人狼議事


208 【突発誰歓】ーClan de Sangー【R18薔薇】

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視点:


[跳ね上がる声は、申し訳なさげに喋る普段のものと同一の喉から発されたかに思えぬほど甘く耳打つ。
声に揺れる腰ち握りこんだ手の中で硬さを増し先濡れする竿が、
己に更なる昂ぶりを齎す]

 ん。

[気配に応えるような声は、外にいる者の名であろうと推測する。
如何な用かと、鎖骨の赤に目が止まった頃には既に立ち去った後。
そういえば、己はこの者の名も知らないままだ。
いや、嘗ては訊いたのかもしれない。
何時からか、人の名を覚えることを止めた己の記憶にある名はニコラスとシュロのみ]



 無論、そのつもりだ。

[入れていいかとの問い掛けに、
答える間もなく、傷持つ腕が自ら後ろへと廻り何やら動く]

 それが素か?

[敬語でなくなった問いに微笑み]

 俺の名を知っているか?

[問いを重ね、片手をこの者が弄る同じ場所へ向かわす。
傷に触れ、指先に血を滲ませ、解そうとしている窄まりへ重ねる]

 無茶をするな。
 お前の血で濡らせば……ほら。

[指先で周囲を濡らし、涙溜め、試そうとしていた指を入れさせる]


 どうだ? 
 爪立てぬよう、ゆっくり掻き回すことだ。

[やがてそこが馴らされれば、座らせた姿勢のまま、
圧迫するように挿し入れて。

落ちぬ涙は乾いただろうか、更に潤みを増しただろうか、
腰を突き上げるよう動かしながら、指の腹で目の縁を擦る]

 ………、………ッ。

[徐々に己の呼気も荒く浅いものへと変わり、
血と汗の匂いが大気を湿らす。
どちらが先に達したか、己の精は脈動と共に内奥へと放たれる]


[シャワーを出して手を伸ばす。
 冷たい水が肌を打って、体温が奪われている。
 だからか、小刻みに震えているのは。

 流れ出る色は酷く澄んでいて
 洗い落としたい赤など滲みもしない。

 何故だろう。
 なぜ、手が赤いのだろう。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[永遠に適した場所。
きっとそれは、正しいのだろう。
病も無く、飢えも無く、そして死すらも無い。
約束で縛られることも、時間に忙殺されることもない。
ただ、緩急のない日々が、時間が、過ぎていく場所。

ふと思い出すのは、談話室の絵。
白衣の渡し守が、船を寄せる先。
それがあんな寒々とした島ではなく、こんな甘やかな時間の流れる地だとすれば、―――]

 ……、

[優しくは扱わない。
その言葉に、ただひとつ、頷きを返す。
優しさを求められる立場ではない。
脅える必要はないというだけで、自分には十分すぎるくらいだ。]

(8) 2014/12/27(Sat) 12時頃

[その手の中、弄ばれるように指が動けば、先走りが絡む音。
音が、耳の縁から脳の芯へと沁みていく錯覚。]

 っは、……はッ、……ぁ、 

[その視線が体を這う。
鎖骨の一点で止まるのに、薄ら、昨晩の断片を思い出すか。
指先の動きの仔細を、言葉のやり取りの全てを、思い出すことまではできず。

持ち上げた腰の下、窄まりに触れる熱の切っ先。
未だ硬く閉じた其処は、息乱れた状態では自らの指すら拒んでいる。
もどかしさに瞼を閉じるも、問いかけに視線ごと上げられる。]

 ……素、……なんだ、と、……思う、……

[そも、敬語が身につかなかった最たる理由は、かつて主人の前で口を開かなかった事にあるのだろう。
敬語も、読書も、上達しないままに。]


 ライジ、……

[記憶の覚束ないとはいえ、ここに居る者の名前は覚えている。
眼前の者が覚えておらずとも、自分は、確かに。

名を、という問いにそう答えたけれど、少しばかりの間を置いて。
思い出すのは、先程のやり取り。]

 ……ライジ、さま、?

[主人となると言うならば、そう呼んだほうが正しいのだろうか。
そっと、確かめるようにそう口にすれば、微か目を細めて首を傾ぐ。

傷へと触れた指が、滲む血液を拭い取る。
薄い肌に触れた事にすら、大袈裟に体を跳ねさせた。

赤に濡れた其処は、促されるままに指を受け入れていく。
爪を立てない、ゆっくりと。
硬く唇を引き結んだまま、小さく幾度も頷けば解す指の数は増える。]


[やがて、十分と判断されたのならば、腰を落としながらその熱を受け入れる。
指よりもずっと奥へと侵入するのに、慎重に事を進めようと試みるが、]

 ……は、 はッ、 あ、 ぁア、 ぁッ
 ―――-ッ、く、 あッ ……!

[滑らかなシーツの上、慎重に落とす腰が重力に負ければ、残りの分を一息に収めることになるか。
一際高く、高く上がる嬌声。
衝撃を緩和するように呼吸を試みるも、しゃくり上げるような呼吸では尚更に自分を追い詰めるばかり。

落ちた涙の粒に、その指は伸びる。
それでも、体の下、突き上げる動きに応じるように、腰を揺らす。
自ら悦い箇所にその切っ先をと、ただ快楽を求めるままに委ねる。

シーツへと突いていた掌は、無意識的にその腹へと移動する。
汗と混ざった血液が、腕を伝ってそのガウンを点々と汚した。]


 ……っ、ぁあ あ、 …… っは、 ……
 は、……ぁ……

[達したのだろうと察したのは、内に流れ込む感覚から。

見下ろした自らの茎は、区切りのように達した様子はない。
ただ、突き上げられる度に零れた先走りは、だんだんと色を濃くしていったのだろう。
二人分の体の隙間へと、溢れさせた白濁は添う。]

 ……ッ、ん、 ……ぅ、う、

[それごとを引き剥がすように腰を持ち上げ、内で達した茎を抜き取る。
傾ぎかける体。
それでもその体へと倒れずに支えたのは、支えておけと告げられたから。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[ベッドから起ち上がる姿と入れ替わるように、自らは体をそのままシーツに預ける。
ガウンを汚してしまったことを、詫びないと。
そうは思えども、うまく言葉が喉から出てこない。]

 ……はい、

[それでも最後、告げられた言葉には確かな音としてそう答えた。

これもまた、忘れてしまうのだろうか。
そんな不安は、口にできなかった。

白いガウンが扉の向こうへと消える。
扉が閉まる。

一人、切り裂かれた包帯の残骸の中。
包帯ではない布の断片を見つければ、指先で拾い上げ、そっと広げた。]

(9) 2014/12/27(Sat) 12時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[このまま寝ていても、ただシーツを汚すだけだ。
血の色を落とすのは、難しい。
それに、シャツに血の染みを滲ませていては、食事にも出られない。
夜闇の迫る気配。夕餉のベルは、既に鳴ったのだったか。

怠い体を引き上げて、適当なシャツを素肌に羽織れば立ち上がる。
箱から新たな包帯とガーゼを手に、扉を開いて外へと出た。

一歩、二歩と歩む度、幾度か不快げに眉を寄せるも、それでも次第に足取りは確かなものとなるだろう。
浴場へとたどり着いた時、既にその姿はあっただろうか。

終わったら。包帯を。

靴を脱ぎ、日頃湯を汲みに来る時のように、服のまま一歩、二歩と浴室へと足を踏み入れる。]

 ……クアトロ……?

[シャワーの音のする方へと、声をかける。*]

(10) 2014/12/27(Sat) 12時半頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 12時半頃


【人】 負傷兵 ヒュー

[名を呼ぶ声に、裸足でぺたぺたと歩んでいく。
シャワーの音に反して、服は着たままであることに疑問を覚える。

新たな包帯を手渡そうと腕を伸ばせば、交差するように衣服へとその手は伸びる。
咄嗟に一歩、後ろへと下がって。]

 ……、待、って、

[短な、制止の声。

彼の前で、服を脱ぐことに抵抗があるわけではない。
けれど、着替えを持ってきていない以上、脱ぐのならばきっと下衣も含めて全てとなる。

情事の後始末も、禄にしていない。
流石にそれを見られるのには、抵抗があった。]

 ……軽く、拭くだけでいい、から。

[それでいいかと、問うように、赤の瞳を向ける。]

(14) 2014/12/27(Sat) 13時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……っ、
 してないから、嫌なんだ、……

[頭に伸びる掌を受け止めながら、視線を逸らせば苦く告げる。

捻られるカランに、流れる湯。
立ち上る湯気に、先程までシャワーから出ていたのは水だと気付く。
たくし上げられた腕を、暫し見つめていたが。]

 ……脱いでくる

[短く告げ、一度踵を返した。
脱衣所で、羽織っていたシャツを広げれば、点々と刻まれた鈍い赤色に眉を寄せた。
少々の逡巡の後、下着ごと下衣を脱ぐ。
身動ぐ度、体内に残された白濁が、足を伝い落ちる。

積まれたタオルの一枚を取り、足を乱暴に拭っては腰に巻き付けた。
シャワーの元へと戻った時、表情は憮然としたもの。
どうすればいい、と、視線で問う。
汗に流れた血液は、赤黒い筋として肌に残っていた。]

(19) 2014/12/27(Sat) 13時半頃

[苦笑という作り笑顔を零し、シャワーへと落とした表情はどんなものだったか。
 湯気が何もかも隠せばいい。
 どうせ、似合いもしない傷ついた顔をしているのだ。
 傷付く権利など、ありもしないのに。

 性急に剥がしたタオルは、そのまま足元へと落とした。
 他の雄の香のつく、邪魔なもの。
 その体を他の相手には晒すのに、自分には晒したくないのかと。
 包帯に巻かれたその傷口を、誰にでも簡単に見せるのかと。
 酷く醜いものを裡に湛えて。]

 ……気持ち悪かろうが、我慢し。

[シャワーの取り付けられた壁に彼を向かせて、強引に腰を突き出させた。
 指がなぞるのは、誰かと繋がっていたであろう場所。
 とろりと、いまだ白濁の残るそこに触れて。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[腰に巻いたタオルにその手は伸びる。
待てと声をかける前に、緩く留めてあるだけの布は簡単に取り払われた。

濡れた床に、白いタオルが落ちる。]

 ……っ、おい、

[動揺を露わにするより先に、シャワーの方へと促されるのだろう。
湯気が、水滴が床を叩く音が、晒した肌に触れる。

湯気の向こうの横顔を、視線は捉える。
何にも触れていないということが急に頼りなくなり、泳いだ指先が自らの腕を抱いた。]

(22) 2014/12/27(Sat) 14時頃

[真白のタオルが、床の水滴を吸っていく。
腰へと伸びた掌に、傾ぐ体を眼前の壁に腕を突いた。
注ぐ湯が、肌の上を滑っていく。
日頃、拭うだけに留めていた体を、暖めていく。

けれど、肌を赤く染めるのは、その湯が原因ではなく。]

 止め、 ……そこは、いい、
 自分でできる、 ……できるから、……ッ

[引き攣れた、懇願の声。
その一瞬で振り払えばよかったのかもしれない。
指が触れた瞬間、身体はびくりと硬直した。]

 ……ぅ、 く、

[咄嗟に飲み込んだ声は、悲鳴の音に似ていた。

歯を食い縛り、瞼を伏せる。]


[肌に朱が差す。
 背中にはずっと塞がらない傷痕、薄く滲む血。
 羽織ってきたシャツにもその染みがあるのだろう。

 懇願するような声と、悲鳴のような音。
 跳ねる体は、きっと先程まで淫らに揺れていたものとは違う。]

 ……すまん。
 少しだけ、我慢しとって。

[指先はゆっくりと窄まりをなぞり、中へと動く。
 痛みを感じぬように、爪を立てることはなく。
 ゆっくりと円をかくようにして、体内に残る残骸を掻き出して。]

 …、…ッ。

[指から滴り落ちるものを感じれば、息を止めて唇を噛んだ。
 背にしているからわからないだろうと、眉まで寄せて。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[流れる湯の音と、微かな息遣いと。
二人きりとするには狭すぎる空間、音は響いて、満ちる。]

 ……、

[首を微かに俯けて、その言葉に下唇を噛み締める。
触れた指は、肌の温度に反して嫌に冷たかった。

終わるまで我慢すればいい。
そうすれば何れ、この羞恥すらも忘れてしまう。

忘れるということを、自らの救いとして、甘えとする。
それは、自らの心を守るためか。]

(25) 2014/12/27(Sat) 14時半頃

 ……はー……ッ、 は、ッ、

[湯気の中、荒く、息を吐き出す。
突いた手の先、爪を立てようにも硬く滑らかな壁ではどうしようもない。

内に潜り込む冷たい指先。
先程まで貪欲に熱を咥えこんでいたというのに、今となってはその指先は拒みたい対象でしかない。
指に掻き出され、太腿を伝い落ちる白濁。]

 もう、 いい、
 大丈夫、だから、 ……大丈夫だから、……はやく、

[羞恥に声を震わせながら、それでも口にするのは命令ではない。
“お願い”と称されるような柔らかなものでもなく、ただ切実な、懇願。

蠢く感覚に、膝が震える。
薄く開いた視線の先。
未だ足りぬとでも言うように、自身が緩く勃ちあがりかけるのに、またきつく下唇を噛んだ。
その視界すらも、じわり、滲む。]


負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 15時頃


[荒くなる息が、他の音よりも何よりも聞こえる気がする。
 壁に突く手が何かを求めて引っかこうとしているように思えて。
 そこに『居る』のは、誰なのだろうかと思い描いては、息が洩れる。
 後ろからそっと肩に顎を乗せて、掠れるように呟く。]

 そんな…、厭か?

[中に残っていた誰かのものを、掻き出されてしまうのが。
 無理やりに、中を蠢く指先が。
 それとも、行為をしいている、]

 (───わし、が?)

[懇願に反するように、指先は入念にその残り香を掻き出して。
 肩越しに、前のものが緩やかに反応しているのを覗き見たけれど。]

 泣かんでいいよ、もう終わったけ。

[知らぬフリをして、漸く後処理から開放した。]



 よしよし、よく謂えた。
 利口だ。

[己の名を発する赤髪に、子をあやすような口調になる]

 寝処にいる時は、様は要らない。

[呼び方はどうでもよかった。
が、この者は指図あった方が安堵しようと、
この男なりの気遣いのようなもの。

苦痛の雑ざる嬌声と己を包み蠕動する肉壁の刺激に、
低く快楽の呻きを漏らす。
事を終え、最後まで崩れ落ちることを堪えた身体を抱き寄せれば、褒美とばかり髪を撫でた]

 ―回想:了―


[厭なのか。
きっとその答えは、是なのだろう。
自らの欲のまま内で受け止めた、他の者の精の後処理をその指に委ねるのが。
止めろという声を、聞き入れられない事が。

そこには決して、「クアトロだから」という個の情報は、入り込まない。
肩越しにかかる声、首はただ、逸らすように俯くのみ。]

 ……っ、 ひ、 ……ぅ、

[終わったと、肩に触れた声と唇にその声に膝の力は抜ける。
湯に暖められた床に、そのままぺたりと座り込む。
赤い髪を、降り注ぐ雨のような湯が濡らす。]


 自分で、……できるって、言っただろ、……
 ……お前が、こんな事する必要、何処にもないんだ、

[洗えと、自分が命じたわけでもない。
ただ、初めに架したのは「包帯を変えろ」とただその一言のみの筈。]

 ……俺が上の人間だから、そんな気を利かせてるってんなら、
 そんなの、……要らない、

[片手で掌で顔を覆いながら、水音に紛れぬ程度の声で、呟く。
もう片方の手を足の間に突いたのは、ほぼ無意識に。
少しでも、自身をその視線から隠そうと。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[終わりを告げる声、力の抜ける身体。
湯に触れる肌、身体の冷えは遠くに思う。

こんな傷のある身では、やはり湯船には入れないだろうけれど。]

 いや、いい、……洗う。
 ……包帯巻いたら……髪も洗えねぇだろ、

[床に腕をつき、体を支える。

どの道、背で乾きかける赤は落ちきっていないのだ。
これらも全て洗い落とさねば、きっと包帯は巻けないだろう。

振り向く事無く椅子を引き寄せ、腰を下ろす。
石鹸に手を伸ばせば、そっと掌で泡立てていく。]

(32) 2014/12/27(Sat) 15時半頃

[逸らすように俯く首を、ただ眺めていた。
 終わりを呟けば、ぺたりと座り込んでしまった体。
 背を、頭を湯が打つのだろう。
 降りしきる雨のように。

 悲鳴のように聞こえる声が落ち。
 搾り出されたような声が紡ぐ言葉を聞く。

 必要ない。
 気を利かせてる。
 要らない。

 覆われた顔と、隠そうとしているものとを見下ろして。]


 阿呆、か。

[拾ったタオルで隠したがっているのだろうそこを、覆う。]

 誰が、何が楽しゅうて、
 野郎のセックスの後処理なんぞせないかんのじゃ。

 気ぃ利かせて? 命令でもないのに?

[抱きしめる腕は強くなる。]

 んなもんッ、…──出来るわけねぇだろ。


 
 
 
 ───俺が、厭なんだよ。

 お前が誰かに、抱かれてんのが。



[泡はシャワーに流れていってしまっただろうか。
 溶けて、消えてしまうのだろうか。
 忘れていいといった言葉のように。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[指先で、そっと泡を立てる。
きめ細やかとは言い難い、荒い泡が掌を滑り落ちる。

背に触れていた湯の流れから庇うかのように、床で冷えたタオルが触れる。
寒いと思う間もなく、触れる体温。]

 ……ぅ、わ、

[弾みで指から離れた石鹸が床を滑っていくのに、何処か間抜けな声を上げる。]

(40) 2014/12/27(Sat) 16時頃

 ……クアトロ?

[声色が、違う。
声色だけではなく、口調すらもか。

腕の力が強くなる。
折れてしまうような華奢さは無いものの、それでも息苦しさはある。
この苦しさは、単に物理的な要員から齎されるものなのか。

命令でもないのに、自らの身を洗い流す理由。
告げられる言葉、眉をきつく寄せて。]

 んなこと言われて、……俺に、どうしろっていうんだよ……

[今はまだ、寝台の上、交わした言葉は覚えている。
けれど、一晩、二晩とすぎる内に、あっというまにその記憶は遠のいていくのだ。

自分が誰に抱かれたのか。
正確な人数も数も、全くといっていい程に覚えていないというのに。]


[泡の洗い流された掌は、抱きしめる腕にそっと触れる。
この腕の暖かさも、苦しさも。
きっとどこかに忘れてしまう。

ほんの僅かに、傷跡のような違和だけを残して。]

 クアトロ、……

[細い声で、名前を呼んだ。]


 クアトロ、じゃない。
 本当の、名前は……ボリス。

[今の今まで忘れていた名前を口に出す。]

 ……そう、だな。
 謂われたところで、迷惑なだけか。

[掠れて震える声から、飾りもしない言葉が落ちる。
 それもきっと泡のように消えてしまうのだろう。
 息苦しさを与えていると判っていながら
 抱きしめる腕を、離せない。
 緩めてやれる余裕など、部屋の前で嬌声を聞いたときから
 とっくの昔に失っていたのだから。

 何回目の『初めての男』なのだろう。
 それでも、構わないなんて馬鹿にもほどがある。]


[触れる掌に、手を重ね。
 慈しむように撫でる。]

 何度でも、謂う。
 お前が忘れるなら、俺が何度でも謂う。
 わしが、何度でも謂うけ。

 じゃけ、忘れてええよ。

[忘れたのならまた囁こう。
 見えぬ傷を、何度心に負ったとしても。]



 ヒュー、愛しとる。



[報酬でも、対価でも、見返りでもなんでもなく。
 ただ君を愛してると囁いて。]


[水音には決して掻き消えぬ距離の中、本当の名と囁く理由。
抱きしめる力は緩まない。
腕に触れた手にその掌が重なるのに、息を呑む。]

 ……ボリス、

[その音が、口に馴染まないのも当然か。
何時の日からか、彼は自分の中ではクアトロという存在だったのだから。

忘れてもいい。
本当に、忘れてもいいのだろうか。

本当に忘れてもいい言葉を、こんな声音で囁くものなのか。]

 ………、俺は、

[応える想いを、自分は持っているのだろうか。
忘れ、遠ざかることで自らを守っている、自分に。]


 ……何度も口にしなくても、いい。
 俺を愛する必要は、無い。

 きっと俺は、また忘れちまうから。
 ……そしたら、……お前が、傷つくだけだろ、?

[言葉を、一つ一つ、選びながら。
知らず、腕に触れた掌に力を込める。

忘れられても、何度も、何度でも。
この空間で時間が続く限り、何度も、何度も、永遠に。]

 ……お前が傷つくことで成り立つ永遠なら、
 そっちのほうが、俺は、嫌だ……。

[自分の知らぬところで、深く誰かを傷つける。
そんなことを、喜ばしいと思う者が、何処にいようか。
互いを守ると口にしながらも、それは酷く、独り善がりの思いだ。

―――ならば、他にどうしろと?]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……お前が、風邪を引く。
 もう、上がろう、……俺、薬飲んでないし。

 包帯は、……後で、図書館行くから。
 その時、巻いて。

[無理矢理に形作った笑みを浮かべ、微動だにせずとも腕を剥がしにかかったか。
タオルに擦れた赤の跡。
傷の刻まれた背は、未だ赤を滲ませるばかりだ。

腕が離れれば立ち上がり、濡れて重くなったタオルを軽く、絞る。
腰に巻きつけた冷えたタオルというのは、足に張り付きあまり良い心地ではない。]

 悪い、……でも、俺も少し、真面目に考えてみるから。
 ……お前も、……考えてみて。

[そう告げるのは、真っ直ぐにその瞳を見つめて。]

(45) 2014/12/27(Sat) 17時頃

[重ねた手を、強く握り締める力などない。
 いや、そんな勇気などない、が正しいか。]

 クアトロは、昔殺された『俺』の、名前じゃ。

[今はそこまでしか思い出せないけれど
 ここへ来て、その名前しか名乗っていなかったように思う。
 だから謂いにくいのも口馴染まないのも仕方がないと
 苦笑を零すのが精一杯の強がり。

 零される音は、温かな雨粒よりも鮮明な声。
 音量はさしたるものでもないのだろうが
 反響して落ちるのは、浴室にでは、きっとない。]


 うん、そうじゃの。

[必要不必要で、誰かをここまで想えるものか。
 不要と謂われ、そうですねと切り捨てられるものか。
 そう思いながら、吐き出すのは了承の意。

 傷付かないわけはない。
 それでも、きっと気持ちが揺らぐことはないのだろう。

 だから、頷いてみせる。

 彼をこれ以上、傷つけないために。]

 お前さんは優しいねぇ。
 わしなんぞいっくらでも、傷つければよかろうに。

[ふは、と笑みを零し。
 それでも顔はまだ見せられなかった。
 きっと、きっと歪んでいよう。]


[彼から離れる間際、そっと落とすのは額への口付け。
 昨夜の『おやすみ』のような、微かな。

 そして背を向けて、一度だけ立ち止まる。]

 ……のぉ。

[振り向くことは出来ずに。]



 愛さなくていいのは『命令』?

 それとも『お願い』?



[どちらであっても───*]


[クアトロと、その名の経緯を語る声に、眉を下げる。
何故、その名を名乗るのか。
殺されたのは『俺』だという、ならば今の彼は何者なのか。

馴染みの筈の者だというのに、明かされるの面々は知らぬものばかりだ。
踏み込む勇気は、膨らむ戸惑いに圧倒され、それ以上の言葉は紡げない。

踏み込んだところで、理解者になれるというのか。
またそれも、忘れてしまうかもしれないのに。]

 ……話なら、
 いつでも、聞けるから。

[口にしながら、その言葉が今この場には全くそぐわないものだと思う。
それでも、何かを口にしないと、押し潰されそうだった。]


[了承の返事を得た時、わずか安堵したのは事実だった。
その言葉の裏、真意がどうであれ、言葉という形で示されるのは、有難かった。

傷は、癒えるべきものなのだ。
忘れていい、ものではない。
忘れたところで、傷が無かった事になるわけではない。

そう思うと同時、背の傷がじくりと疼く。

優しいと、自分を称す言葉に首を横に振る。
何度も、何度も、首を横に振って。]

 ……臆病なだけだ、

[零れた笑い声に、涙が零れそうになる。
けれど、彼が無理矢理にでも笑うのであれば、自分もきっと笑うべきなのだろう。

そうして、作り笑顔を貼り付けて。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[容易に解けた腕の拘束から離れれば、脱衣所へと真っ直ぐに向かうだろう。

額を軽く叩く掌の調子は、きっと“いつも”と変わらないもの。
触れた名残に、手を添えて。]

 ……お前が馬鹿なら、俺も馬鹿だよ。

 また後で。……早く着替えとけよ。

[笑む瞳に、微か目を細めて返す。
また今度と、その言葉を失う前に、重ねたのは『また後で』。

最も、その“今度”に待ち受けるものが、一体何にかかっているのかは、知らないが。
彼の背を見送れば、乾いたタオルに手を伸ばした。]

(55) 2014/12/27(Sat) 18時半頃

[『命令』と、『お願い』と。
どちらかを問う声に、返したのは。]


 ……好きな方を、取ればいいよ。

[そんな、『選択肢』。
傷つきたくないからど、命令することで身を守ることもできたのだろう。
けれど、そちらを提示しなかったのは。]

 ……っ、

[唇を噛み締めながら、体を拭い、部屋を出た時と同じ服に袖を通す。
酷く時間をかけながら、釦を留めて。

浴場を出たのは、きっと随分後になる。*]


【人】 負傷兵 ヒュー

[浴場を出れば、真っ直ぐに図書館へと向かう。
常と同じように包帯を手渡し、上着を脱いで背を晒す。

普段通りに努めようと、その努力は報われたか。

包帯を巻き終え、図書館の扉を抜けて。
部屋へと向かう足取りは、次第に早くなるだろう。
空腹に鳴く腹も、全て抑えこんで、一目散に部屋へと入る。

気付かれなかったドアノブの薬が、戸の閉まる衝撃に静かに揺れた。

部屋の戸が締まり、一人の空間へと隔離される。
もう、誰の目も、気にせずともよい。

そう思うと、堰を切ったように溢れだす涙を止める術はもうなかった。
何のために流された涙なのか、自分にすらよくわからなかった。*]

(56) 2014/12/27(Sat) 18時半頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 18時半頃


【人】 負傷兵 ヒュー

− 翌朝 自室 −

 …… っ、 ぅ、 ―――……がは、 ッ

[ベルの音で目が覚めると同時、猛烈な吐き気を堪え切れず、床へと胃の中身を吐き出す。
胃が空だったのが幸いしたか、床へとぶちまけられたのは胃液くらいのものだった。
数度、荒く咳き込んだ後、部屋の隅、埃を被っていた水の瓶の王冠を弾き飛ばした。

結局、いつの間に眠ったのだったか。
床の上で目が醒めた事から考えるに、子供のように泣き疲れてそのまま眠ってしまったと判断するのが正しいのだろう。
普段ならば、ベルの鳴る前に起きているというのに。

シャツが昨晩のままだと気付けば、丸めて其れで床を拭う。
換気のためと窓を開けば、シャツを着替えて部屋を出た。

――― ドアノブの薬には未だ、気付かない。

食堂へと向かう途中、水場で軽く、口を濯いだ。]

(59) 2014/12/27(Sat) 18時半頃

[渇いていた。
喉が渇いていた。

だから躊躇いなく、口をつけた。
その傷口を歯で、爪で広げて、溢れる血を獣のように啜った。

“友人”はもう抵抗する気力もないのだろう。
否、既にその時死んでいたのか。
死にたくないとその一心で、喉を潤していた自分にはもう、判別がつかず。

月明かりの元でも赤く、ぬめる血液が口を、喉を、胃を満たしていく感触。
血に汚れた顔をふと上げれば、佇む黒髪の男。]

 ………夢、……?

[ただの、夢なのだろうか。

夢にしては、あまりにも生々しい、その感触。]


【人】 負傷兵 ヒュー

→ 食堂 −

 ……お早う

[定位置に腰を下ろしたのは、きっと隣人>>42が席について暫く後。

きっと酷い顔をしていただろう。
それを隠す気力も、今はない。

先に食べても良いと言われた。
けれど、食欲が無いのならばそうもいくまい。

暖かなカフェオレに手を伸ばし、ほんの僅かを口に含んだ。]

(60) 2014/12/27(Sat) 18時半頃

[浴室での情景は、裡に染みている。
 優しくないと、臆病だと首を振った姿も。
 話なら聞けると、告げてくれたことも。
 男はそれに、結局頷きしか返さなかったけれど。

 何か思い出したら話してみようか。

 ───『また今度』。

 張り付いた無理矢理の笑みに
 噛み締めていたのは奥歯。

 代わりに優しく、優しく、あたまを撫でて離れた。]


 
 
 ……おぅ、そーする。


[与えられるのは『選択肢』。

 ならば選ぼう。
 『命令』でも『お願い』でもないその言葉を。

 残念ながら従順になど、従えはしないのだから。]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……薬、

[譫言のように、主の言葉を繰り返す。
この気分の悪さは、薬を欠かしたせいなのだろうか。
ならば、本当に久々に夢を見た理由も。]

 ……飲んでない、です……

[そう答えれば、血のように赤い錠剤は手渡されるのだろう。
血のように、赤い。

摘み上げたそれを、口に運ぼうとして、動きは止まる。
椅子についたまま、見上げる視線は主の瞳を見つめて。]

 吸血鬼が、……血の味を、恐れることは
 ……あるん、ですか、

[震える声で、問いかけた。]

(63) 2014/12/27(Sat) 19時頃

─ヴェールの向こう側─

(あの時は、なんの絵を描いていたんだろう。)

[たゆたう記憶、揺れる漣。
 向かうのは孤島?
 違う、窓ひとつない『アトリエ』だ。]


[【クアトロ】がカンバスに向かう。
 描かれるのは懐中時計の溶けた奇怪なものや
 極彩の黄色で描かれた向日葵や
 主と弟子の12人が食卓を囲むようなものまで様々だ。

 筆を走らせれば、硬貨が積もる。
 けれどそんなものに興味などなかった。

 描けることを許されていたのは資料に写されたもののみ。
 資料はいつでも柱のように積まれ
 ひとつ描き上げた頃には、また一冊積み上げられた。

 そして三日に一度は様子を見にやってくる『誰か』。
 その誰かは呪いの言葉を掛けていく。
 体を重ねるのはどこか、儀式めいていた。]


 
 
 
    「忘れないで。

     キミは、ボクを、愛してる。」
 
 
 


[終わりのこない永遠。

 ただひたすらに続くものだと思っていた。
 終わりなど考えてもいなかった。

 そこには幸も不幸も、何もなかった。

 永久に終わりが訪れたのはいつだったか────…]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……人の血を、口にする夢を、見て。

[自分は吸血鬼なのだと思えば、それは命を繋ぐために、必要な行為と言えるのだろう。
食事を摂りたい、眠りたい、それらと同等の欲求なのではないだろうか。

けれど、あの夢の内容を脳裏に思い描けば、恐怖にも似た拒絶の気持が湧き上がるのだ。
こんな事をしてまで、生き延びたくないと。
けれどこうでもしないと、生きていけないのだと。
血を欲したのは、喉が渇いていたからで。

辛気臭い、鬱陶しい。
真っ直ぐに届く毒に、眉を軽く寄せて、吸血鬼からコップを受け取り、薬を流し込む。

カップからカフェオレを一口、飲み込んで。]

 ごちそうさま、……あの、

 気分が、……優れないので、……部屋で、寝ていてもいいですか。

[せっかく用意されたクロワッサンを、口にできないことを暗に詫びる。]

(67) 2014/12/27(Sat) 20時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[それは、本当に、人の血を求めて行った行為だったのか。

水と共に流しこむ錠剤。
暫くすれば、この不快感すらも曖昧の中に沈んでいくのだろう。]

 ……看病は、要らない、……大丈夫、……です
 気分が、……少し、悪いだけ、だから、

 少し、休めば……大丈夫、

[何故、眼前の主は笑うのか。
薬を口にしたことに、そんなにも安堵しているのか。

椅子に座ったまま頭を下げ、止められなければ立ち上がり、食堂を後にする。
困ったように笑う顔>>68に、微かに唇を弓なりに曲げ。
差し込まれるように述べられる、チョウスケからの提案>>72に、緩く首を横に振る。]

(74) 2014/12/27(Sat) 20時頃

【人】 負傷兵 ヒュー


 平気。
 ……夢なんて、滅多に見ないから。

 混乱している、だけ。

[そう制せば食堂を抜け、部屋へと歩き、戻る。

薬の効きはじめの、独特の酩酊感。
酒に酔った時のものとは違う感覚にきつく眉を寄せ、それでも真っ直ぐに部屋へと辿り着くだろう。
誰かがついてきていたとして、それを拒絶する気力も無かったのだが。]

(75) 2014/12/27(Sat) 20時頃

[寝静まって動きが少なくなってから。そっと半分保ちながら、半分無くした意識で呟いた。]

 すき、

[届いたかどうかは定かではないし届かせるつもりもない。
ただ、吐いてしまいたかったから。**]


【人】 負傷兵 ヒュー

→ 自室 ―

[部屋の戸に、薬は括りつけられていた。
気付かなかったのは、仕方がないと思う。
相応の理由が、あったのだから。

扉を開き、閉めるのもそこそこに寝台へと歩み寄れば、赤く汚れたシーツの上へと倒れこむ。
様々な臭いの混ざり合った気配。
開かれた窓のお陰である程度は払拭されているが、名残のような淀んだ気配は残っていた。]


 ………、

[寝台の中、緩慢に瞬きを繰り返していたが、そのうちに瞼は閉じられる。
窓から入り込む風が、短な赤毛を揺らした。*]

(78) 2014/12/27(Sat) 20時頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 20時頃



(───目、腫れとったな。)

[昨夜あの後、泣いたのか。
 そうさせた原因は、自分であるか、他にあるか。

 そんな時に、傍に居てやれないなんて。

 その背を追ってはならない、なんて。

 『愛さなくていい』、…なんて。]


 …………さんきゅ。

[ぽそりと同じ髪色の男にだけ落とす。
 『命令』がなければその背を追えなかったし、追わなかった。
 『命令』をありがたいと思ったのなんて、初めてだろう。

 ありがたかったからこそ、
 そう思った最低の自分に、眉を顰めたのだ。]


[去り際にくあとろから落とされた礼の言葉に関しては、
何故言われたのか分からなかったので気にしない事にした。*]


[ふと、笑うオカマの表情がよぎったりもしたか。
 なにが全裸で雑用だ、受けて立つからもう一度オカマ呼ばわりしてやろう。

 振られた相手の背中を追える、嬉しさに、眉を顰めていた。
 手まで握り、時折はそっと頭をなで。
 そうしていれば馬鹿みたいに
 やがて、頬は緩んでしまうもの。

 何度も落とす『愛しとる』が忘れられないものになればいいのに。

 そう、思いながら*]


 
 
 (──ああ、違うな。)


[忘れられないのではなく。
 忘れたくないものに、なればいいのに*]


【人】 負傷兵 ヒュー

― 自室 ―

[うつらと眠りに身を委ねかけていたのを、引き戻したのは額に触れた冷たい感触だった。
看病は要らないと、主に言ったはずなのに。
く、と寄った眉間の皺を、額に乗ったタオルは隠す。

いくら主とはいえ、文句でも言う権利はあるだろう。
そう思い、瞼を微かに開いたところで、指に絡む暖かな熱。]

 ……クアトロ、……?

[その指先があまりにも温かいものだったから。
弱く絡む指先に、そっと、力を込めて。]

(102) 2014/12/27(Sat) 22時頃

 ……で、 ……良いんだよな?

[確かめるように、小さな声で尋ねたのは、朧に形の残る昨晩の事を思い出してか。

違う名があると、告げられた。
しっかりと自分へと告げられた筈なのに、それすらももう曖昧だ。
長い名ではなかった気がする。
けれど、そんな些細な事すら覚えていられないなんて、とんだ笑い草じゃぁないか。

自分が情けなくて、ただそれだけで、涙が滲む。]

 ………っ、

[涙腺が弱くなっているのは、身体が弱っているからだと信じたい。]


負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 22時頃


 ふはっ、構わんよ。

[本当の名前は別にある。
 けれど、彼が己を【クアトロ】として覚えているなら。
 きっとそれが、今の本当の名前。

 何やら息を詰める音。
 うっすらと腫れていた瞼がまた、涙を滲ませていて。]

 また怖い夢、見たんか?

[もう片方の手を伸ばし、そっと指先に掬う。
 怖がらなくていい、安心していい。
 でも泣き止むなとは謂わず。]

 傍におるけ、大丈夫よ。

[ゆっくりと、言葉を紡ぐ。]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……いや、平気、
 何か、食べられるって状態でもねぇけど、……

[ゆるゆると息を吐きながらそっと額のタオルに触れる。
微かに位置を動かし、腫れた瞼にそっと触れさせた。

こんな朝に薬を口にするなんて、本当に珍しい事だったから。
朦朧とする視界に、朝の陽光が映るのが、少しばかり違和感だった。]

 もう少し、繋いでて、

[手を、指先を。
これ以上を、曖昧の中に消してしまわないように、縋るように。]

(116) 2014/12/27(Sat) 23時頃

 じゃぁ、やっぱり、……もう一つの名前のほうが、正しいんだろうな、

[その反応に、静かにそう悟る。
これで、自分の記憶がどれほどに曖昧なものなのか、彼も理解してくれただろうか。
今はただの穴あきの記憶かも知れない、けれどそのうちに、細かな断片すらも消えていくのだろう。

耳に、かろうじて残る、愛してるの響き。
あの音も、表情も、全て。

怖い夢は見ていない。だから首を横に振る。
涙を隠すべくタオルをずらすも、目尻から落ちた涙はタオルの縁から零れていく。]

 どうして、……忘れるんだろうって、
 ……忘れたくないことも、全部、……全部、忘れちまうのは、……何でだろうって

[子供のように、泣きじゃくりながら、言葉を吐き出す。
不安も、恐怖も、猜疑心も全て内包したような声。]


 ……どうしたら、いいんだと思う……?

[そんな事を、彼に聞いたとして答えが得られるはずないというのに。
言葉にせずには、いられなかった。]


 お前さんが呼んでくれるなら、『おい』でも『なあ』でも
 なんだってかまん。

[すぐに曖昧になる記憶、抜けていく記憶。
 初めて押し倒した夜を覚えているだろうかなんて聞けば、もう記憶にはないのかもしれない。
 彼の記憶は他の誰よりも曖昧な気がする。
 そんなこと、ずっと知っていたことだ。

 ずらされるタオルが吸いきれず、目の端から落ちていく涙。
 案外泣き虫だなと、そっとタオルにてをかける。
 少しでも嫌がればやめるつもりで。
 タオルを外そうとするのは、その瞳を見たいから。]


 忘れたくなかったら、わしに話すとええ。
 わしゃお前さんのことなら、絶対忘れん自信があるけ。

[実際は完璧に覚えられているかなんてわからない。
 けれど、自信にだけは嘘はなかった。]

 それでも忘れたくないなら。

[ひとつ息を置く。
 止めて、彼を見つめて。]

 わしと、どっか行ってしまおうか?

[忘れたくないと思ってくれていることが
 男のことなのだとしたら。]


[ それは面白い申し出であるように思われた]

 薬を飲まないとは悪い子だ――と、
 あやつなら謂うであろうな。

 つまり、吸血をしてみたいと?
 試してみるか?

[ガウンだけ羽織った己の喉元は既に晒されている。
吸われたらどうなるか、脈が目立たせるよう喉を逸らす]


 忘れたんは、消えたんじゃなかろ?
 いつかふっと思い出すかも知らん。
 今は忘れてたいことなんかもしれん。

[きゅっと、手を握って髪を梳く。]

 傷と一緒なんかも知らんよ?
 痛いけ、治らんけ、見えんように包帯巻いて。
 ちゃんと癒えたり、痕になってしまえば
 案外どってことなくなるんかも知らん。

 じゃけ、忘れたくないなら。
 思い出したいことがあるなら。

 一緒に、旅にでもでたらええよ。

[夢物語でも語っているようだ。
 でも、本当にそうしてしまえたらと。]



 ん? ふふ、口で?
 
[自分はデザートには手を出さずに、丁助の向かいの椅子に腰掛け赤ワインを飲みながら、彼の話を聞いていたのだが、

丁助が、自分の足元に跪き、足に手を絡め、上目遣いのそれは、まる猫の様。]

 下位の俺に?

[彼の顔を見落ろし、うっとり笑ながら、その髪を指で梳き。yesともnoとも応えずに、彼の好きな様にさせ。酒で気分が良い。このまま快楽のまま眠りにつきたい。*]


今起きたばっかだしそこは?許してもらおうかな。
それはアルジサマならいいそうだけどね。

試す?

[意外な言葉に少々驚きながら好奇心が鎌首をもたげる。こくり、と喉が動く様子は煽られているみたいで白い肌はうちに脈を隠していると告げている。]

本当に?いいの?上位なのにとか言わない?

[確認を取りながら間合いをゆっくりと詰めていく。目を細め、良しと言われるならその首筋に噛つくだろう。]


[かぷ。

皮膚を突き破ることのない歯は力を込めるから少し痛みを感じるだろうか?
僅かに舌に乗る血をちゅっと吸いながら舐めとり、口を離す。

鉄錆の味は鼻に突き抜け、喉に張り付く。]

うん、悪くない。

[そう笑いながら感想を。]



 言わぬ。

[簡潔に許可を出せば、イメージされる吸血鬼の犬歯とは程遠い尖りと大きさの歯が肌を掠める]

 ……ッ。

[痛みは僅かで、その噛み傷はごく浅い。
それでも顔を顰めくぐもった息をひとつ吐き。
受け入れた後その感想を聞き、若者の様子を眺める。
吸血の恍惚を感じた風でもない淡泊な様に違和感]

 ……ふむ。

[考え込む素振りを見せ]

 まあ、悪くない味なら良かったと思おう。
 大丈夫だ、シュロには黙っておく。
 



 付き合わせてすまなかったな。

[血の流れる首元に手を遣って] 

 俺はまだ暫く、ここでこれの練習しようと思う。
  
[ひとりで集中したいと謂う意味込め、
鍵盤に手を置いた**]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……ん、
 腹は、減ってるんだけど、……

[昨晩の食事も、今朝の朝食も、結局食べられていない。
残された食事はどうなったのだろう。
食事が残され、廃棄されるということには抵抗がある。

せめて、昼食くらいは口にするべきだろう。
主には恩を感じている。
必要以上に、悲しませたくはない。

赤い瞼に、冷えた感触が心地良い。
はぁ、と息を吐き出して。]

 悪い、……有難う、

[タオルの下、瞬きを繰り返す動作は、緩慢に。]

(132) 2014/12/28(Sun) 00時頃

[それでも、そのタオルが外されれば、濡れた赤い瞳がその顔を見上げるだろう。
瞬きの度、涙は溢れて次々落ちる。

自分よりもマシだとはいえ、彼だってきっと、そこまで多くを覚えていられるわけでもないだろうに。
その僅かを、自分の為に割いていいのか。
不安げに、眉は寄る。]

 ……ここを離れたら、……多少は、覚えていられる、かな、
 お前の名前も、……声も、言葉も、全部、……

[それが、とても魅力的な提案に思えたのは、きっと気のせいではないのだろう。
全ての約束も、言葉も、自分の心の揺らぎ全て、覚えていられるのならば。

けれど、それは同時に、]

 ……忘れたいことも、……全部…… 思い出して、しまう……?

[震える声で、言葉にする。
世界は、そうも都合のいいようには、できていないだろう。
その掌を握ったのは、半ば無意識で。]


[タオルが落ちるのも構わず、体を起こす。
傾ぐ、重い頭を支えながら、それでも腕を伸ばし、指は繋いだままその頭を抱く。

その首元に顔を押し付け、緩く首を横に振る。]

 ……覚えていられないのがこの場所のせいだとして。
 忘れていられるのも、この場所のお陰だと思う。

[苦い記憶も、傷の痛みも。
それを逃げだと言われようとも、永遠に逃げていられるならばそれもある種の救いと変わる。
忘却は、害と同時に救いでもあった。

少なくとも、自分には。]

 ……もし、いつか俺に、全部を受け止められる覚悟ができたら、
 旅に出るのも、悪くないかもしれねぇな、って。

[『もし』『いつか』
それは成されないであろう、不可能にちかい不確定の未来への言葉。
けれど確かに言葉にした真意は、それが紛い物ではないと誓うようなそれ。]


[体を離し、タオルを拾い上げる。
再び寝台に横たわれば、自らその額にタオルを広げて。]

 ……昼まで、寝る
 寝たら、また、忘れそうだけど、

 ……体、怠くて、

[涙の跡の残る顔のまま、目を閉じる。
繋いだ指に篭められた力を、そっと緩めた。]

 クアトロ、……、 ……いや、

[曖昧に揺蕩う意識が、それを拾い上げたのは、ほんの偶然で。
それでも、忘れないように、言葉に紡ぐ。]

 ……ボリス、?


【人】 負傷兵 ヒュー

[結び目を切られたバンダナは、部屋に散る包帯の一部に紛れてしまっているのだろう。

起きたら、部屋を片付けて。
それからシーツも、洗濯しないと。
昨日干したままのシーツを、結局昨晩は取り込んでいない。

今日行う雑用に関して、何も言われていない筈だから。

起きたら、することを済ませて。
少しだけ、主に話をしに行こうか。

ガラスを割った事だとか、もっと、様々な事を。

覚えていられたら。]


[額の上へと置き直したタオルの感触に、目を閉じる。]

(134) 2014/12/28(Sun) 00時頃

[その考えから意識を逸らすように、また彼がなんぞ探って来ないように、彼のスラックスを寛げてしまう。]

 あっしがしたいからするんだよ。

[彼の物を外気に晒させると、れろと一舐め。
男の其れなどどう舌で慰めたらいいのか分からぬが、好きなように弄ぶ事にした。

鈴口だけ口に含むとちゅうちゅうと吸ってみたり、下から上へべろりと舐め上げたり。
最後には喉の奥まで彼の物をすっかり口の中に収めてしまった。

程なくしてあっしは望んだ苦い甘味を味わえた。*]

 えへ。美味しい。


[溢れ落ちる涙を幾度か見つめ。
 綺麗だなと、その雫を指に掬う。
 続く言葉には、ああ、やっぱりと苦笑を洩らした。
 本当に、何故そうも自身ばかりを痛めつけているのか。]

 忘れたら、何度でも自己紹介しちゃるよ。
 なんべんでも喋っちゃるし、なんべんでも呼んじゃるよ。

 ヒュー、愛しとるよって。

[忘れられる度に男が傷つくじゃないかと、彼は謂った。
 そんな永遠は嫌だと謂った。

 傷付かないはずはない。
 でも傷付くのは、忘れてしまう方だって一緒だ。

 なら忘れる度に何度でも
 覚えていてほしいと願いを込めて
 繰り返し、伝えよう。
 そんな永遠も、嫌だと彼は謂うだろうか。]


[はたりと、タオルが落ちる音がする。
 聞こえる言葉は、きっと『怖い夢』のことだろう。
 手を繋いだまま、硬い髪にもう片方の指が絡んで
 引き寄せられてから感じるのは、体温、匂い、色彩。
 首元には、涙の落ちる顔が押し付けられて。]

 忘れたいこと、思い出したら。
 わしが、忘れさしちゃるけ。

 一緒に、夢にしちゃるけ。

 また思い出したくなったら、二人で思い出せばええさ。

[そんな都合よくなんていかなくても。
 怖い夢を見る夜に、独りになんてしたりはしない。
 逃げたいときは一緒に逃げよう。
 立ち向かいたければ、一緒に立ち向かおう。

 隣にいて、傍にいたい。
 臆病で泣き虫で不器用な彼の。]


 ふ、はっ。
 そうな、うん。
 いきなりじゃもんな、そら、そうじゃわな。

[『もし』『いつか』なんて、いつ訪れるかも判らぬ言葉。
 けれど前に落とした『また今度』とは違う響きで。]

 多分全部受け止めようおもたら、重くて潰れるぞ?

[それでも、その日が、『いつか』『きっと』。]

 
 
 ───忘れずに、待っとるよ。
 
 
 
[訪れることを願って、抱きしめた。]


[拾い上げられたタオルは、再び額の上に。
 横たわるのなら手もかしただろうか。
 それでも繋いだ手はまだ離さずに。]

 ん、そうし。
 わしが聞いたけ、忘れとったら思い出させちゃるよ。

 じゃけ、安心して寝り。

[涙の跡は指先が拭う。
 目を閉じた彼の瞼に、触れるか触れないかの口付けを
 落とそうかと顔を近づけて、]

 ひゅ……、……ッ…

[紡がれた名前に、ぱたと音がした。
 額のタオルにしみこんでしまったから
 音の正体はわからなかっただろう。
 わからなくていい。
 自分自身でも、わかっていない。]


 あっ 、あはは

[彼が身を乗り出し、スラックスをくつろげ、下着をずりおろして自身に触れる。握ったグラスの中身が危ういと、いっぺんに飲み干したあと、後ろの棚の端にグラスを置く。]

 …、っ

[外気に触れ、彼の舌が先端にふれ、その感触に俯き快楽の予感に耐えたが、その後の舌の動きは不慣れで、ちろちろと弄ばれる様。]

 、ふふ、かわいい

[赤い髪に指を埋めてそれを鋤き。
性的快楽をもたらすというよりは、ゆるゆると、達するには至らない鈍い快感。

もどかしく頭を抱えてその口の中を使い、蹂躙してやりたくもあるが、それは耐え。]

 どうせなら、またがってほしいね


[そう強請るが彼はどうしても口でしたいのか、ようやく全てを口に収め。]

 じゃあ、口を上下に動かして

[拙げな動きをする彼に要望を伝え。]

 口は不慣れ?
 ふふ、初めてしたみたいだね

[下への触れは、慣れている様にも思えたのに
それとも、これも彼の手管なのか

拙いとはいえ、次第にせりあがってくる
快感には目を閉じ、

  その後、彼の喉奥に欲をぶつけ]



 美味しい?
  悪趣味だね…

[自身のものに口付けた彼の唇に、そのまま口付け。]

 不味いよ

[そう呟いて*]


【人】 負傷兵 ヒュー

[瞼を閉じる。
身体に満ちる怠さは、薬の齎すものか。
定時に摂取しなかったことで思い出した記憶を、無理矢理に、深い霧の奥に閉じ込めていくように。

指に触れた温度すら、頼りなくなる。
二人分の指の体温。
肌の境界すら、曖昧に。]

 ……ん、
 昼には、起きる、……

[ただそれだけをはっきりと告げれば、夢も、現も、曖昧に。]

(147) 2014/12/28(Sun) 01時半頃

[愛している、その言葉は留めておけるのだろうか。
忘れたことすら忘れてしまえば、傷だって傷まなくなる。
それでも、痛みを感じぬ自分を前にしても尚、傷を負ってもいいと、彼は笑うのか。]

 ……いつでも、諦めてくれて、いいから。

[一緒に、二人で。
重ねられる言葉に、そう返したのは、やはり僅かの罪悪感から。
それでも、今直ぐ止めろと口にしなかったのは、その想いに少しでも触れていたかったから。

『もし』『いつか』自分に確固たる自我が根付いた時、その想いに返せるのだろうか。
裏切ってしまうかもしれないと、その想いに脅えて口に出せない言葉を、告げられるのか。

忘れずに、待っている。
その言葉に小さく、頷く。]

 覚えておいて、……俺の代わりに、

[その懇願ごと、その腕の中へと。]


[ボリス、本当の名と告げた彼の声。
その短かな音の響きを、忘れないように。

異を唱える声は聞こえない。
間違っていないのだろう、覚えていられて、よかったと思う。

額の上へと落ちたもの、微かに立てられた音は、シーツの衣擦れに紛れていく。
疑問を口にする気力も、既にない。]

 ………、

[深く、息を吸い、息を吐いて。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[じわりじわりと闇に意識が飲まれていく。
暖かな、掌の温度の感覚すら遠のく頃に、寝息が聞こえだすのだろう。

やがて、夢という形で現れる、かつての風景の断片達。
幾つも、幾つも浮かんでは、赤い影に飲まれていく。

思い出さないように、痛みを感じないように。
それは、主の身勝手な優しさなのだろうか。

そしてそれは、本当に救いなのだろうか。

疑問すら一つも残さず。
夢を見た事すらも思い出させず。

浅い、浅い、眠りと記憶の境目を、意識は揺蕩う。*]

(148) 2014/12/28(Sun) 01時半頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 02時頃



 そう、俺と寝た?
 じゃあ、俺はあんたに
 情をくれと、愛を強請ったのかな…

 そして、お前は俺を騙した

[ニコラスの言葉に目を伏せて笑い。
過去の記憶にはない関係。
自分は相手の情を請う。

気持ちのない交わりは、後で苦痛なだけだ。
遊びとも割り切れずにいる。
きっと元の生業のせいだ。]


……情を強請って。
情を沸かせて。
それでも時が過ぎればあっさり忘れて捨てるのよ。
貴方はそういう人だわ。

……騙したのは……僕じゃないだろ?

[続けられた言葉には、自然と顔が強張って。
最後の言葉は今の己が吐き出したものではない。
色も輝きもを喪った蜂蜜色の瞳は、何処か虚ろな様でジェレミーを見て。
動きの止まった指先から、さらさらと流れ落ちる金の髪が、彼と己を繋ぐ視界を遮る。
瞬きをする一瞬前、彼を射抜くその目に、深い闇に似た熱が篭って。
それは写真からこちらを睨むのと似ていたが、目の前の彼に届くか。]


 吸血鬼って… 嫌だね

[ぽつり]*


[自分を嫌う人間の声なんて聞こえない振り、見ない振り。
それが若い頃の記憶の全てだ。]


【人】 負傷兵 ヒュー

− 自室 −

[昼餉のベルが鳴る。
薄く開いた瞼に、高い陽射しが触れる。
すっかり温くなったタオルがずり落ち、首筋に触れるのが不快だった。
傍らの洗面器にタオルを放り込み、身体を起こす。]

 ……ん、……

[何故、午前から眠っていたのだったか。
思い出すのに時間がかかるも、かろうじて、断片を思い出すに至るか。
昼食後にはシーツを洗わないと、と思いながら、寝台から抜け出して。]

 ……、

[お願い、と書き添えられた一文に気付けば、ふと頬を緩ませた。
名の代わりに残された数字に、その瞼の数字を思い出す。
その紙面を指先で撫で、小さく折りたたんで机の中へとしまいこんだ。

なくしてしまわないように。]

(180) 2014/12/28(Sun) 15時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……まー、シーツは洗わねぇとなー……

[そう、寝台を見下ろし呟けば、部屋を出る。

夜、昼と抜いていては流石に空腹だ。
飢える感覚はあまり、好かない。

食堂への集まりはどの程度だっただろう。
定位置に座れば腰を下ろし、ミルクのグラスに手を伸ばす。

一口二口と飲み込んで、グラスを置けば匙を取る。
ミルクリゾットを匙で軽く混ぜ、ほんの数粒を掬い上げれば啄むように口にした。]

(181) 2014/12/28(Sun) 15時頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 15時頃


【人】 負傷兵 ヒュー

[ほんの少しずつ口にしていたのは、重ねられた命令へのほんの反抗心。
そういえば、同じ声で何かを、告げられていたような。
咀嚼にあわせた、緩慢な仕草の、瞬き。

その問いかけ>>184があったのは、二口目をと口を開いた時だったか。
そのまま、匙ごとを皿へと戻し、苦笑する。]

 ……薬を飲み忘れて、
 少し、色々あっただけ、……です

 今はもう、大丈夫。

[何か仕事でも、と言いたげに、まだ赤みの残る瞼を細めて首を傾げる。
匙の代わりに、グラスに手を伸ばせばまた一口を飲み込んだ。]

(189) 2014/12/28(Sun) 15時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[問いかけに、眉を寄せる。

今日の予定、自分の部屋の掃除と、洗濯と、後は何があっただろうか。
他に何も無かった筈、そう断定する為の要素は、あまりにも少ないけれど。]

 …… 一応、今日は平気、です。

 ……食後でも?

[ならば急いで食べる必要があるだろうか。
グラスを置いた手は、再び匙へと伸びる。]

(197) 2014/12/28(Sun) 16時頃


 たかだか数年でこうは成らないからな。
 俺に流れた時間を知りたい。

[ それと、これからの時間と。
死を望んだことはない。だが、先にある時間は有限なものであって欲しかった]

 まだ死にたいのだったか?

[流れる金の髪を見つめる]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……はい、

[急ぐ必要はない、その言葉に小さく頷き、零さぬよう匙を口へと運ぶ。
柔らかく煮こまれた、温かなリゾットは空腹の胃を優しく温める。
ゆっくりと、食事を口に運んでいた手付きは、次第に常通りのペースへと早まっていくだろう。

カステラの最後の一口を口に放り込み、牛乳で流し込む。
一通りの皿を空にすれば、ふ、と息を細く吐いた。

何もせずとも三度、与えられる十分な食事。
清潔な水、穏やかな気候。
それらの対価として、主は何を求むのか。

月光を受け艶めく黒髪。
差し伸べられた手を、縋るように掴んだ夜。
あの夜から、何度の満月を数えたか。

皿から視線を離せば、ライジの方を見つめる。
視線が合えば、何処へ向かえばいいかと問うただろう。]

(200) 2014/12/28(Sun) 16時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[食事を終えたか、席を立ち談話室にという姿に軽く頭を下げる。

入れ違いにやってきた隣席の者>>204の調子は、常と変わらぬように見えた。
問いかけに小さく頷けば、口の中のものを飲み込んで。]

 軽く、寝た。
 ……薬が効いたんだと思う。

 ……木乃伊じゃなくて、ヒューです。

[呼べますよね、とは朝のこと>>72を指してか。
席を立った後も、命令の形でクアトロを寄越したとは知らぬまま。

最後にとっておいたカステラは、口の中で甘く解ける。]

 ……ごちそうさま、……美味しかったです

[温かな食事は、やはり、格別だと思った。
食卓に主の姿がまだあれば、その方向に軽く頭を下げて食堂を後にしただろう。]

(207) 2014/12/28(Sun) 17時半頃

[じぇれみがもし囁きかけられる位置に居るのなら、こう囁いたろう。]

 お前さんは「真実」って物に興味は有る類の人間かい?


 さあ、あなたは知ってるの?

[知ったその真実が、不幸なら
 どのみち忘れてしまうのだろうか?]


【人】 負傷兵 ヒュー

→ 談話室 −

[主の笑みへ、此方も笑みを返した後、食堂を出る。
途中の廊下で、窓の報告を忘れたことを思い出すも、少しの間の後ライジとの約束を優先したか。

談話室の前、普段は遠慮無く入っていく場所ではあるが、少しの間、足を止めて。]

 ……し、つれい、します

[恐る恐るといった風に、中へと入る。
壁に凭れた横顔が、此方を見るのに小さく頭を下げた。]

 あの、……何か俺に用、が?

[歩み寄りながら、問いかける。
その手の届かない距離で足を止めたのは、ここ最近の彼の手足の挙動を警戒してか。]

(210) 2014/12/28(Sun) 18時頃

[そう、あっしの部屋で。
そこにあっしは真実を記している筈だ──]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……あ、ぁ、 ……はい、

[問いへの答えは、得られない。
促されるまま、その背を追って奥の部屋へと向かう。

小さな空間、中央に設えられたピアノ。
示されるままに椅子に腰掛け、蓋へと体重を預けるその顔を見上げる。
ピアノの為に用意された部屋なのだろうか。
発される声は、常とは違う響きを持っている、気がした。]

 ……色々、……あぁ、昼の?
 あまり、聞いても楽しい話では、

[そう、誤魔化そうとするも、思案するような様子に言葉は途切れる。
名を尋ねるのに、瞬きを一つ。]

 ヒュー。……ファミリーネームは、無い。
 ……ただの、ヒュー。

[それは、今までも、これからも。]

(215) 2014/12/28(Sun) 18時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[それからすこしばかりの間を置いて、唇を開く。
視線を外し、微かに目を細めた。]

 ……良くない、夢を見て……

[否、それだけではない。
それはただの、切欠だ。

泣いた理由は別にあった、けれどそれを口にしていいものか。
言葉を選ぶように、眉を寄せる。]

 ……人よりもずっと、記憶が曖昧で。そのせいで、誰かを傷つけていて。
 俺は、傷つけた事すら忘れているのが、……嫌だった。

 ……既に、何を忘れちまったのかすら、覚えてなくて。
 情けなくって、……、

[子供のように涙を流した事と、クアトロと交わした“約束”は、口にはしなかった。
寝台で繋いだ指の温もりすらも、既に曖昧だったから。]

(216) 2014/12/28(Sun) 18時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……面白い話じゃ無い、でしょう?

[苦く笑えば、ようやっと視線を上げる。

そうして、その首に残る赤い跡に気付けば視線は其処へと留まるか。
傷ではない、では何の跡か。
微かに眉を寄せたのは、無意識に。]

(217) 2014/12/28(Sun) 18時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[貸借、その言葉に眉を寄せる。その後に、目を伏せて首を横に振った。
頭を蹴った、それは痛みとして覚えている。
けれど、何と言葉を交わしたのだったか。
そも、何のためにあの時、彼居たあの場所へ行ったのだったか。

寂しいもの、それがきっと普通の感情なのだろう。
けれどそんな感情を抱かせた事すら、自分は覚えていられない。
全てを強引に覆い隠されて、残った“自分”とは一体何なのか。
知らず、下唇を噛み締めて。]

 ……貴方との、こと、

[問いかけに、目を細める。
切り裂かれた包帯と、赤く汚れたシーツ。傷を撫でる指先、身体を抱く腕。
交わした言葉は、]

 俺の、主人となる、と、……
 ……貴方の傍に、と……、……そんなような、ことを、

[確かめるように言葉にしながら、未だ払拭しきれぬ不安が胸を占めていくのに気付いた。]

(222) 2014/12/28(Sun) 19時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[捉えられた赤の視線は、どんな色をしていたか。
申し訳無さと、混乱と、不安と。
知らず詰めていた息を、そっと吐き出す。

その表情も、首元の跡にまた、曇る。]

 ……吸わせた、……

[きっとその言葉には、二通りの解釈があるのだろう。
一つに、行為の最中の、戯れのような跡。
もう一つに、血を欲した吸血鬼の、食事の跡。

その指先が赤い跡を撫でるのに、ふいと視線を逸らす。
例えばそれが、後者の意であるならば。]

 ……いえ、……すみません、

[何に対する詫びなのか、自分でもわからぬままに口にする。
忘れかけていた夢の景色の一色が、鮮やかに色を帯びるのに口元を覆った。]

(223) 2014/12/28(Sun) 19時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[覚えているのはただ、“忘れた”ということだけ。
それを苦痛と思わないのは、全身の傷に痛みを感じないのと同様の理由なのかもしれない。

忘れればいい、苦しいことも、悲しいことも。

そのうちに全てが曖昧になり、自我すらも薄れる連鎖となって。
その連鎖はどこから始まったのか。
きっと、赤の月夜。

血が滲む、という指摘に、知らず込めていた力を抜く。
舌先が傷付いた唇を舐めれば、微かに鉄錆の香りが鼻腔を抜けた。]

 ……すみません。

[責めるわけにも、ということは、本来ならば責められて然るべきなのだろう。
記憶が薄れると、それを言い訳にして幾つを見逃されてきたのか。]

(228) 2014/12/28(Sun) 20時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[掌は、口元にあてたまま。
吸いたいか、そこ問いかけに確かに首を横に振る。
浅く、息を吐き、その顔を見上げて。]

 ……血を、……口にする夢を見て、……それを、思い出して。
 夢だけど、……夢じゃなくて、……

 ここに、来る前のこと、……

[それが良い夢ではなかった事は、語らずとも分かってくれるだろう。
暫し、落ち着けるように呼吸を繰り返した後、そっと手を下ろした。]

(229) 2014/12/28(Sun) 20時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……多分、まだ、本調子じゃないんだと思います

[視線を上げて、苦笑してみせた。]

(230) 2014/12/28(Sun) 20時半頃


 ……僕?

[口調と一人称の、の違い。
騙したのはお前だと、なじる言葉。
 
伏せていた視線を彼に向けた時
一瞬、あの写真でだけ知れた
繕わぬ表情の彼が居た]

 ニコラス…

[自分は会話している相手のことを名前で呼ぶ事はほとんど無い。だけど、ついて出た彼の名前。]

 そうだとしたら、俺はお前に、
 「俺」を殺せって命令したのかもな…


【人】 負傷兵 ヒュー

[謝る言葉に、首を横に。
体調管理に関しては、完全に此方の落ち度だ。
下りた掌の下、微かに口元は笑みを形作って。]

 ……どうせ、夢を見たことも忘れます。
 覚えていられるうちに誰かに話せて、……良かったのかも、しれない。

[それは、半ば諦めるような口調。
けれど付け加えた言葉に偽りはない。
もう少し学があれば、夢の日記でも書き記せたのだろうか。
そも、夢を覚えた朝が、何度あっただろう。

この部屋へと読んだ理由に、彼が腰掛けるピアノへと視線を向ける。
黒く、艶やかな局面に、自分の顔が歪んで写る。
自らの輪郭に、そっと指を沿わせて。]

 ………、

[途切れた言葉の続きを乞うても、良いのだろうか。
その様相に、それは躊躇われ、口を噤む。]

(238) 2014/12/28(Sun) 23時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ――……あの、

[戻っていい、その言葉に椅子を立ちかけるも、触れた掌が離れる前に唇を開く。
僅かの間、言葉を探して。]

 その、……曲を、……聞かせて貰えない、か、……ですか?

 どうせ戻っても、……俺、その、洗濯とかしなきゃだから。
 ……仕事サボる、口実を、……とか、

[言葉を選びながら口にするうちに、だんだんと視線は自らの手元へと降りていくだろう。
我ながら、何を言っているのだとは思うけれど、一度言葉にしてしまった以上取り消しはできない。
それが、上位の者に対する、下位の人間からの言葉であっても。
指先は、自らのシャツの裾を弄ぶ。]

 ……迷惑なら、いいです。……ごめんなさい。
 けど、……俺みたいなのに、聞かせたいって言ってくれたのに、……申し訳なくて。

[音楽に対する知識はからきしだ。
けれど、そんな風に自分を気にかけてくれたのならばと、微かに口元ははにかむように微かな弧を描く。]

(239) 2014/12/28(Sun) 23時頃


 俺の生き死にんなんて
 どうでも良いと言ってなかった?

[まだ、死にたいのだったかと問われて、テーブルに頬杖をし、伺う様に笑い。]

 そういや、あんたは俺と寝た事ある?
 
 あはは、一度くらいは、
  俺はあんたを口説いたかもしれないね

[ニコラスとの会話を思い出しそう笑い。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[覚えていられない記憶の断片を、誰かに負わせることは、負担になるのではないだろうか。
そんなことをが過っていたものだから、良かったというその言葉に安堵した。

人一人分の重さを失った蓋に指先から力が加われば、く、と微か抵抗を与えながらも動くのだろう。
こういう風に開くのか、とは思えども、下手に触っては壊してしまいそうで、また蓋は閉じられる。
指を離せば、滑らかな表面にくっきりと指紋が残っていた。]

 仕事っていっても、……俺の部屋の片付けだから、嫌ならやらなきゃいいんだろうけど。
 ……何かしていないと、落ち着かないから。

 ……貴方のピアノを聞く、ということで。

[駄目でしょうかと苦く笑うも、演奏をするという返事に、その苦さも何処かへ遠のくのだろう。
言われるがままに椅子の端に寄れば、幅を取らないようにと掌を膝の上に置く。

その掌が蓋を開き、白と黒の鍵を晒すのを視線はじっと追う。
演奏が始まれば、それはその指先を。

そして、演奏する横顔を。]

(253) 2014/12/29(Mon) 00時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[指が鍵盤を叩くのに、微か、身体を揺らして。
そのうちに瞼を閉じれば、音に浸るように。

聞いたことのない、音楽だった。
このクラン内で、真面目に音楽に向き合った事など無いのだから、音楽自体に慣れないのも仕方がないのかもしれない。
けれど、やはり耳に慣れぬ旋律で。

閉じた瞼に、一瞬だけ、昨日彼が語った“夢”の断片が映った気がした。

再び瞼を開いたのは、終わりと告げるその声に。
此方を向く顔が笑んでいるのに気付けば、はにかむように笑み返したか。
演奏の終わりに、拍手を向けるという知識は、無い。
代わりのように、ゆっくりと頭を下げれば、椅子を立つ。]

 ……ありがとうございました。

 あの、音楽のこと、俺知らない、けど。
 ……嫌いじゃ、なかった、です。

[そこまで告げて、もう一度、頭を下げる。]

(254) 2014/12/29(Mon) 00時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……また、聞かせてください。
 仕事サボって、聞きにきます。

[扉の方へと歩み寄りながら、その一言は付け加えるように。
迷惑でなければ、と添えれば、また照れたように笑うだろう。

引き止められなければ、そのまま部屋を抜け、自室へと戻っただろう。]

(255) 2014/12/29(Mon) 00時半頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[娯楽室を抜けて後。
真っ直ぐに部屋へと辿り着き、寝台の上で散らばった包帯の残骸を拾い集めていく。

当分弾くことはないという、その言葉に寂しさを覚えたのは事実だった。
きっとその間に、あの旋律も忘れてしまうのだろうから。
そしてその事を、寂しいと思った事すらも、同様に。

何時まで、何処まで、何を覚えていられるのか。
拾い上げた、包帯とは違う布を丁寧に折りたためば、書き置きと同じ引き出しへと入れた。
決して整頓されていない引き出しだった。
入っているのは、書き置きや布だけではない。
例えばチョウスケが折ったのであろう紙細工や、上位の者に書いてもらったのであろう、クラン内での文字の一覧表なども入れられている。

かつての自分が、失くさないようにと思って仕舞いこんできたもの。
けれど、今の自分にとっては、それらがどのような経緯でこの引き出しに入れられたのか、殆ど思い出せなくなっている。]

(260) 2014/12/29(Mon) 02時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[そのうちに、自分という存在も曖昧になってしまうのではないだろうか。
何もかも忘れて、ただ、傷だけを抱えて生きる存在となって。]

 ………、

[引き出しを閉めれば、残りの包帯を拾い集めていく。
ふと、細い瘡蓋の残る指先に気付けば、眉を寄せた。]

 やっぱり、……この傷は、癒えるんだな……

[血が止まった事からも、予想はできていたのだが。]

(263) 2014/12/29(Mon) 02時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[赤黒く染みの残るシーツを剥ぎ、汚したシャツと共に裏庭へ。
昨日干したシーツは回収されたか、紐も既に結わえられていなかった。

洗い桶に水を貯め、汚れたシーツを踏み洗う。
こびり付いた赤色は、落とすのに時間がかかりそうだった。

いっそシーツに染みをつけるように、この身体に新しく傷を刻んでいけば、痛みとともに記憶していられるようになるのだろうか。
残る傷と、新たに増える傷とはきっと性質が違う。
だから、癒える前に新たな傷を刻んでいけば―――]

 難しい、……だろうなぁ……

[そう呟けば、そんな“もしも”の想像を打ち切る。

痛みが嫌だと、苦痛は嫌だと。
あんな惨めな思いはもうしたくない、あんな過去なんて忘れてしまいたい。
人並みの幸せを、得たい。

寝台の上、まだ新しい傷が残る身体で主に願ったのは、他ならぬ自分なのだ。**]

(265) 2014/12/29(Mon) 02時頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 02時頃


負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 02時頃


 ―或る日―

[雲が途切れ、また陽が入り。
昏く翳っていたその場所を照らす。
男は足許に転がるものを見る。

揺れる金の髪。
蒼ざめた膚は、最早生者のものではない]

 ……ぁ……。

[目の前掲げた、痺れて色を失くした指先が、
小刻みに震えるを不思議そうに眺める。
『それで良い』耳を打つ、囁きの気配に振り返れど、
黒衣の魔女はもうどこにもいない]


[やがて遠く喧噪の声がする。
森を抜けた先に或る城には吸血鬼が棲むと謂う。
其処に城があったか、其れがいたか、真実は不明。
だが、まともな人間は誰もその場所に寄り着こうとはせず。

だから、其処へ逃れようと走り出した。
生き場所を願ってか、或は逝き場所を願って**]


負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 13時半頃


ー或る日ー

[握り返した手は吸血鬼である私のそれよりも冷たかった。

私の記憶はあの日からでいいのだと思う。
それまでは孤独な死という日々を生きていた。

古城を訪れる影一つ。
この吸血鬼の城をわざわざ訪れるとは誰だろう。
迷い込んだ妖精か悪魔か。
吸血鬼である自分以外に幻想を体現する存在は
目にしたことはなかったけれど。

ともかく私のことを恐れもしなければ迫害もしない
彼が人間であるとはその時は思わなかった。

だから彼に手を差し出した。*]


【人】 負傷兵 ヒュー

[洗い終えたシーツを洗濯紐にかける。
風にざわめく木々の歯に、裏庭から空を仰ぐ。

シーツに残った赤は、完全には落ち切らなかった。
ここにある洗剤では駄目なのだろう、そのうちに“業者”がやってくる。
本当は、この作業も不要なものだとわかっていた。
わかっていたけれど、

洗い桶を小脇に、抱え部屋へと戻る道を行く。
常通りに、道具とを全て、片付けて。]

 ………

[暫く、自分の掌を見下ろしていたが、立ち上がる。

そういえば、彼がこの時間、何処でどう過ごしているのか。
それすらも、自分は記憶していない。

書置きに残された、あの4の数字を探す足は、早足に。*]

(289) 2014/12/29(Mon) 17時頃

[最初に自分が手を差し出したあの子。

あの子と出会ってから、それまでの孤独とは違う時間が流れるようになった。

あの子が人間だと知り、いつかその日々が終わりを告げてしまうことを知った時、私はそれに抗う術を考えた。

その結論が吸血鬼である自分の血を少しずつ取り込ませて彼を不老にすること。
ついでに彼の記憶を失くさせて吸血鬼だと思い込ませれば、
彼はきっと自分と永遠に一緒にいてくれるだろうと思った。

だからそうした。]


[それから、自分とあの子が安心して暮らせる場所を
探して世界中のありとあらゆる場所に行った。

途中訪れた島国は閉鎖的な所でとてもじゃないが
吸血鬼の隠れ住むような余地はなかったが、我が子が増えた。

いつしか身を落ち着ける場所を見つけ、
「クラン・ドゥ・サン」と名付け、
仕事を任せられる執事も見繕い、
平穏で安寧な日々を過ごし……………]


【人】 負傷兵 ヒュー

[思い付く限りの場所は、回ったと思った。
ならば残るはここだろう、割り当てられた個室に彼がいた記憶はあまりない。
いつだって、図書館に行けば彼はいたから。

僅かに乱れた息を正しながら、緩く握った掌を扉へ打ち付ける。
一度、二度、音を高く鳴らす。]

 ……クアトロ、……いるか……?

[名を、呼ぶ。*]

(328) 2014/12/29(Mon) 23時半頃

負傷兵 ヒューは、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 23時半頃


 私を独りにしないでくれ……。


[見上げた姿は、想像していたものよりずっと優しいものだった。
差し出された手は、冷ややかなものではなかった。

ただただ、寂しげに見えて、その手を握り返した時。
孤独な紅い眸に、仄かに揺れる灯の見えた気がした]

『いい子だ』

[何百回、それとも何千回となく繰り返し耳にした、
何時もの声。
永い間、その声の届く場所が己の居場所だった]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……良かった。
 ここ、お前の部屋だよな?

[出てきた姿に安堵の息。
体調が悪いのか、其処に素直に頷けないというのはある。
けれど、いま重要なのは其処ではない。
遠く響いた鐘の音すらも、置き去りに。]

 ……お前、後で、……時間、あるなら
 俺が覚えてるうちに、俺の夢を書き留めて、おいてもらえないか、
 ……俺より、字、書けるだろ

 俺だと、文字思い出してるうちに忘れちまう、から、……

[【4】の数字を見上げながら、そこまで一気に口にして。]

(348) 2014/12/30(Tue) 01時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……何か、作業中だったか?

[一息の間の後、そう問いかける。
部屋に満ちる匂いは、図書室の古い紙の匂いとは違うもの。
嗅ぎ慣れない、“知らぬもの”の匂い。]

(349) 2014/12/30(Tue) 01時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

[来たことが無い、彼がそういうのならば初めて足を踏み入れる場所なのだろう。
彼の身体越しに見る、やはり見慣れぬ部屋の中。
置かれた道具の数々を、どう使うのかもわからない。
部屋の散らかり具合は気にならないので、素直にそう告げたか。]

 ……お前の空いてる時でいいけど、……今でいいなら、今がいい。
 ……薬、飲むより先に、……また、忘れる前に。

[忘れる事は怖い。けれど、思い出すのも、怖く。
だからといって、逃げてばかりはいられないのだろう。
自分が忘れたとしても、物語の一文として読むことができれば。
そして何より、【4】の彼が記録し、記憶してくれるならば。]

 ……重荷なら、捨ててくれていいから。
 けど、俺だと、持っていられない。

[眉を寄せ、視線を下ろし口にするのは、“お願い”の其れ。]

(354) 2014/12/30(Tue) 02時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……いんすぴ、れーしょん、

[拙く言葉を繰り返し、その顔を見上げる。
知らぬ響きでは無い、けれど知らぬ言葉のまま。

瞳を細め、細い記憶の糸を手繰る。
すっかり遠のいた記憶、けれど彼の中にはまだあるのだろう。
目を伏せ、首を横に振る。
常ならば、そこでやり取りは終わっただろうが。]

 ……教えて、貰えるか?

[躊躇いがちに、そう尋ねた。]

(355) 2014/12/30(Tue) 02時頃

【人】 負傷兵 ヒュー

 ……悪い、……有難う
 
[寝台に開けられたスペースに、腰を下ろす。
こんな場所で普段眠れているのだろうか、そんなことがふと気になった。

膝の上で緩く組む指。
視線は両手指の境を辿っていたが、頬に触れる指にその刺青へと。
阿呆、と、その口調にふと口元が緩む。]

 ……わかった。
 交換、な。

[その後告げられた提案に頷けば、唇を開く。]

(364) 2014/12/30(Tue) 03時頃

[かつて、その本を読んだ時、似たような話もあるものだと思った。
だから、きっとありふれた事だったのだろう、下働きの者を酷く扱う事も。

物語と異なる点は、幾つもある。

例えば子供は奉公にでたのではなく、物心ついた時から既にその地位にあったこと。
追い出されたのではなく、酷く傷を負った夜、支え合うように“友人”と二人、月夜に駆け出したこと。
月夜の荒野で地を潤したのは、その一人の血液だということ。
抜け出した一人は、今も尚生き延びているということ。

酷く飢え、渇いた身体にその血液はよく沁みた。
美味だと、その時確かに思ったのだ。]


 その後に、主と会って、吸血鬼という存在を知った。
 ……それで、その衝動が抑えられないならと思って、薬を飲んで、きて。

[けれど、自分が本当に怖かったのは、血を口にすることではなく、生き延びる為に友すらも利用する自分の浅ましさなのではないか。

掌で、顔を覆う。
不思議なもので、言葉にするとそれらは連鎖的に途切れずに連なっていく。
そこで一度、言葉を切る。]


【人】 負傷兵 ヒュー

 ……なぁ、俺らって、……血、飲まなくても生きていけるのか?

[それは、純粋な疑問。]

(365) 2014/12/30(Tue) 03時頃

[男は隣に座り、スケッチブックを開く。
 彼の口から落とされていくのは、『怖い夢』の話だろうか。
 まるで民話にでもありそうな物語。
 赤い血を啜った、働き者の少年の行く末。
 “友人”を糧にした、吸血鬼の話。

 話を聞いている間、男は声を出さなかった。
 真っ白なスケッチブックの中にペンを走らせていく。

 ただ、時折隣に視線を向けては
 彼がどんな顔をしているのかを、見つめて。]


[止まることなく語られた話。
 やがて、顔が覆われて言葉は途切れる。

 同じように一度手を止めてペンを置いた。

 無意識に手はのびる。
 肩へと伸ばし、軽く抱き寄せようと。]


[───人を殺した記憶。]

 …………。

[少しずつ、ゆっくりと、靄のヴェールが外れていく。
 生きるために友人を手にかけたのであろう彼の話を聞きながら。
 思い出すのは、男が『誰か』を殺めた理由。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[皺の多いシーツは、長く交換されていない証のように見えた。
言ってくれれば、下手であっても取り替えただろうに。
それを申し出なかったのか、単純にそれを必要としていないからか。

広げられたスケッチブックに軽く視線を向け、クアトロの準備が済んだことを確認すれば、口を開く。
怖がる必要はないとその瞳が言うならば、自分も恐れず語ろう、と。]

(368) 2014/12/30(Tue) 04時頃

[語る表情には、笑み一つない。
彷徨う視線の先は、自らの言葉を追う。
恐怖よりも、嫌悪の勝る記憶。
けれど、その嫌悪を恐るならば、それすらも“怖い”夢となるのだろうか。

指越しの視線は、ペンの手の止まる方を見る。
伸ばされた指を拒むことなく、抱き寄せられるままに身体を預けた。]

 ……本当は、もっと沢山、覚えていないといけないんだと、思う。
 けど、……もう、あいつの顔も、思い出せない。

[年の頃も、性別すらも、
恐怖ばかりが勝ってしまい、それ以上を覚えていられない。]


 今話せるのは、ここまで。
 ……今晩も、薬、抜けそうなら、抜いてみるから。

 朝になってまた何か思い出したら、書いて貰えるか?

[最後にそう付け加えれば、微かに笑う。]

[自らの記憶に向き合おう、自らを記録していこう。
そう思った切欠は、何だったか。

例えば、覚えていられない愛の言葉だとか。
例えば、温かな食事の味の良さだとか。
例えば、書き留められない旋律だとか。

きっと、そんな些細の事の積み重ね。]


【人】 負傷兵 ヒュー

[自分の疑問に応えるように、告げられた言葉の先が紡がれなければ、それ以上の詮索はしなかっただろう。
かつての一度を除いた吸血の記憶を、都合良く忘れている可能性だって、十分にあるのだ。

傷の痛みを、忘れてきたように。

軽く体重を預けたまま、次はそちらの手番とでも言いたげに、その顔を見上げる。]

(369) 2014/12/30(Tue) 04時頃

 ……うん。

[笑みもなく落とされていく言葉に、小さく頷いた。
 体重を預けるようにする体を抱き寄せて。
 本当なら強く抱き締めてしまいたかった。
 ぐっと、堪えて肩をとんとんとあやすように叩く。]

 そか。
 ……、…。

[今己は、酷いことを口にしようとしている。]


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注目:ヒュー 解除する

生存者
(9人 135促)

ヒュー
24回 注目

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内緒
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死者
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