73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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──廊下──
あ、あァヴェス。医務室係だからさ、ちょっとね。
[薔薇の熱に浮かされて、それなりにやましい行動なので、見つけられてぎくりとする。もう行ったかと思っていたが、どうやら立ち話していたらしい。]
別になんでもないですよ。ベネットせンぱいも、なにしてるんですか?
[挨拶ぺこり、問うてみる。二人の行き先を聞かれたなら、しばらく前図書室で別れたきりとしか言えないけれど。]
(364) 2011/12/24(Sat) 18時半頃
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えーと。
[墓穴を掘ったか。言葉をにごせばヴェスパタインは先ほどと同じように手当を拒む。ほっとして、そんな自分が嫌になって。]
……うん、すぐ戻る。
[そう言って二人と別れて。気づかれないくらいのため息をついた。]
(368) 2011/12/24(Sat) 19時半頃
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──廊下──
[ベネットとヴェスパタインとわかれ、医務室に向かう。 思い出すのは、覚えたての熱を持て余していた頃、先輩に誘われた密やかなグループ。教えられた快楽は日常のストレスを忘れさせるのに充分なものだったし、なにより、色恋でつながっているわけではない、失うことを恐れなくていい温もりは、とても居心地がよかった。
その先輩はもう卒業してしまったし、夢中になった後の罪悪感も手伝って、今はなんとなく疎遠だけれど。知っているメンバーが残っていれば都合が良かったのにと思う。]
……はぁ。
[汚い思考。溜息が薔薇の香りの空気を揺らした。]
(373) 2011/12/24(Sat) 21時頃
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──医務室──
[一人になりたくて訪れた場所にはすでに先客がいた。消毒薬の匂いは薔薇の香りと混じり合って清潔感を失っていて、二重の意味で顔をしかめる。 さてどうしよう。こうなれば医務室に用はないけれど、すぐに踵を返すのも憚られて。取り敢えず日誌をパラパラめくってみたりする。]
(378) 2011/12/24(Sat) 21時半頃
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モリス風邪引いたのかい?
[先ほど呼びにきてくれてからずっと居たのだろうか。薬を求める後輩に問いかける。]
ちょっと待てよ、俺も即席医務室係だしさ。
[説明は受けたのだがきちんとは覚えていない。ラベルを読んで薬を探し、ややあって粉薬の小分けされたのを渡す。]
一日三回、食後だってさ?
[モリスの言い方だとサイラスに生徒会長も来るのだろうか。勝手に秘密基地を見つけた気分になっていたから少し残念で。そして熱の行き場にも困った。シャワールームは戻るまでが寒いしな、などと考える。]
(383) 2011/12/24(Sat) 21時半頃
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……っ!
[触れた手の感触に、思わず手を引っ込める。何かが怖くて。]
……ごめん。ほら、薬。
[早くここをでた方がよさそうだ、考えるうちに人はまた増えた。]
(390) 2011/12/24(Sat) 22時頃
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こぉら、クリスマスを寝たまま過ごしたくはないでしょ? カルヴィンもちゃんとあったかくして。
[モリスに変な反応をしてしまった自分が嫌で、取り繕うようにことさら人の良さそうな声をつくる。エリアスの同室として、周りに認識されているように。]
(395) 2011/12/24(Sat) 22時半頃
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なに?
[首をかしげる。心当たりがさっぱりで。]
(398) 2011/12/24(Sat) 22時半頃
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……それは状況が決めることだよ。
[少し考えて返す言葉は、ドライなもの。]
君と相手がおかしいと思わないならそれでいい。周りに無理解な人がいて、その人の目が気になるならおかしいことだと思えばいいさ。
[全員同じように好きならば、誰かと別れても代わりがいる。そんな理論で防御を固めた少年は恋を知らず。他人に偏見を持てるほどの価値観の土台も持たず。頑張れとも言わなかった。]
(404) 2011/12/24(Sat) 22時半頃
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…カワイソウな子。
[諦めだけで今までを生きてたエリアスに、
あざ笑うような、哀れむような。
ただ、同情だけは寄せない薔薇の精]
…誰か……。
どうしたらいいの。
どうしたら、忘れられるんだろう。
[それはエリアスの呟き。
薔薇の精のそれではなくて。
悲しさだけが漂う気配]
えっ、エリアス先輩……?
[突然の呟きにモリスは動きが、止まる。]
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っ……!
[虚をつかれた。一瞬絶句したのはどのようにとられるか。]
……チビたちの前。
[咎めるように早口で言ってから、声を低くし。]
自己責任、じゃない?
[それだけ言った。]
ほら。風邪引くってば。明日はもっと豪華なご飯だよ?
[話題を変えるように寒そうな後輩たちを急かす。頭の中はモリスの意図を考えてぐるぐる回った。]
(414) 2011/12/24(Sat) 23時頃
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…忘れたいだけなんだ。
ただ、辛い、だけ……
[シーツを握る手に力が入る。
ぽたぽたと涙だけが零れて。
答えの声に、違和感すら感じずに]
…もう、いやだ…。
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[咄嗟に怯えたのは、彼があの遊びのことを知っていて、エリアスにそれをばらされること。]
(415) 2011/12/24(Sat) 23時頃
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[夢から目覚めさてた声は、2つ。
1つはベネットのもので、もうひとつはエリアスのもの。]
うん?どーしたのー……
[寝ぼけた声が、モリスの後を追うように問う。]
ん〜?どうしたんだろうね、この子。
[答えを返すのは薔薇の精]
随分混乱してるみたいだけど?
君達なんか言ったの?
……っ。
[聞こえてくる嗚咽。
エリアスは何を忘れたくて、泣いているのだろう。
近くにエリアスの同室のセレストがいるだけに、複雑な悲鳴が洩れる。]
…キミ、誰かしらないけど。
バイトで、とか、言っていなかった?
[モリスが薔薇の精としていたやりとりはおぼろげだったけれど、夢の中できいたのだろうと。
この少年は一体いつこの声の異様さに気付くのだろう]
バイトなら…誰とでも、できる?
忘れさせて、くれる…?
……いいんスか。忘れちゃって。
[モリスは少し躊躇を見せると]
オレも忘れたいこと、あるし。
先輩がいいなら、『手伝いますよ』。忘れたいなら。
[セレストが放った自己責任という言葉が重くのしかかる。
それで、きっと、いい。
自分には負い目があるのだから。サイラスには綺麗なままでいてほしい。友達のまま、そのままで過ごせれば。
金で自分を売った、汚い自分にはきっと相応しくないのだから。]
むにゃ……。
[未だ夢現。2人の会話は聴いているけれど、脳みそには届いていないようで。]
……どこまで行けばいーんすか?
さすがに場所は選んだほうがいいと思うんスけど。
[モリスは少し困った様子でエリアスに告げる]
…防音室。あそこなら、聞こえない。
[逢引も、それ以上のことも]
……わかりました。
今、たまたまカギが開いてたんで、中にいます。
キミが…モリス…?
[余りに悲しみすぎてうつろになった眼は
彼を見る。
戸惑うことなくその胸元にほほをよせて]
約束。忘れさせ、て……
オレがモリスですけど、ね。
[来るなりエリアスが胸元に飛び込んでくるのを見れば、その髪を優しく撫でて。]
別に、いいですよ。オレで良ければ。
一緒に、暖まりましょうか。
つーか、何してもらいたいっスか?
バイトですから、ご要望とあらば、何でもするっスけど。
[エリアスの耳元でこっそりと囁く。]
…抱いてくれる?
[その声は、エリアスのものではなくて、
薔薇の精のものだとは気付かれまい。
元々枯れそうだった薔薇の木、求めるものは人の精気なのだ、と]
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