25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[―――想う場所、 ああ、その場所で彼の人は逝けたのであろう、と。 うつつに聞いた、悲鳴の出来事、 片割れを語るその姿を思い出す。 ――想う場所、描けども、 描けども]
それもまた、未練にしかなりませぬゆえ…… そうですね、せめて散るなら、
花らしく。
[振り仰ぐは本邸、燃え盛る大広間]
(@18) 2010/08/09(Mon) 21時頃
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……幻聴が…探す……?
[どうやって?けれど、己も邦夜も
体力の限界は近い]
……さ、探せよ。絶対だからな……
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[何処なりや、知らねども。 おそらく声は届くであろう]
―――こてつ、 共にひとさし、如何です?
[彷徨う花に呼びかける]
(@19) 2010/08/09(Mon) 21時頃
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ああわかった。
そいつらのことは頼むぞ。
[以後、何かが崩れる音]
うん…あと、刷衛って奴も
セシルが……
[崩れる音、届くだろうか?]
そいつは大丈夫だろ。放っておいても。
[やはりなぎ払うが、さすがに火傷は増えていく。]
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―本邸・廊下― [本邸は火の回り、いまだ多少の余裕はあろうか。 色硝子の廊下はもゆる炎に照らされて、 夕焼けよりもさらに赤く華やかに]
―――……、
[月瀬と天満月を連れた、イアンの姿。 そこに狂気は伺えず、ふと眼差しを和らげる。
屋敷の外に彼らが出れば、 門の傍ら、青く茂る桜の木陰、 絵描き道具と共に、紅の一厘――黄泉銀花]
(@20) 2010/08/09(Mon) 21時半頃
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んなの、幻聴にゃわかんねーだろ!!
そいつだって、人なんだから!!
[暢気な幻聴に言い返して
けれど、かと言って自分に何が出来るのか]
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[逃れた、と思ってくれるだろうか。]
(@21) 2010/08/09(Mon) 21時半頃
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知らない、知らない、知らない!!
どっちでもいいからひっぱってこい!!
じゃないと、多分セシルが泣く!!
[どんな人物かもわからないのに
そんなこと聞かれても困る。
幻聴に噛み付いて]
そうかそうか。
ならば引っ張ってこよう。
[と、一応言うものの]
だが、明をみつけるのが先だ。
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[現世の声の、遠くなる。 遠くなれども]
――……主様、
[その呼ぶ声だけは、 黄泉よりの声よりもまだ強く響く、
一つ呼ばれるたびに、強く]
(@22) 2010/08/09(Mon) 21時半頃
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そう、二人とも………あれ……?
あれは……
[幻聴に話しかける途中、
門の傍、葉桜の下、置いてあるもの
画材道具、それに……]
……赤い、椿……?
[それは黄泉銀花]
落胤 明之進は、炎の先を仰ぎ見れば、ひとつ足を踏み出して
2010/08/09(Mon) 22時頃
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―椿の間― [翻る白装束に緋色を燈し、 それはその部屋の入り口に静かに佇む]
主様、 どうぞ、早くお逃げ下さい。
[心揺らがぬように俯いたまま]
……お別れにございます。
未練となりますれば、 ご挨拶するつもりも、なかったのですけれど。
[薄れた姿は、両手で太刀を差し出せど、 その片手は既に現世の者にはうつらない]
(@23) 2010/08/09(Mon) 22時頃
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[かけられた言葉に、ただ ふるふると首を振る]
――主様、私は……、 行けないのです。
もう、ご存知でいらしたでしょう。 私は――、私が、
[見上げれば、黒紅に緋色。 躊躇う口唇は、小さく震えて]
黄泉の花であること、を。
(@24) 2010/08/09(Mon) 22時頃
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>>115 ……いけません。 生ける者と死す者は交わらぬがさだめ、
我が身もまた、 夏の宵のひと時の幻に過ぎませぬ。 夢とうつつの交わる、今この時が過ぎ去れば
ただ、消え行く……
[掴もうとするその腕は、 既にその躯を掠めるのみであろう。 一度、見開いた瞳は、哀しげに伏せられて]
……もう、怒ってなどいませんから。 主様―― だから、早く。
(@26) 2010/08/09(Mon) 22時半頃
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主様は、まだ主様ではありません……! ですから、
従うことは――
[首を振って、己を掴もうとする。 その腕を拒絶する、のだけれど――燃え盛る炎の迫るに]
―――…ッ、主様
[膝をつく傍らに添えば、腕を差し出す。 言葉に過ぎるは危惧のみで]
お別れを告げるためです。 主様を、危険にさらすためでは在りません…! はやく、庭に……
[ふわり、立ち上がれば満ちる煙の先へと導こうと]
(@27) 2010/08/09(Mon) 22時半頃
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[狭間の声にふるり、と震える。 あやまちは幾度とあれど――]
――…主様、
[行かずば、主の命の危うい。 けれど手を重ねようと、それはきっと重なるだけ。 ――己が身があれるは、この邸内のみであるのに]
舞は、――舞は…… 主様が、月瀬殿とのお話に夢中になってただけではないですか…!
[それどころではないのに、 反論の言葉を返して、怒ったふりで哀し心を誤魔化して]
(@28) 2010/08/09(Mon) 23時頃
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[蓮花の気配に、面を上げる]
――…本郷様、……ッ
[鉄色と交わった、刹那。 触れるはずもなかろう手を引かれた]
(@30) 2010/08/09(Mon) 23時頃
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[―――歪めて、見上げる。引かれる手の先]
わ、私は……、 私は、大丈夫ですから……
迷わず逝けますから、だから。 もう、――主様、
[炎を過ぎる。 視界が滲むは、熱気のせいではない。 そんなものはとうに感じない、のだから]
はい、一生……、 覚えていて下さい。
[微笑ば、琥珀の声のする]
(@31) 2010/08/09(Mon) 23時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 23時頃
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辛気臭い……
[宙に琥珀を探してみれば、 揺らぐ存在の引き寄せられた。 収まるその幻は――望むからに他ならず]
―――……、でも、 でも、私は……
[――今、この時だけ、としがみつき、 その人を切なく見上げれど。
それでも、躯は薄れゆく。 燃え落ちてゆく、屋敷と運命を共にするように。]
(@32) 2010/08/09(Mon) 23時半頃
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[苦笑交じりの声に、小さく返す。 狭間へ向けるその声は、主は耳にはもう届くかどうか]
――…ありがとうございます、 弁えております から。
[冬の言もその通り
いけるものはいける道、 しせるものはしせる道]
(@34) 2010/08/09(Mon) 23時半頃
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おい、おい幻聴!!
屋敷、崩れちゃったぞ……
おい!!
[苛む幻聴の最中に、またあの声が聞こえないかと
聴こえれば、聴こえたで、それはほつれた証拠なれど
それでも……]
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[無骨な手が髪を撫でる、 その感触に眉根を寄せて目を細める。 ――滲むのは、炎のせいではなく]
……はい、 はい、主様。
[己の存在は薄れてゆくのに、 声と温もりだけは、薄れない]
―――…毎日、 余所見をしないのであれば。
セシルと話してて、 きちんと見てくださらなかったら、また 怒ります。
[描いて聞かされた 夢物語にふ――と微笑って]
(@36) 2010/08/10(Tue) 00時頃
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……ああ、主様。 約束、わたしのせいで守れなかったこと、
ごめんなさい、とセシルに伝えて……
[現世に繋ぎとめられる、存在の薄れてゆく。 裏庭の椿もまた、燃えたのだろう。
ただ、目蓋を閉じるようにして、じっと。 縋るように慈しむ護るように、
透き通る腕を背に回して、 いま少しだけ――]
(@37) 2010/08/10(Tue) 00時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/10(Tue) 00時頃
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[主が傍らに座りあれど、 繋ぎとめるべき宵の夢が崩壊すれば、 その身はもう常世のもの――]
主様――…ッ
[声も姿も、もう届きはしない だろう]
(@38) 2010/08/10(Tue) 00時頃
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[そうして、その声は、
二度と、聴こえなくなってしまった]
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/10(Tue) 00時半頃
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いけるものはいける道 しせるものはしせる道
同じ道をいくのであれば、 ……生ける者は死なねばならない。
[道行き滅ぼす天の火が、 たとえ今この手にあろうとも、願うことは一つ]
……主様、どうか 私を、あなたの道妨げる者にしないで下さい。
[――生きてください、と冷たいその手を頬へと寄せた*]
(@39) 2010/08/10(Tue) 00時半頃
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