103 善と悪の果実
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善と悪の果実も ………
[くしゃり。赤い布のたてる音は、少女の耳には湿って聞こえた]
…嫌ね
[くちゃり、ぴとり。
赤は嫌いだって何度言っても、よく似合うよと笑う父親を
嫌いにはなれなかった]
捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 02時半頃
[濡れた烏の色は、闇よりも深い。
罪と命を塗り重ねた色。
温度のない、ニタリとした笑みを湛え。
喉の奥を不規則に鳴らした。]
犬は、飼い主に従順なんかじゃない。
喉笛を噛み千切る機会を、今か今かと狙っているんですよ。
――大人しいふりをして、ね。
[濡烏、鉄錆、酸化した銀、煤にまぎれた―――赤。]
[赤く彩られたその髪飾り。
熟れた果実のような色。
金を彩るその赤に、濡烏はつうと細まる。
まるで罪の証のようじゃないか。
金の林檎に滴る赤を髣髴させて、僕は笑った。
そう、―――わらったんだ。]
嗚呼、あれが『善と悪の果実』。
[呟いた言葉はパーティの喧騒に紛れ。
その眼差しを知れるのは、そう。
同じような高さの視界を持つ者以外にありえない。
自慢げに披露する魔女の、露になった白い喉笛を見つめる眸。
今か今かと、時を待つ。
濡烏の眸を向けて――…**]
楽園に果実が落とされるというのならば。
―――――…私(わたくし)は、蛇になりましょう。**
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─邸内─
[窓から望む庭の風景も闇に沈む頃。 邸内は、灯り始めたガス灯やシェードランプの深い橙色の光に照らされている。
談笑する人々の声を背後に遠くしたまま煙草をポケットから取り出したとき。 近づいて来る足音があり、顔を向けた。]
「お客様」
[灰皿を載せた盆を手にした使用人が、男の傍らに立つと頭を下げた。]
「間もなく始まりますので、大広間の方へどうぞ」
[言いながら灰皿を窓脇に据えられた小さなテーブルの上に置く使用人の腕を一時目で追った後。]
…いや、いい。解った。 広間に行くとしよう。
[灰皿の礼を言いつつ煙草をポケットに仕舞い、窓を離れる。]
(15) 2012/09/24(Mon) 09時頃
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─広間─
[パーティーの開始を告げる場には、少々出遅れたようだった。 感嘆の声や、所々、小さな拍手の余韻が引いて行く中、広間の扉からは遠い壇上に目をやる。 輝く金色が見えた。
少なくとも人々の噂に登るその姿に、男も興味が無い訳では無い。 人の間を縫うように脚を運びながら広間の中央へと近づいて行く。
と、行く手に見覚えのある姿を見つけて立ち止まる。>>16 その傍らに、白いフード姿。 男は、眉を顰めた。
言葉を交わしているらしい2人の様子を暫く眺めていたが。 一旦、やり過ごす事にして脚を向ける先を変えた。
パーティーは、まだ長い。 今宵の一世一代の見世物を見逃す心配は無いだろう。]
(22) 2012/09/24(Mon) 12時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 12時半頃
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[人の間を進む中、一人の男の姿が目に止まる。>>19 黒い礼服姿、真鍮製のオペラグラスを手に、遠い金の果実を眺める横顔。
先刻、この男に向けられた嫌悪、もしくは、警戒。 暗く冷たい視線を思い出した。
―― 夕闇伯。
その名は、警官であれば大抵の者は知っている。 つまりは、互いに疎ましい間柄ということだ。 彼の横を通り過ぎようとして、ふと、その呟きが耳に届く。>>20]
―― 手に取られてみたい、とお思いですか? 流石に、この警備だと難しそうだが。
[すれ違い様、彼の耳元に囁くように言う。 伯爵がこちらを向けば、薄い笑みを浮かべて見せてから。 目礼をした後に、その場を去っただろう。]
(28) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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[広間を出たものか一時、悩んだところで。 一際目を引く、黒いドレス姿の女が目に止まった。>>23 屋敷を訪れた際に挨拶を交わした事を思い出す。
その傍らにある、小さな人影。 立ち姿から育ちの良さが判る少女だ。 見ている間、二人が会話を交わす様もあったかも知れない。
ちらりと先程の刺青の方を向く。 少し考えてから、通りかかった使用人を呼び止める。]
ノンアルコールを二つ。それと女性向きのカクテルを。
(29) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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[垣間見えた少年の笑みに瞬いた、その瞳には
不快も不安もそこにはなく、ただ理由を思う不思議と、好奇心がのぞいていた]
…変な子、使用人かしら?
[おそらくは招待客――果実に惹かれた一人だろうとは思うものの、同列に扱われることへの抵抗は薄れずに、視線を逸らした]
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[先程の2人が知り合いなのであれば、様子は見ておきたかった。 金と時間を持て余しているだけの放蕩息子だけであれば、さほど気にとめる事もなかっただろうが。
腕にかけたコートを持ち直し、女と少女の傍へと向かう。]
―― 失礼。淑女様方。
[声をかけ、こちらを向く目があれば一礼した後、穏やかな笑みを作る。]
もうご覧になられましたか? 黄金の林檎は。
(30) 2012/09/24(Mon) 14時頃
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[首を傾げる少女の言葉に、小さく息を漏らして笑う。]
…もう少し近くに行ければいいのですがね。 この人では。
[言いながら周囲を見渡す。
焦がれるように先程まで黄金の果実を見つめていた女。>>21 それから、見上げてくる少女の顔。二人を交互に見る。]
まぁ、始まったばかりだ。 いずれ、近くで見るチャンスもあるでしょう。
[程無くして使用人が運んできた飲み物を受け取る。 中身を聞いてから、二人へと促す。]
アールグレイアイスティ。いかがです?
[少女にグラスを差出しつつ笑む。 黒ドレスの彼女には、細身のカクテルグラスを勧めた。]
(33) 2012/09/24(Mon) 14時半頃
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[怖い、と言う少女の言葉。>>34 その幼さの残る面差しを暫し見つめる。 ここに渦巻いているであろう、羨望や欲を遠からず感じとっているのだろうか。 世に疎いであろうと思われる裕福な家の子供にしては、その視線は多感なようだ。
飲み物の礼を言われれば、軽く頭を下げる。]
それは良かった。 ああ…、申し遅れまして。 私は、ジェフ・エイムズと申します。 お二人は、ご同伴で?
[主には、少女に向けた問い。 貴族の幼い娘が、よもや一人でこのような場所に居る事もなかろう。 少女の大きな目が遠くの扉を追う先へ、男も目を向けたが。 彼女が探していたものには気づかぬまま。]
(37) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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[その途中、先程すれ違った伯爵の姿が目に入った。
―― 戯言。
隠された口元は、何を浮かべていたのだろうか。>>35 こちらの挑発に、狼狽える事さえなかった切れ長の目がちらりと脳裏に過る。
その場所を離れて行く黒い礼服の後ろ姿から目を逸らし。>>38 冷えたグラスを傾け、強い酒をあおったせいで微かに熱く感じる喉を潤した。]
(39) 2012/09/24(Mon) 15時頃
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[少女の口から出た、ブロワという家名には少しばかり覚えがあった。 かつては事業家としても名を馳せていた貴族の名だ。 当家の夫人が他界した後は、事業に失敗し家名も落ちぶれ、社交界から姿を消しているとも聞いたが。
会ったばかりだと話す少女が、少し甘えるような目で黒いドレスの女を見上げる様を見つめる。]
そうでしたか。 やはり、女性同士であれば打ち解けられるのもお早いようで。
[言いながら少女に微笑みかけ。 ふと、見上げてくる目に気がついたように瞬く。 そして笑顔に戻った。]
私も招待客ですよ。 身なりがこうな物で、仕事でいるのだろうと思われる方も居るようだが。
[無粋な気もし、自らの職業まで口にするには至らなかった。]
(41) 2012/09/24(Mon) 16時頃
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[自分の物言いに笑われてしまったと思えば、困った様に首を傾けて見せ。 率直な問いを投げられれば、隠す事も無いと答える。]
警官です。 以前、こちらのお屋敷の警護にあたらせて頂いた事がありまして。
[言った後、グラスを傾ける。 アイスティは残り少なくなろうとしていた。]
(43) 2012/09/24(Mon) 16時半頃
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[返ってきたのは素直な反応。>>45 それがどういった意図であるかは汲めぬまま笑みを見せ。]
面白いかと言うと…まぁ、どうでしょうね。 お仕事、ですか? [少女の暮らしぶりまでは解らないが。 貴族の娘が口から出るとなると訝しむ程ではあっただろう。 しかし、深くは触れず。]
まぁ、警官だけは。 よした方がいいかも知れません。
[そう言いながら自分のグラスも使用人の盆に返す。]
(47) 2012/09/24(Mon) 17時頃
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少々、煙草を。 淑女の前では失礼に当たりますからな。 それでは。
[少女と女に一礼すると、その場を後にする。 広間内を見渡し幾つかの顔を認めた後。 壁際のサイドテーブルの横に移動すると、煙草の煙をくゆらせ始めた。**]
(48) 2012/09/24(Mon) 17時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 17時頃
捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 22時半頃
[――それは幼い貴族の少女にも、
見覚えのある髪飾りだっただろうか。
まだ、ブロワ家が栄華を誇っていた頃。
遠い遠い昔。
学者が捨てられた時。
父母が最後の情けにと、持たせた髪飾りだった。
彼らは学者が其れを売り払って生活を凌ぐと考えたのだろう。
しかし、学者はそうはせず、髪飾りを大切に持ち続けた。
黒い蝶の髪飾りと対になる、赤い蝶の髪飾り。
かつてはブロワの屋敷に置かれていた筈だ。
今はもう、売られてしまったのかもしれないが]
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―回想―
[カクテルを渡しながら、ドレスの女の話に頷く。>>71]
そうでしたか。実は、私は未だよく見ておりませんもので。 それほど素晴らしい物であれば、私も一目はしておかなければ。
[ちらりと壇上に目をやった後、目の前の女に目を戻す。 やや熱っぽく、黄金の林檎の事を口にする彼女の様子に微笑んだ。]
貴女の我儘であれば、楽園の天使も許すでしょうがね。
[さらさらと口にする言葉は、女を前にすると出る悪い癖だ。]
(87) 2012/09/24(Mon) 23時半頃
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ミス・コリーン。あぁ…、中庭では失礼しました。
[彼女がテラスに居た事には気づかないまま。 名乗りを終えた後に目礼する。
少女の言葉を受けて周囲を見渡す横顔。>>78 そして、その目が慈しむように少女に下ろされる。
仲よさげに連れ立って見える様子には、再度笑みを作って見せた。]
(88) 2012/09/24(Mon) 23時半頃
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―― …まぁ、どのような職業にも苦労は付き物と言いますし。
[仕事の事に触れられれば、ゆるやかに首を横に振るだけでそれ以上は続けず。 うらぶれた警官が、自慢気に口にするような話もあるはずが無い。
少女を気遣う女の様子に、男は気づいたように顔を上げる。>>82 見知らぬ男が女性二人連れの元、長居するのもあまり良くは思われないだろう。 煙草を吸いに行くと告げ、二人の元を離れて歩き出す。
耳に残る、心地よく甘く胸に響くような女の声。 それを反芻しつつ、やがて壁際に辿り着くと煙草の箱を取り出し火を点けてから暫し一人。
広間の人々の様子を眺めた。]
(90) 2012/09/24(Mon) 23時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/24(Mon) 23時半頃
[母が最後まで大事にしていた髪飾り。
赤い蝶は、羽ばたくことができずに、ずっと屋敷に囚われていた。その羽を広げたまま、震えることすらできずに、ただ、ずっと。
そして今も、少女の手の中に。
対となるものがあるとは知らず、ただ母の形見として布に包んで持ち歩いていた。
待つ者のいない屋敷にはおいていけないと、鍵のかかった箱から出して、懐へとしまいこんだ。
ただ、持っているだけで、一人ではない気がしたから]
捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/25(Tue) 02時頃
[――否。
細める眸は果実だけを見ているのではない。
この大広間を見渡しているのだ。
誰がどんな表情をしているのか。
反応を窺っている。
出し抜く為の算段を。
あれを奪う計画を。
だから近づかず、遠巻きに。
恐怖や畏れなど、とうの昔に失った。]
どうすれば近くで見られるかしら
[グロリアに頼めば、と
幼い思考がゆきつくのは単純な帰結。
パーティーが終わったら、今度こそ会いに行こう。
金銭の無心というもうひとつの目的は、林檎を目にした時から頭の中から消え去っていた]
恐ろしい果実を持つ貴女は、さしずめ魔女のようだ。
[そこにはいない女主人を思い、唇が弧を描く。
あの林檎を盗み出せば、恐らく一生を楽に暮らせるだろう。
見せびらかすから悪いのだ。
目の前にちらつかせるから悪いのだ。
“魔女”は磔にしなくては――…**]
[その最中、壁際の椅子にかける少女の前を通過する。
黒い蝶は彼女の眼からもよく見えるだろう。
それは偶然を装うようで、
敢えて行った行為であったのだけれど。
行儀よく座る姿へ数瞬のみ視線を向けて、
にこりと柔らかな微笑みを浮かべた]
…お疲れですか? レディ。
どうかご無理なされませんように。
[囁くような声は、彼女以外には聞こえまい。
今はまだ、そう声をかけるにとどめて]
|
[それとなく注視していた招待客。 例の刺青の男が夕闇の伯爵相手に気色ばんでいる様子を、男は離れた場所から眺めていた。
一触即発、にも見えなくは無いが双方共、男には良い面識は無い。 仲裁に向かうような理由など元からなく、内心では成り行きを面白く思いながら冷ややかな目で見守る。
ふと、かかる声に気付きそちらを向いた。]
(130) 2012/09/25(Tue) 13時半頃
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[最初に目が止まるのは、ややくすんで見える桃色がかったブロンドの色。 テラスでグラスを合わせた時と変わらぬ穏やかな笑みを暫し見つめる。 煙草をふかし、彼女に笑みを返すまで少し間があった。]
どうも。ミス・ペラジー。
[楽しんでいるかという問いかけには応えず。]
生憎、私も未だ林檎を見れておりませんでね。
[煙草を持つ掌を口元にあてたまま暫く、浅黒い肌のその顔を眺める。 そして、視線を刺青の男の方にやって示した後、再びその顔に目を戻した。]
行かないんですか? お連れさんが何やら揉めているようだ。
(131) 2012/09/25(Tue) 13時半頃
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[離れた場所から注視する間、男は、刺青の腕が白いローブの腰に馴れ馴れしく回されるのを見ていた。 少なくとも、顔見知り程度の関係ではあるまい。
あの刺青の男にも、幾らか賭博の借りがあった。 この女が声を掛けてきた事も加えて不振に思わずにはいられず、男は、自分の身体が微かに強張るのさえ感じる。
それは、日常を何かに蝕まれ始めるのを危惧するあまりの、怯えなのかも知れないが。
薄い笑みを顔に貼り付けたまま、男は目の前の女を見詰めた。**]
(132) 2012/09/25(Tue) 13時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/25(Tue) 21時半頃
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[横を向き、煙草の煙を吐き出す。]
近くに行ってみようとは思いましたが。 まぁ、あれが無くなる訳もないでしょうし。 後でゆっくりと見に行きますよ。
[目を戻しても、そこにあるのは穏やかな笑みを浮かべた顔。 だが、その色に微かに苦いものが混じったのを見る。>>138 彼女の表情が何を言おうとしているかまでは解らなかったが。
続いた言葉には薄く細めていた目を僅かに開いて見せた。]
(146) 2012/09/25(Tue) 22時頃
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それは ――…、失礼しました。
[連れではない、と告げるその言葉を額面通りに受け取った訳でも無かったが。 謝罪した後に溜息を吐き、煙草をサイドテーブルの灰皿に押し消す。]
どうも…、余計な事を勘ぐる癖がありましてね。 ご不快に思われたでしょう。 謝罪いたします、ミス・ペラジー。
[もたれていた身体を壁から離し、女に目礼する。 そして、白いフードの中へ仕舞われる不思議な色の髪と、その指先を目で追う。>>139 傍らに立つその気配に、何事か考えるように黙った後。]
貴女は変わっているな。
[低く、呟くように言った。]
(147) 2012/09/25(Tue) 22時頃
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[一度、肯定した後に返される囁くような声。>>152 それには、フードから僅かに覗くブロンドの色や浅黒い肌を見る視線を、見上げてくる目に止めた。
一時置いた後に僅かに顔を上げ周囲を見渡し。 それから、再度目を合わせると笑む。]
蛇と人の子、ですか。面白い喩だ。
[微笑を湛える女。 時折、楽しげな、それでいて暗い光が過るのが見える様な気がする。]
(162) 2012/09/25(Tue) 23時半頃
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[柄の悪い男との仲を疑った事を思慮深いなどと言われれば、男は苦笑する。 先程、自分が見せた態度を前にしてもなお平然としている、まだ歳若く見える女。
変わり者は嫌いかと聞かれれば、少し言葉を選んだ後。]
淑やかな女性は魅力的だ。 だが、貴女はそれとは少し違う気がする。 ―― ミス・ペラジー。
[その名前を呼んだ後に、深い色の瞳を覗き込む。]
まぁ、謎めいた女性は、それ以上に魅力的ですがね。
[女の目の奥にあるものを探るように、そして男の生来の性は、誘うように。 女を暫く見つめた後、笑みを浮かべて細められた。]
(163) 2012/09/25(Tue) 23時半頃
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[烏の眸は射る。
そこには冷たい憎悪と羨望を持って。]
……………。
[言葉はない。
ただただ、“男女”と思わしき二人を見詰めている。]
[ただ、"蛇"はその強い眼差しに灯る意思を感じて]
――――――――…ふふっ。
[小さく、小さく、笑ったのだ]
|
[ここを“楽園”と喩える女の言葉には、小さく息を漏らして笑った。
仕事柄、特権階級の裏を知ることも少なくない男には、この林檎の宴と煌びやかな目の前にある光景は、その喩が陳腐に思える。 それを自分自身も口にしながら。]
貴女の言うように、蛇の紛れ込む禁断の楽園かもしれないが。 夢を見るのは自由だ。
[林檎を胸に抱くように、前に合わせられた細い手。 その手が静かに自分の方へ伸ばされるのを見れば、触れた時に指先を緩く捉まえる。
邪気無いように微笑みを浮かべたまま、真っ直ぐに見つめる目。 首を傾け、口元に緩い笑みを浮かべて返した。]
(176) 2012/09/26(Wed) 01時半頃
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夢の中の蛇、か。 いっそ蛇になれるのなら、まだ楽でしょうね。
[取った掌の滑らかな浅黒い肌に、口づけを落とすように頭を下げる。 それから顔を上げ静かに手を離すと、流れるブロンドを包む白いフードに指先を触れた。]
綺麗な髪だ。フードは下ろされては如何かな?
[女の目を覗き込み暫し見つめた後。目礼する。]
また後程。ミス・ペラジー。
[そして、男は脚を運び出し、女の前を離れて人波の中へと入って行った。]
(178) 2012/09/26(Wed) 01時半頃
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[黒い蝶が、羽ばたいている]
……… ぁ
[小さく洩らした声をかみ殺して、唾を飲み込む。
赤い蝶が眠る薄紅よりも、ずっと鮮やかな流れるストロベリーブロンド。
近くで見ればそれはやはり同じようで
でも自信がなかった。
赤い蝶を起こして確かめる気はなかったけれど]
……ええ もう随分よくなりましたの
[少し強張った笑顔。
今はまだ、見送るのみで]
…………ふっ。
[笑みには笑みを。
黒く塗りつぶされ、光さえ灯らぬこの眸に
“蛇”のような女の顔を刻み込んだ。]
[少女の髪の赤へ。
そして林檎と似た色の髪へ。
その視線の先。
――否、その眸。
甘い林檎の蜜を啜ろうとする、そんな眸を烏は捕らえる。
微笑を向けたのは、扉をすり抜けるほんの一瞬前。]
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