17 吸血鬼の城
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[雷鳴が響けば、閃光は白く目蓋の裏に影を残す。 城主の挨拶が全てすみ、その驚愕が収まるまで、ただ黙って控えている。主らを挟んで、己と反対の位置に黒薔薇の姿もあっただろう。
話が従者に及べば、己の身分を示すが如く、 けれど、優雅に頭をたれた]
――どうぞ、ご用向きがあればなんなりと。
(12) 2010/06/19(Sat) 23時半頃
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[言葉を途切れさせると、傍らに佇む血を分けた相手へ
薄く笑みを向ける]
勿論、お前も愉しむと良い。
渇きのままに、欲望のままに
もう……
我慢する事は無い。
[語りかける声音は低く甘く
されど其れは人の耳には届かぬ波長を持って響く。
元は人間であった彼女が人間の血を啜るさまを見るのは
城主の愉しみのひとつでもあった]
望みがあれば、何でも叶えよう。
……私のローズ。
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 00時頃
[くすくすと人間には聞こえぬ聲で笑う]
私もお兄様を楽しませられると良いのだけれど。
[城主を愉しませる為の宴と客人に告げた者に
女は控えめな態度の儘言葉を返し]
渇きのままに、欲望のままに
お兄様は私に甘くてらっしゃる……。
[兄の笑みに嬉しそうに細まる女の眸]
優しい、私のお兄様。
大好きよ……。
[睦言を交わすかのように甘く囁き
切なさを隠すように胸元でぎゅっと拳を握った]
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[>>14 声に眉をひそめて見やったのはほんの一瞬。 主の嗜める言葉に、再び面差しは伏せられる。 まだ声の主が何者かには気づくことはなく――まじまじ見たとしても、恐らくそう簡単には記憶とは繋がらぬだろうけれど]
―――……、
[>>22 ただ己に注がれる眼差しには、 なにか?とでも言う様にゆるく首を傾いだ]
(28) 2010/06/20(Sun) 00時頃
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私のローズ……お前は客では無いだろう?
傍に居るだけで、充分私は満足している。
[人間の中では類稀な美しい薔薇を
この手で手折ったその瞬間と
変じた彼女が作り出す新たな犠牲者と
其れを眺める事こそ、城主を愉しませているのだが]
愛しいローズ。
お前に甘いのは、仕方が無いだろう。
永遠に続く孤独の中で漸く見つけた同胞なのだからな。
[人の言う愛は、城主には当てはまらない。
けれどその薄い唇は愛しいとそう何度も彼女へ呟くのだった]
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[>>37 贄の少女の辞そうとする姿を、そっと目に留めれば]
――…皆様、どうぞ、あちらを。
稀なる客人である皆様方への心ばかりのおもてなしにございます。いつでもご用意は出来ておりますので、気が向かれましたら歓談など交えて、ごゆるりとご飲食をお楽しみ下さいませ――。
[天の色持つもつ青年は、その穏やかな面持ちを崩さない。 広間から続く食事の間では影の手で常に晩餐の準備が整えられている。並ぶ食事に贅は尽くされているものの、そう堅苦しいものではなく。 ――特別な日に饗される家庭料理サルマーレなども並ぶ]
……トゥルナバはやはり白をお勧めいたします。
[飲食に興じる、などという雰囲気ではなくてとも、己の行く末を悟った者は酒精を欲することもあるだろう。気に入りのワインを勧める声音は優しげなもの]
(42) 2010/06/20(Sun) 00時頃
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客人ではないけれど……
私はお兄様の為だけに存在するの。
お兄様に喜んで貰える事が無上の喜び……。
[目覚めて初めて目にした美しい兄に心酔していた。
長く共にあれど其れは変わる事無く]
愛しいお兄様。
貴方の孤独を私の存在が少しでも埋められたなら……
[薄い兄の唇が紡ぐ言葉に女の心は満たされる。
それは先ほどまでの飢えさえ忘れさせて呉れる魔法の言葉]
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[>>50 幾度か瞬いて、小さく笑う。 この世ならざる場での食事の作法、そんな伝承はいくつもあるけれど]
――黄泉の石榴などという、大層なものではありませんよ? どのみち、お客様方の宴は、旦那様が満足なさるまで終わることはないのですから。 きちんとお食事を取っていただかなければ、困ります。
[何が困るのかは黙して語らず。 ただ、明日の天気を語るが如く、穏やかな口調で聞き咎めた言葉に返す。
そしてテーブルで手にする白のボトル、望む客人には給仕へと徹して]
(64) 2010/06/20(Sun) 00時半頃
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[ナイフがコルクを覆うラッピングをはがす、 スクリューをねじ込みコルクを抜けばほどよく甘く香る、ぶどう酒の香。 >>57傍ら、艶やかな口唇の甘く囁く言葉に、小さなため息をひとつ]
――…お嬢様、 赤ではなくて、よろしいのですか?
[それでもからかうような言葉をまじえれば、 グラスのひとつに淡い金が注がれた]
(71) 2010/06/20(Sun) 01時頃
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私のためだけに……
[存在する。
鸚鵡返しに囁き、ちらりと視線を投げた。
其れは彼女が真に望むことか
其れとも、己が与えた力によるものか
其の先を考える事はしなかった]
永遠に続くこの命がある限り
孤独が消える事は無いが……そうだな、
お前が愉しむその姿が傍にあれば
私は満たされる。
……喉が渇いているのだろう?
先ずはどれが欲しい。
あの粗暴な男か、其れともこの女が良いか?
お兄様のためだけに。
[同じ言葉を繰り返す。
過去を失った女は彼の同胞になることを自ら望んだのか
望まぬままそうなったのか知らないけれど
今は望んでそうなったのだと思っている]
貴方に与えられたこの命が尽きるまで
私は貴方の傍にいます。
[満たして差し上げたいと思いながらも
傍にいて愉しむだけで本当に良いのか女には判断がつかない。
渇きを指摘され恥ずかしげに眸を伏せる]
――…お兄様は何方をお気に召したの?
[答えを用意できぬ女は質問を返した]
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[後で――の余裕ある言葉には、ひとつ瞬く]
――…ご随意のままに。 赤は……後ほど、部屋に運ばせましょうか。
[>>89 宴は既に始まりを迎えた。 せめて白の芳香を楽しんでいるような、 そんな彼女の求める「赤」は、誰のものか。
あの官能が齎される幸運な客人は――思えば自然、手は己が首筋へと触れて]
(96) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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[>>79 そして水を求める青年は、 来訪時にいささか目的の気になった彼であった。 頬の朱に染まる様に、ゆるく首を傾ぐ]
まだアルコールをお出ししていないのに ――……酔ってしまわれましたか?旦那様に。
[邪気のない笑みを添えて、求めに応じて水を差し出す]
(97) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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愛しいローズ。
……私は、多くを望まない。
ただお前が傍に居るだけでも、充分だ。
[まるで己は生ける死人のようだと、常々思うようになった。
刹那に生きる人間達の傍で暮らすうちに。
彼らが己の存在に踊り、狂い
破滅――若しくは自滅する様を観察するのが唯一の愉しみ。
其の後に襲う虚無からは、どう足掻いても逃れられはしないのだけれど、同属が傍に居ると思えばいくらかは紛れる]
――…そうだな、私は
[彼女の問い掛けには汚れたチーフを振り、目配せを一つ。
その血の持ち主に幾らかの興味を抱いたのだと、暗に告げた**]
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[>>99 その名乗りは、記憶のふたを揺さぶった。 ――眼差しをそちらへ流せば、誠に風雅な礼。ああ、確かにそれは見覚えのあるもの。 グラスに酒を注ぐ手元は、一度揺らいだ。]
――…失礼。
[>>104 そして注がれた白を差し出せば、 先ほどの硝煙の香りのご婦人と知れる]
……随分と変わったご趣味を、お持ちなのですね。
[添えられた一言には、少しだけ不思議そうな色が滲んだ]
(112) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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[>>110 グロリアの言葉には、静かに眼差しを伏せる。 その言葉よりめぐらされる想像は勘違いともいえるし、ある意味正しいともいえるのか]
無論、お嬢様のご所望とあらば、 ――私が、参ります。
[離れる彼女の姿に、遅れて>>106囁きへの言葉を返す。 それは甘く苦しく悦楽を伴うがゆえに――酷く罪深いと感じさせる行為で、けれどその誘惑に抗えるほどの意思はなく]
(127) 2010/06/20(Sun) 02時頃
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お心のままになさいませ、お嬢様。 ――あなたにはそのお力があるのですから。
[>>120 不安げに呟くような声、 それは人の感情の揺らぎにも似ている。
彼女はいまだ闇の眷属として不安定なのだろう、と思う。 城主と比較すればその 若さ は自ずとしれて。
声音は少しばかり甘やかすようになる。 彼自身が少年だった頃よりは、そんな言葉も馴染むようになった]
(134) 2010/06/20(Sun) 02時頃
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[>>136 浮かぶ笑みには密やかに眼差しを伏せる。 その笑みは愛らしいというのに、耳朶をくすぐるような囁きの告げる言葉は、稚さからはほど遠く――上ずる声を押さえ込んだ]
――……、お嬢様、 悪戯が過ぎてはお客様方を驚かせてしまいますよ?
[嗜めるような言葉は、成功してはいまい。 触れてもいない指先の冷たさを感じれば、またため息が一つ。]
[そして客人の招きに応じて、離れる――]
(143) 2010/06/20(Sun) 02時半頃
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[>>138 その存在を認識すれば、小さく息を吐く。 ことさら眼差しは伏せられる、いまだヘクターと名乗る男があの時の少年とは信じがたく――それにどう触れるべきかわからない。
付け足される言葉には、小さな笑みを添えて]
――…混ぜる、 ああ、それは、よく眠れそうな組み合わせですね。
あたためて混ぜますか?
[あえての言葉を添えるのは、軽い嫌がらせにも似ていた]
(148) 2010/06/20(Sun) 02時半頃
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[兄の聲は女の耳に心地好い]
お兄様の望むままに。
誰よりも、私はお兄様を想っています。
[自分の知る世界の中心である兄の望む者を知れば
伏せた睫毛がぴくりと震えた]
ならばその者には手出し致しません。
お兄様にとって愉しい宴となりますように。
[女は心得ているとばかりにそう紡ぎ
複雑な思いを心の内に留めおく]
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[求めに応じて2つのグラスを差し出せば、 シェリーの黄金の中砕いた氷はからり、崩れる。シェリーを求めることに隠された意味「今夜ベッドで」]
――…シェリーはそういうお誘いですか? あいにく、今夜は先約が。
[軽口には同じように返す、 けれどそれはかすかな記憶のせいで酷い違和感だった。 見据える眼差しに、青は一度伏せられて]
……あなたはご無事だったのですね。 何故今更、また。
(157) 2010/06/20(Sun) 03時頃
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――……吸血鬼に、
[軽々しく言われた言葉に、 不快感を示して眉根は寄せられる。 続く言葉には感情を押し込めた笑みと声音が添えられた]
お呼び出しいただければ如何様にも。 旦那様には、お客様に不自由なきようお持て成しするように、と言い付かっておりますので――。
(165) 2010/06/20(Sun) 03時頃
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――その制約は、 もとよりあなたもご存知でしょう?
[薄く笑う、それは常とは少しばかり異なるもの。 ここでの生活で得たものの、ひとつ。 闇を語る男の瞳の色を見る――光に透かさねば、その色味は伺えない]
―――……、
[言葉にはせねど知る。薄く目を細めた。 その変容は見た目だけには留まらず、 そう、かつてのあの少年もまた闇に捕らわれていたのだろうと]
(175) 2010/06/20(Sun) 03時半頃
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――首輪など、役割は古今東西同じでしょう?
[従属の証、薄い皮膚の下は伺えない、 差し出されたイアリングを促されるまま、 受け取ったことに気づいたのは手にした後、手の中のそれを見つめる]
……細工師?ああ、あなたは手先が器用だったのですね。 外さずに細工が出来るのでしたら、依頼することもあるかもしれませんが。
[そして続く依頼には、小さく嘆息して]
どの道、残る客室はそちらのみです。 ――…寝物語は、そちらの小さなお客様にお聞かせしてもよいのですか。
[案内はいらないでしょう?とばかりに、扉へその手を差し向けた]
(177) 2010/06/20(Sun) 03時半頃
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奏者 セシルは、水商売 ローズマリーより向けられた視線に、まなざしをそちらへ流す
2010/06/20(Sun) 03時半頃
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――ええ、あなたも昔は、 それは可愛らしい若様で――…。
[ヘクターへ、揶揄の混ざる言葉を返して、 主の広間から辞するのを視界の端に認めれば]
――失礼、少し下がらせていただきます。
[その後を追うように、広間を辞した。 ……手にした細工の施されたイアリングを返し忘れたまま]
(183) 2010/06/20(Sun) 04時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 04時頃
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[広間を抜け出した翻る瑠璃色の残滓を探す、 その姿が視界になければ、 部屋へ伺うべきかと階段へ足を伸ばした。
石畳の反響する足音が、幾重にも響いて]
――……お嬢様?
[その音の軽さ、確信とまではいかずとも 覚えはあるような気がして、薄闇の先に呼びかける]
(185) 2010/06/20(Sun) 04時半頃
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[その不安定は種としての若さだけではなかったか ――過去は己の礎、それがどのようなものであろうと今の我が身を作りあげるもの。
かつての貴族の少年が闇を抱いてああなったように。 かつでの信仰のもとにあった自分が変容を遂げたように。
己に作用したものが明白であればこそ、 あるがままの自己を認識できる。けれど彼女にはそれがない。
そんなことを考えながら、動かぬ気配にゆるやかに歩み寄る]
――お手をどうぞ、お嬢様。 黒薔薇もまだあちらに下りますし、 客人……とも呼べぬお客様のお相手など、構わないでしょう。
[ただ一人を揶揄すれば、薄闇の先にそっと手を差し伸べる]
(187) 2010/06/20(Sun) 04時半頃
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[城主の妹となった女に記憶がないのは幸い。
何故なら人間であった頃の記憶を持ちながら
人間の血を啜ることに弱い心は耐えられないから。
そんなことは露とも知らず女は人間の血を啜る]
――…私はお兄様の同胞。
私は、ヒトではなく闇に住まう者。
昔のことなんて思いだせなくて良い。
[郷愁も思い出の品も捨てられぬのに
自らに言い聞かせるようにして]
私はあの方の妹。
私は――…私以外にはなれない。
[女の耳朶は拾わずともよい声さえ拾ってしまう。
サイモンの呼ぶ声に物憂げに柳眉が顰められた]
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[言葉に瞳の青は和らいで]
――…仕えるべきお方に、 そのように仰られると困りますね。
では、今度からはもう少し厳しくさせていただきましょう。
[白い手袋越しにも温度が伝われば、 彼女のしんと冷えた指先はその白さと共に、淡雪を連想させた。 あるいは浮かぶ微笑の不安に揺れる儚さも、その連想に重なっていたのかもしれない]
――礼を逸するつもりはなかったのですが、 冷静さを欠いたことは、否めませんね。
[ぽつり、零せば、その手をこの場から離れるように誘う]
(189) 2010/06/20(Sun) 05時頃
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[しかし今、彼女を揺さぶるものは何なのか。 こめかみを押さえていた姿、宴の昂揚とは異なる気がする。
招かれざる逗留者――その間の扉の向こうから、響く声。 それが彼女の名を呼んだのは、聞こえた。
嗚呼、これなのだろう。 青は一瞬の静寂と共に伏せられた。
音なく口唇が言葉を紡ぐ。 それは潜む者たち――影へ告げる言葉。
――……旦那様、お嬢様のお心を乱す者が、こちらに。]
(190) 2010/06/20(Sun) 05時頃
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奏者 セシルは、闇に小さく囁けば、彼女の望むままにその手を導いた**
2010/06/20(Sun) 05時頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 05時頃
お前が望むなら、あの客人も与えてやろう。
――私の同胞……私のローズ。
[言い聞かせる聲に囁きかける。
暗示にも似た言葉
「私のローズ」
彼女が目覚めてから、そう呼び続けてきた]
お前の美しい顔を顰める者が居るようだな。
[影の密告を受け、城主は低く洩らす]
その憂い、私が晴らすが良いか
其れとも、お前が喰らうか……?**
|
―客室前廊下/僅か前のこと― >>191>>192 [拗ねるような口調には、瞬きを一つ。 その言葉は確かに事実で、絶対的な力はただ城主のみのもの。最終的に己が従属するのは城主たる存在に他ならない。けれど]
私は御二方にお仕えしているつもりです。
[重ねた言葉はこれも甘さに似たものだった。 許容の言葉に恐れ入ります、と畏まれば――空気は徐々に変わる]
――……心の乱れは、それは、 過去の幻影に触れたからでしょうか。
[そう、過去がいくら己の礎をなすものであったとしても。 今となっては、幻のようなもの]
(250) 2010/06/20(Sun) 13時頃
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[しなやかな指先が、手袋の下に浮いた静脈に触れた、それにはぴくりと手が震える。その翡翠のまどろむようなみどり――捕食者の双眸に絡めとられたせいだろうか。身動きの出来ぬまま、冷たい吐息が首筋をくすぐるのを感じていれば、室内よりの声は再び]
―――……、
[絡められた指先が緩められれば、緊張はほどける。 取り戻した呼吸に過ぎるものが、安堵か失望かはわからない。]
……ええ、お食事は、 静かな場所のほうがよろしいかと。
[そして彼女を部屋へ送り届け、扉の閉ざされるのを見届ければ、 深くたれた頭を上げるより前に、彼の指先は冷たい吐息の触れた首筋へと伸びた]
(251) 2010/06/20(Sun) 13時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 13時半頃
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―白薔薇のある広間― [かつり、足を踏み入れる。 離れてからいかほどの刻が過ぎたか、広間には既に客人の姿はほとんだなかっただろう。 この場を任せた黒薔薇へと目礼をひとつ]
申し訳ありませんでした、黒薔薇。 お嬢様のご気分が、なにやら優れなかったようでしたので。
[送り出される時に向けられた笑顔の下に潜むもの。 妬心めいたそれに気づいてしまえば、かすかに湧き上がる優越は人の業。 けれどその感情の醜さを知るが故に、自己嫌悪に苛まれる。 かつての信仰の名残か、それは己の醜さを許しがたく]
……あなたがいらしゃって、私も助かります。
[感謝の言葉と共に向けられる白薔薇の微笑み、 邪心はそこになかったけれど、時にはそれが人の感情を逆撫ですることには気づかない]
(269) 2010/06/20(Sun) 15時頃
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―御堂― [やがて客人の姿が見えなくなれば、 潜む影に後を任せて一度広間を辞した。
脚を向ける先は――祭壇に聖体なき聖堂。 祈りのためなどではない、その対象は既に失われてしまった]
――……、
[3列の鍵盤に指を置く。 金管を振るわせる空気が荘厳な音楽を奏で出す。 その旋律はけれど祈りの為の前奏曲――そんな曲しか知らない。
薬売りに名乗ってしまった名前、セシル=フロレスク。 名のある祓魔師の家系と知れれば、ここにある皮肉をどうとられよう。元より、あまり知られないものでは、ない。
――荘厳な美しいバロックの旋律、 けれど信仰なき今、その音色に聖なるものは宿らない]
(273) 2010/06/20(Sun) 16時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 16時頃
[気高く美しい兄の聲に伏せた睫毛が小さく震える。
幾度となく繰り返された暗示のような言葉]
お兄様……
私はあの客人を望んでなどいないのです。
[興味がないと言えば嘘になる。
けれどその興味はあの客人が兄の目にとまったから。
本当に望むものは口に出来ぬまま――]
…………。
[白薔薇の執事が影を通じなされた密告。
兄の問い掛けに妹は逡巡する]
もうあの声を聞きたくはないのです。
お兄様にあの者の処遇をお任せします。
[憂いを滲ませた聲が密やかに囁かれた]
――…私のローズ。
[囁く聲に混じる憂い。
まるで彼女に呼応するかのよう]
お前が望まぬ客人
けれどあの客人はお前を望んでいる
ならば、すべき事はひとつ
お前が楽にしてやるが良い。
[彼女を求めるものが、彼女によって逝かされる
そのとき彼はどのような声をあげるだろう
ざわ、と背筋に走るものを感じ、語尾は甘く震えた]
――…私が、それを為せと…?
[兄の囁きに女の聲が沈む]
意地悪なお兄様。
私の願いを聞き届けては下さらないのね。
[甘い震えを伝える聲の主に女は逆らえない。
望まぬ男の求めに応じる苦痛よりも
兄たる者の悦びを女は優先する]
嗚呼……
[悩ましげな吐息が零れた]
……意地悪な私は、嫌いか?
[からかうように吐息混ざる笑みを送る。
彼女が己に逆らうなど、考えぬ風]
私に、見せてくれ。
お前に懸想した
哀れな男が壊れ朽ち行くさまを。
[彼女の沈む様子とは裏腹、愉しげな聲が囁き響く。
先に待つ仄暗い悦びを思い、ひとりほくそ笑む*]
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 18時半頃
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―オルガンのある御堂― [高音が消え、僅か遅れて残る低音の余韻も空へ抜けるように消えていく。鍵盤から指先を離せば、常のように白手袋をはめた]
――……、
[演奏は己が心を静める為、 沈めていた懊悩は、過去の幻影に再び波打ち揺れて。 曲の名を思い出す、それは聖書の一句であった。 コラール前奏曲――人よ、汝の大いなる罪を嘆け――]
(305) 2010/06/20(Sun) 18時半頃
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[開いた扉――その気配に立ち上がる。 深く頭をたれるものの、己と主以外無人のこの場。
小さく走る震えは、畏怖と崇拝。 そしてなんらかの熱を持った期待であった。 それは我が身に刷り込まれ、否が応にも従属たる身を知らしめる。
首に架せられた銀の環と同じように――]
――…お耳汚しを失礼いたしました、旦那様。
(309) 2010/06/20(Sun) 19時頃
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[見据える血色の鮮やかなこと。 青はその色に恥じるように、重たげに伏せられた。 名を呼びなおされたことに、かすかな憂いを残して]
――……左様でございますね、 彼はなんらかの目的があるようですが、私には関わりのないこと。 無論、ご命令とあらばあの者の口から……
[血色が針の火の如く狭まれば、 それとは逆に青は瞬き見開いて、ゆるゆると首を振る]
それが人たる身の理でございますがゆえ、 夕べの薔薇も、既にこのように花びらを落として……。
――…旦那様は、刻のもたらす変容を惜しまれるのですか?
[己が胸の白い花びらにそっと指先を這わせた]
(314) 2010/06/20(Sun) 19時半頃
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好ましい……
[呟きは小さく、聖なるものを失い、 妬心に優越を抱くような己の変容は、それはきっと醜いものだと――内罰の念は常に己が裡にある
主が銀砂の髪が流れれば、その乱れる袂の下、 透き通るような象牙色はちらと視界を過ぎり、青は焦点を揺らがせた]
美しいままに、時を。 それがお嬢様と旦那様が、「兄妹」となられた 理由……
[爪先が白い生地越しにふれる。淡雪ではないそれは、氷のよう、冷たくけれど美しい。吐息は一つ零れて]
――……あ、 恐れは……、 恐れは……限られた命への、執着
……私は 醜き生を 恐れます。
[答えたそれは今の自分自身に等しかった。 触れた指先よりひえてゆくような感覚が背を這い、青は滲むように揺らいだ]
(316) 2010/06/20(Sun) 20時頃
|
――…嫌いになどなれません。
知っていてそんなことを聞くなんて……
[恥じ入る聲はまるで乙女の如く]
お兄様の望みとあらば……
[静々と了承の意を兄に告げる]
|
――……天使、などとそのような、
[咲き誇る白薔薇へ己が手を挟んで主の指が添えられて、 灰となり儚く崩れ落ちる薔薇は、己の脈打つ鼓動の真上。
脈動はわずかばかり早くなる―― 何を持って完成となすのか、気にはなった]
私の望むことなど…… ――私が、旦那様の意に沿わぬことが、ありましょうか。
[首輪がひかれれば、わずか前のめりになり。 主の髪を我が身が掠める――早鐘となった鼓動は、離れ行く主に安堵と失望を示す。 ――望むこと、それは薄もやのように掴めない]
(321) 2010/06/20(Sun) 21時頃
|
|
[薔薇の消えた胸元を、乱れる心を押さえるように、 片手を胸に添えたまま、背を向けた主に深く礼を示す――]
……はい、 お嬢様は随分と渇きに耐えておられたご様子。
後片付け―― では、今宵の“食事”は、お客様の中から……
[片付ける必要があるものが発生する、ということ。 宴は始まったのだから、それはわかりきっていたことであったのに。 己は何を言っているのだろう、言葉は押し込められる]
――いえ、かしこまりました。
[ふわり、薄闇に消え行く主の残り香が香った]
(336) 2010/06/20(Sun) 21時半頃
|
奏者 セシルは、しばらくはその場に俯き、たたずんでいる**
2010/06/20(Sun) 21時半頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 21時半頃
――…違う。
私は……人間のものになんてならない。
貴方のものなんかじゃ、ない。
止めて……
私をそんな風に呼ばないで。
[想いが震える聲となり密やかに響く。
否定の言葉は無論兄に向けられたものではなく
ただ過去に縋る憐れな男へのもの]
私をそう呼んで良いのは……
お兄様だけ――…
[城主には届いている。
彼女に縋る哀れな男の声も、
痛みに揺らぐ彼女の聲も]
私のローズ
[重ねるように
男の声音を掻き消すように、囁く]
お前は私のモノ。
私の為に在る。
そうだろう?
[城主の聲にはっとする。
紡がれた綴りは同じだというのに
城主からの囁きには安堵さえ覚えた]
お兄様。
[切なく響く聲]
私はお兄様のモノ。
お兄様の為に――…
[そう繰り返しながらも
胸の痛みはなかなか消えてはくれなかった]
そう、お前は私のモノ。
……私のローズ
人間に惑わされては、ならんぞ?
[囁きながらも、何処か其れすら愉しむ風に]
わかっています。
人間に惑わされなどしません。
[人間の囁きに心乱されながらも
惑わされてはいないと強く言う]
――…私を意のままに出来るのはお兄様だけ。
そう、可愛い私の薔薇。
……食事を終えたら、私の元へ来るが良い。
口直しをやろう。
[己の血を分け与える行為を仄めかす柔かな声音。
吸血鬼の本能を強める為
己の下へ縛り付けておく為
今一度、あの極上の悦楽を共にと誘った]
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/20(Sun) 22時半頃
奏者 セシルは、御堂を出れば、客室方面へ
2010/06/20(Sun) 22時半頃
――…嗚呼。
[仄めかされたその行為は女の望むもの。
込み上げる歓喜が女の聲を切なく震わせる]
記者と黒薔薇が傍におりますが……
滞りなく成し遂げてみせましょう。
愛しいお兄様のために。
|
[御堂でしばし己が身を抱きしめるようにして、佇んでいた。 呼吸を沈めて、常と変わらぬように客室方面へと向かう。
>>346主がかけようとした言葉など知るよしもなく、 けれど足を運んだ先はどうしたことか、かつての部屋に近く]
――おや、これは小さなお客様。 なにか不自由なことは、ございませんか?
[>>358 影に先導される姿を認めれば、会釈して言葉をかける。 この子は彼の連れであったな、とふと思いながら]
(376) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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黒薔薇か……あれは、
我等の食事を見る時
なんとも言えぬ顔をする。
[愉しげに笑い、何の問題も無いと囁く]
記者が居たとして、従者は何の為に居るのか
上手く使うと良い
愛しい――…私のローズ。
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おや、……私が恐ろしいものにでも、見えましたか?
[どこかしら頑なにも見える態度を示されれば、 少しばかり苦笑して飴色の髪は揺れる]
いえ、小さなお客様。 あまり食がすすまれていなかったので。
あなたくらいの年頃でしたら、きちんと食べねばお腹がすいてはしまいますよ。何かお持ちしましょうか?
[語る言葉の内容は、他愛もないそんなもの。 ――誰かの語る言葉に似ていただろうか、青はそっと和らげられた]
(396) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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折角だから黒薔薇にも見せてあげましょうか。
私の食事を――…
本当に気のまわる従者ね。
命じる必要がないくらいに……
嗚呼、少しだけ憎らしいこと。
[憎らしいといいながら
それは愉しそうに呟かれて]
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