3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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先生もそろそろ、潮時だろうな。
[自分よりも亡霊らしい姿をふと思い出した。]
『まあ、がんばれ。』
[倣って置いて。]
『そう、そろそろ。』
『時間が来るからね。』
[ラルフはともかく、ヘクターを襲った 闇 。
忘れてない、けれど。それには 触れない。]
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−用務室−
兄さん…。
[グロリアが扉に近づき、最初に聞こえた声はバーナバスの声で。 正直がっかりしたけれど、ここは彼の城だ。当然だった。
すぐにもう逢えないと思っていた、聞きたかった声が耳を打って、 ふらりと立ち上がった。目の前には従兄がいて。]
(461) 2010/03/05(Fri) 00時頃
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「時間が、ない。」
[スティーブンの言葉に胸が痛んだけれど、 目が合うと、自然と笑みがこぼれた。 泣くのをこらえるように、口はへの字にして。
グロリアの糾弾も何処か上の空できいている。]
(469) 2010/03/05(Fri) 00時頃
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ごめんなさい。 来てくれて、ありがとう。
[頭を撫でられて、目を閉じた。 手のひらの感触を忘れないように。]
(474) 2010/03/05(Fri) 00時頃
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『どうするの?』
『どうしようか?』
『辛そうな子を送ってあげる?』
[鸚鵡の声に疑問を抱く筈がない。
それは、自分の声。自分の内の 闇 の声。]
『もっと呼べたらいいのにね。』
『皆 鬼 になれば 、 いいのに。』
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[グロリアの責める声はまだ続いていて。]
(ありがとう、先生。みんなのために…)
[自分でも何か言おうと思っていたけれど、 目の前にすると何も言えなくて。
でも、スティーブンの言葉には、]
私はまた逢えて、嬉しいよ。 [今度こそ、これで最後…。]
(489) 2010/03/05(Fri) 00時半頃
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(遠い)
(声)
(誰が)
(誰を)
(――だれ)
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[ゆっくりと目を開け、スティーブンの顔を見上げる。 その顔を、姿を忘れないようにしっかりと目に焼き付けよう。]
(494) 2010/03/05(Fri) 00時半頃
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『うーん。』
『誰か、いたかな?』
『まあ、送りたい人でも、いいんじゃない。いない?』
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もう、泣かない、よ。 [嘘というより強がり。]
うん、見守っていて…。 [笑顔が 一瞬 ぶれたのは、涙のせい? ううん、今は泣いてない。]
(499) 2010/03/05(Fri) 00時半頃
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…行ってらっしゃい、兄さん。
[笑顔で見送った。][行き先は、鬼退治?]
(504) 2010/03/05(Fri) 00時半頃
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『あれ、……キャロライナ。』
[闇は、呼び方が、違う。]
『気に掛けたことに ありがとうって』
寂しいのかな。
[みられない きにもとめられない それは とても ――]
長老の孫 マーゴは、化学教師 スティーブンの姿がゆらり、ゆぅらりとー
2010/03/05(Fri) 00時半頃
さみし い の ?
そう なら ともだちがいるところ いきたい かな
[嗚呼。でも]
[キャロライナの、友達は]
[まだ、こちら側に、いるのに。]
わたしは盗み聞きの子、また見てるけど。
そのまま見てていいのかな?
『そうだね、考えておこう。』
『そろそろ、時間が迫ってるけどね。』
[闇 が 濃く ひどく、濃く。]
『ふふ、でも、盗み聞きの彼も向こうに行ってしまったら、』
『吃驚するかなぁ、皆。』
『今日は何人向こうに行くかな。』
[くすくす、と、嗤う。]
でもきみは ほんとうに 盗み聞きの子
おくって いい の ?
『じゃあ、先生を。』
『ちゃんと向こうにいけるように
間違いがないように送ってあげようか?』
(――先生)
(――間違わないように、)
(と、 闇が囁く)
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[スティーブンが出ていった扉の方をじっとみたまま、]
アトラナート先生、…どうもありがとうございました。 [ただ、それだけを口にした。]
(518) 2010/03/05(Fri) 01時頃
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…そうだな。先生を。
絶ち切ってやらないとずっと迷い続けそうだ。
盗み聴きの彼も、覗き見の子も、共に深淵に近づきすぎて落ちてしまうと丁度いいかな。
…… ど うして?
[闇 が 揺らぐ。]
『送って』いい よ。
『…… だって』
[そうすれば 闇 が さらに 蝕むから。]
『悪い子 は 』
『それに 僕たちが 危ないじゃないか』
[言い聞かせるように 闇 は 塗りつぶす。]
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そんなこと、ないです。
[グロリアに呼びかけた言葉は、届いただろうか?]
…お邪魔しました。失礼します。
[振り返って、バーナバスへお辞儀して、用務室を出る。]
(523) 2010/03/05(Fri) 01時頃
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『鬼 だから ちゃんと』
[みつけて。]
『送って』
[迷い子を。]
『あげよう。』
[迷わないように。]
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