36 森の中の小さな村【言い換え無し】
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[重たい溜息を吐き出した]
わかっている。わかっている。 それくらい、私だって、俺だって承知していた。 嫌がられても、泣かれても、いや、力ずくで制しても。
[ぎりと軋む音が鳴るほどに、強く奥歯を噛み締める]
天国の門をあける鍵は、やはり永遠に失われていた。 もがくほどに救いはなかった。
生きるとは、そういうことだ。 肉体は朽ちていく。魂だって覚束なくなる。
[長い間、ずっとそうしていただろう]
(23) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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“女の第六感”を信じていただければ、それが一番早いのですけどね。
[スティーブンの笑みを映すように微笑んで、首を傾げる。 スカートのポケットに手を入れて、中からマッチ箱を取り出した]
信用しなくても構いませんから、協力していただけませんか? 女手ひとつでは分が悪すぎます。
(24) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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死ぬことが、そんなに怖いか。
[そう自問すれば、否とは言えない自分がいた]
まだ死にたくないと思う。 怖いからだ。死ねばどうなるのか、わからないからだ。
[生者の宿命を呪う様に、左の拳を握りこむ。 動かない右の肩からは、怨嗟の囁きが聴こえる気がした]
生きたい。
[浅ましく漏れ出る心根。頬を緩めて苦笑する。 指を失った左手の甲で、ホリーの頬をそっと撫でると 空へ立ち上る炊煙に、ちらりと群青色の瞳を向けた]
(25) 2010/11/22(Mon) 23時頃
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行くか。サイラス。
[少し離れた場所に立つサイラスと目が合えば、 そう言って、鮮やかな笑みと共に肩を竦めた。 不自由な左手で指差すのは、空に映る診療所の煙]
(26) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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……何をするつもりなんだい?
[ 喉の奥で呻くような声。無意識に皺寄る眉間。 一人の大の男が、目の前の女性の雰囲気に気圧されていた ]
チャールズが人狼だという証拠でも見つけたと? そういうこと?
(27) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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[かける言葉は見つからず、ただ彼の行動を待った。 顔の向くほうへと目を向ける前に、チャールズの視線とかち合う。 名を呼ばれ、示された方向へと視線を向けると、あぁ。と、得心したような声が零れた。]
あそこに居るのか。 行かないわけには――。
[ふっと息を吐いて、言葉を止める。 何をするのか、それは理解しているから、力のない声で呟いた]
人間か人狼か、一発でわかりゃいいのになぁ…。 チャールズ司祭も、行くんだろう。あそこに、――誰かを殺しに。
(28) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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ホリーの内蔵があまり "いい" ものじゃなかったせいかな。
腹が減って仕方がないよ。
……君は今日は無口だね。
それとも、殺されたかい?
ホリーのように。
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そうです、と言っても、どうせ信じてくださらないのでしょう? 客観的には何も、証明なんて出来ませんもの。
[入り口にあるランタンに近づいて、マッチを擦る。 三度目でようやく火が灯った]
それでは質問を変えます。 私は先生が人狼だと思っています。 そう言ったら、先生は私のことを殺しますか?
[光を放つランタンを掲げ持ってから、その手の力を抜いた。 ガシャンという鈍い音が床で散った]
(29) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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まあ、そんな都合のいい判別手段などないだろう? 神ならぬ身の我々にはどうすることも出来ん。
[サイラスの反応を見て、指を下ろすと苦く笑う]
薬、ありがとう。 まだ痛いが、君の名誉のために言っておこう。 ちゃんと効いている。サイラスはいい調剤師だ。
[軟膏の礼を言うと、とんとんと指で肩を叩く。 そして、表情を徐々に鋭く絞っていきながら答えた]
ああ、殺しに行かないと生き延びれないからな。 現実逃避者に、現実を突きつけに。
(30) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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パピヨンさんが本当に判別できてんのかもわからないけど、そうやって自分がわかると思っていられるんなら、それが一番いいよなぁ。 ……神、ねぇ。
[ゆるく、口許に笑みを作った。さすがに聖職者の前では否定の言葉は出ない。 しかし、続く褒め言葉に、きょとんとして。]
司祭、あんたいきなり何言い出すんだ。 ったりまえだろ。しっかり修行した薬屋なめんな。 ――まぁ、痛いんなら無理しすぎないで、大人しくしてればいいさ。
[肩を見やって、溜息一つ。 そうして続く言葉に、表情に、煙の昇る方向を見て、]
……まぁ、全部はそっちで決めようか。 どうせ皆、人殺しだ。
(31) 2010/11/22(Mon) 23時半頃
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サイラスは、チャールズの示した、煙のあがる方向へと足を向けた。
2010/11/22(Mon) 23時半頃
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[ 女性の言葉に思わず俯く。 コップの中身をすすった時、耳に届く思わぬ言葉。 表情を失った顔で、錆びついたかのような鈍い動きでパピヨンへと振り向いた時、ランタンが床に落ちるのが見えた ]
っちょっ…! な、何をするんだ!
(32) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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スティーブンは、慌てたせいでコップのぬるい白湯を取りこぼしてしまった
2010/11/23(Tue) 00時頃
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どうして、私じゃなくてホリーだったのか、それがわからないんです。 なぜ私は生かされているのでしょう。
[床が焼ける臭いが立ち上る。 ポケットに右手を入れて、そのままゆっくりと近づいて行った]
……先生、どういう、おつもりですか?
(33) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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パピヨンか。どうだろうな。
[ホリーが人狼に襲撃された以上、 自らの考えを述べる必要は、もう感じなかった。 わからない、そういった風に首を振ると、 サイラスと歩を同じくして、診療所の方向へ進む]
確かに。司祭の役目を果たせない私とは違うようだ。 今度は、何か温まるものでも頼もうか。生姜とか。 ………私の好物だぞ、薬屋。
[それきり口を噤んでいたが、人殺し、の部分にぴくり]
違いない。 誰も殺してないやつは、生き残ってないだろう。
(34) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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お、お湯があったはず……いや、ダメだあれは油だからっ! あああ、もう、何を、何がしたいんだ君は!
[ 慌てて立ち上がり下手糞な舞を舞うようにおたつきまわった。 背広を脱ぎ必死の形相で床の火に叩きつける ]
人狼だとか人間だとか、そんなことより先に消火だろう! 手伝って!早く!
(35) 2010/11/23(Tue) 00時頃
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今ここでパピヨンを殺すのは簡単だけど、男二人がかりで抵抗されたら、さすがに厄介だ!
やっぱり、やっぱりパピヨンが真実を見るものだったのか…!
なりたての獣の勘なんて、アテにするものじゃなかった!
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本人にしちゃ楽だろうなぁ、と思うんだが。
[頬をぽりぽりとかいて、溜息。 無いもの強請りだとは思うが、と呟いて。 ――まさか道中、火事の危険だなんて考えなかったし、怪我もあって歩はさほど早くない]
あんたは十分司祭の役目を果たしてると思ってたけどなぁ。 ……生姜は薬と違うだろう。 そういうのは自分で育てればいいじゃないか。 指がなくても、出きるだろう。
唯一の子供も、死んだからなぁ。
[ゆっくりとはいっても、道を行けば、煙の色が変わっているのも見てとれる。 なんだあれ、と眉を寄せて。]
(36) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[慌てふためく医師の姿に、肩の力が抜けた。 首をふるふる振って、ポケットの中からナイフを取り出す]
ダメですよ先生。 全部燃やそうとしているんですから。
[背後から覆いかぶさるように飛び掛って、スティーブンの喉元にナイフを押し付けた]
(37) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[ 急所を狙うナイフの出現に思わず動きを止めた。 しかし熱は広がり足元から迫ってくる。 ナイフをつかむ腕を両手で掴んで力を込めれば、男と女の力の違いは歴然。もたつきながらでもナイフを少し遠ざけることは出来る ]
……君も、おかしくなってしまったのかい? 僕が、人狼だっていう証拠は、一体どこに、あるんっ…だ!?
[ 腕を捻ってナイフを落とさせようと試みる ]
(38) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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誰かの性が見えるのだ。否応無しに。 私やサイラスならともかく、重荷に思う者は居るだろう。
[透徹な瞳の光を湛えて、サイラスの横顔を眺める]
そうか? なら薦めに従い植えるとしようか。 また聖書を持つには、生憎と指が足りないからな。 ホリー………。そしてノーリーン。
[静かな諧謔に逃げると、死せる者の名前を呼ぶ。 道を進めば、サイラスが見たのと同じ光景を眼にする]
(39) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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まさか、こんなに減った人数で、火事か?
[顔を見合わせると、駆け出すように促して。 自らは傷を負っている肩を庇いながら、 やがて診療所のドアに取り付くだろう]
開けるぞ。
[覚悟を確かめるように、サイラスを見つめた]
(40) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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[残ってた躊躇が邪魔をして、殺すことは叶わぬままにナイフが手から零れ落ちる]
証明? 簡単ですよ。このまま朝まで二人で居ればいいんです。 私が襲われれば先生が、サイラスさんが襲われればチャールズさんが人狼です。 でも、そういうことではありませんよね。
[震える声でそう言って、羽交い絞めにしたスティーブンの足元を払った]
(41) 2010/11/23(Tue) 00時半頃
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パピヨンは、物音にドアを見やり、「助けて!」と声を荒げる。
2010/11/23(Tue) 00時半頃
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そうだろうなぁ… 前の事件のときも、そんなことを誰か言っていた気がする。
[昔を思い返して。 植える、というのにはそれがいいなんて軽く返す。
促されて頷いて、チャールズと共に診療所の扉へと。 怪我はだいぶ癒えていても、司祭の様子を少し気遣って。 開ける、というのには、あぁと頷いて。]
火がまわってこなきゃいいけど。
[と、中から助けを求める声――。 はっとして、早く開けようと、手をのばし]
(42) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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[ 視界が少しずつ赤くなっていく中、床に落ちたナイフの重い音がする ]
何を言ってるんだ!? 火をつけておいてこのまま朝までなんて、蒸し焼きで二つの遺体が出来上がるのが落ちだろう! 僕は死にたくないよ!君のような狂信者と一緒にしないでくれ!
[ 床に落ちたナイフを蹴りつけようとして間に合わず足を払われ、姿勢を崩して尻餅をつく ]
(43) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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スティーブンは、ハッと扉を見た。眼鏡を落としてしまってよくわからない
2010/11/23(Tue) 01時頃
検死の知識もない人間に、僕のことがわかるはずがない!
やっぱりお前が
お 前 が !
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[パピヨンの悲鳴が聞こえた。 はっと手を伸ばすサイラスと共に、ドアを開け放つ]
…………!?
[鼻をつく異臭と熱気に肌を炙られて。 僅かな煙の幕の向こう側、瞳に飛び込んできた光景は、 スティーブンがパピヨンに羽交い絞めにされている姿だった]
(44) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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サイラスは、煙の向こうに、思わず、ぽかん、としてしまった。
2010/11/23(Tue) 01時頃
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[けほけほと咳き込む目元には涙がにじむ。 サイラスとチャールズを見やって、笑みを浮かべた]
私が火を放ったわ。 加勢する? それとも、私を殺す? お好きになさって。
(45) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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[思わず動きが止まってしまったが、ちりちりと床の燃える音に我を取り戻す。]
何やってるんだ! 二人とも焼け死ぬ――
[焦ったような声は、そこで止まった。 しかし首を振って、あたりを見回す。水場は近くにあるだろうか、と]
(46) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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パピヨンは、床に転がるナイフを一瞥したが、手は届きそうにない**
2010/11/23(Tue) 01時頃
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たす、助けてくれ! パピヨンが僕のことを、証拠もなく人狼だと言い放って火をつけて…っ
[ 既に倒れた辺りも火に飲まれようとしていて、眼鏡を探すことは諦めパピヨンのしがらみを解こうと腕を掴んでもがく ]
僕は何もしていない!
(47) 2010/11/23(Tue) 01時頃
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待て。サイラス。
[大気が熱で微かに歪み、 室内でそよぐ気流に短髪を弄られながら、呟く。 パピヨンの言葉に頷くと、ちらりと微笑み返した]
なるほど。ハンカチは要るかな? 涙を拭かないと。
[転がるナイフに眼を止めると、ゆっくりと拾い上げ 揺れる炎の光で輝く刃を、右へ左へと傾けて眺めた]
予期せぬ事態だな。幸い膠着状態。 私たち以外の二人がだ。サイラス。 きっと、どちらかが人狼だぞ。どうする?
(48) 2010/11/23(Tue) 01時半頃
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眼鏡の無い君の素顔を見るのは初めてだ。 スティーブン。
本当に、何もしていないのかね?
[表情の無いまましゃがみ込むと、 医師とゆっくり視線を合わせた]
それは、罪悪では無いだろうか。
(49) 2010/11/23(Tue) 01時半頃
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