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[答えろ、と言うサリスの聲が血の酔いから醒ますよう]
――…莫迦だが、そう、鈍くもないか。
[知性の色灯る翡翠が俯く彼をじ、と見据える。
言った事を覆しはしなかった]
はじめて出逢ったあの月夜から
「サリス」は私にとっては特別な存在だ。
もう二度と逢わぬだろうと思ってはいたが
お前の見せたあの貌も、耳朶打つあの声も
忘れた夜は、なかった。
[其れを吐露するのも、獣の気まぐれではあるが
相変わらずといった風情でサリスに偽りは混ぜず]
これから、か。
[ぽつ、と呟き、柳眉を寄せる。
逡巡するような躊躇うような間があいて]
サリス。
お前はこれからもそのまま在れば良い。
逃げる事を望んでも、逃がしてはやらぬ。
命尽きるその日まで私の傍に在れ。
[命尽きるその日まで。
たとえ壊れてしまおうとも。
傍らにあることを望むと答える聲は酷く傲慢で**]
[水音を立てる舌先。その主が血だまりの中に横たえた少女の身体。その様を見ることも、向けられる瞳のいろも見ることもなく、男は俯いたまま――。
返ってきた答え
興味、っつか。
一緒の、家族、なのに、何も知らねェんだ、って。
あんた に、似て、賢そう、なのに……。
[詰りそれ程にまで隠し通そうという意思なのだろう、と。
譬え「家族」であっても、と――。男はそう思う。
そしてそれにも関わらず、此処には「見逃された」人間がただひとり居る。]
[その気紛れが、意識に触れた時
その時に漸く、サリスはゆっくりと面を上げた。]
馬鹿か。
ンな顔見て、酷ェ声聞いといて、特別、とか。
……趣味悪ぃ、わ。やっぱ。
[憔悴したままの瞳が、じっと見据えるその瞳と合う。
その翡翠に愚鈍のいろは無いと感じた上で、力無い悪態を。
――けれどその翡翠は何処か、薄らと濡れてさえいるよう。]
[返答
力ない瞳は、それでも確と、リヒトを見ていた。]
は、ざまァねェ、わ、
[「そのまま在れば良い」。その言葉の裏に有るスタンスはサリスには覚れない。
ただ、死するまで彼に囚われること。それは察した。
人狼に与して人々を死なせた身には、まるでお似合いの末路。
その中でまた、このうつくしい男は苦痛を与えてくるのだろう。
……そう、思いつつも。]
好きにしろ。
―――…さいごまで、居てやる、よ。
[この傲慢な男の――ひとりに慣れたと言っていた筈の男の。
その傍に在り続けること。それを、受け入れた。]
悪ぃ。
首に傷、付けちまって。
……屋台の約束も、できねェかも、な。
[彼女と対峙する意味を失ってしまったが故の。
そして再び出会うこともないかもしれない故の、小さな謝罪。]
【人】 良家の息子 ルーカス[あたたかな命の源がミドルの手へと渡る。 (65) helmut 2013/02/09(Sat) 23時頃 |
嗚呼。
[終わりを示す言葉に短い応え。
ミドルの考えを聞けば頷きを返す。
メアリーの願いを彼女も聞いていただろう。
再度、それを口にするのは無粋と飲み込み]
生き延びて――…
二度とこのような事がないよう祈るよ。
[同胞の無事を願う聲をエントランスに向かう背に投げた]
[双子の妹に関しては何か思い出したように、笑った]
賢い子だからこそ、言えはしない。
兄とはいえ人狼を野放しにすればどうなるか知れるから
思い悩んだ末に人狼を退治しようとするだろう。
家族を守るためにそうする、と、
幼かった妹がそう言っていたからな。
[家族なのに、とサリスは言う。
家族だから、とリヒトは思う。
人である家族の前では獣である己を隠し人である振りをして
同じであるよう偽らなければその形を保てないのだ、と]
趣味が悪いとは失礼だな。
[言葉とは裏腹に気分を害した風ではなく]
恐怖に引き攣る、顔。
なきながら死にたくない助けてと懇願する声。
――…何よりも魅力的だろう?
[微かに意地の悪い響きをのせて、わらう]
【人】 良家の息子 ルーカス[憔悴の色宿すサリスの双眸を見詰め (66) helmut 2013/02/09(Sat) 23時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[己の望みを聴いたサリスの応えに (67) helmut 2013/02/09(Sat) 23時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[メアリーへと向けられるサリスの声は聞かぬ振り。 (68) helmut 2013/02/09(Sat) 23時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス 夜が明ける前に――… (69) helmut 2013/02/09(Sat) 23時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[居室へと戻り床に落とした荷を取り (70) helmut 2013/02/09(Sat) 23時頃 |
[聞こえた謝罪
爪痕はしばらく残るかもしれないが、
それもやがて消えるだろう。]
そんな約束もしていましたね……
もし、再び縁があれば。
その時は、特製を食べさせていただきます。
[あの街の広場へ行っても、虹色の看板を見る事はないだろう。
そして己もまた、街へ足を踏み入れるつもりはなく、
二度と見える事はないかもしれないが。
確かではない再会の時があるならば。
少しだけ希望を含めた声を残した。]
さようなら。
死ぬまでどうぞお元気で。
[同胞達への別れの言葉。
それは遠く、やがて消えゆく。]
[兄を人狼と知らぬ妹であるならば。
その言葉もまた、兄を護りたい意思から来ているのだろう。]
そ、っか。
…………退治されちゃ、敵わねェ、もんな。
[そして、妹がそうすると思うからこそ隠す兄ならば。
こえに出してはこのように言ったが――。
敢えて報せぬは優しい兄だと。取り留めなく、淡く思う。が――。]
――――…あァ。
[もうその少女
一度、その別れの言葉に、頷いていた。**]
[退治される未来は願わない。
その未来こそが特別な者の為と知りながら
獣は生きることを選ぶ。
“さいごまで、居てやる、よ。”
人間の言葉など信じる気になどなれぬが
今だけはサリスの言葉を信じたいと心の片隅で思う]
【人】 良家の息子 ルーカス[意地悪い聲は建前。 (83) helmut 2013/02/10(Sun) 01時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[広間に火をつけ小火を起こし (84) helmut 2013/02/10(Sun) 01時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス 風避けに。 (85) helmut 2013/02/10(Sun) 01時頃 |
[響く銃声。
ミドルからの別れの言葉が聞こえる]
キミからの餞別は頂いておくよ。
母君の分まで末永く――…
[かつて旅先でまみえた同胞たちと同じように
慣れ合うでもなくあっさりとした別れ。
さよならの言葉のかわり、獣の咆哮が月夜に響く]
【人】 良家の息子 ルーカス[月明かりに照らされる男のシルエット。 (86) helmut 2013/02/10(Sun) 03時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[獣の姿で人の言葉を操る化け物は (87) helmut 2013/02/10(Sun) 03時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[人狼が逃げた、と。 (88) helmut 2013/02/10(Sun) 03時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[小さな山の上にぽつりと建つ集会所。 (89) helmut 2013/02/10(Sun) 03時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス[人狼が集会所の包囲を突破した数刻後。 (90) helmut 2013/02/10(Sun) 17時頃 |
【人】 良家の息子 ルーカス (91) helmut 2013/02/10(Sun) 17時頃 |
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