25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[やや、あって。少し俯いてこう答えた。
「……媚や、…――艶で囲われようとするなら それはもう、己は己の矜持を捨てることに他ならない。」
芸で 認められ 芸を究めようと願う 己から、外れるのだと云う。 それは狭き道だろうが。
「万一、そう、なったなら。 きっと相手は気に食わぬ花主になる。 ……気に食わぬ相手に最初をくれてやるくらいなら――」
逸らしていた紫苑の双眸を苔色に合わせる。 続きは曖昧に、唇を引結び、
「――…もしもの、話だ」
云ってから、踵を返し酌へと向かう。 後に残る、鈴の音。]
(304) 2010/08/03(Tue) 16時半頃
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なるほどな。
言いたいことはわからんでもない。
お前はお前だしな。
[暗い声に少し、声はまっとうになる。]
じゃあ、言い直そう。
殺されるな。
身体だけじゃない、心もな。
[そして、しばし沈黙したあと]
とっておきを貸してやるから。
[そう告げた。*]
…肉を。
[食らいたいと願う。
あのように追い立てられては、たまらない]
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―大広間>>308―
――…、…? …戻ってきません ね。
[天満月は明之進に興味を持ったろうか。 器が干されたなら次の茶を注ぐ。 ふわと香る香りは高い。]
…時折、…姿見えなくなることはあるのですが。 また、…戻ってくるとは思います。 かれは主様に連れられて、こちらへ来たのだとか。
(311) 2010/08/03(Tue) 17時頃
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[子を為して大成するか、食い殺されるか、二つに一つ。
それゆえ高嶺を名乗れぬ花は、2つと居らぬ高嶺の花と。]
…食ってみたい男でも、見つかったか。
[不意に投げてみる声。
特に目的があるわけではないが。
花祭に出入りする関係、
あの人食い花とは何度か面識もある。
当然、共に"食事"をしたことも、だ]
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―広間― …はい。
[舞台袖から現れぬ花。 視線を天満月へと戻し]
お気に召して、何よりです。
[豚に関しては同感だったが、 あえて何も謂わなかった。褒めるのは、癪だ。]
明之進の主様は――
[一拍、間]
…まだ私もお会いしたことがなく。 彼を伴って来た後、何かしらあって、遅れて居られるのやもしれません。
(317) 2010/08/03(Tue) 18時頃
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…乾様も、お父上同様…血は争えぬようで。
このまま色に狂うなら、容易に手の内に落ちましょう。
[嬌声に混じって聞こえる囁き声。]
良い体つきをしておりますし…寺にて節制しておられるのなら、味の面ではあなたのお気に召すのでは?
乾?
…ああ、あの色坊主の。
[小さくわらう。
引き締まった、と聞けば幾らかは
興味があった]
脂身が多いのは好かん。
わたしは悪食ですから…脂のしっかり乗ったものも嫌いではありませんよ。
それに…祭りにて喰らうはただのエサではないのですから。
[子息を送り込んできた家のいくつかは秘密裏に、その子ではない世継ぎを望んでいる場合もある。
当人たちはおそらく知るまい。]
[熱が身を侵食していく
満月が
近い
少年は夢うつつ
真っ赤に染まった先を垣間見る]
肉を――…喰らい、種を植えつけて
[裏の路地で
望まず生まれ、捨てられる子供たち
この世界に何故、底辺と呼ばれる其れ等があるのか
知っている
知っていた]
壊す
この世の理
[遠くに会話を聞きながら
さらに深く、夢の奥へと堕ちていく**]
…わかっている。
[食うだけではない。
その言葉がどういう意味なのか]
…ああ、もうすぐか。
[さざめくような声。
もうすぐ、またひとつ人喰らいの花が咲く]
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祭りはまだはじまったばかり、 …戻ってこられれば、 お話もできましょう。
[――出来事を繕いながら、口にする]
――天満月様は 花祭は初めてでいらっしゃいますか…?
[傍に控えながら、 首を傾げれば――りん、と鈴が 鳴った*]
(319) 2010/08/03(Tue) 18時半頃
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―大広間―
―――失礼を、 芸を所望される方が居りますれば。
[天満月にそう云ってから、 その場を離れ舞台へ向かう。 手にしたのは翼がごとき白い絹。 鈴の音ふえて涼やかに ちらと高嶺を流し見る紫苑色。 高嶺のいう“ありきたりの芸”のありきたりでなさを見せんと思えど表情は澄ました余所行き。 共に舞台に上るものは在ろうか。
―――りん。]
(329) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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呉服問屋 藤之助は、負けず嫌いな面がある。長い腕を差し伸べて飛べない翼を広げ。
2010/08/03(Tue) 21時頃
……イアンの心は主が亡くなった時に、
既になくなっております。
[ぽつり、そう零せど、すぐに小さく笑って]
なんて……殺されるようなへまはいたすまい。
[取って置きのの言葉には嬉しそうに笑みが零れる]
……殺すな等とおっしゃるから
太刀を拒否されるのではないかと危惧しました。
今、受け取りに参ります。
お時間よろしければ、部屋にお帰りください
ああ戻る。
だが、こころはな、なくならぬよ。
それにそういうことを奴は望まないと思うがな。
[それはさりげに、実は知っていること、告げた。]
……なくならなくても……いりません
それに……主の真意は今となってはわかりません……
[高峰の言葉同様に、主の意思を推測する言葉へは
そうとだけ零した]
――其は、幾多の言霊
其は、この世ならぬ鳥のうた
それから
其は、この私よ
愚かなロビン
[つかの間の歌は
途切れ
脳裏で
哂うこえが
する]
そうか。
じゃ、しばらくは、俺に預けておけ。
仕事中は、以心伝心しておかないとだからな。
[さらりと]
…………
[預けておけといわれて、はいそうですかと
言えるほど人に甘える性分でもなく
仕事も絡めば露に拒絶するほど頑なでもなく
返事に窮して俯く]
……先程触れて確かめるとも
申し上げましたし
[そう言って自分が軽口で交わした約束を
律儀に守ることを口にしながら話題をそらした]
[親は天性の誘惑者だった。
何故彼が裏町に居たのか、知る事は結局無く
教わった事といえば満月の夜毎行われる――
多才な芸妓を持つ花と
その稽古を身につけたのは少年なれど
型どおり
譜面どおりの所作
毒花咲かずしては凡才に留まる
噂のロビンは、少年の内で眠る朱いろの花
芽吹くときは、もうあと僅か]
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―大広間・舞台― [鵠の舞いに歌はない。 彼自信が歌わぬからだ。 煽るような視線に返す紫苑色。
大きく広げた白く透ける布、 鈴の音ともない空へと舞った。
――――りん、
鈴の音が揃い地にあるからだが鳥のようにふわりと飛んだ。
白き鳥の舞の“動”。
布を手に巻き取り地に降り立つときも音は少なく。 ]
(349) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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お前は、本当に正直なんだな。
まぁ、いい。
[冗談交じりの件を、また新たに口にしたときは、小さく息をついて…。]
無理せずともよい。
俺なんぞ見なくても触らなくてもよい。
お前の手と目を大事にしてやれ。
[一途な花というものを感じている。]
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[この舞の物語、 最後に白い鳥は地に落ちる。 惑う人の手により討たれるのだ。
死の縁で歌う“白鳥の歌”を、 鵠はこえではなく 竜笛で奏でた。
―――天高く。
其処までで、 舞は終わる。]
(352) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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……そのように、育てられております
[主を知っているならば、主が信仰する神と教義
それも主を通して知っているだろうと]
……無理を、しているつもりはありませんが……
[大事にしろ、そう言われても
大事にする意味を失っている青年は
頷くも否定も出来ず
また返事に窮しそれだけを零す]
ああ、そうだな。お前は何も悪くない。
亡くした主のため、すべてを込めていくのは、花として幸せなのかもしれん。
ああ、そのとおりだ。
余計なことばかりを言ってすまないな。
まぁ、気にするな。
[本当に見えぬのならば、だが、
見えて見ぬのなら、それは、何かが違うと思った。
そして、その事実は、ひさびさに気分を落ち込ませるものだったが、気にしても仕方ない。]
…………はい。
[眼前の仕事仲間の口にする言葉に
青年は何度も返事を窮し]
……例え、あの人が望まなくても
それでも私の咲き方です。
私が選んだ以上、私が悪くないとは申し上げられません
……が、おっしゃるとおり幸せだとは、思います。
[それでも、外を眺める刷衛を紅で見据えながら
静かにそうと告げて
例え己が目を塞ぐ様子が
他者の気を塞いでも……己に積はないとは言わないが
曲げることはない]
[ふと、こちらを見ているのに気がつくと]
おまえ、見ないといっただろう。
見たのなら、笑え。
見たのなら、貸した代償は払ってもらうぞ?
[今度はふざけた声になる。]
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―広間・舞台― [夜光が合わせてくれていたのは 舞に集中する中でも気づいていた。 笛の音、鈴の音。 けれど白鳥が事切れるこの音だけは ――譲れずあったから。
りん。
鈴の音鳴らして向いた先、 華月が居る。]
…――
[少し上気した顔で小さく頷き 彼に場所を譲る態]
(369) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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