22 共犯者
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[やはり……。
同胞から微かに感じた匂いはこの男のものだったか。]
[ 「大丈夫か」とは尋ねなかった。
ありきたりの慰めの言葉を掛けることもしなかった。]
満月まであと少し。
あと少しでこの儀式も終わる。
[ 労うようにか。励ますようにか。
マーゴの件には触れず、淡々と事実と希望だけを述べた。]
―――ああ。
俺とアンタの二人で儀式を終える。
それこそが、それだけが、俺の、願いだ。
[虚空を見つめ、そう同胞に答えた。]
ところで…。
あの男。イアン・マコーミック。
アイツの事はどう思う?
なかなか本音を出さねえ喰わせ者だが。
まさか巡礼に参加するなんてよ。
傍観者なら兎も角…。
もう少しからかってやるべきだったかね。
[イアンから敵意は感じなかったが―――。
彼の真意を少し測りかねているようだった。]
――そう言えば、「宿題」は解けたか?
「ヘクター」。
[ 触れられたくない話題から話を逸らすように、彼は数日前の話()を切り出した。]
復讐…。
[かつて出された「宿題」への答えを、
ぽつ、と口にする。]
復讐…か?
殺された同胞への復讐……。
人の子への…。
それとも森を捨てた同族への…?
[同胞の真意が理解できない。
人の子へ対する怒り
―少なくともヘクターは大きな怒りを抱いていた―
ではなく、なにか別の目的が?]
不正解だ。「ヘクター」。
[ つれない回答が返ってくる。]
答えは、「同属もまた人間と大して変わりはなかった」だ。
村人たちの先祖がこの森に流れ着いたのは、丁度人間たちが次々に森を切り開き、我らを森に棲む魔物、或いはただの害獣として追い立てていった時期に当たる。
人間にとっては人の居ない土地は「誰の所有でもない土地」、勝手に自らのものと宣言してよい土地なのだ。
我らは、聖地を守って一族が死に絶えるまで戦い続けるか、森を捨て種族の誇りを捨てて生き延びるかを考えるところまで追い詰められていた。
そんな時に彼らの一族がここに迷い込んで来たのだ。
彼らは故郷から追放された罪人だった。どこの領地でも受け入れてもらえず、知られれば殺される定めになっていた。
[突然饒舌に語り出した同胞に少し驚き、
じっと話に耳を傾ける。]
彼らを森に住まわせ、村を作る許可を与える。
その代償に、彼らは我らの儀式に生贄を提供する。
我らは彼らを外敵から保護し、彼らが生き延びられるよう手助けをする。
人は我らの領域たる森の深奥を禁忌の地とし、足を踏み入れない。
森を彼らの土地と思わせることで、人間たちの開発から聖地を守る。
それは、一石何鳥もの素晴らしい解決策のように思われたのだ。
実際、数百年間機能してきた。
――綻びは思わぬところにあったのだ。
聖地を守るため、同属の大半は森を離れた。
ヒトはもう我らを神々の眷属とは認めていない。それを我らは、他の数多の土地で行われた蛮行によって、痛いほど思い知っていた。
捕食者と被食者が、支配者と隷属者として一つところに住めば、長い月日の間に必ず人間たちは我らを憎み、倒そうとするようになるだろう。
全ての同属が衝動を抑えておける筈も無いし、かと言って欲望のままに喰い散らかせばどうなるかは火を見るより明らかだ。
だから、少数の守り人を残し、同属たちは他の森や人間の住む村や町に移住していったのだ。
万が一にもこの聖地を喪わないために。
数百年の刻(とき)を経て、ヒトが変わったように、我らもまた変わった。
我らの数は激減した。
その数少ない同胞は大陸中に散り散りとなり、中には海を渡っていった者もいる。
戦火はヒトも我らも関係なく、根こそぎ蹂躙していく。
同属同士の婚姻で生される仔は減り、生み出されるのはヒトの血を引いた者ばかり。
我らはもう、祭祀の周期ごとに儀式に送り出せる人数を確保できない。
そして、この村で信仰が惰性となり、敬神が単なる習慣に変わったのと同じように。
我らもまたヒトの間で暮らし続けるうちに、我らの神である森に対しての尊崇を喪っていったのだ。
彼らが口減らしのために、罪人や厄介者を生贄として送り込んでくるようになったのと同じく、我らが儀式に送り出す巡礼もまた、罪を犯した者や群れに居場所の無いはぐれ者に変わっていった。
――そう、我らとヒトに何も違いもない。
[ 長い語りを終えて、最後にぽつりと呟いた言葉。
それは、慨嘆や悲哀ではなく、単なる事実を確認しているかのように落ち着いた、平淡なものだった。」
[森の守護者である自分達ですら、
信仰を忘れた人の子と同じ、と断罪する
同胞の言葉に衝撃を受けたか。]
そんな……。
だったら…だったらアンタは。
アンタが此処に来た理由は何だ?
ただ、儀式を再び行うだけじゃない。
森を聖地を護る為じゃなかったのか?
…アンタ、一体何と戦っているんだ?
何とも戦っていない。
俺は、最後の祭祀を行うためにこの森に還って来た。
我らが聖地に、聖なる森の神々に、消えていった同胞たちに、捧げる最後の儀式を。
―四夜目の巡礼中・おそらく同胞との会話の後―
俺はあの片割れをやるぜ。
ホリーを襲って正解だったな。
あの感情の高ぶり…。
ノックスより楽しませてくれそうだからな。
アンタはどうだ?
やはりミッシェルか?
それとも趣向を変えてトニーの餓鬼でも喰うか。
[ 彼は同胞を観察するが如く、じっと沈黙している。」
窮鼠猫を噛む、と言う諺もある。
気をつけろ。
[ 少し間を置いて、」
オスカーは思ったよりも脆弱だった……
見るべきものはもう見た。
お前が仕留めるなら譲る。
恐らく最も手ごわいのは、ミッシェルだ。
彼女は冷静だ。
彼女こそが、誰よりも「戦士」の称号に相応しい。
[ 賛辞を送りつつ、温度のない眼差しが彼女を追っている…]
[ 随分と経ってから、彼はぽつりと呟いた。]
お前がこの村の生まれであれば、最後まで言わないつもりだった。
最後の祭祀……。
[……ああ、そうか。
そう言う事なのか。
頭の何処かで解っていた事なのだ。
もう無理がある、と。
「御使い様」は既に生きながら死んだ存在なのだと。
その緩やかな死は、人の子だけでなく、
自らの仲間達の手でも進行していたのだ、と。]
アンタの言いたい事は、たぶん解った。
だったら俺は…。
――いや、それでも。
俺はアンタに付いていくぜ。
やる事ァ、どっちみち、変わんねえな。
[ 僅かの沈黙。
暫しの間瞑目し、]
……すまないな。
[ それだけを言葉に。]
[……。しばしの沈黙。
きっと口元は笑っていただろう。]
…なら、終わらせようか。
アンタは独りじゃないからよ。
俺たち二人、生きて儀式を終わらせようや。
何言ってんだよ。らしくねえな。
アンタの声を初めて聞いた時、
俺がどんなに嬉しかったか、アンタ知らねえんだろ?
今夜の生贄は、随分活きが良い。
俺も全力で狩りに行く。
また後でな、「ヴェスパタイン」。
そう、だな。
生きて共に。
[ まるで、それが可能だと心から確信しているかのように。]
ああ。また後で。
[ 短い応え。ややあって、付け足すように、]
――ヘクター。
ありがとう。
[ 本物の感謝が滲んでいた。]
やはり、時は戻らない。
[ テッドの叫びを耳にして、彼は小さな呟きを落とした。]
ドナルド、タバサ、先代様、
俺も、そっちに、還る……から…な。
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