199 Halloween † rose
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[またひとつ鳥肌の立ちそうな賞賛が届いた。
獣に懐かれても困る。
いいから感謝するくらいならその分働け。
様々にこみ上げる言葉たちは、けれど
視界に当人が入ったことで紡ぐに至らず]
私も、君の街に来れて良かった。
……勇気を出して、城から出たかいがあったというもの。
[しかし、此処にずっと住まう訳にもいかない。
吸血鬼たる躯は苦手なものが多いし、
長く滞在すればするほど、異質に悟られやすくなる。
それに――
いい街だと自慢気に彼が告げたものを、
食事の為に減らしてしまうのは忍びない。]
夢はいつか、醒めないとならないけれど、ね
覚めてしまう前に、君の「慝い言葉」をいくつ聞けるか…
愉しみだよ、ジェレミー。
[この時間も限られているから貴重に思えるのだと。
知っている*]
夢か。
[ハロウィンの繰り返し。
その夢が覚めるとき。
自らには悪い予感しかない。
だが、そんなことは口に出さず、
楽しげな声に、ほっと息をつく。*]
死にたがりの魔女に毒されたか?
ジェレミーさんよぉ
[去り際、狼男の同居人らしい魔女の話を思い出して。
直接会ったことはない、がどうにも死にたがりであるらしい――それが今回の騒動の原因だとは知らずのまま*]
そうだな。毒されたみたいだ。
あいつのせいだな。
[シーシャの言葉にそう返して。
肩をすくめ、]
まぁ、ハロウィン、楽しみな。
[魔女のことはそれ以上は言わぬまま]
…この街を離れたらこのループってなくなるのかな。
[ふと。何とはなしに思ったことを誰に聞かせるでなく、魔物にしか聞こえぬ声で]
帰れるなら帰りてぇが、オレは帰れなかったぜ。
[ほかの街に、という意味ならば試していないので分からないが
悪魔が自分の住処に帰れないのなら恐らくはでられないのでは、という含みも持たせて。]
えぇぇ。
帰れないの?なんでそんな手の込んだことしてるのかなぁ…
[@20悪魔の声を聞いたなら溜息と共に眉をしかめる。
楽しめって事なのか。延々続くハロウィンを]
ねーぇ、原因は何なんだろうねぇ…こんな、大がかりな事やらかせるだけの力がある、って言うと限られてくるけれど。
[少なくとも、声の届く他の4人を疑おうという気は毛頭ない]
オレの場合、「10/31が終わったら帰る」っつって申請出してるからかも知れねぇが、
つまり、この10/31は一応ホンモノってこった。
それなりに出来るヤツが仕組んでる筈だぜ。
[よく解らないなりに情報提供。]
帰りてぇのか?
それとも、何か名案でもあんのか?
そんな申請、僕は出してないよ。
悪魔って色々大変なんだね?
[余り近づくことがなかったから彼の事情などはほとんど知らない。
ふらりと気が向けば人の住む辺りをうろうろする自分には、面倒そうに思えた]
うん、まあ夢じゃなきゃ本物だと思ってる。夢にしては色々、リアルすぎるしね。
帰りたいと言うよりも飽きてきたかな、ハロウィン。
名案があったらとっくに何かしてるよぉ…僕は全然、お手上げだよ。
たいした力もないし、ね。
シーシャは何か案あるの?
大変も大変だ。バカみてぇだろ。
[まるで人間のようだと思えばこそ、吐き捨てた。
今や獣の方がよほど自由で悪魔らしいといえばらしいのではないか]
あれば試してみてる
……互いに何か解ったら連絡、ってのが良さそうだな。
[結局のところ、そこにいきついて
ため息だけがまたひとつ*]
ニコラ、大丈夫かい?
[そうふと、話しかけたのは、ただの虫の予感という奴か。]
ハロウィンは、そのうち終わるさ。
でも、終わらせたくないとかある?
[友人といってくれるニコラには労わりを。
人間をやめて狼になって、それから、また人間のような生活に戻った要因は、あの時の小さな金色の栗鼠。
その栗鼠が、自分より長生きの魔物であっても、その時のあの気持ちは自分の中では貴重だった。
だから、獣の生活から、魔女の飼い犬まで成り下がったとしても、
チャラチャラと情けない男で呆れた眼を向けられていても、
自分の中で芽生えたそれは大事だったから。]
オレはさ。
ハロウィンが終わったら、狼に戻るよ。
この街は出ていく。
いつか君の城も訪ねたいな。
[まるで叶わない願いのように。*]
「……実は、あまり大丈夫じゃない。」
[通りに置いてきた服は、路地の裏から視えない。
ただ、騒ぎの声が聞こえるだけだ
騒ぎとは異なる異質な声
ぴんと立った短い耳で聞き分けながら。
くぐもった声を届け、ちいさく息をついた。
ハロウィンが終わった後と仮定された彼の所存を耳奥で拾う。]
「……どうして?」
[野良の獣であったジェレミーを思い出し、
今の、ニンゲンの世に溶け込んでいる彼と比較するが
どう考えても今の方が愉しそうに見えるので、疑問符を。]
「街を出たい、という口振りではないな、
――ジェレミー、一体……なにが、あった?」
[薄暗い路地の中に身を置きながら。
憧憬に憧れるような語り口に、少なからずの不安を覚える*]
大丈夫じゃない?
どこにいる?
[ニコラの言葉に反応するが、
どこにいるか聞いたときには彼はきっと小さな姿。
眉を寄せて、行方を問うが…。]
ニコラ?
[その声は聞こえず、
やや心配になるが、どうしようもない。
その姿も探しながら、歩き始める。]
[輸血パックで食事を取ったことを
心配してくれた友人に伝えなければ。
斜陽に包まれた街角に佇みながら、
ヒトには届かぬ聲をのせて]
ジェレミー、ごめん。
……心配をかけてしまって
先程キリシマさんに血のパックを貰ったんだ
[追い出す為に処分品を押し付けられたという方が
幾分も正しい気はするが、それはそれとして。]
だけど…私は、君の方が心配だよ。
なにを、思いつめている?
[手紙に記せないようななにかが、
彼の身に起こっていたのだろうかと。
それを見抜けなかったのかと想像すれば、哀しくなる
それとも、訪れてからなにかあったのだろうか。
どちらにせよ、狡い。
…もしくは己が莫迦だ
再会を喜んでくれる聲に、悪戯を許してくれる甘さに、
何も察し付くことが叶わなかった、なんて]
そうか。キリシマさんに礼を言わなきゃな。
[聞こえてこなかったニコラの声に安堵して、
キリシマから救けてもらったことを聞けば、そうか、と頷き。]
オレか?
オレの心配をする必要ないよ。
パイのお礼はちょっと時間がとれないかもだけど。
ニコラが救けが必要なら、いつでも呼んでくれ。
[友人の店にも行ってみたかったけれど。
それどころではないと思い始めたから。
この友人ももちろん、ループには気がついているだろう。]
君が紅茶を無事に買って戻れますように。
[声は嬉色を含ませて。]
彼はいい屍人だ。
もし訪れることがあるなら、礼を伝えて欲しい。
[お願いをひとつ彼に伝え。
しかし、心配無用だと聞かば、本当にそうなのかと
不安の滲む吐息を乗せ。]
あぁ、そんなことは良い。
私は君に頼ってばかりだね……、
ねえ、じゃあ、……これだけは聞かせて。
何故街を出る必要が、あるんだい
魔女殿とうまくやっているのでは?
[魔女とだけではない。
この区域でうまくやっているのだと思っていたから。
何故自ら安息を得た環境を打破しようとしているのか。
覚えた痼を発露し、友人に返答を求める。]
わかった。礼をいっておくよ。
友人によくしてくれた存在は、己にとっても尊うべき精神だ。
[キリシマは想像以上にいい屍人であるとあらためて認識し、
とはいっても自分は嫌われ者ではあるが。]
オレは何もしていないさ。
ニコラは、そういう存在なんだよ。
[ニコラの言葉には否定を。ただ、続く言葉には、やや間があくけれど、
あきらかに疲れ深い友人の声の響きを聞けば、彼に自身の重みを伝えることはないと思うのだ。
それは、ひどく、伝えたいと同時に、
もし、伝えれば、彼は、友人だから、
きっとなんとかしようとするだろう。
己も顧みずに。
そんな金色の栗鼠を大切にする気持ち。
どんなにかろうが、それがなにより。]
――……魔女とはうまくやっているよ。
さっきのは冗談さ。
オレはこの街で自堕落に過ごすよ。心配ない。
それより、あまり大丈夫じゃないなら、
自分のことをなによりに。
大事にしてくれ。
ありがとう。
……そんなことは無いよ。
家族をなくした私にとって、
君と過ごす時間は大事なものだから
こうして話せるのも、
手紙を交わすのも、私の助けになってくれている。
[それだけでも街を訪れて良かったと思う。
ハロウィンだからと異郷の習慣を言い訳にしたが
私はきっと、ただ友人の住まう世界が
間近で見たかった、ただそれだけなのだと思う。
そしてその思い切りは、良いことだったのだと
引きこもりじいさんは考えていた。
繰り返しの奇妙な輪が絶たれぬ今であってもそう思う]
ねえ、ジェレミー、
[そんな友人がなにかに悩み、
心を痛めているのなら。
栗鼠はちいさな身であっても力に為らねばと思う。
大きな狼の助けにならねば、親愛なるジェレミーの為に、]
…本当に?
[本当に冗句なのだろうか。
街を棄てなければならない程の暗雲が、
金色の獣の周囲に立ち込めているのでは
意を問うよう、再度の確認を試すも、
本人が大丈夫というのなら、それ以上の追求も為せず]
……わかった。
君の辯を信じるよ、……私は。
でも、なにかあったら言って欲しい。
君が私を按じてくれるように、私だって君の力になれる筈だ。
[告げて、ゆるやかに笑い。
随分真面目な話になったものだと空気を緩ませ。]
あぁ、気をつける。
祭りも楽しませてもらうよ。今という時間は一度しか来ないから
[例えそれが、この先何千年と生きようとも**]
[再度大丈夫だと告げれば、
ニコラは信じるといった。
嘘つきは狼の専売特許。
そんな言葉はもちろん、口には出さず。]
ニコラにとって、楽しい時間がきたのならよかった。
[それ以上は、余計なことを言ってしまいそうになるから、もうおしまい。
友人とはきっとこれきり。*]
クロミさん、渡し忘れたものをジェレミーに預けます。
時間がある時に、取りに来て貰えますか?
[聞こえてなかったとしても、まあいいか。
きっとジェレミーが暇を縫って渡してくれるだろうし。]
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