25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[二つの月が割れた半月となる前の話。
霞の手を引き気に入りの書庫へと連れて行った。 それに酷く怒った先代が 強く叩いたのは霞だった。 ――…其れは高嶺にだけ許される場所。 高嶺の名を持たぬ霞は、此処に入ってはならないと。
霞の真似をし、縁側で共に先代の好きな唄を歌った。 それに酷く怒った先代が 強く叩いたのは私だった。 ――…其れは花にだけ許されること。 花の名を持たぬ朧は、決して唄ってはならないと。
同じ顔であるのに。 同じ場所に在るのに。 ―――…どうして、ここまで違う姿なのか。]
(87) 2010/08/08(Sun) 20時半頃
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本郷は……獣。
でも、本郷は……本郷
[とぼとぼと、歩き、抱えた本郷の頭を
2度も己を殺さなかった
獣の頭を時折なでながら返す]
懐刀 朧は、記者 イアンと本郷の間に起きたことは、はまだ此処には伝わっておらず。
2010/08/08(Sun) 20時半頃
――……?
[やはりよくわからない。だけど、本郷は狼だったようだ。]
そうか。
[足音は落ち着いてるかのようにも聞こえた。]
処刑する場合は、事前に報告しろ。
処刑…………? 報告……??
[報告するって幻聴に??]
[それに、これは処刑なのだろうか?]
[己を苛むいくつかの幻聴のうち
会話になっているような、居ないような幻聴の
返す言葉に青年は首をかしげて]
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― 庭 ― [刷衛と会うことはなく、血塗れた太刀は庭に置かれた。 イアン達の騒ぎはまだ高嶺の耳にまでは入らず、 ただ 少し前まで聴こえていた琵琶の音に想いを馳せる。
水音は、止まない。
高嶺の名が求めるのは、同じ顔の花の姿を―――… 朧の名はが求めるのは、欠けた半身の姿を―――… 裡にある獣が求めるのは、対なる獣の姿を―――…
通りかかった屋敷の使用人を呼び止める姿は、 その中のどの名を宿す者の姿だったのか。]
(89) 2010/08/08(Sun) 21時頃
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…霞月夜に、言伝を。
―――…夢の続きを、見せて欲しいと。
[満月の夜はもう過ぎた。その願いは叶うのか……。 夢を見たいと願い伝えた場所は、秘密の逢瀬を交わした部屋。]
(90) 2010/08/08(Sun) 21時頃
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お前、わかってないのか?
[心底困ったような声]
どこにいる。答えろ。
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― 庭 ― [頬杖ついていた場所から立ち、近づくのは白い花へ。]
――…お前の顔は…、鳥の羽の形なのだな…。
[細かに分かれ広げられた花弁は飛び立つ白鷺の様。 ―――夢想の花。 其れが持つ物語までは高嶺は知らず。 控えめな花に一つの鳥の名前を連想させると、 憂いの顔は淡く微笑みそっと一度だけ、その花を撫ぜる。]
(91) 2010/08/08(Sun) 21時頃
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[思い出すのは何時かの双花の片翼との話。 似た形の花はあまり好まぬと、そう言った。
――…高嶺(たかみね)の花は、高嶺(たかね)の花。
先代が育てた花達は皆芸に秀で、うつくしい。 先代の好む形に育った花達は花弁の形まで切り揃えられ 皆同じうつくしい音を奏で、皆同じうつくしい顔で笑う。 ――…それは果たして、真に美しいと言えるのだろうか。]
――…少々歪な形が混じる方が、好ましく美しい…。
[思い浮かべるのは、並ぶ二つの対の花。]
――…その分、癖もあるか…。
[独りそう零して笑うと、人の気配に気付く。 振り返れば、大柄の男の姿があった。]
(93) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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ここは……主の棟に向かう、
渡り…廊下。
[ぽつり、ぽつりとこぼす]
懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 21時半頃
主の棟になにしにいってる。
[そこにはセシルがいる。
急に心配になった。]
……高峰殿か、霞を探しに……
高峰殿は、見た、けど……
[高嶺は視線の先にいるのだけれど
まさか、幻聴の発信源も
そこにいると思わないまま]
高嶺と霞に何用だ?
[その時、ふと気配を感じるか。]
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― 庭 ― [刷衛の姿を見止めると、黒檀からは憂いが消える。 下りた髪を揺らし、しゃがんで白花に触れていた姿は 遠目からは霞月夜の姿と見間違うことだろう。]
―――……
[華月の名前、其れには頷きを返さない。 否定しないことが肯定の答え。 鵠を口にする男には、憂いの失せた高嶺の眉が緩く寄り。
投げかけられる、問い。 高嶺は刷衛を見上げ、見つめて]
(97) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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―――…思わんな。
[そう、一言。]
(98) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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本郷に…邸宅を託されたが…
どう、受け取れば、いいのかがわからん……
高峰殿や霞なら、詳しいと……
[どうして聞かれるのだろう?そう思いながら]
[は?と、言われれば困ったように]
……蓮を育てるのと、舞うのと、
約束をしたから……
[さらに、相手が分けわからなくなりそうな]
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私の花を散らしたのは、人狼病の者ではない。
[違うか、と刷衛に言った。]
(101) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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[またますますわからなくなったが、
殲滅、の話とは縁遠いのは、ありがたいのかどうなのか。]
そうか。
それをやる気があるんだな?
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[高嶺の瞳は目の前の男を見つめ、逸らさない。]
―――…それは、お前がそうであって欲しいと。 そう勝手に思っているだけのことだろう。
私の花が無残に喰い殺されたのであったのなら その人狼に恨みも抱こう…
…だが、私の花は人狼に殺されたわけではない。 お前達が殺さなければ、今も傍に二つ在ったかもしれん。
[大柄な男の言葉に、黒檀を細めて緩く首を傾げ]
(105) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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―――…其れが…お前の、言い訳か……"研"。
(106) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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約束をしたから……約束は守る、為にある
[本郷は叶えてくれなかったけど
叶えてくれようとはしたから。
なら、自分もなすべきだと]
懐刀 朧は、霞の名が呼ばれても持ち前の面の皮の厚さを崩さぬ貌は
2010/08/08(Sun) 22時頃
懐刀 朧は、本郷の名が挙がった時に、少しだけ目を伏せたのかもしれない。
2010/08/08(Sun) 22時頃
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[訊いたわけでもない。確証があったわけでも。 人狼の名を出した時の機嫌の悪い反応から感じた違和。 付き合いの長さがあるからこそ感じた、なんとなくの勘。]
―――…私は、何も知らない。
[刷衛にはそう答えただろう。 また華月の名前を出されれば、 今度は眉をはっきりと、厭うように寄せて]
―――…華月は、私の花だ。 だから、他に奪われる前に主が摘んだ。
[高嶺が摘んだ理由に、言い訳などないと言った。]
(111) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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そう、約束なんだ。大事な。
だから、どうすれば良いかを知りたいんだ
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…お前こそ、何故そう決め付けたがる。
[黒檀は、目の前の男を睨む視線に代わり]
何故、私の周りの者と断言できる…?
[霞を匂わすような言葉には、嫌悪の色すら浮かべ]
――…己の周りの者は、疑いたくないからか。 お前の方こそ…、本当は何かを隠し、 ……匿っているのではないか?
(113) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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