21 潮騒人狼伝説
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必然、ね。
……どっちにしろ、今の僕らに友情なんてないだろう。
僕らは。
ただの共犯者、だよ。
ソウ?俺にはアルと思うよ?友情ってヤツ。
ホラ、腹がへったら俺のハラに収まってくれるありがたいソンザイってやつだろ?友情って。
[おびえるアイリスを目の前に、心地よさそうに赤は笑う]
ドンナ 顔してコロセバ イイカ … ナ……
[「ケモノ」がまた大きくなっていく。
多分、夜の「狩り」はまたひどく食い散らかすことになるだろう。
また「ヒト」の部分が少し、崩れた。
「ガシャリ」とガラスの音を立てて]
[ばくばくと早鐘のようになる心臓の音は声にまで乗る。
隠れずに人に手をかけることはなんてオモシロイ。
その場で殺さず、自警団に引き渡すことになったとしても
「ケモノ」であふれた頭の中が「ヒト」に切り替わるまで
ただ暫く立ち尽くすのみだろう。
でもその脳裏はなんともいえない奇妙なモザイクがかかっていて。
沢山の赤色が、ドブ色の水と混じったような異臭さえ感じる。受ければただ悪寒と悪心、グロテスクさだけを催させた]
[今日の狩りは恐らく花菱以上に凄惨さを極めただろう。
ミッシェルやサイモンがその場に居ようと居なかろうと。
それだけ、あのコロシの手伝いは心地よく、アイリスの悲鳴は甘露のようで。それだけで泥酔した脳裏は完全に自分を手放していて**]
[いたって冷静な身体に、ベネットの興奮が囁きに乗って染みこんだ。
心臓の音が聞こえてくると、こちらの身体まで熱くなる。
初めて囁きを、鬱陶しいと思ったかもしれない]
……そうだね。
僕にとっても、「人狼」に見合わなくなったら殺して、身体そのものを「絵」にできるしね。
[思わず、先刻の軽口に、あきれかえった声を返した]
[十分な休息を取れれば、
夜中は早めに起きて、あの大きな獲物の姿を探す。
あの忌々しいケダモノどもの機先を制するために**]
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