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小悪党 ドナルド! 今日がお前の命日だ!
……っ……
[「喰わせたくないのならお前が喰うと良い」咬まれたときの言葉を思い出す。城主にドナルドを咬ませるのは確かに嫌だ。だけど、かといって友人を吸血鬼になどさせたくない――]
【人】 靴磨き トニー[横合いから伸ばされた手に引き倒され、少女は無様に地に転がった。 (1) ひびの 2010/06/25(Fri) 23時頃 |
どうする、ベネット?
……そうだな
お前が其の男にうまく血を分け与えられたなら
イアンは逃がしてやっても良いが。
[唆す為の囁きは、酷く甘く]
……!?
[囁かれる、甘い誘惑。2人とも大切な友人で、どちらを選ぶこともできない。それに、約束など守るかどうかわからないではないか]
……それはつまり……ドナルドを眷族にしなければ、イアンさんも逃がすつもりはないと……そういうこと、ですか。
[漂ってくる甘い香りが 甘い 美味しそうな匂いが――喉が渇きを訴えている。ごく、と唾をのみこみ。そんなものでは渇きは癒えない]
嗚呼、飲み込みの早い子だ。
[闇の底から湧く虚無
眷族の聲が其れを遮る。
城主は恐ろしくも妖しげな微笑を浮かべ、肯定を返す]
お前のすべきことは一つ。
……わかるな、ベネット?
ドナルドは永遠の生を得、イアンはここを無事に出る事が出来る。
お前の望みどおりだろう?
[ドナルドは人としての生を失い
イアンとは恐らく二度と会う事も叶わなくなるだろうけれど]
【人】 靴磨き トニー ……分かん、ないよ。 (9) ひびの 2010/06/25(Fri) 23時半頃 |
[頭がぼーっとする。だけど眷族の、城主の声はしっかりと耳に届く]
……そんなの、僕の望みじゃ……――
[囁く声音は甘く
惑わせるように優しく語り掛ける]
お前の望みは、二人無事でいきること
……そうではないか?
[まやかしと
何より傍で香る強い血の芳香
狂わせるに足る其れ等を前に、果たして何時まで我慢のきく事か]
【人】 靴磨き トニー ……貴方は、セシルさん、だよね。 (17) ひびの 2010/06/25(Fri) 23時半頃 |
【人】 靴磨き トニー[差し伸べた手に、伸ばされた指先が、僅かに触れて落ちる。 (27) ひびの 2010/06/26(Sat) 00時半頃 |
【人】 靴磨き トニー[紅い月の下、小さな身体が葉脈のようにめぐる蔦を足がかりに高い城壁を登る。一歩、また一歩と。慎重に手足を動かし、長い時間を掛けて、漸く城壁を乗り越えるけれど] (42) ひびの 2010/06/26(Sat) 01時頃 |
ローズマリー
[妹と呼び愛でていた娘へかける聲
海の泡と消えてしまうのだろう、そんな予感を胸に抱きながら
名を呼ぶ]
お前も――食事に来るが良い。
よもや、彼女らを逃がそうなどとは、言うまいな?
同族喰いは、避けたい所だが。
[嘗て白薔薇達に迫った選択と、似ている気がした。
万一ひとの娘を助けたいと思うなら
代わりにその身を差し出せと。
さて、その後の話はまた後ほど語る事としよう]
――この世ならざる世界で――
[それは薔薇のかぐわしき香を漂わせ、
かつての薬売りが傍ら、
毒華のさいていようとも、躊躇うことなく歩み寄る。
白手袋を外せば、襟ぐり掴みあげて平手を一発、頬へ]
―――さて、あなたの為された所業の数々、
どのように詫びていただきましょうか?
[ふと、気配を感じ、振り向くと、白薔薇。
いや、白薔薇と呼ばれていた、かつての同胞というべきなのか。]
セシル……
――?!
[そして、いきなり頬を張られ、しばし茫然と……。]
――……侘び?
[思い出すのは、なぜ、庇ったかと詰め寄られた記憶。]
[一度見遣れば、手袋をはめなおし]
ああ……
貴方はなにもわかってらっしゃらない。
何も知らずに、人をこれだけ好き勝手するとは対したものですね。
フロレスクの名で私を抉り、
血を吸った上に勝手に慰みを施して、
その上、私を勝手に生かした挙句、自分ばかりは自死も同然。
罪悪感の自己満足で亡くなられたのでしょう?
人を殺す罪と 人を生かす罪と
ねえ、どちらが罪深いのでしょうね?
[茫然としたまま、彼の言い分を聞けば、段々と、表情は厳しいものになる。]
――……そんなつもりは……。
生かす罪……だと?
[その言葉を聴いて、またしばし考え込む。]
――……君はやっぱり、死にたかったのか……?
[その問いかけに眇められていた眼差しを、
投げやりに華やかなあの微笑みにかえれば]
あなた、私の恥を暴かれておいて――
今更そのようなことを問うのですか?
[白き薔薇は、その鈍感さに呆れたようなため息を]
[微笑みとため息に、目をそらす。
彼がフロレスクとして、目覚めることをどこか期待していたのかもしれない。
いや、その覚醒を男が見ることはなかったのだが…。]
違う、恥を暴いたわけじゃ……。
いや、でも、
すまない。
[目は見ないまま]
[目をそらすのなら、その指先は頤へ]
たとえ
あなたがそんなつもではなくとも、なしたことは変わらない。
それに
だから、よいと……
―――吸血の快楽に浸された身の、私なら
私にならなにをしてもよい、と思ったのでしょう?
[その双眸を青はどこまで追って]
[視線を感じて、チラと視線を戻す。
貌を掴まれると、苦しげに呼気を整えようと…。]
そんなことは……あのときは、自分は……
[そうあの時、吸血の魔族になったとき、
自分からなかったもの、そしてあふれ出していたもの。
それは、理性と、欲望と……。]
――……ッ
[認めざるえない感情にやはり目を伏せる。]
そうだ、そうだな、
自分は、君が………
欲しかったんだ。
[最初に見た蒼穹、そして、フロレスクであるという事実。きっとその時から、彼には特別な感情があった。]
[目を伏せたそれからは、触れた手を離して、
白薔薇は断罪者の如くそれを見下ろすように]
―――…なんて、罪深いこと。
あなたはつまり、自分の欲望を魔の本性と挿げ替えて、
己自身をも騙そうとしたのではありませんか。
[青はその眼差しを狭める]
そのその事実から目を覆い、逃げたのでしょう?
己の本心を認めたく、なくて。
[足元には広がるは、棘持つ白薔薇、漂う薔薇の香気]
[己さえも騙して、の言葉にはっとするけど、
また眸を閉じて…]
――……
[否定はできず、でも肯定をできる強さもなく、
ただうなだれた。]
[沈黙が返れども、
白薔薇は容赦なく断罪の言葉を紡ぎ続ける]
そして逃げ出したまま、命をも投げ出した。
あれはあなたが施したもの、なのでしょう?
――…責任でもとったつもりですか。
さぞ、満足でしょうね。
醜い己自身の欲望と向き合うことなく、綺麗に死ねたのですから。
――…あなた自身は、私にフロレスクたる汚辱と、
己の浅ましさと、向き合うことを強いたというのに。
[白薔薇の呪うような言葉は止むことなく、
逃げ道を塞ぐように己を責めてくる。
否定はやはりできず…だからといってもう、為してしまった業にどう応えていいのかもわからない。]
――……そうだな。
吸血鬼たる自分からも、逃げたかった。
[認めるといった口調で、深く深く息をついて、
やっと、逃げてはいけないのだと、その眸に向き直った。]
――……で、君は私に何を?
君の怒りをどうすればいい?
[じっと、乱れた髪の向こうから彼を見つめる。]
[揺らがぬ白薔薇とて裁く立場になどあろうはずがない。
けれどその言の葉は止まず]
己の欺瞞もお認めなさい。
――…本当に、救いがたいこと。
[しばらくして、その沈んだ色が向き直れば、
向けられる問いに、ただ、問いを返して]
赦されたいですか?
―――それとも、償いたいとでも?
[そして自らの言葉に微笑う。
後者もまた罪悪感よりの欺瞞に過ぎないだろう、と蔑むように]
[白薔薇は開放しないとでもいうように問いを問いで返して……。
そして、赦されたいか、償いたいか、と訊いてくる。]
赦されるのか?
ましてや、償えるのか?
君は私をどうしたい?
私は君に何ができる?
いや、きっと、何もできない。
だが、一つ確かなことがある。
これだけ言われてもなお、私は君を……救いたいとも思う。
[まさに欺瞞……。]
[それは噴き出すように笑って]
ははッ っく……
――……ああ あぁ……
[白薔薇が胸の薔薇を手にすれば
その棘持つ枝葉が、目の前の者を打たんと振り下ろされる]
なんという傲慢、欺瞞。
あなたの罪悪感に付き合えとでも?
そんなものあなたの自己満足でしかないでしょう。
だいいち、
何も出来ない者がどのように私を救うというのですか?
[静かな怒りの滲む眼差しが、見据えて]
[笑う白薔薇、振り下ろされる白薔薇、
それが貌を打って、目の下に引っかき傷を作った。
じわり、と染み出す赤い色。
瞬時は目を伏せたけど、それでもまた開いて……。]
そうだ。
自己満足で、欺瞞かもしれない。
[打ち下ろされた白薔薇を拾い上げる。]
でも、放っておけない。
[白薔薇を眺め、その棘に指を押し当てる。
指先は切れて、やはり赤いものが滲む。]
薔薇は、棘が痛い。だけど、
美しい。
[染み出す赤に打ち捨てられた薔薇を男が拾う、
清廉な純白を侵す1滴の あか ]
――それは、
今度は私に――
憐れみでも施すおつもりですか?
あの、娘に与えたように。
[気高き白薔薇の棘が、
男の指先を傷つけるをただ目を狭めて、見る]
――………。
[憐れみを施す……その言葉は、また心のやわらかいところに刺さる。
どうすればいいのか わからない。
きっと、このまま抱きしめたとしても、
彼は、なお、閉じこもるだけじゃないだろうか。]
――……君に与えられるものはあるのだろうか。
いや、それを考えるのも欺瞞なのか?
[それでも白薔薇を打ち捨てない。**]
沈黙は肯定なのでしょう。
―――実に愚かな偽善、ですこと。
憐れみだけでも赦しがたいというのに、
ましてや唯一ならざるものをこの私に――。
[気高き白薔薇は、
その自尊心を害すことを、許さず]
何故、私に与えたいなどというのです。
―――傲慢な。
[偽りを許さぬ、青はただ静か**]
[何を言っても、態度が崩れない。
段々と、本当にどうしていいかわからなくなる。
いっそ、放っておけばいいのか、と、思うけど、
それだけができなくて……。
なぜだ、と考えて……。
またその姿を見て……。]
――……そうですね。
君に何か与えてあげよう、とか、無理かもしれない。
だけど……。
[そこまで言いつつ、言葉に詰まる。]
[与える、その言葉に眉根を顰め、
迷うような沈黙と揺れる視線に、苛立ちをまた誘われる]
理由も言えぬとは、
つまらないこと―――己の意思もないのですか。
はっきり仰いなさい。
いまだ己の浅はかさを認めがたいのですか。
[白き薔薇は飽いたように眼差しを流す]
――…だから、憐れみとか、そういう気持ちじゃないんだ。
[そして、はっきり…といわれ、向き直り……。]
憐れみじゃない、
護ったのも、そして、君に、あんなことをしたのも。
私は、君を……。
愛してるから。
[白薔薇は重たげに、
その睫毛を瞬かせながらゆるやかに首を傾いだ]
――……ああ、
ああ、なんて都合のよい言葉。
[男を覗き込む白薔薇の双眸は濡れて]
あなたはただの欲望に、
そのような名を付けるのですね。
―――よいでしょう、ならばそれが違う、と。
証明して差し上げればよいのでしょう?
[両の腕は男の首に絡められて、薔薇は微笑む]
[白薔薇の手が首に絡んで…
そうか、絞めるのかと思った。]
――…ただの、欲望じゃな い。
[否定の言葉を絡みつく前に吐き出して……。
そのまま、濡れた眸を見た。
そう、
瞬時に護ったのも、最初に欲しくなってしまったのも…もうそれしか理由が浮かばなかった。]
[絡んだ指先、一度だけ力が込められると
その指先は掠めるように這わせながら背へとまわされた]
――お黙りなさい。
[白き薔薇の口唇、口付けは甘く
されど情欲を煽るみだらなもの――離れて、吐息を零せば]
[消えない憎悪、それはただ欲望に踊らされるを暴かれたが切欠――男自身はそれをごまかしているというのに。それは同属ゆえの嫌悪にも似て]
ならば、あなたも貴方の言葉を証明なさい。
……私は貴方の浅ましい姿が見たいのです。
[薔薇はその執着の名を知らず]
[その指先は首に食い込むが、すぐに離れ、悩ましげに身体をすべって…
その指先を目が追った時、口唇が濡れる。]
セシ……
[黙れといわれて、でも黙る意思の前にそれは塞がれて……目は一瞬見開かれる。]
――……
[そのまま、抵抗などするわけもなく……。]
[証明しろといわれて、目を細める。
もう二度、戯れた躯。離れた口唇をまた追いかけて、押し当てた。]
――……
[沈黙は肯定。
そういわれるまま、無言で……。
欲望の牙を見せて…。**]
[不意に城主の聲が響きます。
呼ばれた名は私が人であった頃の響き。
私のローズ、と慈しんで呉れた名残は感じられません。
感傷的になっていた心が冷静になってゆくのを感じました]
私はドナルドの血を頂いたばかり。
今は渇きなどありません。
貴方はもう私に興味などないのでしょう?
貴方の寂しさ、私には埋められないのですよね。
愛しいお兄様……
私に時間と慈悲を与えて呉れてありがとう。
――…お別れ、です。
[客人の事には触れず、
必要とされなくなった私は幸せを願った魔性に
別れを告げたのでした]
[追いかける口唇が重なる、
それはかつての官能の記憶を呼び覚ます。
冷たい熱が甘く溶けて重なりゆけば、薔薇の香は漂う]
[布を噛んで押さえ、手袋を外す、
その指先は男の胸元を弄り――触れたのは刻印
がりと爪を立てる 欲望が迫る 目元だけで微笑えめば]
――――……ん、 ぁあ……
[咥えた手袋は落ちる]
[白き薔薇はその執着の名を知らず、
されど男に標した刻印は決して消えることはない]
[甘美なる地獄に、救いがたき魂がふたつ
行為を愛と呼ぶ者 行為を欲と呼ぶ者
薔薇の褥に、艶やかなため息は、零れる――**]
――…何処へなりと、好きに行くが良い
お前は……自由だ。
[低く暗い音
興味が無いと
埋められぬと
其れは城主自身にもわからぬ事
答えは其れだけしか返せなかった]
私の愛しいローズは――泡と消えた
そう、思う事にしよう。
お前の墓は作らぬ。
[ざわ、と風が森を騒がせる。
何時しか霧は弱く薄く
魔の結界はとけて消えた。
喰らってしまうぞと脅しにも屈する事の無かった彼女は
何処まで行くのだろう
もう人には戻れぬ其の姿で。
霧の先を見通す事は、出来ない]
この黄昏の向こうは……別世界
あの者とて、数十年か数百年もすれば戻ってくるだろう
此処より先に
ひとの住処には我等は立ち入れぬ。
我等が城に、人が足を踏み入れられぬと同じように
永遠を願うひとと、終幕を求める魔と
決して双方が相容れることなど、無いのだ
ベネット
私の大事な息子よ
外を眺めるのは、止めてしまえ。
黄昏の色も周囲を再び閉ざす霧も
我が力続く限り、永遠に変わる事など無いのだから
この城にいる限りは
お前を怯えさせている魔物狩人も
獣たちも
誰もお前を傷つけることは出来ぬ。
――そう、私以外には……な
【人】 靴磨き トニー――昼 尚昏い森の中―― (131) ひびの 2010/06/28(Mon) 20時半頃 |
【人】 靴磨き トニー――回想―― (132) ひびの 2010/06/28(Mon) 20時半頃 |
【人】 靴磨き トニー[かの淑女から譲られた猟銃を供に、夜の眷属たちを討つべく、 (133) ひびの 2010/06/28(Mon) 20時半頃 |
【人】 靴磨き トニー[それから十年の時が流れた。 (134) ひびの 2010/06/28(Mon) 20時半頃 |
【人】 靴磨き トニー――再び、森の中―― (135) ひびの 2010/06/28(Mon) 20時半頃 |
【人】 靴磨き トニー[黒い薔薇の言葉に心乱されたこと。白い薔薇の言葉に背を押されたこと。 (136) ひびの 2010/06/28(Mon) 20時半頃 |
――…私の望みは『自由』ではなかった。
けれど、後悔はしていません。
これは私が望んだ事だから。
[兄と慕った魔性の聲は女の耳には届かない。
それでも時折女は語り掛けるように独り言ちる]
ねぇ、お兄様――…
貴方の『望み』は叶いましたか……?
貴方は今、しあわせですか……?
[薔薇は微笑った、男の愚かさに]
――嗚呼、 ああ……
実に、実に愚かしいことですね。
それが貴方の語る 愛 なのですか。
[声をあげて薔薇は哂えば]
―――欺瞞もここまで限度を越えれば、笑うしかありませんね。
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