207 Werewolves of PIRATE SHIP-2-
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[爪と言えば、ヴェラを想像してしまう。
ほとんど無意識に、それを避けようとしていた。]
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[噂をすれば本人が来た。>>278 下っ端は、ヘクターがどうとか言おうとしていたので、本人なら知っているのではと、ついでに訊ねてみようと思ったが、この様子では彼も知らなそうだ。]
……荒いな。
[既に静かになった下っ端をゲシゲシ蹴る様子を見て、ぽつりと零す。]
[トマト煮を口に運ぶと、ネズミの尻尾が入っていた。 構わず食べた。]
(286) 2014/12/12(Fri) 23時頃
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[名を呟きながら、味を想う姿に釣られる様に喉を鳴らす。]
[道化が、その仮面の奥で何を想っているのかは、まだ分からない。
まさか、己の境遇を思われ、憐れまれていようなど。
ただ、彼の推察通り、家族というものの記憶はない。
しかしそれに孤独を感じたこともない。]
理屈ではない、か。
[つまり、己の認めたものを”仲間”と呼ぶという意味か。
成程それなら一理ある。納得もいく。]
───群れ?
いや知っている。
たとえばこの群れの長は、おまえだろう。
[ただ群れの解釈に、若干の差異が合ったかもしれないが。]
[思わず突っ込んだのは、色々噂が立つ様な内容だったと言うよりも。]
何故嘘を吐いた?
ばれたら、あんたも巻き込まれる。
[船長が人狼だと知れば、恐怖に怯えている連中も、
それこそ死に物狂いで命を奪いに来るだろう。
そんな危険な真似を、何故、と視線は咎めるものに。]
そういう意味ではない。
[ヴェラの答えに苦笑する。
知識としてではなく経験として知っているかと問いたかったのだが。
いや、そもそも群れの概念が違うのだろう。]
君は私のことは仲間とは認めてないだろうに。
[彼がどんな生を歩んできたのかはまるで想像もつかない。
孤独などものともしないその姿は同族でありながらまた別の違った生き物のように見えた。]
ギリ―、後でその傷見せろよ。
[泣いていないと言ったギリ―と、彼の怪我に聲を上げた船長。
ヴェラとの会話も耳に入れながら、この聲が繋ぐ者達だけは
助けたいと言葉にしないまま、ギリ―の傷を気遣った。]
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[ネズミの尻尾はコリコリして硬い。 やや時間をかけて咀嚼していると、耳障りな声>>302がまた更に騒がしくなった。]
…………。
[咀嚼を諦めた尻尾を飲み込み、溜息をつく。]
(308) 2014/12/12(Fri) 23時半頃
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巻き込まれたかったからだよ。
[ミナカの問いへの返しに、聲の調子に愉しむような色が乗る。]
La faim chasse le loup hors du bois.
飢えは狼を森から追い出す。
[私は歌うように唱える。]
覚悟を決めるためだ。
仔を護る為に…船員たちを裏切る覚悟を。
[「仲間たちを裏切る覚悟を」と言いかけたが、そもそも最初から仲間ではなかったなと言い換えた。]
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[食事の手を進めながら、集まった者達の間で交わされる、人狼に関する会話に耳を傾けていた。
船長が人狼だったら……>>302と言い出すニコラスに、幾つかの意見が向く。]
人狼だろうが、そうでなかろうが。 あの男が、この船で最も他者に畏れを抱かせる存在であるのなら、おれはそれに従うまでだ。
[人か、狼かなどには、興味はない。]
(316) 2014/12/12(Fri) 23時半頃
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……あんた、何でそんな優しいのに、無理するんだろうな。
[唄う様な返答に、また泣きそうになる。
泣きたいのは赤子なのか、自分なのか、もう判らないほど
彼を仲間と慕う想いは強く。]
俺はあんたを尊敬するよ、ヴェラ。
[2人の会話を聞きながら、その孤高の強さを羨んだ。]
[甲板に一つだけ残っていた死体を抱えるとその死体を海に落とした。
もちろん、一口二口味見をしてからだ。
唇と指についた血をぺろりと舐めとる。
それからはあと吐息を吐き一言。]
嗚呼……美味。
ミナカ、
[グレッグが動く刹那、ガリリと左耳を掻いて叫んだ。
現実的な声は間に合わなかったが、
咄嗟に彼を呼ぼうとした思考は、伝う。]
優しくなんかないし無理もしてない。
[ぴしゃりと言った。
デジャヴを感じると思ったら昨日グレッグにも同じ事を言われたのだったか。
そんなつもりは、断じてない。決して。]
俺は大丈夫だけど、大丈夫じゃないな。
[ギリ―の呼び掛けに反応はしたが、不可解な言葉の説明をする
理由は今は無かった。]
ミナカ 死ぬ困ル
あの仔 生きル
[それが優先すべき何よりの“命令”であり、
男の中に芽生えた細やかな望みだった。]
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[セシルのオルガンが聞こえてくる。 調律の音は耳障りだが、曲になれば嫌いではない。
過去に幾度か、セシルがオルガンを弾いている傍らで、壁に凭れてうたた寝をしているこの男を見たことのあるものもいるだろう。
だからなおのこと、そこに混ざる料理人の声>>342が不快だった。 苛立ちは、普段殆ど音を立てることのない食事の食器が、何度かカチャリと鳴ったことが現しているかもしれない。]
……うるさいな。
[独り言ち、空になった食器はそのままに、席を立つ。]
(350) 2014/12/13(Sat) 00時頃
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俺はいい。彼を黙らせないと船長が死ぬぞ。
[ギリ―の想いを嬉しいと思う余裕もなく、
口にしたのは船長に疑惑が向くと言う不安。]
待った…一体何が起きている。
何処にいるんだ。
[囁き交わされるギリーとミナカの聲を聞き、
何かが起こったのだと気づく。
私は第三甲板へと降りる足を急がせた。]
仲間?
おまえは、おれを仲間だと思っていたのか。
[少しだけ驚いたように問う。
この船に乗る事になった時から、ずっと変わっていない。]
───俺としては、極端な話、おまえが人狼であろうがなかろうが、どうでもいい。
おまえが、他者を畏怖させる存在であるのなら、それに従う。
そうでないなら、おれはおまえに牙を剥く。
それだけだ。
[もし、公に、人狼であることが知れたとしても、それを曲げるつもりはない。
だから、やがて食事の席でニコラスに問われた時も、そのままに答えたのだった。*]
[あの時。
あやしてくれたその手が落ちるのは。
その命が、落ちるのは。
この聲を交わせる者が死ぬのは。
嫌だった。]
───あの煩い声、止めても構わないか。
[静かな男にしては珍しく、幽かに、感情の乗った聲を、どこかへと響かせる。]
なんでもいい。好きにしろ。
[煩い声とはどれのことかは分からないが、今はそんな場合ではない。]
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[オルガンの音に、耳障りな声が混ざり続ける。>>362 その騒音から逃れるように、第二甲板から立ち去るが。
その間際、気付いた者はいたろうか。
声高に歌う料理人を、男が、静かに真紅の眼で睨みつけたことに。]
(375) 2014/12/13(Sat) 01時頃
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おれ、狼なれナイ
カシラ 本当の仲間 なれナイ、おれじゃ
あの仔、大事
[漏れ聞こえていた聲の遣り取りを聞き、
男は漠然とそう思っていた。
所詮、聞こえる“人間”でしかない自分では
彼が求める存在には成れないのだろうと。]
[どれだけ血を絞っても、手当もしても助からないのかもしれない。
焦る自分が何を理解しているのか、理解したくなくて。]
セシルを守る前に、自分を守れ。
[初めて、祈った気がした。]
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[階段の途中、身を潜め、耳を澄ます。
耳障りな歌を、聞き逃さないために。 料理人の動向を探るために。*]
(378) 2014/12/13(Sat) 01時頃
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ギリー…お前は唯一、私が最初から仲間だと思ってた者だ。
孤独な船の旅の中で。
[刃を振り下ろしながらグレッグを睨みつける瞳に力が入る。
――けれども、グレッグは自分に恐怖を抱かない貴重な存在だ。
些かの躊躇いも私の中に存在して。*]
違う。違う。違う。同じじゃなくても。
[ギリ―の言葉を必死で否定する。
泣いているのは誰なのか。
震えそうな聲を必死で抑えた。]
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