22 共犯者
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>>194 あん? ああ、そうだな。
[彼女から寄せられる好意に今更気付き驚く。 恋愛のそれとは少し違うようだが…彼は気付いたかどうか。]
俺は昔と、変わんねえよ。 支えに…か……。 ありがとよ、マーゴ。
[マーゴの背中に腕を回し、優しく抱きしめた。]
(202) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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ああ、そうさ、
俺は、変わんねえよ。
変わっちまったのは、お前たちの方だ。
[この少女に俺を告発する力はあるだろうか。
なんとか制御できるといいんだがな。]
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>>206 俺から違う気配…? ああ、それがラトルの力か。
[マーゴの問いに、あっけらかんと答える。]
そりゃあ、そうかもな。 我がヴァンルナール家は、「御使い様」と最も近い血筋。
[マーゴを抱きしめたまま、彼女の顔を見つめ、自らの血の源流について語り出す。]
(208) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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>>208 御使い様との契約も、俺の家の伝承じゃ、ヴァンルナール家の先祖が行ったらしい。
本当かどうか知らねえが、もしかしたら、昔むかし、もっともっと古い時代に、俺のご先祖様と、御使い様は交わったのかもしれねえな。
[ヴァンルナール家のある種狂信的な儀式への拘りや、「御使い様」への盲目的な崇拝、村中での権力は、その辺りにもあるのだろう。]
ラトルのアンタにそう言ってもらえるなんてな。 はッ、ある意味光栄な事だ。
(209) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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>>209 確かに、御使い様の意思を出来るだけ実現できるように、俺の家は動く。
それは、御使い様を信じられねえ人間から見たら、血筋云々を除いても、古い意思の権化そのものに見えちまうかもしれねえな。
…はは、安心しな。 取って食ったりしねえよ。
[そう言うと笑って、近くの墓石を見せる。彼らの墓石には4ツ足の獣の紋が彫ってあった。]
(211) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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>>211 だから、だからこそ、昨日はパピヨンの提案を俺は見過ごすわけには行かなかった。
爺さん共にも、儀式に反対する不満分子は排除しろと命令されてたしな。
すまない。あの時は他にやりようが……無かったんだ。
(212) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[ なるべく生贄たちの前に姿を見せ、ノックスを襲う時間がないことを印象付ける。
そんなことをしつつ、彼がノックスが襲われた場所に辿り着いたのは、どれほど経ってからだろうか。明け方近くなってからだろうか。
屍の傍らに跪き、泉に口をつけるように傷口に溜まった血を啜る。
冷えて固まりつつあるそれは、まだ命のある獲物から熱い血潮を貪る時のような酩酊は生まなかったが、彼にひとつのことを伝えてくれた。
すなわち、]
これは血族か。
[ 同属の血統に連なる人間。人狼の末裔。
いずれかの同属が、かつてこの村の人間と交わったのだろう。その血がノックスの上にはっきりと現れていた。
しかし、今はただの屍骸に過ぎず、これはただの肉だ。]
[ 通常彼は時間が経って冷たくなった死肉は食べないが、彼のためにと残してくれた同胞のために少量を摂った。
屍の匂いが残らぬよう、気をつけて身仕舞をし、その場を後にした。
聖樹の下に残されたノックスの遺体はやがて虫達によって大地に還るだろう。
それを妨げる、無粋な人間たちが森に分け入って来ない限りは。*]
[ 音声に拠らない会話は、言葉よりも多くの情報を的確に素早く伝達してくれるが、相手が心を鎧い言語以外のイメージを送らなかった場合や、伝えたいイメージを絞らず雑多な感情をそのまま流した場合はその限りではない。
だから、彼に伝わったのは、同胞の焦りの感情だけであった。]
どうした?
何かあったか。
今宵の生贄は俺が選んでもいいのか。
それともまたお前が選ぶか?
[ 短い問い掛けだけを投げる。]
おう、アンタが撰べばいいと思うぜ。
俺も次の獲物を見てるが、まだ決まってねえしよ。
[候補は種々。
我等に反するものか、力を持つものか。
それとも只、本能のままに襲うのか。]**
……そうか。
ならばこちらも勝手に選ばせて貰おう。
そうしてくれ。
ただ、決めた相手は教えてくれよ。
アンタの考えてる事を…知りたくてよ。
わりぃな。
ホントはもっとアンタと話してえんだ。
[俺だったら、今夜はオスカーかミッシェル辺りだろうか、と考えていた。]
―ヴェスパタインの工房・日中―
[テッドが工房に招かれる前か後だったか。
今宵の獲物に付いて、同胞と話す前――
珍しく「ヘクター」が彼の工房に現れた。]
…よォ。
すまねえな、こんな昼間から。
さっきラトルの娘に会った。
俺は、どうやら「視られ」ちまったようだ……。
[ 少しの間の後に答えが返ってくる。]
知りたいのなら。
俺はオスカーの姉妹を狙うつもりだ。
守りたいものを喪った、あれがどう変わるか見たい。
なるほど?
ならば、ラトルの娘の口を塞ぐか。
この先余計な力は使われたくない。
[ 淡々と声は宣告する。]
もしかしたら、俺は、最後まで
アンタの側に居られねえかもしれねえ。
ラトルの娘を一応は手なづけて置いたから、
今すぐ俺が狙われる事は無いと思うが…。
……あーあ、ドジっちまったよなあ。
なんだかよ、急に、
アンタの声が聞きたくなったのか、
アンタの匂いが嗅ぎたくなったのかわからねえが…。
気が付いたら、ここへ来ちまってた。
─昼間・工房にて─
[ 既に身支度を整えた彼は、じっと同胞を見詰める。]
何を気弱なことを……
[ 一笑に付したが、眸はそれ程笑ってはいない。]
[話している場で、ノックスが狼の血を引く者だったと言う話を聞いただろうか]
そうか、アイツが……。
[確かに、思い当たる節は有る。]
俺と対峙した時のあの少年の目。
覚悟を決めたあの眼は、
獣のごとき鋭さと気高さを確かに持っていた。
オスカーの姉妹?
「ホリー」か……。
俺はあの娘こそ
我らの血を引く者かと思っていたが。
確かに方割れを喪った少年が、
どの様に豹変するか、見てみたくはある…。
[マーゴを狙うかと告げる同胞の言葉を
じっと考えているようだ。
マーゴへの、一種言語化し難い感情が
ヘクターの中で無意識に揺れ動いて居るのかも知れない。
同胞の身を護るには…それも止む無し、
と言うのは理解してはいるが。]
[ 同胞の考え込んでいる様子を観察した後、]
──ならば一日猶予しよう。
お前の決心が付くように。
だが思い出せ。
儀式を完遂するには、あの娘も手に掛けねばならない、と言うことを。
[ それは事実であり、冷酷な宣言だ。]
[一笑する同胞に近づき、心を落ち着ける。
そして真剣な顔で真っ直ぐに彼を見つめると、口を開く。]
俺にもし何かあった時は、「キツネ」を頼れ。
アンタの命令なら、喜んで命を投げ出すような奴らばかりさ。
表向きには出来なくても、色々と今以上に援助できるだろう。
[ヘクターが墓地でマーゴに話した伝承は大筋事実であった。
実際、彼の家の人間をマーゴが視たならば、濃さの程度はあれ、同じような違和感を感じ取っていただろう。
中には、ヘクターの子を宿した女も何人か居るかもしれない。]
[ 同胞の瞳の奥の真剣な色を読み取り、
それを真正面から受け止める。]
──ああ。
[ 短い応(いら)え。
だが彼はどこまで同胞の言葉を守る気であったか。]
[同胞に、万一自分が先に還った時の事を伝える。
それは杞憂かもしれない。だが―――。]
ヴェスパタイン…。
アンタの肌に、ちょっとだけ、触れてもいいか?
俺は、きっと、たぶん、
アンタより先に………。
[それ以上は言葉にならなかった。]
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>>213 [柔らかいマーゴの温もりを感じる。 御使い様と契約をやり直す事ができないかと言う、彼女の心の底からの問いかけには]
そうだよな…。 無駄に人が死ぬのは……俺も見たくない。
[まだ、硝煙の香りがこびり付いているような気がする指先を、少し震わせた。]
けど、果たして怒っている相手と話など出来るだろうか? 少しずつ…怒りを解いていけば?
……いや、解らないな。 彼らの考えは、俺には解らない。
[だが、お互い尊重し合った形で話ができるのなら…或いは?]
(307) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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[ 同胞を見詰める宵月の瞳は揺らがない。
だが。
無言で腕を開き、愛しいものを呼ぶように誘(いざな)った。]
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>>216 あん? 俺には食べられてもいいだって? そうか…なら……。
[そう言って悪戯ぽく笑ったかと思うと、 次の瞬間、マーゴの紅い唇に自分の唇を重ねる。]
(317) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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>>313 [やさしく見つめる彼女に礼を言う。]
マーゴ…ありがとな。
変えて行く……か。 でも、今は……儀式をやるしか…。
[そう言って、今頃恥ずかしくなったのか、彼女から離れる。]
あーあ、ちくしょう。死にたくねえな!
[今夜もまた「巡礼」は始まる。 俺は、守りたい人を、守っていけるのだろうか?]
(324) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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