142 紅月の村【人狼vs吸血鬼RP】
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……。
[裏口はあるのだが、隣人に見られかねない。]
−では、家から少し離れた教室でお会いしましょう。
[父が課外の教室として使っていた場所。
父の死から、あまり入ってはいないが。
青年は教室の目印となる場所を攻芸に教える。**]
[聲が告げた名に聞き覚えは無いけれど、その前に呟かれた名には覚えがある。
――ルーカス。
三年前に村を出て、今日戻ったという古き友。
それなら、"彼"は。ルーカスが連れてきた、客人だろうか。
戻る"聲"が、その"ルーカス"の声であるなど、
音を閉ざされたサミュエルは、知らぬままに。]
わかった。
[名も告げぬままに、彼の提案に頷いて。
それきり、サミュエルは黙した。]
「 私のかわいい"子"を傷つけようものなら――
おまえの血族もろとも、十字架に吊るしてくれる 」
[黙した"子"に代わり、響くのは"魔女"の笑声。 ]
「 無粋かしらね 」
「 闇を抱く同胞(はらから)に月の祝福を 」
[ それきり、共有されし領域が揺らぐことはなく*]
僕もこれから向かいます。
…お気をつけて。
[短く答える相手に応じて]
貴方が攻芸さんですか?
ライジです。お待たせしました。
此処の離れに、僕の父の借りていた小屋があるんです。
話はそちらで。
[彼が振り向けば、目配せをする。
念の為に、少し遅れてついて来て欲しい、という合図だ。
吸血鬼の気配の近い場所で…また、誰かが聞くとも限らない場所で話すのは憚られる。
離れであれば少しはましだろう、と。
―もっとも、自分は吸血鬼の血石を所持しているのだけれど。]
お前がライジか。
[自分の身を明かすために、ライジの声に応える]
[ライジの指示に、]
分かった。
[と、短く応える。それから若干の落胆を言葉に乗せる]
仲間は、他に居ないらしいな。
[攻芸の落胆は青年にも伝わってきた。
―当然だ。
こんな状況では、少しでも多くの仲間が欲しいに決まっている。]
…ごめんなさい。
現在、認知している限りでは僕一人です。
父と母は死にましたから。
[攻芸はどんな反応をしただろうか。
青年は鉄色を伏せて彼に問う。]
―…貴方は、何処まで現状をご存知ですか?
― 小屋 ―
[適当に椅子を見つけて、ライジの前に座る。それからの質問に対して首を振り、それから逆に単刀直入にいくつかの質問を切り出す]
吸血鬼の数は?
吸血鬼の素性は知っているか?
一応訊くが、昨日は狩りをしていないな?
[それから一つ間をおいて]
お前は戦えるか?
― 小屋 ―
[攻芸から振られた幾つかの質問に、青年は戸惑いながらも応じる。]
吸血鬼の気配は一つ知っています。丁度、あの時に会っていましたから。
けれど人間を狩る者にしては、気配が薄すぎたような気も…。
ですから、複数いるのではないかと思っています。
[そう答えたのは、サミュエルがサイモンの命を奪ったと思いたくない為。
事実そうだとは、青年は知らない。]
ここ一カ月近く、狩りはしていません。
[そして、最後の質問には]
……。
戦う必要があると貴方は考えていますか?
僕は吸血鬼と対峙するのは初めてです。
[ユンはライジの質問にまず答える]
人狼と吸血鬼が共存することは、不可能だ。
かつて、それを試みた者は悲惨な末路を辿っている。
[それについては、これで終わりだと言わんばかりに、ライジの知る吸血鬼に話しを移す]
吸血鬼の数がどれほどかは分からないが、まずはそいつをどうにかしよう。
戦ったことが無いと言うなら、無理はせずにサポートに回れ。
"魔女" か…
おお、怖いこと。
[昨夜の対話ならぬ会話を思い出し、呟きは心の闇に。]
彼女が欲するのはサミュエルであって、この村ではないと、
そう考えてもよさそうだ──
♪最初のくちづけは 涙をかわすため
けれどもそのあとはもう 妖しい闇の誘い
あなたを迷わせる 小鳥に気をつけてね
[癖のように歌を口ずさむ。
そのメロディを、詞を周囲に張り巡らせるごとく。]
[青年の質問に対する攻芸の答えは想定内ではあったが残酷な事実。
思わず青年は息を飲み、表情を歪める。]
…っ…。
[しかし青年に追い縋る余地を与えず、攻芸は話を続ける。
それに黙って耳を傾け。]
……。
どうにかって、何をするつもりですか?
村を追い出すくらいではないのでしょう。
[本当は、戦いという不穏な言葉から何となく察知はしている。
けれど聞かずにはいられなかった。]
おそらくは殺すことになるだろう。
[そう答えつつ、決して言葉には出さないが、ユンはライジの態度に好感を持った。
ライジから躊躇を感じたからだ。
かつてライジと似たような境遇にあって、初めて吸血鬼と戦おうという若い人狼に出会ったことがある。そいつは躊躇も恐怖も無く、高揚感に囚われていた。
だが、そう言う奴に限ってあっけなく殺される。
それをもって、ユンはライジを初戦と言えども、それなりに戦える者だと判断した]
村から追い出す、または俺たちが村から逃げ出す。
と言う選択枝もないではない。
だが、吸血鬼が果たしてそれに乗ってくれることはまずありえない。
追い出そうとしても抵抗する。逃げようとしたら追ってくる。
俺たちはそう言う関係なんだ。
―…っ。
[求めた答えは予想した形になり、青年は息を詰まらせる。
この場において躊躇を見せる青年は、さぞかし不安要素だろう。
攻芸の胸の内を知らない故に、諦めの悪い自分にそっと息をつく。]
…共にある事は許されないんです、ね。
[青年の中の獣の本能は吸血鬼を宿敵と断じて警鐘を鳴らす。
共にある事は許されないのだと。
どちらかが死に絶えるまで、今回の一件は終わらない。]
…攻芸さんは吸血鬼に有効な手段を知っているんですよね。
僕にも教えて頂けますか。
[―知っておかねばならない。
教えを乞うように、じっと彼を見つめる。]
[ライジの問いに、ユンは吸血鬼の弱点を一つ一つ挙げていく。
十字架、大蒜、心臓に白木の杭、日光、流水。
それらを挙げた上でユンは続ける]
だが、あくまでこれらは苦手と言うくらいのものだろう。
十字架や日光で倒せるような手合いではない。
結局は、俺たちの身体能力と爪と牙が最大の武器になるだろう。
吸血鬼に致命的な傷を負わせることの出来る特別な物もあるとは聞くが、残念ながら俺は見たことは無い。
[攻芸の口から語られる、吸血鬼の弱点を聞き逃さぬように頭に叩き込む。
その幾つかは自分の読んだ書物にも載っていた。
―十字架は、やはり多少の効果はあるのか。それにはそっと安堵の息をついた。
少しでも村人を守る力となればいい。]
…でしょうね。
それで倒れるのであれば、とうに絶えているでしょう。
[青年は自身の手に視線を落とす。
狩りの時の記憶はないので、青年自身がどう獲物を狩っているのかは分からない。
けれどそれを口にする事は彼の懸念を増やす事だと思い、胸に留める。
―失敗した事はないから、上手くやっているのだろうとは思うが。
吸血鬼に致命傷を負わせる特別なものときけば。]
…もしそんな代物が存在するなら、僕達に対しても多少なりと効果があるのでは?
……。
[ライジの疑問に対して、ユンは一度沈黙を見せてから答える]
確証はないが、おそらくは俺たちにとっても致命的なものになるだろう。
俺の師匠がかつて俺に言った話では、人狼と吸血鬼はその昔、元々は同一の存在だったらしい。
祖を同じにしていたんだ。
だから俺たちと人狼の間にはいくつかの共通点がある。
だから弱点も似た部分が出てくるだろう。
俺たちとて、白木の杭で心臓を突かれれれば痛いではすまないだろう?
[と、冗談か冗談じゃないのか分かり難い表情でそんなことを言った]
[攻芸の話にじっと耳を傾ける。
それは青年は知らなかった事だった。
或いは、青年の父が息子に話す前に逝ってしまったのかもしれない。]
……。
そうなんですか…。
[けれど白木の杭で、という言葉には思わず顔を顰めた。
冗談にしては聊かブラックすぎる。
彼の表情からはどちらの意図で言ったかは伺い知れず、困ったように眉を下げ。]
―そりゃあ、済まないでしょうね。
[杭を自分の胸に突き立てられるのを想像するのは、やはりあまりいい気分ではなかった。
そもそも、心臓に杭など突き立てられればどんな生き物でも激痛で苦しむだろう、と思う。
もし、それでも暫く生きながらえるだけの生命力を持っていたならば、生きている間は地獄のようなものに違いない。]
―何かあれば、呼んで下さい。
急いで駆けつけますから。
…どうかご無事で。
[攻芸の背中に、青年は声を投げかける。
此方の声であれば、多少距離が離れていても彼の耳にも届くだろうか。]
[それは祖父の"血"が流れる己の"生"への理解であり。]
……もう、 "敵" 、 か。
[随分と時間を置いた別れでもあった。
もうこの身は祖父とおなじにはなれない。
"敵"に頭を下げてまで、孫を"敵"にしたのだ、只。
――"ひとり"で長い生を生きる孫を、思って。]
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