人狼議事


194 花籠遊里

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視点:


[ひらひらと、ひらひらと。

朝にひらめく蝶の行方は誰も知らない。
お互いに干渉せぬが蝶の了解。

されど、されど。
虫の知らせが鳴いたなら、最後の花夜として。
運命は女衒の御心を、掬い上げてくれるやもしれない。**]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 02時半頃


── 東雲の頃 ──

[ベルさまとの閨、その『蝶』が飛び去ってしまわれて
 後片付けをと動き出せるようになるまで
 丸窓を見上げていた頃にございます。

 花主さまのお気配は、淀んだ空気にてすぐにわかるのでございました。

 宵闇色をした長いお髪が少し何かで焼けておられるようでした。
 僕は着物を纏い直して、花主さまへと正座し
 彼の歪んだお言葉を、今日も耳にするのです。]


[慈しみに満ちた、歪な言の葉
 僕はこれをもう幾歳聴いてきたことでしょう。

 愛でるだなどと、しもしない癖に。
 愛しいだなんて、思いもしない癖に。

 本当のところなど、どうかは判りませんが
 僕はいつも、そう思っておりました。

 花吹雪のように舞い散るは
 今宵の僕につけられた値でしょう。
 幾らのものであったのかなんて、知ろうとも思いませんでした。

 ただ、見下す花主さまの足元。
 落ちた花弁を数枚手に取り、恭しく頭を下げたのでございます。]


 花主さま。
 櫻にこの対価で、花の苗を与えては下さらないでしょうか。

 庭に、秋を迎えたいのです。

[花の苗を与えて頂くには数枚で事足りるでしょう。
 それ以外はいりませんと、僕は足元に跪きます。
 膝を揃え、内股を『蝶』の残り香に染めたまま。
 頭を地につけ指をつけ、願い請いました。

 其の姿はきっと他の『花』たちも
 この地下牢で幾度か目にする、東雲の光景だったでしょう*]


[暁にもならない頃、蝶は翅に弁の一欠、されど弁より重い何かを引っ提げて、まずは巣へと這いずり帰る。

その時は、他の蝶に出会っても口を効く気にならなかっただろう。

虫の知らせが鳴いたのは子が夢から醒める刻を回った頃。時間さえも稚拙だと、朝日に背を向けて鼻で一笑。
運命に沿うよう、脚を進める。*]


【人】 看板娘 櫻子

── 中庭 ──

[宵に染まる空の下、硝子に阻まれた箱庭の中。
 射干玉の眸と同じ髪と、櫻色のリボンを揺らして
 僕は中庭におりました。
 手には一回り大きな軍手を。
 錆びて欠けたスコップに、差し口の曲がった如雨露。
 そして花の苗と共に、あちらこちらを行ったり来たり。
 額には少し汗をかくほど、ちょこまかと
 動き回っているのでございます。]

 苗、頂けてよかった。

[自然と頬が綻びます。
 贅沢などそれほど沢山とは出来ぬ身です。
 こうして苗を買い与えてくださる事には
 とても感謝しているのです。]

(4) 2014/09/17(Wed) 03時頃

[暁が宵闇切り裂く頃、花主が白の紙吹雪を花に降り注がせた後――東雲の空から昇った太陽が中天の陽になった頃、ようやく割れた鏡は目を覚ます

虚空を見つめ瞼を下ろした友、其の身を清め別れた後、逢いに行く事が中々できずにいた
見ないでほしいと願った。自分が狂い咲き乱れる姿など。それは友も同じだったかどうか、それはわからない

暫し無心に琴の音奏でていれば、花主の使いだろうか禿の背格好の花見習いが花主の言葉を伝える。曰く――]


鏡が割れたならば、他の花を傷つける前に捨てねばならぬ


[……と]

[然様でございますか。そう返す言葉はか細く途切れ途切れだったろうか
ほろ苦く笑いながらもその前に、一目友にあいたかった
当てもなくふらりふらり宵闇迫る冷たい廊下を歩く
友の部屋へ行くまではできたもののその襖を開けるのはどうしても躊躇われ、一輪の勿忘草の押し花の栞をそこに挟んで踵を返した

逢いたいのに逢いたくない
忘れられたくないのか、否、忘れてほしいのか
嗚呼今宵も夜が来る。また花は乱れ咲き狂うのだろう

明日には下町の娼館に払い下げられる身、こんな身で面と向かって逢う勇気が、持てなかった]


─暁の空─

[確かに、確かに花は綻んでいた──…]


[鳥の囀りも届かぬ薄暗い籠の中。
気怠い身体を沈めつつ、鼻先埋めるは背を預けた白い空。

すん、と鳴らしたその先で蝶の残した鱗粉にぐしゃりと顔を歪めさせて。

もう温もりの無い手のひらを何度も握り締めては、幾ばくか大きな翅を思い出そうと吐息を漏らす。

昨晩の宴の気配を感じさせる匂いはすれど、乱れる淫靡な囁きは成りを潜めたその場所で]

──……。

[ぎゅぅ、と。手のひらを握り締めては、暫し残り香に顔を寄せては目蓋を閉じる。
ほんの少しだけ、夢の続きを見ようと。

人の顔が刷られた花吹雪には目も暮れず]

………貴方なんか、大嫌いです。

[囁いては、揺蕩う意識の中、されどもしかと耳にした言の葉とはにかみ笑みを浮かべたその人を掻き消して。胸に咲いた花を*手折った。*]


【人】 看板娘 櫻子

[僕はきっと、昼頃から中庭に居たでしょう。
 あっちにはアイビーゼラニウムを。
 こっちにはサンタビリアを。
 奥にはカーネーションを。
 白、ピンク、オレンジと秋に似つかわしい色合いを添えていきます。
 ある『花』に告げられた事も知らず>>3

 ……貴重なものは、さすがに無理ですよね。

[困り眉で、手前には代わりのコスモスを植えていきます。
 中庭で草花に囲まれて、小さな僕がしゃがんでいると
 宵に紛れても見えるのは、櫻色のリボンだけでしょう**]

(5) 2014/09/17(Wed) 03時半頃

[この世には、ちょこれいとの匂いのする花があるのだそうです。
 その色を、その香を、知りたかったのですが
 どうやら手に入らなかったらしく
 置いてあったのは、似た色の
 オレンジ色をした秋桜でした。]

 …────。

[細く、少し長い息を吐き。
 僕は中庭で、秋をお迎えする準備をしていたのでございます**]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 03時半頃


庭に、秋を?

そうかい、ソウカイ。
花が花を愛でるとは、いくぶん滑稽だねえ。
ならばアレを植えておくれよ。
秋と言えばアレだろう。

“死人花”。


[頭を擦り付けて乞う様に喉を鳴らした。
花が花をとは、また滑稽で退屈しない。
この櫻の梢は他に媚びるよで、媚びぬ花。
それがこうして頭を下げる。
草花ひとつのためだけに。

狂気に染まった笑みで嘲笑する。
花植のリクエストを呟きながら。]


なんだい、なんだい。

こんなにも対価を貰ったというのに
お前の価値には見向きもしないかい?

嗚呼。

余り私を落胆させないでおくれ。


[櫻の梢も、拾うのは数枚であった。
淡き藤も、紙幣の吹雪に目もくれない。

つまらない。

心底、といったように男は重い溜め息を吐いた。
人のプライドなど屑折れた姿で、大枚をかき集める花が見たいのに。

それでも男は笑っていた。

なに、楽しみはまだまだある。]


法泉、おいで。

お前が一番慕う花は誰だったかねぇ?
私には興味もないが。
その花に伝えておいで。

“鏡が割れたならば、他の花を傷つける前に捨てねばならぬ”

安心おしよ。
丁度、下町のひとつに穴があって困っているそうな。
其処で丁重に扱ってもらうさ。

丁重に、ね?


[男が言伝てたのは早朝。
法泉という花見習いが、伝えに向かったのは昼頃。
その間、花見習いも心を割く思いにあっただろう。

何時の頃からか、花は花が教え育てることが増えた。
“丁”という花もそうだったか。

法泉もまた、藤の花に尊敬の念を抱いていたのだろう。

知っていてこそ、男はその花見習いに伝えさせたのである。]


さあて、愛しい吾が子達。
今宵も狂い咲いてお見せ。

蝶を惑わせ、夢をみせ
たんまりと搾り取っておしまいよ。

愛も金も善も悪も。

毒花のよに。




くは、ははハハハッ!
 
 


[高笑いは、宵闇に *溶け消ゆ*]



[ゆうらりゆらり。朝焼の陽を浴び蝶の翅影は地に揺ぎ。
リンと鈴虫が鳴いたのを聞けば、ふと心にさえ影が差しただろうか。
  ――悪寒、一筋。
其れが何を示した物かは到底分かり兼ねるけれども、唯背筋を上る感覚にはぶるりと躰を震わせ。]

 …なんだよ、

[よもや風邪でも引いたのかと、泡沫の夢を、宴を思い出しながら。
否其れもあり得ないかと、軈てその翅で躰を支えたなら、眉を顰め困惑の吐息を吐いて、ひらひら、影を揺らしまた虫籠へと戻りにけり。]


[あるいは、あるいは識る相手は蝶だっていいのだけれど。]


【人】 看板娘 櫻子

[昨晩より欠けた月が秋の夜空に浮かんでおりました。
 不意に見上げれば、額より頬を伝い落ちる汗が
 ふわふわに仕立てた土の上に、はたりと音を立てて落ちました。
 大きな軍手で、浮かぶ汗を拭います。
 頬が土で汚れてしまいましたが、また後でお顔を洗うことにいたしましょう。

 秋の櫻、橙の隣へと薄紅色を並べて。
 無意識にもふっと、笑みをこぼしていたのでございます。]

(8) 2014/09/17(Wed) 12時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 12時半頃


【人】 看板娘 櫻子

[今宵はどんな蝶が、誘われてやってくるのでしょう。
 ベルさまは来てくださるでしょうか。
 昨夜の誠が、もうすでに形を変えていようとも。
 僕はそのお顔を見ればきっと、ベルさまと名を呼んで手を振りお迎えするでしょう。

 暫しの考え事は続きます。
 その間も僕は黙々と、中庭の花壇を秋の色に移し変えていくのでありました。]

(11) 2014/09/17(Wed) 13時頃

[紙吹雪が牢に舞うのも、ちょうど聞こえた櫻の花の行動も。
今や見慣れた光景だとゆるりと瞼を持ち上げる。
白を拭うもされるがまま。
本当ならば手を伸ばし、藤の花へと触れたかったのだが。
俺には側に居る権利もましてや手を伸ばすことさえも、許されぬ事のような気がして。

顔の穢れが友のおかげで粗方清められれば、後片付けと己の身を清めに行っただろうか。
藤の花には小さく礼を一つこぼして。]


[真昼の月がぼんやりと見えた頃。
朧は目を覚まし慣れた手つきで身支度を整える。
花の見習いが手伝いに来たかもしれないが、いらないと追い返すのも何時もの風景。

部屋の中央で煙を漂わせ、時間をもて余すのもまた変わらぬ日常。
ただ、一つ違うことといえば。

友が訪ねてきた事を知りながらも招き入れる事が出来なかった事だろうか。

顔を見たかったのは確か。
しかし、顔を合わせたくなかったのも嘘では無い。

藤の花に告げられた事実など露知らず。
花の思いもまた、知らぬまま。]


【人】 看板娘 櫻子

[どちらからか、声がしたように思います。
 それはどちらが先でしたでしょうか>>10>>12
 硝子の向こうに黒と金のニ蝶を見つけ
 僕はそちらの方へと足を向けました。]

 ベルさま、こんばんは。
 あなたさまも…お目にかかるのは初めてではありませんね、こんばんは。

[微笑み絶やさず、僕はお二方に挨拶を告げます。
 そして昨夜、朽ちた花から採っておいた花の種を数粒
 そっとベルさまへとお渡ししました。]

 次にお逢いしたとき、ベルさまにお渡ししようと思っていたのです。
 こんなにすぐに逢えるなんて。

[花の種は『光輝』という意味を持つ夏の花。
 日に向かう姿は夏にありふれた、けれどどれも美しく咲くもののひとつでありましょう。]

(13) 2014/09/17(Wed) 13時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 僕は櫻子と申します。
 昨夜も中庭でお姿を拝見したのですが…

[その時は月明かりの下、映える銀糸と共にでありました。
 あの晩は亀吉さんをお買いになられたのでしょうか?]

 お花が、お好きなのですか?

[『花』ではなく、花のつもりでの言葉です。
 中庭で二度もお見受けしましたので、お花が好きなのでしょうかと
 小首を傾げて訪ねてみたのでございます。]

(14) 2014/09/17(Wed) 14時頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 14時半頃


[我らが主の、散らす"モノ"。
拾わずして、花である価値は、己には見出せない。

命令であれば恭しく傅き、従うまで。

其れが己の、花である理由。]


[周囲の評価は如何であれ、己は艶も無い花だと思う。

貼り付けただけの愛想。
曝け出さぬ、媚びぬ性格。
どちらも、花であるに相応しいとは思わない。

花らしく振舞わねばと思うだけの、花。

此の花籠に来たのは、10年も前ではなく、それ故に己には外の世界の常識があった。

"ふつうのしあわせ"を、知っていた。

どうせならば、あの櫻のように。
何も知らずに花籠で育って、此の場所をしあわせだと思い込めれば良かったのに。]


[男でありながら愛抱く訳でもない男を相手に。
其れは己の在り方を酷く、酷く揺らす生き方だった。

身に架せられた膨大な金額に囚われて、
花の役割に徹するしか無いのだと脳に無理矢理理解させ。

自分が選んだのは、
辛くない事だと自らに言い聞かせ笑顔で居る事だった。
選ばれる筈もないこの身を、蝶に選ばせる手段でもあった。

嫌悪感を露にする生き物では、選ばれないだろうから。


とうのすけ、おぼろ、かめよし、おうじ。


同じ役割を持つ花たちは、この毎日を、どのような気持ちで過ごしているのだろう。]


[気味が悪いと男色を嫌っていた筈なのに。
同性との快楽に溺れる事を知ってしまった己は、気持ちの悪い存在だろうか。








――聞けるはずもない。*]


【人】 看板娘 櫻子

 はい、櫻の子と書いて「おうじ」と読みます。

[傍によると、片方の『蝶』は僕の名前を口にしました>>15
 そのあと直ぐにベルさまへと種を渡していたのですが
 眉尻がお下がりになられたことには、気付くことが出来ませんでした。

 向き直り、問う声に返るのは
 小さく動くだけの唇が放つ声でありました>>16

(24) 2014/09/17(Wed) 19時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 月、ですか……──ふふっ。

[僕は思わず、袖で口許を多います。
 銀花にお誘われになった『蝶』なのでしょう。

 長らく此処に在る身です。
 『花』に魅せられた『蝶』も、幾度となく見てまいりました。
 目の前の彼がそうかは知れませんが
 「花より月が」と答える姿に、微笑ましい笑みが零れたのです。]

 ペティンガーさま。

[名をお聞かせ頂けたなら、その微笑を見上げます。
 『蝶』同士、ご挨拶なさるのならば
 『花』は『花』らしく口を噤んでいることでしょう。]

(25) 2014/09/17(Wed) 19時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[お二方の握手を見守っていれば>>17
 次にはこちらに向いて下さったベルさまの手に
 種を預けることを許されました。

 涙のような雫型、不規則に入った縦縞。]

 はい。
 向日葵の花の種でございます。
 少し前まで、大きな花を咲かせていたのです。

 僕が育てたんですよ?

[少し自慢げに、僕は笑顔でお答えします。
 和やかで、柔らかな『しあわせ』を
 確かに今日も、僕は感じていたのでございます。]

(26) 2014/09/17(Wed) 19時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 はい。
 今宵も佳い『花』と出逢えるとよいですね。

[『蝶』は移ろい行くもの。
 引き留める手も術も、『花』にはないのでございます。

 ベルさまが廓の中へと戻るのをみつめながら>>23
 『花』たる櫻は、微笑みを携え
 恭しく少し頭を下げて見送るのでありました。]

(27) 2014/09/17(Wed) 19時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 19時半頃


【人】 看板娘 櫻子

 本当は咲いたものをお渡しできればよかったのですけど。

[季節の移ろいに枯れた花を渡すわけにはいきません。
 花は咲き、咲けば散ります。
 散った花を渡すわけには、いかないのでございます。]

 太陽の花、ベルさまみたいでしょう?

[昔の事など僕に知れるはずもありませんでしたが、僕は過去の御方と同じように
 ベルさまを太陽のような方だと喩えました。
 こんなにも朗らかに笑い、美しく、そして情熱的に照らすことができる方なのですから。]

 花は愛でれば、美しく咲くのですよ。

[そう、告げる言葉には他の意味が含まれたように感じられたでしょうか。
 僕は、それを思って口にしたわけではありません。
 ですがどこかに、そんな思いがあったのかも、知れません。

 去り行く背に、僕は微笑んだのでございました。]

(39) 2014/09/17(Wed) 20時半頃

─閑話・書斎にて─

[──花びらが水たまりにひらひらと舞い落ちては、水面を泳ぐ。
夢と現の狭間。覚醒せぬ思考はゆったりと遥か昔後ろへと遡る。

親の手の代わりに造花の吹雪をこの身に浴びていたのは十と少しの瀬。

生まれて間も無く異端だとこの色を嘆いた親が、唆されるまま少しの銭と引き換えに売り払い閉じ込められたその場所は、華美な装飾で造られた檻の中だった。

朝昼夜問わず、現れては食事を与えるために訪れる“飼い主”
必要以上に口を開くことは許されず、ただ脂ぎった富豪家の指にて媚びることをせがまれる。]


[それに嫌気が差したのはいつ頃か。
女中の同情心を煽って隙を見て脱走を試みた。

愛玩対象であった銀糸を少しばかり切り落とせば、物珍しさから門主も潜り抜けた。

右も左も分からないその場所を彷徨うことほんの少し。
頭上を見下ろす蒼白い月の美しさに唯々見惚れていた、そんな夜。

怒り狂う主人に腕を取られるまでつかの間の自由に焦がれるよう腕を満月へ伸ばしていた。]


[闇を切り裂いたのは怒号。
乱れた髪をほつれることも構わないというように引っ張られた先がこの遊郭。

年ももう二十近く男の愛玩としては歳を取りすぎていた玩具は、適当に売られては咲き乱れる瑞々しい花々を散らし、その代金を全てこの身につけさせた。

莫大な金。金の単価すらマトモに知らなかった青年から花へと変わり行くことも知らずに。

初めて世界にて見咎めた美しく根を下ろす花。
視線が合えば薄い桃色の花弁はそっと綻び、気づけば楼主に頷き──…*]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 21時頃


【人】 看板娘 櫻子

[『蝶』が二つ、話し合う様を見るのは櫻の微笑みでした>>42
 お喋りされているのは、羨ましく思うばかり。
 外という世界を知らず、夜にしか咲かぬ『花』には
 お喋りをするという何気ない刻が、それはそれは
 楽しく、嬉しいものに思えていたからにございます。

 ベルさまと僕とのお話も終えた頃、ペティンガーさまからお声がかかりました。
 「なんで笑ったんだい」>>43
 その問いに、失礼なことをしてしまったと
 少し眉尻を下げるのです。]

 申し訳ありません。
 昨夜ここで、銀花と戯れるあなたさまをお見かけしましたので。

 亀吉さんのことが、お気に召されたのだなって。

[書物に見る、絵画のような光景でした。
 昨夜見た光景を思い返しては、微笑ましく思ったのです。]

(51) 2014/09/17(Wed) 21時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[さわさわと、肌寒さをつれた秋風がそよいでいます>>44
 中庭に植えられた秋も、その身を揺らしていることでしょう。

 眩い色彩とはまた違う、中庭の花たち。
 誰も気付かないでしょう。
 その花々に篭められた意味も。
 寄り添いあう色の意味も。

 或る色ばかりが増えた、そのわけも。

 僕でさえ自覚などしていないのですから。
 きっと誰にも、わからないでしょう。

 胸の裡、呪詛が>>19通り過ぎることも
 いまはまだ、ありません。]

(56) 2014/09/17(Wed) 22時頃

【人】 看板娘 櫻子

 ……藤之助さん?

[そよぐ秋風に射干玉の糸は幾らか弄ばれ、櫻色のリボンが揺らぎます。
 髪を軍手で押さえるようにしていれば
 窓の向こう、見える人影があったでしょう>>58

 『蝶』の前ではありましたが
 昨日の宵と変わらず、僕は少しだけ声を大きくいたします。]

 とうのすけさーんっ。

[気付いてくださるでしょうか。
 じいっと射干玉を向けては見るのですが
 どこかそのお姿は寂しそうにさえ感じられるのです。]

(60) 2014/09/17(Wed) 22時頃

【人】 看板娘 櫻子

[丁度、声をかけた頃にございます。
 時折目にする、小奇麗な『蝶』が藤の花へと話しかけておられました>>59

 わっ!

[僕の呼び声と、『蝶』からのお誘いに
 藤之助さんが戸惑われてはいけないと思い
 僕は咄嗟に、ペティンガーさまの後ろに回り
 この小さな姿を、隠したのでございます。]

(62) 2014/09/17(Wed) 22時頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 22時半頃


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 22時半頃


【人】 看板娘 櫻子

[僕がペティンガーさまに隠れてしまう前のことです。
 銀花と喩えましたその『花』のお話に
 なにやら思うところがありましたようでございます。

 続けました言葉に、うろたえる姿までお見せになって>>68
 僕は失礼にも、もう一度微笑んでしまうところでありました。]

 お判りやすい、御方ですね?

[軍手で口を隠し、耐えられぬ笑みを隠しました。
 傲慢で高慢な、けれどとても判りにくい彼の『蝶』とは全然違う御方だと
 庭を泳ぐ視線を確かめながら、思っていたのでございます。]

(75) 2014/09/17(Wed) 23時頃

【人】 看板娘 櫻子

[庭の花々を眺めていらっしゃった
 ペティンガーさまの唇が紡がれた言葉は
 随分とお低く、なにか負の感情を含むもののようにさえ思えました>>69

 ですが、その後続いた声と
 判りやすいと喩えました、先の彼の態度をもって
 僕は曖昧では在りますが
 その意味を薄っすらと、理解したのでございます。]

 ベルさまは昨夜、僕をお買いになられましたから。
 そんな風に見えるのかも、知れません。

[情事交わればこそ、そして甘過ぎるほどの蜜に毒に
 二人して溺れた昨夜があるからこそ
 他者にはそんな風に見えていたのかも知れません。]

(76) 2014/09/17(Wed) 23時頃

【人】 看板娘 櫻子

[「花って、蝶と寄り添う合うこと、あるの。」

 その問いには、はいとお答えするべきなのでしょうか。
 それとも、いいえとお答えするべきなのでしょうか。

 ふっと、脳裏を呪詛が駆け巡っていきました。

 何もお答えすることが出来ず。
 何をお答えしたいのかもわからず。
 答えることから逃げるように、窓辺に視線をそらしたからでしょう。
 その時に、藤之助さんと『蝶』を見つけたのでございます。]

(79) 2014/09/17(Wed) 23時頃


‘Tis better to have loved and lost

 than never to have loved at all.

[それは『愛』を知り、そして亡くなった。
 僕を育ててくださった、丁という『花』の言葉でした。]


櫻子は、藤之助さんに見つかってないかと、そろり顔を出しました。

2014/09/17(Wed) 23時頃


櫻子は、ヘクターさまのような色の花を射干玉に映しております。

2014/09/17(Wed) 23時頃


【人】 看板娘 櫻子

[そう、とペティンガーさまの背から顔を出します。
 顔を傾けたような姿勢では、櫻色のリボンがゆらゆらと
 風に揺れていたことでしょう。

 藤之助さんは、白き『蝶』に抱き寄せられ
 手を振らされているようでした>>72

 けれどお嫌そうな表情ではありません>>77

 不思議な光景に困惑しつつも
 大きな軍手をはめた手を、おずおずと振ってみるのでございます。]

 とっ。
 申し訳ありません、御召し物は汚れませんでしたかっ?

[少しして、土で汚れた身体を近づけていたのだと気付きました。
 慌ててペティンガーさまから離れましたが
 お召し物を汚してなど居なかったでしょうか。]

(80) 2014/09/17(Wed) 23時頃

[蝶が全て集まった。
館のそこかしこで羽ばたく音がいやに響く。そんな中、男も静かに今宵止まる花を値踏みする。

昨晩割れた藤色の鏡。
番いにされた朧月。

この二本は踏みしめられたのか。
はたまた、それとも、違う理由か。
まァそれも良し。それも花の本分だ。
男が知りたいのはその更に、奥。

おうや、おうや。
遊びを始めよう。
今日の夜が耽るのはとても早い。*]


― 地下への道 ―

[さて、早速銀月を曇らせてしまったが上等。

性質の悪い夜蛾は一歩、また一歩と踏み出し、
中庭で櫻の色を愛でる若い蝶目当てに寄り道。
語りかけるなど野暮は起こさぬが、
まるで悦楽先んじるよう、会釈を送った。


さて、彼が今宵、見ていない月は何処に隠れたか。
さて、彼が夢想抱いた花は、誰に購われたか。


聡い青年からしてみれば、想像は余りに容易かろう。
無論、この男の悪質さも、見れば知れる業深さ。]



[しかし、哀しいかな。

 花を伴わぬ蝶に、*地下の門扉は抜けられない。*]
 


【人】 看板娘 櫻子

[お召し物が汚れていらっしゃるようでしたら
 申し訳ございませんと謝って、その土汚れを払いましょう。
 大丈夫でしたら、ほっと胸を撫で下ろすのでございます。

 白き『蝶』と藤の『花』は、どうやら睦まじく
 今宵の品定めであるならこれ以上の邪魔はなりません。
 視線を送ることは控え、代わりに射干玉が宿したのは
 秋の色をした秋櫻の一輪でありました。]

 ペティンガーさま。
 …先程の、ことですけれど。

[僕はゆるりと唇を開きます。
 しかし言葉を紡ぎ終えるまで、顔は俯いておりました。
 眸と同じ射干玉の髪は、表情を隠してくれていたと
 そうであって欲しいと、僕は願っておりました。]

(100) 2014/09/18(Thu) 00時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 『花』と『蝶』が寄り添えるのは
 籠の中、夜の夢だけに、ございます。

 理由は様々ではありますが
 僕たちは、此処にしか咲けぬ『花』。

 理由は様々でありましょうが
 あなたさまがたは、花々を移ろう『蝶』。

 『特別』などなってはならず。
 『特別』などつくってはならず。

 全て、す べて───……

[どうしてでしょう、言葉が震えてしまうのは。
 きっと秋風が冷たすぎるからで、ございます。]

(103) 2014/09/18(Thu) 00時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 
 
 ……───ゆめ、ものがたりに、 ございます。
 
 

(104) 2014/09/18(Thu) 00時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 好意を持つことなど許されません。
 悪意を持つことさえ許されません。

 本気になっては、なりません。

 甘い夢も、苦い夢も。
 愛の囁きも、 ……意地、悪な …囁きも

 この籠の中で起こる全て

 夢物語なのでございます。


[酷く声が弱く掠れた部分がありました。
 謂い終わった後、僕は一度だけ眸を伏せました。
 長い睫毛が『蝶』と『花』の代わりに
 その身を寄り添わせたのでございます。]

(106) 2014/09/18(Thu) 00時半頃

[僕は誰に言い聞かせているのでしょう。

 傍にいる『蝶』に?
 傍に来ぬ『蝶』に?

 ………咲くことを拒む『櫻』に?]


[中庭彩るは秋の色。
 夕焼けのような橙色。

 秋に咲く櫻。

 自覚してしまう前に、眸を伏せましょう。
 僕はこの廓に咲いた『花』。
 散った『丁』の教えの元に。

 微笑み絶やさず色香を放つ、『花』の一輪であるために。]


【人】 看板娘 櫻子

[「聞いちゃダメなことだったかな。」>>109
 そういわれた時、口を噤めばよかったと何度思ったか知れません。
 僕の言葉に、同じく間を置く「夢」の一文字>>110

 傷付いておられるのでしょう。
 とても判りやすい御方です。
 寄り添いたいと願っているのでしょう。
 淡藤揺らす、彼の『花』と。

 だからこそ、紡がなくてはならない言の葉でありました。
 言い聞かせるように、落ちる言葉は
 一体誰を、言い聞かせるためのものだったのでしょうか。]

 ごめん、な  さい。

[謝罪が零れ落ちました。
 俯いた僕には、彼の表情は見えません。
 僕の表情もまた、彼に知られることはないでしょう。]

(114) 2014/09/18(Thu) 01時半頃

 
 
[微笑むことなんて、今は出来そうにありませんでした。]
 
 


[早く散ってしまえば良い。
未だ散れぬというのならば、咲いて咲いて咲いて。
毟り取られてしまえば良い。
胸に救う種も何もかも。
痕を残さぬように全て。

全て 全て 夢であれば良かったのに。]**


【人】 看板娘 櫻子

[宵闇に融ける囁き>>111に、まだ顔を上げられず。
 ペティンガーさまの指先が僕の髪を、手を救い上げた頃
 漸く面を上げて、眉を下げた表情で
 なんとか微笑んで見せたのでございます。]

 夢物語は、大好きですよ。

[幸せで終わる、嘘ですから。
 誘いの言葉を受けたなら、少しの間逡巡した後。]

 地下に行かれますか?
 それとも、もう少し静かな場所にでも。

[お話だけなら、何も地下へ向かうことはないでしょう。
 どちらにいかれますかと、微笑みました。]

(116) 2014/09/18(Thu) 01時半頃

── 追憶の一片 ──

[それは歳を遡ることいくつの事であったでしょう。

 ある日、新しい花見習いが来ると告げられることも無いままに
 突如この廓にやってきた一輪がありました
 何も知らず、何も判らぬまま
 髪を乱し乱されやってきた花は
 銀月の色を有した、淡藤の一輪でございます。

 僕には彼が、怯えているように見えたのです。
 何も知らぬ世界につれて来られ、困惑しているように見えたのです。

 眸が触れ合った気がしました。
 ですから僕は、安心させるようにと
 彼へ微笑んだ事を覚えています。]



 「大丈夫ですよ。」


[そういって、手をとり。
 小さな身体で彼を庇い立ち。
 『花』には『花』になるための規則があると教育係を買って出ました。

 『花』は美しくなければならないと
 ですから乱暴に扱わないでくださいと
 連れてこられた御方のその手を、無理やりに剥がしたことを覚えています。]



[――額に僅に浮き立った青筋を、黒の花はきっと見ていなかったことと願う。

秋風揺蕩う中庭にて。
気紛れに、偶然に花と共に添っていたならば、その先に見得た「影」に――何の意味が込められてか、下げられたその蝶頭には唯無性に熱を抱え。
彼が――そう、気儘な彼が、何の理由も無く自分へと”挨拶”をする筈が無いことなど、短い間に既に質など視え。
まさか実はとても真面目な性格でした、そんな事さえあり得ない。

ならばならばと思考の障害を取り除き、視えた其の先解った其の意味。
――あれは「挨拶」ではあるけれど、あくまで「挑発」の挨拶だと。]



 〜…本当に、遊び癖が酷いんだ…?

[巷に聴いたかの噂。派手な風貌派手な戯れ。
犬歯を魅せた唇は、軈て吐き捨てるように言葉を形作っては透明の声へ成る。

そうして遊び人の事実を遠回しに識り、頭に浮かべた朧の銀月。空の花籠。
じとりと服を滲ませた雫は、一体どんな意味を持ってか。
ただ月を追う理由を作る為にと――黒の花を誘い上げた。

そうして、夢物語でも、良いと。
夢の中だけでも、其の月を手中に入れられたのなら。其れだけで、自分は満足し得るのだろう。]

 ―――

[せめて月の代わりに自分が翅を差し出したならば。…否、されとてそれも、毒蝶を喜ばせるだけになるだろうか]


[その『花』が、手折られてしまうかもしれないのです。
 きっとそれを、花主さまは許しなどしないでしょう
 昨夜も一人、『花』が姿を消しておりました


 行方など、知れません。


 亀吉さんがそうならぬ為にも、お伝えしなくてはなりませんでした。
 もしもまだ、『夢物語』に終わらせられるのならと。
 余計なお世話を、焼いたのでございます。
 そこに、自戒を含めながら。

 僕自身へと、言い聞かせながら。]




[其の度にあの呪詛が
 『丁』の涙が
 中庭に植えた秋櫻が

 心を締め付けていくようでありました。]
 
 


【人】 看板娘 櫻子

[ペティンガーさまはどちらをお望みになられたでしょう。
 どちらにせよ僕は、大きな軍手を外して仕舞い
 『蝶』の掌をとったのです。

 淡藤が睫毛を濡らしていることも>>113
 その手を傷つけていることも、知らぬままに**]

(117) 2014/09/18(Thu) 02時頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 02時半頃


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 02時半頃


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 02時半頃


─追憶の一片─

[生まれてこのかた外にあまり出たことのない青年は、一目見た瞬間桜の美しさに見惚れてしまっていた

手を取られながら向けられた言葉と笑み
困惑するより先に自身より頭二つ分は下の身体を見下ろして。

呆然と彼が自分の教育係を受けようと名乗り出てくれる様子を耳にしながらも双眸はただ射干玉色を捉え釘付けに。]

…アンタの名前は?

[敬う言葉を知らない世間知らずは、状況よりも先にその日見た花の名を請うて、取られた手に僅かばかり力を加えた。
それは、青年が花となる前の話。]


【人】 看板娘 櫻子

 …、はい。

[「謝らなくていい」>>118
 そう謂われてしまえば、僕からはもうなにも紡げませんでした。

 僕は此処にしか咲けぬ『花』であり、『蝶』を惑わす櫻にございます。
 この枝葉に止まる御方を、癒し、満たすことだけが、僕に許されたことなのです。
 甘過ぎる程の夜、昨夜の内は『誠』であっても
 忘れぬと約束した言葉に嘘はなくとも。

 ───夢物語なので、ございます。

 この籠には在るのは『蝶』と『花』。
 『おうじさま』でも『おひめさま』でもないのです。
 それでも偽りの夢物語だからこそ、艶やかに咲き誇ることができるのです。]

(120) 2014/09/18(Thu) 11時頃

【人】 看板娘 櫻子

[哀しげに、判りやすい表情をしていた僕へと
 『蝶』のお誘いが降り注ぎました。
 その言葉に拒否することを、僕たちは出来るはずがないのです。
 ひとひらの秋色が無意識の裡を通りすぎていきました。
 僕はふるりと頭を振り、やわらかな微笑みを浮かべます。]

 顔も洗わなければと思っておりましたから
 面倒だなんて、思いません。
 今宵、選んでいただき…光栄です。

[裡に秘めたる想いを覗くほど、不粋な『花』ではありません。
 今宵の夢物語に選ばれた僕は、それこそ『しあわせ』でありましょう。
 ベルさまとはまた違う、美麗な顔に苦笑が見てとれたなら
 重ねた手に、そっと力を込めるのです。
 黒蝶が導くままに、僕は足を進めたでしょう。]

(121) 2014/09/18(Thu) 11時頃

【人】 看板娘 櫻子

── 地下牢 ──

[手早く身を清め、色を知らぬ着物に袖を通します。
 土で汚れた手も顔もさっぱりとさせたなら、櫻色から真白なリボンへと変えて
 項へと、練り香水を少量施します。
 まだ少し濡れたままの射干玉を結いて、僕は地下牢へと足を向けるのです。

 中庭から廊下に上がるとき、この小さな身体を引き上げてくださった御方です。
 今宵は、優しくして下さいますでしょうか。

 どこかの牢へと辿り着いたのならば、僕はペティンガーさまを見詰め
 緩やかに微笑んでみせるのでした**]

(122) 2014/09/18(Thu) 11時頃

[ふわりと首筋から香る櫻は、あの時も香っていたでしょう。

 小さな身体を見下ろす、二つの眸。
 呆然としたような表情には、射干玉の眸を向けました。]


 僕は櫻子と申します。
 櫻の子と書いて、おうじです。


[力の加わった手に、そうともう片方の手を乗せました。
 体格が違えば、手の大きさも違うでしょう。
 片手では溢れてしまう彼の手を、両手でしっかりと包み込んだのです。]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 11時半頃


【人】 看板娘 櫻子

[僕が地下牢に訪れた時の事にございます。
 丸く切り離された月のような窓辺のひとつに
 淡藤の銀花が、咲こうとしていたことでしょう。
 視線は今宵射止めた『蝶』を捉えます。

 お判りやすい御方のように
 射干玉が揺らぐことなどありません。

 すう、と伏せる視線。
 すとんと、微笑みの落ちた顔。
 僕の足は迷うことなく、今宵の『蝶』を探すのです。]

 長い髪は、乾きにくくていけませんね。

[辿り着いた先、最初に掛けられた声はそのようなものでした>>125
 眉を下げて笑われるお顔には、困ったように申し上げます。
 ペティンガーさまがタオルを手に、僕の居場所を作ってくださり
 「おいでよ」と唄われて、される動作。
 僕は一度二度と瞬きをして射干玉をまあるくさせました。]

(126) 2014/09/18(Thu) 16時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 …──ふふっ、はい。

[柔らかなお布団を叩く手に、黒手袋がなかった事に目を留めながら
 僕は耐え切れずほんの少しだけ、微笑みを零してしまいました。
 勿論、袖にて口許は隠しましたが
 笑った事を隠すつもりなど、僕にはさっぱりとなかったのでございます。

 性欲だけが、心や身体を満たすではありません。
 きっとこの御方は僕に、身体の快楽を求めているのではないのでしょう。

 ならばと僕は空けられた彼の足の狭間へ
 そうっと腰を落ち着ける事にいたしましょう。]

 何をなさるのですか?

[ほんの少しだけ、意地悪がしたくなってしまいました。
 判っていると背を向けて座る事はせず
 判らぬふりで面を向き合わせ
 小首を傾げて、上目遣いに見上げましょう。]

(127) 2014/09/18(Thu) 16時半頃

[あゝ、それでも。
 追憶の一片にある頃の僕の眸と
 今し方向けた射干玉に、差異が無い事をと願います。

 淡藤の花を見詰めた射干玉は、悲しげに伏せられた事でしょう。

 呪詛に侵されつつある僕の心に蓋をして
 瞼を伏せて、僕は僕自身に見て見ぬ振りをしたのです。]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 17時頃


おう、じ……。

[貧しい家の出。そして主人の趣味から母国の読み書きさえ対して教わらなかった男は、ただ耳に捉えた音を繰り返す。

重なる手のひらに一つ、またふんわりと櫻の花弁が触れ合えば温かな感触に目を僅かに見開かせながらもやがて小さく瞳を伏せて]

……かめよし。

[確かそう呼ばれていた自身の名を告げれば、息を一つ吐き花は綻びを見せた。

それかまた花籠というだけで同じ檻の中であると知るのは、また少し後のこと。

その時ばかりは伝わる両の手の温もりと櫻の香りに破顔して喜んでいただろう。]


[それからどれほどの時を重ねただろうか。
片手で事足りるくらいの年数ではあるのだけれど。

花になるための規則や教養を伝えられ、八分咲きであっても人前にやっと出れるようになって数年。

愛も幸せも曖昧な記憶しかない花はそれでも、それなりに飽くことなく同じ日々を繰り出し。

それがあの豪奢な館の暮らしと繰り返しであることに気付いていながらも、その末路を知っていた彼は足先を外へ忍ばせることは無かった。

何故なら自分は花であるから。
青年であった頃のように自由な足は、蝶のような翅は無く。
あるのは根に絡み付くだけの蔦。

諦念から、慰めに魚を飼ったのはそれからのこと。
きらきらと輝く水面を揺らす金魚を眺めていると肩の力が抜ける。

それは自身と同一視することで慰めているのだと気付いていたけれども。それ以外の気持ちの昇華法など知る由も無く月を眺めていた昨夜の晩。

自身より少しばかり大きな手のひらに引かれて、『外』に連れられた。
花は花であることを、少しの間忘れてしまっていた。]


[けれどもそれも今日で終わり。
地に根を張り巡らせる己が自身を見やりながらごちる。

傷のついた手は、ありし日櫻の花に触れられていたその手。「花は美しくなければいけない」と告げられた片手でもあった。

微笑みを形どりながらも睫毛を微かに震わせる。

それは人の気配を感じる前であったけれども。]

…ちゃんと、咲きますから。

[掠れた声で囁いたのは、誰に対してでも無く。唯々口元には月を乗せた。]**


【人】 看板娘 櫻子

 ───なんて、冗談です。

[僕のちょっとした冗談にどういった反応が返ってきたでしょう。
 どこか満足げに笑う僕は、稚児のようだったかもしれませんし
 『蝶』を惑わす『花』の如く、色香を放っていたかもしれません。

 やがて僕はくるりと背を向けて座りなおし
 しっとりと湿ったままの髪を結った、白をするりと解きます。
 視線は一度、今宵の『蝶』へと向け
 「拭いてくださるのでしょう?」と小首を傾げては笑み
 向き直りては木格子の向こう側、薄暗い闇を見詰めているのでありました。]

(129) 2014/09/18(Thu) 19時頃

【人】 看板娘 櫻子

 …僕は、とてもお喋りが好きで
 お話のしすぎだと、よく叱られることがあるのです。

[緩やかに開いた櫻色の唇は、返事を待つことなく
 ゆっくりと言葉を紡ぎました。
 牢の中には水音や嬌声も響き始める頃合でしょう。
 僕の声が何処まで届き、どれ程紛れるのかは判りませんが
 調べはまるで、独り語散るようなものでありました。

 そう、これは独り言。

 髪を拭き、撫でていただく合間の
 僕の勝手な独り言です。]

(130) 2014/09/18(Thu) 19時頃

【人】 看板娘 櫻子

 『蝶』と『花』が寄り添えるのは、この籠の中だけにございます。

 『花』は根を張り籠に囚われ。
 『蝶』は籠へと誘われ訪れる。

 一夜の夢は嘘でも誠でもなく
 『夢』でしかないのです。

(131) 2014/09/18(Thu) 19時頃

【人】 看板娘 櫻子

 
 
 
 ですが、『蝶』でもなく『花』でもなく

 『人』同士であるならば、…───どうなのでしょう?
 
 
 

(132) 2014/09/18(Thu) 19時頃

【人】 看板娘 櫻子

 ……僕は『外』の事を知りませんから
 詳しくなど、判りませんが。

[僕の独り言は、一度休符を添えました。
 闇夜を見ていたはずの射干玉も、心に蓋をするかのように
 そっと、そうっと閉じるのです。

 駆け回る呪詛を噛み殺しましょう。

 僕は此処に咲く、此処にしか咲けない『花』なのだから。]

(133) 2014/09/18(Thu) 19時頃

 亀吉、さん。

[僕は、銀花の名前を呟きます。
 あの頃は
 「とても佳いお名前ですね。」と、微笑みました。
 目出度いお名前だと教える事になるのは
 それから数日後の事になりましょう。

 今の刻、僕は緩やかにその瞼を閉じていました。
 微笑む事は難しく、悲しむ事も難しい。
 心に蓋をしてしまっているからか
 僕の表情は、どこかで迷子にでもなっているかのようでした。]


[『花』である僕は『外』を知らず。
 『花』でしかない僕は『花』以外にはなれません。

 『ふつうのしあわせ』を知っていれば
 『人』になる事が出来たのでしょうか。

 何も知らずに育った僕は
 毎夜、毎宵、『蝶』に望まれる事こそが『しあわせ』なのです。
 それ以外を求めてはならないのだと、謂い聞かされて育ちました。

 男と謂う性に生まれたにも関わらず
 殿方を満足させるためだけの、命です。

 それが僕の、『花』である理由なのでございます。]


[それならばどうして、あんな独り言を語散てしまったのでしょう?

 『外』の世界知る方なれば
 きっとその世界へ戻れるのではないかと。
 そして『外』の世界の方が
 幾分幸せなものではないかと僕は思っているのでしょうか。

 判りません。
 知りません。

 自覚(わ)かりたくなどありません。

 僕はそっと瞼を閉じます。
 『花』としてあるために。]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 21時頃


[悪辣なる男には数多の噂が纏わりつく。
購われた徒花は、行方知れずになっただとか、
大金に任せ、見世から見世を渡り歩いただとか。

当人に問いかけても箔がつくと嗤うばかりで、
根も葉もないと、花を喰らう。
手癖も手口も優美でなく、洗練でなく、作法を知らぬ。

そんな男の手に今宵堕ちたのは、花にしては未熟な銀月。
月下蝶を尻目に、夜蛾がひら、ひら、飛んだ。]


[本当に待っていたのは月ばかりではないけれど、
それは男が張り巡らせる誰も知らない秘密の姦計。

月下蝶に櫻花の君。
狙いままに下りくれば、同じ蝶にのみ届く音階で笑気を漏らす。]

 そう、物欲しそうにしなさんな。
 今宵の月輝は俺が買った。

[挑発の声色が伝える理。
望まれれば銀月は身体を開き、心を砕く振りする。
誰にでもこうして、蜜を与えるのだと思い知らせるように。]


【人】 看板娘 櫻子

[悪戯は思惑通りに成功いたしておりました>>136
 呆けたお顔がこちらに向いて、瞬き繰り返されるのを
 思い出しては、笑みを堪えて小さく肩が揺れるのです。
 接吻けなどはいたしませんでした。
 この判りやすい御方も、僕へ唇を重ねる事は無かったのでございます。

 僕の微笑みに返る言葉は減らず口のようでもありました>>137
 それでも僕を傷つける刃ではなく
 やられたと鳴る喉の音は、耳に心地よいものでありました。

 独り、『花』が唄を紡ぐ頃合には
 優しい手は、髪を愛しんでいてくださいます。
 湿り気は髪からタオルへと移り
 唄は『花』から何処まで移るのでしょう。

 他の音を、他の存在を緩やかに拒むように。
 穏やかな声が響いておりました。]

(147) 2014/09/18(Thu) 21時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 おかしな御方ですね。

[それは多分に意味を含みます。

 『人』で居られるあなたさまなのに。
 櫻には蔦など在りはしないのに。
 どちらも口には致しません。
 僕はただ、眸を閉じた暗闇の中、どのような色も浮かべぬままに
 『蝶』の応え唄を聴いておりました。

 お互い、表情など見えません。

 寂しさ募る悲しき笑みを浮かべる『蝶』も
 眸を閉じて蓋をした迷子のような『花』も
 聴こえるのは、牢屋に不釣合いな唄と唄。

 『蝶』の綴る『夢』に
 押し黙っているかのようだった唇は、再び動き出したのでございます。]

(148) 2014/09/18(Thu) 21時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 ─────いいえ。

[それはまるで、拒絶するような声でした。
 叫ぶというほどではありませんでしたが、確かに強く。
 そして確かに、振り払うような調べでありました。]

 他の『花』ならば判りません。
 ですが僕は、この籠から出ればきっと。


 …───枯れ朽ちてしまいますから。


[僕は微笑んで囁きました。
 軋む音は、どこぞの牢の木格子でしょう。]

(150) 2014/09/18(Thu) 22時頃

[櫻の花と黒蝶の交わす囀りを。
毒蛾の漏らす笑気を。

僕はただ聴いていた。

花に留る蝶を演ずるならば慣れねばならぬのだろう。
毎夜訪れる夢が一度限りの誠であることに。
眠りに落ちて見る夢がそうであるのと同じように。]


【人】 看板娘 櫻子

[抱擁見せ付けるような人の悪い笑みが向けられても>>143
 大切そうに、銀月を抱きしめていても。
 僕が返したのは、今のような微笑みでした。

 蝋燭揺らめく薄暗き地下に
 太陽のように輝く金が舞い降りたときも>>146
 僕が向けたのは、微笑みでした。


 僕は望まれるままにしか咲けぬ『花』。


 櫻へととまる『蝶』を
 癒し、慰め、満たすことこそが僕の『しあわせ』。

 望まれなければ成り立たず。
 望まれて初めて花咲くのです。

 『外』の世界になど。]

(151) 2014/09/18(Thu) 22時頃

【人】 看板娘 櫻子



[根を張る『櫻』を、どなたさまが愛してくれると謂うのですか。]
 
 

(152) 2014/09/18(Thu) 22時頃

 
‘Tis better to have loved and lost
 than never to have loved at all.

(一度も愛したことがないより、
 愛して喪った方がどれほどしあわせか。)
 




[呪詛に軋んだのは、僕の心だったのでございます。]
 
 


[面と向かい合わせ、とはいえど彼が此方を向いたかどうかは分からない

背を向けたままだったかもしれないし、対面していても視線は合わせてくれなかったやもしれぬ
さらりと焦げ茶の髪が夜風に揺れる
今宵も蝶は舞うのだろうか。色鮮やかな花の上に
だとすれば今宵この月を割れた鏡で蝶から覆い隠してしまったのかもしれない

明日には逢えなくなる月
友と呼んでもらえる資格ももう無くなる
下町の娼館に払い下げられる]

――朧

[小さく、友の名を呼ぶ
その声はきっと不安と、哀愁に満ちていたろうか
下町の娼館はここほど甘くない
金を返せなければ薬漬けにしても、日に何度客をとらせてもいいとばかりに無体を強いるらしいと噂に聞いた
ならば最後に彼に覚えていてもらえるなら綺麗な笑顔のままの自分で居たい
忘れてもらえるなら、酷く醜い藤のままで居たい]


[だから、今から云うのは凄く身勝手な願いであるとわかっていた
栞の花言葉に込めた願いが本当のものであると、悟ってほしくなかった]

私の事は、忘れて下さい

[忘れないで。ずっと友として傍にいたかった]

――――月と藤とでは、住む世界が違ったんです。

[貴方の年期が明けるのを、共に祝いたかった]

貴方もそう、思うでしょう?

[お願いそう思うなんて云わないで]


だから、私の事など、いなかったとお思い下さい。
根腐れする花など――最初からいなかったのですよ。

[囁き落としてくるりと踵を返す
彼に最後向けたのは、極上の笑みだった
踵を返した後、頬を伝い零れ落ちる雫は見ないふりをして]

では蝶が呼んでおりますので、これにて。

[さようなら、と泣きそうな色を帯びて小さく呟いた声は、彼の耳に届いたろうか]


――ああそれとも。
"また一緒に"向かわれますか?

[問う声は、震えていないと信じたい
着物の袖を握る手は、酷く冷たい]


[小さく、名を呼ばれる。
何処か気まずそうに、それでも確りと藤之助を正面に見据え瞳を覗き込むように見る。
黙って我が友の話を聞き進めていけば、段々と表情は暗くどこか苛立ちの色が混ざっていく。

事情は知らぬが、何かがあった事くらいはいくら鈍感な朧でも察することができた。
そのくらいの情報は、朧の手元にあったのだ。

それゆえの、苛立ち。]


 藤之助。言いたい事はそれだけか?


[全てを話せとまでは勿論言わない。
だが突然、そんな事を言われてしまえば驚かない筈が無い。
何時もならば確りと言葉を選び発するが、選ぼうともせずに口を開く。
背を向けた藤の花に、問いかける。
女々しいものだと分かっていながらも僅かに声を荒げる。]


 ――お前を唯一無二の友だと思っていたのは、俺だけだったんだな。


[懐に仕舞った栞の花言葉の意味と真逆の言葉を吐く藤之助を、ただ真っ直ぐに見つめた。
それでもそのまま歩みを止めないようならば、静かにそれを見送るのみ。

一つの花に『月』如きが心を開いた結末がこれならば。]


[震え声も知らぬふりをしよう、泣きそうな声も自分の幻聴だと言い聞かせよう。
『最初から藤色の花などありはしなかった』と瞳を閉ざそう。

向けられた極上の笑みは、笑み、は……]


[言いたいことはそれだけか?という言葉
違う、と咄嗟にでかかったものを飲み込んで
嗚呼振り向きたいのに泣きぬれた顔では振りむけない]

……――

[一瞬、最後の言葉に歩みは止まる
でも覚えておいてほしいのは、こんな泣き顔じゃない

心を切り裂く言葉には背を向けて、振り返らずに歩もう
月を陰らす雲であってはならないと、唇を血が出るほど噛みしめて
やがて曲がり角に差し掛かればがくり、と崩れ落ちて嗚咽を零す]


……私、だって
貴方の事を唯一無二の友と……っ朧―――

[ぱたぱたと涙が転がり落ちる
藤の着物は、濡れにぞ濡れて
本当は其の背を、追いかけてほしかったなんて、言えない]


[そんな笑い方をするのはやめろ、と。
肩を掴み止められれば、どれ程良かったか。

一度歩みは止まったが振り返る事も無く、音も無く去っていく背を見送って。
崩れ落ち泣き濡れている事など知る由も無く。

もしも俺が『蝶』ならば。
もしも、俺が友となる事が無かったのなら。

藤之助にあんな顔をさせずに済んだのではと、ズキリと痛む胸を抑えながら逃げるように逆方向へと歩きだした。

宵闇が裂け、朝日が昇り、事の次第を知れば。
………生涯藤色の花を忘れる事は無いのだろう、忘れられないのだろう*]


【人】 看板娘 櫻子

[拒絶の声に、一度指先が止まるのが判りました>>163
 切り離されてしまったかのような、僕と彼のいる房の中で
 呼吸を止めた音さえもが、はっきりと耳へ届いたのです。

 幾許か、同じく呼吸を止めました。

 吐き出しそうになる呪詛は、仄紅い焔にくべて燃やしてしまいましょう。
 軋む音など耳を塞ぎましょう、眸を逸らしましょう。
 籠の『外』にて生きるを知らない櫻の『花』は
 人様の涙のように花弁零すこともありません。

 零れ落ちるのは、穏やかな笑み。

 瞬きの音が聞こえるようでもありました。
 唇が動きかける気配がいたしました。
 けれども何も変わることなく
 止めていた呼吸を元に戻したのでございます。]

(175) 2014/09/19(Fri) 00時頃

【人】 看板娘 櫻子

 『外』を知らなければ、狭くなどありませんよ。

[『蝶』が何に翅を休め、何を見詰めるのか。
 上を向いては陽が照らし、下を向いては土色を踏む。
 唯只管それの中に生きる『蝶』の事など到底判りかねるのですが
 ──夢物語ならば、いずれはお姫さまに出会えるのでしょう、なんて。

 再び動き出す指先が毛先へと向かい
 やがてその射干玉が直に触れられる頃に落ちる、責苦。]

 ……───意地の悪い、御方です。

[掠れもせず、震えもしない声が、鼓膜を突いて返したでしょう。
 微笑み絶やすことはなく。
 ただ少しだけ、眉尻が下がってしまったのは
 続いた彼のお言葉と、彼の心中を思ったからにでございます。]

(176) 2014/09/19(Fri) 00時頃

【人】 看板娘 櫻子

 ……はい、そうですね。

[誰にでも優しいというそのお言葉を>>165
 否定などはいたしませんでした。
 露にされた対抗心を、肯きでそっと包んで差し上げたのでございます。

 やがて聞こえました声は、随分と抑えられたものでございました。
 寝転がり窓を見上げ、やがては布団のお隣を示されます。

 変わる話題は、調べの転。

 ならば、悲しく苦しい唄はお仕舞いにいたしましょう。
 此処は夢を見るための牢。
 甘い蜜を差し上げることが、『花(ぼく)』の『しあわせ』。

 招かれるお隣へと転び寝て、櫻香る身をお傍に寄せました。
 擦り寄るは甘く、しかして幼さを残します。]

(177) 2014/09/19(Fri) 00時頃

【人】 看板娘 櫻子

 『花』によりけりですよ。

 朧さんは美味しいお茶を淹れて下さったりしますし。
 藤之助さんは、琴を爪弾かれたりいたします。

 僕は、中庭を任せて頂いたり。
 『花』のお世話をすることもございます。

[紡ぐ音はそれこそ、この牢獄には似合わぬ程の朗らかさだったでしょう。
 楽しそうに、鈴鳴るような声が優しく響きます。]

 ええ、そろそろ秋になりますから。
 本当は植えたい苗があったのですが
 貴重なものらしく、手には入りませんでした。

 ちょこれいとの匂いがする、秋櫻があるんだそうです。

[花を褒められ『花』は綻びます。
 眩しき色彩、その中の大半を埋める『秋』色。
 植える僕には自覚など、一片も無いのでありました。]

(178) 2014/09/19(Fri) 00時頃

[昔々のお話。
朧と言う名の花が一つ花籠に加えられました。
手を引かれやって来たのは9つの年の頃、花主へと手渡したのはその子の父親でした。
酒浸りの女浸りの毎日に嫌気がさし、母親は我が子を置き去りにしてゆき、
そしてとうとう、その日に暮らすための金さえも確保できなくなったのだそうです。
暮らしに困らない程度の金を手に、息子の姿を振り返ること無く花籠を去っていったのでした。
残ったのは親に捨てられた子供らしくない幼子と花主。
『朧』という名を幼子に与えたのは花主だったか、様々な知識を分け与えてくれた花だったかは覚えておりません。

外の世界を望まなくなったのは、はてさていつ頃の話でしょうか。
花としての心得、話術、知識を充分に蓄えた頃には、既に花弁が開き始めていたのは確かです。
そして幾つもの季節が通りすぎ、いつの間にやら完全に根を張り花を育てる手伝いをするようになっていたのです 。
めでたし、めでたし?]


ー回想・そして今ー
[幼い頃の自分は、とかく元気だったという
雪山の麓に生まれた自分は、他の兄弟姉妹と同じく白い肌と黒い髪をしていた。しかし冬が厳しい場所で暮らして居れば、金子も食べ物も足りなくなるのは世の常……親はいくばくかの小金と引き換えに、子の一人を売り渡した

売り渡す際に藤色の髪留めで子の髪をひとつに束ねた母親は、子供にこう告げた]

――鏡でありなさい。人の心を映す鏡
そうすれば傷つくことも何もない――

[子供はその言葉を覚えていた
花主に連れられ雪の峠を越えて花籠に来た時も。その時結んでいた髪留めの色から藤と呼ばれるようになった時にも鏡であり続けた。客の、先輩花の、花主の。望む鏡花であり続けた

そんな鏡の面が細波揺らめく様になったのはいつ頃だろうか
それは初めての友ができた時からだと思い至る
月の様に美しい横顔、月光の様に柔らかく笑む姿がまこと麗しい人。どこか人づきあいが不器用そうに見えるが後輩の花にも親切で優しい人
その先輩花に懐き、心開いて。いつの間にか互いに友と呼ぶようになっていた。それが幸せだった]


[いつか年期が明けたら自分の故郷を見てみないか?なんて尋ねたこともあったろうか。雪山にかかる月が、それは見事に輝いているのだと

そういえば、母はあの言葉の――鏡の様であれという言葉の後、何かを云っていた
ああそれは何だったっけ

今宵の客は煙草の煙が薫る蝶。自分の花としての最後の客
明日には下町の陰間として払い下げられる身。銀蝶の揶揄には苦笑しか零せない。何せ最後の最後まで自分の心の声は、友に言えなかったのだから]

――鏡でありなさい。人の心を映す鏡
そうすれば傷つくことも何もない――でもね

[月の光が地下牢に届く
今宵朧月は見えるだろうか。無意識に虚空に手を伸ばす
月を欲しがり泣く子供ではない。そんな無邪気な季節は過ぎ去った
そんな折、別れ際に聞いた母の声が蘇る]

でもね――自分の心に嘘をつけば
嘘で割れた鏡の破片は相手も自分も傷つけるのよ――

[思い出した時には、既に――遅かった*]


[煙草の香りはいつも彼から薫る刻み煙草のモノとは違うが一時溺れ忘れ去るには十分な刹那の香り

黒衣の背越しに見上げる月
せめて雲に隠れぬ様にと、懇願するように見つめるも――やがてそれは雲に隠れて見えなくなって

一筋、涙が零れ落ちた]


【人】 看板娘 櫻子

[転びて身を寄せ、髪を撫でる手に擽ったそうに笑いました>>195
 摘まれる髪飾りの色は白。
 何色にも染まり、しかして何色をも染めてしまう色でございます。
 櫻の香は少しなりとも、彼を癒すことが出来たでしょうか。
 見えた尖りも形を潜め、瞼も休まれているようです。

 僕はそっと、ペティンガーの背中へと手を回しました。
 細い指先は、水面揺らす金の魚と戯れる手ではございませんが

 とん、とん、とん。

 緩やかに、その背を撫でていたのでございます。]

(201) 2014/09/19(Fri) 01時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[僕の唄は、愁いを帯びることもなく。
 今ここにあるのは、宴に響く艶やかな音ばかりでしょうが。
 それでも僕は唄いましょう。
 翅を休めた蝶が、癒し、満たされ眠るまで。]

 我侭な御方ですね?
 お茶にお琴にお花だなんて。

[いいのです、眸を背けて。
 いいのです、何も聞かなくて。
 撫でてくださる手に、僕は緩やかに微笑みました。]

 ええ、ちょこれーと。
 甘いものの中でも一番好きで。

[他愛もなく、記憶にも残らないような、そんな『夢物語』を唄いましょう。
 微温湯のような、甘くて柔らかな声と温度で。
 「食べちゃいけませんよ」───なんて。
 話す頃には眠っていてくれたらと背を撫で続けたのでございます*]

(202) 2014/09/19(Fri) 01時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/19(Fri) 02時頃



[蛾に毒された月を、男は果たしてどう取るだろうか――

櫻と話すその横、近くの牢。
冷たい籠の中にて咲く月は毒に侵され犯されて。
月の口から紡がれる言葉はどんなものか、気にはなるけれど耳は届かず。

先の蝶声にて囁かれた挑発には、思わずに大きく顔を瑜伽め口先から厭味に似た負けず口を、「――月は誰にでも優しい」と、優美な銀月を想って只々口先を切る。

そう。花は誰にでも蜜を遣る。
されとて月も、拒む術無く誰彼を照らす。

ただ其の事実を櫻の唄を通して解ったならば――胸に燻らせる思いは、そう。怒りなどでは無い。妬みなどでも到底無い。
ただ銀月を手中に収め切れずに居た自分への恥と、――僅かな寂寥。]

 …明日は蛾でも、愛でてみようかな。

[ぺろり。口端に舌が這った。*]


可愛い、可愛い吾が子達。
今宵も大層疲れただろう。

部屋でゆっくりと休むがいい。

[男は今日も地下牢へとやって来ては、吹雪を降らせて花々を見下ろす。
優しげな面持ちで、或いは非道な笑みで。
一輪、一輪、狂気を含んだ声が撫で付けた。]


丁よ。
お前は屈折していて可愛らしい。

吾が子に相応しき、素直な焔花。


亀よ。
お前は夢見がちで悩ましい。

銀月映す、儚き水面花。


櫻よ。
お前は頑なでいて微笑ましい。

散るを知らぬ、咲かない櫻花。


朧よ。
お前は動じぬ姿が誇らしい。

陰る貌こそ、艶かしい月花。


藤よ。
お前は磨かれた心が、美しい。

割れれば綺羅綺羅、光はなつ鏡花。


明日も甘い毒抱きて、蝶を誘い惑わせるがいい。

愛しい“罅割れぬ”花たちよ。

[口許に三日月を浮かべて嗤い、男は消え行く。
一輪切り捨てることを、暗にして。]


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