30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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[蒼薔薇の新芽を宿す彼はもう、棘に刺され呪われた者たちが為したことの記憶を幾つか共有している。
ユーリィを抱いた二人から呪いが拡がったことも、
屋根裏部屋で本体の蒼薔薇の精が封じられたことも。]
身の裡で芽生えたばかりの薔薇の新芽がちくちくと暴れるけれど――
新芽を自分のからだで育てて、新しく生み出した世界に逝ってしまおうと思ったけれど。
もうどうでも良かった。
[胸の裡に抱え込んだ新芽は命ずる、
新たな宿主を探せ、と。]
[少年は、身の裡に養う新芽を誰にもやらぬ、というように己を抱いた。]
[蒼薔薇の蔓、全身に巻きつき、
絶え間なく膚にざわめきを起こして、囁く。
従え、もっと求めよ、と。]
――煩いな……
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