162 絶望と後悔と懺悔と
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― in the distant past ―
[知らぬ気配が近付いているのは気付いていた。
その頃側に仕えていた吸血鬼達の自信を、
容易く見知らぬ鬼は崩して姿を見せた]
ようこそ、私の城へ。
歓待させて貰おう。
[部下が幾人か潰され掛けたと言うのに、
彼女を迎える表情に怒りも焦りも無く、ただの笑み]
久しぶりに部下達の顔色が変わる所を見れた。
礼を言おう。
[単純明快な理由を口に、彼女に拍手を贈るのだった**]
歓迎ですか、まあ嬉しい。
[そう言って微笑む。
その頃から黒のレースをふんだんに使った服の趣味は変わらない。
部下の顔色が変わるのを見て、礼を言うという風変わりな目の前の始祖を見つめて。それから周囲の吸血鬼を見回してから。]
では、立ち話もなんですし。
お茶でも出していただけます?
[人を喰ったような態度、それはこの頃から変わらなかった。]
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――……。
[終わりにする。 それは何を?
いや、今更そんなこと考えても仕方がない。 そう思った時、思考を閉じる]
――……
[沈黙に落ちれば、あとおしゃべりをし始めるのは、九節鞭。 片方が輪を描きながら、まずは放つ打撃は真上から。 それが地をえぐるタイミングで、もう片方が下方よりリーの白月を狙った。
外れれば、また連撃となる。
速さと同時の打撃、周やリーに比べれば非力な部分をカバーしようとする九節鞭。 その武具を選んだ理由は、やっぱりホリーだ。
あの、5年前に見た、ホリー・ニルヴァーナの速さと、その剣技に対抗すべく、彼は鍛えてきたのだ]
(155) 2014/02/16(Sun) 20時半頃
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サミュエルは、もちろん、簡単に当たるなどと思わない。
2014/02/16(Sun) 20時半頃
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>>156
[手を狙ってくるのはわかっている。 その懐に、あえてまっすぐ入り込んでくる。 避けるのではなく、持ち手の底で環を受けて反動でその腹を蹴りあげようとする。
一瞬、だが、そこから溢れていた夥しい血を思い出せば、眉を寄せるが。 ヒットアウェイ、もし当たらなくとも、距離を取ろうと。 そして、尚、追撃しようとする]
(158) 2014/02/16(Sun) 21時頃
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[あくまでも抗おうとする魂の強さ。
その強さ故、苦悩が長引くと知っていた]
お前の敵は人間だ。
そして人間の敵は、お前だ。
[何度も何度も繰り返す同じ命令は
何処までも冷たく重い鎖の如く、周に絡んでいく]
― in the distant past ―
[黒のレースの衣装を纏った少女は、
人形の様なあどけなさと美しさがあった。
こんな小娘にと牙を剥く部下を制し]
なかなか遊びに来てくれる者もいなくてね。
退屈していたのだ。
気が利かなくてすまなかった。
お茶か。
これで良いか?
[恐れる事無く茶会を望む少女にから視線を外す事無く。
牙を剥いたばかりの吸血鬼の首を落し、微笑んだ]
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>>160
[腹にヒットした蹴りのまま、逃げようとした時に、 リーの放った蹴りは白玉環をこちらに飛ばす。 その動きは変速で、限り避けたつもりだが、さくり、頬を掠め、山吹色の髪が細かに散る]
――……ッ
[だが、それでも目は開いたまま、視線はリーの着地点を追いかけて、またその鞭を放った]
(164) 2014/02/16(Sun) 21時半頃
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>>165
[鞭の切っ先がリーの胸を貫いた。 それは彼も吃驚したようで。
もちろん、そのまま繰り出していれば、きっとリーは避けることができただろう。
その鞭がリーの胸の前で伸びたのは……。
貫いた鞭を引けば、リーの身体を引きずることになる。 手繰れば、繋いだ双鞭を外し、片手、持ち替える。 それは凶悪な切っ先を向けて、短剣のように]
リー……。
[その胸を貫いたのは、もちろん、対吸血鬼のもの。 じゃら、とリーの命と繋がった鎖鞭の動きが止まる]
(167) 2014/02/16(Sun) 22時頃
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>>168
[リーの胸から腹から血が噴き出したのを見た。 途端、表情が歪み、彼に駆け寄った。
彼がまた投げた渾身の圏。 それは、駆け寄ったがゆえに、あらぬ方向に飛んでいったかのように見えるが、その軌道は、そのまま立ち尽くしていれば、その首は大地に転がっていたかもしれない]
リー……ッ
(169) 2014/02/16(Sun) 22時半頃
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――…はぁ?おまーなにいっで……
[――……どうしようもない。 自分がやったくせに、どうしても顔は情けなく…。 リーが血泡を吹いたのにその頭抱き上げた]
――……妬く?
[そのあと、あほかといいそうになって飲み込む。 何言っているんだろう。友達を殺す、自分のほうがよっぽど…]
っで……おまーは長くいだじゃねぇが。 おでは、おまーが一番の……。
[そこまで言って、止まる。 リーの言葉、妬いた、という意味に、気がついて]
(172) 2014/02/16(Sun) 22時半頃
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リー? おまーは、おでにどっで大事なんだよ。 大事なんだ……。
[マユミと比べた…。それはむしろ逆だと思っていたのに。 リーもマユミを気にしているとかそんな…]
おい、んなごど気にすんな。 おいっ
だからなんだよ…
[リーが言葉を止める。 それが、もしかすると、死んじまうと思えば、 なにかしゃべろと…]
(173) 2014/02/16(Sun) 22時半頃
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残念、……です。
僕が、自由を得たところを、見せたいとは、…思っていましたが。
[期待に応えたかったとわずかなりとも思ってたのはきっと、抗いようがないくらい血に縛り付けられてたせい。
――だけど、本当の気持ちでは、あるんだ]
………、――――。
[やっぱり趣味の悪いお方ですね。
なんて、思っても言える状況じゃなかったから、僕はだんまりを決め込んでしまう]
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>>174
[そして、なにか言おうとしたリーの頭を抱き上げようとしたけれど、 ずるり、滑ったのは、血がそんなにも出てたからで、 でも、なにか言おうとしたリーに向き直ろうとした時]
――……ぇ
[リーの首が千切て、 そして、その身体と頭から噴き出した血を浴びる]
――……リ……。
[ひどく凄惨な、でも、そんな結末を作ったのは、自分だ]
(180) 2014/02/16(Sun) 23時頃
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――……
[そして、肩を落としながら、リーの頭を抱えて、そのまま頭を寄せ……。
ただ、泣きじゃくっていた姿。見ていたのは、白い月だけ**]
(181) 2014/02/16(Sun) 23時頃
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[首と胴体が離れる瞬間のこと]
──……ごめん。
[逃げてしまったこと
家族を家族として思い続けられなかったこと
あがくことすらできなかったこと
守ってあげられなかったこと
伝えきれない程に満ちるのは彼らへの謝罪と
どうか幸せになってほしいという小さな小さな……*]
――――…。
[僕はふと明にーさんの気配を探ろうとしてみる。
同じ“お姉様”から牙を立てられたんだから、“家族”の中ではわりと探りやすいのはわかってる。
直にーさんもそうだったけど……、それ以前に独特の存在感を持つようになってたからなあ]
…、え?
[何か、聞こえた?
数瞬、同じ声が聞こえないかって集中して、でも何も聞こえなくて]
……。
[ホリーが消えた地で、また消える眷属の気配を感じ取る]
それが答えか。
[最期まで抗い、消えて逝く気配に僅かに呆れた様に息を吐く。
これでは何の為にホリーの側に置いたのか]
恐らくお前らしいと答えるのだろうな。
他の者が口にするとすれば、な。
[彼の祈り等知る事も無い。
ただ、また1つ玩具が減った事に少しだけ不服そうに呟いた]
……――
リッキィ……今、何か、言った?
[不意に感じたものが黒百合の声でない事は解っている。
それくらい、己にとって主の死は鋭敏に感じ取れたが、
リカルダの方はそれに気付いていたかどうか。
しかし、だとしても、リカルダの声ではなかったようにも思う。]
何も、言ってないよ。
明にーさんこそ……、何か言わなかった?
[よくよく思い出してみたら、明にーさんの声とも違う気がするけれど]
あと、さ、“お姉様”が最期に言ってたこと……。どうなるのかな。
[口にしてしまえばより実感できた。本当に、消えてしまったんだ、って]
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