人狼議事


208 【突発誰歓】ーClan de Sangー【R18薔薇】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


[跳ね上がる声は、申し訳なさげに喋る普段のものと同一の喉から発されたかに思えぬほど甘く耳打つ。
声に揺れる腰ち握りこんだ手の中で硬さを増し先濡れする竿が、
己に更なる昂ぶりを齎す]

 ん。

[気配に応えるような声は、外にいる者の名であろうと推測する。
如何な用かと、鎖骨の赤に目が止まった頃には既に立ち去った後。
そういえば、己はこの者の名も知らないままだ。
いや、嘗ては訊いたのかもしれない。
何時からか、人の名を覚えることを止めた己の記憶にある名はニコラスとシュロのみ]



 無論、そのつもりだ。

[入れていいかとの問い掛けに、
答える間もなく、傷持つ腕が自ら後ろへと廻り何やら動く]

 それが素か?

[敬語でなくなった問いに微笑み]

 俺の名を知っているか?

[問いを重ね、片手をこの者が弄る同じ場所へ向かわす。
傷に触れ、指先に血を滲ませ、解そうとしている窄まりへ重ねる]

 無茶をするな。
 お前の血で濡らせば……ほら。

[指先で周囲を濡らし、涙溜め、試そうとしていた指を入れさせる]


 どうだ? 
 爪立てぬよう、ゆっくり掻き回すことだ。

[やがてそこが馴らされれば、座らせた姿勢のまま、
圧迫するように挿し入れて。

落ちぬ涙は乾いただろうか、更に潤みを増しただろうか、
腰を突き上げるよう動かしながら、指の腹で目の縁を擦る]

 ………、………ッ。

[徐々に己の呼気も荒く浅いものへと変わり、
血と汗の匂いが大気を湿らす。
どちらが先に達したか、己の精は脈動と共に内奥へと放たれる]


【人】 石工 ボリス

─大浴場─

[ガラ、と扉を開ける。
 服も着たまま浴室に足を踏み入れる。]

 手、洗わねぇと。

[赤い幻想を洗い流さなくては。
 こんな血まみれの手じゃ、包帯なんて巻き直せない。]

(7) 2014/12/27(Sat) 11時頃

[シャワーを出して手を伸ばす。
 冷たい水が肌を打って、体温が奪われている。
 だからか、小刻みに震えているのは。

 流れ出る色は酷く澄んでいて
 洗い落としたい赤など滲みもしない。

 何故だろう。
 なぜ、手が赤いのだろう。]


[その手の中、弄ばれるように指が動けば、先走りが絡む音。
音が、耳の縁から脳の芯へと沁みていく錯覚。]

 っは、……はッ、……ぁ、 

[その視線が体を這う。
鎖骨の一点で止まるのに、薄ら、昨晩の断片を思い出すか。
指先の動きの仔細を、言葉のやり取りの全てを、思い出すことまではできず。

持ち上げた腰の下、窄まりに触れる熱の切っ先。
未だ硬く閉じた其処は、息乱れた状態では自らの指すら拒んでいる。
もどかしさに瞼を閉じるも、問いかけに視線ごと上げられる。]

 ……素、……なんだ、と、……思う、……

[そも、敬語が身につかなかった最たる理由は、かつて主人の前で口を開かなかった事にあるのだろう。
敬語も、読書も、上達しないままに。]


 ライジ、……

[記憶の覚束ないとはいえ、ここに居る者の名前は覚えている。
眼前の者が覚えておらずとも、自分は、確かに。

名を、という問いにそう答えたけれど、少しばかりの間を置いて。
思い出すのは、先程のやり取り。]

 ……ライジ、さま、?

[主人となると言うならば、そう呼んだほうが正しいのだろうか。
そっと、確かめるようにそう口にすれば、微か目を細めて首を傾ぐ。

傷へと触れた指が、滲む血液を拭い取る。
薄い肌に触れた事にすら、大袈裟に体を跳ねさせた。

赤に濡れた其処は、促されるままに指を受け入れていく。
爪を立てない、ゆっくりと。
硬く唇を引き結んだまま、小さく幾度も頷けば解す指の数は増える。]


[やがて、十分と判断されたのならば、腰を落としながらその熱を受け入れる。
指よりもずっと奥へと侵入するのに、慎重に事を進めようと試みるが、]

 ……は、 はッ、 あ、 ぁア、 ぁッ
 ―――-ッ、く、 あッ ……!

[滑らかなシーツの上、慎重に落とす腰が重力に負ければ、残りの分を一息に収めることになるか。
一際高く、高く上がる嬌声。
衝撃を緩和するように呼吸を試みるも、しゃくり上げるような呼吸では尚更に自分を追い詰めるばかり。

落ちた涙の粒に、その指は伸びる。
それでも、体の下、突き上げる動きに応じるように、腰を揺らす。
自ら悦い箇所にその切っ先をと、ただ快楽を求めるままに委ねる。

シーツへと突いていた掌は、無意識的にその腹へと移動する。
汗と混ざった血液が、腕を伝ってそのガウンを点々と汚した。]


 ……っ、ぁあ あ、 …… っは、 ……
 は、……ぁ……

[達したのだろうと察したのは、内に流れ込む感覚から。

見下ろした自らの茎は、区切りのように達した様子はない。
ただ、突き上げられる度に零れた先走りは、だんだんと色を濃くしていったのだろう。
二人分の体の隙間へと、溢れさせた白濁は添う。]

 ……ッ、ん、 ……ぅ、う、

[それごとを引き剥がすように腰を持ち上げ、内で達した茎を抜き取る。
傾ぎかける体。
それでもその体へと倒れずに支えたのは、支えておけと告げられたから。]


【人】 石工 ボリス

[落ちない赤を水で落とす、何度擦っても落ちやしない。
 これは誰の赤だ、それさえも曖昧で。

 不意に後ろから声が聞こえた。]

 ────あ、 あ、ヒュー。

[傷だらけの体と、羽織られたシャツ。
 腕に巻いた白もなく、包帯も外された状態で。]

 ……ん、終わった?
 巻き直す前に、体洗うとくか。

[声は震えない。
 いつものように緩く笑みを浮かべて、シャワーを一度止めると側へと寄った。
 掛けられた衣服を脱がせようと冷えた手を伸ばす。]

(13) 2014/12/27(Sat) 12時半頃

石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 12時半頃


【人】 石工 ボリス

[伸ばした手に一歩、置かれる距離と制止の声。
 問うような瞳に向けるのは、細い目。]

 阿呆。
 どうせ後処理もしとらんのじゃろ?
 んな状態で包帯なんか巻けるか。

[開かれた距離を詰めることは出来ない。
 代わりに手を伸ばし、頭を撫でてやろうとしたが叶ったかどうか。]

 なんも痛くはせんけ、……おいで?

[自ら離れて腕をたくし上げ、先にカランを回す。
 今度は暖かく心地良いと感じる程度のお湯をシャワーに変えて。]

(15) 2014/12/27(Sat) 13時頃

【人】 石工 ボリス

 んーな、拗ねた顔しなさんな。

[立ち上る湯気が視界を少し悪くする。
 それでも逸らされた視線は見えて、小さく苦笑を洩らした。
 一度向けられたその背を眺めていたが、ゆるやかに視線はシャワーへと向かう。
 脱ぐ瞬間なんぞ見られたくはないかもしれないと、今更そんなことが気にかかって。

 憮然とした顔がこちらにやってきたなら、息を短く吐いた。
 安堵とも溜息とも取れるようなそれの真意は、湯気に溶けてしまえばいい。]

 邪魔じゃけ、のけるよ。

[巻きつけられたタオルは、反抗されてしまう前に手にかけた。
 体を洗うというのに、この上なく邪魔であったから。
 取り払ってしまうと彼を立たせたまま、指先は肌を滑り落ちていく。]

(21) 2014/12/27(Sat) 13時半頃

[苦笑という作り笑顔を零し、シャワーへと落とした表情はどんなものだったか。
 湯気が何もかも隠せばいい。
 どうせ、似合いもしない傷ついた顔をしているのだ。
 傷付く権利など、ありもしないのに。

 性急に剥がしたタオルは、そのまま足元へと落とした。
 他の雄の香のつく、邪魔なもの。
 その体を他の相手には晒すのに、自分には晒したくないのかと。
 包帯に巻かれたその傷口を、誰にでも簡単に見せるのかと。
 酷く醜いものを裡に湛えて。]

 ……気持ち悪かろうが、我慢し。

[シャワーの取り付けられた壁に彼を向かせて、強引に腰を突き出させた。
 指がなぞるのは、誰かと繋がっていたであろう場所。
 とろりと、いまだ白濁の残るそこに触れて。]


[真白のタオルが、床の水滴を吸っていく。
腰へと伸びた掌に、傾ぐ体を眼前の壁に腕を突いた。
注ぐ湯が、肌の上を滑っていく。
日頃、拭うだけに留めていた体を、暖めていく。

けれど、肌を赤く染めるのは、その湯が原因ではなく。]

 止め、 ……そこは、いい、
 自分でできる、 ……できるから、……ッ

[引き攣れた、懇願の声。
その一瞬で振り払えばよかったのかもしれない。
指が触れた瞬間、身体はびくりと硬直した。]

 ……ぅ、 く、

[咄嗟に飲み込んだ声は、悲鳴の音に似ていた。

歯を食い縛り、瞼を伏せる。]


【人】 石工 ボリス

[落ちた布が流れる湯を含む。
 足元のそれを、滑稽なものでも見るかのようにして
 零すのは、自嘲にも等しい。]

 我慢、し。

[落とした声は冷たかったのか、何かに震えていたのか。
 それとも何の表情も灯さない音だったのか。

 ただ彼に触れている指先だけは
 湯に触れていても、酷く冷たかったように思う。]

(23) 2014/12/27(Sat) 14時頃

[肌に朱が差す。
 背中にはずっと塞がらない傷痕、薄く滲む血。
 羽織ってきたシャツにもその染みがあるのだろう。

 懇願するような声と、悲鳴のような音。
 跳ねる体は、きっと先程まで淫らに揺れていたものとは違う。]

 ……すまん。
 少しだけ、我慢しとって。

[指先はゆっくりと窄まりをなぞり、中へと動く。
 痛みを感じぬように、爪を立てることはなく。
 ゆっくりと円をかくようにして、体内に残る残骸を掻き出して。]

 …、…ッ。

[指から滴り落ちるものを感じれば、息を止めて唇を噛んだ。
 背にしているからわからないだろうと、眉まで寄せて。]


 ……はー……ッ、 は、ッ、

[湯気の中、荒く、息を吐き出す。
突いた手の先、爪を立てようにも硬く滑らかな壁ではどうしようもない。

内に潜り込む冷たい指先。
先程まで貪欲に熱を咥えこんでいたというのに、今となってはその指先は拒みたい対象でしかない。
指に掻き出され、太腿を伝い落ちる白濁。]

 もう、 いい、
 大丈夫、だから、 ……大丈夫だから、……はやく、

[羞恥に声を震わせながら、それでも口にするのは命令ではない。
“お願い”と称されるような柔らかなものでもなく、ただ切実な、懇願。

蠢く感覚に、膝が震える。
薄く開いた視線の先。
未だ足りぬとでも言うように、自身が緩く勃ちあがりかけるのに、またきつく下唇を噛んだ。
その視界すらも、じわり、滲む。]


[荒くなる息が、他の音よりも何よりも聞こえる気がする。
 壁に突く手が何かを求めて引っかこうとしているように思えて。
 そこに『居る』のは、誰なのだろうかと思い描いては、息が洩れる。
 後ろからそっと肩に顎を乗せて、掠れるように呟く。]

 そんな…、厭か?

[中に残っていた誰かのものを、掻き出されてしまうのが。
 無理やりに、中を蠢く指先が。
 それとも、行為をしいている、]

 (───わし、が?)

[懇願に反するように、指先は入念にその残り香を掻き出して。
 肩越しに、前のものが緩やかに反応しているのを覗き見たけれど。]

 泣かんでいいよ、もう終わったけ。

[知らぬフリをして、漸く後処理から開放した。]


【人】 石工 ボリス

[息遣いばかりが耳につく、空間。
 床を打ち付けるのは雨か何かだとでも錯覚するようで。]

 ……ん、おしまい。

[すべて流してしまった。
 雄の香も、濁った白も。

 そっと肩に口付けを落として、体を離す。]

 頭洗うんは明日にしとき。
 今晩は寒いけ、風邪引くかもしれん。

[体は温まっただろうか。
 明日なんていってしまえば、彼はまた忘れてしまうだろうか。
 彼がこちらを振り向いたなら見せるのは
 無意識に眉を下げた顔。]

(28) 2014/12/27(Sat) 15時頃


 よしよし、よく謂えた。
 利口だ。

[己の名を発する赤髪に、子をあやすような口調になる]

 寝処にいる時は、様は要らない。

[呼び方はどうでもよかった。
が、この者は指図あった方が安堵しようと、
この男なりの気遣いのようなもの。

苦痛の雑ざる嬌声と己を包み蠕動する肉壁の刺激に、
低く快楽の呻きを漏らす。
事を終え、最後まで崩れ落ちることを堪えた身体を抱き寄せれば、褒美とばかり髪を撫でた]

 ―回想:了―


[厭なのか。
きっとその答えは、是なのだろう。
自らの欲のまま内で受け止めた、他の者の精の後処理をその指に委ねるのが。
止めろという声を、聞き入れられない事が。

そこには決して、「クアトロだから」という個の情報は、入り込まない。
肩越しにかかる声、首はただ、逸らすように俯くのみ。]

 ……っ、 ひ、 ……ぅ、

[終わったと、肩に触れた声と唇にその声に膝の力は抜ける。
湯に暖められた床に、そのままぺたりと座り込む。
赤い髪を、降り注ぐ雨のような湯が濡らす。]


 自分で、……できるって、言っただろ、……
 ……お前が、こんな事する必要、何処にもないんだ、

[洗えと、自分が命じたわけでもない。
ただ、初めに架したのは「包帯を変えろ」とただその一言のみの筈。]

 ……俺が上の人間だから、そんな気を利かせてるってんなら、
 そんなの、……要らない、

[片手で掌で顔を覆いながら、水音に紛れぬ程度の声で、呟く。
もう片方の手を足の間に突いたのは、ほぼ無意識に。
少しでも、自身をその視線から隠そうと。]


[逸らすように俯く首を、ただ眺めていた。
 終わりを呟けば、ぺたりと座り込んでしまった体。
 背を、頭を湯が打つのだろう。
 降りしきる雨のように。

 悲鳴のように聞こえる声が落ち。
 搾り出されたような声が紡ぐ言葉を聞く。

 必要ない。
 気を利かせてる。
 要らない。

 覆われた顔と、隠そうとしているものとを見下ろして。]


【人】 石工 ボリス

[力の抜けた体を、はじめは無言で見下ろしていた。
 落とされるいくつかの言葉をただ聞いて。

 椅子を手繰り寄せ座るのを見て。
 泡だっていく手の中の泡を眺める。
 振り返ることすらない背中。

 床に落ちたタオルを拾い上げ。

 男は彼の体を、後ろから抱きしめていた。
 シャワーで濡れることなんて、どうだっていい。]

(35) 2014/12/27(Sat) 15時半頃

 阿呆、か。

[拾ったタオルで隠したがっているのだろうそこを、覆う。]

 誰が、何が楽しゅうて、
 野郎のセックスの後処理なんぞせないかんのじゃ。

 気ぃ利かせて? 命令でもないのに?

[抱きしめる腕は強くなる。]

 んなもんッ、…──出来るわけねぇだろ。


 
 
 
 ───俺が、厭なんだよ。

 お前が誰かに、抱かれてんのが。



[泡はシャワーに流れていってしまっただろうか。
 溶けて、消えてしまうのだろうか。
 忘れていいといった言葉のように。]


 ……クアトロ?

[声色が、違う。
声色だけではなく、口調すらもか。

腕の力が強くなる。
折れてしまうような華奢さは無いものの、それでも息苦しさはある。
この苦しさは、単に物理的な要員から齎されるものなのか。

命令でもないのに、自らの身を洗い流す理由。
告げられる言葉、眉をきつく寄せて。]

 んなこと言われて、……俺に、どうしろっていうんだよ……

[今はまだ、寝台の上、交わした言葉は覚えている。
けれど、一晩、二晩とすぎる内に、あっというまにその記憶は遠のいていくのだ。

自分が誰に抱かれたのか。
正確な人数も数も、全くといっていい程に覚えていないというのに。]


[泡の洗い流された掌は、抱きしめる腕にそっと触れる。
この腕の暖かさも、苦しさも。
きっとどこかに忘れてしまう。

ほんの僅かに、傷跡のような違和だけを残して。]

 クアトロ、……

[細い声で、名前を呼んだ。]


【人】 石工 ボリス

[湯に流されていく。
 荒く泡だったシャボンが、つるりと逃げた石鹸が。
 目もくれず、抱きしめる腕は少し強くなるばかり。]

 … …、ヒュー

[震えるなと裡で何度言い聞かせても
 この時ばかりは声が震えた。]

(43) 2014/12/27(Sat) 16時半頃

 クアトロ、じゃない。
 本当の、名前は……ボリス。

[今の今まで忘れていた名前を口に出す。]

 ……そう、だな。
 謂われたところで、迷惑なだけか。

[掠れて震える声から、飾りもしない言葉が落ちる。
 それもきっと泡のように消えてしまうのだろう。
 息苦しさを与えていると判っていながら
 抱きしめる腕を、離せない。
 緩めてやれる余裕など、部屋の前で嬌声を聞いたときから
 とっくの昔に失っていたのだから。

 何回目の『初めての男』なのだろう。
 それでも、構わないなんて馬鹿にもほどがある。]


[触れる掌に、手を重ね。
 慈しむように撫でる。]

 何度でも、謂う。
 お前が忘れるなら、俺が何度でも謂う。
 わしが、何度でも謂うけ。

 じゃけ、忘れてええよ。

[忘れたのならまた囁こう。
 見えぬ傷を、何度心に負ったとしても。]



 ヒュー、愛しとる。



[報酬でも、対価でも、見返りでもなんでもなく。
 ただ君を愛してると囁いて。]


石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 16時半頃


[水音には決して掻き消えぬ距離の中、本当の名と囁く理由。
抱きしめる力は緩まない。
腕に触れた手にその掌が重なるのに、息を呑む。]

 ……ボリス、

[その音が、口に馴染まないのも当然か。
何時の日からか、彼は自分の中ではクアトロという存在だったのだから。

忘れてもいい。
本当に、忘れてもいいのだろうか。

本当に忘れてもいい言葉を、こんな声音で囁くものなのか。]

 ………、俺は、

[応える想いを、自分は持っているのだろうか。
忘れ、遠ざかることで自らを守っている、自分に。]


 ……何度も口にしなくても、いい。
 俺を愛する必要は、無い。

 きっと俺は、また忘れちまうから。
 ……そしたら、……お前が、傷つくだけだろ、?

[言葉を、一つ一つ、選びながら。
知らず、腕に触れた掌に力を込める。

忘れられても、何度も、何度でも。
この空間で時間が続く限り、何度も、何度も、永遠に。]

 ……お前が傷つくことで成り立つ永遠なら、
 そっちのほうが、俺は、嫌だ……。

[自分の知らぬところで、深く誰かを傷つける。
そんなことを、喜ばしいと思う者が、何処にいようか。
互いを守ると口にしながらも、それは酷く、独り善がりの思いだ。

―――ならば、他にどうしろと?]


[重ねた手を、強く握り締める力などない。
 いや、そんな勇気などない、が正しいか。]

 クアトロは、昔殺された『俺』の、名前じゃ。

[今はそこまでしか思い出せないけれど
 ここへ来て、その名前しか名乗っていなかったように思う。
 だから謂いにくいのも口馴染まないのも仕方がないと
 苦笑を零すのが精一杯の強がり。

 零される音は、温かな雨粒よりも鮮明な声。
 音量はさしたるものでもないのだろうが
 反響して落ちるのは、浴室にでは、きっとない。]


 うん、そうじゃの。

[必要不必要で、誰かをここまで想えるものか。
 不要と謂われ、そうですねと切り捨てられるものか。
 そう思いながら、吐き出すのは了承の意。

 傷付かないわけはない。
 それでも、きっと気持ちが揺らぐことはないのだろう。

 だから、頷いてみせる。

 彼をこれ以上、傷つけないために。]

 お前さんは優しいねぇ。
 わしなんぞいっくらでも、傷つければよかろうに。

[ふは、と笑みを零し。
 それでも顔はまだ見せられなかった。
 きっと、きっと歪んでいよう。]


【人】 石工 ボリス

[心裡を吐き出せば。
 誰にとも知らず流れていく、灰色の排水溝。

 腕が剥がされるのなら、それは容易だっただろう。
 籠もっていた力はすっかりと、シャワーで流されてしまった。
 無理やりの笑顔が見えれば、遠慮もせずに額を軽く叩こうか。]

 ぶっさいくじゃのぉ。
 わしゃ馬鹿じゃけ風邪なんか引かんわい、余計なお世話じゃ。

 しゃーなし、図書館でまっといたるよ。

 ───『また今度』な?

[見上げられる瞳。
 殺された【クアトロ】の左目と、ボリスの右目とが見つめ返す。
 作るのは笑み、緩やかで優しい弧を描いて。
 この館では意味を成さない『また今度』を囁けば。
 包帯を巻き直す時の手つきで、優しく彼の頭を撫でた。]

(48) 2014/12/27(Sat) 17時半頃

【人】 石工 ボリス

 ちゃんと体拭いて、あったかいまま寝るんよ?
 お前さんこそ風邪引かんように。

 あと、はよ傷治し。

[治らないものだとわかっていても、どうしても口にしてしまう。
 傷が治れば、包帯巻きなんて必要がなくなるだろうから。

 男は濡れたままの服で、部屋へと戻った。
 一度足を止めたが、それも一瞬のことであろう*]

(50) 2014/12/27(Sat) 17時半頃

[彼から離れる間際、そっと落とすのは額への口付け。
 昨夜の『おやすみ』のような、微かな。

 そして背を向けて、一度だけ立ち止まる。]

 ……のぉ。

[振り向くことは出来ずに。]



 愛さなくていいのは『命令』?

 それとも『お願い』?



[どちらであっても───*]


石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 18時頃


[クアトロと、その名の経緯を語る声に、眉を下げる。
何故、その名を名乗るのか。
殺されたのは『俺』だという、ならば今の彼は何者なのか。

馴染みの筈の者だというのに、明かされるの面々は知らぬものばかりだ。
踏み込む勇気は、膨らむ戸惑いに圧倒され、それ以上の言葉は紡げない。

踏み込んだところで、理解者になれるというのか。
またそれも、忘れてしまうかもしれないのに。]

 ……話なら、
 いつでも、聞けるから。

[口にしながら、その言葉が今この場には全くそぐわないものだと思う。
それでも、何かを口にしないと、押し潰されそうだった。]


[了承の返事を得た時、わずか安堵したのは事実だった。
その言葉の裏、真意がどうであれ、言葉という形で示されるのは、有難かった。

傷は、癒えるべきものなのだ。
忘れていい、ものではない。
忘れたところで、傷が無かった事になるわけではない。

そう思うと同時、背の傷がじくりと疼く。

優しいと、自分を称す言葉に首を横に振る。
何度も、何度も、首を横に振って。]

 ……臆病なだけだ、

[零れた笑い声に、涙が零れそうになる。
けれど、彼が無理矢理にでも笑うのであれば、自分もきっと笑うべきなのだろう。

そうして、作り笑顔を貼り付けて。]


[『命令』と、『お願い』と。
どちらかを問う声に、返したのは。]


 ……好きな方を、取ればいいよ。

[そんな、『選択肢』。
傷つきたくないからど、命令することで身を守ることもできたのだろう。
けれど、そちらを提示しなかったのは。]

 ……っ、

[唇を噛み締めながら、体を拭い、部屋を出た時と同じ服に袖を通す。
酷く時間をかけながら、釦を留めて。

浴場を出たのは、きっと随分後になる。*]


[渇いていた。
喉が渇いていた。

だから躊躇いなく、口をつけた。
その傷口を歯で、爪で広げて、溢れる血を獣のように啜った。

“友人”はもう抵抗する気力もないのだろう。
否、既にその時死んでいたのか。
死にたくないとその一心で、喉を潤していた自分にはもう、判別がつかず。

月明かりの元でも赤く、ぬめる血液が口を、喉を、胃を満たしていく感触。
血に汚れた顔をふと上げれば、佇む黒髪の男。]

 ………夢、……?

[ただの、夢なのだろうか。

夢にしては、あまりにも生々しい、その感触。]


[浴室での情景は、裡に染みている。
 優しくないと、臆病だと首を振った姿も。
 話なら聞けると、告げてくれたことも。
 男はそれに、結局頷きしか返さなかったけれど。

 何か思い出したら話してみようか。

 ───『また今度』。

 張り付いた無理矢理の笑みに
 噛み締めていたのは奥歯。

 代わりに優しく、優しく、あたまを撫でて離れた。]


 
 
 ……おぅ、そーする。


[与えられるのは『選択肢』。

 ならば選ぼう。
 『命令』でも『お願い』でもないその言葉を。

 残念ながら従順になど、従えはしないのだから。]


【人】 石工 ボリス

[一度部屋に戻れば、いつ洗ったんだか覚えてもいないタオルで体を拭き。
 適当な服を手にして、袖を通した。

 図書館につけば、それからはいつものように。
 露になる傷を手当し、包帯を巻きつけていく。
 鎖骨に彩る朱に指が触れても、平静を装って。
 包帯は少しだけきつく、多少雑用をしても緩まぬように。
 けれど結び目は。

 誰かの手で解けるように、ほんの、
 ほんの少しだけ少し緩く。

 そしていつも落とす背中へのまじないは




 ───落とさないままに**]

(61) 2014/12/27(Sat) 19時頃

石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 19時頃


─ヴェールの向こう側─

(あの時は、なんの絵を描いていたんだろう。)

[たゆたう記憶、揺れる漣。
 向かうのは孤島?
 違う、窓ひとつない『アトリエ』だ。]


[【クアトロ】がカンバスに向かう。
 描かれるのは懐中時計の溶けた奇怪なものや
 極彩の黄色で描かれた向日葵や
 主と弟子の12人が食卓を囲むようなものまで様々だ。

 筆を走らせれば、硬貨が積もる。
 けれどそんなものに興味などなかった。

 描けることを許されていたのは資料に写されたもののみ。
 資料はいつでも柱のように積まれ
 ひとつ描き上げた頃には、また一冊積み上げられた。

 そして三日に一度は様子を見にやってくる『誰か』。
 その誰かは呪いの言葉を掛けていく。
 体を重ねるのはどこか、儀式めいていた。]


 
 
 
    「忘れないで。

     キミは、ボクを、愛してる。」
 
 
 


[終わりのこない永遠。

 ただひたすらに続くものだと思っていた。
 終わりなど考えてもいなかった。

 そこには幸も不幸も、何もなかった。

 永久に終わりが訪れたのはいつだったか────…]


【人】 石工 ボリス

─朝─

[すう、と目が覚める。
 夢を見ていたように思う、が、靄がかかって思い出せない。

 欠伸を零し、大口をあけた反動で
 昨日自分で拵えた頭の傷が、ずきんと痛んだ。
 なのに咄嗟に抑えたのは、胸。]

 ……はて?

[なんぞついにぼけたかと、ぼさぼさの頭をかきむしる。
 そういえば、バンダナがなくなっていた。
 どこに置いてきてしまったのだろう。

 何か大切なものに、巻きつけた記憶はあるのだけれど。]

(66) 2014/12/27(Sat) 20時頃

【人】 石工 ボリス

─食堂─

[男はその日珍しく、食堂へと足を向けた。
 いつもいるのだろう面々が席に座っていて。
 いつもこない自分の席なんて何処であったか覚えてすらいない。
 適当に丁助[[who]]の横の朝食たちから、カフェオレだけを手に取った。]

 ヒューは

[大丈夫なのかと口にしかけて、止まる。
 丁助が心配そうな表情をしていたし、主も話をしているようで
 男はそれ以上口出しすることはない。
 感情の読み取りにくい細い目だけを向けると、心配している意が伝わるよう
 ふっとだけ、困ったように笑っておいた。

 夢の話は気になろうとも、昨夜の断片が介入することを拒ませる。]

(68) 2014/12/27(Sat) 20時頃

【人】 石工 ボリス

 『死』じゃけね、不吉なろ。

[飄々とした、男よりも不思議な言葉遣い。
 嫌いなことまで知りもしないが、左目をウィンクさせてみせる。]

 (──看病じゃったらわしのが適任じゃろ、ハゲ。)

[耳端に聞こえた会話>>69に、ありもしない毒を裡に吐いて。
 部屋に戻るなら後で看病に行こうか、と。
 けれど今自分が行っても気まずかろう、と。
 感情を押し殺し、いったん食堂の奥へと向かう。
 探し出して咥えて来たのは、昨夜手付かずにしたガレット。
 ゴミ箱の餌になっていたから、救い出してきたところ。]

 ……ヒューが呼ぶんじゃったら。

[作法も何もなく、カフェオレを啜り。
 クロワッサンではなく、拾ってきたガレットを食べ。
 また必要ないと謂われるだろうと思いつつ
 珍しく丁助の横の席に座る。]

(76) 2014/12/27(Sat) 20時頃

[寝静まって動きが少なくなってから。そっと半分保ちながら、半分無くした意識で呟いた。]

 すき、

[届いたかどうかは定かではないし届かせるつもりもない。
ただ、吐いてしまいたかったから。**]


【人】 石工 ボリス

 ほれ、要らんとよ。

[弓なりに曲がる唇、ふらつきながらも出て行く姿。
 追いたいと思いながら、追うなと心身を制す。

 机の下、誰にも見えぬ位置で動きそうになる拳を握り締め。]

(80) 2014/12/27(Sat) 20時半頃

ボリスは、ヒューの背中を見つめて。

2014/12/27(Sat) 20時半頃



(───目、腫れとったな。)

[昨夜あの後、泣いたのか。
 そうさせた原因は、自分であるか、他にあるか。

 そんな時に、傍に居てやれないなんて。

 その背を追ってはならない、なんて。

 『愛さなくていい』、…なんて。]


【人】 石工 ボリス

 べ、つに 、ほっとくた、いうとらん、じゃろがい!

[『命令』にぐっと眉を顰める。
 いや、顰めたのはもっと別の事に対してだが。
 ガレットを全部口に詰めると、早急に飲み下す。
 看病するならするで必要なものがあるわけで。

 立ち上がると同じ髪色を見下ろして。
 先程の何やら初心な反応や会話と、耳にした後に。]

 同じ髪色じゃのに、何一つ似とらせんのぉ。

[は、と鼻で笑った。]

(84) 2014/12/27(Sat) 20時半頃

 …………さんきゅ。

[ぽそりと同じ髪色の男にだけ落とす。
 『命令』がなければその背を追えなかったし、追わなかった。
 『命令』をありがたいと思ったのなんて、初めてだろう。

 ありがたかったからこそ、
 そう思った最低の自分に、眉を顰めたのだ。]


【人】 石工 ボリス

 オカマはだまっちょれよ。

[対してほど近いオニイサマに向けるのは、そんな悪態。
 振られたなど、今は一番聞きたくもない言葉だ。

 謂われなくても判っている。
 細い『死』の瞳で一瞥して。

 食堂を去り、看病に向かうこととなる。]

(85) 2014/12/27(Sat) 20時半頃

[去り際にくあとろから落とされた礼の言葉に関しては、
何故言われたのか分からなかったので気にしない事にした。*]


【人】 石工 ボリス

─ →ヒューの部屋─

[洗面器にタオルを浮かべヒューの部屋まで運ぶ。
 中途半端に開いたままの扉から中へ入れば
 微か、まだ別の臭いが漂っていたか。
 シーツがその臭いを湛えたままなのだとわかっても、本人が眠っている状態。
 起こすわけにもいかず、換えることもできず。

 風に揺れる髪をそっと撫でては、絞ったタオルを額へと乗せた。
 少しばかり冷たいかもしれない。

 だから、と。
 起きるまで、目を覚ましたらすぐに出て行くつもりで。
 眠る彼の手をそっと握っていた。

 昨日ほど冷たくはない、温もりのある指を弱く絡めて*]

(89) 2014/12/27(Sat) 21時頃

石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 21時頃


[ふと、笑うオカマの表情がよぎったりもしたか。
 なにが全裸で雑用だ、受けて立つからもう一度オカマ呼ばわりしてやろう。

 振られた相手の背中を追える、嬉しさに、眉を顰めていた。
 手まで握り、時折はそっと頭をなで。
 そうしていれば馬鹿みたいに
 やがて、頬は緩んでしまうもの。

 何度も落とす『愛しとる』が忘れられないものになればいいのに。

 そう、思いながら*]


 
 
 (──ああ、違うな。)


[忘れられないのではなく。
 忘れたくないものに、なればいいのに*]


石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 21時頃


ボリスは、丁助と同じ色の髪を愛しげに梳いている。

2014/12/27(Sat) 21時半頃


 ……で、 ……良いんだよな?

[確かめるように、小さな声で尋ねたのは、朧に形の残る昨晩の事を思い出してか。

違う名があると、告げられた。
しっかりと自分へと告げられた筈なのに、それすらももう曖昧だ。
長い名ではなかった気がする。
けれど、そんな些細な事すら覚えていられないなんて、とんだ笑い草じゃぁないか。

自分が情けなくて、ただそれだけで、涙が滲む。]

 ………っ、

[涙腺が弱くなっているのは、身体が弱っているからだと信じたい。]


【人】 石工 ボリス

[愛しい指先に絡めた指。
 新しい傷があったのを見つけて、再び割れてしまわないようにそっと撫ぜる。

 やがて頭にのせたタオルが動き。
 瞼が緩く押し上げられたのなら。]

 ん?
 ……起こしたか、すまんの?

[呼ばれて、細い瞳を向ける。
 指先は起きたらすぐに離すつもりでいたのに。
 繋いだまま、離したくなくて。]

(104) 2014/12/27(Sat) 22時半頃

 ふはっ、構わんよ。

[本当の名前は別にある。
 けれど、彼が己を【クアトロ】として覚えているなら。
 きっとそれが、今の本当の名前。

 何やら息を詰める音。
 うっすらと腫れていた瞼がまた、涙を滲ませていて。]

 また怖い夢、見たんか?

[もう片方の手を伸ばし、そっと指先に掬う。
 怖がらなくていい、安心していい。
 でも泣き止むなとは謂わず。]

 傍におるけ、大丈夫よ。

[ゆっくりと、言葉を紡ぐ。]


 じゃぁ、やっぱり、……もう一つの名前のほうが、正しいんだろうな、

[その反応に、静かにそう悟る。
これで、自分の記憶がどれほどに曖昧なものなのか、彼も理解してくれただろうか。
今はただの穴あきの記憶かも知れない、けれどそのうちに、細かな断片すらも消えていくのだろう。

耳に、かろうじて残る、愛してるの響き。
あの音も、表情も、全て。

怖い夢は見ていない。だから首を横に振る。
涙を隠すべくタオルをずらすも、目尻から落ちた涙はタオルの縁から零れていく。]

 どうして、……忘れるんだろうって、
 ……忘れたくないことも、全部、……全部、忘れちまうのは、……何でだろうって

[子供のように、泣きじゃくりながら、言葉を吐き出す。
不安も、恐怖も、猜疑心も全て内包したような声。]


 ……どうしたら、いいんだと思う……?

[そんな事を、彼に聞いたとして答えが得られるはずないというのに。
言葉にせずには、いられなかった。]


【人】 石工 ボリス

 ほ、か。
 食べんだら、アルジサマが悲しそうにするけ。
 はよ元気になって、食ったらんとの?

[己がよくよくその顔をさせているのは百も承知だ。
 けれど、彼は違う。
 お預けされた犬のようだとしても、いつも食卓に居るというのなら
 きっとそういってやった方がいいのだろうと思うから。

 タオルは手繰り寄せられて、目元にかかる。
 眩しいのか、冷やしたいのか
 ───隠したいのか。]

 ん。
 要らん謂われるまで……謂われても。

[縋るように繋がれた指を、きゅうっと握る。
 無骨な指は少し荒れた指を撫ぜて、離さない。]

(117) 2014/12/27(Sat) 23時頃

 お前さんが呼んでくれるなら、『おい』でも『なあ』でも
 なんだってかまん。

[すぐに曖昧になる記憶、抜けていく記憶。
 初めて押し倒した夜を覚えているだろうかなんて聞けば、もう記憶にはないのかもしれない。
 彼の記憶は他の誰よりも曖昧な気がする。
 そんなこと、ずっと知っていたことだ。

 ずらされるタオルが吸いきれず、目の端から落ちていく涙。
 案外泣き虫だなと、そっとタオルにてをかける。
 少しでも嫌がればやめるつもりで。
 タオルを外そうとするのは、その瞳を見たいから。]


 忘れたくなかったら、わしに話すとええ。
 わしゃお前さんのことなら、絶対忘れん自信があるけ。

[実際は完璧に覚えられているかなんてわからない。
 けれど、自信にだけは嘘はなかった。]

 それでも忘れたくないなら。

[ひとつ息を置く。
 止めて、彼を見つめて。]

 わしと、どっか行ってしまおうか?

[忘れたくないと思ってくれていることが
 男のことなのだとしたら。]


[ それは面白い申し出であるように思われた]

 薬を飲まないとは悪い子だ――と、
 あやつなら謂うであろうな。

 つまり、吸血をしてみたいと?
 試してみるか?

[ガウンだけ羽織った己の喉元は既に晒されている。
吸われたらどうなるか、脈が目立たせるよう喉を逸らす]


 忘れたんは、消えたんじゃなかろ?
 いつかふっと思い出すかも知らん。
 今は忘れてたいことなんかもしれん。

[きゅっと、手を握って髪を梳く。]

 傷と一緒なんかも知らんよ?
 痛いけ、治らんけ、見えんように包帯巻いて。
 ちゃんと癒えたり、痕になってしまえば
 案外どってことなくなるんかも知らん。

 じゃけ、忘れたくないなら。
 思い出したいことがあるなら。

 一緒に、旅にでもでたらええよ。

[夢物語でも語っているようだ。
 でも、本当にそうしてしまえたらと。]


【人】 石工 ボリス

[繋ぐ手の愛しさに、瞳が細くなる。
 唇は緩やかに弧を描く。
 まるで夢のような絵画を描く。

 それからふっと思い出す。
 バンダナは彼に巻き付けたのだと。

 大切なものに巻き付けたのは間違っていなかった。

 ほら、彼のことならなんだって思い出せる。]

(121) 2014/12/27(Sat) 23時半頃


 ん? ふふ、口で?
 
[自分はデザートには手を出さずに、丁助の向かいの椅子に腰掛け赤ワインを飲みながら、彼の話を聞いていたのだが、

丁助が、自分の足元に跪き、足に手を絡め、上目遣いのそれは、まる猫の様。]

 下位の俺に?

[彼の顔を見落ろし、うっとり笑ながら、その髪を指で梳き。yesともnoとも応えずに、彼の好きな様にさせ。酒で気分が良い。このまま快楽のまま眠りにつきたい。*]


今起きたばっかだしそこは?許してもらおうかな。
それはアルジサマならいいそうだけどね。

試す?

[意外な言葉に少々驚きながら好奇心が鎌首をもたげる。こくり、と喉が動く様子は煽られているみたいで白い肌はうちに脈を隠していると告げている。]

本当に?いいの?上位なのにとか言わない?

[確認を取りながら間合いをゆっくりと詰めていく。目を細め、良しと言われるならその首筋に噛つくだろう。]


[かぷ。

皮膚を突き破ることのない歯は力を込めるから少し痛みを感じるだろうか?
僅かに舌に乗る血をちゅっと吸いながら舐めとり、口を離す。

鉄錆の味は鼻に突き抜け、喉に張り付く。]

うん、悪くない。

[そう笑いながら感想を。]



 言わぬ。

[簡潔に許可を出せば、イメージされる吸血鬼の犬歯とは程遠い尖りと大きさの歯が肌を掠める]

 ……ッ。

[痛みは僅かで、その噛み傷はごく浅い。
それでも顔を顰めくぐもった息をひとつ吐き。
受け入れた後その感想を聞き、若者の様子を眺める。
吸血の恍惚を感じた風でもない淡泊な様に違和感]

 ……ふむ。

[考え込む素振りを見せ]

 まあ、悪くない味なら良かったと思おう。
 大丈夫だ、シュロには黙っておく。
 



 付き合わせてすまなかったな。

[血の流れる首元に手を遣って] 

 俺はまだ暫く、ここでこれの練習しようと思う。
  
[ひとりで集中したいと謂う意味込め、
鍵盤に手を置いた**]


[それでも、そのタオルが外されれば、濡れた赤い瞳がその顔を見上げるだろう。
瞬きの度、涙は溢れて次々落ちる。

自分よりもマシだとはいえ、彼だってきっと、そこまで多くを覚えていられるわけでもないだろうに。
その僅かを、自分の為に割いていいのか。
不安げに、眉は寄る。]

 ……ここを離れたら、……多少は、覚えていられる、かな、
 お前の名前も、……声も、言葉も、全部、……

[それが、とても魅力的な提案に思えたのは、きっと気のせいではないのだろう。
全ての約束も、言葉も、自分の心の揺らぎ全て、覚えていられるのならば。

けれど、それは同時に、]

 ……忘れたいことも、……全部…… 思い出して、しまう……?

[震える声で、言葉にする。
世界は、そうも都合のいいようには、できていないだろう。
その掌を握ったのは、半ば無意識で。]


[タオルが落ちるのも構わず、体を起こす。
傾ぐ、重い頭を支えながら、それでも腕を伸ばし、指は繋いだままその頭を抱く。

その首元に顔を押し付け、緩く首を横に振る。]

 ……覚えていられないのがこの場所のせいだとして。
 忘れていられるのも、この場所のお陰だと思う。

[苦い記憶も、傷の痛みも。
それを逃げだと言われようとも、永遠に逃げていられるならばそれもある種の救いと変わる。
忘却は、害と同時に救いでもあった。

少なくとも、自分には。]

 ……もし、いつか俺に、全部を受け止められる覚悟ができたら、
 旅に出るのも、悪くないかもしれねぇな、って。

[『もし』『いつか』
それは成されないであろう、不可能にちかい不確定の未来への言葉。
けれど確かに言葉にした真意は、それが紛い物ではないと誓うようなそれ。]


[体を離し、タオルを拾い上げる。
再び寝台に横たわれば、自らその額にタオルを広げて。]

 ……昼まで、寝る
 寝たら、また、忘れそうだけど、

 ……体、怠くて、

[涙の跡の残る顔のまま、目を閉じる。
繋いだ指に篭められた力を、そっと緩めた。]

 クアトロ、……、 ……いや、

[曖昧に揺蕩う意識が、それを拾い上げたのは、ほんの偶然で。
それでも、忘れないように、言葉に紡ぐ。]

 ……ボリス、?


[その考えから意識を逸らすように、また彼がなんぞ探って来ないように、彼のスラックスを寛げてしまう。]

 あっしがしたいからするんだよ。

[彼の物を外気に晒させると、れろと一舐め。
男の其れなどどう舌で慰めたらいいのか分からぬが、好きなように弄ぶ事にした。

鈴口だけ口に含むとちゅうちゅうと吸ってみたり、下から上へべろりと舐め上げたり。
最後には喉の奥まで彼の物をすっかり口の中に収めてしまった。

程なくしてあっしは望んだ苦い甘味を味わえた。*]

 えへ。美味しい。


【人】 石工 ボリス

 腹へっとるなら、大丈夫じゃの。

[何も口にしたくないなら考えものであったが
 そうでないのなら体は大丈夫であろう。
 吐き出すのは軽い安堵。
 ただ隠していただけで、心配していたことにかわりはない。

 ならば後で主のところにでも行かねばなるまい。
 昼食はミルクリゾットをひとつ頼むと。]

 ……かまんよ。

[微笑んで、彼を見つめる。]

(139) 2014/12/28(Sun) 01時頃

[溢れ落ちる涙を幾度か見つめ。
 綺麗だなと、その雫を指に掬う。
 続く言葉には、ああ、やっぱりと苦笑を洩らした。
 本当に、何故そうも自身ばかりを痛めつけているのか。]

 忘れたら、何度でも自己紹介しちゃるよ。
 なんべんでも喋っちゃるし、なんべんでも呼んじゃるよ。

 ヒュー、愛しとるよって。

[忘れられる度に男が傷つくじゃないかと、彼は謂った。
 そんな永遠は嫌だと謂った。

 傷付かないはずはない。
 でも傷付くのは、忘れてしまう方だって一緒だ。

 なら忘れる度に何度でも
 覚えていてほしいと願いを込めて
 繰り返し、伝えよう。
 そんな永遠も、嫌だと彼は謂うだろうか。]


[はたりと、タオルが落ちる音がする。
 聞こえる言葉は、きっと『怖い夢』のことだろう。
 手を繋いだまま、硬い髪にもう片方の指が絡んで
 引き寄せられてから感じるのは、体温、匂い、色彩。
 首元には、涙の落ちる顔が押し付けられて。]

 忘れたいこと、思い出したら。
 わしが、忘れさしちゃるけ。

 一緒に、夢にしちゃるけ。

 また思い出したくなったら、二人で思い出せばええさ。

[そんな都合よくなんていかなくても。
 怖い夢を見る夜に、独りになんてしたりはしない。
 逃げたいときは一緒に逃げよう。
 立ち向かいたければ、一緒に立ち向かおう。

 隣にいて、傍にいたい。
 臆病で泣き虫で不器用な彼の。]


 ふ、はっ。
 そうな、うん。
 いきなりじゃもんな、そら、そうじゃわな。

[『もし』『いつか』なんて、いつ訪れるかも判らぬ言葉。
 けれど前に落とした『また今度』とは違う響きで。]

 多分全部受け止めようおもたら、重くて潰れるぞ?

[それでも、その日が、『いつか』『きっと』。]

 
 
 ───忘れずに、待っとるよ。
 
 
 
[訪れることを願って、抱きしめた。]


[拾い上げられたタオルは、再び額の上に。
 横たわるのなら手もかしただろうか。
 それでも繋いだ手はまだ離さずに。]

 ん、そうし。
 わしが聞いたけ、忘れとったら思い出させちゃるよ。

 じゃけ、安心して寝り。

[涙の跡は指先が拭う。
 目を閉じた彼の瞼に、触れるか触れないかの口付けを
 落とそうかと顔を近づけて、]

 ひゅ……、……ッ…

[紡がれた名前に、ぱたと音がした。
 額のタオルにしみこんでしまったから
 音の正体はわからなかっただろう。
 わからなくていい。
 自分自身でも、わかっていない。]


【人】 石工 ボリス

[眠ってしまうまで、指先は離さないまま。
 撫でて、熱くなってしまった指で撫でて。

 寝息は聞こえ始めただろうか。
 確認して、漸く名残惜しそうに手を離す。

 そっと、そっと瞼に落とすのは口付け。]


 おまじない。


[怖い夢など見ませんように。
 忘れたくないことを、忘れませんように。]

(140) 2014/12/28(Sun) 01時頃

 あっ 、あはは

[彼が身を乗り出し、スラックスをくつろげ、下着をずりおろして自身に触れる。握ったグラスの中身が危ういと、いっぺんに飲み干したあと、後ろの棚の端にグラスを置く。]

 …、っ

[外気に触れ、彼の舌が先端にふれ、その感触に俯き快楽の予感に耐えたが、その後の舌の動きは不慣れで、ちろちろと弄ばれる様。]

 、ふふ、かわいい

[赤い髪に指を埋めてそれを鋤き。
性的快楽をもたらすというよりは、ゆるゆると、達するには至らない鈍い快感。

もどかしく頭を抱えてその口の中を使い、蹂躙してやりたくもあるが、それは耐え。]

 どうせなら、またがってほしいね


【人】 石工 ボリス

 
 
  今日は無茶をしないこと。

          “お願い”。


               【4】


[部屋には一つだけ書置きを残した。
 名前を書かなかったのは、忘れてほしいからではなく。
 忘れてもいいなんて意味でもなく。

 ただ、一粒涙が落ちるほど

 嬉しかったから*]

(141) 2014/12/28(Sun) 01時頃

[そう強請るが彼はどうしても口でしたいのか、ようやく全てを口に収め。]

 じゃあ、口を上下に動かして

[拙げな動きをする彼に要望を伝え。]

 口は不慣れ?
 ふふ、初めてしたみたいだね

[下への触れは、慣れている様にも思えたのに
それとも、これも彼の手管なのか

拙いとはいえ、次第にせりあがってくる
快感には目を閉じ、

  その後、彼の喉奥に欲をぶつけ]



 美味しい?
  悪趣味だね…

[自身のものに口付けた彼の唇に、そのまま口付け。]

 不味いよ

[そう呟いて*]


【人】 石工 ボリス

[ヒューの部屋を後にして、男は迷わず主の部屋へと向かった。
 昼が来る前に、ごんごんと扉を叩くが
 さて反応はあったのかどうか。
 あろうがなかろうが、中には居るのだろうと踏んで。]

 昼飯、いっこミルク粥にしてくれ。
 腹はすいたいいよったけ、なんか食いやすいやつ頼む。

[それから少し、謂い難そうに口篭り。]

 ……ガレット…は、…食ったけ。

[朝食もカフェオレは飲んだ。
 それだけは告げて、逃げるように去った。
 それでもやはり定時に出てくる食事は苦手だ。
 何故苦手なのかは、まだ靄の奥深くだが。]

(143) 2014/12/28(Sun) 01時頃

【人】 石工 ボリス

─自室─

[それから男は自室に帰り、カンバスと向き合っていた。
 男は思い出そうとしている。
 何故【クアトロ】が死んだのか、【ボリス】はなんなのか。
 曖昧な記憶のヴェールの向こう側。
 何があったのかを思い出したい、と。

 思い出せたら、描ける気がするのだ。
 描けたなら、思い出せる気がするのだ。

 金髪の吸血鬼にたきつけられたように
 このカンバスに『好きな者』を。]

 まだ。
 でも、『いつか』そのうち…、いや。

 『絶対』描く。

[去り際かけられた言葉には>>129そう、答えたのだったか**]

(144) 2014/12/28(Sun) 01時半頃

石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 01時半頃


[愛している、その言葉は留めておけるのだろうか。
忘れたことすら忘れてしまえば、傷だって傷まなくなる。
それでも、痛みを感じぬ自分を前にしても尚、傷を負ってもいいと、彼は笑うのか。]

 ……いつでも、諦めてくれて、いいから。

[一緒に、二人で。
重ねられる言葉に、そう返したのは、やはり僅かの罪悪感から。
それでも、今直ぐ止めろと口にしなかったのは、その想いに少しでも触れていたかったから。

『もし』『いつか』自分に確固たる自我が根付いた時、その想いに返せるのだろうか。
裏切ってしまうかもしれないと、その想いに脅えて口に出せない言葉を、告げられるのか。

忘れずに、待っている。
その言葉に小さく、頷く。]

 覚えておいて、……俺の代わりに、

[その懇願ごと、その腕の中へと。]


[ボリス、本当の名と告げた彼の声。
その短かな音の響きを、忘れないように。

異を唱える声は聞こえない。
間違っていないのだろう、覚えていられて、よかったと思う。

額の上へと落ちたもの、微かに立てられた音は、シーツの衣擦れに紛れていく。
疑問を口にする気力も、既にない。]

 ………、

[深く、息を吸い、息を吐いて。]



 そう、俺と寝た?
 じゃあ、俺はあんたに
 情をくれと、愛を強請ったのかな…

 そして、お前は俺を騙した

[ニコラスの言葉に目を伏せて笑い。
過去の記憶にはない関係。
自分は相手の情を請う。

気持ちのない交わりは、後で苦痛なだけだ。
遊びとも割り切れずにいる。
きっと元の生業のせいだ。]


……情を強請って。
情を沸かせて。
それでも時が過ぎればあっさり忘れて捨てるのよ。
貴方はそういう人だわ。

……騙したのは……僕じゃないだろ?

[続けられた言葉には、自然と顔が強張って。
最後の言葉は今の己が吐き出したものではない。
色も輝きもを喪った蜂蜜色の瞳は、何処か虚ろな様でジェレミーを見て。
動きの止まった指先から、さらさらと流れ落ちる金の髪が、彼と己を繋ぐ視界を遮る。
瞬きをする一瞬前、彼を射抜くその目に、深い闇に似た熱が篭って。
それは写真からこちらを睨むのと似ていたが、目の前の彼に届くか。]


 吸血鬼って… 嫌だね

[ぽつり]*


[自分を嫌う人間の声なんて聞こえない振り、見ない振り。
それが若い頃の記憶の全てだ。]



 たかだか数年でこうは成らないからな。
 俺に流れた時間を知りたい。

[ それと、これからの時間と。
死を望んだことはない。だが、先にある時間は有限なものであって欲しかった]

 まだ死にたいのだったか?

[流れる金の髪を見つめる]


石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 17時半頃


[じぇれみがもし囁きかけられる位置に居るのなら、こう囁いたろう。]

 お前さんは「真実」って物に興味は有る類の人間かい?


 さあ、あなたは知ってるの?

[知ったその真実が、不幸なら
 どのみち忘れてしまうのだろうか?]


[そう、あっしの部屋で。
そこにあっしは真実を記している筈だ──]



 ……僕?

[口調と一人称の、の違い。
騙したのはお前だと、なじる言葉。
 
伏せていた視線を彼に向けた時
一瞬、あの写真でだけ知れた
繕わぬ表情の彼が居た]

 ニコラス…

[自分は会話している相手のことを名前で呼ぶ事はほとんど無い。だけど、ついて出た彼の名前。]

 そうだとしたら、俺はお前に、
 「俺」を殺せって命令したのかもな…



 俺の生き死にんなんて
 どうでも良いと言ってなかった?

[まだ、死にたいのだったかと問われて、テーブルに頬杖をし、伺う様に笑い。]

 そういや、あんたは俺と寝た事ある?
 
 あはは、一度くらいは、
  俺はあんたを口説いたかもしれないね

[ニコラスとの会話を思い出しそう笑い。]


 ―或る日―

[雲が途切れ、また陽が入り。
昏く翳っていたその場所を照らす。
男は足許に転がるものを見る。

揺れる金の髪。
蒼ざめた膚は、最早生者のものではない]

 ……ぁ……。

[目の前掲げた、痺れて色を失くした指先が、
小刻みに震えるを不思議そうに眺める。
『それで良い』耳を打つ、囁きの気配に振り返れど、
黒衣の魔女はもうどこにもいない]


[やがて遠く喧噪の声がする。
森を抜けた先に或る城には吸血鬼が棲むと謂う。
其処に城があったか、其れがいたか、真実は不明。
だが、まともな人間は誰もその場所に寄り着こうとはせず。

だから、其処へ逃れようと走り出した。
生き場所を願ってか、或は逝き場所を願って**]


ー或る日ー

[握り返した手は吸血鬼である私のそれよりも冷たかった。

私の記憶はあの日からでいいのだと思う。
それまでは孤独な死という日々を生きていた。

古城を訪れる影一つ。
この吸血鬼の城をわざわざ訪れるとは誰だろう。
迷い込んだ妖精か悪魔か。
吸血鬼である自分以外に幻想を体現する存在は
目にしたことはなかったけれど。

ともかく私のことを恐れもしなければ迫害もしない
彼が人間であるとはその時は思わなかった。

だから彼に手を差し出した。*]


【人】 石工 ボリス

─自室─

[男はカンバスに向かって座り、無言でひたすらに筆を走らせている。
 筆先にのせるのは青。
 晴れた空を描く筆。

 新しい色をのせようとして。

 赤い絵の具をチューブから出したところで手は止まる。]

 …………、…。

[赤い、赤い、いろ。
 この色に見覚えがあって。
 なんだろう、思い出せば。

 愛しい人を描ける気がするのに**]

(324) 2014/12/29(Mon) 23時頃

石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 23時頃


[最初に自分が手を差し出したあの子。

あの子と出会ってから、それまでの孤独とは違う時間が流れるようになった。

あの子が人間だと知り、いつかその日々が終わりを告げてしまうことを知った時、私はそれに抗う術を考えた。

その結論が吸血鬼である自分の血を少しずつ取り込ませて彼を不老にすること。
ついでに彼の記憶を失くさせて吸血鬼だと思い込ませれば、
彼はきっと自分と永遠に一緒にいてくれるだろうと思った。

だからそうした。]


[それから、自分とあの子が安心して暮らせる場所を
探して世界中のありとあらゆる場所に行った。

途中訪れた島国は閉鎖的な所でとてもじゃないが
吸血鬼の隠れ住むような余地はなかったが、我が子が増えた。

いつしか身を落ち着ける場所を見つけ、
「クラン・ドゥ・サン」と名付け、
仕事を任せられる執事も見繕い、
平穏で安寧な日々を過ごし……………]


 私を独りにしないでくれ……。


[見上げた姿は、想像していたものよりずっと優しいものだった。
差し出された手は、冷ややかなものではなかった。

ただただ、寂しげに見えて、その手を握り返した時。
孤独な紅い眸に、仄かに揺れる灯の見えた気がした]

『いい子だ』

[何百回、それとも何千回となく繰り返し耳にした、
何時もの声。
永い間、その声の届く場所が己の居場所だった]


【人】 石工 ボリス

 ん、…?

[どのくらいの時間がたったのか。
 いつも不思議に聞こえる鈴の音が、耳には届かずに。
 届いたのは、コンコンとなる扉の音。]

 お、ヒュー? どしたよ珍しい。

[二度の高い音に立ち上がる。
 この部屋に誰か来たことがあったか、記憶は定かじゃない。
 大抵男は図書館で、童話の本を重ねていることが多かったから。

 扉を開ければ、男の背後からは油絵の具の匂いが漂う。
 赤い髪を迎えれば、どうしたと首をかしげ。
 珍しいことに驚きと、微かな嬉しさとを内包した表情で彼を見るが
 息が微かに上がっているように思って。]

 体調、まだ悪そうか?

[心配げに向く【4】は、メモに残したものと同じ。]

(341) 2014/12/30(Tue) 00時半頃

石工 ボリスは、メモを貼った。

2014/12/30(Tue) 00時半頃


【人】 石工 ボリス

 そうじゃな。
 そいえば、来たことなかったかのぉ。

[体調については何も返ってこなかった。
 心配ではあるが、こうして動いているのなら少しは回復したのだろう。
 何かあれば抱き抱えてでも部屋に寝かせに行けばいい。

 何やら一気に喋る様子と、伝えられた言葉を【4】は受け止める。
 余程何か忘れたくないことがあるのだろう。
 彼が描く『夢』、それもまた気にならないはずもなく。]

 後じゃのぉて、早い方がええん違うか?
 お前さんさえよけりゃ、今書くけどどするよ。
 あー、あと、部屋の中汚くてもええならじゃけど。

[なにやら興味を示したらしい部屋の中を見せる。
 そこは大きなカンバスと、辺りに散らばる画材の山。]

(352) 2014/12/30(Tue) 01時半頃

【人】 石工 ボリス

 覚えとるかのぉ。
 『インスピレーション』。

[少し進展したのだが、さてあの日の事を彼は覚えているだろうか。
 インスピレーションが降りてくるのを待っているんだと話した日の事を。
 その肌に朱の花を降らせ、バンダナを巻き。
 幾度口付けを交わした『初めて』の日の事を。]

(353) 2014/12/30(Tue) 01時半頃

【人】 石工 ボリス

 早い方がええなら。
 時間くらい空けるよ。
 忘れたくないことはわしに謂えばええって謂うたん、わしじゃし。

[散らかりが気にならないと告げられたなら、彼を部屋に迎え入れる。
 ベッドの上を片付けながら座る場所を確保しつつ。
 言葉を告げる彼の様子が、あの日話した時のようで。
 なんだろう、きっとなにか『怖い』んだろうかと。]

 阿呆。
 わしゃ、お前さんより体つきええんじゃから。

[重荷になんてなるわけがない、と囁いた。
 彼の頬に手を伸ばし、そっと触れて。
 持ち上げれば、目は合うだろうか。]

(357) 2014/12/30(Tue) 02時頃

【人】 石工 ボリス

 そ、『インスピレーション』。

[首を振る姿。
 想定していたことであるから、傷付くことはさしてなかったけれど。
 それよりも少し驚いたのは続いた言葉。
 いつもなら、常ならきっとそこで終わっていただろうに。]

 ん、教えちゃる。
 ヒューの忘れたくないこと、教えてもらったら
 交代で教えるかの?

[まるで記憶の交換のようで。
 ふ、と表情が少し緩まった。]

(359) 2014/12/30(Tue) 02時半頃

[かつて、その本を読んだ時、似たような話もあるものだと思った。
だから、きっとありふれた事だったのだろう、下働きの者を酷く扱う事も。

物語と異なる点は、幾つもある。

例えば子供は奉公にでたのではなく、物心ついた時から既にその地位にあったこと。
追い出されたのではなく、酷く傷を負った夜、支え合うように“友人”と二人、月夜に駆け出したこと。
月夜の荒野で地を潤したのは、その一人の血液だということ。
抜け出した一人は、今も尚生き延びているということ。

酷く飢え、渇いた身体にその血液はよく沁みた。
美味だと、その時確かに思ったのだ。]


 その後に、主と会って、吸血鬼という存在を知った。
 ……それで、その衝動が抑えられないならと思って、薬を飲んで、きて。

[けれど、自分が本当に怖かったのは、血を口にすることではなく、生き延びる為に友すらも利用する自分の浅ましさなのではないか。

掌で、顔を覆う。
不思議なもので、言葉にするとそれらは連鎖的に途切れずに連なっていく。
そこで一度、言葉を切る。]


【人】 石工 ボリス

 次来るときは、もっと綺麗に片付けとこわい。

[くしゃくしゃのシーツの上に座る姿を眺めた。
 そこで寝ることは少ない、普段は床に座って寝たりなどが多いからだが。

 彷徨う視線を捕まえてしまえば、此方も緩く微笑み返した。
 怖がらなくていいと、暗に告げる【4】。]

 ん、ちとまってな。

[少しの間体を離すと、何もかかれていないスケッチブックを取り出した。
 彼の忘れたくない記憶を、それに描こうとペンを持つ。]

(366) 2014/12/30(Tue) 03時頃

[男は隣に座り、スケッチブックを開く。
 彼の口から落とされていくのは、『怖い夢』の話だろうか。
 まるで民話にでもありそうな物語。
 赤い血を啜った、働き者の少年の行く末。
 “友人”を糧にした、吸血鬼の話。

 話を聞いている間、男は声を出さなかった。
 真っ白なスケッチブックの中にペンを走らせていく。

 ただ、時折隣に視線を向けては
 彼がどんな顔をしているのかを、見つめて。]


[止まることなく語られた話。
 やがて、顔が覆われて言葉は途切れる。

 同じように一度手を止めてペンを置いた。

 無意識に手はのびる。
 肩へと伸ばし、軽く抱き寄せようと。]


【人】 石工 ボリス

[スケッチブックにはきちんと、その疑問まで書き連ね
 そしてペンは一度置かれて、手はゆっくりと動く。
 彼の肩を抱こうと。]

 たぶん、もしかしたら要らんのじゃない?
 血を飲んだ記憶は……ないけぉの。

[思い返してみても、血を飲んだ記憶などない。
 男にあるのは、血を流した記憶と───]

(367) 2014/12/30(Tue) 03時半頃

[───人を殺した記憶。]

 …………。

[少しずつ、ゆっくりと、靄のヴェールが外れていく。
 生きるために友人を手にかけたのであろう彼の話を聞きながら。
 思い出すのは、男が『誰か』を殺めた理由。]


[語る表情には、笑み一つない。
彷徨う視線の先は、自らの言葉を追う。
恐怖よりも、嫌悪の勝る記憶。
けれど、その嫌悪を恐るならば、それすらも“怖い”夢となるのだろうか。

指越しの視線は、ペンの手の止まる方を見る。
伸ばされた指を拒むことなく、抱き寄せられるままに身体を預けた。]

 ……本当は、もっと沢山、覚えていないといけないんだと、思う。
 けど、……もう、あいつの顔も、思い出せない。

[年の頃も、性別すらも、
恐怖ばかりが勝ってしまい、それ以上を覚えていられない。]


 今話せるのは、ここまで。
 ……今晩も、薬、抜けそうなら、抜いてみるから。

 朝になってまた何か思い出したら、書いて貰えるか?

[最後にそう付け加えれば、微かに笑う。]

[自らの記憶に向き合おう、自らを記録していこう。
そう思った切欠は、何だったか。

例えば、覚えていられない愛の言葉だとか。
例えば、温かな食事の味の良さだとか。
例えば、書き留められない旋律だとか。

きっと、そんな些細の事の積み重ね。]


 ……うん。

[笑みもなく落とされていく言葉に、小さく頷いた。
 体重を預けるようにする体を抱き寄せて。
 本当なら強く抱き締めてしまいたかった。
 ぐっと、堪えて肩をとんとんとあやすように叩く。]

 そか。
 ……、…。

[今己は、酷いことを口にしようとしている。]


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