124 Acta est fabula.
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─ 昨夜/客間 ─
[雨音のみが響く客間で、被っていた帽子を右手で外す。 猫毛のブロンドが帽子と共に持ち上がり、帽子が完全に離れると柔らかな軌道で元の場所へと落ちた]
……………
[サイドチェストの上に帽子を置き、着替えもせずにベッドへと仰向けに転がる。 もう怯えずにゆっくり休めると思うと、すぐさま睡魔が訪れた]
……─── ヴェラ師匠 ──
[慕っていた人の名。 人狼だった者の名。
眠りに落ちる刹那、前髪の奥で雫が一つ、ベッドへと零れ落ちた*]
(55) 2013/06/06(Thu) 17時半頃
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─ 翌朝/客室 ─
[雨音響く中での目覚め。 男はうつ伏せた状態で目を覚まし、前髪の奥で眉根を寄せる。 全て終わったはずなのに、昨夜見た夢は赤に彩られていて。 それは男に最悪な気分での目覚めを齎した]
………………………
[無言のままで起き上がり、着替えるべくシャツに手をかける]
(56) 2013/06/06(Thu) 18時頃
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[男は何故自分が裸で横になっていたのかが解らなかった。
昨夜は確か、着替えるもままならず睡魔に襲われ眠りについたはず。
不可解な現象に首を傾げながらも、思い起こすのは昨夜見た夢。
妙に現実味を帯びた夢だった。
目の前に広がった紅い海。
その中に斃れる一人の男性。
獣の傷跡。
それらは何度も見てきた光景ではあった。
否応なく見てきた光景だった。
こびり付いた記憶は安寧を許さないとでも言うのか。
あまりの気分の悪さに、男は無意識に深く溜息をつく]
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[緩慢な動きでの着替えの最中、雨音に混じり扉をノックする音が響いた>>45]
…… 起きている
が、 着替えの最中だ
急ぎの用なら そのまま
[着替えの手は休めずに、扉越しに話を聞くと伝える。 扉越しであることと、雨音が声の邪魔をしたが、告げられた内容はしっかりと男の耳に届いた]
────!!
…… 着替え終わったら 直ぐに行く
[信じられない内容だった。 その目で確かめるまでは、実感も湧かず。 着替えの手を早めながらミッシェルへと返した]
(57) 2013/06/06(Thu) 18時半頃
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[扉から気配が離れた後、着替え終わった男はサイドチェストの帽子を手に取り、頭へと被せる]
……… どういう ことだ───
[困惑を宿しながら廊下へ出ると、告げられたベネットの部屋へと急いだ]
(58) 2013/06/06(Thu) 18時半頃
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[シメオンの声が聞こえ、その気配が近づいた時も>>27 男は立ち尽くしたまま、振り向かなかった。 笑い声が、その叫びが、戸を打つ音の喧しさが 耳を突いても、なお。
それは冷静さを取り繕う為では無く、 そんな余裕も無い程に茫然としていたため。]
そう、だな。 人狼はまだ、生きている――処刑せねば、な。
[彼からそう一方的に告げられた時に>>29、漸く、 自分が狼か否かは告げぬまま、小さく呟いた。 それでも、シメオンのひきつった笑みに 顔を向けることは無く。 無表情を通り越して、凍り付いた男の表情も、 きっと彼には見えていない。]
(59) 2013/06/06(Thu) 18時半頃
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[それから現場に来たミッシェルにも、振り向かなかった。 崩れ落ちた姿>>34に差し伸べられる手も持たぬまま。 シメオンとの言い合いにも、口を挟む余裕は持てなかった。
彼からフィルの名を久しぶりに聞けたことにも>>39、 その声の小さな震えにも、瞬き一つ、できなかった。 そんな彼がナイフを取りに外へ出ていくのを、 止める理由も、持ってはいなかった。]
あぁ。頼む。
[ミッシェル>>40の視線を受けても未だ顔を向けられぬまま、 知らせてくる、という言葉に、頷くでもなく是を返す。 如何してシメオンがこんなにも笑っているのか、 それは彼自身がこの場で答えていて――。 この時この場で、男が思うところを述べることは無かった。]
(60) 2013/06/06(Thu) 18時半頃
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[男の脚は動かない。 それは現状を全て受け止めようとしていたからであり、 死んだ彼の幼馴染にも、その死が突きつけられる、 その重さが胸の内に過ったから。
報せを受けて部屋に駆けてきたミルフィの声>>51。 ほんの少しだけ、遮るように手は動いていたが、 触れることはできないまま。 ベネットに駆け寄り、血染めのまま彼に呼び掛ける姿も 言葉無く見詰めることしかできなかった。]
――――…
[ここで漸く、落ち着いた表情を取り戻した。 今のミルフィの姿を見て、己が確りせねば、と思った故。 死者の前に居る少女にも意識を向けながら、 男は、戸口の方に居たミッシェルに振りかえった。]
(61) 2013/06/06(Thu) 18時半頃
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――正直、今のシメオンは危ういと思っている。 笑うしか出来ないやつに、冷静さがあるとは思えんさ。
[話し出すのは、さっきミッシェル>>40に答えられなかったこと。]
確かに、この中の誰が人狼かなど 俺たちに見極める術がある訳じゃあないが。 あのままだと、本気で全員皆殺しになりかねない。 そうなることは避けたい、が――。
[そのうちに、ブローリン>>58の姿も見える頃か。 怖れられ、疑われさえする程の冷たい無表情。 今のチールーの面持ちは、まさにそれだった。]
(62) 2013/06/06(Thu) 19時頃
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黍炉は、ミッシェルの瞳を覗き込むように、視線を向ける。**
2013/06/06(Thu) 19時頃
宝飾交易 黍炉は、メモを貼った。
2013/06/06(Thu) 19時頃
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[戸口の所で、膝をついていた。 ミルフィの声が聞こえる。
と、口を挟まなかったチールーがようやく振り返ってこちらを見た。 その顔には色がなく]
わかってる。けど、今のシメオンには何を言っても届かない気がする。 わからないのなんて、今までも、そんなに大差なかったわ。でも、今度はもう……。
[皆殺し、その単語に一度目を伏せて、それから開く。 覗き込むようなチールーの眸に、シメオンとは別の怖さを感じて]
そんなこと言ってるチールーの顔だって、怖いわよ。 何も、感じてないみたいで。
[そう言って首を振った]
(63) 2013/06/06(Thu) 19時半頃
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でも、……そんな顔になる気持ちは、なんとなくわかるわ。
[泣いてなどいられない。笑えるはずもない。誰に怒りをぶつければ良いのかもわからない。
なら、どんな顔をして良いのかわからない。 ベネットがそこに転がっていなければ、悪夢は終わったのだと、思って*いられたのに*]
(64) 2013/06/06(Thu) 20時頃
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[胸は酷く痛むのに泣けない。 ミルフィの心のひずみがまた大きくなる。 人狼に襲われたと思しき傷跡がベネットの致命傷と 現場を見たものならすぐにわかるだろう現状。 そのベネットに縋り付いて、肩を震わせて幾度となく 彼の名を呼び続けていたけれど――]
…………っ。
[チール―とミッシェルの声が少しだけ遠く聞こえて のろりと上体を起こし、顔をあげる。 遺体となった幼馴染に触れていた手足は血に染まっていた。 じ、と赤く染まる己の夜着と肌を見詰める。]
(65) 2013/06/06(Thu) 20時頃
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あ、あ。
[遺体となった幼馴染に触れたから血に染まった。 そう記憶し理解しているのに己が殺したような錯覚に陥る。]
ベネットを殺したのは私。 私が人狼だったのよ。
[ぽつりと呟くように落ちる事実でない告白。 言葉にしてしまえばミルフィにとってそれは真実のように思えた。]
ふ、ふふ。
[壊れたような、感情の篭らぬ薄い笑みが漏れる。]
(66) 2013/06/06(Thu) 20時半頃
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[ベネットの部屋には既に人が集まって居た。 シメオンは既に外へ出たようで、その場に姿はない。 開け放たれた扉から鉄錆の臭いが漂い、男は前髪の奥で眉根を寄せた]
──────── っ
[人々の合間からベネットの部屋を覗き込む。 咽返る臭いと目の前に広がる光景に息を詰まらせた。 たじろぐように、足が一歩、後ろへと下がる]
…… Mein Gott ……
[掠れた低音が、驚愕と動揺を孕んで零れ落ちた]
(67) 2013/06/06(Thu) 20時半頃
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[男はこの光景を見たことがあった。
数日前の記憶などではない。
つい最近───そう、昨日だ]
─── あれは ベネットだったのか?
俺が見た あの 夢は
[現実味を帯びた夢。
否、夢と思っていたそれは、現実]
─ 昨夜 ─
[男《獣》は夜半に目覚めた。
自由に動く身体。
箍が、本能が、限界を迎えていた]
オォーーーーーン ────………
[高らかな遠吠えは夜半に強まった雨音に紛れ、他へは届かない。
遠吠えが掻き消えると、身体がじわりと変化し始めた。
皮膚は数多の獣毛に覆われ、口端は引き裂け、頭部には二つの突起が現れ始める。
身体が縮み、着ていた服の中にすっぽり隠れてしまうと、その中から毛もくじゃらな物体が這い出てきた。
元の体躯に似合わず、仔と言っていい大きさの、ダークブロンドの毛並みの狼。
すの姿に不満を覚えたか、男《獣》は身震いをしてもう一つの姿へと転じた。
人と狼、両方の形を持つ姿に]
[物音を立てても雨音で消される悪天候の中。
男《獣》は廊下に出て贄(エ)を求めた。
渇きと空腹が極限へと達し、もはや我慢の限界で。
贄(エ)を物色する時間も惜しみ、手当たり次第に襲おうとするほどであった。
その矛先となったのは、ミルフィの幼馴染であるベネット。
襲うのは誰でも良かった。
渇きと空腹が満たされればそれで良かった。
目覚めたての仔は、返り討ちになるリスクも省みず、ベネットの部屋へと押し入った]
[獣の本能とは良く出来たものである。
贄(エ)が声を上げられぬよう、真っ先に牙で喉を喰い千切った。
口の中に広がる血肉の味。
周囲へと撒き散らされる濃厚な香。
待ち望んだものを一気に飲み込むと、唇だけで喘ぐベネットを床へと引き摺り倒し、骨に覆われていない腹部目掛けて顎門を大きく開いた。
グチャ ピチャ ゴリッ
柔肌を牙で引き裂き、腑を啜り、勢い余って骨を噛み砕き。
心行くまでベネットの血肉を貪った。
男《獣》は満足すると紅い海に斃れるベネットから離れ、仔狼の姿で毛並みについた紅を舐め取り始める。
夜中に廊下を通る者は居らず、その光景を見るものは居ない。
紅で寝ていた毛並みを立たせると、四足で立ち上がり事切れているベネットを見詰めた。
シ《死》を齎すシ《紫》の瞳。
普段は前髪に隠れているその瞳で贄(エ)となった者を一瞥した後、仔狼は半人半狼の姿へと転じ、発見が遅れるよう部屋の扉を閉めた。
そうして開け放したままだった自分の客室へと戻り、扉を閉めてベッドに身を投げ出す。
うつ伏せに転がる獣の身体は、眠りに落ちるうちに人のものへと戻って行った*]
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[紅い海に斃れるベネットに釘付けになっていた顔がチールー>>62とミッシェル>>63へと向く。 彼らの会話からシメオンの様子がおかしいと言うのは知れたが、それよりも何よりも。
チールーの冷たい無表情が。
騒動の最中の感覚を呼び戻し、背筋を寒くさせた]
────〜〜〜
[言葉を発することが出来ず、前髪の奥で困惑の表情を作り。 交互に、チールーとミッシェルへ顔を向けていた]
(68) 2013/06/06(Thu) 20時半頃
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おれが ベネット を ────
そんな 馬鹿な
俺が 人 狼 …… 師匠と 同じ ───
おれが 俺が おれ が
[男《人》は自分《獣》を知り、嘆きの声を上げた。
人狼として覚醒した理由は知らず、ただ血肉を求める存在であることを認識し。
目の前で為される会話に恐々とする。
追う側から追われる側へ。
再び訪れた死への恐怖に、シ《紫》の瞳が収縮した]
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[下がる眉尻を前髪で隠したまま、耳に届いた声>>66にミルフィへと顔を向ける]
─── ミルフィ なにを
[言っているんだ。 そう続くはずだった声は彼女が浮かべる表情を目にして途絶えた。 人狼だと宣言して薄ら笑うミルフィもまた、男の背筋を寒くさせて。 平和に戻りつつあった感覚を、否応なく悪夢の只中へと引き戻していく]
(69) 2013/06/06(Thu) 21時頃
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…… また 殺さないと 殺さないと いけない
ミルフィが 本当に
だとしたら ────
[もし人狼ならば。 生きるために殺さなくては。
まともな思考が出来る者など、この状況でどれだけ居るのだろう。 少なくとも、男の思考は麻痺し始めていた]
(70) 2013/06/06(Thu) 21時頃
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──── 殺さないと
人を 殺して 殺して
いきるために 殺して 喰らって
今までと同じように 殺して ころ して
[人の思考と獣の思考が入り交じる。
追われる側に立つ恐怖は複雑な思考を行うのを拒否して。
全てを喰らい障害を取り除こうと、男は単純な思考に支配された]
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[どうしてサイラスが処刑されねばならなかったのか。 どうして私でなくサイラスが。 どうして、ベネットでなくサイラスが。 どうして――、サイラスでなくベネットが生き残ったの。 そんな理不尽な思いがあれから消えなかった。 幼馴染の二人をとても大事に思っていたのに 片方が居なくなってしまってその均衡が崩れてしまった。]
――――。
[ブローリンの声が聞こえて、ゆらと立ち上がる。 血に濡れたままの姿で伏せた眸はどこか虚ろ。]
きっと、そう。 私が人狼だからベネットが死んでしまった。
[殺したと先ほどは言ったのに 今度は死んだと幼馴染の死を表現する。 揺れ動き、軋む精神は言動にもじわりと影響を及ぼしていた。]
(71) 2013/06/06(Thu) 21時頃
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──── ミルフィが 人狼だから
[言葉の違和感には気付かぬまま、自らが人狼だと言うミルフィ>>71の言葉を男は繰り返す。 喩えまともに思考が働き、先程とのニュアンスの違いに気付いたとしても疑心暗鬼になるのは否めないだろう。
誰が人狼なのか、判ずる術は失われてしまっているのだから]
だったら ミルフィを殺せば ………
あぁでも ─── しまったな
外に 捨てちまった
[容疑者を殺すのに使っていた愛用の鉈は雨が降りしきる中に投げ捨ててしまった。 今この手に、ミルフィの命を絶てるものはない。 方法が無いわけでもないが──それを許してくれるのかどうか]
(72) 2013/06/06(Thu) 22時頃
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[生きていても幼馴染たちには会えない。 死んだとしても彼らに会えるとは思えない。 生と死のどちらも望まず周囲に委ねる。
人狼ではないだろうと正気の己が思う。 けれど狂気に歪んだ思いが想像を口にしていた。 終わらぬと思いながら、終わるとも思う。
逃避が犠牲と罪を周囲に与えるのだと頭の片隅にあるのに これまでの事で知っているはずなのに――]
(73) 2013/06/06(Thu) 22時頃
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[ようやくミルフィが立ちあがると、その身体は赤く染まっていた]
ミルフィ……着替えた方が――……何を、言ってるの?
[殺したのは私だと、言い始めたミルフィに眉を寄せた。漏れる笑みはシメオンが見せたものとは又違う色を帯びていて]
本当に? でも、さっきのあなたは知らないように、見えたわ。 ねえ。
[その言葉が、変わる。殺したから、死んだ、へと。それがどういう意味を持つのか]
あんたが本当に人狼なら、どうして今ここでそれを言うの? 殺されるとわかって、どうして。
[逃げてしまえば、それで良かったはずだ。ここで告白する必要は、あったのか]
(74) 2013/06/06(Thu) 22時頃
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