184 【肩書遵守】Lunatic Nights in Heathling
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[男の家を出ると自宅に戻ることはせず、墓に向かう。 墓にヨーランダの姿がないことを認めれば眉を顰め。 墓堀の男を探し出し話を聞くが、先ほど自警団がヨーランダを尋ねてきたことぐらいしかわからなかった。
暫しの逡巡の後、フェンス境に近づき、自警団員のひとりに声をかける。 気のせいだろうか、いつもより人が少ない。]
え、カジノのオーナーが? それで黒服が……。
[いったい誰が、と思う間もなく、響く絶叫>>3:148 弾かれたように。]
ドナルド……。
(0) 2014/07/13(Sun) 02時半頃
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[瞬時、自警団の腕をかいくぐり、フェンスを越える。 おい、と背中にひとつ声がしたがそれ以上追う気はないようだった。
初めて足を踏み入れる”あちら側”は、 景色も全く異にするのだろう、が、幸い夕暮れ闇で荒んだ様は視認できず。]
ドナルド、どこにいるの? 何かあったの?
[>>3:177 問う声に応えるような銃声。 一瞬ラルフ? と思ったが、そんな筈はないと打消して。 音の鳴った方に足を走らせる。そこで見たものは。]
(1) 2014/07/13(Sun) 02時半頃
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[崩れおる獣と傍に倒れる銀髪の女に、 >>3:8 もうひとり見覚えのない住人らしき男。]
……ヨーランダ? [>>4:0 ただひとり、隻腕となった男が仰ぎ見る。]
ああ……あなた。 そうなの、あなたが、ヨーランダを、 ……ドナルドを。
[良感情など持ち合わせていない刺青の男を認めて、 瞬時に獣の容になった。]
(2) 2014/07/13(Sun) 02時半頃
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[ヘクターの反応はあっただろうか、あったとしても一瞬のこと、素早く喉にかぶりつき、そのまま噛み千切る。
齧り付いた牙は胸元まで裂き、腸を引き出す。 しっかりとした筋肉を引きちぎり、咀嚼する。
不意に近くでざわつく気配を察し、咥えかけた左腕から離れ。 落とした衣類を咥え獣の姿のまま走り出せば、フェンスを越えこちら側へと戻った。**]
(3) 2014/07/13(Sun) 02時半頃
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[死闘の夜が過ぎ、朝が訪れる。
女はフェンスを越えた後、自宅の部屋に閉じこもり。 ひどく目が冴えていて、眠れる気配などなかったが、身体を休めるため形ばかりでもと横になり、双眸を閉じた。]
(14) 2014/07/13(Sun) 21時半頃
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[夜明け前、家人が目を覚ますより早く起き家を出る。 間もなく、あちら側に向かう途中らしい自警団のひとりがミッシェルの姿に目を留めた。 ”金髪の女”という単語が耳に入る。 彼らの間で幾つかの問答があった後、近づき、声をかけてくる。 表情も声音も、硬い。]
――昨夜? さあ……私はずっと自宅に居たので。 名前はミッシェル・ジュノーと言います。住所は……。
[問われるままに返答し。 騒動に怖がる態度を見せて、事件のことを尋ねる。 自警団の隊長が大怪我をしたという話には愁嘆顔で。
それ以上の追及はなく、自警団員らは歩み去る。]
(15) 2014/07/13(Sun) 21時半頃
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(ほら、面倒なことになった。)
[彼らの背を追うことなく歩を進めながら思う。
乱闘で死者が四人、という事実自体は。 ”あちら側”にとってそれ程の事件ではないのかもしれない。 しかし今回はそこに、ヒトの街を闊歩する人食いの獣と、自警団隊長の大怪我、という別のファクターが加わる。]
(ドナルド。) (私ひとりで暴れまわるには、) (この街はちょっと広い気がするわ……。)
[邂逅は一度きり。さして心を通わせたわけでもない同胞。 それでも、何か期待の予兆のようなものはあったのだ。 昨夜のミッシェルの行為は衝動的なものだったが、悔いる気持ちはない。]
(16) 2014/07/13(Sun) 22時頃
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[居住区には無縁のものであった緊迫した空気が今はそこかしこにある。 それを肌で感じながら、墓地へと向かった。**]
(17) 2014/07/13(Sun) 22時頃
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[彼らだけに聞こえる音で吼えても、
それを聞く者は誰もいない。**]
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―― 墓地 ――
[ヨーランダの手で、磨かれ調えられた静寂の場。 その墓守の訃報を、ここでも繰り返し聞く。 昨夜の死者は、まだ埋葬されていないという。]
一緒に、旅芸の、観に行きたかったわね。
[>>0:106 一方的な誘いだったが、ミッシェルの中では約束事のつもりで。]
(人間の手にかかるなら、) (私の手でいっそ……。)
[>>3:110 昨日のラルフからの問いに。]
生きたかったんじゃないの?
[答えはわからないまま。**]
(18) 2014/07/14(Mon) 00時頃
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―― 墓地 ――
[詩人の顔には覚えがあった。 仕事帰り、散歩なのか用事の途中かは知らないが、歩いては立ち止まり何やらメモを取る、そんな繰り返しをこの男がやっている場面を見かけることがあり。そんな折は、怪訝な顔で眺めたものだ。]
ペラジーね。 そうよね……あの子、ここに眠っているのね。
[知己であることを隠す様子はなく、 男の言葉に淡々と呟き。]
それは知らなかったけど……、 最近埋葬されたなら、こちらだと思うわ。
[戻ることのない墓守の代わりに案内し、 小さな墓碑を指し示す。
他に名乗りを聞いたものがいたのだろう、 そこにはペラジー・フラウスと彫られていた。]
(34) 2014/07/14(Mon) 15時半頃
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あなたも知り合いだったの?
[詩人の口ぶりから、親しい間柄でないことは推測できたが、尋ねてみる。**]
(35) 2014/07/14(Mon) 15時半頃
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[やがて回収された遺体は教会に預けられ、 日暮れ前に埋葬された。
その数は三体。”獣”のものはなく、自警団によって遺棄されたという。**]
(39) 2014/07/14(Mon) 16時頃
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[物書きを名乗るユリシーズと言う男は、事件を探るためにここにきたわけではないらしい。 男の様子を眺め、自分にとって脅威でないと判断する。]
そうね。 化け物……人狼、が何匹いるか知らないけど、 一匹はあちら側で死んでいたらしいし、 人間の手で殺すことができるなら、捕まえることもできるでしょうね。
[それまで何人が犠牲になるのか。 ――何人を餌食にすることができるのか。]
何か、今回の騒ぎでかき立てられるものでもあるのかしら。
[でも、と言葉を続ける。]
(46) 2014/07/14(Mon) 22時頃
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気を付けないと。 自警団も街のひとも、人狼を捕えようとするでしょう。 怪しい素振りを見せたら、身に覚えなくても捕まっちゃうかも。 私だって、さっき、検問受けたんだから。
[参るわよね。と、迷惑そうな顔をして。 ミッシェルは暫くユリシーズを見つめていたが、 長く見つめすぎていたことに気付いたように、首を振る。]
じゃあね。
[打ち切るように唐突に。 問われぬ限り名乗りもせず、踵を返した。*]
(47) 2014/07/14(Mon) 22時頃
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[空を見上げ耳を澄ませる。 >>6>>7 調査と救助活動が終われば、街の警備は強化されるだろう。 ”むこう側”の死者の中にも生者の中にも金髪の娘がいないとわかれば、嫌疑がかるだろうか。 いずれにせよ、当分の間、狩りをするのは控えた方が良いことぐらいわかる。 長い間、人を食らわず生活していたのだ。難しいことではない。
ドナルドとヨーランダを屠った――そう判断してヘクターを噛み殺したが、銃で撃たれたことを考えれば、敵と言うならそれは自警団の隊長かもしれない。 しかし、ミッシェルの感情は妙に醒めていた。 大怪我をして伏せているという肩書きしか知らぬ男に対して、憎悪も殺意も抱けずに。]
(50) 2014/07/14(Mon) 22時半頃
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[ただ、獣の野生を奥底に眠らせたまま、時がくるのを待つのだ。 それが他者の破壊か己の破滅になるかはわからないまま。*]
(51) 2014/07/14(Mon) 22時半頃
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─ 墓地 ─
[夕暮れ時、再び墓地へ。 漏れ聞いた話では、ドナルドのものはないらしい。 巻き込まれた貴族の娘とは、恐らくヨーランダのことなのだろう。どちらの話にも得心し。 つい数日来のことなのに懐かしい銀髪を思い返す]
あ。
[人がいるとは思わなかった。 >>49 こんな騒動の折、若い娘が夕暮れの墓にひとり。 先ほどの詩人同様、見覚えがある。]
こんな時間に。 危ないわよ。
[傍から見れば自分もか弱い娘、なのだろうが。 何となくおかしな気分で声をかける。*]
(55) 2014/07/14(Mon) 23時頃
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ヨーランダ? 私も今来たばかりだけど……ああ。
[>>49 ペラジーの墓のすぐ傍の新しい土に目を遣り、]
多分。
[それだけ告げて、笑みを浮かべる。]
あなた、確か数日前広場で……。
[どこかで見た顔だと思ったら、道化師と一緒にステージに上がっていた娘であった。 同時に、あの時の道化師はどうしているだろう? 昨夜見た死体のひとつが彼であることは知らず、ふと思う。]
あなたも、ヨーランダの知り合いだったの? だから……悲しくて、震えて?
[言いながら、細い肩に手を伸ばす。*]
(61) 2014/07/14(Mon) 23時半頃
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[『友達に、なりたかった人』 花売りの娘の、ヨーランダへの言葉に頷いて。]
そう、ヨーランダは、自分で思ってるよりずっと、 人気者だったのよね。
[布越しに伝わる柔らかい肉の感触に、 どうにか抑制を保とうと。 先ほどまで冷静だと思えたのが嘘のよう。 言葉詰まらせ、ミッシェルを仰ぐ顔は憂いと――]
怖いの? どうして……何が?
[娘を見つめ返すミッシェルの眸は赤に染まる。*]
(63) 2014/07/15(Tue) 00時半頃
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[静寂な墓地の一角であげられた小さな悲鳴に、 唇が歪んだ弧を描く。]
ふふ、小鳥みたい。
[くすくすと漏れる笑いは止められない胸の衝動と呼応して。
ひとたび獣に還ったなら、 僅か力入れるだけで壊れる脆い身体――に、 惜しむよう指を這わす。]
かわいそうにね、 あなたも、あの子も、私に会わなければ……、
この、歪な世界でもっと。
[言いかけて、口を噤む。 喋り過ぎたというように、表情を消し。
次にその面に現れた表情はひとのものではなかった。*]
(66) 2014/07/15(Tue) 01時頃
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[>>67 新たに現れた人物が名を呼ぶと同時、 そこに”ミッシェル”の姿はない。
あるのは、ただ、巨大な体躯を持つ、金色の狼。 フランシスカの声に、返答代わり低く吼える。]
(70) 2014/07/15(Tue) 01時半頃
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(待ってなさい)
(あなたは後でゆっくりいただいてあげる)
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[愉しむ時間は無くなった。 素早くメアリの肩に牙を立て、喰いちぎった腕を踊り子の前に投げ捨てる。
フランシスカはどう反応したか、 確かめることもなく次いで脇腹を食む。
無傷なままのメアリの顔から濡れた瞳が問うようにミッシェルを見つめた――気がする。]
(71) 2014/07/15(Tue) 01時半頃
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オオオオオオオ……ン
[遠吠えと共にメアリの身体を薙ぎ払う。 華奢な身体は離れた地面に叩きつけられ、跳ねた。]
(72) 2014/07/15(Tue) 01時半頃
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