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奏者 セシル! 今日がお前の命日だ!
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン ……慈悲など…… (5) 2010/06/22(Tue) 23時頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[手記の最後の一文をふと思い出し、首を振った。 (19) 2010/06/22(Tue) 23時半頃 |
お兄様……
気が晴れぬなら……
白く美しい薔薇でも愛でて
お心をお慰めになっては如何でしょう。
[感情の読めぬ聲が城主へと囁かれる]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[ローズマリーの傍を離れ、黒薔薇の元へ。 (34) 2010/06/23(Wed) 00時頃 |
白薔薇を?
[黒薔薇へ手を伸ばす城主へ
かかる声音
廊下へ出て行った彼はこの場に居らず]
追うのは、億劫だが。
[折角の提案ならば。
向かうべきかと気乗りのしない聲を洩らす]
億劫と仰られるなら無理にとは申しません。
お兄様のお心のままに……
[兄が黒薔薇と戯れるならそれ以上何も言わず。
気乗りせぬ彼の聲に静かに頭を垂れる]
あれが気になるなら
……お前が後を追えば良いだろう?
[聲は幾らかからかう風を持って響く]
――……死ねたのに、
[呟きはけれど、耳の良い者には響いた]
私が………?
[からかうような声音に僅かに首を傾げる]
――…私が行って良いのかしら。
[ぽつと呟く聲は感情を殺したように、薄い]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン ……誰でも良い癖に。 (55) 2010/06/23(Wed) 00時半頃 |
――……っ
[白薔薇の呟きに女の表情が強張る。
嗚呼、彼も私を置いていくのだろうか。
そんなことを思い翡翠は伏せられた]
[死にたかったのか。
彼のつぶやきには少し、驚いている。
だけど、自分も同じようなことを考えている。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 子供 (59) 2010/06/23(Wed) 00時半頃 |
私のローズ
お前の思うままに、生きるが良い。
[行って良いのかどうか。
その聲を後押しするように、囁きを向ける]
何度も口にするほどあれが気になるのだろう?
お前のしたい事をすれば良い。
それだけの力がお前にはあるのだから。
[従者の呟きは聞こえていても、城主の其の囁きはまだ
ひとの身である彼には届かぬもの]
お兄様……
[城主の聲に伏せた亜麻色の睫毛が震える]
気になるから留めたいと思うのかしら。
嗚呼、私はあのひとを留めておきたいの。
[望むことを口にする。
けれど女にはそれが良いのか悪いのか
そんなことさえ分からない。]
この力はお兄様に与えられたもの。
この力はお兄様の為だけにふるわれるもの。
[自らに言い聞かせるように小さく繰り返す]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 愚かだな、子供。 (78) 2010/06/23(Wed) 01時頃 |
どうした、私のローズ
[傍に居ながら、聲を使うのは
彼女の内なる聲を聞かせたくないと
可笑しな心持ちから。
どの道同族には聞こえていると言うのに]
気に留まれば、喰らいたいと思う事もある
留めて置きたいと思う事もある
そう、お前が其の力を得て、此処に居るように。
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[ワイングラスを口元へ運びながら、戸口へ視線を向ける。 (83) 2010/06/23(Wed) 01時頃 |
如何もしないわ、お兄様。
[返事をするまで暫しの間があった。
それは自らに暗示を掛けるための時間]
――…私はお兄様に望まれたから
今、此処に居るのね。
[今はその事実だけで良い。
それ以前の事を兄に問うことはしなかった。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>81子供の思いまでは、城主とて読み取れない] (92) 2010/06/23(Wed) 01時頃 |
そう、私がお前を望んだから
お前は永遠に美しいまま、私の傍で咲く事が出来る。
[間をおいた返事に、柔かに笑みを混ぜる。
其れは、崩れていた調子が戻った様子を伝えた]
それなら良いの。
私は――…お兄様を少しでもお慰めできる華でありたい。
[親鳥を慕う雛のように女は兄を心酔する。
兄の笑みを認めれば安堵したようにふ、と微笑を過らせた]
嗚呼
[浮かべた微笑を振り返り、城主は吐息を洩らす]
お前が何時も満ち足りて
美しく咲いている事が
私を慰めてくれるのだ。
其の微笑みを曇らせる事のないように
お前はお前が望むままに、生きると良い。
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン ……そうか、それでは見せるだけにしよう。 (104) 2010/06/23(Wed) 01時半頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 嗚呼、その気が失せた。 (110) 2010/06/23(Wed) 01時半頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 懸命な判断、と言うか (121) 2010/06/23(Wed) 02時頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>120亡骸を連れて行こうとする子供を一瞥する] (125) 2010/06/23(Wed) 02時頃 |
[これは女が失った過去の記憶の欠片。
女は良家の娘として人として生を受けた。
元来身体が弱く外に出る事も稀だった。
唯一知る外の世界は白薔薇の咲く庭園。
遊びに来てくれた二人の兄妹だけが心の慰め。
医師から二十歳まで生きられぬと宣告されていた。
長く生きられぬと知りながらそれを嘆くことはなかった。
もう少しだけ丈夫であれば、と思ったことはあるけれど
限りある生をひたむきに生きていた。
残る時間があと二年に迫った時――
この城の城主と出会う。
出会いは白薔薇咲く庭園だった。
――美しくも哀しげなひとだと女は思った。]
[無知な女は彼を魔性だと気付かない。
気づいた頃にはすでに手遅れ。
城主は女の命が短い事を知り憐れに思ったのか
時を止める術がある事を明かす。
このままで良いのだと、女は抗った。
神から与えられた命をまっとう出来るだけで良い。
家族や親しいあの兄妹と離れるのは辛いと
――そう、一度は拒絶したのだ。
けれど次に目覚めた時には
抗った記憶も人だった記憶も失っていた。
否、本当は何か大事なものをなくしたのだと
それだけはわかっていたのだけれど
此方を見詰める城主の眸が何処か寂しそうに感じられて
その日から、城主の傍にあることが自分の存在する理由となった]
――…私の望みはお兄様と共にあること。
お兄様がそう仰って下さるなら
私は限りある生を――…
[言い掛けた自身の言葉に、瞬く。
何を言おうとしていたのだろう。
緩く首を振りその言葉を打ち消した。
続けるべき言葉が見つからず女の聲がぴたりと止んだ]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン おや、お前は生きたくは無いか……? (139) 2010/06/23(Wed) 02時半頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>146従者のたとえは、得てして妙なもの。 (154) 2010/06/23(Wed) 03時頃 |
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 独り生き残るのは……嫌か? (155) 2010/06/23(Wed) 03時頃 |
[記者を連れ歩きながら
知人に先立たれ独り生き延びてきた過去を振り返る。
若いうち、未だ人と己の区別がつかなかった頃
幾度求めた手を振り解かれたか
幾度理由も無く虐げられたか
あまりに遠い昔の話は、霞がかってしまって
鮮明なのは、此処数年の出来事]
[未だ、城で宴を催す前の事だった。
食事の度に夜の街を彷徨い
月明かりの下、白薔薇の庭園でひとりの娘を見つける。
儚い夢のような娘だと感じた。
其の理由は直ぐに知れる。
警戒心も無い様子で、語りかける声
ならばと、正体を明かし
其の身に永遠をくれてやろうと誘いかけた。
美しい華が、枯れる前に散るのが惜しいと思う。
珍しいことだと自嘲した]
[喜ぶかと思った娘は、首を縦には振らなかった。
思い通りにならぬ歯痒さ。
彼女もまた私のものにはならぬと言う
拒絶した彼女に
気付けば牙を立てていた。
血を分け与える行為は、微妙な匙加減が必要なもの。
女の血を吸い尽くす手前で止め
命の散りかけた其の身を次は己の血で満たす。
人ならざるものへと変わっていく
其の身で受け止めきれぬほどの快楽が
彼女の記憶を何処かへ飛ばしてしまったのか]
[意識を飛ばした娘を連れて、城へと戻り
熱が出たのか毒を中和すれば良いのかと、
下僕に薬を買いに走らせる。
今思えば愚かなことだ]
……私のローズ。
永遠を生きるもの。
共に――…
[翡翠の瞳を再び見る事が出来た其の時から
刷り込みのように、幾度も繰り返す言葉。
ぴたりと止まった彼女の聲
城主は甘く優しく囁き続ける。
錯覚も永遠に続けば、其れが真実となるだろうから*]
――…うそつき。
[死を望んでいた白薔薇に対する聲は
震えの混じる情けないもの]
――……聲が、
聲が、震えておいでですよ、お嬢様――
[半覚醒のなかで囁きに応じる聲。
常の柔らかな響き、
けれど、どこか硬質な――]
[――新たな聲が聞こえた。
自らが招いた事だというのにそれが怖ろしく哀しい]
――……、
[逡巡するような間が生じた]
貴方の気のせいよ。
[沈む聲がそう答えた]
ああ……
[目覚めの吐息がひとつ]
――気のせい……
左様でございますか、ならば結構、
――お可愛らしいことですね?
[囁くそれは、砂糖菓子のような甘い聲]
[城主の甘く優しい囁き
幾度となく繰り返された言葉がじわと染みて]
やはりお兄様にお任せすれば良かった。
[求めた白薔薇の変貌に女の心は追いつかない]
お兄様――…
私はまた、間違えてしまったのでしょうか。
[甘い白薔薇の聲に心が震える]
可愛くなんて、ない……
偽りは、…やめて……
[これは違う。
違うのだと自らに言い聞かせながらも
途惑いは隠せず上擦る音色]
[ツキン、と、鈍い胸の痛みが女を苛む**]
[上ずる声音を聞けば、吐息に笑みが混ざる]
……ああ、ではどんなお言葉でしたら、
信じていただける?
あなたのお望みのままに、
謳って差し上げますよ、お嬢様――……
[その声は耳触りだけは、まろやかでやさしい**]
[ふと、
声が増える
増えた。]
――……セシル?
[声ならぬ聲が混じる。
よく知ったおと
瞼を閉じれば、其の先に
手元に置きたいと思った蒼天は色を変えて]
ふ……ふふ
[吐息の間で笑みを浮かべ、可笑しなことだと囁き零す]
私のローズ
お前の望みは叶っただろう?
……セシル……目覚めたか
[愛しい
そんな感情が魔物に存在するものか。
是は執着
朱に交わり染まる蒼がただ惜しいだけ
胸に渦巻く甘い痛みの説明を
誰も城主に授けてはくれぬ**]
[重なり響く己の名の音]
おはようございます、旦那様――…
嗚呼、心根のかろやかなこと、
―――…私は、今まで何に捕らわれていたのでしょう。
[失われたのは闇にあって尚、善美に焦がれる心
枷なき薔薇は、棘を恥らうこともない]
ふふ……
つまらぬひととしての未練に囚われていたのかどうか
私はお前で無い故に、わからぬが。
良い目覚めを迎えたようだな
私の――…白い薔薇。
[蒼天は地に堕ちた。
胸を鳴らすこれは、其れを惜しいと思う何か。
けれど淫猥に囁く声音に曇りは無く
新たな眷属を歓迎している]
[響く声、
そして、フロレスクは完全に落ちたか。
と、思えど、
それをもう何かいう資格はまるでない。]
――……
[声は出さぬが気配は伝わっただろう。]
はい、目覚めはとても心地よく、
感謝しております、旦那様――……、
[惜しまれたものを省みることはなく、
声はまどろむような甘えを滲ませて]
[何処かで己の名を呟いたような、声に]
――ああ、そうだ。
あなたへの感謝も、まだでしたね……?
きちんとお礼に伺いますよ。
[暗き空を見て、どくり、と身体がうずく。
いや、そこから落ちれば、人ならば命がない場所に
惹かれるのは、なぜか。
いや、違う、飛べるような気がした。
さきほど、飲んだ狩人の血が、
一層力を高めたのだろうか。]
――……ッ
[ふと響いてくる白薔薇の声。
微かに目を見開く。]
感謝?
[テラスで結果佇みながら…白薔薇の妖艶な声に眉を顰めた。]
[物言わぬ気配を感じながら
白薔薇へと微かな笑みを送る]
感謝は、私ではなく……彼等に。
望みを叶えて遣るがいい。
君は、もう
フロレスクを完全に捨てたのだよな。
[しかし、問うてみたくて、そう声を響かせる。
城主やローズにも聴こえるだろうが。
聖なる血族にあって、落ちた彼の真の心裡はどうなのだろうと…。]
――案じる心など、
そのようなものは欺瞞です。
[女の声に思い出したように、
答えるはただの魔性の声]
ええ、感謝しております――お嬢様。
欺瞞を捨て去り、わたしは望むままにあれるのですから。
――まだ、その名を紡ぐのですか?
[かつて抉られた心
けれどその柔い部分は失われて、ただ不機嫌そうに呟く]
[一度交わってしまった白は、
あとは容易くその色に染まるのみ]
君が君であった
その名というだけだ。
[ただ、同じ名を呟いても、
もう、それで揺らぐ彼はそこにはなかった。]
――…私の、望み
[兄の聲
叶ったとも叶わなかったとも言わず]
愛しいお兄様……
私が望むのはお兄様の傍にある事だけ。
[今はそれしか望みはないのだと切なく漏らす]
貴方の施したものが欺瞞だったとしても――…
私にとっては違うものだったの。
[白薔薇の聲にぽつと紡ぎ]
感謝ならばお兄様に……
全てはお兄様の為に在るのだから……
[そして、相変わらず耳端に聞こえるのは、ローズの城主に対する愛慕だろう。
いつでも、憂いを持つ彼女を血をもらったことが、
自らには影響しているのだろうか。]
ああ
[城主の孤独、ローズの憂い
彼らは通じ合っているように見えるのに、
それでも、
なぜ、幸せにはみえない?]
――……感謝……。
[ローズが感謝を兄にという。
そう、さきほど、セシルが呟いたその言葉。
それが、理解できない。]
[ああ、それとも、彼らは、望んでそうなったというのか。
それほどに、人間であったころが…。
なれば、
自分がこの中で異質なのは認めざるえない のか。]
そうか?
……ならば傍へ来るが良い、私のローズ
[切なげなローズマリーの聲
ひとで有った時の迷いを捨てた白薔薇の聲
未だひととしてのこころ捨てきれぬ風の、薬師の聲
城主は増えた囁きに耳を傾けながら、淡い溜息を洩らす。
何でも持っていると、あの子供は言ったけれど
満たされても満たされても
必ず其の後に訪れる深い虚無感
ヘクターは最期感じ取ってしまったのかもしれない
闇よりも深い絶望の味]
何時でも――…私はお前を案じているのだから。
[言葉は簡単に口にする事が出来る。
案じるという行為を真に理解出来ずとも**]
――…お兄様。
[今すぐにでも向かいたい衝動に駆られながら
女は甘く切なく名を紡いだ。
兄の傍にある気配を影が伝える。
女は何もかも心得た風に]
お客様との戯れを中座させるような無粋……
私には出来ません。
愛しいお兄様……
如何かお愉しみになって……
[案じるという兄の言葉を素直に受け取る。
たとえ、真に理解されずとも
時折掛けられるその聲が女には嬉しかった]
ふふ……お前の心遣いがこそばゆい。
[薄く笑みを浮かべ、聲を返す。
ローズマリーに呼ばれる度、胸に広がる薄い膜
不快ではない其れは何と名のついたものか]
嗚呼
そういえば……私には愉しまねばならぬ義務があったか。
宴の捧げものはどうしている?
あれも、私への捧げものと言うわけではあるまい。
寂しければ其れと戯れていても構わぬぞ。
[ふと思い出した葬列の娘の顔。
けれどあれには毒が混じっている。
純血たる己は恐れるに足らぬものではあるが]
私のローズならば恐らく問題有るまい。
……サイラスは、白薔薇は、どうなのだろうな
あれの血を飲み干す事は
出来るだろうか。
[愚かな人間が作り出した哀れな娘。
ひとの毒が効くとすれば、未だなりきれぬ眷属か。
思考は聲となり零れ落ちる*]
[城主の声が聞こえる。
毒華も、城主やローズには効かぬだろうと。]
[毒は、城主には、おそらく効かない。
なれば、もし、その身を捧げたとしても、
彼女の人生には何の意味も残らなくなる。
それは、させたくなかった。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン―イアンに与えた客間― (243) 2010/06/23(Wed) 20時半頃 |
葬列の乙女が来ても、
食らわないでくれませんか。
[そして、そう城主に願いの言葉をかけてみる。
無駄なことだとはわかっていても…。]
[城主の囁きが女の耳朶に心地よく響く。
薬屋が愛慕と感じた其れさえ女自身は気づけずにいた。
指摘する者さえ居なかったのだから其れを意識する事もないまま]
――…哀しい事を仰らないで。
愉しまねばならぬ“義務”ではなく
お兄様には愉しむ“権利”があるのでしょう?
捧げもの………?
嗚呼、そういえばそのような娘もいましたね……
[あまり興味がなかったのかそう呟き]
お兄様が問題無いと仰るならそうなのでしょう。
だって、誰よりも私の事を知っているのはお兄様だもの。
[婚礼衣装のようなヴェールを被り、最上階へ向かう
葬送の娘の様子には、気付いている。
彼女が最上階へたどり着いたとしても
其処には影が立ちふさがるのみ。
城主は其処に居ないのだから]
[血を与えし眷族の願いが聞こえた]
――…欲しいの?
それとも、あの娘を憐れんでいるの?
[それだけを問うて。
女は兄の意向に従うのみ――]
葬列の乙女を、喰らうなと?
……私に命令か。
[サイラスに薄く笑みを混ぜ答える。
同時、ローズマリーの呟きに、柔かな声をかけた]
そう……私には全てを手にする権利があるのだったな。
葬列の娘は、黒薔薇が気をつけろと。
……しかし人の毒が私に効くはずが無かろう。
私の血を幾度も分けたお前とて、同じ。
ただ、万一があっては……困るな。
早々に処分しておくか?
[眷属となった薬師の願いを聞きながらも、冷たい提案を口にする]
――……ッ
[ローズマリーの言葉に、まともに動揺をみせる。
欲しいのか、哀れんでいるのか。
ああ、こんな自分であるのに、
それは二つとも、思える感情で……。]
――……ッ
[ただ、苦しげに息をつく音。]
[処分、の言葉には目を見開いて…。
唇を噛み締める。]
――…ええ。
義務ではなく権利なのです。
私を好きにして良いのもお兄様だけ。
[柔らかな兄の聲に女はうっとりとした様子で]
黒薔薇が気をつけろ、と……?
あの者はよく働いてくれること……
人の毒がお兄様に効かずとも
毒を得た血はお兄様のお口には合わないのでは?
[案じるような聲は無論兄のためのもの]
私に異論はありません。
お兄様の為の捧げものなのだから
お兄様のお気の向くままに。
――――……
[白薔薇のひそやかに微笑う気配]
[サイラスの動揺が、伝わる]
――…嗚呼。
[苦しげな吐息に呼応するかのように
女の胸が僅かに痛む。
引き摺られそうになる感情を抑えようと
女の柳眉が一瞬微かに寄せられた]
[薬師の揺らぎが囁きを通じて伝わる。
送る気配は気だるさ交じりに]
毒の混じる血は左程美味いものではないだろうな。
嗚呼、ローズ
あれは宴の為の捧げもの
お前にも弄る権利はあるのだぞ?
[其れはつまるところ、吸血鬼への捧げものなのだからと
あえかな笑みを浮かべ]
勿論……お前たちも。
[白薔薇と薬師へも、そんな言葉をかける]
[城主のかける言葉に、
動揺だけをみせるも、
しばらくは、沈黙をしていたが…。]
なれば、私が…。
ですので、
手を出さないで、いただけます か?
[願いを…。]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン―イアン客室― (251) 2010/06/23(Wed) 21時頃 |
左様でございますか……?
――ならば、我が身に毒が効くか否か、
試してみるのも、愉しいかもしれません。
[主が言葉が向けられれば、涼やかな声はそのように]
くく……ふ、ふふ
[眷族と加わった二人からの応えに
思わず笑みが毀れる]
……ならば、
其の娘を先に捕らえた者に権利を与えようか。
好きにするが良い。
承知……。
[城主の言葉に答えながらも、
笑う、白薔薇も気にする。
ともかく、でも、そんな場合ではないのだと…。]
あの娘が好い声で啼いて呉れるなら
……それも愉しいかしら。
[啼かせる気もないのに悪戯に聲を響かせ]
――…嗚呼。
狩りならば、私は見物にまわりましょう。
他の客人のお相手も、必要でしょうから。
[其々の聲を聞きながら女はすっと目を細めた]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン―イアン客室― (255) 2010/06/23(Wed) 21時半頃 |
――…よほど欲しかったのね。
[獲物をサイラスが見つけた事を影を通じて知った女は
くすくすと愉しげな笑みを漏らした]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 手に入らぬものなど、思いつきもせぬな。 (263) 2010/06/23(Wed) 21時半頃 |
強い執着は時に命取りとなるやもしれんが
……さて、あれはどうするのだろうな?
[愉しげな気配混じる声音。
城主の部屋に近い場所、
霧の届く場所ならば全てを見通せる
蠢く影達はあるがままを己が主人たちへと伝えてゆく]
――ああ、つまらない。
最初から、近くにいるのがわかってらしたのでしょうに……。
[少しだけ拗ねたような声音が呟く]
――…そんな聲を出さないの。
あの娘以外にも“獲物”はたくさん居るでしょう?
[拗ねた白薔薇の聲に宥めるような聲が重ねられた]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン ……孤独は私が生まれた時より、傍にあるもの。 (273) 2010/06/23(Wed) 22時頃 |
ふふ……
私はお前の拗ねた貌が見たかっただけかもしれぬ。
[白薔薇の声音に、くすくすと笑み混じる囁きが返る]
そう、私のローズが言う通り
獲物はまだ幾人も残っている。
宴はまだ続いているだろう?
――……ここは、下がってもらおう。
[白薔薇が拗ねた声を出すのとは対照的に、
暗い声を出して……。
そう、彼らにとっては、なんでもない、余興の一つ、きっと自分のことも滑稽にみえているのだと、わかっていても。]
―――お嬢様、
この狩りのこの“獲物”はそれのみ、ではありませんか。
[宥める声に答えるは、まるで道理を諭すように]
ああ、旦那様まで、
意地の悪いことを仰られて……
ですが、我らが同属は“獲物”に逃げろなどと。
[声音には冷笑の混じる]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 自分を失ってまで手にしたいと? (283) 2010/06/23(Wed) 22時頃 |
喰らわぬのですか?
―――毒花を。
いらぬのならば、もらいますよ?
[恐らくその毒は、己が身にも効くだろう。
予感していながら、囁きは流れて]
まさに
度を越えた執着、だな。
[なるほど。
薬師の様子が
丁度部屋で話すイアンの喩えに当てはまる気がして
呟きを洩らす]
白薔薇
今宵の狩りは、薬師が勝ったのだから
あれの好きにさせて遣れば良い
……しかし、其の娘がひとり逃げるかどうか
いや、
彼女を、
いや、獲物を、
捕らえれば、いいの だろう?
[白薔薇の言葉にそう返しながら…。]
――…お兄様もそう仰っているのだから、
別の“獲物”になさい、セシル。
……逃げろ?
この宴から本当に逃げられるとでも思っているの?
逃げられなどしないわ。
そうでしょう……? お兄様。
嗚呼、けれど……
お兄様への捧げものに逃げろ、だなんて……
いけないこ、ね。
[絶望など消えたはずなのに――]
あれが良かったのです。
あの、毒が。
っふふ……宴から逃れる方法は幾つかあるぞ?
[ローズマリーに]
ひとつは、魂だけで逃げる方法
ひとつは、身代わりを置いて逃げる方法
[前者は死を意味し
後者は犠牲を意味する。
魔物狩人と名乗った男が選んだ道を思い出し、
薄く笑いながら告げた]
後は……我が眷族となる道もひとつの逃げではある、か?
二度とひとには戻れなくなるがな。
[隻眼の男のぬくもりが
失ったぬくもりを思い起こさせた。
同じようでいて違う。
違うようなのに似ている。
白薔薇の呟きにふ、と息を吐く]
それでも……
あの娘はサイラスの獲物なのよ。
――…そう、なの…?
[兄の囁きに不思議そうな聲。
けれどそうだとしたらサイモンの魂は逃げられただろうか。
それともまだ城の何処かに囚われたままなのだろうか。
あの優しい男のこと。
魂だけの存在となっても妹の事が心配で逃げずにいそう。
そんなことを思いながらも緩く首を傾げ]
如何してそんな話をするの、お兄様。
私は、逃げる為にお兄様と同じになったのでは、
ない……、でしょう……?
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン ……与えられるもの…… (293) 2010/06/23(Wed) 22時半頃 |
……そうだな
お前は望んで、私の妹となったのだから。
[無理矢理与えた真実を隠し
城主は彼女の聲に同意を向ける]
中には、そのような者もいた、と言うだけの事。
――ああ、また。
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン―イアン客室― (308) 2010/06/23(Wed) 22時半頃 |
私が望んだから……
お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様……
如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン 其処までして得るほどのものか。 (325) 2010/06/23(Wed) 23時頃 |
―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
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sol・la
ななころび
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