25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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っふ……
[微かな吐息を洩らす]
否
惑わしは、これへ。
流石に……聞かせる相手が夢の中では届かぬやも
[謡う相手が違うと、微かに視線を向け]
元より貴方がこの血に惑うとは思わぬけれど
戯れくらいは、如何?
[唇が笑みを浮かべる]
嗚呼、技巧は
物心付いたときより学んだ数だけ、この身にあるが
舞もうたも武芸も――
どれをとっても、風情が無いと師が。
[それ故少年は才が無いと塞ぎ
けれど技巧はあったものだから
やがて其れは形を変えながら人々の噂に上る。
いま奏でるその曲には情景を浮かべる色がつく。
それでも
誰を想った一芸には有らず]
眠る桜を誘うなら……急く事もあるまい
どの道これは、冬を恋うていたのだから
技巧だけは。
流石、花の言うことは違うな。
[く、と低く喉が鳴った。
思うことは他にもあれど]
何だ。
あれだけの大口を叩いておきながら、
夢の中まで惑わせて見せるとは言わなんだか。
まあいい。
[浮かんだ笑みを見たのは、テラスを下がるその少し前のこと。
向けた鉄色は冷ややかな温度のまま]
戯れ?
…気が向けば、付き合ってやっても構わんよ。
何時気が向くかは、知らんがね。
[唇歪めて、微かに嗤った]
花であれば――…技巧はあって当然のもの
凡才と思う定義は其々に
[視線が一度交わる。
温度はどちらも同じ]
嗚呼
意地の悪い
[歪む口元から視線を下げて、頬を染めた。
拗ねた口調で囁いて
やがて春のうたは終わりを告げる]
始末屋 ズリエルは、本屋 ベネットの姿を見かけた。
2010/08/04(Wed) 17時頃
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[ひとつ、音が鳴る それは夢か現か 鳴る音は堕ちた実から落つる紅
ひとつ、実がなる 腐り堕ちた実、手が生え、足が生え、頭が生える 実には大きな種が二つ、 ぎょろりと見開く目玉の種が見つめる先に咲くは
紅い、紅い…果実… 否、 咲いているのは――――…嗚呼、紅い―――]
―――…っ
[視界の先に浮かぶのは紅ではなく、ただの天井。 其処で夢は途切れた。]
(552) 2010/08/04(Wed) 17時頃
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よう、本郷さん。 [扇と美麗な容姿。 朝光の中でさわやかに映る。 まぁ、向こうからは酒臭い男としか映らないだろうが…。]
なんだか、高嶺さんが二輪剪定したらしいが、本郷さんはどうかね。
あと、明はみなんだか?
(553) 2010/08/04(Wed) 17時頃
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― 庭 ― [まどろむセシルの笑みを見下ろし、薄い唇を開く]
……目覚めの歌を子守唄にか 夜があけては仕方の無い事とはいえ
[弦はその間も音を紡ぎ続けていた。 小鳥の囀り 木々の葉が揺れるさま 和楽器には無い音色がひととき庭に華やかないろを添える]
――…
[視線を上げる。 テラスにあった人影が丁度席を立つようだった。 僅かに視線を下げる]
(554) 2010/08/04(Wed) 17時頃
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意地が悪い?今更だな。
[見えなくなった姿を気になど止めない。
止めるはずがない。
強い興味を持てぬのであれば
総ては興味の蚊帳の外]
悔しければ、その気にさせて見せれば好かろう。
魅了し、手玉に乗せてこその───悪の華よ。
[低く喉が嘲る様に震えて、嗤った]
始末屋 ズリエルは、どこかしらから不思議な音色がするな、ときょろきょろした。
2010/08/04(Wed) 17時半頃
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−B棟→本邸渡り廊下前− [庭で楽を奏でていた花が、己の退出に何を思ったかは知らぬまま 男はただ本邸へと足を進めていた。]
…朝から随分と。
[現れた男の挨拶に返そうとしたところで思わず扇を開いて口元を隠す。 パチンと音が響く。明らかに呑んでいると解る匂いだ]
聞いている。と言うよりは、その現場にいたと言うほうが正しいか。 私は…そうだな、面白そうな者は幾らか見ているが、果たしてうまく買い取れるかは、さて。
[どうするかは考えているところ、と言った風体の言葉を返し、 そのあと続いた言葉に首を傾げた]
いや、昨日の舞のあとに話をして…それから大広間で別れたが。 ……余りお気に留めてもらえなかったと、寂しそうな顔をしていた。
[そう告げて、目の前の大男を見やる。 明乃進は、目の前の男の名を主と言う単語から言い直していたから]
(555) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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それでは同じ言葉を。
「その気になれば」魅了に向かおう
[溜息ひとつ。
姿を追う事はしない]
鍵爪で引き裂くなら
背が良いか
腹が良いか
私がこの手にしたいのは
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―椿の間― [窓辺にもたれる陽炎はその音を聴く。 優雅なる弦の音色、春の万花の艶うを謳う]
冬こもり 春さり来れば 鳴かずありし 鳥も来鳴きぬ
咲かずありし 花も咲けれど……
[陽光の眩しさに、その影を濃くしながら、 途切れた歌の続きは、裡にのみ口ずさむ。 青々とした、庭の緑が揺れる]
(@50) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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>>555
ほお、その場にいたのか。 しかし、高嶺さんも意外にせっかちだな。 本郷さんも目をつけている花がいれば、早めに話持ち込んだほうがいいんじゃないか?
[それから明のことをきくと、そうか、とつぶやく。]
あれの主の行方を捜させているが、みつからん。 どうなっているのやら。
(556) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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― B棟・自室 ― [眼を覚ました時には日は完全に昇っていた。 何時もより多く寝た筈なのにちっとも疲れが 取れた気にはならず零れそうになる溜息を飲み込む。
遅い朝餉を持ってきた従者に断りを入れると 寝間着のまま窓のほうへと向かう、聞き慣れぬ音。 対の二輪を選ばれた、そう口にする従者の言葉は 正しくもあり、間違ってもいる。]
――…嗚呼、成る程。
[黒檀を細めて零れた言葉に首を傾げられたが その説明も、従者への訂正も入れずに下がらせる。 思い出したのは、一つの花の言葉だ。 頬杖ついて窓の外を庭の風景をぼんやりと眺める。 髪も下ろし、一見は月下の花主とも見間違う姿。
庭の誰かと目が合っても、此方からは今は声を掛けずに。**]
(557) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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懐刀 朧は、執事見習い ロビンの奏でる音はまだ続いているだろうか。
2010/08/04(Wed) 17時半頃
懐刀 朧は、本屋 ベネット達が噂ばかりしていると、一つくしゃみが出たようだった。**
2010/08/04(Wed) 17時半頃
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― 庭 ―
[テラスの人影が消えて暫くして 弓を下ろした。 音は夏へ向かわず止まる]
……
[浮かべるのは、苦笑い]
良く、寝てる
[隣に座り、楽器を抱えたまま セシルの柔かな髪に手を伸ばした]
(558) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 17時半頃
つまらん事を言う。
[それは幾らか低い声]
引き裂いてまで、何がしたいイビセラ。
腹を裂いて背に傷をつけて。
それで何とする。
[嘲り交じりの言葉は続き、ゆっくりと冷えた音になる]
悪いが、この身はそう簡単にお前にくれてやるほど
安いものではないのだよ。
……嗚呼、私の言葉は何時も足りぬ
[溜息。
苦笑を零す]
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せっかちと言うより、思い切りがいいと言うべきだろう。 どちらも器量は良く、頭もいい。 高嶺の花になるには、十分だ。
[自分のことになれば、曖昧に返事を一つ返しただけだが 明乃進の主の話に零れたのは溜息一つ]
…。 昨日、明乃進は主様、と言いかけて、言い直した。
[ちら、と目の前の男を見れば誰の名前であったかは簡単に解るだろう]
あの状態が続くならどうにかしてやったほうが、よいのではないだろうか。 …あれでは流石に
[可哀想だ、とは言えなかった]
(559) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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鍵爪で引き裂きたいのは別のもの。
此処に
[視線を投げる姿が
相手から見えるかどうかはさておき]
冬を慕う桜を引き裂くならと。
彼の甘い声を聞くか、悲鳴を聞くか
どちらを手にしようかと。
[冷えた音に、変わらぬ音を紡ぐ]
…成程?
お前達の言葉はどうも遠回しで好かん。
[人喰い花独特なのかと思うほどの婉曲さ。
呆れたように溜息をつきながら]
…どちらも叶えればよかろうに。
貴方の身を欲しいとは思って居らぬ
私を試してみるならば、と
誘った裏に他意も無い
未だ、この身を少し
持て余している
所作を試してみたかっただけのこと
要らぬなら――…構わない
|
>>559
ほお、本郷さんのお墨付きならば、それは良い花だろう。 だが、本郷さんはその花らには興味がないと?
さてさて、あんたが誰を所望するかも興味そそられるね。
[そう冷やかしてから、明のことにはうむ、と考える。]
明のような可憐な主と間違えられるのは、光栄なのかもしれないな。 明の主のことも知っているし、行方がわかるまでは身代わりでもいいだろう。
[本郷の表情に、事は深刻かとそう答えた。]
(560) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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思うように、伝えられぬ
嗚呼、冬の名残か
[軽い笑みを含んだ吐息
朝の日を浴びながら、瞳を細める]
花主は欲張りだ
……私には、思いつかなかった
所作を試すなら、霞に頼むが良かろう。
私は、いつ気分が乗るかもわからん。
霞が手いっぱいと言うことであれば、まあ、考えなくもないが。
[やっと手に入れた聞きやすい言葉に
己もまた率直な意見だけを返す]
…欲張りだからこそこの世で未だ法の網の目を抜けて
狼憑きとして生きている。
運動すれば腹も空くと言うもの。
甘い時を過ごした後の晩餐は、特に格別だろうさ。
[低く、嗤う]
|
興味が全くないわけではないが、 かたや謎かけには正論が出ず、かたや舞を見逃してしまったのでな。 舞殿の主としては、己の花には舞えるものを望む。
[それぐらいは言っても構わないだろう。 朽ちた花も舞う花だったのだから]
…身代りの裡に、あれを自由にしてやる事も 考えたほうがいいのではないか。
尤も、これは私の勝手な意見故。 聞きこぼしてもらって、構わんのだが。
(561) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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>>561
舞える者か。 俺はきちんと把握してはいないが、イアン、夜光、そして明かな。
[ご丁寧に絞ってみる。]
イアンは話してみたが、主を見つけるつもりはないと言っていたな。 まぁ、それをその気にさせるのも主の腕の見せどころか?
[そして、明を自由にしてやる、というのには頭を傾けた。]
それは? つまり、主としてあれを開放しろということか。
しかし、明は俺の友人の花だ。 そこまでのことはしていいのか?
[悩ましい顔をする。でも気持ち悪いだけだが。]
(562) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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―廊下→本邸へ向かう途中渡り廊下― [高嶺に逢うためか、どうか。 鈴の音伴って歩く渡り廊下で思い出す。]
(――嗚呼、そうだ)
[時折は明之進を見てやれと頼まれていたと足を向けたのは本邸の梅の間へ。]
…、――
[――りん、と鈴が鳴る。 渡り廊下から庭を見るころにはあの不思議な胡弓にすこしだけ似た音色は途切れていた。 代わりに見えたは寄り添う桜色と冬色と。
――ほんとうに仲がいいのは 彼らのほうではないのか、と。
昨日宴席で華月が視線で問いかけてきたのを、ふと思った。]
(563) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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――…矢張り、意地が悪い。
[拗ねたように呟き]
裏の世で生きるなら
全てを捨てて一つを選べと
教わったのは、間逆
狼憑きが生きるには
常に危険が伴う場所故に。
[薄く哂う]
この足では、激しい運動は難しいのだけれど……
……其れよりも、昨夜の汗を流したい
貴方は――哀れな花の運び手になる気も無い、か?
どうせなら、花遊びに慣れぬお方を誘ってみては?
天満月の御子息とか。
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― 庭 ― [楽の音止めてしまえば、庭には静寂が戻る。 僅かに鈴の音を聞いた。 顔をあげ、ずれた眼鏡をそっと指で押し上げる] ……?
[首を傾ぐ。 戯れに触れていた手をひらひらと手招いた]
(564) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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