88 吸血鬼の城 殲滅篇
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[城を閉ざすだけの力は残っていない。 けれど主の気配は確かに近く感じられた。 予言めいた言葉を口にした娘は――
大きく成長したドナルドを前に、微笑む]
(170) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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追っ手があなたでなければ 反撃できるのに……
[過去の縁が情となり枷となる]
(171) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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貴女も、ですか?
[城主の言葉>>169に、僅かに首を傾げる。 彼女自身もこの城に、また何かに囚われてるという事なのだろうか。]
……何から逃げるというのです?
[予断無く剣を構え、一歩前に踏み出しながら。 そう尋ねるのだった。]
(172) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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―螺旋階段― [戦士たちの後ろ、小走りに階段を上る。 歳の所為か鍛え方の差か、彼らに比べ錬金術師の足は決して速くはない。 少しばかり息を乱して歩を緩めると、自然床に目が行く。
石造りの踏みづらに、鮮やかな赤の散り滴った跡がある。 城主の残した血痕――だが、少しばかり不自然に感じたのは、生命の根源を探る実験の過程で身についた知識か、治療師としての経験ゆえか。 白布を巻いた右手を伸ばし、指先で血の痕に触れ、
――乾くのが早い。
石に滲みた血液が酸化して変色するには、まだ間があるはずだ。]
(173) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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そうですね、今はアヴァロン伯を第一に考える時ですし。
[ジェフリーの言葉(>>132)に頷き、血痕の続く階段を見上げる。 彼女は何故、逃げる姿をわざわざ晒したのか。 騎士であるヒューを一瞬でどこかへと転送させる力量。 あれだけの能力があるのなら、自分自身をどこかへ転送させるのも出来たのではないか。 その考えが頭から離れない。
――罠でしょうか?
思案に暮れながら階段を上っていく。 注意力が散漫なせいか血痕が薄れていっている事には気づかない。 ラルフとドナルドの会話(>>163>>164)を聞いて眉を寄せ。]
そのアヴァロン伯の待っている人物とは何者なんでしょうね。 やはり吸血鬼なんでしょうか。 吸血鬼は人間を自分の眷属に変えてしまうと言いますし。
[不安が滲み出ないように努めて淡々と言った。]
(174) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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[>>168 刀子は城主の華奢な鎖骨を掠め、 鮮やかな朱が空に舞う。
こちらを見据える深紅の瞳を、 感情を押さえ込んだ侭見返して、
ゆっくりとその心臓に向けてボウガンを構える]
――アヴァロン伯クラリッサ。 ………クレア。
(175) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/04/29(Sun) 20時半頃
病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/04/29(Sun) 20時半頃
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― 螺旋階段 ―
[当初は二人に任せて、黒犬の捜索を行おうかと考えた。 だが、果たして本当に信用できるのか? また先程のようなことが起きれば―― 次に遭遇した時に、彼らは敵かもしれないのだ。
結局見届ける為に、殿から長い螺旋階段を昇る]
(176) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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――…私は あなたたちから逃げられない、でしょう ?
[ラルフの問い掛けに僅か首を傾けて]
あなたたちは……
[誰から、とは言葉にせぬままくちびるを結ぶ]
(177) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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[ドナルドがボウガンを構えるのを見れば、自身も剣を銀のレイピアに持ち替え。 ボウガンの斜線を塞がぬよう、間合いを詰めるのだった。]
(178) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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――…それは、 ……アンタの『あの人』からか。
[逃げられない、と語る彼女の眼差しは酷く静かで。 内容の恐ろしさを判じる前に、思わず苦笑が浮かぶ]
こんな時にさえ、 ……いつだって、『奴』の事なんだな。
[柔らかな微笑は、まるで大きく成長した弟を喜ぶ、 姉のように優しいもの。
けれど其れが、 ――かつて望んだようなものになることは、 永劫に、ないのだと]
(179) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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[だが精査している時間はない。 階上からは戦士たちの足音と話し声が、狭い筒状の石壁に反響して聞こえてくる。
そう、 アヴァロン伯が過去には人間であり、 『真の城主』を待つというのなら、
その声に急かされるように、彼らに追いつくべく可能な限りの速さで階段を駆け上がった。]
(180) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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[懐かしい名で呼ばれ 深紅の双眸がドナルドへと向けられる。
狙いを定める隻眼をじっと見詰めて 女は観念したのか 胸へと宛がっていた両の手を下ろした]
ドナルド
[応じるように名を紡ぐ]
(181) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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[螺旋階段を上る。 一足先に上っていたラルフやドナルドが止まり、彼らの視線の先を辿ればアヴァロン伯が壁に凭れ掛かっているのが見えた。
彼女に止めを刺すのは自分の役目ではない。 黙って見守っているとドナルドがアヴァロン伯へと向かって刀子を投げる。
――逃げられない?
何から逃げるというのか。 頭を過ぎるのはアヴァロン伯が待つという人物――そして黒い魔物。 不安が膨れ上がる。 そういった弱い心に漬け込まれる、だから考えてはいけない。 そうは思っても一度感じた不安は消える事なく胸中を燻り続ける。]
――…。
[考えを振り払うように頭を緩く振った。]
(182) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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[城主の言葉>>177とドナルドの言葉>>179に、不思議そうに眉を寄せる。]
……“奴”とは? ドナルドは、一体何を知っているんだ…?
[銀のレイピアを手にしたまま。 自分にはわからぬ会話を続ける二人を、じっと見つめていた。]
(183) 2012/04/29(Sun) 20時半頃
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――嗚呼
そんなことまで覚えていたのね
[ドナルドのいう『あの人』は クラリッサが思い浮かべた者と同一だろう。 懐かしむように女は呟く。 レイピア構えるラルフが問う姿をちらと見遣るが 口を挟むことはしなかった]
(184) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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[>>171 哀しげな彼女に隻眼をゆがめる。 油断をそそる為とは思わない。 彼女は死を覚悟しているのだろう。――それでも、]
悪いな。 ………『領主様』は、 アンタがずっと想いを抱き続けてきた男は、
恐らく、アンタに第二の生を与えたのかもしれない。 なら……
(185) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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……そうだな。 どうやら、ドナルドの知っている娘がかつて人間だったことは 確かなようだから。 他にも吸血鬼がいるのかもしれない。 それも彼女より強大な……。
[エリアスの言葉>>174に返事をする。 血の乾きが早いことには、全く気づくことはない]
(186) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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第二の死は、俺に。
――俺に殺されちゃくれねえか、
……クレア。
[全てを受け入れるように両手を広げる彼女に笑む。 真っ直ぐに銀の杭をその胸に向けて
――引き金を、引いた]
(187) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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――…あなたは自らの名誉の為に 手柄を立てずとも良いの?
[嘗て魔女と呼ばれた者。 術に長けたエリアスが思案する様子にそと尋ねる]
(188) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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―少し前図書室→宴会場―
[>>72>>75アヴァロン伯と思しき女性を知っていたドナルドと、親しげな響きを込めてに声をかけるアヴァロン伯。二人のやりとりは、ムパムピスにも明瞭に聞き取ることができた。先に作業室を出たドナルドに続いて宴会場に戻った所で、決定的な言葉>>78>>80を耳にする。]
アヴァロン伯クラリッサ。 …いや、その姿と記憶を写し取った魔物。 気配と姿を見ただけでは人と判別もつかない。 これが…我々が対峙しなければならない吸血鬼の正体、なのですね。
[場はすぐに動いた。ラルフに寄るクラリッサの美しい姿、そしてドナルドがラルフを引き寄せ、入れ替わりに切りかかったジェフリーが彼女を鮮血の赤に染めていく様子が視界に映った。]
(189) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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[エリアスに続いて螺旋階段を昇りきると、 すでに交戦は開始していた。 もっともクラリッサは反撃するそぶりすら見せない。
それだけの体力が奪われているのだろうか、と考えた。 隣のエリアスが緩く頭を振った>>182ことに気づくと]
……エリアス?どうしたんだ?
[不審に思い尋ねた]
(190) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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―螺旋階段―
[黒い犬の存在は気になるが、単独行動をして怪異に遭遇した際、対応できるだけの自信も経験も持ち合わせてはいなかった。 止めを刺す為に先行したドナルドとラルフに続き、他の仲間が階段を上がり始める所をついていく。]
レオナルド様、どうか致しましたか? [手を伸ばし血痕を調べる姿>>173が目に入り、床に視線を向ける。]
……血痕。それも、時間限定で残していくとは、わかりやすく道を示してくれていますね。アヴァロン伯も。 急いで来いということでしょうか。 [先ほどより薄くなっていることには気づいていて、さらりと呟き周囲を見回す。]
…城全体が薄い魔力で覆われているみたいで、どこまでが魔力の手妻で、何人の魔物が潜んでいるのかと、追う立場でも不安になります。
それに邪悪な気配を放つ黒い犬。 あれが本性を現してアヴァロン伯に加勢する者なのか、それとも単独で潜んでいる魔物なのか。 この城はまだ、未知数なことが多すぎますね。
(191) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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ムパムピスは、クラリッサに話の続きを促した。
2012/04/29(Sun) 21時頃
ムパムピスは、ドナルドに話の続きを促した。
2012/04/29(Sun) 21時頃
ムパムピスは、階段の上から聞こえてくる音に耳をすませた。
2012/04/29(Sun) 21時頃
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[時間があれば、乾くのが早いのではなく、血痕が徐々に薄れていっているのだと気付いたかも知れないが。
今はその疑問を口に出すことはない。]
(192) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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ど、して…… そんな風に思うの?
[クレアだった者はドナルドの言葉を聞き ことりと首を傾げる。 討伐隊に加わった彼もまた手柄が必要なのだろうか。 彼の真意を知らぬまま不思議そうに瞬くが
ドナルド笑みが見えれば 少年であった彼の面影と重なり その提案を受け入れるように仄かにわらう]
(193) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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[ジェフリーの問いかけ(>>190)に思案に耽っていた思考が浮上し。 どう答えるか一瞬躊躇ってから口を開く。]
…いえ、何でもありません。
[悪戯に不安を煽るのはよくない、そう思い内心の不安を打ち明ける事はしない。 その不安を知ってか知らずかアヴァロン伯が声を掛けてくる(>>188)]
名誉…? いらないと言えば嘘になりますね。 でも、私が欲しいモノは信用なんです。 だから貴女を取り逃がす事だけは困ります。
[ちらりとラルフとドナルドへと視線を投げ。]
彼らの事を信頼してますしね。
[この仕事が無事終わればそれでいい。 魔物を退治したという事実さえ残ればそれで。]
(194) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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ドナルドは、ムパムピスに話の続きを促した。
2012/04/29(Sun) 21時頃
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>>191 ……君が言うのなら多分そうなのだろうね。 私には、器具や薬品を使わずに魔力を感知する術がないから。
[息切れしている割に然程苦しそうに見えない顔で、修道士に答えた。]
だが、分かるよ。 あの黒犬はただの使役魔獣ではないし、アヴァロン伯の態度も変だ。 色々とおかしいことが多すぎる。
(195) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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[放たれた銀の杭が風をきる。 ジェフが貫いた其処に吸い込まれるように 銀は深々と女の胸を射抜いた]
――…、……ふ
[笑み声にも似た吐息とともに こみあげる赤が女のくちびるを染める]
(196) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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レオナルドは、エリアスが答えたあたりでちょうど屋上に出た。
2012/04/29(Sun) 21時頃
レオナルドは、エリアスに話の続きを促した。
2012/04/29(Sun) 21時頃
エリアスは、レオナルドの足音が聞こえた気がした。
2012/04/29(Sun) 21時頃
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[――あの日。 領主の計らいで匿われ今の地位についた娘は 王にクラリッサという名を与えられた。 それから娘をクレアと呼ぶ者はいなくなる。 クラリッサ、若しくは、アヴァロン伯、と。
討伐され眠りについた主に会いたいと何度も思ったが 血を注ぐべき『彼』の名残が見つけられず叶わぬまま月日が流れる]
(197) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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[五年前、王への反逆を理由に討伐された領主の話を耳にした。 多くの者が犠牲になったと聞く。 反逆の真偽は定かではない。
アヴァロンの領地に妹を探す姉弟が来たのはややしての事か。 大事な者を探す二人の姿が 大事な者を失った自分と重なる。 話を聞き手を差し伸べて娘は二人を傍に置く。
何の疑いもなく慕ってくれる二人の存在が癒しだった。 主をなくした寂しさが少しずつ癒されて わらうことを忘れていた娘に その感情と表情を取り戻させた]
(198) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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[>>193 どうして、と。 あどけなく童女のように尋ねる彼女に切なげに笑む。
彼女には、きっとわからない。
彼女にとって己は最後まで、 懐かしい弟で在り続けるのであろうから。
捕らえられ拷問の末に処刑される末路も、
――永劫に此処で『彼』を 愛し続ける魔物の女の姿も、]
――見たく、ねぇんだ。
[声にはならぬ答えを、そう返した]
(199) 2012/04/29(Sun) 21時頃
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