89 春の風邪村
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「じゃあ、薬出しておくね。 症状変わったりしたらすぐおいで。」
…ばぁい゛。 ありがどうございまじだ。
[だみ声で返事をすると、マイマイ先生に 軽くお辞儀をしてから診察室を後にした。]
(109) wallace 2012/05/09(Wed) 19時頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
wallace 2012/05/09(Wed) 20時頃
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[家に戻れば、父親は既に仕事に出ていって 朝食を済ませた食器が机の上に置きっぱなしだった。 母親がすぐにお粥を作ってくれた。 その間にパジャマに着替えて、居間に戻った。 ボタンを掛け違えて着替えるのは少し時間がかかった。]
だる、 じんど。
[熱が高いせいもあり、椅子に座ると立ち上がりたくない。 背凭れに寄しかかり暫く何もせずにぐったりする時間。 喋ると辛いので喋らないが、つばを飲むと喉が痛い。]
(110) wallace 2012/05/09(Wed) 22時頃
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[程好い塩加減のお粥が出来上がる。 上には梅干しがひとつ乗っかっている。 レンゲでお粥をすくって、ふーーー、と息をかける。
あちっ、と言いながらまずはひと口食べる。 喉の奥を柔らかな米粒が通っても喉の奥が痛かった。 それでも食べて薬を飲まなくては。 その一心で、お粥を口に運び続けた。
が、それも序盤だけ。 後半になるに従い、食欲は減退していった。 梅干しをれんげで潰して時間を稼ぐ。]
うう゛…
[最後、と決めて少し多めにレンゲにすくって口に運ぶ。 お椀の底に残ったお粥は、冷えはじめ膜が覆っていた。]
(111) wallace 2012/05/09(Wed) 22時頃
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ごちそーざま
[申し訳なさそうに母親へお礼を言ってから 貰ったばかりの薬を取り出す。 粉薬がひと袋と、錠剤が結構だされた。 粉の袋の中に錠剤を混ぜて入れて、 さ湯と一緒に薬を飲み干した。 ざらっとした粉が喉を通った違和感に眉を寄せた。 苦い後味だけが喉に残った。]
ねる…
[薬を飲む仕事を終えれば、後は寝て治す。 そうするしかないと解っているし そうしなければよくならないとも解っている。
高熱に気付けば慣れてきた身体で 自室へ戻れば布団の中へともぞもぞと入っていった。
(112) wallace 2012/05/09(Wed) 22時頃
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[身体が自分のものじゃないみたいに うまく動かなくて鈍い心地。 ずぅん、と重たい頭を布団に埋め込む。]
[時計を見ると既に1時間目は終わっている時刻。 時間を再確認をすると自分が休んでしまったのだと 再認識してしまって、凹む。]
う゛ぇほッ
[横になったせいか咳が出始めた。 とても女子高生らしからぬ咳だ。 咳をするとまた喉が痛い。 扁桃腺が右も左も腫れていて喉が熱い。]
(113) wallace 2012/05/09(Wed) 22時頃
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ぐぇほっッ!
[おっさんくさい。 自分で突っ込みをいれつつも、 まだ冷たい布団をかぶって 目を閉じた。**]
(114) wallace 2012/05/09(Wed) 22時頃
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[こういう時に一番見たくないのが、嫌な夢だ。
でも、こういう時に見てしまうのも、嫌な夢だ。
「あの身体で早く走れるとでもおもってんのかなあ」
ほらきた。
「見てて恥ずかしくなってくるよねー」
「安井くんとよく一緒にいるけど何?」
「幼馴染ってきーた」
「幼馴染(笑) ゲーはずかしくないの」
「高校生にもなってって事?一緒にいるのがって事?」
「両方両方」「そりゃそうか(笑)」
「(笑)」「(笑)」「(笑)」
更衣室で話してないでよね聞かせるつもりアリアリなのまじうざい。誰と仲良かろうがいいじゃんやっかみこそはずかしくないの。
ああほら一緒にいた友達がひいてるし、ごめん私何もうまくいえない。このまま突入して何事もなかったように着替えるとかも出来るほど強くないし、ごめん、いいから先着替えてて、私もうちょっと時間つぶしてくる。ごめん。
でもなんで私が謝らなくちゃいけないの。
グラウンド傍のトイレは校舎内のトイレと比べてちょっとにおいがきつかったのを、よく覚えている。
もれてくるのは夕日。物悲しさを助長して、悔しいんだか悲しいんだか腹立たしいんだか、よく解らない涙がこぼれた。]
[過去にあった、色んなパターンを、走馬灯のように脳裏は数度繰り返す。
陰口や睨まれるのは日常茶飯時、片づけを押し付けられたりもあったし、 言い返して口論になりかけた時、ちょっと憧れてた先輩があいつらの味方についた事もあった。]
[カズマと幼馴染なのが悪いの?とも思い始めたのは結構すぐにだった。
中学の時からモテてはいたけど高校に入って更に助長した気がする。
小さい頃から一緒な身としてはカズマの格好良さは解らない、というより意識した事がない。
改めて言われると確かに顔は整っているし性格もとっつきやすいし、なるほどとは思うけど。今更そういう対象には見れない事はかわらなかったし向こうもそうだろうと思っているし。
むしろ幼馴染でなければ私が一番近付きたくないタイプなんじゃないだろうかとすら思う。 それなのに。
よく言えば人好きのする性格の幼馴染は、あの陸上部の三人組と笑って会話してたのも見たことある。
正直うざいというレベルではなくなってきた。何あいつらカズマと仲良くしたいだけなら私とばっちりじゃない?
とばっちりで文句言われなきゃいけないの?見た目の事まで?
正直ないわ。なさすぎる。
カズマもそんなやつらと楽しそうにしてないでよむかつく。
でも言わずに溜め込んでいたから、何も伝わるはずはないし、私の思っている事は理不尽も含まれてるのも解っていた。 自己嫌悪する。]
[いらついて、自己嫌悪して、でも何も言わずにまたいらつく。
たまりにたまった鬱憤は、簡単に爆発をしてしまって、あの時は盛大に迷惑をかけてしまった事は黒歴史である。]
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―翌日 昼ごろ―
[熱が薬を飲んでも全然下がらない。 冷えぴたの強力な方をわざわざ買ったのに 既にぬるくなってしまっている。
風邪の引き始めは案外そんなもので 薬が効き始めるのは明日以降だろうと思う。 だからこそ、風邪を引いた初日は 個人的にはひとつのヤマ場ではないかと思っている。 最初にして最大の関門だ。]
(128) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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[熱にうなされていると自然と変な呻き声が出る。]
う゛−
あ゛ぁ゛…ッ げほぉッ ごぇっ
[熱も下がらなくて必死で目を閉じても眠れず 咳が次から次へと出てくる始末だ。 痰も絡んで、喉の中にべったりと粘着質な ものが付着している何ともいえない違和感が嫌だ。]
(129) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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も゛
む゛りでず
[ギブアップ宣言を一人ごちる。 だからよくなるのかと言われると、良くならない。]
(130) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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[諦めたように天井を見上げる。 動いていないはずなのに、世界が動いている。 脳味噌がぐらぐらと揺れている。 熱が高いとよくある症状だなぁ、と思いながら ぼぉんやりと焦点を合わせない視線。]
あ゛ー
ばぁ…
ぶー
[口からは特に意味のない呻きしか出てこない。]
(131) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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も、 ぼんど づ …ら
っつ――
げぇほっ! ぅぉえェッ。 ガっ、ゲッ
[詰まった痰を出そうと喉に力を込める。 ベッドの傍に置いてあるティッシュに手を伸ばし口にあてる。 ゲル状の痰を出せば色も見ないで包んで捨てる。 が、ごみ箱が遠くてベッドからやや身体がはみ出た。]
はーー…
[ベッドの端で貞子状態で項垂れる。 額に張った冷えぴたのはしっこが乾いて 少しだけ剥れ始めてきていた。]
(132) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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(りーな、大丈夫かな。 一馬も…、無理して学校行ってないかな。
ハナはそろそろ学校来れたかな。)
[ベッドから出たことで、寝汗を結構かいていた事が解る。 めんどっくさいけどここでパジャマを変えるのは得策だと 自分がよく解っている事なので、のったのたと着替え始める。 着ていたパジャマは床にそのまま脱ぎ捨てた。 下着までしんなりしている気がしたのでそれも変えた。
新しく着替えると、さらっとした繊維質を感じる。 べたつかなーい。]
(133) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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「えりあーっ。 お昼食べれるのぉー?」
[居間から母親の声が聞こえる。 正直食欲はない。けれど、食べないとやばい。 というのは解っている。薬も飲まないといけない。]
[脱ぎ散らかしたばかりのパジャマと下着を持って 居間へと向かう。床がひんやりと冷たい。]
(134) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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「おうどんにするけど食べれる?」
…ばんぶん なら
[多分。と曖昧な返事をしてから パジャマを洗濯機の横のカゴヘ投下する。 それから自分の席につけば、テレビでは お昼どきの番組が流れていた。
長期休みの時しか見れない番組。 こういう時に見れるのはちょっと得した気分。]
(135) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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[温かいうどんが出来上がれば箸で ゆっくりと口に運んで飲み込む。
やっぱり喉を通る際は違和感がまだあった。
ずずっ、と鼻を時折すすりながら 半玉のうどんの半分まで食べる頃には うどんはすっかりと伸びきってしまっていた。]
……
[ぶちん。ぼちゃん。 挟んでは落ちていくうどん。 つゆのなかで浮かぶ白い麺たちを悲しげに見下す。]
(136) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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ごちそ さま。
[結局、たいして食べれないまま食事を終える。 母親には「もういいの?」と案の定聞かれたが それは決まり文句みたいなものなので 返事を待たれることなく、水と薬が出てきた。]
[粉薬の中に、錠剤を一緒に入れて 水と一緒に飲み込む。 やっぱり 苦かった。]
(137) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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「買い物行くけど 食べたいものある?」
アロエヨーグルト…
「他には?」
…、杏仁豆腐
[白くて甘いもの気分だった。
それから、暫くお昼の番組をのんびり見る時間。 部屋に戻っても寝るしかないので、 異が落ち着くまでの間 居間で時間を潰した。
そういえば、誰かからメール来てないかな、と 携帯をぱかっと*開いた。*]
(138) wallace 2012/05/10(Thu) 21時頃
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[ぱかりと開くとメールが案の定着ていた。>>145>>146]
がずまだ。
[文面を目で追って、追って下まで見終える。]
…、… そっか。
[どちらかの風邪をもらうことはあっても 3人一緒で風邪は初めてかもしれない。
そして、一馬をお見舞いしたのも初めてのこと。 結構一緒にいてもこんなにはじめてが あるんだなと思うと、口元がにんまりした。
テレビを横目に、かちかち、と返事をする。]
(148) wallace 2012/05/10(Thu) 23時頃
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宛 先:安井 一馬 件 名:ふふふ
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おばさん、かずまが風邪ひいたら たまごがゆだが定番だって言って たんだよー
え ずるやすみずるい。
(149) wallace 2012/05/10(Thu) 23時頃
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そういえばはじめてだね。 貴重だけどもういいよ。 2人とも心配は大変。
はい。 頑張ってなおします。
熱下がらん!><
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(150) wallace 2012/05/10(Thu) 23時頃
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[そこまで打てば、 はーー、と溜息を吐いてから視線を上げた。]
結局、 心配かけたなー。
[ひっそりと囁く声だと喉を傷めずに喋れると 長年の経験から知っている。
ぱち、と一度携帯を閉じればまた自分の部屋へと**]
(151) wallace 2012/05/10(Thu) 23時頃
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[部屋に戻って、もう一度一馬からのメールを読み返す。
ついでにその前にきたメールとかも遡っていた。]
…、…。
[そういえば、かずちゃんから一馬に呼び方を変えたのは
いつからだったっけ、と
ぼんやりとした頭で 思い出してみたり。**]
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ぅ゛ぇほ。 ゲホッ!!
[部屋で携帯をベッドの上でいじっていると 咳が出て痰が絡む。 喉の奥がいがー、いがー、としてて不快だ。]
[風邪で学校を休むと暇な時間が急に出来るのに 漫画を一気に読み直したりとか そういった事ができないのがつらい。 考え事をしてもいいけど深くは考えきれない 熱にうなされた残念な頭。
なので、ぼぉー、っとするという事が多くなる。 とはいえ今は仮にもテスト前。]
(164) wallace 2012/05/11(Fri) 00時頃
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ばー…
[またわけのわからない呻き声を出しつつ 鞄の中から世界史の教科書を取り出す。 ベッドの上で仰向けで教科書を眺める。 眺める。 眺め、…
教科書を持ち上げている腕が痛くなって 寝返りを打ち横向きになる。
だが、これでも徐々に片腕だけ痛くなり 今度は反対側の横向きになる。]
いのんけんてぃうす
[間違った人名を唱える。 正しくは、インノケンティウスだ。 世界史はこれだから大変だ。]
(165) wallace 2012/05/11(Fri) 00時頃
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[オルゴールの音の着信音が鳴る。]
へんじ?
[教科書を置いてメールを開く。>>155]
わ。
え? くるの?
[跳ねた髪を手櫛でなおしながらメールを見てしまっていたり。**]
(166) wallace 2012/05/11(Fri) 00時頃
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