするつもりなのだと。
花は彼の命の一欠片でもあるのに。 そんなに生き急いで、何を考えているんだろう。 「可笑しいかな?」 笑みの奥に勇気を出せないでいる彼が居ることなんて、分かり得ない。]
ちょっと、分からない、なぁ。
(107) 2014/09/08(Mon) 18時頃
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まぁ…笑えないよ。
[眉尻を下げて微笑んだ。*]
(108) 2014/09/08(Mon) 18時頃
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―回想・中庭―
[怒りだけが記録されている、その男の誘い>>2:138には、乗るはずもなく。 まして、人の仏頂面を残そうというのだから、本当にその気がしれない。 それでも、空白を埋めたい、という言葉に一瞬考えはするものの。]
…だとしても、一緒に行かなくてはいけない義理はないわ。 巻き込まないで!
[ぷぃと、顔をそむけたまま、拗ねた反応しか返さなかったことを後悔することになるかもしれないことには、思い至らない。]
(109) 2014/09/08(Mon) 19時頃
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[うん、と頷いてから歩き出す。 いつも通りの歩調。そこに不安や恐怖はない。
男が自分と並んで歩いている。 ……さっきから一緒にいたから一緒に歩いているのだろうけど。自分達はどこに向かっているのだろう?一緒に歩いている、今、このとき。その前は……
そうして口をついて出た疑問>>94。 一瞬、相手の動きが止まる。表情もどこかこわばったように見えて>>105。そして、行き先が告げられる。]
診察室。そっか。先生の所に行く所だったんだね。
[納得したように、こくりと頷く。]
(110) 2014/09/08(Mon) 19時頃
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うん。手、繋ごう。 その方が、安心だもんね。
[迷いそうなら、と差し出された手>>106。 疑問もなく、左の手でその手を掴む。 そう言えば、ヤニクはこっちの手しかなかったんだ。 なんて。ぼんやりと、思う。 手の甲の花はくしゃりと潰れ、それでも咲く事を止めはしない。
男について行くように歩いて、やがて診察室に辿り着く。 手は、繋がれたままだったろうか。 その背について行くように、部屋の中へと歩を進めた**]
(111) 2014/09/08(Mon) 19時頃
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-回想・パセリのざわめき-
は―――やりたいこと、ですか。
[声に戸惑いを隠せない。
男は矢継ぎ早に言葉をつづける。>>56 どうやら発症者である男自身が、己に対して何かを。]
それは―――あなたの体を傷つけることですか?
[いくら相手が一度その研究をしていたとしても、その体を傷つけることは許すことは医師として許せなかった。 何よりも―――その声には、どこか……救いを求めるような。]
……空きはありますので、では―――
[入院の手続きを口頭で伝える。足りないものは郵送でも、手渡しでも。 等しくここは、そのためにあるのだから。]
(112) 2014/09/08(Mon) 19時半頃
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[一人中庭に残された彼女は、待つ。 待ち続ける。
約束を、叶えるため。]
…まぁさん、遅いなぁ。
[忘れちゃったのかな、と通常続く言葉を、呑み込む。 忘れる、その単語を、口にしたくなくて。 仕方ない、ことなのだけど。
本来なら、この病気の自分たちは、約束なんてするべきじゃないのだろう。 守れないことが多々あるのだから。 けれど、それでも約束をしたくなるのは。 忘れたくない、その願いに尽きる。 定められた運命に、逆らおうといわんばかりに…]
(113) 2014/09/08(Mon) 19時半頃
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[そうこうするうちに、またまどろんでしまったようだった。 気づけばだいぶ傾いた日が、赤くやさしく差し込んでいる。 一人きりの中庭。 まぁさんが来ていれば、きっと起こしてくれたと思うから。 たぶん、来てない。
ふと、手元を見れば、覚えのないリンゴが一つ。 無意識に、口に運んで気づく。 あぁ、これも、きっと。]
…部屋、戻らなきゃ…
[ぽつり、呟いて、ふらりと立ち上がる。 大きく膨らんだ髪を通り抜けた風に、白い花弁が混じった。*]
(114) 2014/09/08(Mon) 19時半頃
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[壁に飾られた絵を見つめる 色鮮やかな花々は まるでひそひそ囁きあってるかのようで]
…中庭、かしら?
[見覚えのある花もそこに 薄紅色をした花を咲かせる大きな大きな桜の木 白い花を咲かせる、林檎の木
林檎は故郷でもたまに見かけたが 桜はここで初めて見たのを覚えている]
(115) 2014/09/08(Mon) 19時半頃
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[そういえば、廊下を歩いている時>>113 金色の髪の女性がひとり中庭にいたのを思い出す
名前はもちろん、意識からすでにすり抜けて 顔はどうにか覚えているくらい
そして、そばに大抵誰かが
顔には笑み、唇にはいつも歌かおしゃべり 記憶の欠落から、そんな像が作られる
キラキラとふわふわと 妖精とはああいう人物こそ相応しい
きっと、そう──少なくとも自分ではない]
(116) 2014/09/08(Mon) 19時半頃
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-回想・薔薇園の-
今日から、ここが君の部屋だ―――
[少女が部屋に入るのを見て、その左手をもう一度見やる。 一見どこにでもいる少女。しかしその腕には薔薇の茎蔓がしっかりと絡みついていた。
先ほどの診察で言っていたことが確かであれば、おそらく左手首を中心に薔薇が育っている。 それも―――かなり長期間。]
―――もし不便があればいつでも声をかけてくれ。
[彼女の母も、連れてこれたらよかった。
少しだけ薔薇のとげが刺さったような痛みが、心に走った。 写真で見ただけの美しい薔薇の彫像が、刹那、彼女にダブって見えた気がした。]
(117) 2014/09/08(Mon) 19時半頃
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-診察室-
―――ああ。
[掠れた声が声帯を震わせる。
マーチェは、その年齢から進行はゆっくりだったけれど、確かにいつどうなってもおかしくない状態であった。 セシルの言葉にすべてを悟る。
恐らくは――この病に侵された全ての人と同じく――その人としての生はきっと安らかで。]
ありがとう。
[横をするりと通り抜けるセシルの背に声をかけ――シーシャの頭に触れる。 まるで泣きじゃくる子供をあやすように。
花が、揺れ。]
(118) 2014/09/08(Mon) 20時頃
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[長いため息をひとつ
腕の蔓には刹那、新たな蕾が現れ 瞬く間に咲いて消える 金色と見まごう濃い黄色の花が
ため息と共に空気に溶けたかのように
しかし、それに気づかないまま 開かれていなかった物語を読み始める]
Parsley, sage, rosemary and thyme…
[それは古から伝わる魔除けの香草 妖精の騎士のバラッドから作られた古い唄に 織り込まれた恋心を裏返し、遠ざけるための呪文**]
(119) 2014/09/08(Mon) 20時頃
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[言葉を発せばそれは陳腐になりそうで。 なにかシーシャが言葉を発せば、目を見てそれに頷いた。
それからさほど時間はかからなかったろうか。
扉の開く音がまた。]
―――ペラジー?
[そこにいた少女の、瞳があった場所から咲いた花に、一瞬息をのむ。
少女には、しかし恐怖の感情はすでになく。]*
(120) 2014/09/08(Mon) 20時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/08(Mon) 20時頃
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-いつか-
[ここに来た日は、雨が降っていた。 雨の中、濡れる緑があまりにもきれいで]
『ちょうど、みんな変わっちまったところだが―――明後日また新しい患者が来るだろう。よろしくな。』
[前任者の白衣の男は、そう言って自分の荷物をまとめた。]
『―――一つだけアドバイスだ。「彼らを治そうと思うな」』
[老齢の男は皺深い目を少しだけ細めてそうつぶやいた。 その声は静かだが、どこか重さがあった。]
あの―――それは。
[問いかけた僕の目の前で車のドアが閉まる。 彼はこちらを見ずに、窓から1度だけひらりと手を振って、丘を下って行った。]**
(121) 2014/09/08(Mon) 20時半頃
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[繋いだ右手の指先を擽る、感触>>110>>111。 見なくても分かる。咲いているのだ。 彼女の"何か"が。
診察室に辿り着くまでその手をしっかりと握って。 扉を開ける時でさえ離さず、無作法にも足でこじ開けただろう。
開けた瞬間に飛び込んできたのは、地に膝をついた知人>>98>>99と、傍らであやす仕草をする医師の姿>>118。]
……スティーブン先生。
[言葉少なのまま、繋いでいた手を離すと、男は数歩下がって少女の背中に優しく手を添えた。 視線はシーシャとペラジーの間を行き来しながら。]
(122) 2014/09/08(Mon) 20時半頃
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[男の足で開かれる扉>>122。 足を、導かれるように踏み入れ。
シーシャ。スティーブンせんせい。
せんせいが気付く。息を飲む音。>>120
少女は笑う。 背に添えられた手が温かい。]
こんにちは。
[そう、いつも通りに挨拶した]
(123) 2014/09/08(Mon) 21時頃
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[顔を覆った指の隙間からはらはらと花弁が落ちる。 俯いたままでいると、ふと感じる他人の体温。>>118 いつもそうだ。青年は両手をそっとおろす。この人の手は、いつだってあたたかいんだ。]
……センセイ、
呟いて、視線を上げる。 穏やかで、哀しい目がこちらを見詰めていた。青年は、途方に暮れた子供のような表情で。それでも、医師がゆっくりと頷くのを見れば、少しだけ安堵の色が浮かび。
ごめん、小さく呟いて、また少し俯いた。喉奥に引っかかった言葉を、吐き出そうとして。]
…オレ、へいきだから。 マーチェの。ジーサンのとこ……行ってやって…
[下げた視線は再びは上がらず。 結局、言いたい言葉は、他の懸念とすり替えられた。]
(124) 2014/09/08(Mon) 21時半頃
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[戸惑うような、迷うようなヤニクの視線。 半ば花に埋もれかけた少女は笑う。]
―――こんにちは。
ペラジー、ちょっとだけいいかな―――?
[そう言ってその頬に手を伸ばす。 ヤニクには、ありがとうと小さく微笑み。
瞳に成り代わった花を少しだけ揺らし、その生えている場所を見る。 手の甲で少し潰れかけていた花が、その花弁を揺らす。]
……ペラジーは、好きな場所はあるかい?
[そう言って優しく頬をなでた。
恐らく―――それはあと少しで。]
(125) 2014/09/08(Mon) 21時半頃
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[心の中でマーチェに少しだけ謝った。 ペラジーを手当てしたらすぐにマーチェの身体も日の当たる場所に映してあげないと。
みんなを、安らかに、望む場所で。
ただそれだけ。 ただそれだけ。 ただそれだけ。
本当にそれだけ?]
『彼らを治そうと思うな』
[耳の奥で老医師の言葉が鳴る。 でも、ああ、彼らは、彼女らは、まだ生きている。人として、生きている]
(126) 2014/09/08(Mon) 21時半頃
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[男は感情を殺し、ただ微笑みながら少女を見つめる。
柔らかく、微笑みながら。]*
(127) 2014/09/08(Mon) 21時半頃
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[ふわふわと。 左の腕に緩やかに咲いていた小さな花は、少しずつ咲く速度を増していた。 少女の腕を色とりどりの花のベッドにしようと。 それと一緒で、気持ちもふわふわのベッドのようで。
半ばまどろむような心地で、その声と、頬に触れる温かさ>>125を受け取る。]
好きな場所…… あたしは、みんながいる場所が、好き。 みんなといて、お話しして… それで、明るくて、ちょっと広い、 ……そんな所が好きだな。
[その問いが意味するものに思いを繋ごうとする前に、問われた記憶がふわりと咲く。 異形のような花に飾られながら、その笑みはどこまでも明るく。]
(128) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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[言った直ぐ後に、扉の開く音がした。>>120 振り向いた医師が呼んだ名前。その、声色に。>>120>>125 どうしても、振り返ることが出来ずにいた。
声で、ヤニクが近くに居るらしいのが分かる。>>122 連れてきてくれたのか。彼女の、異常に気付いて。]
……は、……ッ、なん、で、
[唇から、乾いた笑い声が漏れた。 『無理難題を乗り越えて』。だけど、それには幾らなんでもハードルが高すぎるじゃないか。『真の恋人』になんて。到底なれそうもない。今更、先刻までこの場にいた男の言葉を呪った。]
──── 待って。
[けれど。 けれど、医師の言葉>>125に、ほとんど反射で声を上げる。身体を起こして振り向いた。その、年齢よりも幼い姿の変わりように。飲みそうになる息を、耐える。耐える。
できるだけ、いつもみたいに。 立ち上がって、少し首を傾げてみせて。動揺なんて見せないように。そして、──いつもの調子で。]
(129) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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よォ、なにしてんだよ──チビ助。
[笑って、呼んだ。 だって彼女は、彼を呼んだのだから。>>123]
(130) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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[医師>>125がペラジーに微笑みかける。 この人は、いつもそうだ。 患者と医師という枠の外で僕らと接してくれる。 その言葉で、いつでも花の苗を人間たらしめてくれる。
だから、その彼が、少女に問い掛けた言葉は、喉奥から心臓を塞ぐように息苦しい。]
(131) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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それでも彼は微笑んでいる。 男も、一瞬目を見開くことはすれど、すぐに落ち着いたものに代わった。]
…………、
[ふわり、ふわり。 少女の左腕>>128に柔らかく芽吹く、花。 呼吸を忘れた。
思わず、奥にいたシーシャ>>129>>130を見た。 いつものように発作を起こしはしないかと。 それでも、彼は、笑う。
息を飲む。 ただその様子を静かに見つめていた。 背中に当てがった手が、指先が震えることには気がつかないまま。]
(132) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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[言葉を、出し終えて。また、ここにいる事を不思議に思う。
でも。]
シーシャ。
[笑って、呼ぶ声。>>130 それを聞いて、少女は溢れんばかりの笑顔を向ける。]
なに、…してるんだろね? ………シーシャに会いにきたのかな。 きっと そうだね。
[とてもしあわせそうに。そう、答えた]
(133) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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[背中に触れる手。
それが、震えているのを感じる。>>132 それが、感情によるもの という 回路の先端には花が咲き乱れて。
だから、少しだけ、首を傾けて、問うた]
……寒いの?
[後ろの姿はそれだけでは見えない。 見えないから…わからない。後ろにいるのが誰なのか。]
(134) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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[呼べば、何時だって返るのは花が綻ぶような、満面の笑顔で。 今だってそう。それは変わらない。>>133]
なんだよソレ。言い切れよそこは。オレに会いたかった、ってよ。……おいで。
[喉で低く笑って。いつもみたいな苦笑いひとつ。 微かな声の震えは、ヤニクやスティーブンには悟られてしまったかもしれないが。 構わず、扉の近くに立つ彼女を手招いた。]
(135) 2014/09/08(Mon) 22時半頃
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["どこか痛いのか" そう、かつて少女>>134に聞かれた時の事を思い出す。
理解するしかなかった。 もう彼女に手の震えの意味は分からない。 目元の赤さの意味も、シーシャの笑顔の裏も。]
………ああ、とても…寒いんだ… 君のおかげで、だいぶ温かくなったよ。
ホラ、次は彼の…シーシャの番だ。
[首を横に振って、小さな、掠れた声で呟いた。
それは彼>>135も同じようで。 少女の頭をくしゃりと撫でた後、いつも通りの笑顔と少し震えた声の主の方に、彼女の背中をそっと押した。]
(136) 2014/09/08(Mon) 22時半頃
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そっか。温かくなったなら、良かった!
[笑って。頭を撫でられて>>136。向き直る。 もしかしたら風邪を引いちゃったのかな。 掠れた声に、そう思う。]
……えへへ。そだね。 うん。会いたかったよ、シーシャ。
[おいで。>>135 その言葉に、答えるように、背が押される。 そのまま、ふわりと、花を香らせて。彼の許に行く。]
(137) 2014/09/08(Mon) 22時半頃
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[ヤニクの片方だけ残った手が、そうっとペラジーの背中を押した。>>136 軽やかに大気を揺らして、彼女が近付く。会いたかったよ。その声と、笑った顔に、心臓が鳴く。
歪みそうになる顔を、誤魔化すように。伸びた手は、いつもよりもずっとずっと近く。 そうして、青年の腕が、小さな身体を、花の香りごと――抱き締めた。]
(138) 2014/09/08(Mon) 23時頃
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[嘘を吐いた。 自分はただ寒いのだと、だから、この手の震えも掠れた声も、君には何の関係も無いのだと。
嘘を吐いている。 彼もまた、疑いを知らない少女に笑いかけて。
悟られてはいけない。 悟られてはいけない。 誰も彼女に真実を教えてくれるものは無い。
彼の腕に包まれた花の香り >>137>>138は、此処まで香ってはこなかった。 ……少しだけ、よかったと思う。
まるでその様は"真実の恋人"のようじゃないか。]
……今日は、中庭がいい天気だったよ そういえば、歌も聞こえたなぁ… 今日は人が多いのかも
[誰にともなく、独りごちる。]
(139) 2014/09/08(Mon) 23時頃
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[それは どんな温度だっただろう。 ……ふと気付いたら、腕の中にいた。>>138]
シーシャ。
[顔は見えないけれど、解った。憶えている。 だから。名を、呼んだ。]
……なんだろ。……すごく。おちつく。
[そういえば、彼に会ったら言いたい事があったような気がする。 『思い出』を辿る。一番新しい思い出。 黄色の飴。びっくりしたこと。ズリエル。クマのような人。]
……あのね。飴、酸っぱかったよ。
[花の香りが濃くなる。]
(140) 2014/09/08(Mon) 23時頃
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[耳に届く声。>>139 その、情景を思い描く。ああ。いいな。自然と顔が綻ぶ。]
あったかい…広い 明るい…… みんな、いる……
[その呟きはどこか夢を見るような]
(141) 2014/09/08(Mon) 23時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/08(Mon) 23時半頃
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ほっせえ、なぁ…
[小さな肩口に顔を押し付けて、見られないように。 華奢な身体は力を籠めれば簡単に手折ってしまえそうで、それが余計に哀しかった。
シーシャ。腕の中で、聞き慣れた声が呼ぶ。 柔らかい髪に指を差し入れて、彼女の頭を痩せた胸に押し付けた。 少しくぐもった声が、言葉を発する。>>140 無意識かもしれないそれは、繰り返された些細な悪戯の後の、お決まりの報告で。
うん。滲んだ声で答えた。背中の皮膚の下が、また、ざわつく。うん。知ってるよ。]
わざとだよ。……オマエに覚えててほしいから、ずっと。今までの。ぜんぶ。
[一度だけ、抱き締める腕に力を込めて。 彼女の身体を、常のように抱き上げた。片腕に座らせ、背中を支えて。]
(…………ヤニク、)
[>>139>>141ごく自然に彼女の思考を導いてくれた彼には、唇の動きだけで。すまん。そう。]
(142) 2014/09/08(Mon) 23時半頃
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チビ助。…ペラジー。 ほら。口、あけな。
[視線の少し上にいる彼女に、呼びかける。片手でポケットを漁る。 どこか夢を見るような瞳。おとなしく口を開けたなら、そこに包みを外した赤い飴玉をひとつ、押し込んでやって。]
さて。……どこ、いきたい?
[いつかみたいに問えば、涙声で笑った。 その先は、彼女の為だけに。]*
(143) 2014/09/08(Mon) 23時半頃
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[スティーブンと初めて顔を合わせた時>>1:33>>117 不便があるならといわれ開口一番]
…本は、ありますか?
[そう尋ねたところ、書庫を教えてもらった 誰が用意したかは分からないが よほどの蔵書家だったのだろうというくらい 読み応えがありそうな本が棚に揃っていて驚いた
中でも目を惹いたのは これまでここで暮らし、最期を迎えた人々が それぞれ残していた「日記」などの「物語」だった]
(144) 2014/09/08(Mon) 23時半頃
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…ん。
[頭を胸に押し付けられて>>142、甘えるように頬を擦り付ける。 わざと、というのは、よくわからなかった。 でも、その次の言葉は、よくわかった。 だから、頷く。]
………おぼえてる。おぼえてるよ。 シーシャはいつも、かっこよくて、 いつも、あたしをびっくりさせて。 全部、楽しい思い出。
その気持ちは全部……憶えてる……
[抱き上げられながら、ゆっくりと言葉を紡ぐ。心と引き換えに花を咲かせて。まだ咲いていないそれらの思いを。]
(145) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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?…… ん、
[言われるままに口を開けて。押し込まれるのは、甘い]
………おいしい。
どこでも……いいよ。シーシャがいるなら。 今。…なんだか、とっても…気持ちいいんだ。 ……しあわせ。
………また たくさん、 あそぼう …ね。
[左腕を覆う花はいつしか肩にも達し。蔓がそっと、首に巻き付いていた。]
あ。 咲く、
[―――瞬間]
(146) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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[多くの花が、芽吹いた*]
(147) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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[人は誰しも、その一生で物語を作ることが出来る
だとするなら、人そのものが「物語」なのである 人間とは「物語」を宿した本
ならば、自分もそうなのだろうか? 自分も「物語」を宿した本なのだろうか?
生を受けたと共に授かりし名前など 飾りにしか過ぎず、そこに飾られているだけの人形
すでに忘れてしまった家族からすら 名など飾り以下であるという扱いを受けた自分が?
信じ難かった──否、未だに信じていない*]
(148) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/09(Tue) 00時頃
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[――青を。 探してたんだ。
突き抜けてゆく、空の蒼。 どこまでも深い、海の碧。
幸せを呼ぶ、青い鳥。 ……哀しみに、別れを告げる藍い花。]
(149) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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―何時か何処かで―
[ただ独り、廊下を歩きながら。 ふと視界に入った左腕。
――そこに咲くのは、濃藍の花弁。]
(150) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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[嗚呼、ずっと。この日を待っていた。 …そんな気がする。
どうして、待っていたのだっけ。 理由は、わからない。 ……わからない、けれど、
気持ちはとても晴れやかで。 全ての重荷から、解放されたような。そんな。]
(151) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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[――青い色は、幸せの色。 悲しい色だなどと、誰が言ったのだろう?
ずっとずっと待ち望んでいた、幸せを呼ぶ青い鳥は、 今やっと、この左腕を訪れてくれた。
“幸運は必ず来る”。”幸せは、貴方のもの”。 そう、これはきっと”贈り物”なんだ…
開く花弁は、羽ばたく小鳥の翼のよう。 この止まり木にも、ようやく君がやってきた。]
(152) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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[その一輪をきっかけに。 左腕に、左肩に、左半身に。 まるで芽吹きの春のように。
花が、花が、花が―――]
ようやく僕にも、やってきたかな。 ずっと、待ってたんだ。 もう。…もう、いいよね。休んでも。
(153) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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[どこをどう歩いたか、 気付けばそこは、白い箱の中心で。 見上げれば空が、迫る闇夜と満月が。]
……最後に、メモでも残そうか。
[ポケットの手帳、いつも持ち歩いているそれを取り出して。]
(154) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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-マーチェの部屋-
――遅くなって、すまなかったね。
[それは喧騒の後だったか。
黄色い花が、男の顔をみて、少し揺れた気がした。]
(155) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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『このサナトリウムを訪れる皆へ
紫色のブーケを探して。 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。 その傍にいるはずの。幸運の青い鳥を見つけて欲しい。
それができたなら、あなたは私の真の恋人―――
再会の約束は、そこで果たそう。
あなたの永遠の恋人より』
(156) 2014/09/09(Tue) 00時頃
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