25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[聞こえた音、ふたつ]
この身宴に在らずして
知り得る事叶わぬが
[病の元は、いま此処に。
硬い蕾が人食い花に化けるまで、動けずに居る]
先刻の
夜光の音とはまた違う
食欲そそる音――…嗚呼、私の目覚めは
満月は、未だか**
あぁ、月が…満ちる、ね。
[くす、と微かに笑う音は、蕾が花咲く時を待つ。]
まぁ、こんな男を食おうとはあまり思わないだろう。
大丈夫だ。
それに俺は死ぬ気は全くないんでな。
[とそこまで言ってから…。ああ、と何かを思い出す。]
…まったく。
[慾深い花達だと思えど、己もまた変わらない。
喰らいたい。月が真円へと近づけば近づくほど
喰らいたくて堪らない]
[イアンが部屋を出てしまってから、その言葉は届いただろう。]
明之進という花だが、
俺の友人の花でな……。
こんなところにいるはずがないんだが、なぜかいる。
そして、俺を主と呼んでいる。
肝心の主には連絡がつかん。
不思議でならん。
口外して、その明がきちがい花呼ばわりされるのはたまらないので、このことは誰にもいうな。
知っているのは、白鳥と本郷のみだ。
[何かその件でもわかれば教えてほしいと告げた。]
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[続けていけば、その言葉には一度眉が憂うのだけれど]
――しれん 殿……本郷様が、名を?
[響きに混ざる蓮の一文字、 連想されるは夢の舞殿]
あの、差し支えなければ……獅蓮殿の舞の話をお聞かせ願えませんか? いえ、お時間のある時で構いませんので。
[己にとっての舞は、自ずと溢れるもの、ではあるのだけれど。 やはり稀代の舞手の舞、期待を隠せぬ眼差しを向ける]
はい、ご一緒させていただきます。 花の勤めを果たせぬは、主様の名折れにもなりますれば。
[微笑う黄泉花には、既に地獄を舞う気配はなく。 そのひそやかな熱を記憶の裡に沈めたまま、蓮の主に付き添うた]
(@30) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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勿体無いことを
[小さく笑って零すのはそんな言葉]
ええ、刷衛殿はこれからも素晴らしき業を
振るっていかなければなりません。
研者が血に溺れてはいけません。
ですから死地には赴くことなきよう。
[廊下を歩きながら答え、
もう一つ届いた話には、ふむりと思考する]
花が主を違えて呼ぶですか……
あの儚い花がなんらかの策略でそうするとも思えませんね…
わかりました。なお気にかけながらも
何方にも申し上げません。
本郷殿と白鳥…鵠ですかね…は知ってると…
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鷹揚な方、だったのですね。 ――いえ、もちろんそれだけではありませんでしょうけれど。
[名は、己自身をも縛るもの。 黄泉花は己が主からの名を望まなかった――かつての記憶]
本郷様自身から伺えるのでしたら、 その記憶はきっと遠くとも褪せぬものでしょう?
[眦を和らげながら、返す。 舞手が稀代の舞手と呼ばれるほどになるには、 それは主との深い繋がりがあってこそ、そう思うから。
そう、己は、 ―――己の主は舞うことを禁じたのだった]
……あ、夜光が。
[広間に戻れば、蓮殿の主に酌をひとつ。 舞台で舞うは友人だった――焔鎮める雨を みる]
(@32) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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[少しばかり、今は亡き人を語るには、 ぶしつけな物言いだったかと、 一瞬降りた沈黙に、目蓋を伏せる]
――申し訳ありません。 舞のことなれば、つい遠慮というものを忘れてしまって。
[酒精と共に何か飲み込むように、 口唇の杯に寄せる様を見つめれば。一度広間を見渡して]
あの、では私は主様の元へ――、 本郷様、どうもありがとうございました。
[傍らを辞することを願い出る、 その鉄色の飲み込んだ何かは気になっていたのだけれど]
(@34) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[蓮殿の主より辞することが叶えられれば、 またひとつ頭を下げて――面を上げたところで、
名を伺い損ねた、 その花主と一度目があった。]
――……あ、
[言葉を交わした時は、覚えなかった何かがざわり湧き上がる ――それをこらえて慌てて高峰の君へと頭を下げた。
似ているから、なの だろうか]
(@37) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[高嶺の姿にどこか怯えたように立ち上がり、 “主”の姿を探せども、その姿は既にこの場に見えず ――落ちつかなげに辺りを見回していれば、広間を辞そうとする夜光の姿。
その内落ち着いて話が出来ればよいと思う。 せめて彼には、よき主に出会って欲しい……そのように、思って]
―――……、 いえ、わたしは
[今は、己を舞わせてくれる主がいるのに、と。 せめて、などと過ぎった思考をいぶかしむ]
(@39) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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[姿なければそのまま夜光の後を追うように、 広間を辞して、――深い己の裡に沈みながら、 回廊を歩んでいれば、響いた水音にふと意識を引き戻される]
――……鯉? にしては、大きな音 のような……?
(@42) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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[去り際、問いかけられた高嶺の言葉には小さく頷いた、 頷いて――生じた違和感をかき消そうとする、のだけれど。 けれど、逃げるようになってしまった感は否めなかった。 その理由は、己自身にもわからない。
池之端、水面に映る月を望んだ鳥が一羽、 濡れて見上げる今宵の幾望は、霞の月か朧の月か]
――…大丈夫、かな
[庭には下りぬまま足を止め、 遠く水鳥の姿を見た]
(@43) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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[――視線は揺らぐ、鳥のその近く 在るもの、 乾の御坊ではない、もうひとつ の存在 酷く胸騒ぎがして。]
―――……、
[離れたい、と思う前にその場から足は動いていた**]
(@44) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 02時半頃
[眠っているとは知らず]
高嶺が鵠と華月を摘もうとしているらしい。
さて、これをどう見るか。
高嶺はもう少し、慎重に剪定をする男に見えたがな。
―――…んぁ?
[聞こえた通信機器をとうした声
意味もわからず返した声は眠そうな声だった]
寝ぼけてやがる。
それとも色事の最中か?
[くくくと笑いつつ…。]
――……かんぴょーまき
[敷布にまるまるロビンに添い寝中と
言いたかったらしい。
うとうと眠る青年は聞こえた笑いに答えた]
かんっぜんに寝ぼけてるな。
かんぴょう巻もってこいってか?
[そして、かんっぜんに勘違いした。
大広間の食事の中にかんぴょう巻があるかどうか探している。]
えーっと、かんぴょう巻あったけど、切れてないな。
まぁ、あとでもってってやっから、端っこから咥えて食ってくれよな。
[声は多少エロくなった。たかがおっさんだった。]
[違う][違うのだが]
……………はら、へったぁ…………
[宴で酒しか口にしなかった青年は
若い食欲には勝てず
夢うつつにそう反応した]
……うん、そーする、あり、がと
おもて、ざ、しき、ロビンにも………
[えろい含みにも気づかぬまま、
ぼんやり頷いて笑みながら礼を溢して]
[まだみぬ干瓢巻きを夢にみつつ、
また眠りは深くなり次にかえるは寝息ばかり]
[半分以上寝てる青年にくわえさせたら
*寝ながら食べそうだ*]
表座敷な。
他も見繕ってもってきてやらぁ。
[と一応言ってるけど、食べながらだった。
片や寝ながら、片や食いながら。
だけど、それでも仕事はちゃんとやるつもりである。**]
[そして散った花のあとに咲くのは
生あるものを惑わせからめとる、毒の花]
我こそ
巷に流れる噂の花
月夜に、艶やかに咲き誇る――私の名はイビセラ。
愚かな駒鳥は、もう要らぬ**
[月の光に当てられて、思いは胸を焦がすのみ。]
あぁ…このまま穢れず美しいまま、永遠にわたしの中に納めてしまいたいのに、
この子が穢れに染まりきり、艶やかに色を変えるさまにも心惹かれてしまう。
[喰らってしまえば、永遠にそのままを留めて置けるけれど…]
永遠など……生有るものには訪れぬ
[宵待月冴える夜
薄い笑み零し、聞こえた音を拾うは
泡沫に消え行く名も無き花でなく]
死と生が、我等が力
そうでしょう
満月の前夜の小望月――…子持月
……臨月は訪れた
明日はお目見え出来ようか
この声届く貴方方に**
満ちては欠け、また満る、空に輝く月が如くに、
せいを喰らいて死出へ導き、新たなせいを蒔く我らなれど…
[複雑な胸の内は、焦がれる痛み。]
花ひらくを、楽しみに待っているよ。
…何の花が開くかと思えば
[まどろみの中に聞こえた聲に小さな欠伸が一つ。
気だるげな声は数拍置いてから]
見えるは"晩餐"の時にて。
……愉しませてもらおうか。
[低く、哂う]
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