65 In Vitro Veritas
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―病室― [>>14クロが起きたのを見計らって声をかけた。 自分は結局、日ごろ不健康な生活に慣れているせいか。長く起きていても何とかなるのは分かっていたのだから。]
おはよ。 よく眠れたみたいね?
ねえ、前に言った事。 覚えてる?
[「これからどうするか」それについて、彼女に確かめておかないといけない事はいくつかあった。
まずは……]
どうもね。 あたし達以外のクローンとオリジナルは。 関係が良くない人多いみたいね。だからこんな事になってるんだろうけどさ。
(16) 2011/10/04(Tue) 23時頃
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もしもさ。 クローンはクローン同士。
オリジナルはオリジナル同士って分かれちゃって、それで喧嘩……と言うか、もっと厳しい事になった時に。
[今日誰かが死んだのか。それは分からなかった。 実際には、もう数なんて関係無いぐらいにはオリジナルは減っているし、雨宮の事も気が付いてはいなかったのだけれども。]
その時、クロはどうするの? どっちに、つくの?
[その答えによっては、ここで別れなくてはいけないからこそ。 真剣な目で問いかけていた。]
(17) 2011/10/04(Tue) 23時頃
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>>21 あたしの為、か。
[そう言って苦笑した。 そうして、クロの方に近寄っていくと頬を撫でてから]
クロはさ、どうしたい? もしも、ここから出られるときが来たとしてさ。 ……行った先があたし達の居た場所だった時に。 貴女はその後どうするつもりなのかなって。
(24) 2011/10/04(Tue) 23時半頃
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>>26 違うわ。 仕事なんてあたしはまだ何も無い。
[そう、思えば随分とお気楽な暮らしをしてきたもんだとは思う。 毎日本を読み、時には夜更かしし。 或いは朝まで本を読みふけると翌日はずっと眠るだけ。]
じゃあさ、質問を変えましょうか。 一緒にここを出てもさ、あたしが先に居なくなったらどうするの?
あたしはもう、移植する気はないわよ?
(30) 2011/10/05(Wed) 00時頃
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>>31 ばーか。
[ぎゅっと抱きしめた。 そうして、ベッドに2人して倒れこむようにすると。もう一度強く抱いてから。]
ねえ、クロ。 1つ頼みがあるんだけど、良いかな?
(33) 2011/10/05(Wed) 00時頃
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>>34 もしも、あたしが先に逝った時は。 ……水無月家にはね。あたし一人しか子供は居ないから。
[小さい頃から自分を溺愛していた両親をふと思う。 1人娘が居なくなれば、その悲しみはきっと半端じゃないものになるのだろうが。もしもそこに、そっくりな誰かが居たら。
……それで満たされるのであれば。 自分の身体のパーツとしてではなく。自分の両親の欠落を埋めるため。それは考えようによってはクロ自身を見てないと言えるのかも知れないが]
あたしが居なくなったら。 代わりに、あたしの家に帰ってくれる?
(37) 2011/10/05(Wed) 00時半頃
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オリジナルを失ったクローンは、
……よくない、んでしょうね。
[小さく訊く。]
きっと、
殺される?
[それが一番自然だと感じたから。そう述べてから…。]
――……じゃあ、貴方は、殺されないでください。
[利己的な笑み]
そしたら君は、
“クローン”という存在のまま、
雨宮セシルの代替品のままだよ?
元の生活に、戻りたいの?
[囁く言葉の意味は、
雨宮セシルを殺せというに等しく。
けれど声音は酷く穏やかなままだ]
元の生活には、戻りませんよ。
こんなこと知って、元の場所に戻すなら、
世界はよほど、ばかですね。
[代替品、その言葉に、目を細める。]
それが、俺の価値ならば、
貴方のスペアというものに価値があって、
それで、生きていられるのなら、
そういう存在でも構いません。
そう、
はじまりは貴方だ。
それは認めます。むしろ、それを利用して、
俺は、俺として生きていきたい。
言ったでしょう?
貴方と俺は、同じじゃない。
貴方が死んだから、
貴方の変わりにそこで生きるなんて…。
ありえない。
俺は、雨宮セシルじゃなくて、
コーダですから。
[そう、それは、つまり、身も心も全移植なのだと…。]
そう、君たちは知りすぎている。
だから、元の場所には戻れないだろう。
君の居場所は、きっとなくなる。
だから、俺の場所で君として生きればいいんじゃないのか?
会えるよ。
ニーナにも。
君の望むかたちではもちろん、ないけどね。
[耳元くすぐるようにそっと囁いて、離れる]
――………
[ニーナに…その言葉には微か、瞳は揺れた。
だから、そのときの、返答はやや詰まったけれど…。]
ニーナは、
その腕が、ニーナなわけじゃない。
[囁いて離れていく背中を見つめて。]
居場所がないなら、
居場所をつくるまで……ということですね。
でも、そしたら、貴方はどこにいくんですか?
[その問いは聞こえただろうか。**]
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>>39 んー。 何て言えば良いんだろうねえ。
[ベッドの上で、クロの事をぎゅっと抱いた状態のまま。 彼女に伝えようとする言葉を捜すように言葉を紡ぐ。]
クロはさ、ここを出られたら。 どうしたい?
あたしを抜きにして考えてみて。 もしも、水無月さんの家とはあんまり関わりたくないって言うんだったらその時は。 あたしが何か、もっと別の家でも用意することだってそこまで難しい事じゃないんだしさ。
[それは自分にとっては何を意味するんだろうか。 贖罪なのか、同情なのか、それとも……]
(56) 2011/10/05(Wed) 09時半頃
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あたしが居ないなら、か。
[抱き寄せる手に、どうしても強さが篭ってしまう。 これが自分達が享受して来たシステムの、一つの欠片。
オリジナルを殺すほうに歪みを発展させたのが、ヨーランダや、他の人を殺した誰か。そして目の前のこの子はそれとはまた別種の歪み。その歪みを何とかしてあげたいと思って……]
あたしだってさ。 『在る』理由なんてはっきり持ってるわけじゃないよ? 今まで生きてきて、好きな本読んで。甘いもの食べて。
[言葉をそこで切ると、唇を一度合わせてから]
こうやって色んな相手と遊んで。 『在る』理由があたしにももしあったら。今頃神様にぶん殴られてるわね。 ……だからさ、理由なんてこれから探せば良いじゃない?
(62) 2011/10/05(Wed) 10時半頃
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“オリジナル”は、全部、全部壊してやる……
僕はあいつらを許さない。
――今まで、皆を犠牲にしてきたオリジナルを、絶対に許さない。
[それは個に対する怒りではなく。
もはや世界に、不条理に対する憤り。
この世界のシステムがクローンを認めないというのなら。
そんな世界こそ、認めてなどやるものか]
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そっか、見つけたのがあたしか。
[目の前の相手の頬を撫でた。 何で自分のような人間のクローンが、こんなに良い子なのかは分からなかった。分からなかったが、それでも。]
それなら、あたしも生き残らないといけないなあ。
[クロの唇に、自分の唇を合わせた。 そうして、起き上がったその表情は。きっと悲壮な物に見えたのかもしれない。]
(91) 2011/10/05(Wed) 23時頃
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―病室― ちょ……
[去って行ったクロを追おうとして。 一先ず、準備だけはしておかないといけないと今更気が付いたかのように。鞄の中を探る。]
まさかね、これを使う日が来るなんて。 思わなかったわ。
[非力な自分に過保護な親がこっそりと持たせていたもの。 護身用の電磁銃……要は、弾を飛ばせるスタンガンだった。 流石に、こんな物を鞄から出していては。 狙ってくれと言っているようなものだったから出せなかったが。]
今となってはね。
[最早やるしかない、そう思うのであれば。 それを使い方を思い出すように、壁に向けるとトリガーを引く。 壁に向かって、電気が飛んでいくのが刹那とは言え見えただろう。]
(98) 2011/10/05(Wed) 23時半頃
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[――“コーダ”と蝦江のクローンと、
ふたりの間で交わされた、偽りの約束を知らない。
けれど、その彼に見える時こそ、
“自分”が終わるときなのだと、思う]
[思い返している。
目の前のリーネと同じくオリジナルを失った、
岩瀬のクローンのことを。
赤毛は――きっと駄目だろうと思う。
この世界から逃がしてやったほうがいいのか、と、
そう過ぎりもする、皮肉にも自らのクローンと同じように、
けれど手を下さずとも、
彼が眠りに落ちかけていることは、知らない。]
双生児 ホリーは、メモを貼った。
2011/10/06(Thu) 00時半頃
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