17 吸血鬼の城
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―グロリアの客室前―
[「黒薔薇」と呼ばれる執事の男は、2本のダガーをベルトに巻き、その上から上着を羽織った。]
(どこぞのフロアを血生臭くするマネをするとしたら……随分と久しぶりだな。この城に来てからは、旦那様やお嬢様が人の生き血を吸う光景は幾度となく見ているが、「俺」自身が人の生き血を絞り出す殺傷沙汰は皆無だ。
腕はだいぶなまってるかもしれん。それは仕方がない。どうにか昔の勘を取り戻さざるを得ないな。
その結果、美しくないと旦那様に罵倒され追い出されるなら、それはそれ。もとより「俺」は下賤の生まれだ。今さら貴族様の世界の住人になんざなれはしない。)
[コツコツと革靴でカーペットを蹴る。]
(ま、殺傷沙汰が起こらなかったらただの杞憂、だな。)
(220) 2010/06/21(Mon) 18時頃
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[これは余談となるが、ロビンが「黒薔薇」と呼ばれるようになったのは、この城が初めてではない。腕に刻まれた無数の黒薔薇のタトゥーは、とある世界の住人には「それなりに」知られているという噂がある。
通称Robin.TL――本名、ロビン・トレント・リッテンベルク。 とあるマフィア一家の一員として、キャンベル家が統治する街で屍体の山を築いていた男がいた。
そして、その男が突如ファミリーから失踪したのと、ロビンと名乗る執事がこの城にやってきたのは、ほぼ同時期であったという**]
(221) 2010/06/21(Mon) 18時頃
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花売り メアリーは、執事見習い ロビンに話の続きを促した。
2010/06/21(Mon) 18時頃
花売り メアリーは、小悪党 ドナルドに話の続きを促した。
2010/06/21(Mon) 18時頃
花売り メアリーは、墓荒らし へクターに話の続きを促した。
2010/06/21(Mon) 18時頃
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[>>218 主を「ねえさま」と呼ぶ少女が己を評する言葉が耳に入る。 この少女もまた、彼女を心揺らがす者なのだと思い出す。
伏せた視界、 花咲く深紅だけが鮮やかな色]
――……今は少し、 おやすみなさるとよろしいでしょう。
[向けられる礼を返して、 はしばみ色の無垢なる色、罪を知らぬ罪深さ。
問われることに疲れを覚えて、 けれど少女の残す言葉に悩ましいことを思い出す]
(222) 2010/06/21(Mon) 18時半頃
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>>219 [兄の決別する女性に、暗い泉の青色を伏せる。 そう、死に直面し、嘆き、そしてそれを認めざるえない時、 その時に流れる涙は、表情は、
何度見ても慣れるものではない。]
――……ありがとうございます。 どうぞ、貴女は、
そのままで。
[気丈な女性の後姿にそう告げ、見送る。]
(223) 2010/06/21(Mon) 18時半頃
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[「しばらくそのままに」 主がそれは少女がための言葉と察すれば、 その亡骸を「片付ける」ことに躊躇いはない]
――……、 あとは影に任せましょうか。
[薬売りに室内を出るように視線で促す。
廊下に出れば、戸口の燭台の灯火は、消えている、 それは留まる客人の命の終焉を示すが如く。 ――空いた客室へと歩みを向ける]
(224) 2010/06/21(Mon) 18時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 18時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 18時半頃
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 18時半頃
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[部屋に戻った城主は身なりを整えもせず、 名残を残したままのローブ姿で 食事を終えたばかりの客間へ向かう]
……おや
[戸口には既に灯火が無かった]
白薔薇 メアリー・トレメインはもう戻ってしまったか。 あれの屍骸は?
[来るのが少し遅かったかと、薄く笑みを浮かべ ちらとサイラスへ視線を投げる]
(225) 2010/06/21(Mon) 18時半頃
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[書架に戻した手帳は、かつて宴に招かれた者の手記。
好奇心と、賛美と、小さな我が侭と不安。 日を追うごとに乱れる文字と文脈。
やがて、いくつかのページが塗りつぶされ、破り取られ、 血痕の下に消えかかる文字]
【 愛 し て 】
[後は空白]
(226) 2010/06/21(Mon) 18時半頃
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>>224
[白薔薇の従者に促され、部屋を出る。 空いた客室に案内する視線に足を向けようとして、
ぴたり、とまった。]
――……
[そこに現れたのは、人の形をしている魔物で…。 逃げようはない。
ただ、さきほどの事実がフラッシュバックすると、黙り込んではいたが、微かに額に汗がにじんだ。]
(227) 2010/06/21(Mon) 18時半頃
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――……旦那様、 ああ、あの少女でしたら、もうお部屋へと戻られたことかと。 かの方の亡骸は―― 影が、片付けて終えていなければ、いまだ。
[ゆるやかに頭を下げる。 言葉には一見常と変わらず、しかし漣めいて乱れる感情が潜む。
――この白薔薇と呼ばれる青年にしては、珍しく。 そう、恐らくは苛立ちのようなものを覚えていたのだ。 フロレスク、その名を連呼されることに。
その意図を問いたくはあった、 けれど主の前ではそれもままならず]
(228) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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どうした……私が恐ろしいか
[声も無く立ち尽くしているサイラスへ声をかける。 薄く哂う声は彼には聞こえまい]
葬列の乙女に、毒を施したそうだな。 解毒しか扱わぬかと思えば……随分優秀な薬師のようだ。
[城内の話は筒抜けて 彼が以前に薬を買いに走らせた相手だと、今は気付いている。 解毒薬。以前買いに走らせた其れは結局使う事が無くなった。自ら命を絶つ人間を止める術は幾ら吸血鬼といえど持って居ない]
(229) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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―客室―
[どうしようもなく喉が渇いた。 どこからともなく、揺らめく黒い影に差し出された水を煽る。それからしばらくのあいだ、寝台の上に寝転がり、天井を見つめていた。
やがてゆっくりと身体を起こし、文机に向かう。
手帳を取り出し、詳細に記録する。あの部屋で己が見た光景を。どのようにサイモン・トレメインが血を流し、そして死んでいったのかを]
……っ。
[何度ペンを折ろうとしたか。そのペンを、吸血鬼達に――そして自分自身に突き刺してやりたくなったか。分からない。数えきれない。生ぬるい好奇心だった。生ぬるい感傷だった。犠牲者たちはああやって死んだのだ。ああやって!
やがて手帳からペンを離す。読み返す事はせず、それを胸元にしまう。唯一の証拠品と言っても良い『名簿』は、未だ文机の中にあるはずだ。それを確認し、青年は徐に部屋を後にした]
― →城内―
(230) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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―― 武器庫 ――
さて、銃声なんて物騒なものを聞いちまったからなぁ。
[書庫を出て、並びにある年代物の甲冑や武具の収蔵室を覗いてみる。 やはり、銃器の類は見当たらないようだ。]
持ち込みかぁ? どのみち、城の連中が銃を使うとは思ってなかったけどよ。
(231) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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ほう…面白いモンがあるな。
[腕を延ばして、壁にかかったギザーム(長柄鎌槍)を手に取る。 天井は充分な高さがあるので室内でも振り回すのに支障はない。]
――運動用に借りてゆくか。
(232) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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―扉前廊下―
ああ……いや、もう構わない。 あの少女には暫し休息を与えてやろう。
次に襲う恐怖の前に、な
[頭を下げるセシルを一瞥する 瞳は未だ熱を帯びたまま、僅かな変化に眉を寄せながら]
墓場から蘇った理性の無い兄と再会する妹 見ものだと思ったが ――…先刻まで無事を願っていた者に襲われる恐怖 どちらがより苦しいものだろうな。
[ちらりと向ける死刑宣告にも似た言葉は、傍らの人間に。 其の宣言に従者が揺れるだろうと期待を込めて]
(233) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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>>229
――……
[恐ろしいかと問われ、やはり黙る。 どうなのだろう、恐ろしいことは間違いない。]
魔物を人は恐れるでしょう。 だが、恐れる気持ちがなければ人はありえない。
――……ッ
[葬列の乙女に毒を…には、反応せざるえなかった。]
(234) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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ええ、そうですね。 彼女を魔物にしたのは自分です。
[あえて、そう表現する。 そう、解毒は薬師としてするべきこと。 だが、死するための毒を施した時、
自分は、道から外れていること、
もうとうの昔に気づいていた。]
――…で、何か、
御用で?
(235) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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>>233
―――……、
[主が言葉の意味を理解する、 それはこの男に――闇の眷属たる力を与えるということ。 拒絶の意を示すように、きつく眉根が寄せられた]
(236) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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魔物――…私が、か
[僅かに柳眉を寄せて、重い睫を伏せた]
同属を平気で見殺しとする ひとこそ魔物と、思いはしないか? そなた等の心の内がどれほど醜いか――
[其処まで声を零し、ふっと笑みを浮かべる。 従者の態度に気付いた故に]
否、用は無い。 今は、まだ。
(237) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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白薔薇、お前のすべき事は わかっているな?
[眉根を寄せる従者へかける、愉しげな声]
今宵の食事は格別のものになるだろう。 楽しみだ。
[薄笑いと共にその場に残し、城主は霧となって消えた**]
(238) 2010/06/21(Mon) 19時頃
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――浴場―― [影が自分の為に用意したと思しきガウンと夜着を見て、ほぅと息を零す。そっと取り上げれば、掌を流れる生地の、触れたことのない滑らかな触り心地に思わず目を瞠る]
……お姫様の服みたい。
[蝋燭の明かりを受け、薄らと透き通るような光沢を放つ生地をうっとりと眺めるが]
遊びに来たわけじゃないしね。 ……こんなひらひらした格好じゃ、いざと言う時走れないし。
(――第一、私には似合わないよ)
[綺麗な服を着てみたいという、危機的状況にそぐわない思いを打ち消すように首を振り、元の襤褸じみた服を纏った。 浴場の外、椅子に腰掛け人狼の牙を弄びながら迎えを待つ]
(239) 2010/06/21(Mon) 19時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 19時半頃
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―客間→食事の間―
[首に掛かっているのは、ロザリオの代わりの懐中時計。 幼き頃にしていた様に掛けていても、その想いは全く違うもの―…‥
初めて父親から貰った贈り物、幸せだった時の印、 ――今は忌々しい楔となった印。
何故、捨てられぬのかは分からないけれど―…‥、
――結果的には自分の支える糧になる皮肉に、無意識の内に薄い笑みを浮かべる。]
清廉を保つ為の汚濁の楔でしょうか―…‥
[食卓に用意されているのは、赤いワイン。 少し指先は迷って、自宅の庭に咲いた蔦ばらの花の色に似たロゼワインを選び口に運ぶ。]
(240) 2010/06/21(Mon) 19時半頃
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>>238
――……、それは……
[愉しげな主の声、 けれど、それはそうとは信じがたく ―――認めたくはなかったからか]
旦那様――…
[消え行く主を呆然と見送れば、サイラスを見据える。 それでも、この場で問答をせぬだけの矜持はある、灯りのない客室へと静かに足を踏み入れた]
(241) 2010/06/21(Mon) 19時半頃
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>>237>>238 なるほど、 確かに、人は醜いですな。
そういう面のみ見れば。
[城主の言葉に受け答え、その姿が今は用なしと消える様を見た。]
人は、そういった醜い部分を魔物に捉えている。 そう考えると、
いえ、 私も、何か
おかしくなってるようで。
[消えた姿、目を伏せ、頭を振る。 髪が乱れ、貌を隠した。]
(242) 2010/06/21(Mon) 19時半頃
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薬屋 サイラスは、奏者 セシルに続き、客室に入っていく・・・。
2010/06/21(Mon) 19時半頃
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―客室―
[ゆるく覚醒する。 客室の中を見回し、自分の置かれた状況が現実であることを悟る。 どうせなら、全てただの悪夢であればよかったのに、と思いながら身を起こす。]
……ここにいても、埒が明きません、よね……。
[出来うる限りの事をしよう、と自らに言い聞かせ、客室を後にした。]
―→廊下―
(243) 2010/06/21(Mon) 19時半頃
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奏者 セシルは、使用されていないその部屋は、暗く
2010/06/21(Mon) 19時半頃
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―空き部屋―
――……さて、
[飴色の髪がふわり揺れた。 薬売りに詰め寄れば、片肘をつ――と壁に這わせて。
決して乱暴にはなりえぬ白薔薇の所作、 触れんばかりに頬を寄せれば、甘やかにさえ見えようか。]
あなたは私に何を問う? ――……問うて、何を望むのです。
[白薔薇がかすかに香り、髪はわずかに乱れた。 重たげな睫毛の下、薄闇に昏く沈んだ青が男の双眸を捕らえる]
(244) 2010/06/21(Mon) 19時半頃
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―空き部屋― >>244 [白薔薇に促されて入れば、そこは暗く、 その中でも白く見える彼は、なるほど、薄闇の白薔薇かと思った。 だが、その仕草がそれまでとは違い、いきなり詰め寄られれば、微かに目を見開いて……。 近寄る眼は昏くあれど、男の眸よりはまだ透っている。]
――……君が、そこまで反応するということは、君は、やはりフロレスクの家系のものか?
[問いにはまずそう答える。 彼がただの同姓ならば、こんな貌はしないだろう。だが……。]
――……問うて望むか。それに答えるなら、
君はなぜ、ここに、人のままでいるのか? ということ
でしょうか?
[望みはまだ言わず…。]
(245) 2010/06/21(Mon) 20時頃
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―食事の間―
[机の上の古いランプの炎が何処からともなく入った風にゆらゆらと揺れる。 そのランプの灯りに透かす様にロゼワインの入ったグラスを揺らす。 ――ほんのり赤い薔薇色 ――規則正しい音を刻む懐中時計。
――静かな時が過ぎて行く。]
鳥籠から出る方法ですか―…‥
[抽象的な言葉。 ここから出る方法は、脳裏に浮かんでいた。 でもそれはあまりにも―…‥、 ――絶望的で 彼女には言えなかった。]
(死による解放と、裏切りによる解放。)
[深い森の暗闇を思わせる漆黒の双眸は閉じられて、心はその瞳のような闇の思考の中で迷ってた。]
(246) 2010/06/21(Mon) 20時頃
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[>>245 フロレスク――その名を再び呼ばれれば、眼差しは歪む。苦しげなけれど艶やかなその色は、尚、男を見据えて]
――……、 それがなんだと言うのです、 その名が示すは、今はただこの血のみでしかない。
[聖性を逸して尚、闇に身を浸しきれぬ ――連綿と列なる信仰と祈りの血、 それは主らにとって、妙なる白薔薇の芳香とでもなるのか]
――……なぜ、とは
[問いは それは まるで]
私が、望むと?
――闇の眷属になることを。
[壁に着いた手が震えれば、首の枷がしゃらり、音を立てた]
(247) 2010/06/21(Mon) 20時頃
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――廊下――
[迎えを待ちながら、ぼんやりと窓越しに空を眺める。 雷鳴は既におさまり、霧かかる空の向こうに紅い月が炯々と輝いていた。
其れは城主の血色の瞳が、誰も逃さないよう月に姿を変え、地上を睥睨しているかのように思えて。 息苦しさと圧迫感に胸を押さえる]
……こんなとき、母様や姉様は唄を聴かせてくれてたっけ。
[闇を恐れて眠れなかった夜。悪夢に脅え震える夜。 怖くて、寂しくて、どうしようもなかった夜。 そんな時に小さな身体を抱かれながら、耳に落とされた唄を思い出して。
幼い日の懐かしいメロディを小さく口ずさんだ]
(248) 2010/06/21(Mon) 20時頃
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記者 イアンは、牧人 リンダの姿を廊下の先に見かけた。
2010/06/21(Mon) 20時頃
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>>247
[その名を出すと、感情が滲む。 その表情は、より、人、らしい。]
――……血は、
不思議なもので。 本人の知らぬ間に、 血に叶った行動をしてる、など
よくありえるのですが。
[苦しげかつ、それさえも、美しさと表現できる青年の、 眸と、首枷、両方を見据えて…。]
いいえ、なぜ、貴方が闇の眷属になることを望んでいるとは思えない。 フロレスクならば、貴方の身体が求める望みは……。
[それ以上の言葉は、飲み込んだ。]
(249) 2010/06/21(Mon) 20時半頃
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