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薬、飲んどらんかったんか…?
でもお前、あれは…──
[飲まなければ体調を悪くしてしまうのではないかと。
思い至ったところで、そうまでしても記憶を留めていたいと
きっと彼は思っているのだろうと気付く。
今までなかったその変化に、心配とない交ぜになる感情。]
無理は、しなよ?
思い出したらまた、書くんはしちゃるけ。
[微かに笑う彼の顔。
愛しい彼へ向けるのは、心配そうな表情。
それでも、応えるように微笑んで。]
すまん、の。
たぶんわしの感覚、可笑しいんじゃ思う。
もっとなんぞ…かけれる言葉……あろうに。
[友を糧に自分が生きたと謂う記憶。
その告白を受けながら、返した言葉が死者に対する感謝だなんて。
どこか可笑しいんじゃないだろうか。
けれど思わずにはいられなかった。
口にせずにはいられなかった。
命を殺めた重さを肩代わりすることは出来ないのだとしても
少しでも、彼の『重荷』を軽くしてあげたかった。
それがエゴでも構わない。
肩を抱く力は必然と強くなった。]
ー初めてのくっきんぐー
[古城にかくまった我が子はやがて空腹を訴え出した。
私は血液さえ摂取すれば人間のような食事を摂る必要はないので、どうすればよいのやら焦った。
人間は何を食べるのだろう。
確か聖書にはパンだとか魚を食べるとあったような……。
その日、久方ぶりに人里に下りた。
人間の振りをして市場でそれらしい物を買ってみる。]
ええと、確か人間は魚を焼いて食べるのだったか……。
[無事に古城まで戻ってきた私は買ってきた食材たちを顰め面で睨みつける。
私が古城に住み着いて以来初めてその城の台所の炉に火が灯されることとなった。]
出来たぞ。
[我が子が食べられ易いようにしっかりと真っ黒になるまで焼いた。これにはあの子も喜ぶだろうと私は満足げに笑って頷いた。*]
[思い出すのは、赤い赤い色。
見知らぬ男に刺された脇腹から出た、自分自身の血。
引き抜いて、その刃で【5】の命を絶つ。
血に濡れた手は『誰か』の首に手をかけて、ゆっくりと命を奪っていった。]
なぁ。
愛してるよ。
俺はお前を───『愛してる』んだろ?
[謂い続けた言葉こそ、重ねてきた愛こそ贋作。
『愛してる』だなんて思ったこともない。
男は拾われ、ただ捨てられただけの絵を描く道具だった。
金を稼ぐための道具だった。
『誰か』を満たすための道具だった。
ならば最期まで満たしてやろう、贋作の愛で。]
(赦せないだろ、『愛してる』なら───)
[呼吸を奪えば虚ろになっていく瞳。
恐怖をない交ぜにしたそれを見詰めながら、涙のひとつも溢れなかった。
人を殺めることに、躊躇も罪悪感も何もなかった。
真っ直ぐに彼を見下ろして、首を絞めた。
指先が震えていた理由は、今でもわからない──*]
[彼の命がなければ、自分は生きていられなかった。
きっとそれは間違っていない、けれど、自分の行いが正当化されるわけではない。
得られたこの地での、“人並みの幸せ”を、素直に享受できなかった理由は、きっとここにあったのだろう。
罪を犯したものが、幸せを得られる筈がない。
だから、かつてと同じように、日々を無意味な雑用に費やしてきた。
それが得られた安寧への、せめてもの対価だと思っていた。
薬の事に触れられれば、少しだけ目を伏せて。
それでもその顔を見上げて、笑う。]
……薬、飲まないで過ごすのは怖ぇよ。
けど、……そろそろ、逃げるのを辞めたい。
この傷はちゃんと痛いんだって、思い出したい。
[そう言って、シャツの上から包帯に触れる。
薬を抜いていけば、いつかこの傷も塞がるのだろうか。
心がその場で留まり続けないのと、同じように。]
[命を繋ぐために、命を奪った彼と
ただ断つために、命を奪った男と。
似ているようで真逆の罪。
告げることに怯えが、恐怖がなかったはずがない。
悟られないように、肩を抱く力が籠もる。
見上げてくる顔が笑うから。]
……、…そか。
[逃げるのを辞め、痛いんだと思い出したい。
そういって触れる包帯に目を移す。
唇は少しの間、口篭る。
その決意を、聞かせてくれたのはどうしてなのか。
ただ、忘れないように?]
― ―
[最初は、妙に煙いと思った程度だった]
[――村に異形が紛れ込んだのだと噂が広がり、屋敷の主が歪なものを“飼っている”事を知る者が火を掛けたのだという。
二人に状況を教え先導していた主は、焼け崩れる階段に巻き込まれ姿を消した。最早下には降りられぬと手に手を取って奥へと駆け戻り、いつか主と共に紅葉を見た窓から二人で身を乗り出す。けれど炙られた瓦の熱さに、きちんと立ち上がることが出来ず――]
[屋根から転げ落ちる前に、長髪の男に抱き留められた]
[男は片手を差し伸べ、屋敷の外へと二人を誘う。
火柱と化した屋敷を一度振り返り、己はその手を取った]
[けれど片割れはその手を払ったのだ]
[煙が辺りに立ちこめる少し前、参休が手習いする傍らで片割れは何時もの様に外を眺めていた。きっとその時村人に追われる“異形”のことを視界に収めていたのだろう。
長髪の男に向ける瞳は、男を迫害する人間達と同じもの]
[そうして紐は断ち切られ、参休一人が時の流れから転がり落ちた]*
……うん、
[短な相槌に、自らも頷き返す。
口篭る様子に、やはり負担だったかと不安げな色を滲ませる。
包帯に触れる指先は、視線を感じれば自然と力が籠もるか。
見上げていた視線を逸し、瞬いて。]
お前が、忘れないって、言ってくれたから。
……俺は、思い出したい。
[決意のように、そう言葉にする。
そして、意を決すように、唇を開いて。]
けど、……一人だと怖いから、傍にいて欲しいと、思った。
……誰でも、じゃなくて、お前に。
……迷惑か。
[手を伸ばし、その掌へと重ねて。
祈るように目を閉じる。]
…、……。
[相槌と相槌。
けれど逸れた視線。
暫くの間の沈黙は、きっと不安を抱かせる。
それは男にも、彼にも。
───打ち破ったのは、彼の唇であった。]
……そ、れ は
[一瞬、いや何度も、聞き間違いか何かではないかと。
もしくは頭が都合のいいように解釈しているのではと。
けれど彼へと向けた視線は、彼の赤色を瞳に映す。
掌へと重ねられる、掌。
閉じられた瞳。]
……阿呆。
[迷惑なわけがない。
負担なわけがない。
伝えたいのに無駄に喉が渇いたようになって
言葉のひとつ、唇が紡ぐことが難しい。
まだ指先は震えている。
それでも、彼の手を握り返して。
顔を寄せて、閉じた瞼の上に口付けを落とす。]
それは『お願い』で、ええんよね?
[不器用な言葉で、問う。]
傍に、居らせてくれる?
誰でもじゃなくて、『わし』を。
青空だけじゃない。
星降る夜も、霧雨の朝も。
───隣に。
[下手でもいいなんて、謂わずとも通じるだろう。
ヒューのその横に描いてほしくて。
何色を乗せるのかが、見たくて。
自らの手で、記憶を、カンバスに刻んでほしくて。]
何度でも、謂わせてくれる?
ヒュー、『愛しとる』って。
[スケッチブックに書かなかった言葉。
思い出せるようにじゃない。
忘れないようにじゃない。
贋作でないその言葉を
この先、いつだって、囁きたかったから──…]
[そうして手招きの後、青いカンバスの前、彼の膝の上に座ることになるか。
彼よりも体格は劣っている、けれど決して小さな身体ではない。
重くないかと問うより先、伸びてきた筆に身体は硬直する。
それは、思ったよりも軽く、簡単に折れてしまいそうだと思った。
恐る恐るといった風に筆を握れば、包まれた掌に導かれるままにカンバスに色を置いていくだろう。
一色、一色。
はじめは荒かった絵も、細部が書き込まれていく内に精密なものへと変化していく。
硬直していた身体から、だんだんと力が抜けていくかのように。
青い空、揺れる赤い髪、肌に微かな古い傷跡。
もしかしてを問うより先に、彼の描きたかったものの事を語られれば、口を噤んだ。
そうして絵は出来上がる。
清涼な青空の中佇む、一人の青年の姿を。
驚くほどに鮮やかな手付きで描かれたそれを見ていれば、筆とパレットとを差し出されるか。
きょとん、とした顔でそれを見下ろすも、その内に意図を察して困ったように眉を寄せる。
それでも、手を伸ばして受け取って。]
……後で、ちゃんとフォローしてくれよ。
[浮かべた苦笑の顔のまま、受け取った筆とパレットとを両の手に持ち向き直る。
朧な記憶とはいえ、人の顔の造形までは忘れない。
とはいえ、それをカンバスに描いていけるかといわれれば、また別の問題になるのだが。
ゆっくりと、ゆっくりと、色を選び、色を置いて。
歪に、それでも、描き進めて。]
……おう、何遍だって、聞くから。
俺が忘れても、……忘れなくても。
[そう告げて笑えば、筆を“ボリス”へと返すだろう。
子供の落書きの方がずっとマシであろうそれに、改めて向きあえばじっと見つめて。]
なぁ、
……絵、教えて?
[“お願い”、と、付け加えて笑った。*]
[膝の上の体は決して軽くなどないけれど
それでもその体を後ろから抱き締めていた。
硬直している時も、肩から力を抜いた時も。
やがて描き上がるのは歪な橙。
落書きのようなそれに、また笑みが落ちる。]
初めての割には、うまいもんじゃで?
でも、教えようかのぉ。
[忘れても、忘れなくても
嫌になるくらい愛を囁きながら。
それを聞いてもらいながら。
受け取った筆でカンバスに記すのは“Boris,Hugh”
筆をそっと置いて*]
ー島国での或る日ー
[人よ月の紅い一夜に外を歩くなかれ。
充分注意をしていたと思っていたが吸血の瞬間を町人に見られてしまった。
暗闇の中で提灯に照らされた顔が驚愕と恐怖の表情を浮かべているのが見える。
遠く、ブケだったかアキンドだったかの屋敷の二階の一室にも灯りが灯っているのが星明かりのように見えた。
身を翻し晦冥の中に姿を消すと、背後から町中の人間を起こして呼ばわろうとする絶叫が轟いた。
“化け物だ、人の血を吸う妖が出た”
命を奪うまで紅い命の源を貰ったことはないというのに。]
この国の人間は月の無い夜には
家に火を放って灯りとするのか……?
[いつの間にか先ほどの屋敷は煌煌と燃え盛っており、
朔の晩をまるで紅い月のように照らしていた。
物陰に隠れて様子を見ていると、二階の窓から二人の人間が身を乗り出すのが見えた。
それはいかにも頼りない危なっかしさで、誰かが手を差し伸べてやらねば今にも命を落としてしまいそうに見えた。
そう考えるや否やこの身は既に動き出しており、
あっという間にその屋敷の元へ。
そして二人が転げ落ちるその寸前に
抱き留めることができた。]
大丈夫か?さあ、安全なところへ行こう……
[屋敷に火が付けられたのを見て、きっとこの二人も自分のように迫害されているのだと思った。
だから手を差し伸べた。二人を虐める屋敷の中から早く連れ出してやらねばならない。
一人は、その手を取った。]
君の手は温かいのだな。
[我が子と比べて私は笑いを漏らす。
だがもう一人の手の温度は痛かった。
彼に向かって差し伸べた手は払われたのだ。
私を見て叫んだ町人のように、
彼はその顔に恐怖を浮かべている。
そんな視線には耐え切れない。人間の顔だ。
二人を繋ぐ紐が目に入った。*]
ー海辺の或る日ー
[今朝の浜は何と騒がしい事か。
先ず喧噪が聞えてきて「こんな朝っぱらから月がどうとか何言ってやがんだ、妖め」と怒鳴る声もした。
どうやら一触即発の空気。其の騒ぎの方を見やるとどうやら何者かが村人たちに囲まれているようであった。
血を吸う化け物、などとの声も聞える。
唯事ではないように感じられて近づくと、
人々の頭の間から紅い瞳の人が見えた。
とても寂しげな色を湛えた紅いお月様。]
待ちな!
[彼の事が他人事に思えなくって、
人の波を無理矢理掻き分け、
彼の前に立ちはだかり盾になる。]
此の人が何をしたんだか知らないけどね、
金をやるから見逃してやっておくれよ。
[自分は何を言ってるんだか。
赤の他人の為に金を使うだなんて。
其れでもあっしは有り金全部渡して紅い瞳の人を助けてしまった。
落ち着いて彼に向き直ってつくづく見ると、長い黒髪がなんとも美しい長身の異国人だった。
彼がぼんやりと此方を見る視線が気に喰わなかったので、思わず眉を顰めてこう言った。]
別に勘違いするんじゃあないよ、
浜が騒がしかったから黙らせただけだ。
……ほれ、怪我はしてないかいぼんやりさん。
[手を差し伸ばしてやる。
あんまりにもぼうっとしてるから下手すると一日中其処にいる侭かもしれないと思ったのだ。
すると彼はやっと事態を理解したかのようにおずおずとあっしの手を取った。
見れば誰もがはっとするような美しい見目をしてる癖して抜けてるものだと、あっしは思わず笑みを漏らした。]
[その瞬間とても厄介で、けれどもこの上なく優しい妖に魅入られてしまったのだとも知らずに。*]
ー海辺の或る日ー
うん?
[浜辺を歩いていると人間の血を吸うという妖の人相(?)書きにお前が似ていると言って呼び止められた。
あっという間に周りを数人に取り囲まれ厳しい視線が向けられる。
血を貰う際には命までは奪わないが、立ち塞がる者には容赦なくその胸に紅い花を咲かせてきた。
この者たちも同じようにすればいいだけだ。
別に悲しいことなどない……]
こんなに月も紅いから、愉しい夜になりそうだ。
[人間たちにとっては不気味な印象を与える程に穏やかな笑みを浮かべてそう言い放つ。
私の瞳に浮かぶ満月は紅く染まり、人間達を手にかけようと]
“待ちな。”
[血に塗れた月見が訪れようとしたのを紅葉の紅が止める。
剣呑な空気を押し止める声が響いた。見ると赤毛の者が私を囲む輪を割ってこちらに向かってくる。
人間たちの眉が釣り上がり「赤毛頭が」などの文句を吐く者がある。
赤毛の者は私の前に立つと、くるりと向き直り人間たちを睨みつける。見ていると彼は懐に手を突っ込んで金子を取り出し突き出した。
周りの人間達は彼の金子を入れていた袋が空になってしまうまでそれを受け取ると、去っていった。
どうやら彼は私のことを助けたのだと一拍遅れて気づく。
何しろ「助けてもらう」なんて体験は初めてだったから。
赤毛の者は私に向き直ると、顰め面で「別に」とか「勘違いがどうの」と言いながらも最後にこちらに手を差し伸ばしてきた。
手を差し出されるのも初めてのことで、私は戸惑いながら彼の手を取った。すると彼はふっと微かに微笑みを浮かべ、その紅い髪が揺れる。
同じ紅でもその椛の如き紅のなんと優しげなことか。
その心安らぐ紅をずっと眺めていたくて、気がつくと私はこう口にしていた。]
どうやら君は私と同じ存在のようだ。
助けてもらった恩もある。君を私の城に招待しよう……*
―はじめての食事―
[吸血鬼の手料理は最初それはそれは酷いものだった。
満面の笑みで出された炭化した魚のなれの果てを、
『やっぱり俺は此処で死ぬのだろうか』
曇り顔になり見つめて]
料理なら俺が……。
[作った方がマシだろうと謂いかけて、
彼の、料理中の真剣な横顔と今目の前にある笑顔に、
結局それ以上言葉を続けることができず、
肩竦め嘆息することになる]
有難う。食べる。
[出会ったときの、孤独な眸。
思い出してしまったのだから仕方ない]
……だ が、不味くて死にそう だ……っ。
次はまともなもの作ってくれ……。
[不平不満ははっきりと、口付けた後で主張した*]
【人】 許婚 ニコラス─食堂─ (41) redegg 2015/01/01(Thu) 14時半頃 |
【人】 許婚 ニコラス─主の部屋の前─ (42) redegg 2015/01/01(Thu) 14時半頃 |
【人】 許婚 ニコラス別に貴方に対しての恨みなんて遠い昔に忘れてるし。 (50) redegg 2015/01/01(Thu) 15時半頃 |
【人】 許婚 ニコラス[顔を顰める美丈夫>>45は、確かに人ならざる者なのだろう。 (51) redegg 2015/01/01(Thu) 15時半頃 |
ー羊飼いの或る日ー
[道をゆくと右手に広がる草原に羊の群れと白髪で老年の羊飼いがいるのが見える。眩しい日光に顔を顰めながらその牧歌的な風景を通り過ぎる。
夜にその道を戻る。草原からは濃厚な血の臭いがした。
私はそこをそのまま通り過ぎようとしたが微かな呻き声が聞えた。その声は確かに「助けてくれ」と言っていた。
私は草原に足を踏み入れて声の主を探し始めた。
声は最初に聞えてから途切れた。
もう死んでしまったのだろうか?
辺りには羊の死体が転がっているようで避けながら歩く。
人間なら、すわ野党にやられたか狼か傭兵集団かと推理するところであろうが、吸血鬼である私にはそんなことは興味なく、ただ救いを求める声の主を探す。
やがて胸から大量の血を流して仰向けに倒れている人間を見つけた。まだ息はあるようだがこのままにしておけば死ぬだろう。勿論草原は街から遠く離れており、医者など近くにいる訳はない。]
助かりたいのか……?
[私はこの者の命を救えるかもしれない方法を一つだけ知っていて彼にそう尋ねた。その者はもう声も発せなかったが、瞳が問いを肯定するかのように一回だけ瞬いた。]
では……
[私は彼の元に屈み込む。
危険過ぎて我が子にはとても試せない方法だが、
死にかけなら死んで元々だろう。
私の血を大量に流れ込ませて治癒能力を上げさせるのだ。
大抵は拒絶反応が起こって命を落とす。
だから我が子達には一晩に薬は一錠だけを厳守させている。
だが生き残れればクランに入ったばかりのチョウスケよりも血が濃くなるだろうなと思いながら口を開け牙を剥き出す。
牙を自分の舌に立てて傷を作り、それから、胸から血を流す老爺の口を開けさせて唇を合わせた。
彼の舌に噛み付き吸う。
やがて吸血鬼の血と人間の血が咥内で混ざり合い、血流の道が出来る。老爺の体内に向かって吸血鬼の紅い血が注ぎ込まれ始めた……
その吸血鬼の試みが成功したか否か。
それは現在吸血鬼の傍らに白髪の執事が控えていることから察せられる。*]
【人】 許婚 ニコラスでも、貴方が悪意でそうしてた訳でもないだろうことも、薄々だけど気付いてる。 (57) redegg 2015/01/01(Thu) 19時半頃 |
【人】 許婚 ニコラス[呼ばれた>>58なら彼の側に、身体を寄り添わせ。 (61) redegg 2015/01/01(Thu) 21時半頃 |
【人】 許婚 ニコラス[言われるまま、瞳を閉じて。 (62) redegg 2015/01/01(Thu) 21時半頃 |
この私に次があると思うのか……ニコラス。
[また誰かと共にあることを望んでいいのだろうか。*]
……愛して、る。
愛してる、……クアトロ、
[ひゅ、と、息を一つ吸う音の後。]
……、……ボリス、……?
[確かめるように、名前を呼んだ。]
……、っ…ひゅ
[返される言葉は『初めて』の『愛してる』。
返されたことのない、愛の囁き。]
ん?
……はは、うん…ヒュー。
[呼ばれる名は二つ。
どっちも呼ばれて嬉しいだなんて、贅沢であろうか。
幽閉される前のものだった【ボリス】も
この施設に来る前に殺されたはずの【クアトロ】も
愛しい彼が紡ぐなら。
零れ落ちそうになる涙が、薄っすらと青い瞳を滲ませた。]
…ヒュー、―――愛しとる よ。
[やがて繋がる為に、一つになる為にと
指を抜いた場所に硬い熱を宛がいながら、囁いた。]
[かつて、誰の腕で抱かれたのか。
それらを覚えていられないのは、これが最後になるように。
これからは、言葉の一つ一つを覚えていられるように。
そういう決心では、この行為は『初めて』となるのではないだろうか。
そんな思いつきを口にしては、甘いと笑われてしまうだろうか。
涙を薄ら滲ませるその頬に、そっと指を添わせる。
唇を、寄せて。]
……ごめん、
愛してる、 ……ありがとう、
[宛てがわれる熱を迎え入れるように、息を深く吐いて。
自ら唇を寄せれば、目を閉じた。]
[もう二度と『忘れてもいい』なんて嘘は吐かない。
自分が傷付くのも、彼が傷付くのも。
そんな永遠は、嫌だから。
はたりと、耐え切れず涙が落ちた。
ただ一度だけ情けない顔を晒したのは
彼がごめんなんて、有難うなんて謂うものだから。]
……阿、呆。
もう…忘れんな。
忘れんく、しちゃるけ。
[頬に添えられた手に手を重ね、指先を絡めたなら。
ぎゅ、と強くその手を握る。
もう二度と離さないと、謂えない代わりに強く。]
ヒュー…、っ
[力を抜くように吐かれた息にあわせて、腰をぐっと進めた。
熱の切っ先は、慣れているだろう『初めて』のそこへ
ゆっくりと押し入っていく。
吐き出す吐息は、甘い。
繋いだ手は離さずに、もう片方の手で頭を抱きしめた。]
……何泣いてんだ、ばか、……
[青を滲ませた雫が、頬へと触れた掌へと落ちる。
掌を滑らせるようにその雫を拭えば、身体を寄せて刺青の瞼に口付ける。
その涙に濡れた掌は取られ、指と指が絡みあい。]
ん、……忘れない、……忘れないで、……思い、出していくから、
[過ごした時間の、一つ一つを。
少しずつでいい、思い出していきたい。
その決心を、誓うように、掌を握り返す。
指が快楽を齎していた時間は、本当に僅かだった。
指の代わりに押し入る熱に、く、と喉が反る。
それを捕まえるかのように伸びてきた手に導かれるように、再び顔を寄せて。]
……は、ァ、……ぁっ、 あ、
な、ァ、……はい、 った、……?
[震えた声で、問いかける。
背に回したままの片方の腕に、力を込めれば口付ける。
暫くは動かないでいて、と、小さな声での『お願い』を。
そうして、暫しの後に動いていい、と掠れた声で呟いた。]
だ、れが …泣いとるか
[落ちた雫は頬を伝い、掌を濡らす。
【4】に寄せられる口付けに、瞼を一度だけ閉じた。
涙を拭う掌に掌を重ねて絡め。]
…ン。
一緒に、思いだそな?
[忘れてしまった時間を、少しずつ。
たくさんの景色を見ながら、一緒に、二人で。
握り返された手に、唇は柔らかな弧を描く。
掴まれているのは掌であり、もっと更に奥。
とくとくと、鳴り響く鼓動。
赤い頭を捕まえて、顔が寄せられたのなら
仰け反りかけた喉に唇を添えて。
愛しさに、何度も薄い皮膚を啄ばんだ。]
…、ッ …ん……全部。
わしら…繋がっとる …よ?
[は、っと熱い息が洩れる。
まるで包み込まれるような下肢の熱。
小さな『お願い』も、まるで煽るようにしかならず
繋がる中でひくりと動いてしまうのは、仕方がないことだろう。
それでも掠れた声が許可を出すまで腰は動かさなかった。]
……動く、ぞ。
[一呼吸、熱の篭もる囁きを落とせば
もっとと強請られた場所を擦り上げるように
ゆさゆさと腰を揺らし始める。]
[繋いだ指先から抜けそうになる力を、必死に留める。
反らせた首元へと唇が降る度、その指先は幽かに跳ねた。
全てを納めたと、その声に数回に分けて息を吐き出す。
意図的に動いていない、そうはわかっていても内側の動きに身体は震える。
時折、きゅうと裡を締め付ければ、あ、と短く声を漏らした。]
……ん、……動いて、 ……動いて、いいから、
[滅茶苦茶に、とも、好きにしろ、とも口にしなかった。
口にせずとも、きっと応えてくれるだろうからと。
揺する動きに、応えるように腰を動かして。]
……は、 ……あ、っ、あッ、あ、 ぅ、ッ
んっ、 ……っは、 くあとろ、……クアトロっ、
[的確に擦り上げていく動きに、高く跳ね上がる声。
触れられずとも、自らの熱は先走りを零して。
両の足をその腰へと絡めれば、もっと深くを求めるように、全身でその身体を抱きしめる。]
[絡んだ指先を軽く擦る。
口付けに跳ねる指先に、きゅっと力を入れて絡めて。
零れる吐息も、裡を締め付ける動きも
短く零れ落ちる声も昂ぶりをただ促すだけで。
動くのを我慢しろだなんて、酷な『お願い』をするものだ。]
阿呆、んな……煽ん…な──、っ
[壊してしまうつもりはない、けれど止められそうもない。
淫らに動く腰使いに煽られて、次第に息は荒くなる。
打ち付けたい、突き上げたい衝動。
抑える気など更々となくて。]
ひゅ、ぅ…ッ!
……は、っ…、ヒュー…っ
[動けば動くだけ、締め付けられる感覚に中へと滑りを溢していく。
彼の茎からも雫が溢れ出したなら、それも繋がる場所へと伝い
摩擦の痛みを和らげる潤滑剤になろうか。]
…ヒュ、ー……っ、く
か、わえ……ヒュー、 …ン──
[高い高い声は普段とのギャップで直ぐ傍の耳を擽る。
揺らす腰へと絡む足。
肌が打つ音と水音、彼の嬌声の三重奏に
たまらず呼吸を奪うほどに、深く激しい口付けを落とす。
可愛い、愛しい、愛してる、すきだ。
子供が主張するような、幼稚な言葉しか思い浮かべられない。
想いを言葉にする代わりに、彼が悦ぶように
自らの腰を揺らして打ちつけ、熱い息を注ぐ。]
[打ち付ける音が、耳に届く。
鼓膜を震わせた音が、頭を痺れさせる。
ただでさえ頭が追い付いていないというのに、その口付けにより酸素の供給が阻まれれば更に、追い詰められることとなるか。
身体に浮いた汗は、背で滲んだ血液と混じりあい、シーツを赤く汚していく。
精の独特の香に混ざる、赤い鉄錆の香り。]
……っ、ぅ、 ん、 んン、っ、
っは、 くあとろ、 ……ッ、……い、きそ、
[そう口にしていながらも、既に何度か達していたのかもしれない。
熱く融けていく思考。
それでも裡の動きを察せば、更にきつく、きつく抱き締めて。]
ッ、 ん、 っぁ、 あ、 ――――……、
[一際大きく身体を跳ねさせれば、咥え込んだ茎ごとを締め付ける。
しゃくり上げるような呼吸を繰り返せば、最も大きな波に耐えるように。
内側へと精が注がれるのに、そろそろと身体の力を抜いた。]
……もう少し、このままで、
[背に回していた掌を頬に添え、小さな声で囁く。
絡めた指からは、既に力は抜けていただろう。
それでも、腰へと絡めた足は解かれない。
呼吸がある程度まで落ち着けば小さく頷き、その腰を解放しただろう。*]
[二人が立てる音が聴覚を犯す。
ぞくぞくと背筋が震えるのは、先が近いからか。
口付けから開放すれば、肌に浮く汗を舌が舐め上げる。
背では血と共にシーツへと吸い込まれて匂いを漂わせる。
本来は不快なものなのかもしれない。
けれどそれは嗅ぎなれた、ヒューの匂い。]
ん、わしも… やっ ば、…
[蜜を溢れさせるそこに手を伸ばせば、何度かぷくりと精を溢した。
それでも終わらせることなく、指先が先端を擦る。
抱きしめる力が強くなれば、同時にぶるりと背が震えたか。]
ひゅ…───ッ !
[締め付ける裡の奥を穿ち、腰が軽い痙攣を示す。
舌足らずな喘ぎが、しゃくり上げる呼吸になり
その奥へと放つ飛沫は熱い欲望。
数度に分けて、注ぐ。]
……も、少し?
[放ちきって、呼吸を数度。
その間止まっていた腰を、意地悪く旋廻させれば
中に注いだ白濁がこぷりと溢れるだろうか。]
だ、ぁめ。
ヒュー…、ん、もっかい。
[解かれない足に、にぃと口角を上げた。
繋がるままに、力の抜けた体を抱き上げてぐるりと反転させる。
後ろから包み込むように座った状態で、ゆるり、腰を動かして。]
後で、包帯、巻き…なおさん、っ、とじゃの?
[ベッドは余計に軋む。
男はまだ、彼を解放してやるつもりはなさそうだ*]
あんまりあっしを人前で
紅く染めるような事を言わないでおくれ。
恥ずかしくって散って仕舞うよ。
[誤魔化すようにくすくすと笑いながら彼の先を行った。]
[その後、部屋からバーへ行く途中の戯れの答えに、笑ってしまう]
俺はそこまで言ってないよね
それが望みなら
あなたを貪らせて
あの日、酔って俺に跪いて、何してくれた?
期待していいのかな
ー路地裏の或る日ー
[吸血鬼にとっても永い年月が経ち、街には高い建物が立ち並ぶようになった。
人目は嫌いだ。
人間のいるのが嫌で夜を選んで出歩いてきたのに、最近では人間は闇夜の恐ろしさを忘れてしまった。
人の気配を避けるように建物が壁のように並ぶ路地裏に私は歩みを進めた。
だというのになんてことだろう、歩みを進める先には沢山の人の気配がする。
嘲笑と微かな血の匂い。暴力の匂いだ。
まだ若く力の無かった頃に、人間たちに嬲られた記憶が蘇り顔を顰める。
気が付いたらそちらの方に移動していた。]
[そこでは一人の金髪の男が大勢の人間に棒を使って苛められていた。
人間たちはその行為に夢中でまだ私には気付いていない。
何処からか唸り声が聞こえた。
狼人間が満月につられて出たのかと思ったら、唸っているのは自分自身だった。
男を嘲り甚振る人間たちの顔が醜悪な悪魔のものに見えてくる。いや、人間だから醜いのだ。
"殺してしまってもいいじゃないか、
こんな奴ら。"
もう何百年振りだろうかというほどの激しい怒りに支配される。瞳どころか思考まで真紅に染まっていくようだ。
足に力を込めると、音も無く跳んだ。
棒を持つ人間の首を爪で一閃。
その隣の人間の腹を。
その隣の隣の人間の胸を。
項を。眼球を。
一閃。一閃。一閃。一閃。]
[一拍おいて、彼らから紅く美味な芳香を放つ液体が噴き出した。]
はは、ハ、ハハハハハハッ!
[こんなに愉しい気分になるのは初めてだ。
私はぐいと口角を歪めてまだ息のある人間を踏みつけにする。
これくらいじゃあ足りない。苦しんで死ねば良いのだ。
腹の傷をグリグリと踵で捻り潰す。人間は顔を歪めてその痛みの程を露わにした。]
ハハ、は……。
[だがその内妙な気持ちが湧いてきた。
苦しんでいるのを見ても先程のようには面白くない。]
……………死ね。
[もう助かりようのない程傷の広がったその人間の首を裂いた。]
人間はずるいな……。
[一思いに殺しても一方的に私の心を傷付けていくし、それならと苦しませて殺してもそれはそれで私の心を抉る表情をするのだから。
これからは人間を殺す時には大人しく首だけを裂こうと私は心に決めた。
金髪の男は気絶していたようで、ちょうどその時目を覚ました。]
おや、目が覚めたかい?
こんなに人を殺したのだから疲れただろう?
[この寂しさを、悲しさを埋めるものが欲しくて私は彼にそう微笑んだ。*]
[そして最後の旅。
一口目を嚥下した彼に口付け
口の端を舐めとる]
あはは、わからなかった
[得られたのは甘い香りだけ]
[その後酒の力を借りるまでもなく耳まで真っ赤になることになる。]
ばっ……!
[罵倒の言葉すら出ずにパクパクと口を開けたり閉めたり。人前で接吻するなんて!
そういう気障ったらしい事を一々するから、あっしがお前さんに夢中になる事になるんじゃないかい!]
[少し待てと、そう口にしたのは、達した後の身体では急に動きたくなかったから。
注がれたばかりの精の感覚だけで、頭がどうかしてしまいそうだというのに、そこに更に急な刺激が加わったらと思うと身動きが取れず。
そんな風に身体を落ち着けようと思っていたものだから、急な世界の反転に応じられる筈が、無かった。]
……ッ、あ、 やッ……
[上がる声は、妙に情けなく響いた。
再び始まる抽送に、再び声は甘く漏れだす。
止めろという『命令』は、決して口にはしない。]
……ッ、当たり前、だろ、……
俺じゃ、巻けねぇんだか、……ら、ッ ぁ、
[視界の端、寝転がっていたシーツが赤く汚れているのが見えた。
抱きかかえられる格好では、結局彼の身体も汚れてしまうだろう。
何よりも、常ならば直ぐに包帯で覆われてしまう古傷の背を、こんな格好で晒すというのがどうしようもない羞恥で。]
まあ、あなたが
たたなくても
俺は好きにすればいいのかな?
[そう耳元で囁いて]
うん、好きにして?
[上目遣いに強請った。
ついでにアイスを乗せたばかりの舌でべろりと彼の唇を舐める。]
今なら甘いよ、ふふ。
[彼が何事か抗議するなら
シャツを濡らすのを厭わず、彼に口付けし、
その口をふさぐ]
たたない相手なんて
俺はやだよ
それでも覚めないなら
口に指突っ込もうか?
[そう口元でささやき、彼に忠告したでしょうと仄めかす]
お前さん、いっ………んっ
[抗議しようとした口は彼に塞がれた。]
……………、
[酒の所為ではなく赤面した顔で彼をただ見つめる。
だから囁くのは反則だと言ったじゃあないか。
様々な種類の恥が胸の内で蠢く感じがして、
彼から目を逸らした。]
ご、御免なさい……
[なんだか怒られた気になって謝った。]
[男は優秀な犬ではない。
命令以外の『待て』など聞くはずもないのは、わかりそうなものだろうに。
それも達したばかりで敏感だとわかっているから尚更
更なる悦びを与えるため、更に自分を刻み付けるため。
快楽と愛しさで繋がる場所を深めていく。]
っく、 はぁ、ひ ゅう…!
[甘く、どこか情けなく上がる嬌声に応えるよう囁く。
何度も耳元に落とすのは彼の名前。
打ち付けに声が揺れても、何度も囁いて。]
そ、…じゃの?
────おまじ、ない。
[擦れる皮膚が胸を、腹を、かるい赤に染めていく。
痛々しい傷だと、何度見ても思う。
耳朶からうなじ、肩、そして背中にキスを降らせる。
傷のある場所にそっと触れて、呟くおまじない。]
[傷のことなど気にせず、深く繋がる未来を求めて。
包帯など巻かなくてもよくなる、未来を願って。
後ろから抱き締めた体を、下から何度も突き上げる。
貫くに等しい行為は、ベッドに組み敷くよりも奥まで熱を捩じ込むだろう。
軋む音も水音も、一度目よりも激しく。
やがて二度目の飛沫を上げたなら、きゅうとその体を抱き締めて
奥へと数度に分けられた精を放った。]
風邪、ひくなよ?
[目を閉じる彼にそんな一言を。
窓が開いてるんだからな、と付け加えて。]
……───おやすみ。
[閉じた瞼にそっと口付ける。
これも、『怖い夢』を見ないように。
夢でもあえますように。
そんな、おまじない*]
そんな顔しないで
怒ったりしてないよ
俺の我が儘なんだから
[酔いが少しは覚めたのか、
ふわふわと浮ついたとこの無くなった彼の頬に口付け]
頭洗ってあげようか?
[にこりと笑って
シャワーでぬるい湯を彼に注ぎながらそう問う]
あ、また頬に接吻した!
[別に今は人前でないからいいのだが。
繰り返されるうちに彼の頬への接吻が好きになってきた。]
怒ってないならいいけど……
頭洗う?しないのかい?
[未だ酔いの心地よさが残っていて、彼の笑顔をぼんやりと見つめる。
あーあ、彼のしゃつがびしょびしょになってしまっている。脱げばいいのに。
なんとなく彼の濡れたしゃつをきゅうと掴んでみた。]
甘やかしたいだけ
それとも、したいの?
[先ほどまでの性急さは棚に上げて
にこりと笑いながら、そんな事を言う。
濡れたシャツを握りしめた彼の指を一瞥
再び頬に口付けし、口元へ
ちゅ、ちゅと湯に濡れたそれを啄ばみ]
じゃあ、脱がせて
[傷が塞がったとしても、傷跡は消えない。
それを良きことと捉えるか、悪いことと捉えるか、それは考え方の問題だろう。
このクランで過ごした時間、自分はこの傷と共にあった。
もしこの傷が癒えたとしても、傷跡としてこの時間は身体に残り続ける。
そう思えば、残る傷跡もきっと、厭わしいものではなくなる筈。
なにより、最も傍にいてくれるという彼が、この無残な背を見ても嫌悪を抱かないというのならば。]
……あッ、……あっ、はァ、 ……ん、ッ
ッ……、 ……血、不味いだろ、……
[それは“吸血鬼”にかける言葉ではなかったのかもしれない。
薄い皮膚に触れた唇に、大きく身体は跳ねる。
深く、深くを抉り、貫く熱に、次第に呼吸すら覚束なくなる。
突かれる度に達しているのでは、などと錯覚するほどに。
内に放たれた精の感触にも、そのまま体重をその身体に預けていたか。
繋がりから抜ける感触にすら、軽く達しそうになっている事が悟られなければいい。]
[閉じた瞳、触れた唇。
応える声はなかったけれど、口元は穏やかに笑んで。*]
したいよ……
[上目遣いに見つめる彼の笑顔は眩しくて心の臓がどきりと脈打つ。
目を細めて彼の接吻に甘んじていると信じられない言葉が耳に届く。]
ぬ、脱が……っ!?
[本気で言っているのだろうかこのあんぽんたんは。
探るようにじいと瞳を覗き込んでみるが、彼の笑みは変わらない。]
え、ええい、脱がせりゃいいんだろ脱がせりゃ!
[やけくそ気味に彼のしゃつの釦を解いていく。
上から下へと一つずつ。
その間俯いて手元に集中し、じぇれみのことは見上げないようにする。
彼のにやにやとした笑みを目にしようものなら恥ずかしくって続けられなくなってしまうから。
ずぼんを寛げる段になってぴたりと手が止まる。
あの晩もこうしたなと思い出すと同時に羞恥の思いが噴き出してきたからだ。]
ね、ねえ、こんなところだとびしょ濡れになってしまうよ。
移動しよう?
[続ける代わりに甘えたような声を出してベッドへの移動を提案。]
上手だね
[くすくす笑う。 恥ずかしげにシャツのボタンを外す彼の邪魔をしようと、口付けを深くしていく。ついばむ様だったそれは舌で唇を割り、彼の口内を嬲るものに。
湯の飛沫ですでにスラックスもシャツも濡れていて、彼の作業は捗らない。
そのもどかしさが楽しくて、すでに下着だけになった彼の首筋に口付け、胸元を指先で弄る。]
すでにびしょ濡れだけどね
[彼の、今は「現代風」の下着に指先をひっかけ、少しだけずり下ろす。腰骨を指先で撫で。]
ここでいいよ
[そう言いながら彼の下着を引き下ろし、足を持ち上げそれを引き抜く。シャワーの湯を壁に当てて温めたあと。]
壁に手をついてよ
だめ?
[そう笑いながら彼にいう]
んっ…
[しゃつの釦を外すのに上手も下手もあるかという抗議の言葉は咥内を貪られ、音にならない。
口付けだけであっという間に身体が熱くなり反応してしまう。]
まっ、邪魔しないでおくれよ。
[胸元を弄る彼の手をやんわりとだが押し止めようとしていたのでは、彼を脱がす作業は進むはずもない。]
あっ、ちょ、此処で?
そんなの駄目……
[と彼に言おうと思って彼を見上げたが。]
じゃない……。
[彼の笑顔を目に入れるなり、口が気づいたら勝手に言葉を紡いでいた。身体が勝手に壁に手をついていた。
そして「早く」と誘うように振り返る。]
かわいい
[彼のすべらかな背を撫で、肩に口付け。腕を前に回すと腹を滑らせ、下肢へと触れる。
これから何をされるか彼もわかっているのだろう、ゆるく立ち上がりかけたそれに手をそえ、ゆっくりと上下に 扱く。
もうっぽうの指は背後から、尻たぶを割り、窄みにぐにぐにと触れ。その刺激で彼の体がピクリと震えるのがわかる。]
やらしい、格好
[自分が希望しておいてそんなことを言う
うっそりと笑って、備え付けのボディソープを手に垂らし、慣らすために指を割り込ませていく。
男のものを知っているそこは、あまり苦もなくつぷりと指を飲み込んでいく。ぬるぬるとした指先をゆっくりと前後に動かせば、彼の声も逼迫していく様に思えた。]
ん、……
[カチャカチャと、片手で、ベルトを外しスラックスの前をくつろげて。]
わかる?
[壁に手をついている彼に、すでにかたみを帯びたそれを彼に押し付け、耳元で囁く]
─【4】─
[男がボリスと謂う名を捨てさせられ
四番目の道具となったのは、どれ程前の話だろう。
贋作だけを描き続け、偽りの愛を持って人を殺めたあの日。
放って置かれたなら死んでいたことだろう。
腹部の傷は思うより深かった。]
(嗚呼、俺は死ぬんだな。)
[これといって、未練などなかった。
生きているのか死んでいるのかわからないような生。
贋作の絵を描き、贋作の愛を描き。
そのまま死んだところで、悔いも何もなかった。
血を垂れ流しながら、ふらふらと外を目指した。
死ぬのなら、死ぬ前に、空を見たくて。]
[眼前に広がるのは、星の散りばめられた夜。
たった今、起こったことなど何も知らず煌く星は、腕を伸ばしても掴めない。
世界でいかに己がちっぽけな存在であるか、そんなことを突きつけられたような気がして。]
……、死ぬなら。
死ぬ前に、『愛され』たかった、な。
青空が、見たかった…、のぉ。
『描き』た 、 か …ッ
[青空なんて何枚も描いたはずなのに。
自分が描いた偽物のことなんて、何も思い出せない。
格好がつかないからと無理やりに変えられた、元の口調に戻っていく。
贋作ではなく、本物(オリジナル)を描きたかった。
───絵も、愛も。]
[星に伸ばした手が、誰かに取られた頃には
男は意識を手放していた。
───それは【4】つめの道具が死ぬはずだった夜の話**]
……っ、
[彼の手が前と後ろとを弄り始める。
顔を前に向けてぎゅうと目を瞑った。
彼の愛撫に敏感に身体が反応して震えるのが、
彼に伝わるのが恥ずかしくて堪らないのだ。
浅い呼吸を嬌声として吐き出す。]
お前さんがそうさせた癖に。
[やらしいのはじぇれみの方だものとの意を言外に込める。
彼の指が押し割って行く其処からじんじんと熱を帯びるようで、甘い蜜のような声が喉からまろびでる。]
ぁっ、ん……
[彼がずぼんを寛げる音が浴室に響けば、今日は特別急いているなと笑みが漏れる。
その微笑みも快楽への期待で艶を帯びたものとなる。]
わかる、から一々聞かないでおくれ……
[彼の其れが充てがわれれば、先を求めて止まない窄みが収縮を繰り返してしまう。
軈て望みの物が其処を穿ち──]
───あぁッ!
[顎を逸らして天井に向けて素直な鳴き声を一つ漏らす。
いや、一つでは済まされなくなるのだ。
其れを思うと自らの腰は勝手に揺らめき始める。
早く貫いてと。]
[彼が壁に手をついてうつむき、耐える様にしている様子は腰にくる。前のものを愛撫しながら、戯れに胸の尖りを撫で、それらの刺激でいちいち震える彼の体が愛おしい。]
うん、そう
おれがしたいだけ
[次第にもどかしくて、張り付いたシャツを脱ぎさり、傍に投げ。 湯でしっとり濡れた彼の体が心地よくて、その背に擦り寄り、頚椎に口付け甘噛みして。
彼は無防備に急所を晒し愛撫を許す]
今なら楽に殺せそうだね…
[体を密着させたまま、片手で己の下着を少し下げ、自身のものを取り出し、彼の濡れたそこへぬるぬるとすりよせ、すぼみに引っかかった様な感触がしたときに、彼が期待の声を上げた。
それに少し笑って。]
かわいい…
あはは、俺も、それしか言えてない…
ん、入れるね
[湯とボディソープでぬるんだそこに、自身をあてがい、ゆるゆると腰を進めれば、少しの抵抗はあるがゆっくりと飲み込まれていく。]
楽に殺せ……?
じぇれみはれでぃきらぁなのかい?
[確かに自分は彼に射殺されたようなものだと妙に納得する。
彼の体温が背に触れるのがただ心地よくて、力を抜いて身を委ねている。甘噛みされる度に「んっ」と軽く甘い息を吐く。]
あぁ……はいってくる…
[彼のものが裡を進む感覚が襲い来、焦りとも感嘆ともつかない声が漏れ出る。
捕食されても文句の言えない無防備な格好で彼にただ身を委ねるのは、背徳のようなえも言われぬ快感を齎した。]
ねえ、あっしの好い所を早く……
[どうせなら乱暴に貪ってくれてもいいのだよと、声で誘う。]
[暖かくぬるんだそこの肉を割り、腰を進める。根元まで埋め込めたとき息ついた]
良いとこ? 素直だね
ふふ、じゃあ、声で教えてよ
[本当は、教えられなくても覚えている。
彼が声を上げる場所、そこを穿つ。
壁に手をつく彼を、背後から犯す様は本当に獣にでもなった気分だ。
腰を抱え、彼の前のものに手を這わせて。腰の動きとともに刺激を与え。
次第に高まっていく彼の声に
自分の制御も危うくなっていく]
[彼を慮る余裕が失われ
ただ自身の快楽を追う
うつむき、腰を揺する
湯を張った浴槽の熱気と自身の熱で
額が汗ばみ、雫が彼の背にポタリと落ちる ]
もすこし…、
[乱暴にしても良い。
彼がそういったのは聞こえたのかどうか
優しくしたいと思いながら
自身の欲を追う
彼の前を上下に扱き
彼も何も考えられなくなれば良い
そうして、張り詰めたそれを
達するとこまで導き──。*]
え、声で……?
[戸惑いの言葉を発するなり、其処が穿たれた。
望み誘った好いところが。]
あ、あぁ……ッ、ぃ
[甘い高い声と共に裡がきゅうと締まる。
これでは例え口を塞いでいたって其処があっしに快楽を齎す場所だと判ったことだろう。
前の自分の雄の部分と秘所とを同時に嬲られて、頭の中はあっという間に悦楽に舌舐めずりし其れを味わう事しか考えられなくなる。]
あっ、も、すごっ…いぃッ!
[締まり無く開いた口から涎が垂れ汗と混じる。
奥を突かれる度にただただ感じたままを其の儘に示す喘ぎが漏れ出るが、最早それを恥ずかしいと感じる余裕すらない。
彼の欲望の侭に揺すられているかのような激しい律動に、意識が絶頂の高みへと昇っていくのが分かる。]
いく……ッ、
[やや掠れた声と共に白く濁った熱を放ち達した。*]
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