162 絶望と後悔と懺悔と
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――ッ、あ
[手間取ってわずかでも隙をさらした僕の方に、始祖吸血鬼の腕が迫る。>>40
――でもその一撃は僕には届かなかった。 身体が急に後ろへと引っ張られて、明にーさんが僕が受けるはずだった一撃を受けたから。>>48 引き抜いた脇差と一緒に、後方に着地してちょっとだけ地面を滑る]
―――…、だいじょうぶ?
[僕は後ろに下がって始祖吸血鬼から距離を取りながら、辺りを見回す。 絢矢は、―――無事だ。 少なくとも地面に叩きつけられる羽目にはなってなかったけど、始祖吸血鬼に掴まれた右手は大丈夫なのかな。>>43
絢矢を見てれば小太刀にも自然と視線が向いた]
(52) 2014/02/21(Fri) 22時半頃
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……刃を向ける結果になっても、
それを成長と喜ばれるんですね。
[瞬きして、思いが落ちた。
声音は静穏で、感情には掴み所がないようにも。]
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……っ、うん、明にーさんも。
[なんだか五年前を思い出さずにはいられない構図に少しだけ、苦しくなる。>>49 でも、無事だ。
僕はやがて隣に駆け寄った絢矢へと視線を移す。そして、その手の中の小太刀にも――、>>50]
これ、……使って、いいの?
(59) 2014/02/21(Fri) 23時頃
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[僕は絢矢からそれを受け取って、左手に持ってみる。 長さは、脇差と変わんないね。二刀振り回してる時の感覚で扱えそう]
……! それって、どういう、
[僕としては“いみな”の意味を訊いたつもりだったけど、別のことについて訊いたみたいにもとれるかも。>>54
刃は身に慣れすぎた、夜の色。 僕の手の中で、揺れて、たたずむ。 その刀身に僕の顔は映らないけれど、]
……。
[自然と笑みがこぼれてるのが、分かる]
(60) 2014/02/21(Fri) 23時頃
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面白いではないか?
真弓に庇われ、何も判らぬままだった幼子が。
鬼の頂点に立つ者にまで刃を向ける。
[鬼が何処から来て何処へ行くのか。
純粋な吸血鬼がどれだけいるのかも、今は判らないが。
生まれ落ちた時点でほぼ能力が確定する鬼と違い、
成長を見せる眷属]
愉しいではないか?
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―――…。
[そっか。 こういう形でも成長を自覚できるんだね。
かつては手も足も出ないと思っていた始祖吸血鬼を前に、 貼りつけたみたいな笑い顔じゃなくて、心の底から浮かび上がってくる笑い顔を向けて、立ち向かうことで]
―――っ!
[絢矢と始祖吸血鬼の間に明にーさんが割り込まされたのを見て、>>70 僕は絢矢の身体を左側へと押す。少しでも武器の軌道を明にーさんからずらそうと。 とっさにしても手荒だったかなって思えば、眉が寄る]
(73) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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[意に染むものも、意に染まぬものも、同じ皿の上。
刃を向けるまでの過程。
人の身から落ちて、血を流してここにあるまでを
愉悦の一言で済ませる月影に、
引き寄せられて盾となした身は真紅の眼を見上げ]
……僕は愉しくはありませんでした。
ここに至るまでの道は。
零瑠君はどこですか? 無事でいますか?
[血統の繋がらない相手の気配はおぼろげだ。]
[何が……と問われても、明確な言葉は見つからない。
真弓に2度も確かめられた、
『愛されたいから』とも違う気がして。]
あぁ、桜が――。
[瞬く。
瞼の裏には、今も夜桜が舞う。**]
僕には、貴方の言っていることがよく、分かりません。
飼い犬に手を噛まれたみたいな目に遭うのが、愉しい、…だなんて。
[柊にもリカルドにも沸き上がる愉悦は理解出来まい。
この身が2人の言葉を理解出来ない様に]
理解出来ない、思いもよらぬからこそ愉しいのだ。
[近くにある柊に嗤い掛ける。
彼らの迅さと戦士の鬼を断つ力。
合わされば。
もしかしたら……この身は落ちるのだろうか。
初めて浮かんだ可能性に、三日月は更に端を上げた。
考えた事も無い現実が起こるかもしれない。
それは………何と愉しい事だろうか]
零瑠なら、ジャニスと遊んでいたが。
私の元へ駆け付けようとしているのだと思うが。
会いたいなら呼んでやろうか?
そうですか。
[きっと、月の隣に添うて見える夜の色も、
光を朧にさせる雨雲も、近くに見えるだけで
――余りにも遠すぎたのだろう。]
理解を得る、ということの幸いを、
あなたは知らないんでしょうね。
[笑みの意図も、きっと柊には察せぬもの。]
会いたい訳では……ううん。
会いたいけれど、いいです。
[ただ、願うなら。
彼が傍にと願った周を守ってほしいと思う。]
[祝福の日。
『柊』は鬼を刺す事は無かった。
徐々に『柊』の名を忌む鬼が増えていても変わらなかった。
だが、今。
『柊』は邪を祓う棘を鬼へと刺す]
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―――…っ、
[僕は家族の手で家族が傷つくところなんて、見過ごせなかった。
たとえ放たれた刃が、明にーさんを貫いて始祖吸血鬼に届く結果を招くと気付いてたとしても。
左手、黒の刃の小太刀を握りしめる手に力がこもる。 始祖吸血鬼は刃を受けてもなお動いてる。いったい何が楽しいっていうのかな、>>85]
――、このぉっ……!!
[僕は始祖吸血鬼めがけて走り出す。 蹴飛ばされて弾き飛ばされた明にーさんと絢矢を助けに行きたい、けど、 ちょっとの間の我慢だって言い聞かせて。
左手の小太刀を今度は、心臓に突き立てるんだ]
(89) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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[その終に、血に染む愉悦ではなく、泥に倦む退屈でもなく
安寧のあるように。]
なぁ、零瑠。
[傍に、と言っていた零瑠へ掛ける聲は酷く穏やかで、
傍らにいない事を咎めるものでは無く。
ただ改めて知ったと、零瑠に告げる]
人間とは、面白いな。
退屈しない。
[退屈しないと口にした時は笑ったが、
零瑠は何処で聞く事となっただろうか]
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………ははっ、
[僕は駆け抜ける。背中を押すみたいな声に導かれて。>>97 始祖吸血鬼にさらなる棘を打ち込もうと。
――狙いは外した。でも斬ったって手応えはちゃんとある。 始祖吸血鬼も笑ってる。僕には相変わらずその理由がわからない。
このまま同じ狙いを繰り返していればその心臓に届くかな、いつかと言わず、すぐに、]
……っぐ、
[僕は伸びてきた手を右の手で、あわよくば斬り払いのけようとする。 けれど逆に右腕を掴まれた。――へし折られる!?>>93]
(104) 2014/02/22(Sat) 02時頃
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あぁ、すみません、今―――…
はい? 何でしょ、う。
[名を呼ぶ聲の、方を見遣り、応える。]
何を、おっしゃいます…
まだまだ、面白いものは幾らでも。
あなたの退屈を潰すものは、幾らでも。
……あります、から。
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[やがて始祖吸血鬼は僕の首に手をかける。 今はじわじわって力をかけ続けてるけど、その気になったら。 僕が今度こそ残りの腕を落とす気で左の黒い刃を振るうより先に、僕の首をへし折るくらいの力はまだ残ってそう]
―――― く、
[早く、はやく。 絢矢でも明にーさんでもその白いコートの人でもいいから、こいつを]
(111) 2014/02/22(Sat) 02時半頃
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[孤児院に来たばかりの頃は違和感しかなかった。
『Trail』の懐剣を握り締め、
濡れた窓の外を見上げる。
こんな空を、知らない。
こんな色を、知らない。
こんな涙を、知らない。
こんな雨を、知らない。]
[こんな花を、知らない。
にこにこと、訳もなく笑顔であろうとする、
こんな自分を、知らない。]
[目を瞑ればすぐそこに、桜花が散っていた。
懐かしいあの日の様に。
あの夜のように。]
………おかあ、さま?
[あの方は、覚えて居なかった。
ほんの一時の邂逅。]
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――――……
[始祖吸血鬼と白いコートの人が何話してるのか、聞き入る余裕もない。
ただ、左手に握った黒い刃の小太刀――『菖蒲』を、絶対に離さないように、って。
それだけを強く、――強く、思って**]
(119) 2014/02/22(Sat) 03時半頃
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[新しい母と似た気配。
けれど、もっと強く眩い気配。
緩やかな金糸が夜風に揺れて。]
……ほぅ
[吐息混じりの幼い一声が耳に届いたのか。
鬱金敷いた紅が常磐を見て。微笑みを向ける。]
[爪の伸びた指先は、まるで手招くように。]
『エメリッヒ殿? 如何されました?』
[衣擦れの音と、あの方を呼ぶ母の声がなければ。
常磐は直ぐ様駆け寄っていただろう。
踏み出した一歩はその場に留まったまま。]
[風で散る桜吹雪。
何度瞬いても、鬱金重なるのは瞼の裏でだけ。
冀い、鳥籠の屋敷を出ても。
冀い、現実を忘れても。
冀い、夢幻の記憶を擦り替えても。]
[『零』を『永久』に変えるのは、
*唯、一色だけ*]
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