105 Ww―Chu・Ni/Subjection―wW
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[誰も、自分の願いを叶えてなどくれない。
椎名 真生はそう信じていた。
親、大人、周囲のクラスメイト。
全てが全て、期待を裏切ってくれるからだ。
自分の願いを叶えてくれる者がいるとしたら、
それはきっと神か悪魔だろう。
そう、信じていた]
― 着信 ―
差出人:grant_your_desire@lost_heaven.ne.hv
失われし楽園へようこそ。
貴方の願いを聞き届けられました。
貴方の願いを叶えるのは、貴方自身の力。
貴方には、そのための“力”を授けましょう。
はっ、……はは、マジかよ。
本当にこんなドメイン、あったのかよ。
[携帯を握る手が震える。
ディスプレイにかかった雫を払って]
“願いは聞き届けられた”……?
なあ、マジで言ってんの。
だって、俺の願いってさ……。
こんな世界、無くなっちまえ。
[だぜ?
込み上げる嗤いを隠し切れず、口許を歪める。
嗚呼、要らないさ、こんな世界。
生きる価値もないなら、こっちからオサラバしてやる。
いつからかずっと、そうやって自分を取り巻く世界を
憎み続けてきたのだから――**]
― 一通目のメール ―
本当に願いが叶ったのなら。
目の前で“死”を見せてくれ。
いや、こんなの偶然かもしれねぇし……っ。
[携帯を握る手がじわりと汗ばんだ]
黒い風が哭いているわ……
誰か其処にいるのかしら?
[闇の中、目を閉じて自分の頭の中に響く声に言葉を返す。
其れは自身と同じ様に闇の力を手に入れた者の頭の中に響くのか。
或いは、携帯端末へと言葉を変えて届くのか。
神ならぬホリーには分かる術も無いが。]
……言っとくけどな。
俺がお前を助けたんじゃないんだぞ。
[確かに子猫を生き返らせた(?)のは自分だが。
それ以前にその死の原因を作ったのも自分なのだ]
俺に着いて来たら、また死ぬぞ、お前。
[不意に何かが、聞こえた。
空耳か?
もう何が起こっても驚かないが]
誰、だ……?
あんたが“カミサマ”か?
[直接頭の中に響いた声に、言葉を返す]
……私は神様じゃないわ。
その分だと、貴方も違うみたいね。
[聞こえてくる声に笑って返す。
そうして、右手で描いた魔法陣を見やり。]
ねえ、貴方も“目覚めた”の?
生憎と、俺もカミサマなんて大それたもんじゃない。
Lost Heaven――カミサマに通じる術は
手に入れたっぽいけどな。
[声や笑い方は、自分よりも幾らか幼い少女のように思える]
“目覚めた”って言うべきなのかな。
まあ……妖精が見えたりちょっとした奇跡くらいは
起こせるくらいには“目覚めて”はいる。
……どうも、目覚めたのは俺だけじゃないっぽいけどな。
あんたの声は、他の奴らには聞こえてないみたいだ。
なあ、あんた。
あんたも、何か“望み”を持ってんのか?
ふーん、目覚めたのは私達だけじゃないんだ。
[声のトーンから、相手は自分よりも年上なのかなと思いつつも。喋り方を変える気はあまり無く。]
望みって程でもないけれど。
ニンゲンは裁きを受けるべきだとそう思っているわ。
[相手には見えないだろうが、足元に寄ってきた巨大な縫いぐるみの頭を撫でていた。]
へぇ……。
[裁きを受けるべき、という少女の声に興味深げな声が漏れた]
奇遇だね。
裁きとか何とかって名目ははっきり言ってどうでも良いけど。
俺も、人間とか社会とかって奴には飽き飽きしてんだよね。
だからさぁ、俺。
こんな世界、ぶっ壊れちまえば良いって思うんだ。
……まあ、生憎とカミサマ曰く
“力は与えるが自分でやれ”って事らしいんだけど。
へぇ、このセカイをね。
[愉しげに少女は笑う。
自分と相手と、見ているものは多少違っても。最終的に目的は似ている気がしたのだから。]
じゃあ、もう一つ聞いて良い?
セカイを壊して、その後貴方はどうするの?
[壊れた後のセカイに君臨するのか。
それとも、自分も一緒に逝こうと言うのだろうか。
そこに興味はあった。]
世界を壊した後、か。
そこまでは考えてなかったなぁ。
[ふっと物思うような遠い声色になる]
ま、俺は別に俺の生き死にもどうでも良い。
世界を殺せないなら俺が死んでやる、
ってくらいにはこの世界が嫌いだった。
世界を殺せないなら、俺は死ぬ方を選ぶけど。
世界を殺せたなら、その後はちっとばかし考えるね。
まあ、元々やりたい事なんて何もなかったんだし。
[自嘲的なくすくす笑いが零れた]
終わった後の事は、その時考えるよ。
あんたは、何かしたい事があんの?
私も特に無いかな。
……けど、ニンゲンに裁きが降りて。
その光景をどっか高い所から見てみたら。
きっと何か見えるんじゃないかなって勝手に思ってるよ。
なるほど、ねぇ。
はは、まあ確かに。
世界が終わってそこに何ができるかなんて解んないんだし。
それを見ない内から後の事は語れないわな。
じゃあ取り敢えず。
その高みとやらから世界の終わりを見下ろせるよう。
カミサマに祈っておきますか。
そうだ。
あんた、名前は?
俺は……そうだな。
[少しだけ間が空いて]
マオ、とでも呼んでくれれば良いよ。
取り敢えず、あんたとは利害が一致しそうだし。
こうして喋れるにしても、呼び名がないと不便だろ。
カミサマに続いて妖精に天使、か……。
[ぽつり、今見ている光景について零した]
足りないのは、あとは悪魔だけだな。
[いや、黒猫は魔女や悪魔の使いだとも言う。
もう揃い踏みではないか]
嗚呼、だったら……俺が悪魔になれば良い?
まあ、そもそも。
来年が訪れるかどうかも、判らないけどね……。
[くすりと小さな笑みが*零れた*]
マオね、よろしくお願いするわ。
私はホリー、ホリー・クレイドル。よろしくね。
[真名を口にしていた、それは彼は知っていたかもしれないけれど。]
逃げろ。逃げろ!おまえらだけでも逃げろ。
[その声が校内に響いたのは、>>115>117の頃――**]
(#1) 2012/11/07(Wed) 22時頃
ねえ、マオ。
開戦の合図を皆に送ってあげたわ。
貴方はどうする?
もうしばらくは、普通の生徒の振りをしていても構わないのよ――
[闇に響くその声は、とても愉しげに。]
そうね、いっそ正義の味方の振りなんてのも面白いんじゃないかしら。
ホリー、あんたの仕業か。
いきなりどデカい花火を上げてくれたな。
[くく、っ笑いながら半分、ほんのちょっと本気だった]
世界のオワリを見る前に俺が巻き込まれちゃ面白くねーし。
ちょっと一発、ぶっ潰させてもらうぜ。
[そうして、愉快げに示された提案には]
ははっ、そりゃ良いかもな。
自分の身を守るだけでインスタント・ヒーローに
なれるなら有り難くそうさせて貰おうか。
人間ってのは。
手の平を返された時が最ッ高に弱い生き物だからな――!!
それが良いわ。
あたしがしばらくは派手に動くから。
マオはインスタント・ヒーローね。
[くすくすと笑う。
彼をヒーローと信じた人間が裏切られる、中々に面白い趣向ではないか。]
今俺の周りには色々面倒そうな奴らがいるんだが。
まだそいつらの力の程が解んねーからな。
俺自身の力の小手調べも兼ねて周りの連中を
とっくり観察させて貰う事にするよ。
[次は何を出してくれるのか、愉しみで堪らないという風に]
それにしても……あの声……――。
目撃したにしては随分と早かったな。
あれ……あの右目野郎の声じゃなかったか?
[独り言が零れる。
右目の事で自分につっかかった上級生の顔が浮かんだ]
厄介かもな……。
右目野郎……
良いわ、あたしが始末してきてあげる。
さっき、こちらからも見えた不健康そうな彼でしょう?
[声の口調は変わらない、まるでペットを病院に連れて行くような口調のままで。]
予言能力持ってそうだし、今のうちに始末しとかないと……ね。
へぇ、何処にいるのか知らないけど。
もう捕捉してんのか。
流石、と言うべき?
[この隕石を降らせる力があるなら、さもありなんか]
嗚呼、不健康そうでしきりに右目を抑えてる奴だよ。
高校……2年か3年だ。
始末してくれるってんなら、任せる。
あんたが行かなくても多分、後で俺が行っただろうし。
ヒーローが裏切るには、まだ早過ぎるからな。
[彼がどんな末路を辿るかなど、気にかける素振りもなく]
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