25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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何だ、まだ言うのか。
[からかうような響きを残して幾らか低い声は嗤う]
危ないと言うなら其の身を矛に身を立てれば好い。
丁度いい手本が傍にある。
[なあ、と話の矛先は霞へと向かう。
傷が付こうが付くまいが、己には関係ないとは口にはせねど]
…いいだろう。
ならばしばらくそのままで待つがいい。
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―廊下→庭>>564―
…、…
[手招く手が見えた。一つ瞬く。 近づかれるのを厭うのではなかったか、と 怪訝そうに思いながらも、 一度窓を過ぎて、 一番近くの出入口から庭へと降り立った。
――りん、と鈴の音伴って。]
(567) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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本当の事。
[嗤う音に、拗ねたこえ。
暫し間が空いた]
簡単に謂う。
私の居た場所は、貴方達の想像のはるか底辺
誰にも見捨てられた裏路地に子捨てが何故この世に起きるのか
財持つ家に生まれたものには遠い話。
だから、今更だと言っている。
少しは学べ。
[間が開いたことに疑問など持たない。
こちらもまた、幾らか喋っていた故
一つに意識を集中させるほどのことはしない]
その無理難題を越えたくて花になったのではないのか?
己が選んだ道に、後悔するのであれば去れば好いだけのこと。
…では、お前が稲羽の松になる前には、迎えに行こう。
[それは古いうたの話]
花になったのは……嗚呼、解らない
親は何故
同じ道を歩ませてくれなかったのか
世を狂わせる
其の為に危険の中へ留まり続けたのでは、無かったのか
[思い馳せるも、答えは出無い]
――直ぐに帰るといいながら
待てども待てども、置き去りのまま
[詠うこえが聴こえた気がした。
古い古い、知っているのは、冬の知識]
それは、失せもの戻るまじない歌……?
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―庭―
…――。
[そこに、嘲笑はなく、 弧を描く艶含む笑みがある。 いったい、何があったのか。
雪のように白い手を見るは 紫苑色の眸、 暫しの後 願いに従い ゆる、伸ばした手は白鳥の羽のような。
手が触れれば、冷たいか。]
(570) 2010/08/04(Wed) 19時頃
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知りたければ、調べればいい。
[書庫にいけば答えは見つかる。
敢えて答えるつもりもない。]
別れを詠む
去なばの山の
……知りたいのは、うたの意味ではなく
[記憶の引き出しにあったのは
もう千年もそれ以上も、古い古い書物のうた]
私が知るは
失せ者かえるよう、願うものでもあった故
其れを知る貴方は……失せものでもあったかと
詠み違えたか?
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―庭―
……何、 …
[雪白の手には、確かな体温。 戸惑いがちに視線に従い見れば、 流麗な曲線持つ楽器らしきもの。]
…さっきの音は、…おまえか。
[どういう風の吹き回しかと、 紫苑色は怪訝そうに。]
殊勝なことだな。 ……
[じ、と冬色を見ていたが、やがてひとつ息を吐き]
……どうしたらいい。
(573) 2010/08/04(Wed) 19時半頃
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読み違えも甚だしいな。
[それは結構な切り返しであったように思う]
言ったはずだ。
遠回しな言い回しは好かんと、ついぞさっき。
大体、失せものなど
[少しだけ、間が開いて息を吐き出した]
私には、ない。
そう――…か?
[僅かな間は微かな疑問を浮かばせたが]
なら、良い
[短く零す]
何だ。この返答では不満か。
[どう聞いてもその言葉尻は上がっていて、
息を一つ吐き出す]
…それで。
何処に迎えに来いと言うんだ。
否、詮索はせんよ
立ち入るなと謂うならば。
[冬色が翳る
眉を下げて]
先刻の、庭に
そのまま居る
足の怪我を失念していて
……立ち上がれなくなった
ひとつ花が其処にあるけれど
[無言の答え。
それが意味するものは推して知れとばかり
男は答える言葉を作らない]
…立ち上がれない?
お前は子供か。
[呆れたように呟いて、息を吐き出した。
花と聞けば目を細め、もうすぐその花の後姿も見えるだろう頃]
……姿は見ての通り
私も、昨夜生まれたばかり
子供には違いない
[くすくすと、わらう。
花開く
柔かな花びらの其の通り
徐々に変化しているのは
トゲ混じる冬の名残が消えていく証拠]
成程、まあ、それは確かに道理やも知れん。
随分老成した子供もいたものだ。
[納得はすれどそれよりも先にまず呆れが生まれる。
軽い笑い声に肩を竦めれば溜息は重く一つ吐き出される]
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―庭― ……届いた。 聞いたことのない、音だった。
[冬色を紫苑色はじ、と見た。翳る、雪空のいろ。] ……花であれ? 己(おれ)も…おまえも、“花”だろう。 どうして今―――――
[鵠は眦の赤を見てか口をつぐむ。 選定――剪定の話は、 もうすっかり広まっているようだ。 少し眉を寄せたまま、腕を支え]
…祭だというのに迂闊だな。 ―――手を滑らせるな。
[咎めながらも結局は手を貸して、くいと強く引いた]
(578) 2010/08/04(Wed) 20時頃
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―庭― 異国のものか…それで。 ……、…?
[“ロビンは”と“ロビンが”謂う。 怪訝そうな色は深まる。] ――――…、 目覚める、とはどういうことか。
[違和感。 “見聞き能わず”は確か自分のことを“ボク”と。]
―――っ、
[咄嗟に支えるために動く。 りん、と大きく鈴が鳴った。]
(584) 2010/08/04(Wed) 21時頃
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―庭―
…伊達に白き鳥を 舞っているわけではない
[多少は傾いだが受け止めはできた。 あれは動の舞。ひ弱ではいられない。 間近の冬色、紫苑色は幾度か瞬いて]
――“見聞き能わず”ではなく、か…? 嗚呼、……
其方のほうが、己には余程面白い。 噂などより見聞きできるほうが余程。
[少々ぶっきらぼうなのは食堂の会話の印象が残っている所為だろう。 人の声に振り向けば、今度は静かに鈴が歌った。]
(592) 2010/08/04(Wed) 21時頃
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……私は何を言った?
私に何をした……?
[酷く寝惚けて醜態をさらした夢と
眠りながらも、巻物を口にくわえ
少し苦しげに微か喘いだ夢をみたから。
恐る恐るどこまで現実か確めた]
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本郷様。
[向き直れば丁寧に頭を下げる。 呆気に取られた様子には緩やかに眼を細め]
驚かせてしまいましたでしょうか。 失礼を。 少々足元覚束なかったようで。
(594) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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―庭―
――嗚呼。外の国にもあるのか。 …己の舞では白き鳥は、死ぬ。
[呟いてから、申し出の通り だが倒れぬようにとゆっくり手を離した。]
離す。倒れたら知らないぞ。 高嶺様に、 ? っ、…
[胸元なぞった指にびくりとした。 少しだけ息を飲んでから、]
――じゃれあっていたというわけでは 御座いません。手を貸していただけで。
[すまし顔、本郷に答える。]
(604) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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―庭― ……――それは随分と違うな。
[どう、違うかまでは口にしなかった。
――あの舞で。 白き鳥は、ひとりで死ぬのだ。
満足そうな笑みには 少しだけ睨むように見た。 其れも僅か、本郷に問われ>>607]
――、……いえ、まだ。
(610) 2010/08/04(Wed) 22時頃
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…イビセラと呼ばねば、自分だと解らないか。
[微かに空いた言葉の間に首を傾げる。
目の前にいるからには、流石にそれぐらいには気付くというもの]
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―庭―
…――、…
[噂の“ロビン”ではない 薄い笑みを見て、緩やかに、一つ瞬き]
いや、…気にしなくて、いい。
[冬の花の裡を推し量れなく そうとだけ答えた。本郷が言葉を続けるのに其方を見て]
――はい。
[柔く笑む。]
ありがとうございます。
(621) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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……ロビンでも、名も無き花でも、徒花でも
何とでも呼ばれれば気付く。
少し意識が飛んだ。
日に当たりすぎたか……何かしたのやも。
[空いた間は名の通り空白の一瞬。
咲いた花にその間の感情が無い]
ん?
あ、そりゃもう、なかなかに大胆なことを…。
さすがに長く躾けられた花だと感心した。
[なんだか焦った声がしたので、
悪乗りしてそんなことを言ってみた。]
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―庭―
…高嶺の名を望むのならば来い、と。 そう謂われた。 まだ決まったわけではない。
[どれだけ尾ひれがついて 広まっているのだ。とは口にせず。]
……ええ、ご尤もです。
[>>626ぱちり。扇が鳴る。]
それでは、私はこれで。 失礼いたします。
[頭を下げれば鈴が鳴り、りん、と響いた。]
(630) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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