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[だけど籠の中のカラスだなんて、
ちょっと酷いんじゃない?
そりゃあ俺はもう、夢を叶えられないけどさ。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[昔の記憶をぼんやりと思い出しながら暖炉の世話をしていたはずだったのが、いつの間にか椅子に腰掛けたまま眠ってしまったらしい。 (12) 2016/11/14(Mon) 01時頃 |
[——人間ですらない穀潰しの土塊が、甘えるんじゃあないよ、と。
お母さんは優しい笑顔を浮かべながら、困ったように首を振るの。
それが、当たり前の日常。]
[籠の中のカラスは、誰かを呼ぶように醜い声で何度も鳴くんだ。それが本当、耳障りでさ。
籠には大きすぎる身体を必死にばたつかせて、自由になろうと頑張って。
それが全部自分の視点で繰り広げられるんだから、嫌になっちゃうよね。
それで最後は、どんな風に終わったと思う?
醜い声のカラスは籠ごと人間様に燃やされて灰になったのさ!
これで解決、ハッピーエンドってね。]
[頑張ってお金を稼いでも、
街に出て夢を叶えても、
俺を捨てた親は絶対に見つけてなんてくれないって知ったのはいつだっただろう。
だって、おれは]
やめてくれよ、姉さん……
[ああ、嫌だなあ。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[人を喰らうという人狼。背筋がゾクりと凍りつくような感覚は、妙な現実味を帯びたキャサリンの話からか、はたまた朝の寒さのせいか。] (34) 2016/11/14(Mon) 13時頃 |
“『あれじゃまるで、家畜と変わらねえよ
目一杯腹空かせたケダモノに喰い荒らされたみたいだった』”
……―――それはそうだ。
人狼は、共食いをしないから。
俺は、俺はそんなつもりじゃなかった……。
[そうだ、知らない顔だと声を掛けて、旅人と知れば色々困っているだろうと生活の世話だってしてやった。
あの人だってうちの店に顔を出して、俺を悪くは思って無かった筈。
なのに、なのに、
知らなかったんだよあの日村を出るなんてこと!]
[親無しの幼な仔には、己が何者か教える存在も居らず、生きる為の手解きも受けられず。
その本能の目覚めには、18年もの時が必要であった。
夢の為には金が必要だからと、同じ狭い村で生きるのに直ぐに院を飛び出す必要など無く。
その理由の多くは、愛しい人間を喰らわない為。]
[酒が好きではない、その臭いも変わらない。
それでもこの仕事を選んだのは、
……紛らわせてくれるのだ。あの臭気が、血潮を欲する嗅覚を。
三年間月の無い夜を選び山に通っては、惨めに小動物を喰らって生きた。
堅いパン一つしか食べれなかった幼い日よりも、辛く苦しいものだった。
それでもいいと、思っていた。]
[互いにとって不幸なことだったと思う。
狩りを終え、ケダモノから人間に戻る瞬間を、村を出るあの旅人に見られてしまったのだ。
それからはお察しの通り、
良くしてやった数日など幻だったかのように怯えバケモノを見る目を向けられ、
俺はまた姿を変えてその喉をガブリ、さ!*]
やっぱ、苦手なタイプ。
[落ちる呟きは人の鼓膜を震わせない、獣の聲。
旅人を喰らい完全な覚醒を果たしたばかりの若い狼は、それが聞こえる存在も居るとは知らないままで。]
そう言うな、仲良くしようじゃないか。
[聞こえた声にそうとだけ返して。
山で見つかった男の、見つからない部分の行方を確信した。]
は、?
あれ、……へ……?
[目を見開く、随分と間抜けな声が漏れた
この朝に起きたことで何よりも、酷く困惑してしまって。
返ったのはたった一言だけだから、人の声で本音を口にしてしまった可能性が、拭い切れない。
そも、この感情の動きを表に出して誰かに見られるのは不可解に思われる。
平静を装い、足は止めずに聖堂へ向かった。
キャサリンが自分達に必死に伝えた内容を、思い出しながら。
確か、彼女が言うには……]
[いや、でも、
声が聞こえた時、彼の唇は動いて見えただろうか……?*]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>35オーレリアの仕草の意図を捉えかね、何か彼女の機嫌を害したかと考える。 (61) 2016/11/14(Mon) 20時頃 |
[——キャサリンの話は信じない。
そのつもりだったのに、いやに耳許がうるさい。
周囲の物音に混じって、男の人の声が、2人分。
感覚を研ぎ澄ませれば、何かの言葉を伝え合っているらしいことが分かる。
……——。
いつだったか、古い書物で触れた眉唾物の噂話。
人の姿をした獣の存在と、それらが使う特別な会話法。
獣じゃなくても、それに介入することができる方法を。
試してみたいと思うことはあっても、そもそもそれが役立つ状況なんてなかった。
そんな機会は永遠にやってこないと思っていた。]
[喉を震わせながら、私は“囁く”。]
あなたたちは、“何”?
[人の言語を超越した、赤色の音となって、
それは空気に乗っかって飛び立った。*]
何かって?
それは“仲間”、だろう?
[聞こえた囁きに、一人廊下を歩きながら、ヒトではない声で、つぶやく。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[祈りはここへ来てから日課となっていた。 (71) 2016/11/14(Mon) 20時半頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン先ほどは、その、もし、気分を害したなら許してほしい。 (74) 2016/11/14(Mon) 20時半頃 |
“獣”、さ。
[次いで返った声はどこか吐き捨てるように。もう、困惑と驚きを見せない。
姉によって詳細に語られたこの場所に集まる者達に潜む存在のこと、
それを踏まえ、一つの結論を出していた。]
お前は違うのか?
なかま?
[最初は、ピンとこなかった。
だって私は何も分かっていない。]
……けもの?
[疑問符は残るものの、なんとなく伝わる。
人間とは異なる存在である、その事実。
驚いたのは、——その声色は、聞き覚えがないわけではないこと。
人狼は、こんなに近くにいたのだろうか。]
私は、獣ではないです。
でも、人間でもない。
何も生み出せない、ひとりぼっちの、ただの土塊です。
[何故か、本能的に。
怖くて誰にも打ち明けることがなかった自分のことを、伝えなきゃいけないと思った。
私は人間じゃない。
人間じゃないのだから、同じく人間じゃない人になら、きっと、
拒絶されたりなんかしないよね、って、盲目的に。]
[そうなってくれなければ、
人の味を知った俺は。]
……そんなこと、言うものじゃないよ。
[この女性らしき声は誰だったか、幾つかの顔を想い描きつつ。返ったのは思いもよらない答え。
それはつまりどういうことなのか、理解は出来なかった、が。
己が人ではないと知った時の気持ちがどんなものだったか、考えれば自然にそう返していた。]
しかし、変な奴だね。
獣じゃないのに俺達と話せるのか。
人間ではない、だから、仲間だろう?
ここで話せるとは、そういうことだ。
[若い二人の会話を聞きながら、そっとほくそ笑む。
数日後に、この“仲間”たちと別の場所を求めて歩くことを思い浮かべながら。]
どうして?
だって、お母さんとお父さんが教えてくれたんだもの。
私は土塊から生まれたんだって。
[
話しすぎないように抑えようと思ったけど、つい。]
……昔、本で読んだことがあったから。話し方。
私にできるとは思ってなかったけど。
人狼が自警団員さんの仲間っすか、
それはまた、ねえ……。
[その時、確信に至るものがあった。
本能としか説明は出来ないけれど、この男がやはり、と。
昨日自分が寒空の下で待とうとしてまで距離を取りたがった理由を、今更ながらに理解した。]
[私にも多くは理解できていない。
……あなたたちは。
何かをしようと、しているの。
[胸の奥が、高鳴る。
その正体を確かめようと問いかけた。]
[
人間の群れに混じった、ふたりの獣を。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[オーレリアの>>80を聞けば、思わずふふふと笑い] (87) 2016/11/14(Mon) 21時半頃 |
土塊、……本……はあ、そっか。
[相変わらずこの子の、花屋の娘の言うことは分からない。後者はむしろ、己が無知なのかもしれないが。
そんな筈がないと、そう思う。
獣でないのなら、人間だろうと。
けれど家族のことまで持ち出されると、これは簡単に首を突っ込んではならないのだろう、と。
姉の夢みがちとは違う印象を持ち、相槌と共に引き下がった。
信じていないことが隠せてないのは、否めない。]
……何かをしようとしてるんじゃない。
何もせずに済みたいんだ、俺はね。
[その胸に何が宿るのかを知らず、ただただ切実な本音を口にする。
今はまだ、けれど夜になれば、どうなってしまうだろう。]
[青年の言葉
“便利”、だろう?
何かを?
生きているだけだと、ただ、単純に。ヒトと同じように。
[少女の質問には
青年の苦悩は聞いてはいるが、咎めも慰めもせず。]
便利、……か。
[繰り返すだけの、意味の無い呟き。
彼が口にしたその言葉にどこか余裕と貫禄を感じた。
多分、雄の人狼としての。
年上であろう男は、獣としても己より時を重ねているのだろうか?]
まあ、俺を捕まえる気がないのなら、何でもいいさ……。
捕まえる?
[くくっと、喉が鳴るように笑いがこみ上げる。]
自警団に捕まるようなことを、したんだな。
[私はこの場所に集った人たちが好きだから、
私が好きな人たちだから、
この人たちと、こどもを作ることができたらどんなに楽しいだろう、と、
そんなことを夢に思い描いては、虚ろに笑む。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>91去り際の彼女からかけられた言葉には不器用な笑顔を向けて。] (97) 2016/11/14(Mon) 22時半頃 |
[
何もせずに済みたい、ただ生きているだけ。
ならば、“仲間”とはなんなのだろう。
私が役に立つことはないのだろうか。つい、笑みが曇った。
それならそれで仕方ないと、口を閉ざす。
人間でも人狼でもない、ただの土塊は所詮、何もできやしない。]
[誕生日を持たず、
知恵も足りず、
両親の愛に報いることもできず、
普通の人間とは違った生まれ方をしたせいで、
父とも母ともかけ離れた容姿を持ち、
自らは子供を作ることもできない、
いのちを育むこともできない、
ただ店先で笑うしかできない私は、惨めで、情けなくて、
壊れていきそう。]
[——この人狼騒動の記録が、後の世に残っていたならば。
アイリス・ハーノットは狂っていた、と、一つの事実が書かれているだろう。]
[そう、何もせずに済みたいと言いながら、喰らった罪を咎められたらと昨夜落ち着かずにいた奴なんて。]
っ……
なんだよ、どうせ気付いてたんだろ。
[自覚はあれど、失言に言及されると息が詰まる感覚があった。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[食堂へ戻るとローズマリーの作った朝食>>36が振舞われていた。 (105) 2016/11/14(Mon) 23時頃 |
この近くに“仲間”がいることはね。
いいさ。
これからのことだって、咎めはしない、お互いに。
[これから。ただ“生きる”ために行うのだから。人にも咎められる謂れはないはずだ、と。]
これから……
[その意図するところを考え、声は沈む。
それでも尚、否定は出来ない。己だってこのままでは、また繰り返すのだろうから。]
やはりあなたも……腹が減って、喰うのか?
[人を、とは
未だ口にするのは躊躇われる言葉だった。]
人狼とは、そういうものなのか。
【人】 ランタン職人 ヴェスパタインローズマリーさんが作ってくれたのですか。 (120) 2016/11/14(Mon) 23時半頃 |
それはそうだ。
……愉快犯も、いることはいるがね。
私はそこまでではない。
[淡々と。何の感情も持たないような声音で。]
そっか。
人狼なら皆、同じなんだな。
[感心しているのがありありと表れている
この程度のことも話を聞いて漸く確信出来たのだ、なんせ彼が初めて出会った同胞だから。]
……今まで沢山、喰ってきたのか?
[なんて続けざまに質問を投げたのは、その声に感情を見つけられないから。
気軽に聞く内容ではないと、己の声は小さくなったが。]
アイリス。
[暫しの間、彼女の声は聞こえていない気がしてそう呼びかけた。]
もしかして、怖いのかな。
[検討違いとは知らぬまま抱いた感情は心配、だろうか。
獣ではないらしい彼女に告げ口をされるという危険性ではなく、恐れられたかと気遣う。
己もまた、少女を仲間と認識している自覚は未だ薄い。]
ああ、そうだ。たくさん食った。
……考えてもみろよ。
人は、食った牛の数を覚えているか? 絞めた鶏の数を数えているか?
そういうことだ。
[小さくなる彼の声に対して、自分の声は大きくなる。
せせら笑うような声音で、何を笑うのかは、判然としないまま。]
……そうか。
[呆けたような、哀しむような、静かな相槌。
己と彼に大きな違いを感じて、複雑な気持ちだった。]
あなたは、人狼として正しく生きているのだろうね。
[赤い囁きを、じっと聞いていた。
食べる、とか、そういう話——
知ってる。キャサリンから教えてもらったもの。
人狼は、人間を食べるって。
今の今まで嘘だと信じ込んでいたから、キャサリンにはごめんねをしなきゃ。
怖いのかな、私?
どうなんでしょう。
怖い、という感情は、探してみても見つからないけど、でも。]
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