123 霓虹鬼故事
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― 廊下 ―
[遅れて、廊下に一歩踏み出してから、ふっとひとりごちる。 既に階上へと向かった者たちに届くとは思わないまま、]
身も、心も。 ほんとうに、鬼みたいになったなら。 ……もう、人ではないって、思わないと。
[身体能力が向上するという鬼薬の話。 それに黒宵>>66があの時言ったことも思い出しながら、呟く。 あの時、そうしないと、と佩芳>>62が口にしたのも また、理解できるものだった。
ちなみに、黍炉の返答の後、彼がひとりごちたこと>>65も 聞こえてはいたが――。 その時は、ほんの微かに視線を落としただけだった。 そして今も、その答えは口に出来ぬまま。]
(81) 2013/05/23(Thu) 22時頃
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[鷲珈の部屋より離れた場所に息をひそめる。
現場の様子は"聞け"ばよいのだ。 わざわざ近くに潜む必要ないだろう。]
(82) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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― 鷲珈の部屋 ―
[>>77違う、という言葉は聞こえていたが、一度浮かんだ疑惑を簡単に捨てる事は出来ない。 血の匂いに一瞬躊躇ったけれど、意を決したようにその先に進んでいく。
戸口の前で立っている佩芳と…床に転がった鷲珈の死体。 ―彼の鋭利な刃物で切り裂かれたような腹からは、何かがはみ出していて。]
…っ…。
(83) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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――相変わらず、仕事の速い。
[血の匂いと、扉のところにいる佩芳が固まっている様子で、すでに行なわれていた事を知り。 ため息とともにそちらへと足を向ける]
血に不慣れなら見ないほうがいいんじゃないか。
[震えて聞こえた黒宵>>80のことばにちらりと視線をながし。 佩芳がいる扉へと向かう]
見事なものだ。
[血に沈んでいる鷲珈をみやり、ひとつつぶやく。 まだ、その腹の不自然さには気づかないまま]
大丈夫か?
[佩芳へと問いかける]
(84) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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[目の前には研究者の遺体。
それを目にして顔が歪む。
自分の他にいる人間が二人。
―早く、何とかしてしまわねば。]
くそ。
くそ…っ。
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――――?
[終わって い る ?
黒宵の声>>80で、黍炉と黒宵に追いつかれていた事に気付く。 気付いたが、なぜ鷲珈が倒れて動かないのか、そちらに神経は向いていた。
おわって いる? 終わって―― 死んで、いる?
死という言葉を思った途端に、散る紅い色が生々しく映った。]
―― ぐ、ぅ。
[目を見開いて口元を押さえた。 深く息を吸って、空気に血の匂いが混ざっている事にも気づく。]
(85) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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[手の内にある、明夜の髪色と同じいろの毛髪。 一度それを眺めてから、上着の懐の内にある 小さな財布の中にそっと収めた。 財布の中には既に、ある液剤の包みが入っていた。]
これじゃまるで、あいつのこと疑ってるみたい。 でも、確かめなきゃ。 ……でも、その前に。
[外の嵐の音の所為もあり、人の気配や足音を探ることは 容易では無かった。 遅れて、露蝶も階段を伝い二階へと。 鼻を突く匂いを感じ、胸を抑えながら、その方へ向かう。]
(86) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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[死体を見るのは初めてではないが。こうした遭遇の仕方は初めてで。 >>84黍炉の忠告も耳には届かず、ふらりと‘それ’に近づいていった。 そして床に広がった血に足を取られ]
うあ…っ。
[―派手に転んで鷲珈の遺体の上に倒れ込む。 起き上がろうとしてもがいた際、鷲珈の腹からはみ出た臓器…明夜の喰らった痕跡を握り潰してしまう。]
(87) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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[大丈夫かという、明らかにこちらに向けられた黍炉の声>>84に びくっと身を震わせたのが、何かのスイッチになったのか―]
ひ、ひぎっ――
[引きつったような声を上げた直後、]
(88) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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い、あぁぁ、いやぁぁぁっ―――!!!
[悲鳴が口をついて出た。
なんだかよくわからないまま涙目になって 男2人から離れるように廊下の方へ後ずさり、 肩で息をしながら、階段の上にへたり込んだ。]
(89) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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お、悲鳴。
[ああ、見つかったのかなあ。
そんなことを思いながら、血に濡れた手を布で拭う。]
(90) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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…うっ…。
[顔も血溜まりに突っ込み、赤黒く汚れていた。 纏わりつくような強い血の匂い。 遅れて感じた臓器を握りつぶした生々しい感覚に、手に握ったものを取り落とす。]
あ、ぁあ…っ。
[汚れた手を見つめ、暫しその場に座り込む。 >>89佩芳の悲鳴は何処か遠くに聞こえた。]
(91) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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っ、おい……
[黒宵>>87が足を滑らせるのと、佩芳>>89の悲鳴、どちらが先だったか。 遺体からはみだした臓器の違和に気づくことなく。 部屋の入り口から逃げる佩芳と、血に汚れた黒宵、どちらをもみやってため息をついた]
――、
[どちらに手をかすべきかと瞳を細め]
おい、とりあえず、そのままだとさらに汚れるぞ。
[座り込んで動けない黒宵>>91へと近づくことにした]
(92) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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― 2F ―
[階段を上りきろうとした、その時。 高い悲鳴が耳を強く突き、足が竦んだ。 此方に近づいてきた、後ずさる姿は佩芳>>89のもの。 彼女が階段に座り込んでから、声を掛けた。]
佩芳っ、
………何が、あった、の?
[微かに伝う鉄錆の匂いに、想起するのは血のいろ。 息を呑み、女を見下ろして、問う。]
(93) 2013/05/23(Thu) 22時半頃
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露蝶は、サミュエルに話の続きを促した。
2013/05/23(Thu) 22時半頃
ああ…、くそ。
[手を見て茫然としたふりをしながら、喰らった痕跡を握り潰したのを確認し。]
…一応、やったぞ。
[まだ手に残る感触。
声には苦々しさが混ざっていただろう。]
お、もう見つかったのかな。
はやいねぇ。
[誤魔化しはできたのだろうか。
どうなっているかはわからない。
状況が分かるものは悲鳴程度しか聞こえていない。]
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――ふ、ぎ。
[潤んだ瞳は見開かれたまま、露蝶>>93を見上げた。 すん、と鼻をならして縋りつくように手を伸ばして]
し、しん――で。
[死んでる。 それだけを、紡いだ。]
(94) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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誤魔化しできたんだね。
よかったよかった。
[苦々しい声なのに気が付いて]
んー?……死体見て欲情しちゃった?
[茶化すようなことをいってみたり。]
人、集まって来たな。
…何とかお前の噛んだ痕を握り潰せた、と思う。
[何処にいるのか分からない男に状況を教える為に声を飛ばす。
偶然を装うとはいえ、派手に転び過ぎた。
おかげで血塗れだ。]
…あー、シャワー浴びてぇ。
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[暫く茫然としていたが、>>92黍炉の声が聞こえてややあってから褐色の目に光が戻る。]
…あ?
…っ…!
[近付いてきた黍炉の方にゆるゆると振り返る。 緩慢とした仕草で頬を拭いながら血に塗れた顔を晒したが、後方にいる女性達にも見えただろうか。]
(95) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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[茶化した口調で聞かれれば、飛ばす声を荒げ]
はぁ?ふざけんな…!
こちとら血塗れなんだよ!
[死体に倒れ込んだとは言わない。
―やがて、知れるかもしれないが。]
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[廊下のほうから露蝶の声もきこえる。 だから佩芳のことはそちらにまかせ。
さて、明夜はどこにいったのかとわずかにため息を零し。 血に濡れた黒宵の様子に瞳を細める]
酷い事になったな。 [すでに事切れている研究者には一瞥を向けただけで、その死には何も思わず。 大丈夫かというように黒宵に手を差し出した]
(96) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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[しんでるという答え>>94に、真っ先に思考に過ったのは 明夜が鷲珈に疑惑を掛けていたこと。 「鬼として」殺したとまでは、未だ思い寄らないまま。]
―――…そう。
[涙滲ませて見上げてくる佩芳を真っ直ぐ見詰め、 少しだけ身を屈めて、伸ばしてきた手を引き寄せた。 縋りつく女を抱き留めるように、何も言わずに腕を伸ばす。 けれど彼女に触れるのは、ほんの少しの間だけ。]
判ったわ。 ……あたしも、この目で確かめなきゃ。
(97) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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……そんなに酷いすか?
あぁ、 ありがとう、ございます。
[>>96相手の言葉に眉を顰めながら顔を擦ろうとして、差し出された手に気付く。 ありがたく厚意を受ける事にして立ち上がろうと足に力を込めた。
―あぁ、まるで麻痺してしまったように血の匂いしかしない。 …臓器を握り潰した手の感触も消えない。
我に返ってみれば、研究者への哀悼の念などなく…ただ不快感しかなかった。]
(98) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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[身を翻し、廊下に目を遣ったところで――。 初めに視界に入ったのは、その男>>95の血濡れの顔。]
ひぇい、しぁ ん ?
[まるで予想外というように瞠目し。 彼に手を差し出した黍炉>>96の顔も一瞥しながら、 佩芳に向けたのと似た問いを、今度は、震えた声で投げた。]
どうしたの 何があったの
何を、した の……?
(99) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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―――っ。
[自分で手を伸ばしたにも関わらず、 露蝶に抱きとめてもらってびくりと身体を強張らせた。
混乱、していた。]
――ひ。
[確かめてくると言う露蝶を見上げ、止める事も出来ぬまま。 露蝶の向かう方―鷲珈の部屋へと目を向けて 血まみれの黒宵>>95が見えて、また目を見開いた。]
(100) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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血まみれだ。 まるでお前さんが殺したように見える。
[黒宵>>98へと静かに返しながら頷き。
血の匂いが立ち込めるなか眉をひそめ。 廊下からかかる声>>99へと振り返る]
――鷲珈の血で滑った、というところだ。
[震える声に、見なくても良いのにとわずかにため息一つ]
(101) 2013/05/23(Thu) 23時頃
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三元道士 露蝶は、メモを貼った。
2013/05/23(Thu) 23時半頃
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[>>99震えながら問いかけてくる声、>>100思わず漏れたような声には僅かに目を伏せ。 沈黙の後に言葉少なに答える。]
……。 うっかり転んで、血だまりに頭から突っ込んだ。
[そして臓器を握りつぶしてしまった、とまでは自分からは言いたくない。
―ああ、見た目だけなら俺が鬼みたいだ。]
(102) 2013/05/23(Thu) 23時半頃
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[やがて小さく息をつきながら]
…で、あんたは無事?
うっかり怪我とかしてないだろうな。
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……最悪だ。
[>>101黍炉の言葉に眉間に皺を寄せてごしごしと顔を拭おうとするが、その服も鷲珈の血を吸っていて。 それに気付けばげんなりとした。
血が付いても分かりづらい黒色であったのが、せめてもの救いだろうか。 ―けれど、女性達には刺激が強いだろう。あまり見せたくはない。]
(103) 2013/05/23(Thu) 23時半頃
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