153 unblest blood
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―リビング―
――そ?
[>>1:183別に、というサミュエルにゆるりと首を傾げ。 彼の事はまだよく知らない。 サミュエルは宴会が始まる前にグロリアの部屋に行ってしまっていたから。 グロリアの元に赴いたのは彼女の事を心配してのものだろうが、素直に信じられない自分がいて。 ダンピールの噂話が胸にしこりのように残っていたから、内に隠した昔の気性が僅かに首を擡げたか。]
なぁに?
[サミュエルの足が此方に向かって動く。 暫く彼が動いていなかった事など、女は知らず。]
(2) 2013/12/05(Thu) 00時頃
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えー? ちょっと、大丈夫かい?
[>>1:185瞳を伏せたサミュエルが身を屈めるのを見れば、女は慌ててグラスをワゴンに置くと彼を支えようと手を伸べようとし。 声色は面倒くさそうでも、いざ目の前に酔った者がいれば―相手が悪酔いしていないようであれば、だが―女は世話を焼こうとしてしまう。
けれど顔が寄せられ、息が触れる程の距離感に女の動きが止まる。 硬直した、というのが正しい。
恐らくは彼がするままだっただろう。再び動き出すまでは。]
(4) 2013/12/05(Thu) 00時頃
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―…。
[>>15自分以外の熱が触れていったのを知覚した。 彼が離れた後、自分の額に触れたのが何だったのかを把握して。 硬直していた女は胸を上下させ、息を吸いこむと、]
ちょ、ちょっとおおおお! 酔ったからって、こういうのは良くないと思うんだけど…!
[びしっと責めるように指差す。 彼が其処から何を読み取ったのかは女には分からないので、その意図も分からない。 僅かに朱に染まった顔には動揺や混乱が見て取れ、先程見せた微笑みの片鱗もないだろう。 頬や手の甲ならばここまでの動揺は見せなかっただろうが。]
(20) 2013/12/05(Thu) 01時半頃
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[暫くして頭が冷えると、女は自分の失態に気付く。 それにサミュエルの様子は自分をわざと動揺させる意図で仕掛けてきたようには見えなかったから。]
…水でも飲んだ方が良いんじゃないかな。 はい、どーぞ!
[責めたのを詫びる意図も込めて、扉近くの椅子に腰を下ろしたサミュエルに空いたグラスに水を入れて差し出し。 受け取らなくても彼の目に付く場所に置いて早々に離れる。]
……マドカぁー。
[そして助けを求めるように、皿を持って彼女の元へと向かったか。 サミュエル同様に、フィリップが部屋を抜け出したのには気付かない。*]
(22) 2013/12/05(Thu) 01時半頃
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[マドカとは何か話しただろうか。 女はおつまみを摘まみながら、水とワインをがぶ飲みする。 どうせ酔ったりしないのだ。自棄呑みをしたところで仕方ないのだけれど。]
―…。
[>>18サミュエルの演奏が聞こえてくれば、目を閉じてその旋律に身を委ねる。 背を向けて座っていたから、彼がどんな表情で演奏をしているかは分からない。 けれど、聞いていて何故だか胸が切なくなった。**]
(27) 2013/12/05(Thu) 02時頃
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何やってんだよ、こんなトコでよぉ。
[頭を小突くついでに、ボソリと。]
黙っててもいいんだけど、よ。
何れ見つかっちまうだろう?
アンタぁ、屍人の癖に人を惹きつけやがるからさ……。
――罪な女。
そうやってソイツの興味も惹いちまったんだな。
[部屋を出ようとして束の間足を止め、
振り返りざま、寝台の上のワンピースを睨み付けた。]
俺にも、忌々しい血が流れてるからなのか……?
[「人」に興味を惹かれたことなど無い。
心惹かれるのはいつも――]
どいつもこいつも―― 迷惑なヤツらだ。
[一頻り愚痴を吐き出してから、リビングへと向かった。]
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―少し前―
[>>31サミュエルに水を差し出すと、黒い瞳が瞬く。 先程怒ったばかりなので驚くのも無理はないだろう。]
…いーえ、どう致しまして。
[けれどグラスは受け取られ、口を付けられる。 騒いでごめん、は言えなかったが、怒っていない事は伝わるだろうか。 それだけ視界に収めれば、女はくるりと踵を返してワゴンに戻り。 二人分のおつまみを持ってマドカの座っている場所へと戻った。>>22*]
(46) 2013/12/05(Thu) 09時頃
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[>>33サミュエルが演奏が終われば、感謝と賛辞の籠った拍手をした。
いつもなら奏者に聞かせて貰ったお礼を言いに行っただろうが、女はそこまで動揺からは立ち直っておらず。 ちらと視線を向ければ、水の残りを飲み干していて。
―もう少し落ち着いたら声を掛けに言こうか。 そんな場合ではなくなるなんて、その時は思っていなくて。]
(47) 2013/12/05(Thu) 09時頃
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[サイラスが出て行くのを見送れば、女はフィリップの不在に漸く気付き。
部屋の探検か、それともグロリアの部屋に行くのだろうか。 多分、グロリアはまだ回復していないだろうけど、自分に止める権利などはない。 自分はグロリアの友人だが、それ以上ではないから。 彼女は自分にとって特別な友人だけど、きっと彼女にとっては何人もいる友人の一人で。
―けれどもし彼女が回復していたなら、後でお邪魔しようか。 そんな事を考えながら、女はグラスを傾けて水を口に含む。*]
(48) 2013/12/05(Thu) 09時頃
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―現在―
[>>42サイラスが戻ってきた。 女はおかえり、と言おうとして、彼が敢えて声を張った事に違和を感じる。]
―…?
[>>43やがて告げられたダンピール、という言葉に肌が粟立つのを感じた。]
―どういう事だい?
[>>44問えば、詳しい経緯を彼に聞けただろうか。 けれどそれらを聞かされれば、女の顔からは表情は抜け落ちて。]
…ウソ、だ。
…っ…。
[ふらりと立ち上がって、それだけ零し。 女はグロリアの寝室を目指して駆けていく。]
(49) 2013/12/05(Thu) 09時頃
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―グロリアの寝室―
グロリアさん…!
[扉は開いていただろうか。それらを気にしている余裕もなく。 フィリップが部屋の隅にいる事にも気付かないまま、女は中へと進んでいった。
サイラスの言ったように、寝台には灰が落ちていた。見慣れたチョーカーやワンピースも。 それが元は何だったのかを、女は理解したくなくて。]
うそ、だぁ。
悪い冗談はやめてよ、グロリアさん。 貴女にはこんなの似合わない…。
(50) 2013/12/05(Thu) 09時頃
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[そんな声は室内に空しく響いたか。 それが嗚咽に変わり、泣き声になるまでにそう時間はかからなかった。
そう、グロリアはこんな事をしない。 だったらこの、寝台の灰は。]
や、だ。 やだよぉぉぉッ!
うああああぁぁぁ…っ。
[灰に取り縋って泣き声をあげる姿は、まるで親兄弟を亡くした子供のよう。 大切な人をまた喪失した事を、女は理解した。**]
(51) 2013/12/05(Thu) 09時頃
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[小突かれついでに囁かれた言葉に顔を上げて]
……ちょっと疲れただけだよ
ちょうどいいや、どっか運んでよ
はしゃぎすぎてバテた「ガキ」の面倒見んのは年上の仕事だろ?オニーサン
[そう促して。彼がさっぱり疲れてなどいなかった事はその後の行動で知れただろう]
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−過去のはなし−
…悪いね。 ボクはまだ死ぬわけにはいかないんだよ。
[復讐の途上の女は切り付けられた肩を押さえながら、地面に臥した相手に言った。女の着ているワンピースは血や土などで汚れていた。
薄紅色の髪を持ち、フードを目深にかぶった若者は出会い頭の自分の命を狙ってきた。女は動揺しつつも、動きやすい場所に誘導して若者と対峙した。
吸血鬼を狩り、殺す、という意思が本能に刻み込まれているモノは、戦い方は未熟でも恐ろしく強く。 互いに多少なりと怪我を負った末に、女は若者の心臓を破壊し、殺害した。
死んだダンピールの身体は灰となり、女はダンピールも灰になるのか、などと無感動にそれを眺めていた。 その灰に、立ち上がろうとした女の血が一滴落ちて。]
(57) 2013/12/05(Thu) 13時半頃
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…っ、く…!
[ダンピールの灰の中から小さな紅い蛇が生まれ、牙を剥いて女に襲い掛かろうとした。 それをいなし、咄嗟に持っていたナイフで両断すると、蛇は動かなくなってやがて灰と同化した。]
…は…。
[息を整えながら、女は灰に混じる紅砂を見つめていた。
以前、同族から聞いた事があった。 吸血鬼の中には、特殊な血を持つ者もいるのだと。]
(58) 2013/12/05(Thu) 14時頃
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…あは。 これって、そういう事なのかなぁ?
[女は手首の傷口をぺろりと舐めて笑った。
吸血鬼の灰に自分の血を混ぜる事で、吸血鬼とダンピールとを判じる術を、女は授かっていた。
――それは、友人であるグロリアにも話していなかった秘密。 その事について女は、少し変わった血を持った、という認識しかなかったけれど。**]
(59) 2013/12/05(Thu) 14時頃
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−少し前−
[>>45マドカの元に行った先では額を撫でられた。 口ぶりからどうやら目撃されていたらしい事が分かり、羞恥で僅かに頬が染まったか。 子供をあやすような口調に女は眉を下げる。]
…ちょっと驚いただけで、怒ってはないんだよっ。
[先刻の失態を取り繕うような言葉は声量を絞ったもの。*]
(69) 2013/12/05(Thu) 21時頃
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[まだグロリアの部屋に1人でいた頃。
灰になった彼女を眺めながら、同族の言葉を思い出す。
彼女だった物を睨みつけながら吐く言葉にどんな想いが詰まっていたのか。窺い知る事は出来ないが]
……迷惑、ね。それ、俺も入ってんのかな
[ひとりごちたところで、この場に彼はいないのだが]
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[>>70名前が紡がれれば、女はぴくりと肩を揺らす。 僅かに視線を向けるとシーシャの足が目に入り。 涙を拭う事もせずに女は表情の抜け落ちた顔を向けて。]
…どこに、
[掠れた声色は酷く冷えていたが、女はそれを気にもせずに。]
何処にいるんだい、ダンピールは。
――殺してやる。
[瞳だけが焼き殺さんばかりの強い殺意を宿していた。]
(79) 2013/12/05(Thu) 21時半頃
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ボクが殺してやるんだ…!!
[煮え滾るような殺意が女の胸の中で暴れ回る。
復讐を終えて、自分の手に何も残らなかったとしても構わない。 だって光をくれた人がいなくなってしまったのだ。 光が無くなれば、女はまた闇の側へ戻るだけ。
ずっと内に押し込めてきた昔の女が顔を出し、再び復讐をしろと叫ぶ。 ――自分の意思では止まれない。 止める気もない。]
(81) 2013/12/05(Thu) 21時半頃
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[>>82差し出されたハンカチは一瞥した後に受け取ったが、涙を拭う手つきは荒い。 この別荘の中に、という言葉に女は薄く笑う。]
―そう、それじゃあ嵐の間は逃げられないね?
[逃げられないのはどちらか。結末はまだ誰にも分からない。 落ち着けと言われれば、冷めた視線を向けて。]
呪詛だろう。知ってるよ。 でも殺せなくはないんだ。 ボク、やった事あるもの。
[グロリアの事を出されれば僅かに瞳が揺れるが、すぐに揺らぎは押さえ込まれる。]
だとしても仕方ないよ。 ボクには仇を討つくらいしか出来ないもの。
(85) 2013/12/05(Thu) 22時頃
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クラリッサは、サミュエルに話の続きを促した。
2013/12/05(Thu) 22時頃
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[>>88現状を語るシーシャの声に憎しみに染まった瞳は少しだけ落ち着きを見せたか。 けれど殺意が溶けて消えたわけではなく。]
そうだね。
……。 ―淑女じゃなくて幻滅したかな?
[意外そうな表情が浮かべば、肩を竦めてみせ。 呑まれた言葉が何だったのか女には分からない。―関係ないとさえ思う。表に出ない言葉など、今の女にとっては意味がない。]
……それならボクの事を信用させてよ。 貴方は誰が怪しいと思う?
[助力する、という囁きに薄く笑うと、するりとシーシャの方に手を伸べる。 真意を見定めようとするように褐色を真っ直ぐに向けて。
ダンピールと吸血鬼を見定める手段を女は持っているが、それは殺さなければ分からない。 ―グロリアがいなくなってしまった今、誰かを無条件に信用する事は出来ず。]
(91) 2013/12/05(Thu) 22時半頃
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[女は考えを巡らせる。
どうしてグロリアだったのだろう。一人でいたからか。 恨みを買い、殺される理由ならば、絶対に自分の方が多いのに。
ダンピールの若者を殺し、敵の男を嬲り殺しにした。 ―他にも大小の罪で沢山手を汚している。
淑女だなんてとんでもない。 ―むしろ真逆に位置する事を、女は自覚していた。]
(95) 2013/12/05(Thu) 23時頃
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[そんな女の過去を知っているのはグロリアだけ。
復讐の事を告白した時、彼女は痛ましげに蒼い目を伏せて女を抱きしめてくれた。 そしてこれからは自分も幸せを求めていいのだと、優しく説いてくれた。
女は吸血鬼になって初めて泣いた。]
(99) 2013/12/05(Thu) 23時頃
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(ごめんね、グロリアさん。 もしかしたら貴女の言うようになれるかも、なんて思っていたけど。
――ボクにはやっぱり無理みたいだよ。)
[あんなに優しいグロリアが恨みを買って死んだとは思えない。 それでは、何故彼女は手折られなければならなかったのか。
女は表情を変えずに、まだ見えぬダンピールにふつふつと殺意を煮えさせる。*]
(101) 2013/12/05(Thu) 23時頃
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[>>97シーシャが過去に後悔を抱えている事は女は知らない。そしてグロリアとの過去を思い出している事も。]
――そ?
[軽い言葉には薄く笑って首を傾げてみせるだけ。 擬態は剥がれてしまったから、前のように無邪気には振る舞えない。 伸べた手が掬うように下から重ねられても女は目を細めるのみだ。]
ふぅん…招待を受けていない人、ね。
[招かれざる客という事か。 女の頭には咄嗟にジリヤとフィリップの姿が浮かんだ。―どちらもリビングから一度離れている。 最初に疑いをかけるのには、矛盾はないようにも思える。 取り敢えず、裏はなさそうだ、と判じる。]
(103) 2013/12/05(Thu) 23時半頃
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――…どっちかなぁ?
[フィリップがグロリアの部屋の前にいた事はサイラスから聞いたのだったか。 思い出せない事に内心舌打ちをして。
――あぁ、でもどちらにせよ、今は武器を持っていない。 女はリビングにある自分の持ってきたトランクに意識を向ける。 護身の為、というには物騒な代物を其処に隠していた。]
(105) 2013/12/05(Thu) 23時半頃
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[>>107頷かれれば僅かに目を伏せて。 これまでのシーシャの態度にぶれはない。 むしろ豹変した(ように見える)自分の方に違和を感じるかもしれないが、誰かがそれを理由に女に詰め寄る事はなかった。]
手掛かり…そうだね。 そういうのは、人間と違って難しいんじゃないかな。
[吸血鬼の遺体は灰になってしまう。 手掛かりなど、相手が注意していれば出てこないだろう。 同族から聞いたもう一つの異能。存在のみ耳にしたその事を口に出す事はしない。 もしこの中にいれば、それを持つ者は生き残るべきだからだ。
シーシャが誰かに視線を向けるのに気付けば、つられるようにそちらを見て。 温度のない視線をちらとフィリップに向けた。]
(110) 2013/12/06(Fri) 00時頃
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[>>108下ろした手は胸の前で握って。 シーシャが無言のままにため息をつく音は聞こえたが、それを指摘する事はない。 女は招かれざる客の方のどちらが怪しいかを考えていたが。]
―…。
[レディーの部屋に、という言葉にふと目を瞬かせ。 此処がグロリアの寝室である事を思い出した。]
―弔いをしてもいいかな。
[女は目の前のグロリアだったものを見て目を伏せ、場にいた者の許可が得られれば、ワンピースやチョーカーについた灰を丁寧に払う。 そして灰を何処かに安置しようと、室内に適当な容れ物はないか探し始めた。]
(112) 2013/12/06(Fri) 00時頃
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―…。
[部屋の中で綺麗な細工の施された小箱を見つけた。薔薇の花を模した意匠を指でなぞる。 グロリアが以前にこの箱を自分に見せてくれたのを思い出した。けれど彼女はもうこの世に存在しない。
女はきつく唇を噛み締めて、揺れる感情を堪える。 どろどろとした醜い感情を抱えながら彼女を弔いたくはない。 ―せめて今だけは彼女を悼む事だけを考えようと。
女はそれを元に戻して小さく息をつく。華奢な小箱は棺にするには小さすぎる。 >>118其処へ女が小箱に意識を向けていた間に室内に入っていたサミュエルの姿が見え。 部屋の前で交わされていた彼らの話は女にはよく聞こえておらず、それ故に彼が自分を庇うような発言をしていた事も知らない。
表情のない顔をちらと棚の方へと向かうサミュエルに向ける。 ―グロリアの部屋に行っていた彼は信じるに足る者か。 それを見定めようとするように。**]
(123) 2013/12/06(Fri) 01時頃
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[潤してくれるのは「人」の血。
紛らわしてくれるのは「屍人」の血。
忘れさせてくれるのは―――]
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[>>127サミュエルはこちらの視線に気付かなかったのか、棚から化粧道具を収める少し大きめの箱に手を伸ばす。
あぁ、そんなところに、と女は目を瞬かせた。 女がグロリアの元で下働きをしていたのはもう随分前の事なので、部屋の中の物の位置を全て把握出来ているわけではなく。]
―…?
[ぴくり、>>122漏れ聞こえた声に瞳を揺らして。 それが泣き声なのか、それとも笑い声なのかは分からなかったから、女は辺りを見回す。
サミュエルがフィリップの名前を紡ぐのを聞けば其方に視線を向ける。――フィリップは彼の言ったように笑っていた。
場にそぐわぬその表情に女は反感を抱き、向ける視線に鋭さが加わったか。]
(141) 2013/12/06(Fri) 12時半頃
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[>>137笑みを浮かべたフィリップは、サミュエルの問い掛けに答える。 自分の事で笑ったと聞いてもそこに怒りは覚えず。]
――悪いかい? ボクだって吸血鬼だからね。長い間生きてると色々とあるんだよ。
[先刻までの振る舞いも全くの嘘ではない。少なくともグロリアと出会ってからは、感情の表出は素直になったと思う。 口元にうすらと笑みを乗せ、冷たくも険のある視線をフィリップに向けた。**]
(142) 2013/12/06(Fri) 12時半頃
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[>>149目の前で、サミュエルがフィリップに悪趣味だ、と詰め寄っていた。 女は二人の間には入らずに黙したままそれを見ていた。
けれど、その棘滲む言葉が自分の事を笑った事を窘めるものだと分かれば僅かに目を瞬かせ。]
――ボクは平気だよ。
[そう、ぽつりと零す。 自分はどう思われたって平気だ。 グロリアの事を侮辱するのであれば許さないけれど。*]
(169) 2013/12/06(Fri) 22時半頃
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[>>152サミュエルの、独り言のように繰り返された言葉には答えない。 もう擬態は無くしてしまったから、取り繕う必要もないのだけれど。
女には死んだ者しか判別出来ないから、最悪、殺して判別すればいいとも思っていて。 まだ目立った動きをする者はいないから、反感を感じた相手をその候補にしようかと考えていた。
対峙するもう一人の男に関しては、暫くは様子を見ていいだろうと。*]
(172) 2013/12/06(Fri) 22時半頃
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[別に庇い立てする義理もないけれど、
人生で初めて出会った「オナカマ」なのだ。
ジリヤが話したのは恐らく彼のことだろう。
何故、名前を出さなかったのか、本当に理解し難い。
理解し難いと言えば、
現場となったグロリアの自室の前で座り込んでいた「オナカマ」も。]
(おめぇも、……死にてぇのか?)
[チロリ、唇に残ったワインを舌で舐め取った。]
|
[>>>158友好的な笑みが返って来れば、眉間に皺が寄った。]
別に、ボクは怒ってないよ。 随分素敵な趣味だとは思うけどね。
[ゆるりと首を傾げてみせ。 取り繕う必要はないが、自分から暗部を見せてやるつもりはない。]
フィリップがいつからそこにいたかなんてボクには分からないよ。 そんな場合じゃなかったからね。
[グロリアの死を認識して慟哭し、激しい憎悪を晒した事を恥じるつもりはない。 煽るような言葉には肩を竦めてみせ。]
―…本人に聞いて素直に真実を答えてくれたら、こんなに楽な事はないよね?
(174) 2013/12/06(Fri) 23時頃
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[そう言った上で]
―貴方は、怪しい奴の目星はついてるのかい?
[首を傾げながら、フィリップに問い掛けてみる。
どんな返答が返ってくるだろうか。或いは何も語られないか。*]
(178) 2013/12/06(Fri) 23時頃
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[吸血鬼の母も、「人」の父も、
子が欲しいと言った女吸血鬼も……。
皆死にたがりで、男の前で死んでいった。
男の気を惹くだけ惹いて、心に深く刻み込んでおいて。
少しずつ、男の人格は歪み始めた。
特に、
本能が囃し立ててくる時には、別人のように。]
(脅える友人に、終焉を。
愛する人に、 ――解放を。)
[「死にたくない」と声高に泣き叫ぶ者もあっただろう。
けれどそれすら、男に助けを乞う声に聞こえたのだ。]
[部屋に残してきた「オナカマ」の様子では、
一人灰に返したところで満足などしなそうだったが――。
下手に複数人の前で呪詛を使ったなら、
次に呪詛を使うよりも早く、殺されてしまうかもしれないな、と。
思い切りのいい彼と比べ、
男は未だ、最初の獲物を決めかねていた。]
|
[>>182肩竦めるフィリップに対して、女の視線が緩む事はない。 似た動作をしている事など気付いておらず。]
まぁね、流石に皆が嘘をつくとは思ってないよ。その可能性を考えた上で話を聞いた方がいいと思っているだけさ。 言っている事が嘘か誠か、分かったら楽なのにね?
[害意を向けて来る奴が…という言葉には目を伏せて。]
――そう。
[ならば彼にとっては自分は怪しい者になるか、などと考えながら。]
(185) 2013/12/06(Fri) 23時半頃
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|
[>>180ジリヤの問い掛けに答えるフィリップの言葉には黙って耳を傾けていたが、 『祭り』という表現には僅かに眉を吊り上げた。
ダンピール側の立場に立ってみた意見といえ、同族の死を、友人の死を宴の始まりのように言われるのは不愉快だった。*]
(186) 2013/12/06(Fri) 23時半頃
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[熱に浮かされた身体に少しずつ現実味が戻ってくる。
恐らく、もう少しも時間が経てばまた次の呪詛を放てるだろう。
逃走も可能な狩場であれば、呪詛を放てない状況でも武器を使って続行しただろうが。
今のこの状況で相棒を振りまわす訳にもいかないだろう]
(……サイラスさんはどうすんのかな)
[数少ない同類の姿を思い浮かべ。
そういえばろくに言葉も交わしていない。
彼が何を想い、此処にいるのか。
それは未だに掴めないでいた]
|
[ジリヤの持つ花が目に入れば、僅かに目を瞬かせ。 手向けの花だろうか、とぼんやりと思う。
そしてグロリアに渡すつもりだったお土産の事を思い出し。 一針一針縫い上げたローズマリーとレモンを入れたサシェは、まだ開いてもいない女のトランクの中に今も入っている。]
(187) 2013/12/06(Fri) 23時半頃
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[フィリップが出ていくというのなら、女は止めない。
それよりも、早くグロリアを弔ってやらねば、という思いが勝っていた。 彼女の弔いに戻ろうとしたが、サミュエルがその場を去ろうとするフィリップに手を伸ばす>>179のが見えて。]
――…。
[その所作に既視感を覚え、昴とそれを眺めていた。]
(189) 2013/12/06(Fri) 23時半頃
|
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――…。
…っ…。
[サミュエルがフィリップと唇を重ねるのを目にすれば、流石に今の女にも動揺が走り。 けれど女はジリヤのように振るう瓶は持ち合わせておらず。]
……サミーは男女構わずにそういう事をするんだね。
[よく分かったよ、と薄く笑う。]
(195) 2013/12/06(Fri) 23時半頃
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−そうだよ。
[>>198女は笑顔を湛えたままジリヤに賛同する。
何故という問い掛けに、サミュエルは嫌がらせという返答はしていたが、場所は弁えるべきだと。]
(202) 2013/12/07(Sat) 00時頃
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