84 戀文村
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[彼はきっと、見た目には何も変わらないだろう。 もしも見送る立場になれば、敬礼すらして見せるだろう。 それでも内心はやるせない憤りを感じていた]
…………
[なぜ、自分達本職の職業軍人を差し置いて? この村に軍人が居る必要があるから? 納得できるはずもない。何の為に銃を取ったのか。 何の為に今まで人を殺してきたのか。 この村の人々の様に、争いに関係のない人々を、争いに巻き込まないためではなかったのか。 人知れず、唇を噛みしめる]
(180) 2012/03/25(Sun) 02時半頃
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[今日は、サイモンと言う青年だそうだ。 役場で働いている筈だ。自分が行っても百害あって一利なしだろう。 女子供も呼ばれると言う事だ。直接戦場に行かずとも、兵器の生産など、 いくらでも戦争に関わる事は出来る。 そして、都市に往けば後方も何もない。対空砲火を抜けて来た航空機の落とす爆弾一つで、死ぬ事だってある。]
[歯がゆい事この上ない。 先に戦場に出て死にたいという訳ではないが…。 何故見送らねばならぬのか。やるせない思いで、ただ虚空を見上げるのだった]
(181) 2012/03/25(Sun) 03時頃
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[兵舎にも戻らず、昨晩の様に、井戸に腰かけて空を仰ぐ。 自分がここに居る意味はなんだろう。
いや、感謝すべきなのかもしれない。こののどかな一瞬を。 けれどそれが、誰かの変わりの平穏だとしても…?
親しい彼や、いたいけな彼女が往く変わりだとしても…?]
[夜、一人、寒空の中、髪を梳きあげる様に頭を抱えた]
(185) 2012/03/25(Sun) 04時半頃
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ブローリンは、結局その日は一睡もせず明朝から昼過ぎまでの見張りに着いた。一日やそこら眠らずとも問題ない**
2012/03/25(Sun) 05時頃
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ー赤紙について聞いた頃 [部隊の辛気臭い顔をみていてもしようがない。 雑貨屋で買った手帳と、ペンとを持って、軍服姿の まま、 真っ白なままのページを見ている]
……
[小銃は置いてきたが、拳銃を折って弾が込められて居るのを確認する。 咥えて撃ってしまおうかと思った事はあるが、今そうする気はわかなかった。 戦友たちの所へ行きたい反面、彼らの分まで生きようと気づいたからだ。 それ以前に、今まで殺してきた敵兵の為にも。 酒でも飲めば良いのだろうが、酔っ払えるわけでもない。 昨日の今日で、老婆の所に足を運ぶ気にもなれず、 所在なげに通りを巡回……もとい、ただ歩く]
(189) 2012/03/25(Sun) 10時頃
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今夜教会の裏のモミの木の下に俺はいる。
[それだけを彼に伝えた。
来なければ明日彼を戦士として見送る。
来たのなら……この村で……]
[1人になって通信機の回線を開き、サイモンとのやり取りを話す]
……サイモンが望むなら…俺はあいつを眠らせてやりたい。
部外者の俺じゃダメだってならともかく、どうかな。
[許されない行為だと判っていても衝き動かされたのだ。
調子の良いいつもの声では無く
少し泣き出しそうな弱々しい声で、共犯者達に問うた**]
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[道すがらやってきたエリアスに会釈を返す。 ペンと手帳を見せて、買い物していた事を伝えた。 少し体調が優れないように見えるエリアスを指して、 自分の頬に片方ずつ触れた。大丈夫と言われて頷くものの、 何かあったのだろうと思う]
……
[赤紙の件を聞き、少し顔を伏せる。 自分達も往くのかと聞かれ、ゆっくりと首を振った。 申し訳なくも見えるほど、鎮痛に顔を伏せた。 自分達が戦場に行くのは今までのツケを払うようなものだ。 それは、恐らく死ぬまで払い続けなければならないものだ。 誰かに撃たれるまで、首を括るわけにもいかないものだ。 ……そんな事を、この村の人々にさせたくはない]
[あの分隊長殿は、ホレーショーはきっと… そう思い立って、酒場を見やった。どうすれば良いのだろう。 止めるべきだ。しかし、もし望まれるとしたら?]
(199) 2012/03/25(Sun) 14時頃
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[もし、村人がそれを望むとしたら?]
……
[長く長く、鼻息を吐く。なんでもない、と首を振った。 民を守る為と思えばこそ軍人にもなったし、戦う理由も それにしてしまえるというのに。守る人々が戦地に往くのを、 ただ見ているだけとは、苦々しいものだ。 ここで遊んでいる軍人を招集するよう、打電してもらいたいが… ここの指揮官殿の思惑があるのだろうか]
(201) 2012/03/25(Sun) 14時頃
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[ただ、戦場に早く出て往きたいと言うのは逃げているだけではないのか。 自分が往こうとも往かずとも、赤紙は届くだろう。 ならば分隊長の様に、"村の為に"出来る事をする事こそが、 立ち向かっている事になるのだろうか]
……
[無表情のまま、目を細める。再度エリアスに心配され、 肩に手を置いて、薄く微笑んで首を振った。
彼を見送り、広間の一角に腰かける。 悩む答えは、そう簡単に出そうになかった]
(203) 2012/03/25(Sun) 14時頃
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ブローリンは、詩集を取り出して、読むでもなく、カバーに縫われた犬をなぞる。
2012/03/25(Sun) 14時半頃
ブローリンは、広場で追いかけあい、走って行った子供を眺める。
2012/03/25(Sun) 15時頃
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[エリアスの頼みに、もう一度頷いた。 その時が来れば、恐らくは今度こそ戻っては来れまい。 彼に限らず、別れを告げたい者はいる]
[その背中を見送って、広場に座り人々を眺める。 子供や老人の姿が目立つ。
結局勤務中とやっている事が同じだ。 刺繍の犬が、問いかけている様にも見えてくる。 自分は所詮兵士であり、兵士であろうとしている。 国に忠を尽くそうとしている。 この村からも、愛国心を持って銃を取り出て行った者が多少はいただろう。 自分もそうだった。その選択が間違っていたと思いたくはないが、 今のこの戦況と、国の方針に納得いかないのは、如何ともしがたかった。
ベンチで、膝の上に着いた両肘で頬杖をつく。 じっと、村の広場を見つめている]
(208) 2012/03/25(Sun) 15時頃
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[回線を開いたままの通信機から届くのは途切れ途切れの声]
…なぁ…サイモン…特攻だってよ。
あいつだけじゃなく…この村に届く赤紙の先。
皆…もう…生きて帰れないんだとよ…。
なんで俺達じゃねえんだろうな。
同じ死ぬなら……この村で死ぬ方が…幸せかな。
[サイモンを励ます言葉も慰めの言葉も判らない。
ただ彼が望むものが一番幸せの様な気がした。
答えを求めているのか、いないのか。
自答するように声は暫く続いていた**]
[軍にいるホレーショーとつながっているおかげで情報は早く得ることができる]
…特攻…戦地ではもっと前からあったみたいね。
父からの手紙にあったわ。
[そうした情報は通信士として招集された父から、いち早く伝えてくれていた。暗号を使って。
しかし、それを口外することはとてもできない。
父からの手紙は即焼却して証拠を隠していた。
表向き軍需工場への出向ということで招集された女性も特攻で散っていることも…。]
[母に手をかけた自分に泣く資格なんてないはずなのに、
それすら許してもらっているような…不思議な気持ちで]
[自分は、とても幸せ者だ。心配してくれる姉が二人もいる。
…でも、だからこそ、……二人に不幸になってもらいたくない。
特に、赤紙での出征は……認めたく…ない。]
[ヨーランダを欺いていることに、良心の呵責がないといえば嘘になる。
生きている限り、自分はあちらこちらで欺き続けて生きてゆくのだろう。
それも、自業自得なのかもしれない]
[母親の墓前で、ヨーランダとミッシェルを見遣る]
……もし、………
[口にだすのは躊躇われた。
『この村で、愛する人の隣で眠ることができるならば…
その道を選びますか』
という問い]
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[広場で時間をつぶしていたが、一度兵舎に戻り着替える事にした。 赤紙の事もある、軍服でうろついていては目障りだろう。 自分自身に嫌悪がなくとも、軍人と言うものを忌み嫌う人は多かろうから。 それより、分隊長を、ホレーショーを探そう。 悩める彼と、哀れなサイモンと、二人して望む行動があるにせよ… もしも、と思えば、見て見ぬふりはできない。
自分は結局、ホレーショーほど残酷には、あるいは慈悲深くはなれないのだから]
(269) 2012/03/25(Sun) 22時半頃
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[部隊の仲間達が分隊長の陰口を叩いている。 人畜無害と思われているのだろう、自分が心情的にはホレーショーに傾いていると知れば、 なんと言うのであろうか。
特攻の話も聞いた。目を見開いて、眩暈を覚え…胸に手をやる。 沙汰の外だ。一体何の意味があると言うのか。 自分がもし今前線に居れば……]
………
[もしもの話をしても仕方がない。 ホレーショーは部屋にはいないようだ。 村に居るなら、酒場だろうか。一度部屋を出かけて、机の上の本を見る。 結局持っていかず、拳銃に、買ったばかりのペンと手帳だけ持って外に出た。]
(274) 2012/03/25(Sun) 22時半頃
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[村の入り口に立つ。無感動に当たりを見回すなか、 頭の中では軍人の愚かさ…もとい救いようのなさに思いを馳せる。
有能な軍人とは、敵兵を多く殺す事だ。 対して無能とは、味方を多く殺す事だ。 救われない螺旋から出るには、死しかないのであろうか。
銃を捨て、逃げると言う選択肢もあろう。 けれどそうするには自分は人を殺しすぎたし、 人を看取りすぎた。歩みを止めるのは結局、 戦争が終わるまで生き残ってからの話になる…
ふと、何事かに我に返って、村へと入ってゆく]
(277) 2012/03/25(Sun) 22時半頃
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ブローリンは、酒場はまだ空けていないようだ。どうしたものか。
2012/03/25(Sun) 22時半頃
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[捜し歩いてすれ違うのも問題だ。 役場の青年の様子を見に行っても良いかも知れない。 分隊長の話を思うに、今日も兵舎には戻らないかもしれない。
会ってどうするかは分からない。 止めるべきだ。村で眠らせるべきだ。分からない。 けれど、向き合わぬまま見過ごす事は出来ない。
役場に行こうと、歩き出した折、6 偶:クラリッサを見かけた/奇:ウェーズリーを見かけた]
(284) 2012/03/25(Sun) 22時半頃
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ブローリンは、クラリッサに、ポケットに手を入れながら近づく。
2012/03/25(Sun) 23時頃
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[ただ居るだけなら気づいたとしても気に留めなかったかもしれないが。 泣き声が聞こえたのかもしれない。 慌てたり、怯えられたりするのは彼女に限った事ではない。 今は軍服ではないが、図体の大きさもあるのだろう。 よく見る、態度だった]
[ポケットからハンカチを出して、差し出した。 受け取ってもらえなければ、手を降ろす。
泣いている理由は、やはり徴兵の通達だろうか…]
(293) 2012/03/25(Sun) 23時頃
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ほんとうに、男女も年齢も関係なく召集されるのなら。
される前に、……この手で。
この村に、皆で残るのよ。
[小さい呟きは二人には届かない大きさ]
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[恐れられて当然、と言う思いもあれば、彼女の態度を咎めはしない。 全く気にならないと言えばうそになるが、なんといっても慣れてしまった。 銃を持ち軍服を着ていれば、更に畏怖される事間違いない]
……
[彼女がハンカチを顔に当てる間、顔を逸らす。 もう日も傾いてくる頃だ。昼よりは気温も下がってきた。 雪は、止んだようだが……]
(305) 2012/03/25(Sun) 23時頃
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どうせ汚れるなら、…いや、私が汚れることで皆が少しでも、幸せになれば、安堵できれば…
…この手で……
[母を殺めえたこの手は、決して清められることはない。
ならばいっそ、皆を…と、思ってしまうのだ。
そんなつぶやきは、誰の耳にも届かないだろうが]
[通信機を開く、ホレーショーの言葉は聞こえていたが、
簡単に答えられる状況でなかった]
…本人が望むなら、叶えてあげて欲しい。
[自分の言葉の後に付け加えたのは短い言葉。
それに、全く嘘偽りは…ない。]
ほんとうに、それがほんとうなら。
アタシはもう、誰も失いたくないわ。
母さんと同じように、もう誰も。
残されたくないのよ……!
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[返してもらわずとも問題はないが、変に形見にさせるのもなんだろう。 頷きを返した。泣き顔には背を向けようとさえも思ったが、 今泣いているわけでもなし、問題ないだろうと、見下ろす]
……
[確か彼には妹が居たから、ナンシーとはその事だろう。 往く者が居て、遺される者が居る。その待つ時間はきっと永遠にも思えるだろう。 いや、実に、永久に帰る事は無いだろう。 戦いに行くのですらない。死にに、殺されに行くのだから。 それを彼女に伝える必要はない。伝えても、何の救いにもならない。
ただ……もし彼女が、彼女らが往く事になれば、黙って見送れるのだろうか。 ホレーショー、分隊長の様に………。]
[頭を振った。手紙を残す提案には、力なく頷く。 きっとあの老婆の所だろう。一抹の希望を添えて、 直接ではなく、彼女を通して残すのだろう]
[ゆっくり息を吸って、長く長く息を吐いた]
(316) 2012/03/25(Sun) 23時半頃
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厭よ、厭だわ。
これ以上この村から、誰も出てゆかせはしないわ。
だから、ねえ。
……私の手で。また、母さんのときみたいに。
そして、―――や――のように。
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[ゆっくりと首を振って、人差し指を口に当てた。 あまり口外すべき話題ではないだろう。 気が緩んだのか、自分だからかは分からないが、 その体制のままゆっくり頷いた]
……
[視線の先の彼を見て、目の前のクラリッサを見て、 首を少しかしげた。追いたいのなら追えばいい、と。 彼が役場に行くとは、分かるはずもなく]
(328) 2012/03/26(Mon) 00時頃
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