149 【凍った】カオスバトル決戦【リス】
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―少し前。海岸・夏生と千秋―
―――え。ちょ、…おいっ、…!
[慌てて叩き落とそうと立ち上がるが、引き攣れる腹の痛みに膝が落ち掛ける。 その間に千秋は凛が遺した棘で腹部を穿った。]
――馬鹿!何やってンだよ!
[慌てて飴を取り上げるも既に遅く。呑気な問い>>2:210も耳に入らないのか、無理矢理千秋の上着を捲り上げる。患部を確認し、今度は口内でこンの馬鹿、とつぶやいた。]
何のつもりかしらんが、そーゆう真似は二度とすンなよ。 刺し傷の怖さは菌の侵入だ、腹から腐り落ちても知ら無ェからな!
[食って掛かって、ついでにべちんとデコピンを御見舞いする。これだからB型はいやなんだ、とぶちぶち。
荷物の中から水とタオルを取り出す。やらないよりマシだろうと、千秋の腹の傷を洗い流した。ついでにタオルはびしょ濡れの(これは夏生の所為だが)頭に被せてやる]
(8) 2013/10/26(Sat) 13時頃
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頼むから風邪とかひくなよ、面倒臭ェんで。
[風邪などひかれて免疫が低下すれば、本当に傷が膿かねない。やれやれ、と言った風に溜息吐いて、ついでのように自分の傷も洗い流した。
殺すと言ったり心配したり、ハタから見れは夏生の行動は意味が分からないのかもしれない。 当の本人は特に繕っている訳でもなく、至って真面目にやっているのだが。
それは夏生の思考が、このゲームの参加者だけでなく――他人と、根本的な隔たりがあるからだろう。
例えば。 この馬鹿げたゲームの褒賞が、ゴリラの殲滅だとして。 『ゴリラを殲滅する』為に『生き残る』。 『目的』を叶えるの為の『手段』だろう。 だが、夏生は違う。 目的と手段が逆。ゴリラを殲滅する為に生きている訳では無い。 彼にとってゴリラを殲滅することは、生きる為の手段であり、あくまでも燃料なのだ。]
(12) 2013/10/26(Sat) 15時頃
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[夏生とて、無闇矢鱈にゴリラが嫌いな訳では無い。彼らとの思い出は、夏生が家族と過ごした時間の思い出でもある。 同じ年に生まれ、兄弟のように過ごした個体もいる。 彼らの愛嬌も臆病さも優しさも、身を持って知っている。寧ろ愛しい存在だと言える。それは、今でも変わらない。
たが、だからこそ、憎いのだ。 どうしたって許せないのだ。
家族を失った時の、あの、鮮烈な痛み。 哀しみで人間は死ねるんだと本気で思った。 だが、それが実現する事はまず無い。忘れるからだ。どれだけ哀しくても、我を忘れるほどに苦しんでも、肉体は生きるのに必死で。 酷い話だ、その為だったらあれ程の痛みさえ、この脳は勝手に忘れて行く。]
(13) 2013/10/26(Sat) 20時頃
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[自分が楽になる為に忘れる事 。夏生はそれを拒んだ。
呪いのように毎晩毎晩悪夢を見、明け方、夢の終焉に吐き気と嗚咽で飛び起きる。 それでも、食事睡眠運動諸々、生きる為に身体が欲する事に手を抜かなかった。
呪詛と哀惜に塗れても、健康な肉体には健全な魂が宿るとはよく言ったもので。 不器用だった子供は、すくすくと育っていった。その内に、ゴリラを憎むという狂気を内包して。
そうして出来上がった鳥居夏生という人間は、酷く健全に、誰よりも正常に狂っていた。]
(14) 2013/10/26(Sat) 20時頃
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――あァ?馬鹿言うなよ、
[一応は言う事を聞いて髪に着いた雫を拭っている千秋が、不思議そうに頭をふわふわ揺らしているのを尻目に、砂の上に下ろしていた荷物を担ぎ直して辺りに首を巡らす。
言われたお兄ちゃん、という響きに、少し複雑そうに眉を顰めた。別に嬉しくなんか無い。
岩礁の方へと歩き出すと、背後から小さな呟き。関係無い筈だろう、その言葉に肩越しに振り向いた。馬鹿言うなよ、]
この世に俺に関係無い事なンて、あるもんか。
[笑って、歩き出す。千秋の返答はあっただろうか。どちらにしろ、夏生が立ち止まる事は無かった。]
(19) 2013/10/26(Sat) 22時頃
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言ってろよ、阿呆のこめ。
[何だがわからないが、勘違いした様子の千秋に鼻白む。 大体、「そんな顔」って、人のこと何だと思ってるんだろう。普通に泣きも笑いもするし、飯も食う。うんこだってするわ。
ぶつくさ言っても足は止めず、砂浜を抜けて岩礁に辿り着く。 後から着いてくる千秋を待つ間、何かを探すように周囲を見渡した。 ふと、少し離れた場所に向かって足元のものを拾う。厚さ五センチ程度の、板状に割れた石片だ。 B5のノートを半分にしたくらいのそれを、二つ程手に取って。がち、と打ち付け、割れた断面を目を細めて観察する。
ン、よし。やっぱりな。
[納得言った様子で頷いて、追いついて来た千秋を振り返った。]
さて、どこいく? 魔王の手先として、勇者サマ御一行にオシオキするんだろ?
[森か、民家か、廃屋か。 千秋の答えを待った。]
(24) 2013/10/27(Sun) 00時頃
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―民家付近、>>3:10辺りからおよそ15分後―
[森を迂回せず、民家を目指す。野村と別れて随分と時間も経ったが、海岸には現れなかった。千秋も出会っていないという。
巫女服の、ゆりと言ったか。彼女が何かしら叫んで森へ入ったのは事実。煽ってやったら、野村は面白い程慌てて探しに向かったのを思い出す。 その後、廃屋付近でも見かけなかった事を考えると、未だ森の中か、民家地帯に潜伏している可能性が高い。
夏生と千秋の情報を擦り合わせた結果、NS(野村スケール)は 森≧民家>プレハブ小屋=新エリア>廃屋>海岸 でまとまった。]
(27) 2013/10/27(Sun) 01時半頃
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[夏生は先程拾った石板を、かちんかちんと鳴らしながら歩いていく。 時折、立ち止まっては耳を澄まして。 結局、誰の痕跡も見付けられぬまま、森を抜けて直ぐの民家近くに辿り着いた。
物音。
千秋を促し、茂みの中で付近の様子を伺う。 人影が歩いてく、あの絶望的な非リア充オーラは――ロリコンか。]
(様子見、追って。――無理はすンなよ)
[アイコンタクトと、吐息で会話。頷いて人影を追う千秋を見送り、夏生は民家の気配をじっと読む。 恐らく、だけれど。民家を挟んだ反対側で、誰かが争っている。 時折漏れ聞こえる声からして、おっぱい二人と見た。
(28) 2013/10/27(Sun) 02時頃
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ここには居ないのか。 しかし何だろう、ジリジリと嫌な感じが胃の辺りを覆う。 何か、何か見落としている。 なんだった?錠を最後に見かけたとき。凛と向かい合う後ろで、彼が千秋に放った言葉。]
(え?何?ちっちゃいかわいこちゃんがピンチ!?)
[心臓が、跳ねる。 視界の中、夏生の位置からは見え辛い、民家の外壁に。 草の隙間から覗く、ちいさな、金色の髪の――]
(29) 2013/10/27(Sun) 02時頃
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――――りっ、ちゃん、
(30) 2013/10/27(Sun) 02時頃
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[警戒も忘れて駆け寄った。そもそも人の気配もない。
近付くと、彼女はそこで、見覚えのあるジャージに包まれ、小さくなって壁に寄りかかっている。 蜂蜜みたいな色の綺麗な髪が、乾いた血で固まってしまっていて。 眠りが深いのか、目の前に立っているのに、ちっとも目を覚まさない。]
(……つかれ、てンのかな、)
[見下ろして、ぼんやりと考える。 こんなとこで寝てたら、風邪引くだろ。言って抱き起こそうかとも思ったが、勝手に触るのは今度こそ怒られるかもしれない。
などと言う現実逃避をぐるぐると。
本当は触れて、確認するのが嫌なだけだ。 分かっている。だって、人の気配なんてしなかったのだ。だから自分は、無防備に駆け寄った。分かっている。 だけど、廃屋で膝の上に居た彼女は、あまりにも温かかったから――]
(31) 2013/10/27(Sun) 03時頃
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……お疲れ、さま。
[長い長い沈黙の後。 ぽつりと、声が落ちる。穏やかな声音で、労う言葉。 ゆっくりと膝を折り、そうと手を伸ばす。緩やかな動作で、髪を梳いた。 ぱり、と乾いた血が小さく音を立てる。]
――頑張ったな。 痛かったよな。…もう苦しく無い? 少しは、納得、出来た?
[望みの為に戦って、敗れた事。 どう考えても有利な状況では無いのに、ゲームを降りなかった律木。 奪う覚悟も、奪われる覚悟も、きっとあったんだろう。
さら、さらと。暫く髪を撫でてから、ちょっとだけ頬に触れた。 まだ柔らかい肌は、血の気を失って冷んやりとしている。 仕方の無い事だ。これはそういうゲームなのだ。 仕方無いのだ。でも。]
――――あんなに、あったかかったのに、なァ。
(33) 2013/10/27(Sun) 10時半頃
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[落ちた言葉に込められた感情は。 そこにいる律木だけには、生きてさえいれば伝わったのかもしれない。
胸元に添えられた眼鏡と、どっかで見たジャージ。 少しだけロリコンに感謝して、ふと、傍に転がったものが目に着いた。]
……ペットボトル?
[僅かに残っている水と、中に詰められた植物の根らしきもの。拾い上げて、思案する。 律木のものか。これは、おそらく。
その時夏生は、周囲への警戒を怠っていたのかもしれない。 後ろから迫る白装束の存在に、この時点では未だ気付いて居なかった。 誰の声でも聴こえれば、咄嗟に振り返り身構えるかもしれない。**]
(34) 2013/10/27(Sun) 10時半頃
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…………。
[酷くゆっくりとした動作で、夏生は振り向く。 真後ろからした声は、ユリのもの。袴を何処かへやったのか、ゲーム開始直後の巫女服ではなく、解けた髪に白装束。何処か狂気じみた笑顔で言葉を紡ぐ。>>51]
よォ、『お嬢ちゃン』。酷ェ格好だな、…残ったのはアンタの方だったか。
[大した勇者サマだな。皮肉の篭った声で言った。何だろう、やけに頭の芯が冷えている。 千秋と約束を交わした時のような、浜辺で凛を見たときのような、全て奪ってやりたくなるような感覚が襲って来ない。
とても面倒だった。 その姿を見せてくれるな、と思う。 出来るなら今直ぐ消えて欲しい。目の前から。今直ぐ。]
(55) 2013/10/27(Sun) 22時頃
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[白い装束姿を笑う。 解かれて絡まる長い黒髪も。 青白い顔も、汚れた衣装も、何かも可笑しくて仕方ない。 今のユリの姿は、まるで。]
死装束みてェだなァ、アンタ。 ちょうどいい。逝っちまえよ、勇者サマが寂しがってンぜ?きっと。
[分かり易い挑発に、ユリはどう反応したか。 立ち上がった夏生はポケットに手を突っ込んだまま、笑うだけ。武器を構えるでも何でもなく、馬鹿にしたように笑っている。
それしか出来ないからだ。取り敢えず。]
(56) 2013/10/27(Sun) 22時半頃
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(…生ハム、茂みの中に忘れたしね…!)
[挑発して、隙を誘う。逃がす気は無いだろう。 勿論、逃げる気も毛頭無いが。 ぐ、と。律木の傍にあったペットボトルを握る。
縁とは不思議なものだ。 何となく、思う。この僅かな水は、多分彼女が残してくれたのだ。
冷え切った芯に、少しだけ灯る温かさ。知ってる誰かの体温に似ている。唯の勘だが、彼女の意思を汲んでやるチャンスは、必ず来る。
丸腰で、しかし何の不安も無く、夏生はユリに対峙して突っ立って居た。ユリの更に背後、茂みの向こう。そこにいる彼に、委ねてしまうのも悪く無い。
ペットボトルのキャップを捻り、ただその時を待った。]
(57) 2013/10/27(Sun) 22時半頃
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まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだ
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あァ、あれね、何でも願いが叶うってやつ。 馬鹿馬鹿しい、死んだやつが戻ってくるわけ無ェだろ、知っとけよそんぐらい。
生き返ったとしたって、ホンモノじゃ無ェよ。試験管で作り直した肉の人形に、似たようは中身詰めた、それこそ『御人形』さ。
[足元に投げ付けられた手製の万力鎖を軽く地を蹴って躱す、その瞬間にユリは懐に飛び込んでくる。 ああヤベ、こいつ何かしらの心得あるな、そう思う頃には顎を砕こうと飛んでくる右の拳。 ――避けれるか?ギリギリ。多分、脚で動いたら間に合わない。
しかし、そんな瞬間でも焦りは無い。 だって、見えてしまった。茂みの中の彼が、腕を振りかぶる姿。 知らず、口端が上がる。千秋くンてば、本当最高。――ゴリラの癖に。
投げ付けられたサザエの殻。一瞬、ほんの一瞬、ユリの拳の速度が緩んだ。 顎先を掠めて空を切る。左手で、その手首掴んで、。]
――なァ。アンタはそうやって手に入れた人形を、本当に野村だって思うの?
[ユリの顔面に、ペットボトルの中身を、ぶちまけた。]
(76) 2013/10/27(Sun) 23時半頃
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[トリカブト入りの水をくらったユリが、咳き込んでよろめく。 運が良ければ飲み込まないかも、とも思ったが、どうやらそうもいかなかったらしい。 掴んだ手首を引き、空いた片手の掌を噎せるユリの顔面に当てる。 そのまま、脚を払って一気に後頭部を地面へと叩きつけた。
血が飛び散る。致命傷にはならないだろうが、どの道もう、這いずりでもしなければ動けないだろう。]
…動けるんならさ。あいつンとこで死ねば?
[おそらく、野村の死は律木の毒によるものだろう。 ユリを殺すのもまた、夏生の力では無く。それは多分、必死に闘ったであろう律木の意思なのだ。
呟いて、先ほど海の幸を飛ばしてくれた千秋の方へ視線を向けて、夏生は走り出した。]
(87) 2013/10/28(Mon) 00時頃
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(あンの馬鹿、人のピンチを救っといて、勝手に危機に陥ってんでンじゃ無ェよ…!)
[見れば、いつの間に現れたのか黒色の焼津市民と千秋が交戦中だ。舌打ちひとつして土を蹴る。生ハムを回収しようにも、まさに今争っているその足元に、荷物ごと転がっている。
ああ、もう、本当もう。 何なんだ。わけが分からないよ。でも畜生、なんでだ、脚が止まらない。
フラフラしている千秋の、足元がおぼついていない。 伊藤の振りかぶった一撃。間に合うか。]
(88) 2013/10/28(Mon) 00時半頃
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――――――千秋ぃいィイイ!!!
(89) 2013/10/28(Mon) 00時半頃
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――――――!
[叫び声に、千秋が反応する。咄嗟の動きだったのだろうか、足元に転がる夏生の荷物が真っ直ぐに飛んでくる。片手で肩紐を掴み、その勢いで生ハム(原木)を引き抜いた。――ゴリラにしちゃあ上出来、でしょ。
振り抜いた遠心力に引っ張られるように加速。 間に合え、届け。 しかし、伊藤が放った五匹のシマリスが、忍者の武器のように鋭い回転で夏生を襲う。力任せに生ハム(原木)で打ち払った。
その微かなタイムラグが、命取りになる。 間に合わない。こんな重たい武器じゃ――なら。]
(99) 2013/10/28(Mon) 01時頃
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がつん。
[衝撃。熱。しろいひかり。 一瞬、世界が揺れたその後で、酷い眩暈。]
(ああ、馬鹿は俺だ。何でよりによって割って入るかな。)
[もうちょっと、なんかあったろ。場違いに思考は冷静で、吹っ飛んで近くの樹木に叩きつけられる自分の身体。やべえやっぱゴリラの力半端無い。ゴリラ?あ、いや、伊藤サンか。
軋む身体を他人事みたいに動かす。 痛みが来るのはその後。堪えきれず、呻き声が漏れる。 立てずに転がった。 こめかみから生温かい感触。それでも立つ。いや無理、ちょっと待って。]
……てめェ、俺の千秋くンに、手ェ出してンじゃねーよ…
[半身起こした状態で、言葉だけは何とか紡いだ。千秋がどうなったのか確認しようと視線を動かす、伊藤がどうするのかにも警戒は怠らずに。
直ぐに立ち上がるのはちょっと、無理そうだった。]
(100) 2013/10/28(Mon) 01時頃
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――――ち、あき、く、…も、イイ、よ。
[ブレる視界が、伊藤を追おうとする千秋の姿を捉える。 うまく息が吸えずに、ロクに声も出ないが。なんとか制止の言葉を吐き出した。 何とか身体を起こし、背後の木に凭れる。 ポケットから、ジッポと煙草を引き摺りだして、辛うじて火を点けた。]
は…、なンか、久しぶりだわ。
[甘い香りと、苦い煙。これで最期かな、とも思う。]
……はは、お互い満身創痍ってやつか。あのさァ、ちあきくん、
(109) 2013/10/28(Mon) 02時頃
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[呼びかけて、傍に散らばった荷物から、二十センチちょっとの棒状のものをふたつ、取り出す。ひとつは千秋の方へ放ってやる。くるくると回ったそれは、さくりと地面に刺さった。
先程海岸で拾った石板――サヌカイトを割って作った、石製のナイフ。石器時代から使われる、天然の刃物だ。]
(110) 2013/10/28(Mon) 02時頃
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―――コロシアイ、しようよ。
(111) 2013/10/28(Mon) 02時頃
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[この島で、夏生が見せた中では一番楽し気な笑みで。
少し離れた場所に居る、彼に手を伸ばす。
どうせお互い、一緒に生きるなんて選択肢ははじめから無いじゃないか。なら、最初の、約束通りに。]
(112) 2013/10/28(Mon) 02時頃
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一緒に、不幸に、なろう。
(113) 2013/10/28(Mon) 02時頃
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―――そして、彼らの最期の灯火を捧げた、コロシアイの結果は―――
(115) 2013/10/28(Mon) 02時頃
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